JP4872177B2 - 熱硬化性樹脂組成物の製造方法および半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、加熱硬化後の製品において、機械的強度や信頼性を損なうことなく外観不良が少ない高性能の熱硬化性樹脂組成物の製造方法に関する。さらに言えば、高性能の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法およびそれから得られる半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱硬化性樹脂は、その機械的強度の向上等のため無機充填材と混合した熱硬化性樹脂組成物とすることがよく行われるが、この場合、無機充填材を熱硬化性樹脂に添加させた場合の無機充填材と樹脂の界面の強度向上のためにカップリング処理を行うことが一般的である。無機充填材など各種充填材料へのカップリング剤の処理方法は、湿式法と乾式法に大別され、処理される量、充填材の種類、製造プロセス、使用目的に応じて選択される。
【0003】
湿式法は、カップリング剤の希薄溶液中に充填材を含浸処理させる方法であり、スラリー化された状態で処理が行われることを特徴とする。この方法では精度の良い処理が可能であり、特に製造工程中にスラリー化を含む充填材への適用、あるいは小スケールの処理に適している。スラリー状態で処理が行われた充填材は、フィルタープレス、遠心分離等の手段により溶液から分離され、最終的に加熱乾燥されて処理は完結する。しかしながら、この乾燥工程において充填材の凝集が発生するという問題があり、再粉砕等の処理が行われることもある(シリコーンハンドブック、71p.(1990)日刊工業新聞社)。
【0004】
一方、乾式法では、乾燥状態の充填材中へカップリング剤、またはその溶液をスプレー等の手段により導入処理する方法で、大量スケールの処理に適している。充填材の攪拌には、ヘンシェル型等のミキサー類、あるいは、ブレンダー類が用いられる。この方法においても120〜130℃で水分や溶剤などの揮発性有機化合物を除去するのが一般的である(東レ・ダウコーニング・シリコーン技術資料No.Z003(2000))。しかしながらこの方法では、局部的にカップリング剤の付着が多い部分が起こりがちで、カップリング剤同士の縮合反応起因による無機充填材の凝集を防止することは困難である。このような凝集体の中にはカップリング剤の未反応のアルコキシ基が残存している。
【0005】
すなわち、従来のカップリング処理を行った無機充填材を用いた熱硬化性樹脂組成物では、硬化後の製品にてボイドによる外観不良が起こりやすい。これは、カップリング処理にて生成された凝集物により流動異常が生じたり、未反応アルコキシ基からの副生アルコールの気化などが主な原因である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、加熱硬化後の製品においてボイド等の外観不良が少ない高性能の熱硬化性樹脂組成物の製造方法に関するもので、特に、高性能の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法およびそれから得られる高性能の半導体装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、以下の構成を有する。すなわち、
(1)無機充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物の製造方法において、無機充填材とカップリング剤との混合物である第1の組成物の温度が15〜30℃となるように無機充填材とカップリング剤を混合した後に第1の組成物の加熱処理を行わずに、第1の組成物と熱硬化性樹脂との混合物である第2の組成物の温度が15〜30℃となるように第1の組成物と熱硬化性樹脂を混合し、さらに第2の組成物を熱硬化性樹脂が溶融状態となる温度で混練することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の製造方法、
(2)第1の組成物の温度と第2の組成物の温度が実質的に同じ温度で行うことを特徴とする前記(1)に記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法、
(3)熱硬化性樹脂組成物が半導体封止用であることを特徴とする前記(1)または(2)のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法、
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法により得られた熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体装置、
である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における熱硬化性樹脂とは、一旦硬化すると加熱しても溶融しない樹脂を意味する。例えばフェノール樹脂やユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の、一般的な熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0009】
本発明では、40℃以下で無機充填材にカップリング剤をできる限り分散させ、その後に同じく40℃以下で前記混合物と熱硬化性樹脂(その他の成分も同時に混合してもかまわない)とを混合するが、これらの段階ではカップリング剤のアルコキシ基の反応をできる限り抑制するのが目的である。次にその他の成分も混合した後の熱硬化性樹脂組成物を溶融状態で混練して、この段階でカップリング剤のアルコキシ基の反応をできる限り進行させるものである。ここで、無機充填材とは公知の無機充填材が使用できるが、具体的にはガラス、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、アルミニウム、アスベスト、二酸化チタン、亜鉛華、グラファイト、カーボン、ボロンなどが挙げられる。
【0010】
