以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、本発明をハイブリッド車両用の制御装置に適用したものである。
まず、構成について説明する。
図1に示すように、駆動装置1は、エンジン10と、駆動ユニット20と、自動変速機30と、制御ユニット40とを備えている。本実施の形態では、駆動装置1のエンジン10の方向をエンジン側E、駆動装置1の自動変速機30の方向を自動変速機側Tとしている。
エンジン10は、ガソリンあるいは軽油などの炭化水素系の燃料と空気との混合気を、図示しない燃焼室内で燃焼させることによって動力を出力する公知の動力装置により構成されている。エンジン10は、本発明の内燃機関を構成している。エンジン10は、燃焼室内で混合気の吸気と燃焼と排気とを繰り返すことにより図示しないシリンダブロック内の図示しないピストンを往復動させ、ピストンと動力伝達可能に連結されたクランクシャフト11を回転させるようになっている。エンジン10は、クランクシャフト11から駆動ユニット20にトルクを伝達するようになっている。クランクシャフト11には、図示しないエンジン回転数センサが設けられている。エンジン回転数センサは、クランクシャフト11の回転数を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。
図1および図2に示すように、エンジン10には、スタータ12が設けられている。スタータ12は、スタータ本体12aと、スタータ軸12bと、スタータピニオン12cとを備えている。
駆動ユニット20は、入力部21と、クラッチ22と、ワンウェイクラッチ23と、モータジェネレータ(MG)24と、ドラム25と、ハブ部26と、出力部27と、ケース部28とを備えている。モータジェネレータ24は、本発明の駆動用電動機を構成している。駆動ユニット20は、エンジン10と自動変速機30との間に介在されるとともに、エンジン10のクランクシャフト11からの動力を自動変速機30の後述する変速機入力軸31に伝達するようになっている。
入力部21は、フライホイール210と、ダンパー211と、クラッチ入力軸212と、スリーブ213と、ベアリング214とを備えている。
フライホイール210は、クランクシャフト11に一体回転するように連結されている。フライホイール210の外周部には、リングギヤ210aが形成されている。リングギヤ210aには、スタータピニオン12cが噛み合わされている。
ダンパー211は、フライホイール210に一体回転するように周縁部で連結されている。ダンパー211は、クラッチ入力軸212に一体回転するように中心部で連結されている。ダンパー211は、フライホイール210とクラッチ入力軸212との間で、回転方向の力を吸収するようになっている。
クラッチ入力軸212は、クランクシャフト11と同軸に設けられている。クラッチ入力軸212は、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23に一体回転可能に連結されるとともに、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23に動力を伝達するようになっている。
スリーブ213は、クラッチ入力軸212の外周側部に一体回転するように取り付けられている。ベアリング214は、玉軸受けからなり、スリーブ213の外周側部に固着されている。
出力部27は、クラッチ出力軸270と、スリーブ271と、ベアリング272と、スラスト軸受273とを備えている。
クラッチ出力軸270は、クラッチ入力軸212と同軸に設けられている。クラッチ出力軸270は、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23に一体回転可能に連結されるとともに、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23の動力を外部に伝達するようになっている。クラッチ出力軸270は、自動変速機30の変速機入力軸31に一体回転可能に連結されるとともに、駆動ユニット20の出力を自動変速機30に伝達するようになっている。
スリーブ271は、クラッチ出力軸270の外周部に一体回転するように取り付けられている。ベアリング272は、玉軸受けからなり、スリーブ271の自動変速機側Tにおいてクラッチ出力軸270と一体回転可能に設けられている。スラスト軸受273は、クラッチ入力軸212とクラッチ出力軸270との互いに対向する端面同士の間に設けられるとともに、クラッチ入力軸212とクラッチ出力軸270とを相対回転可能に軸方向に支持している。
モータジェネレータ24は、ステータ240と、ロータ241と、ロータケース242とを備えている。モータジェネレータ24は、クランクシャフト11と変速機入力軸31との動力伝達経路に介在されている。
ステータ240は、ステータコア240aと、ステータコア240aに巻回される三相コイル240bとを備えている。ステータコア240aは、例えば、電磁鋼板の薄板を積層して形成されるとともに、ケース部28に固定されている。ステータ240は、三相コイル240bへの通電により回転磁界を形成するようになっている。
ロータ241は、ステータ240の内部に配置されるとともに、複数個の永久磁石が埋め込まれて形成されている。ロータケース242は、ロータ241を収容している。ロータケース242は略円筒形状で、出力部27のスリーブ271の外周側に位置して設けられている。ロータケース242は、内周側部に軸方向に沿ったスプライン242aを備えている。ロータケース242には、図示しないモータ回転数センサが設けられている。モータ回転数センサは、ロータ241の回転数を検出することにより、モータジェネレータ24の回転数を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。
