JP4868429B2 - 厚層基材吹付工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は厚層基材吹付工法に係り、詳しくは、土砂斜面や砂質等の地肌であって安定しにくい土質の法面に厚層基材を吹きつけ、傾斜地の安定が図られると共に緑化も促進できるようにした厚層基材吹付工法に関するものである。
【0002】
最近の緑化工には、天然素材が使用され環境の自然バランスを乱さないもの、さらには早期に自然景観を復元できるものが求められている。例えば凹凸が激しく痩せた地質の傾斜地等の緑化では、バーク堆肥などの厚層基材をショットガン等によって吹きつける工法が主流となっている。
【0003】
これは、特開平9−242078号公報にも紹介されているように、法面上に予めネットを敷設し、そのネット越しに客土を吹きつけるもので、施工実績は極めて多い。と言うのは、バーク堆肥等からなる厚層基材を吹付機によって迅速かつ均等に法面に堆積させることが、今では極めて容易に行うことができるようになっているからである。
【0004】
しかし、バーク堆肥やピートモス等の有機質材を主体とした厚層基材は気象の影響を受けやすく、またバクテリアによる消耗もあって層厚が減少し、そのたびに客土の補充が要求される。糊料を加えて地山との付着性を向上させるなどの配慮も見受けられるが、糊料はいずれ劣化する。したがって、客土が2・3年で剥離したり滑落し、地山に張った金網が現れて地肌も見え、根づきつつあった植栽を枯死させてしまったり流してしまうようなことも起こる。
【0005】
これは、金網を単に厚層基材の垂れ防止として機能させているにすぎないからである。このような難点を少しでも解消しようとする一つの例が、特開平10−96239号公報に記載されている。それは厚層基材を吹きつける金網の周囲に枠体を設けたもので、公知の法枠工法のように厚層基材の滑り止めをしようとするものである。
【0006】
このような枠体付きネットは、例えば2×4メートル広さの金網が圧力調整可能なフレキシブルパイプで囲繞されている。金網は高分子材料等で被覆された鋼線からなって柔軟性の高いものが採用され、各縁辺においては樹脂またはゴム製のフレキシブルパイプを金網で巻き込み一体としている。
【0007】
この種の金網はラスなどとは異なって面変形自在で地肌に馴染ませやすく、フレキシブルパイプは内圧を弱めるなど適宜圧力調整すればネット縁辺も地山の凹凸に沿わせやすくなる。このようなネットを多数法面に配置してロックアンカーで固定すれば、ネット上に吹きつけられた厚層基材は枠体で滑り落ちが阻止される。ネットは厚層基材である植栽材と絡み合い、植栽材の法面への定着性が上がるだけでなく生育途上の草木の植根を絡ませやすくもなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の例では枠体があるとはいえ、地肌と厚層基材との間にあるのは金網だけである。厚層基材にはパーライトやバーミキュライトといった保水材を混入しておくことが多いが、厚層基材に浸透した雨水が地肌に到達することは避けられない。
【0009】
地肌が砂質や凝集力の低い土質の場合、施工直後に降水量が多いと浸蝕や穿掘が激しくなる。また表層の蓄水能力を超える降水があると、簡単に表層崩れを起こす。いずれにしても、厚層基材に混入させた牧草種にしても野草種にしても植根が表層を越えて伸び地山にしっかり根づくまでは、厚層基材は下支えを失いやすく、流亡の不安は解消し得ない。
【0010】
加えて、上記したように、厚層基材の滑り落ちを防止する枠体を金網1枚ごとに形成しておくことは、金網の製作に手間を要して高騰をきたす。施工に際しては敷設位置ごとに枠体内圧の調整作業が強いられ、作業性が著しく低下するといった問題や、変化のある傾斜地に定形性・保形性の高いものを隙間なく敷設することの困難もつきまとう。
【0011】