また本発明におけるカップリング剤とは、シラン系のカップリング剤、チタネート系のカップリング剤、アルミネート系のカップリング剤などを意味する。シラン系のカップリング剤の具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。チタネート系のカップリング剤の具体例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネートなどが挙げられる。アルミネート系のカップリング剤の具体例としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0011】
以下、本発明の形態を、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を1例に挙げて具体的に説明するが、これは本発明の熱硬化性樹脂組成物の製造方法が半導体封止用のエポキシ樹脂組成物の製造に好適に用いられるからであって、特にこれに限定されるものではない。
【0012】
一般的に半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、充填材を主成分としている。以下、各成分について説明する。
【0013】
本発明の半導体封止用樹脂組成物においてエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、具体例としてはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラエチルビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラブチルビフェニルなどのビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェノール骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、1,5−ジ(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、1,6−ジ(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂などのナフタレン型エポキシ樹脂、3−t−ブチル−2,4’−ジヒドロキシ−3’,5’,6−トリメチルスチルベンのジグリシジルエーテル、3−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシ−3’,5,5’−トリメチルスチルベンのジグリシジルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルスチルベンのジグリシジルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−6,6’−ジメチルスチルベンのジグリシジルエーテルなどのスチルベン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、1,4−ビス(3−メチル−4ヒドロキシクミル)ベンゼンのジグリシジルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルのジグリシジルエーテル、2,2−ジメチル−5,5’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスフィドなどのビスフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、鎖状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂およびハロゲン化エポキシ樹脂などが挙げられる。特に近年要求が強い半田耐熱性の点からはクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などが好ましく、エポキシ当量500以下、特に300以下のエポキシ樹脂が好ましい。なかでも低吸水性、高密着性の4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ビフェニルやこれらの混合物などがより好ましい。前記エポキシ樹脂は2種以上を併用することもできる。エポキシ樹脂の配合量は、全樹脂組成物に対して通常2.5〜5.0重量%である。
【0014】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、エポキシ樹脂を硬化させるために硬化剤を用いる。その種類はエポキシ樹脂と反応して硬化させるものであれば特に限定されず、それらの具体例としては、例えばフェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのノボラック樹脂、ビスフェノールAなどのビスフェノール化合物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物およびメタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミンなどが挙げられる。なかでも、半導体装置封止用としては、耐熱性、耐湿性および保存性に優れる点から、フェノール性水酸基を有する硬化剤が好ましい。フェノール性水酸基を有する硬化剤の具体例としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂などのノボラック樹脂、トリス(ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,2−トリス(ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(ヒドロキシフェニル)プロパン、テルペンとフェノールの縮合化合物、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂などが挙げられる。なかでも、フェノールアラルキル樹脂、フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールアラルキル樹脂が好ましい。また、これらは2種類以上併用しても良い。硬化剤の配合量は、全樹脂組成物に対して通常2.5〜5.0重量%である。さらには、エポキシ樹脂と硬化剤の配合比は、機械的性質および耐湿性の点からエポキシ樹脂に対する硬化剤の化学当量比が0.5〜2.0、特に0.6〜1.5の範囲にあることが好ましい。
【0015】