モータジェネレータ24は、ロータ241に埋め込まれた永久磁石による磁界と三相コイル240bによって形成される磁界との相互作用により、ロータ241を回転駆動する電動機として動作するようになっている。また、モータジェネレータ24は、ロータ241に埋め込まれた永久磁石による磁界とロータ241の回転との相互作用により、三相コイル240bの両端に起電力を生じさせる発電機としても動作するようになっている。
モータジェネレータ24はインバータ50に接続されている。インバータ50はバッテリ51に接続されている。このため、モータジェネレータ24は、インバータ50を介してバッテリ51との間で電力のやり取りを行うようになっている。バッテリ51は、ハイブリッド車両の運転状況に応じて、モータジェネレータ24から生じた電力を充電したり、あるいは放電するようになっている。
インバータ50からモータジェネレータ24への電力ラインには、図示しないMG電流センサが取り付けられている。MG電流センサは、相電流を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。インバータ50には、図示しないMG電圧センサが取り付けられている。MG電圧センサは、インバータ50からモータジェネレータ24への出力電圧を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。インバータ50には、図示しないインバータ温度センサが取り付けられている。インバータ温度センサは、インバータ温度を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。
バッテリ51の出力端子間には図示しないバッテリ電圧センサが取り付けられている。バッテリ電圧センサは、バッテリ51の出力電圧を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。バッテリ51の出力端子には、図示しないバッテリ電流センサが取り付けられている。バッテリ電流センサは、バッテリ51の充放電電流を検出して制御ユニット40に入力するになっている。バッテリ51には、図示しないバッテリ温度センサが取り付けられている。バッテリ温度センサは、バッテリ温度を検出して制御ユニット40に入力するようになっている。
ドラム25は、ロータケース242およびスリーブ271を連結して、ロータケース242およびスリーブ271を一体化している。ドラム25の半径方向の中央部には、外周側をエンジン側Eにずらした段部25aが形成されている。ロータ241の回転は、ドラム25およびスリーブ271を経て、クラッチ出力軸270に伝達される。
ハブ部26は、ハブ本体260と、支持板261とを備えている。
ハブ本体260は、円筒形状で、ハブ本体260の外周側部に軸方向に沿ったスプライン260aを備えている。ハブ本体260は、ロータケース242およびスリーブ271の間に入り込んでいる。支持板261は、ハブ本体260のエンジン側Eの端部とクラッチ入力軸212の自動変速機側Tの端部とを連結して、ハブ本体260とクラッチ入力軸212とを一体化している。
ハブ本体260は、支持板261と、クラッチ入力軸212と、ダンパー211と、フライホイール210とを介して、クランクシャフト11に一体回転するように連結されている。逆に、クランクシャフト11の回転は、フライホイール210→ダンパー211→クラッチ入力軸212→支持板261という経路を経て、ハブ本体260に伝達される。
クラッチ22は、多板部70と、ピストン部80とを備えている。クラッチ22は、入力部21と出力部27との間に設けられている。クラッチ22は、クランクシャフト11と変速機入力軸31との間に設けられるとともに、クランクシャフト11と変速機入力軸31との間を接続したり切断したりするようになっている。すなわち、クラッチ22は、エンジン10とモータジェネレータ24とを切り離す解放状態と、エンジン10とモータジェネレータ24とを接続する係合状態との間で伝達状態が切り替わるようになっている。
クラッチ22は、ノーマリーオープン型となっている。クラッチ22は、通常は解放されていてエンジン10とモータジェネレータ24との接続を切断しているとともに、オイルポンプ34から高圧の作動油が供給されることにより作動してエンジン10とモータジェネレータ24とを接続するようになっている。クラッチ22は、モータジェネレータ24の内周部に設けられている。
多板部70は、ロータケース242とハブ本体260との間に設けられている。多板部70は、複数のセパレータプレート71および複数の摩擦プレート72と、クッションプレート73と、スナップリング74とを備えている。
セパレータプレート71は、環状で、外周部に形成されたスプライン外歯71aと、内周部に形成された貫通孔71bとを備えている。スプライン外歯71aは、ロータケース242のスプライン242aに噛み合わされて、軸方向に摺動可能に設けられている。このため、セパレータプレート71は、ロータケース242と一体回転するようになっている。貫通孔71bには、ハブ本体260が接触することなく挿通されている。
摩擦プレート72は、環状で、内周部に形成されたスプライン内歯72aを備えている。スプライン内歯72aは、ハブ本体260のスプライン260aに噛み合わされて、軸方向に摺動可能に設けられている。このため、摩擦プレート72は、ハブ本体260と一体回転するようになっている。
セパレータプレート71と摩擦プレート72とは、交互に隣接して設けられている。摩擦プレート72とセパレータプレート71とが軸方向に押圧されて互いに回転方向に摩擦を生ずることにより、ロータケース242とハブ部26とが締結されるようになっている。摩擦プレート72とセパレータプレート71との軸方向の押圧が解放されて互いに摩擦を生じなくなることにより、ロータケース242とハブ部26との締結が解放されるようになっている。