また、枠体により厚層基材の流れ落ちを抑えることができると言っても、法面の傾斜が大きくなると枠体を高くしたり上下枠辺の間隔を短くしなければならなくなる。その場合には金網の面積は小さくせざるを得ず、結局複雑な構造の金網を多数枚必要とし、工事費用の割高感は拭いされない。
【0012】
本発明は上記の問題に鑑みなされたもので、その目的は、厚層基材を吹きつける法面の表層が砂質や崩れやすい土質であっても、地肌の浸蝕・穿掘・崩壊等の発生を可及的に抑制できること、吹きつけられた厚層基材の保持性能を高めるべく基材の付着性向上が図られること、法面保護と緑化に要する資材の総合的な低廉化と法面工事の労力負担の軽減が推し進められること、天然素材を主たる構成品として採用し自然界のバランスを崩さないようにしつつ、法面の安定を図ると共に緑化を促進できるようにすること、を実現した厚層基材吹付工法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、砂質や崩れやすい土質が表層に存する法面に厚層基材を吹きつけ、法面の安定を図ると共に緑化を促進するようにした厚層基材吹付工法に適用される。その特徴とするところは、図1および図2を参照して、ジュートが主体をなし反毛が25ないし45%混入されたフェルト素材1a,1bに、フェルト素材の段階で繊維質ネット5を挟み込みつつ、フェルト成形時にフェルト素材相互の絡みつきのみならず前記繊維質ネットとの絡みつきも図られたフェルト製マット1を法面地肌に密着させるようにして敷設する。そのフェルト製マット1をアンカーピン10で地山2に固定した後、金網を張設することなくフェルト製マット1上に厚層基材3を吹きつけるようにしたことである。
【0014】
【発明の効果】
本発明によれば、フェルト製マットを法面に敷設して地山に固定した後、その上に厚層基材を吹きつけるようにしたので、風雨を受けると崩れやすくなったり浸蝕されやすい土質の法面の安定や緑化の促進が簡単に図られる。フェルト製マットには繊維質ネットが挟み込まれているとはいえ、金属質でないのでフェルトの有する軟質感は生かされ、砂質や崩れやすい土質が表層に存する法面にも密着させるように敷設することができる。
【0015】
このフェルト製マットによれば、厚層基材を透過した雨水を吸収して地肌の浸蝕を防止する。保水性が高いので厚層基材との間での水分授受も可能となり、降水の少ない時期の表土乾燥が抑止される。厚層基材との密着性はよく、地肌に直接吹きつけた場合よりも厚層基材の定着性は格段に向上する。
【0016】
マットはフェルト製であるので植根の伸長を妨げず、マット自体が厚層基材と同じく植生床として機能し、厚層基材の吹きつけ層厚の低減に寄与する。層厚を小さくできれば植生基材の剥離や滑落の頻度が減り、傾斜の急な法面に対しても適用しやすくなる。もちろん、マットに作用する厚層基材の重量低減とマットによる荷重分散作用とがあいまって、砂質や崩れやすい土質の表層の崩壊不安を可及的に少なくすることができる。
【0017】
また、植根の伸長を阻まないマットによって草木の成長が促され、緑化の促進が図られる。厚層基材の流亡を抑止する意味での金網の敷設は必要でなく、フェルト製マットを導入すると言っても、厚層基材の吹きつけ量の低減もあって、工事用資材の大幅な低廉化が進められる。
【0018】
繊維質ネットはマットの芯材として機能し、フェルト製マットの運搬ならびに凹凸の激しい法面における敷設作業においてもマットの取り扱いが容易となる。ネットをアンカーピンで地山で固定することにより、ネットでマットを地山にしっかり押さえつけ、ネットの剥離やずれを防止できる。
【0019】
厚層基材からマットに伸びた植根は繊維質ネットにも絡み、たとえ厚層基材が薄層化することがあってもその影響を大きく受けず、マットを植生床にして草木の定着が図られる。そのマットは天然素材を主たる構成品としており、自然界のバランスを崩さないようにしつつ、法面保護と緑化を推進することができる。
【0020】
