JP4870787B2 - フコキサンチンおよび/またはフコステロールの製造方法 - Google Patents

フコキサンチンおよび/またはフコステロールの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フコキサンチンおよび/またはフコステロールの製造方法に関し、更に詳細には、ハバノリまたはモズクの盤状体または糸状体を原料とし、高収量のフコキサンチンおよび/またはフコステロールを得ることが可能なこれらの化合物の製造方法に関する。
褐藻類はカロテノイドの1種であるフコキサンチンやステロールの1種であるフコステロール等の機能性成分を有している。フコキサンチンは下記構造を有する既知の物質であり、その効果としては体内摂取による抗腫瘍効果(特許文献1)や神経細胞保護効果(特許文献2)、血糖値上昇抑制効果(特許文献3)等が報告されている。
Figure 0004870787
一方、フコステロールは下記構造を有する既知の物質であり、その効果としては体内摂取による抗動脈硬化作用(特許文献4)やコレステロール低減作用、血栓予防作用等が一般的に知られている。
Figure 0004870787
従来、これらフコキサンチンやフコステロールを製造するにあたっては、ナガマツモ科(Chordaceae)のオキナワモズク(Cladosiphon okamuranus)の成熟体や盤状体・糸状体が原料として使用されていた。しかしながら、成熟体におけるこれらの機能性成分の含有量は少なく、また、盤状体や糸状体でも、含有量は成熟体に比べて高いものの実用的に十分な量とはいえず、また培養も難しいという問題があった。
特開平10−158156号公報 特開2001−335480号公報 特開2007−297370号公報 特開2005−104887号公報
従って、フコキサンチンおよびフコステロールをより高収量で取得することが可能な製造方法の開発が求められており、本発明は、そのような製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究をした結果、原料の褐藻類としてカヤノモリ科(Scytosiphonaceae)のハバノリ(Petalonia binghamiae)またはモズク科(Spermatochnaceae)のモズク(Nemacystus decipiens)の盤状体または糸状体を使用すると、培養による増体量が大きく、またフコキサンチンおよびフコステロールの含有量を高め得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明はハバノリ(Petalonia binghamiae)およびモズク(Nemacystus decipiens)よりなる群から選ばれた褐藻類の盤状体または糸状体の抽出物からフコキサンチンおよび/またはフコステロールを分離することを特徴とするフコキサンチンおよび/またはフコステロールの製造方法である。
本発明の製造方法によれば、培養により、褐藻類を著しく増体させるとともに、褐藻類中のフコキサンチンおよび/またはフコステロールの含有量を高めることができるため、より経済的に高収量のフコキサンチンおよび/またはフコステロールを製造することが可能である。
本発明においては、原料の褐藻類として、カヤノモリ科(Scytosiphonaceae)のハバノリ(Petalonia binghamiae)またはモズク科(Spermatochnaceae)のモズク(Nemacystus decipiens)が用いられる。また、これらの褐藻類は、成熟体から遊走子の放出、遊走子から盤状体または糸状体の発生、盤状体または糸状体の着床による直立体の形成、直立体から成熟体への成長という生育サイクルのうちの、盤状体または糸状体を用いる。なお、盤状体または糸状体は、上記生育サイクルのうちの遊走子と直立体の中間に位置するものであり、別名で呼ばれることもがあるが、本発明においてはこれらの何れも含む。