クッションプレート73は、環状で、外周部に形成されたスプライン外歯73aと、内周部に形成された貫通孔73bとを備えている。スプライン外歯73aは、ロータケース242のスプライン242aに噛み合わされて、軸方向に摺動可能に設けられている。このため、クッションプレート73は、ロータケース242と一体回転するようになっている。クッションプレート73は、全てのセパレータプレート71および摩擦プレート72よりも自動変速機側Tに位置するように設けられている。
スナップリング74は、環状で、全てのセパレータプレート71および摩擦プレート72よりもエンジン側Eで、ロータケース242のスプライン242aに固定されている。このため、スナップリング74は、セパレータプレート71と、摩擦プレート72と、クッションプレート73とがロータケース242のスプライン242aから脱落しないようにストッパ機能を有するようになっている。
ピストン部80は、ドラム25と、多板部70との間に設けられている。ピストン部80は、ピストン81と、油圧供給部82と、戻りばね83と、支持プレート84と、ストッパリング85とを備えている。
ピストン81は、スリーブ271と段部25aとの間で軸方向に摺動可能に設けられている。ピストン81は、内側Oリング810と、外側Oリング811と、押圧部812とを備えている。
内側Oリング810は、ピストン81の内周側部に設けられるとともに、スリーブ271の外周側部に接触している。外側Oリング811は、ピストン81の外周側部に設けられるとともに、ドラム25の段部25aの内周側部に接触している。押圧部812は、クッションプレート73に対向するとともに、ピストン81のエンジン側Eへの摺動に伴ってクッションプレート73を押圧するようになっている。
油圧供給部82は、油圧供給孔820と、油圧供給路821とを備えている。油圧供給孔820は、スリーブ271に形成されるとともに、ピストン81およびドラム25で囲まれる空間86とスリーブ271の内周側の空間とを連通している。油圧供給路821は、油圧供給孔820と、自動変速機30の後述する機械式オイルポンプ(MOP)34とを連通している。
高圧の作動油が、油圧供給路821および油圧供給孔820を介して、ピストン81およびドラム25で囲まれる空間86に供給されると、ピストン81はエンジン側Eに摺動するようになっている。ピストン81がエンジン側Eに移動することにより、押圧部812がクッションプレート73を介して摩擦プレート72とセパレータプレート71とをエンジン側Eに押圧して締結させる。摩擦プレート72とセパレータプレート71との締結により、ロータ241およびハブ部26が一体回転するようになっている。
戻りばね83は、周方向に沿って配置された多数の圧縮コイルばねからなるとともに、ピストン81をエンジン側Eから自動変速機側Tに押圧するように設けられている。支持プレート84は、環状で、戻りばね83のエンジン側Eを支持している。支持プレート84は、ストッパリング85によりエンジン側Eへの移動を規制されている。ストッパリング85は、スリーブ271に固定されている。
油圧供給路821の油圧が低下して戻りばね83の付勢力より小さくなることにより、戻りばね83の作用によりピストン81が自動変速機側Tに摺動するようになっている。ピストン81が自動変速機側Tに移動することにより、摩擦プレート72とセパレータプレート71との締結が解放され、ロータ241およびハブ部26が別々に回転するようになっている。
ワンウェイクラッチ23は、ロータケース242とハブ本体260との間に設けられている。ワンウェイクラッチ23は、クランクシャフト11と変速機入力軸31との間に設けられるとともに、クランクシャフト11を変速機入力軸31に対して正転方向のみに回転可能に接続するようになっている。ここで、正転方向とは、クランクシャフト11の回転方向を意味する。また、ワンウェイクラッチ23は、モータジェネレータ24の内周部に設けられている。ワンウェイクラッチ23は、モータジェネレータ24の内周部で多板部70に対して軸方向に隣接して配置されている。
ワンウェイクラッチ23は、外輪部230と、内輪部231と、回転規制部232とを備えている。
外輪部230は、外周側部に軸方向に沿ったスプライン230aを備えている。外輪部230のスプライン230aは、ロータケース242のスプライン242aに噛み合わされている。よって、ワンウェイクラッチ23の外輪部230は、ロータケース242と一体回転するようになっている。また、外輪部230は、ロータケース242を介して、クラッチ出力軸270に一体回転するように接続されている。
内輪部231は、ハブ本体260と兼用されている。よって、ワンウェイクラッチ23の内輪部231は、ハブ部26と一体回転するようになっている。また、内輪部231は、ハブ部26および入力部21を介して、クランクシャフト11に一体回転するように接続されている。
回転規制部232は、外輪部230および内輪部231の間に設けられている。回転規制部232は、内輪部231を外輪部230に対して正転方向のみに回転可能にするようになっている。
ワンウェイクラッチ23は、クランクシャフト11の回転数がクラッチ出力軸270の回転数よりも大きい場合に、クランクシャフト11の回転をクラッチ出力軸270に伝達するようになっている。また、ワンウェイクラッチ23は、クランクシャフト11の回転数がクラッチ出力軸270の回転数よりも小さい場合に、クランクシャフト11の回転をクラッチ出力軸270に伝達せず、クラッチ出力軸270は自由に回転するようになっている。
ケース部28は、ケース本体280と、エンジン側リブ281と、自動変速機側リブ282とを備えている。ケース本体280は、入力部21と、クラッチ22と、ワンウェイクラッチ23と、モータジェネレータ24と、ドラム25と、ハブ部26と、出力部27とを収容している。