フェルト製マットはジュートが主体であり、大量かつ極めて安価に入手できると共に、マットの天然繊維化を容易にする。ジュートは保水力が低くても吸水性は高く、吹きつけられた厚層基材の付着性が高められ、施工後の厚層基材の地形への馴染みを早めることができる。
【0021】
フェルト製マットには反毛を25ないし45%混入させるので、ジュートの高い吸水性と反毛の高い保水性とが相乗作用し、ジュート単体のフェルトに比べて保水力が格段に向上する。フェルト製マットの上に厚層基材が吹きつけられることもあって、厚層基材とマットとの間での相互湿潤作用も長く持続し、植生床を草木の生育に適した環境に維持し、早期緑化を実現しやすくする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る厚層基材吹付工法について、その例を挙げて詳細に説明する。図3は厚層基材吹付用マット1の斜視図であり、例えば厚み6ミリメートル、幅2メートル、長さ15メートルといったものである。
【0023】
この厚層基材吹付用マット1は、図1に示すように、砂質や崩れやすい土質が表層2aに存する1割勾配(45度)程度までの法面2の地肌に密着して敷設され、吹きつけられた厚層基材3を安定させておくと共に、図4のように厚層基材3から発芽した草木4の生育を促進させるように作用するものである。
【0024】
その厚層基材吹付用マット1は、天然繊維であるジュートが主体のフェルトである。このフェルト製マットは図2に示すように上層1Aと下層1Bとを備え、これら層に挟み込まれたネット5とによって構成されている。しかし、単に重ねられているというものではなく、左部分に表したように、剥がしたときに見られる細かい繊維1fが相互に絡みついて一枚のマットとなっている。
【0025】
詳しく述べると、フェルトの全厚を形成する量の嵩を持った素材を所定厚みまで順次圧縮する公知の製造法とは少し違った要領で製造される。すなわち、図5に示すように、上層のための素材1aと下層のための素材1bとが個別に供給され、両層間からは繊維質ネット5を供給できるようにしておく。
【0026】
このようにフェルト素材の段階でネットを予め挟み込んでおき、その後は公知の製造法と同じく、多数の絡み付け用ニードル6,6を持ったアッパプレッサ7Uと素材支え用のロアプレッサ7Lに上下方向の離接動作を繰り返させ、所定の厚みになるまで圧縮すれば、例えば6ミリメートル厚みの重畳構造のマットを得ることができる。
【0027】
ロアプレッサ7Lは絡み付け用のニードル6の先端が貫通する孔8,8を多数有し、プレッサ相互が離反するときニードル6の先端部や中間部に形成した返り歯9により、圧縮されつつある両層のフェルト繊維が一部ひっ掻き上げられるようになっている。その際に、下層で掻き上げた繊維をネットに絡ませたり上層の繊維と絡ませるなどして、ネットを含めた三層の一体化も図られる。
【0028】
ところで、ジュート製のフェルトはシート状になっていても方向性が強くないので、地肌の凹凸に馴染せやすい。しかも天然繊維であり、いずれは朽ちるにしてもそれ以前に自然環境を乱す要因を生じない。加えて、繊維自体がストロー状であるので吸水性や一時的な蓄水力は高いという利点がある。従って、厚層基材吹きつけ直後に散水すれば厚層基材のマットに対する付着性を高め、厚層基材の凹凸のある地形への馴染みを早めることもできる。
【0029】
一方、マットの蓄水能力を越える降雨に見舞われても、余剰水の透過を阻んで地肌への浸透を抑制する作用を発揮する。その際、厚層基材の下層部では溜まり水を吸水する機会が与えられ、厚層基材に含まれる保水材にも十分水を蓄えさせることができる。
【0030】
上記のごとくジュートは吸水性がよい反面、脱水も激しい。従って保水性が低いことから例えば乾燥が続くと繊維がこわ張り、乾燥と湿潤が繰り返されるうちには草木に都合のよい軟らかい植生床に戻らなくなることがある。そこで、本発明においてはジュートを主体にして、それに反毛を混ぜたフェルトを作ることにより、その保水性の大いなる改善と軟質感の維持を図るようにしている。