上記盤状体または糸状体は、天然由来のものであってもよいが、人工的に培養されたものを使用することが好ましく、特に盤状体または糸状体の種苗を直立体を形成させない条件で培養、増加されたものを利用することにより、多量に盤状体または糸状体を得ることができるので好ましい。
上記の直立体を形成させない条件での培養は、褐藻類の盤状体または糸状体の種苗を、培養容器へ着床させない条件で培養することにより行われ、例えば、連続攪拌培養したり、着床しにくい材料で形成した培養容器中で培養すれば良い。
より具体的には、連続攪拌により直立体を形成させずに培養する場合は、攪拌子や攪拌機による機械攪拌や、通気等による攪拌を行い、培養液全体を攪拌しながら培養すれば良い。攪拌条件は容器の大きさ等により適宜変化するが、例えば、培養容器として1Lの容量の平底フラスコを用い、通気による攪拌を行う場合には、培養容器内に空気を1.0L/分〜2.5L/分、好ましくは1.5L/分〜2.3L/分で導入すれば良い。
上記培養の際に用いる培養液は、褐藻類の盤状体または糸状体を培養することができるものであれば特に制限されないが、滅菌された人工海水または海水に、窒素源およびリン源等の栄養成分を含有したものであることが好ましい。窒素源としては、硝酸塩、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩、尿酸等が例示できる。このうち、褐藻類中のフコキサンチンおよびフコステロールの含有量を向上できるため、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩を添加することが好ましい。リン源としては、グリセロリン酸2ナトリウム、β−グリセロリン酸ナトリウム等の有機リン酸塩、リン酸3ナトリウム、リン酸3カリウム等の無機リン酸塩が例示できる。これらのうち、無機リン酸塩がフコキサンチンおよびフコステロールの含有量を向上できるため好ましい。窒素源の添加量は、窒素が好ましくは400〜1600μM、より好ましくは700〜900μMとなる量である。一方、リン源の添加量は、リンが好ましくは15〜60μM、より好ましくは20〜40μMとなる量である。培地中に添加可能なその他の栄養成分としては、ビタミンB12、ビオチン、チアミンが例示できる。これらの栄養成分を含有する培養液として、例えば公知のPESI培地(Masakazu Tatewaki、Formation of a crustaceous sporophyte with unilocular sporangia in Scytosiphon lomentaria、Phycologia
6(1)1966.)等を使用することができ、また、KW−21(第一製網製)の商品名で市販されている藻類培養液を用いることもできる。これらの培養液を窒素源およびリン源が上記濃度となるよう添加すれば良い。
また、この培養は恒温条件下で行うことが好ましい。ハバノリは、通常12〜29℃、好ましくは15〜25℃、より好ましくは20〜25℃の温度である。一方、モズクは、通常12〜30℃、好ましくは15〜30℃、より好ましくは15〜25℃である。この範囲であると、増体量が大きく、またフコキサンチンおよびフコステロールの含有量が高くなる。
更に、この培養は光照射条件下で行うことが好ましい。ハバノリは、好ましくは10〜160μmol・m−2・s−1であり、より好ましくは20〜80μmol・m−2・s−1である。一方、モズクは、好ましくは10〜160μmol・m−2・s−1であり、より好ましくは10〜80μmol・m−2・s−1である。この範囲であると、増体量が大きく、またフキキサンチンおよびフコステロールの含有量が高くなる。このような光量により、8L:16D〜24L:0D、好ましくは12L:12D〜16L:8Dの光周期で照射を行えば良い。
上記した培養方法により、褐藻類の盤状体または糸状体のみを繰り返し、増殖させて培養することができる。なお、盤状体または糸状体は、培養容器中に着床すると、すぐに直立体を形成し、成熟体にまで成長してしまうので、盤状体または糸状体を着床させることは盤状体または糸状体を多く得るためには適さない。