エンジン側リブ281は、クラッチ入力軸212を中心とする環状で、モータジェネレータ24のエンジン側Eに設けられるとともに、ケース本体280に固定されている。エンジン側リブ281の内周部には、入力部21のベアリング214を介してスリーブ213が回転可能に取り付けられている。このため、スリーブ213と、クラッチ入力軸212と、ハブ部26とは、エンジン側リブ281に回転可能に支持されている。
エンジン側リブ281と、スリーブ213との間には、回転センサ29が取り付けられている。回転センサ29は、クラッチ入力軸212およびハブ部26の回転速度を検出するようになっている。回転センサ29は、レゾルバであり、センサステータ29aとセンサロータ29bとを備えている。センサステータ29aは、エンジン側リブ281に取り付けられている。センサロータ29bは、スリーブ213に取り付けられている。なお、回転センサ29としては、レゾルバ以外の各種センサを用いてもよい。
自動変速機側リブ282は、クラッチ出力軸270を中心とする環状で、モータジェネレータ24の自動変速機側Tに設けられるとともに、ケース本体280に固定されている。自動変速機側リブ282の内周部には、ベアリング272を介してスリーブ271が回転可能に取り付けられている。このため、スリーブ271およびクラッチ出力軸270は、自動変速機側リブ282に回転可能に支持されている。
図1に示すように、自動変速機30は、変速機入力軸31と、トルクコンバータ32と、変速機構入力軸33と、オイルポンプ34と、変速機構35と、油圧制御装置36と、出力軸37と、ケース38とを備えている。
トルクコンバータ32は、循環する作動油の作用を利用する流体式で、駆動ユニット20のクラッチ出力軸270から伝達される駆動力を、変速機構入力軸33を介して変速機構35に伝達するようになっている。トルクコンバータ32は、タービンランナ90と、ポンプインペラ91と、フロントカバー92と、ステータ93と、ワンウェイクラッチ94と、中空軸95とを備えている。
タービンランナ90およびポンプインペラ91は、タービンランナ90がエンジン側Eに位置するように互いに対向して配置されている。タービンランナ90は、変速機構入力軸33に一体回転するように連結されている。ポンプインペラ91は、フロントカバー92を介して変速機入力軸31に一体回転するように連結されている。
タービンランナ90およびポンプインペラ91の間の内周側には、ステータ93が設けられている。ステータ93には、ワンウェイクラッチ94を介して中空軸95が接続されている。中空軸95は、ケース38に固定されるとともに、内部に変速機構入力軸33を回転可能に収容している。ケース38の内部には、作動油が供給されている。
オイルポンプ34は、ロータ340と、ハブ341と、ボデー342とを備えている。ハブ341は、円筒形状で、ロータ340とポンプインペラ91とを一体回転するように連結している。ボデー342は、ケース38に固定されている。このため、駆動ユニット20からの動力が、フロントカバー92からポンプインペラ91を介してロータ340に伝達され、オイルポンプ34が駆動されるようになっている。
オイルポンプ34から吐出される作動油は、変速機構35に供給されるとともに、駆動ユニット20のクラッチ22にも供給されるようになっている(図1中、一点鎖線で示す)。オイルポンプ34は、油圧の供給により、変速機構35の変速段もしくは変速比の切り替えや、クラッチ22の締結を行うようになっている。
オイルポンプ34とクラッチ22との間には、油圧調整バルブ39が設けられている。油圧調整バルブ39は、制御ユニット40からの信号に伴い、オイルポンプ34からクラッチ22への作動油の供給量を調整するようになっている。また、オイルポンプ34と油圧調整バルブ39との間には、作動油の吐出圧を測定する図示しない油圧センサが設けられている。
変速機構35は、図示しない複数のクラッチやブレーキを有している。変速機構35では、ハイブリッド車両の走行状況に応じて複数のクラッチやブレーキの係合および解放が、油圧制御装置36から供給される油圧によって切り替えられることで、所望の変速段が形成される。変速機構35の変速段としては、例えば、ニュートラル、前進、後進などがある。
変速機構入力軸33から伝達された駆動力は、変速機構35を経て出力軸37に伝達され、出力軸37から図示しないディファレンシャルを経て車輪に伝達されるようになっている。なお、本実施の形態の変速機構35は、有段式の変速機構で構成されているが、有段式に限られず、例えば無段式の変速機構で構成されるようにしてもよい。
制御ユニット40は、ハイブリッド用電子制御ユニット(Electronic Control Unit;以下、ECUという)41と、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)42と、モータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)43と、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)44と、トランスミッション用電子制御ユニット(以下、トランスミッションECUという)45とを備えている。制御ユニット40は、本発明の制御手段を構成している。
ECU41は、図示しないCPU(Central processing unit)と、処理プログラムなどを記憶する図示しないROM(Read only memory)と、一時的にデータを記憶する図示しないRAM(Random access memory)と、図示しない入出力ポートと、図示しない通信ポートとを備えている。ECU41は、ハイブリッド車両の制御を統括するようになっている。