【0031】
反毛は植物繊維・動物繊維・合成繊維の各種衣料を解体したとき得られる糸屑や繊維屑であり、これをジュートに混ぜてフェルトにしておくと、ジュートの利点を生かしつつ欠点をカバーする効果が発揮される。
【0032】
その効果の一つはジュートフェルトの保水力を高めることである。他の効果としては、天然繊維であるジュートが年月の経過で朽ちて形を残さなくなっても、反毛に含まれる非天然繊維によって地肌を幾分か被覆しておくことができることが挙げられる。後者の作用によれば、緑化が十分進展するまで、風雨で崩れやすかったり浸蝕されやすい表層を保護できることになる。
【0033】
最初に挙げた効果は、本発明者が見い出した現象に基づくものである。すなわち、反毛のフェルトは各種繊維の混成物であるから水に対して性質の異なる繊維が絡み合うことが多い。その結果、吸水速度はジュートのように高くないが、繊維間に一旦蓄水されると、その保水能はジュートのそれを遙に凌ぐという点に着目し、これを利用したものである。
【0034】
その意味するところは、ジュートに反毛を混ぜておくと、両者が補完するように作用して保水性を著しく向上させることである。例えば降雨量が僅かであっても、ジュートはそれを迅速にかつ可能な限り吸収する。雨が止むなどしてジュートからの脱水が始まっても、その蒸散水は反毛の繊維間に付着し、マット全体で見れば保水は持続された状態となる。
【0035】
もう少し具体的に述べると、例えば重量比でジュート80に対して反毛20を混入したフェルトの場合、ジュートのみのフェルトマットに比べて、その保水力は30%アップする。このアップ率は数字そのものだけの意味ではなく、後述するように厚層基材でマットを覆うことによって、数字以上の保水能を発揮することになる。
【0036】
先ず、フェルトのジュートが雨水を吸い、それがいずれ反毛の繊維間に移される。厚層基材が湿潤している間は、フェルトからの水分の蒸散は抑制される。厚層基材が乾燥し始めても、フェルトの水分が厚層基材の下層部を潤す。下層部が湿潤状態にあればフェルトからの蒸散は緩慢なものとなる。厚層基材のみならずフェルトもほとんど乾燥する頃には、次の雨を期待することができる。
【0037】
このように乾燥し切るまでに長時間を要する構造にしておけば、30%のアップは実質的に枯渇時期をほとんど生じさせない状態を実現する。すなわち、フェルト製マット全体としては次の降水まで最低限度の湿潤状態を持続できさえすれば、湿潤と乾燥とが繰り返されることの多い地域においても、フェルトの柔軟性が損なわれるということは可及的に少なくなる。
【0038】
なお、乾燥の激しい南斜面や西斜面に適用する場合には、反毛の混入率を45%くらいまで上げて、保水力を増強しておくとよい。ちなみに、混入率は15%より少ないと保水力に目立った改善は得られなく、45%を越えると反毛に含まれる非天然繊維の混入率が高くなり、地表での自然界の部分的なアンバランスを生むおそれが高くなって好ましくない。
【0039】
上で述べた二つ目の効果は反毛に含まれる非天然繊維による地肌の保護作用であるが、雨の多い地方や時期は保水性よりも地山の表層安定が望まれる。ジュートに反毛を30%加えたとすれば、天然繊維が朽ちた跡に元の量で言えば15%程度の非天然繊維が残されることになる。
【0040】
天然繊維が朽ちる頃には厚層基材に含ませておいた牧草類が地肌を被うように茂っているはずであるが、たとえ茂りの悪い箇所が生じていても、朽ちることがないか朽ちにくい非天然繊維が僅かといえども表層を覆っていれば、風雨による地山の穿掘や浸蝕が大いに防止される。
【0041】
ところで、フェルト製マットに挟み込まれたネットはポリエチレン製等の化繊で十分であり、例えばラッシェル編みされたものが使用される。その目開きは20ないし30ミリメートル程度のものが使用されるが、このネットは芯材としても機能するほか、次に述べる二つの点を果たすものである。
【0042】