上記の培養方法に使用する褐藻類の盤状体または糸状体の種苗は、天然から採取してもよいが、例えば、次のようにして得ることもできる。すなわち、まず、単子嚢を形成していない母藻を数本程度と、盤状体または糸状体が着床することのできる着床担体とを共に滅菌海水に入れ、恒温条件で培養し、遊走子から変化した盤状体または糸状体を着床担体に着床させる。
ここで着床担体としては、ガラス、アクリル、プラスチック、ポリカーボネート、繊維、岩石、砂等が好ましく、特にガラス板(スライドガラス)、アクリル板が好ましい。また、滅菌海水は海水または人工海水をオートクレーブあるいはろ過することにより得られる。この滅菌海水には、上記盤状体または糸状体の培養と同様に栄養成分を適宜添加することができる。
盤状体または糸状体が着床担体に着床するまでの培養は、上記盤状体または糸状体の培養と同様の条件で行えば良い。また、前記培養と同時に、盤状体または糸状体が着床担体に着床できる程度に通気等の攪拌を行っても良い。
次いで、盤状体または糸状体が着床した着床担体を取りだし、滅菌海水で洗浄した後、上記盤状体または糸状体の培養と同様の条件で再度培養する。
上記盤状体または糸状体が着床した着床担体の培養においては、培養2、3日後から1日おきに平筆よる洗浄を行う。この洗浄に用いる水としては、滅菌海水および水道水が使用されるが、水道水での洗浄は10秒以内で行うことが好ましい。
上記盤状体または糸状体が着床した着床担体の培養開始後8日〜10日の十分に成長した盤状体または糸状体を、検鏡(100倍)により雑藻の少ない部分を選んで掻き取って盤状体または糸状体の種苗とすることができる。また、必要により上記で掻き取った盤状体または糸状体を試験管に入れて滅菌海水を使用して3回程度ピペッティングで洗浄し、その後、寒天平板(海水に0.5〜10%の寒天と0.01〜10%の栄養成分(藻類培養液)を添加した寒天培地)に塗りつけて、温度15〜35℃、好ましくは20〜30℃、10〜160μmol・m−2・s−1、好ましくは10〜80μmol・m−2・s−1、光周期8L:16D〜24L:0D、好ましくは12L:12D〜24L:0Dの条件下で培養しても良い。この培養から20〜30日後、寒天平板に増殖してきた盤状体または糸状体のうち、雑藻が混入していないコロニーを選択し、これを掻き取って盤状体または糸状体の種苗とすることができる。
一方、盤状体または糸状体から、フコキサンチンおよび/またはフコステロールを抽出するために使用される溶媒は、フコキサンチンおよび/またはフコステロールを抽出することのできるものであれば特に制限されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン等の芳香属炭化水素類、クロロホルム等のハロゲン系有機溶媒、もしくはこれらの混合溶媒が好ましく、フコキサンチンおよび/またはフコステロールが食品等にも使用されることからエタノールもしくは含水エタノールがより好ましい。含水エタノールは、エタノール:水の混合比が50:1〜1:1、好ましくは10:1〜2:1(質量比)の範囲である。含水エタノールを用いると、クロロフィル等の不純物の含有量が少なく、フコキサンチン等の収率を向上できるために好ましい。これらの溶媒は、盤状体または糸状体に対して4:1〜1000:1、好ましくは4:1〜200:1の質量比で添加すれば良い。
上記溶媒を用いる抽出は常法により行うことができ、例えば、溶媒としてエタノールを用いる場合であれば、15℃〜40℃、好ましくは30℃〜40℃の温度で、0.5時間〜1.5時間、好ましくは1時間〜1.5時間抽出を行えば良い。また、抽出に当たっては、必要により、超音波、攪拌機等により攪拌を行っても良い。
以上のようにして得られる有機溶媒抽出物から、フコキサンチンおよび/またはフコステロールを分離、取得するには、有機溶媒抽出物をそのまま、あるいは残渣を取り除いてからHPLC等に付し、これにより分離・精製を行えばよい。
斯くして得られるフコキサンチンおよび/またはフコステロールは上記したコレステロール低減作用や血栓予防作用を期待した各種健康食品や、抗腫瘍効果、神経細胞保護効果、血糖値上昇抑制効果等を目的とした医薬品等の用途に使用することができる。