ECU41の入出力ポートには、MG電流センサと、バッテリ電圧センサおよびバッテリ電流センサと、バッテリ温度センサと、エンジン回転数センサとが接続されている。
ECU41は、エンジンECU42と、モータECU43と、バッテリECU44と、トランスミッションECU45とに通信ポートを介して接続されている。ECU41は、エンジンECU42と、モータECU43と、バッテリECU44と、トランスミッションECU45と各種制御信号やデータのやり取りを行うようになっている。
エンジンECU42は、エンジン10およびECU41に接続されている。エンジンECU42は、エンジン10の運転状態を検出するエンジン回転数センサなどの各種センサから信号を入力するとともに、入力した信号に応じて燃料噴射制御や点火制御、吸入空気量調節制御などの運転制御を行うようになっている。エンジンECU42は、ECU41と通信するようになっている。エンジンECU42は、ECU41から入力される制御信号によりエンジン10を運転制御するとともに、必要に応じてエンジン10の運転状態に関するデータをECU41に出力するようになっている。
モータECU43は、インバータ50およびECU41に接続されている。モータECU43は、モータジェネレータ24を駆動制御するようになっている。モータECU43は、モータジェネレータ24を駆動制御するために必要な信号を入力するようになっている。モータジェネレータ24を駆動制御するために必要な信号としては、例えば、モータジェネレータ24のモータ回転数センサから入力される信号や、MG電流センサにより検出されるモータジェネレータ24に印加される相電流の信号などがある。モータECU43は、インバータ50へのスイッチング制御信号を出力するようになっている。
モータECU43は、ECU41と通信するようになっている。モータECU43は、ECU41から入力される制御信号に応じてインバータ50を駆動制御することにより、モータジェネレータ24を駆動制御するようになっている。モータECU43は、必要に応じてモータジェネレータ24の運転状態に関するデータをECU41に出力するようになっている。
バッテリECU44は、バッテリ51およびECU41に接続されている。バッテリECU44は、バッテリ51を管理している。バッテリECU44は、バッテリ51を管理するのに必要な信号を入力するようになっている。バッテリ51を管理するのに必要な信号としては、例えば、バッテリ51の端子間に設置されたバッテリ電圧センサからの端子間電圧の信号や、バッテリ51の出力端子に接続されたバッテリ電流センサからの充放電電流の信号や、バッテリ51に取り付けられたバッテリ温度センサからの電池温度の信号などがある。
バッテリECU44は、ECU41と通信するようになっている。バッテリECU44は、必要に応じてバッテリ51の状態に関するデータをECU41に出力するようになっている。バッテリECU44は、バッテリ51を管理するために、電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC:State of charge)を演算するようになっている。
トランスミッションECU45は、自動変速機30およびECU41に接続されている。トランスミッションECU45は、トルクコンバータ32の図示しないロックアップクラッチを駆動制御したり、変速機構35の変速段を変更したりするようになっている。
トランスミッションECU45は、ECU41と通信するようになっている。トランスミッションECU45は、ECU41からの信号に基づいて変速機構35の変速段を変更する変速制御を実行するようになっている。トランスミッションECU45は、必要に応じて変速機構35やトルクコンバータ32の運転状態に関するデータをECU41に出力するようになっている。
上述したエンジン10と、モータジェネレータ24と、クラッチ22と、オイルポンプ34と、スタータ12と、ワンウェイクラッチ23と、制御ユニット40とは、本発明の制御装置を構成している。
クラッチ22は、エンジン10とモータジェネレータ24とを切り離す解放状態と、エンジン10とモータジェネレータ24とを接続する係合状態との間で伝達状態を切り替えるようになっている。オイルポンプ34は、モータジェネレータ24に連結されるとともにクラッチ22に油圧を供給可能になっている。スタータ12は、エンジン10に連結されるとともにエンジン10を始動可能になっている。また、制御装置は、オイルポンプ34からクラッチ22に油圧が供給されない場合、クラッチ22が解放状態となるようになっている。ワンウェイクラッチ23は、エンジン10からモータジェネレータ24に正転方向の動力のみを伝達可能になっている。
制御ユニット40は、モータジェネレータ24でエンジン10を始動できない場合、スタータ12によりエンジン10を始動させ、エンジン10の動力をワンウェイクラッチ23を介してオイルポンプ34に伝達させ、オイルポンプ34を駆動させるようになっている。
ここで、モータジェネレータ24でエンジン10を始動できない場合とは、例えば、モータジェネレータ24の制御性が悪化してモータジェネレータ24ではオイルポンプ34を駆動できない場合がある。また、モータジェネレータ24でエンジン10を始動できない場合には、モータジェネレータ24でオイルポンプ34を駆動できても、エンジン10を始動するほどのトルクを出力できない場合をも含む。
制御ユニット40は、モータジェネレータ24を始動できず、かつエンジン10によりオイルポンプ34を駆動させたことを条件に、クラッチ22を係合状態にしたままでエンジン10の駆動を維持するようになっている。
また、制御装置は、駆動装置1の状態を検出する駆動装置状態検出手段を更に備える。この場合、制御ユニット40は、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動できないことを駆動装置状態検出手段が検出したことを条件に、スタータ12によりエンジン10を始動させるようになっている。さらに、制御ユニット40は、スタータ12により始動されたエンジン10の動力を、ワンウェイクラッチ23を介してオイルポンプ34に伝達させ、オイルポンプ34を駆動させるようになっている。