また、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物にはエポキシ樹脂と硬化剤の硬化反応を促進するため硬化促進剤を用いるのが一般的である。硬化促進剤は硬化反応を促進するものであれば特に限定されず、例えば2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどのイミダゾール化合物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルベンジルメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物およびそれらの塩、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、テトラキス(アセチルアセトナト)ジルコニウム、トリ(アセチルアセトナト)アルミニウムなどの有機金属化合物およびトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物およびそれらの塩などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、用途によっては二種以上を併用してもよく、その添加量はエポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が望ましい。
【0016】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物に用いる無機充填材は特に限定されず、具体的には前述のものが挙げられるが、結晶シリカや溶融シリカを用いることが好ましい。形状は破砕状でも球状でも特に限定されないが、球状の場合、平均粒径(メディアン径)は10〜30μm、破砕状の場合、平均粒径(メディアン径)は2〜30μmが好ましい。一般に充填材の割合が大きくなるにつれて流動性などの成形性は悪化するが、球状の充填材を使用することにより流動性の悪化をより抑えることができる。用途によっては2種類以上の充填材を併用することができ、併用する充填材としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、マグネシア、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、アスベスト、ガラス繊維などが挙げられる。
【0017】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物におけるシランカップリング剤としては、特に限定されず、前述の公知のシランカップリング剤を用いることができる。なかでも好ましく用いられるシランカップリング剤の具体例としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、用途によっては2種類以上を添加してもよい。シランカップリング剤の添加量はシランカップリング剤から計算される最小被覆面積に基づくのが一般的であるが、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物においては、全樹脂組成物に対して0.2〜1.5重量%が好ましく、0.3〜0.7重量%がさらに好ましい。
【0018】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物には、カーボンブラック、酸化鉄などの着色剤、シリコーンゴム、スチレン系ブロック共重合体、オレフィン系重合体、変性ニトリルゴム、変性ポリブタジエンゴムなどのエラストマー、および有機過酸化物などの架橋剤を任意に添加することができる。
【0019】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法は、無機充填材をシランカップリング処理する方法としての、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、その他の各種添加剤、そして無機充填材などの原料を混合するプリブレンド工程と、引き続いて溶融混練する溶融ブレンド工程からなる。プリブレンド工程では、例えばヘンシェル、レディゲ、ナウター、ボールなどの一般的なミキサー装置が用いられるが、なかでも遠心回転型の装置が好ましい。
【0020】
本発明では、プリブレンド工程での各種配合成分の混合順序は以下のような順序で行う。まず無機充填材、例えばシリカの凝集物を攪拌により微分散させ、次にシリカにニートまたは溶剤に希釈したシランカップリング剤をスプレーなどにより噴霧させ、その後に熱硬化性樹脂などの樹脂成分(エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、添加剤など)を混合する。シランカップリング剤を希釈するための溶剤は必須でないが、種類として常圧での沸点が100℃以下のもの、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどを用いても良い。プリブレンドでの混合温度は、シリカとカップリング剤の混合およびその後の樹脂成分との混合のどちらも組成物の温度を40℃以下に抑えることが重要である。40℃を越えるとシランカップリング剤同士の縮合反応が促進され、それに伴いシランカップリング剤がバインダーとなってシリカの凝集体が増加する。そのため好ましくは15〜40℃であり、さらに好ましくは15〜30℃である。さらには、シリカとカップリング剤の混合における組成物の温度とその後の樹脂成分との混合における組成物の温度が実質的に同じ温度であることが好ましい。実質的に同じ温度とは、シリカとカップリング剤の混合における組成物の温度とその後の樹脂成分との混合における組成物の温度差が±5℃の範囲内であるこという。プリブレンドの時間は、例えば回分式一軸ミキサー、一回の処理量が20〜1000kg、攪拌羽根回転数500〜3000rpmの場合、無機充填材とカップリング剤の攪拌混合は3〜20分、樹脂成分まで含めたプリブレンド工程全体では20〜120分で攪拌混合するのが好ましい。20分未満では微分散しきれず、また120分を越えると生産性が低下するので好ましくない。
【0021】