本発明で用いるハバノリおよびモズクの糸状体等は、従来使用されているオキナワモズクと比べ、容器への附着性が弱く成熟しにくいため、容器を用いた攪拌培養を容易に行えるという利点も有する。附着性が高いと、容器壁面にコケ状に附着し、光の照射が阻害されたり、通気による攪拌培養が滞るため生産量が低下する。また、ハバノリおよびモズクの糸状体等はオキナワモズクと比べて真水に強く、夾雑物を真水処理して洗い流すことができるため培養がより容易である。
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実 施 例 1
ハバノリ糸状体の培養(1):水温の影響
下記表1の組成のPESI培養液を2%添加したろ過海水を121℃40分間オートクレーブしたものを培養液とした。この培養液900mlを1Lの平底フラスコに入れ、30μmメッシュで濾過した糸状体を市販の脱水機で6分間脱水したものを1g(乾燥重量:0.2g dry weight (以下、d.w.))加え、空気を2.3L/分で導入し、温度15、20、25、30℃の4条件により、光量80μmol・m−2・s−1、光周期12L:12D下で1週間培養した。培養後乾燥重量を測定した。
Figure 0004870787
実 施 例 2
ハバノリ糸状体の培養(2):光量の影響
実施例1と同じ組成のPESI培養液を2%添加したろ過海水を121℃40分間オートクレーブしたものを培養液とした。この培養液900mlを1Lの平底フラスコに入れ、30μmメッシュで濾過した糸状体を市販の脱水機で6分間脱水したものを1g(乾燥重量:0.2g d.w)加え、空気を2.3L/分で導入し、光量10、20、40、80、160μmol・m−2・s−1、水温25℃、光周期12L:12D下で1週間培養した。培養後乾燥重量を測定した。
実 施 例 3
ハバノリ糸状体の培養(3):培養液組成の影響
実施例1と同じ組成および濃度のPESI培養液(試験区1)と、この組成において窒素源を硝酸ナトリウムから硫酸アンモニウムに代えたもの(試験区2)、リン源をグリセロリン酸2ナトリウムからリン酸3ナトリウムに代えたもの(試験区3)、窒素、リン源ともに硫酸アンモニウム、リン酸3ナトリウムに代えたもの(試験区4)、の4種類の培養液を作成した。培養液900mlをそれぞれ1Lの平底フラスコに入れ、30μmメッシュで濾過した糸状体を市販の脱水機で6分間脱水したものを1g(乾燥重量:0.2g d.w)加え、空気を2.3L/分で導入し、水温25℃、光量80μmol・m−2・s−1、光周期12L:12D下で1週間培養した。培養後乾燥重量を測定した。
実 施 例 4
ハバノリ糸状体からのフコキサンチンおよびフコステロールの製造:
(フコキサンチンおよびフコステロールの抽出)
実施例1ないし3で得られたハバノリ糸状体を凍結乾燥し、200倍容のメタノールにて40℃で1時間抽出を行なった。抽出液は残渣を除去した後、減圧下にて溶媒を留去し、残留物を一定量のメタノールに再溶解し、分析用サンプルとした。下記方法により、フコキサンチンおよびフコステロールを測定した。結果を乾燥重量と併せて表2に示す。
(フコキサンチンの定量方法)
フコキサンチンはHPLCにより定量を行った。カラムはCOSMOSIL 5C22−AR−II(ナカライテスク製、内径4.6x250mm)を用い、移動相はアセトニトリル/水の混合液(80:20)を用いた。フコキサンチンの検出は波長450nmの吸収で行い、流速は1.5ml/minで分析を行った。
(フコステロールの定量方法)
フコステロールはGC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析装置)により定量を行った。カラムはJ&W社製DB−5MS(内径0.25mmx30m、膜厚0.25m)を用い、キャリアガスとしてヘリウムを用いた。フコステロールの検出はSIMモードでフコステロール由来フラグメントイオンm/z=314で行った。
Figure 0004870787