駆動装置状態検出手段は、例えば、モータジェネレータ24の異常や、バッテリ51やインバータ50の異常や、オイルポンプ34の異常や、クラッチ22の異常などを検出することにより、モータジェネレータ24ではエンジン10を始動できないことを検出するようになっている。
モータジェネレータ24の異常としては、例えば、モータジェネレータ24が始動信号を受けても始動しないこと、あるいはモータジェネレータ24が始動しても出力トルクが著しく低くてエンジン10をクランキングできないことなどがある。モータジェネレータ24の異常を検出する駆動装置状態検出手段としては、例えば、モータ回転数センサと、MG電圧センサと、MG電流センサとがある。
制御ユニット40は、例えば、モータ回転数センサにより検出されたモータ回転数に基づき、モータジェネレータ24の回転数が所望の回転数であるかを判断して、モータジェネレータ24に異常があるかを検出することができる。また、制御ユニット40は、例えば、MG電圧センサおよびMG電流センサから検出された電圧および電流に基づき、モータジェネレータ24における電圧および電流が所望の値であるかを判断して、モータジェネレータ24に異常があるかを検出することができる。
バッテリ51やインバータ50の異常としては、例えば、バッテリ51やインバータ50が過電圧や過電流の状態であることや、バッテリ51やインバータ50が過熱した状態であることなどがある。これらの場合も、モータジェネレータ24が始動しなかったり、あるいはモータジェネレータ24が始動しても出力トルクが著しく低くなる可能性がある。バッテリ51やインバータ50の異常を判断する駆動装置状態検出手段としては、例えば、バッテリ電圧センサと、バッテリ電流センサと、バッテリ温度センサと、MG電圧センサと、MG電流センサと、MG温度センサとなどがある。
制御ユニット40は、例えば、バッテリ電圧センサにより検出されたバッテリ電圧に基づき、バッテリ51の電圧が所望の範囲内であるかを判断して、バッテリ51に異常があるかを検出することができる。また、制御ユニット40は、例えば、バッテリ電流センサにより検出されたバッテリ電流に基づき、バッテリ51の電流が所望の範囲内であるかを判断して、バッテリ51に異常があるかを検出することができる。さらに、制御ユニット40は、例えば、バッテリ温度センサにより検出されたバッテリ温度に基づき、バッテリ51の温度が所望の範囲内であるかを判断して、バッテリ51に異常があるかを検出することができる。
制御ユニット40は、例えば、MG電圧センサにより検出されたインバータ電圧に基づき、インバータ50の電圧が所望の範囲内であるかを判断して、インバータ50に異常があるかを検出することができる。また、制御ユニット40は、例えば、MG電流センサにより検出された相電流に基づき、インバータ50の電流が所望の範囲内であるかを判断して、インバータ50に異常があるかを検出することができる。さらに、制御ユニット40は、例えば、インバータ温度センサにより検出されたインバータ温度に基づき、インバータ50の温度が所望の範囲内であるかを判断して、インバータ50に異常があるかを検出することができる。
オイルポンプ34の異常としては、例えば、作動油の吐出圧が所定値より低いことなどがある。オイルポンプ34の異常を判断する駆動装置状態検出手段としては、例えば、油圧センサなどがある。制御ユニット40は、例えば、油圧センサにより検出されたオイルポンプ34の吐出圧に基づき、油圧が所望の範囲内であるかを判断して、オイルポンプ34に異常があるかを検出することができる。
クラッチ22の異常としては、例えば、油圧供給部82でのバルブスティックや油圧調整バルブ39の異常などにより、クラッチ22の解放状態が維持されるクラッチオフフェールがある。クラッチ22の異常を判断する駆動装置状態検出手段としては、例えば、油圧センサと、エンジン回転数センサと、モータ回転数センサとなどがある。制御ユニット40は、例えば、油圧センサにより検出された油圧がクラッチ22の作動圧であるとともに、エンジン10の回転数とモータジェネレータ24の回転数とが一致しない場合に、クラッチ22に異常があることを検出することができる。
次に、作用について説明する。
図4に示すように、エンジン10が停止している場合は、ECU41はエンジン10の始動指令が出されたか否かを判断する(ステップS1)。ECU41が、エンジン10の始動指令が出されていないと判断した場合は(ステップS1;NO)、ECU41は、再度、エンジン10の始動指令が出されたか否かを判断する(ステップS2)。ECU41が、例えば、アクセルペダルが踏まれるなど、エンジン10の始動指令が出されたと判断した場合は(ステップS1;YES)、ECU41は、モータジェネレータ24にフェールが発生しているか否かを判断する(ステップS2)。
モータジェネレータ24にフェールが発生しているか否かの判断は、ECU41により、例えば、モータジェネレータ24の異常の検出、インバータ50の異常の検出、バッテリ51の異常の検出などに基づいて行われる。
ECU41が、モータジェネレータ24にフェールが発生していないと判断した場合は(ステップS2;NO)、ECU41は、SOCが所定の閾値未満であるか否かを判断する(ステップS3)。SOCが閾値未満であるか否かの判断は、バッテリECU44によるバッテリ51の充電状態などの情報に基づいて、ECU41により行われる。
ECU41が、SOCが閾値未満ではないと判断した場合は(ステップS3;NO)、ECU41は、クラッチ22に油圧が供給されてもクラッチ22の解放状態が維持されてしまうクラッチオフフェールが発生しているか否かを判断する(ステップS4)。