溶融ブレンド工程では、例えばバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機およびコニーダーなどの公知の混練装置を用いて原料を混練機に連続的に供給して溶融混練することにより製造できる。溶融混練温度は、エポキシ樹脂の硬化反応が抑制できる範囲であればよい。具体的には、120℃以下、好ましくは110℃以下である。溶融混練機内での平均滞留時間は2〜20分、好ましくは3〜10分である。
【0022】
溶融混練後は冷却、粉砕し通常はタブレット化するが、粉末のままでも良い。またペレット化したものでもよく、その形態は問わない。得られた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体装置を作製する。
【0023】
ここで半導体装置とは、トランジスタやダイオード、抵抗、コンデンサーなどを半導体チップや基板の上に集積し配線して作った電子回路(集積回路)を樹脂組成物により封止した電子部品を指す。本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて半導体チップからなる半導体素子を封止することによって半導体装置を得ることができる。
【0024】
半導体装置の製造方法としては、例えば、半導体素子をリードフレームに固定した状態で、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を、例えば120〜250℃、好ましくは150〜200℃の温度で、トランスファー成形、インジェクション成形、注型法などの公知の方法で成形する。これによりエポキシ樹脂組成物の硬化物によって封止された半導体装置が製造される。また必要に応じて追加熱処理(例えば、150〜200℃、2〜16時間)を行うことができる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
【0026】
<実施例1、3、参考例2、4、比較例1および2>
表1に示した成分を、表1に示した組成比(重量比)で処理量50kgをヘンシェルミキサー(三井三池化工機株式会社製、型式FM150E、回転数1460rpm)によりプリブレンドした。シランカップリング処理に関してはスプレーを用いて噴霧させた。プリブレンド混合温度(シリカとカップリング剤の混合における組成物の温度、その後の樹脂成分との混合における組成物の温度)、時間に関しては表2に示したとおりに行った。尚、プリブレンド混合温度はヘンシェルミキサーに取り付けられた熱電対により測定され、温度調整はジャケットの水温および水量により行った。これらを、2インチ二軸押出機を用いて溶融混練温度90℃、平均滞留時間5分で溶融混練後、冷却・粉砕して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を製造した。尚、溶融混練温度は、赤外放射温度計により測定した。
【0027】
【表1】
【0028】
これらの組成物を用いて、低圧トランスファー成形機により成形圧力7MPa、175℃×90秒の条件で成形して半導体装置を得た。また、以下の方法により各種評価を行い、結果を表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】
ボイド評価は、10mm角、厚み0.3mmのシリコンチップを搭載した176pin−LQFPを上記成形条件にて20個成形した後、外部ボイドの有無を顕微鏡で調べ、外形0.2mm以上の外部ボイドがあったパッケージを不良パッケージとし、不良率(パッケージ20個中の不良パッケージ個数)で表した。
【0031】
曲げ強度は、上記組成物をトランスファー成形法により成形し、直方体状の成形体(幅12.8mm、長さ128mm、厚さ6.5mm)を得た後、175℃で6時間ポストキュアしてから室温で測定した。測定方法は、JIS K6911に従って行った。
【0032】
耐湿信頼性は、上記成形条件にてトランスファー成形法により、腐食テスト用アルミ配線を施してある模擬半導体素子を取り付けた44pin−QFPを成形した後、175℃で6時間ポストキュアしてから121℃/100%RHで不良に関する特性寿命を調べた。特性寿命の測定方法としては、アルミ配線の腐食による抵抗値の変化を調べ、初期抵抗の2倍に増えた場合に不良デバイスとした。16個のデバイスで試験をして、個数基準で63%の不良率に達した時間を特性寿命とした。
【0033】
表2に見られるように、実施例1、3の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、比較例1および2に対して、曲げ強度が表2の製造条件で殆ど差がないことや耐湿信頼性もすべて500時間以上で実用上問題なく、さらに外部ボイド不良率のみが非常に低くなっており、明らかに比較例1および2よりも優れていることが分かる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、以上のような構成により、加熱硬化後の製品において、機械的強度や信頼性を損なうことなく外観不良が少ない高性能の熱硬化性樹脂組成物を製造することができる。また、本発明によって得られた半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いて封止した半導体装置は外観不良も少なく好適である。
Claims (4)
- 無機充填材を含有する熱硬化性樹脂組成物の製造方法において、無機充填材とカップリング剤との混合物である第1の組成物の温度が15〜30℃となるように無機充填材とカップリング剤を混合した後に第1の組成物の加熱処理を行わずに、第1の組成物と熱硬化性樹脂との混合物である第2の組成物の温度が15〜30℃となるように第1の組成物と熱硬化性樹脂を混合し、さらに第2の組成物を熱硬化性樹脂が溶融状態となる温度で混練することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
- 第1の組成物の温度と第2の組成物の温度が実質的に同じ温度で行うことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
- 熱硬化性樹脂組成物が半導体封止用であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られた熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体装置。
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