20、25℃条件下では、培養開始時の2倍の重量となった。また検鏡の結果、糸状体が伸長していたことから、この重量の増加は糸状体の生長によるものであった。培養液中に直立体の形成は認められなかった。さらにフコキサンチン含量およびフコステロール含量は水温が高くなるほど含量が多くなった。
また、光量が強くなるほど増体量が大きく、20μmol・m−2・s−1では培養開始時の2倍、40μmol・m−2・s−1では2.5倍、80μmol・m−2・s−1では3.5倍、160μmol・m−2・s−1では4倍の重量となった。また検鏡の結果、糸状体が伸長していたことから、この重量の増加は糸状体の生長によるものであった。培養液中に直立体の形成は認められなかった。フコキサンチン含量については、極端に光量の強い160μmol・m−2・s−1で含量が少なくなった。
さらに培養液の組成については、試験区1で0.56g d.w.、試験区2で0.64g d.w.、試験区3で0.57g d.w.、試験区4で0.56g d.w.となり、全ての条件で約3倍の重量となった。また検鏡の結果、糸状体が伸長していたことから、この重量の増加は糸状体の生長によるものであった。培養液中に直立体の形成は認められなかった。さらにフコキサンチン含量について、試験区1では2.31mg/g d.w.であるのに対し、試験区2で3.20mg/g d.w、試験区3で3.85mg/g d.w.、試験区4で4.53mg/g d.w.となり、窒素源、リン源として硫酸アンモニウム、リン酸3ナトリウムを用いると、相加的に含量が多くなった。フコステロール含量は試験区1で2.68mg/g d.w.、試験区2で3.07mg/g d.w.、試験区3で3.22mg/g d.w.、試験区4で3.80mg/g d.w.となり、窒素源、リン源として硫酸アンモニウム、リン酸3ナトリウムを用いると、相加的に含量が多くなった。
実 施 例 5
モズク糸状体の培養(1):水温の影響
実施例1の組成のPESI培養液を2%添加したろ過海水を121℃40分間オートクレーブしたものを培養液とした。この培養液900mlを1Lの平底フラスコに入れ、30μmメッシュで濾過した糸状体を市販の脱水機で6分間脱水したものを1g(乾燥重量:0.2 g d.w.)加え、空気を2.3L/分で導入し、温度15、20、25、30℃の4条件、それ以外の条件として光量80μmol・m−2・s−1、光周期12L:12D下で1週間培養した。培養後、乾燥重量を測定した。
実 施 例 6
モズク糸状体の培養(2):光量の影響
実施例1の組成のPESI培養液を2%添加したろ過海水を121℃40分間オートクレーブしたものを培養液とした。この培養液900mlを1Lの平底フラスコに入れ、30μmメッシュで濾過した糸状体を市販の脱水機で6分間脱水したものを1g(乾燥重量:0.2 g d.w)加え、空気を2.3L/分で導入し、光量0、10、20、40、80、160μmol・m−2・s−1、それ以外の条件として水温25℃、光周期12L:12D下で1週間培養した。培養後、乾燥重量を測定した。
実 施 例 7
モズク糸状体の培養(3):培養液組成の影響
実施例1と同じ組成・濃度のPESI培養液(試験区1)と、組成中の窒素源を硝酸ナトリウムから硫酸アンモニウムに代えたもの(試験区2)、リン源をグリセロリン酸2ナトリウムからリン酸3ナトリウムに代えたもの(試験区3)、窒素、リン源ともに硫酸アンモニウム、リン酸3ナトリウムに代えたもの(試験区4)、の4種類の培養液を作成した。作成した培養液900mlをそれぞれ1Lの平底フラスコに入れ、30μmメッシュで濾過した糸状体を市販の脱水機で6分間脱水したものを1g(乾燥重量:0.2g d.w)加え、空気を2.3L/分で導入し、水温25℃、光量80μmol・m−2・s−1、光周期12L:12D下で1週間培養した。培養後乾燥重量を測定した。
実 施 例 8
モズク糸状体からのフコキサンチンおよびフコステロールの製造:
(フコキサンチンおよびフコステロールの抽出)
実施例5ないし7で得られたモズク糸状体を凍結乾燥し、200倍容のメタノールにて40℃で1時間抽出を行なった。抽出液は残渣を除去した後、減圧下にて溶媒を留去し、残留物を一定量のメタノールに再溶解し、分析用サンプルとした。実施例4と同様の方法により、フコキサンチンおよびフコステロールを測定した。結果を乾燥重量と併せて表3に示す。