ECU41が、クラッチオフフェールが発生していないと判断した場合は(ステップS4;NO)、正常な状態であるので、モータジェネレータ24によりエンジン10を始動させる(ステップS5)。
一方、ステップS2において、ECU41がモータジェネレータ24にフェールが発生していると判断した場合は(ステップS2;YES)、スタータ12によりエンジン10を始動させる(ステップS6)。ステップS3において、ECU41がSOCは閾値未満であると判断した場合は(ステップS3;YES)、スタータ12によりエンジン10を始動させる(ステップS6)。
すなわち、ECU41が、モータジェネレータ24にフェールが発生していると判断した場合、あるいはSOCは閾値未満であると判断した場合は、モータジェネレータ24は大きなトルクを出力することができない。このため、オイルポンプ34を作動させることができないので、クラッチ22を係合状態にすることができず、エンジン10をクランキングすることができない。あるいは、モータジェネレータ24はオイルポンプ34を作動させてクラッチ22を係合状態にできたとしても、モータジェネレータ24の出力トルクが小さいためエンジン10をクランキングすることができない。
そこで、スタータ12によりエンジン10を始動させて、ワンウェイクラッチ23を介してオイルポンプ34を作動させる。オイルポンプ34の作動により、クラッチ22が係合状態になり、エンジン10による走行が可能になる。
上述のように、ECU41が、モータジェネレータ24にフェールがある、あるいはSOCは閾値未満であると判断した場合で、尚且つエンジン10によりオイルポンプ34を駆動させた場合は、クラッチ22を係合状態にしたままでエンジン10の駆動を維持する。
また、ステップS4において、ECU41がクラッチオフフェールが発生していると判断した場合は(ステップS4;YES)、スタータ12によりエンジン10を始動させる(ステップS6)。この場合も、スタータ12によりエンジン10を始動させて、ワンウェイクラッチ23を介してオイルポンプ34を作動させる。
ここで、モータジェネレータ24にフェールが発生した場合にエンジン10を始動するための動作を、図5に示すタイムチャートに沿って説明する。
エンジン10の停止中、T0において、モータジェネレータ24にフェールが発生する。その後、T1において、アクセルペダルが踏まれるなどによりエンジン10の始動指令が発せられる。エンジン10の始動指令の発生により、図4に示すフローチャートの判断が行われ、モータジェネレータ24にフェールが発生していることから、スタータ12によるエンジン10の始動が指示され、スタータ12が通電される。
スタータ12が始動し、フライホイール210を介してクランク軸11が回転され、エンジン回転数が徐々に上昇する。エンジン回転数が所定回転数より多くなりエンジン10が始動して、T2においてエンジントルクが発生する。その後、T3においてスタータ電流は停止される。そして、T4において、エンジン回転数およびエンジントルクが安定し、オイルポンプ34が作動し、クラッチ22の油圧が上昇する。
ハイブリッド車両が駐車などで停止するとともにエンジン10が停止している場合には、オイルポンプ34が停止しているため、クラッチ22のピストン部80にはオイルポンプ34から作動油が供給されない。このため、戻りばね83の付勢力によりピストン81が多板部70から離れており、クラッチ22は解放状態となっている。このとき、変速機構35のシフト位置はニュートラルであるようにしている。また、油圧調整バルブ39は開放しておく。
ハイブリッド車両が駐車などで停止するとともにエンジン10が停止している場合にエンジン10を始動するには、モータジェネレータ24に電力を供給する。モータジェネレータ24への電力の供給により、モータジェネレータ24のロータ241が回転する。ロータ241の駆動力は、ロータケース242→ドラム25→スリーブ271→クラッチ出力軸270→トルクコンバータ32という経路を経て、オイルポンプ34に伝達される。
ここで、ロータケース242が回転しても、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23は、解放されているので、モータジェネレータ24の動力はエンジン10に伝わることはない。また、トルクコンバータ32の回転により変速機構35の変速機構入力軸33が回転するが、変速機構35のシフト位置がニュートラルであるので、変速機構35の出力軸は回転しない。
オイルポンプ34から吐出された作動油は、クラッチ22に供給される。ピストン81が多板部70側に摺動し、多板部70が軸方向に押圧されて、クラッチ22が締結される。よって、ロータ241の駆動力が、ロータケース242→多板部70→ハブ部26→入力部21という経路を経て、クランクシャフト11に伝達される。これにより、エンジン10が始動される。
エンジン10の始動後の車両発進時には、エンジン10の駆動力は、クランクシャフト11→入力部21→ハブ部26→クラッチ22→ロータケース242→ドラム25→スリーブ271→クラッチ出力軸270という経路を経て、自動変速機30に伝達される。動力が自動変速機30に伝達されることにより、オイルポンプ34が駆動されるので、作動油がクラッチ22に供給され続けて、クラッチ22の締結が維持される。そして、変速機構35のシフト位置を前進または後進とする。よって、クランクシャフト11の動力が自動変速機30から車輪に伝達されて、ハイブリッド車両が発進する。
また、ハイブリッド車両が駐車などで停止するとともにエンジン10が停止している場合には、上述のようにクラッチ22のピストン部80にはオイルポンプ34から作動油が導入されないので、クラッチ22は解放されている。