一つは、フェルト製マットを地山に張りつけておくに十分なだけの面圧を生じさせることができる強度を発揮することであり、他は、なだらかな起伏のある地肌に対して良好な密着性を発揮させることができる程度の低い面剛性である。
【0043】
このネットには、金属繊維が使われることはないが化繊に限るものでもない。図1に示したようにフェルト製マット1をアンカーピン10等で地山2に固定したとき、そのネットがフェルト全体を押しつけておくだけの力に耐えるものであればよく、従って、少なくとも耐久性は優れたものであることが望まれる。
【0044】
ところで、フェルト製マット1は、図示しないが、繊維質ネット5を境にした上層1Aが下層1Bより薄くなっていてもよい。上記したようにフェルト製マットは挟み込まれた繊維質ネット5により地山に対するずれや剥がれが防止されるようにしているので、ネットによって押さえ付けられる下層が厚くなっていることは却って好ましいと言える。
【0045】
ちなみに、極端なことを言えば、図6のように繊維質ネット5がフェルト製マット1の表面に一部露出していてもよい。フェルト製マットの上に厚層基材が吹きつけられたとき、その厚層基材の下層部が密度や触感の異なるフェルトおよびネットに接することになり、付着性が向上しやすくもなる。このように、繊維質ネットがフェルト製マットから一部を露出させていても、運搬や敷設作業においてフェルトとの一体性が損なわれない限り、特に弊害が生じるものでない。
【0046】
厚層基材吹付用マットは以上述べた構成となっているが、次に緑化工事のための敷設作業について簡単に説明する。まず、ロール状にして運搬されてきたマット1を傾斜地の上部に位置決めし、図1のごとく上端部分にアンカーピン10を打って固定した後に、谷へ向かってロールを垂らすように広げる。地肌に馴染ませるべく押さえつけてから、適宜の位置にアンカーピン10を打って全体を傾斜地に固定する。
【0047】
15メートルの繰り出しで足らなければ、その下端部で10センチメートル程度ラップさせて次のロールの上端を固定し、これを下方へ垂らす。所定の位置まで広げ、余ればその位置で鋏もしくはカッタによって切断する。この上下に伸びるマットに対して右または左の部分でも同様に少し重ねて、下方へ広げる。施工箇所においては全ての地肌をマットで覆う。
【0048】
厚層基材はバーク堆肥を基盤材としており、それにピートモス等の有機質材およびパーライトやバーミキュライトといった保水材・土壌改良材、それに少量の肥料と野草種や牧草種の種子が混入されたものである。種子としては、発芽の早いものや一年を通して緑を維持するもの、ガゼル,ホワイトクローバ,よもぎ,メドハギ,バーミューダグラスといったものが採用される。なお、草本類の種子を控え目にして、木本類の種子を混ぜておいてもよい。これがフェルト製マット1上にショットガンによって直接吹きつけられる。
【0049】
フェルト製マットは厚層基材の付着性が高く、金網を張るには及ばない。ましてや砂質や崩れやすい土質の表層がマットで覆われ、上に載った厚層基材の重みを分散して地山に伝えるため、厚層基材の重みで下地が部分的に崩れるといったことも抑えられる。
【0050】
厚層基材自体層厚が大きくなると崩れやすくなることは否めないが、フェルト製マットはこれ自体が植生床ともなるので、吹きつけられる厚層基材は例えば3センチメートルといったように、従来よりは2ないし5センチメートルも薄くしておくことができる。すなわち、草木に対して、実質的に従来と変わらない植生床を準備しておくことができる。厚層基材の薄層化がなされれば流亡もしにくくなることは言うまでもなく、45度近くの傾斜が大きい法面に適用することも容易となる。
【0051】
発芽した草は厚層基材に植根を伸ばすが、少し成長した時点でフェルト製マットに届く。フェルトは植根の貫通を許容する程度のものであるので、いずれは地山の表層へも進入する。植根は繊維質ネットにも絡みつき、位置ずれすることのないマットによって草木は安定した位置に保たれ、均一な緑化の持続も実現される。
【0052】