Figure 0004870787
水温について、1週間培養後、15℃で0.39g d.w.、20℃で0.53g d.w.、25℃で0.58g d.w.、30℃で0.55g d.w.となり、15℃以外の水温で約2.8倍の増重が認められた。また検鏡の結果、糸状体が伸長していたことから、この重量の増加は糸状体の生長によるものであった。培養液中に直立体の形成は認められなかった。またフコキサンチン含量およびフコステロール含量は水温が低くなるほど含量が多くなった。
また光量が強くなるほど増重した。20μmol・m−2・s−1では培養開始時の2.3倍、40μmol・m−2・s−1では2.7倍、80μmol・m−2・s−1では3倍、160μmol・m−2・s−1では3.1倍の重量となった。検鏡の結果、糸状体が伸長していたことから、この重量の増加は糸状体の生長によるものであった。培養液中に直立体の形成は認められなかった。さらにフコキサンチン含量およびフコステロール含量については、低光量の10μmol・m−2・s−1で含量が最も多くなった。
さらに培養液については、試験区1で0.42g d.w.、試験区2で0.45g d.w.、試験区3で0.46g d.w.、試験区4で0.50g d.w.となり、窒素源、リン源として硫酸アンモニウム、リン酸3ナトリウムを用いることにより、増体量が大きくなった。また検鏡の結果、糸状体が伸長していたことから、この重量の増加は糸状体の生長によるものであった。培養液中に直立体の形成は認められなかった。さらにフコキサンチン含量について、試験区1では0.34mg/g d.w.であるのに対し、試験区2で0.94mg/g d.w.、試験区3で1.31mg/g d.w.、試験区4で0.86mg/g d.w.となり、リン源をリン酸3ナトリウムに代えたもので含量が最も多くなった。フコステロール含量は試験区1では0.44mg/g d.w.であるのに対し、試験区2で1.24mg/g d.w.、試験区3で1.01mg/g d.w.、試験区4で1.03mg/g d.w.となり、窒素源、リン源として硫酸アンモニウム、リン酸3ナトリウムを用いると含量が多くなった。
比 較 例 1
オキナワモズク糸状体の培養:光量の影響
実施例1の組成のPESI培養液を2%添加したろ過海水を121℃40分間オートクレーブしたものを培養液とした。この培養液900mlを1Lの平底フラスコに入れ、30μmメッシュで濾過した糸状体を市販の脱水機で6分間脱水したものを1g(乾燥重量:0.13g d.w)加え、空気を2.3L/分で導入し、光量0、10、20、40、80、160μmol・m−2・s−1、それ以外の条件として水温25℃、光周期12L:12D下で1週間培養した。培養後、乾燥重量を測定した。
Figure 0004870787
増体量は最大でも2.5倍にとどまり、ハバノリやモズクと比べて小さいものであった。
本発明によれば、褐藻類からフコキサンチンおよびフコステロールを高収量で得ることができるため、健康食品や医薬品等に用いる原料の製造方法として極めて有用である。
以 上

Claims (2)

  1. ハバノリ(Petalonia binghamiae)の盤状体種苗または糸状体種苗を、硫酸アンモニウムを400〜1600μMおよびリン酸3ナトリウムまたはリン酸3カリウム15〜60μM含有する培養液で、直立体を形成させない条件、かつ20〜25℃の温度条件下および20〜80μmol・m −2 ・s −1 の光照射条件下で培養、増加させて盤状体または糸状体を得、前記盤状体または糸状体の抽出物からフコキサンチンおよび/またはフコステロールを分離することを特徴とするフコキサンチンおよび/またはフコステロールの製造方法。
  2. 培養が、通気による攪拌により行われるものである請求項第1項記載のフコキサンチンおよび/またはフコステロールの製造方法。
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