ここで、モータジェネレータ24の駆動力のみで発進する場合には、モータジェネレータ24に電力を供給する。モータジェネレータ24への電力の供給により、モータジェネレータ24のロータ241が回転する。ロータ241の駆動力は、ロータケース242→ドラム25→クラッチ出力軸270→トルクコンバータ32という経路を経て、オイルポンプ34に伝達される。
ここで、ロータケース242が回転しても、クラッチ22およびワンウェイクラッチ23は、解放されているので、モータジェネレータ24の動力はエンジン10に伝わることはない。また、油圧調整バルブ39は閉塞しておく。これにより、オイルポンプ34からの作動油はクラッチ22に供給されることはない。
トルクコンバータ32の回転に伴い変速機構35の変速機構入力軸33が回転する。そして、変速機構35のシフト位置を前進または後進とする。よって、クランクシャフト11の動力が自動変速機30から車輪に伝達されて、ハイブリッド車両が発進する。
エンジン10を停止したままモータジェネレータ24の駆動力のみで走行しているときに、エンジン10を始動する場合は、油圧調整バルブ39を開放してオイルポンプ34からの作動油をクラッチ22に供給する。クラッチ22に作動油が供給されることにより、クラッチ22が締結される。これにより、モータジェネレータ24の駆動力が、ハブ部26に伝達され、ハブ部26から入力部21を介してクランクシャフト11へ伝達される。よって、エンジン10が始動される。
エンジン10の駆動中かつ停車時においてバッテリ51の電力不足が発生した場合は、エンジン10の駆動力を用いてバッテリ51に充電するようにする。自動変速機30のシフト位置はニュートラルとなっている。エンジン10の駆動力は、ハブ部26からワンウェイクラッチ23を介してロータ241に伝達される。これにより、ロータ241が回転され、モータジェネレータ24が発電機として作動する。よって、バッテリ51が充電される。
車両走行時であって、減速中に車輪の駆動力によりモータジェネレータ24を駆動させて充電する場合、すなわちエンジン10を用いないモータジェネレータ24のみによる回生作動の場合は、車輪の駆動力は、変速機構35を伝わりオイルポンプ34に伝達される。油圧調整バルブ39は閉塞しておく。これにより、オイルポンプ34で発生した作動油はクラッチ22に供給されないので、クラッチ22は解放のまま維持される。変速機構入力軸33に連結されたドラム25が回転し、ロータ241が回転するので、モータジェネレータ24が発電機として作動し、バッテリ51が充電される。
車両走行時であって、減速中の場合に車輪の駆動力によりモータジェネレータ24を駆動させて充電すると同時にエンジンブレーキを作動させる場合は、車輪の駆動力は、自動変速機30を伝わり、オイルポンプ34に伝達される。油圧調整バルブ39は開放しておく。これにより、オイルポンプ34で発生した作動油はクラッチ22に供給され、クラッチ22は締結のまま維持される。
変速機構入力軸33に連結されたドラム25が回転し、ロータ241が回転するので、モータジェネレータ24が発電機として作動し、バッテリ51が充電される。また、ドラム25の回転がクラッチ22を介してクランクシャフト11に伝達される。よって、エンジンブレーキが作動する。
以上のように、本実施の形態に係る制御装置によれば、エンジン10の停止時にモータジェネレータ24のフェールやSOCが不十分なことによりオイルポンプ34を駆動できない場合でも、スタータ12によりエンジン10を始動することができる。エンジン10の動力はワンウェイクラッチ23を介してオイルポンプ34に伝達され、オイルポンプ34が始動することによりクラッチ22に油圧が供給される。これにより、クラッチ22を制御することができ、エンジン10の駆動中にクラッチを係合状態にすることにより、エンジンブレーキを発生させることができる。
また、エンジン10の停止時にモータジェネレータ24のフェールが発生してなく、尚且つSOCが十分である場合には、エンジン10を始動するためにモータジェネレータ24による始動とスタータ12による始動とを適宜選択することができる。
また、ECU41が、モータジェネレータ24にフェールがある、あるいはSOCは閾値未満であると判断した場合で、尚且つエンジン10によりオイルポンプ34を駆動させた場合は、クラッチ22を係合状態にしたままでエンジン10の駆動を維持する。クラッチ22によりエンジン10とモータジェネレータ24とを接続しているので、ワンウェイクラッチ23を小型化できるとともに、エンジンブレーキを利用することができる。
また、本実施の形態に係る制御装置によれば、エンジン10の停止時にSOCが不十分なことによりオイルポンプ34を駆動できない場合にも、スタータ12によりエンジン10を始動することができる。このため、エンジン10の始動時のSOC低下によるバッテリ51の劣化を防止することができる。
上述した本実施の形態の制御装置においては、ECU41がクラッチオフフェールが発生していると判断した場合は、スタータ12によりエンジン10を始動させる。しかしながら、本発明に係る制御装置においては、これに限られず、クラッチオフフェールの発生の有無は判断しなくてもよい。
また、本実施の形態の制御装置においては、クラッチ22とワンウェイクラッチ23とはロータ241の内周部で並設した構成としている。しかしながら、本発明に係る制御装置においては、これに限られず、クラッチ22とワンウェイクラッチ23とはロータ241の内周部で軸方向にオーバーラップした構成であってもよい。また、本発明に係る制御装置においては、本実施の形態の制御装置で示したクラッチ22やワンウェイクラッチ23などの構成に限られないのは勿論である。
以上のように、本発明に係る制御装置は、何らかの理由で電動機によりオイルポンプを作動できずクラッチが解放状態であっても、エンジンによりオイルポンプを作動させてクラッチを制御できるという効果を奏するものであり、ハイブリッド車両の制御装置に有用である。