フェルト製マットは厚層基材の保持と地山表層の保護を主たる機能とするが、保水性を上げたことによる乾燥防止作用のほかに、寒冷地等においては表土の凍結を防止する意味での保温効果を発揮することも無視できない。
【0053】
上記のごとくして草木が成長する間にジュートのフェルトが朽ち果てても、草木は既に地山まで根づいており、さらに繊維質ネットによっても支持された状態となることにより、長期にわたる法面の安定と草木の全面繁茂が達成されやすくなる。
【0054】
以上は法面勾配が1割程度までであって砂質や崩れやすい土質が表層に存する傾斜地に適用する場合に好適な厚層基材吹付工法やマットについて述べた。以下には、そのマットを使用して、地肌が硬質であったり岩盤質であって1割ないし1割5分勾配(約63度)に到るような急斜面である場合にでも、厚層基材と共に地山の安定を図ると共に緑化を促進することができる層基材吹付工法について触れる。
【0055】
まず、厚層基材吹付マットを地肌に沿って敷設し、仮止めした状態でラス(菱形金網)を全面に載せ、アンカーピンにより金網とマットを地山に固定する。金網はマットから積極的に浮かした状態にする必要はないが、甲高金網を採用しておけば、その後に吹きつけられた厚層基材の滞留性が一段とよくなることは言うまでもない。
【0056】
マットは厚層基材の地山に対する付着性を高め、金網は厚層基材の滞留や保形を助ける。従って上記したように急な斜面であっても、厚層基材の滑落や流亡は抑えやすくなる。マットはその厚み以上に厚層基材と同様の植生床として機能するので、例えば繊維質ネット入りの10ミリメートル厚マットを使用すれば、厚層基材の層厚を2ないし3センチメートル少なくした4ないし8センチメートルとすることができる。
【0057】
マットを例えば10ミリメートルと厚くしているのは、法面勾配がきつくなると厚層基材自体の保水力が低下するので、それを高い保水能によって補おうとする配慮である。このようなマット・金網・厚層基材の3層構造にしておけば、傾斜の急な硬質土の法面でありながら、厚層基材の滞留性が高められると共に厚層基材とマットによる保水力の増大も図られ、金網のみを敷設して厚層基材を吹きつけている従来の厚層基材吹付工法に比べれば、早期の緑化とその安定した長期化が実現され、従前に例を見ない格段に優れた緑化工事が達成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る厚層基材吹付工法を適用した傾斜地の断面図。
【図2】 三層構造のフェルト製マットの端部を剥がした斜視図。
【図3】 ロール状に巻き付けられたフェルト製マットの斜視図。
【図4】 草木が根づいた状態になっている法面の断面図。
【図5】 フェルト素材で繊維質ネットを上下から挟み込んだフェルト製マットの製造概念図。
【図6】 繊維質ネットがフェルト製マットの表面から一部露出している場合の斜視図。
【符号の説明】
1…厚層基材吹付用マット(フェルト製マット)、1A…上層、1B…下層、1a…上層のためのフェルト素材、1b…下層のためのフェルト素材、2…法面(地山)、2a…表層、3…厚層基材、4…草木、5…繊維質ネット、10…アンカーピン。

Claims (1)

  1. 砂質や崩れやすい土質が表層に存する法面に厚層基材を吹きつけ、法面の安定を図ると共に緑化を促進するようにした厚層基材吹付工法において、
    ジュートが主体をなし反毛が25ないし45%混入されたフェルト素材に、フェルト素材の段階で繊維質ネットを挟み込みつつ、フェルト成形時にフェルト素材相互の絡みつきのみならず前記繊維質ネットとの絡みつきも図られたフェルト製マットを法面地肌に密着させるように敷設し、該フェルト製マットをアンカーピンで地山に固定した後、金網を張設することなく前記フェルト製マット上に厚層基材を吹きつけることを特徴とする厚層基材吹付工法。
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