JP4868340B2 - エアバッグ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のインストルメントパネルに取付けられる助手席用のエアバッグ装置に関し、特に、エアバッグ展開時の衝撃がインストルメントパネルに直接伝達しない構造のエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のエアバッグ装置は、図1に示すように、インストルメントパネル1の裏側に取付けられている。図2に図1におけるA−A線断面図を示す。図2に示すように、エアバッグ装置2は、インストルメントパネル1の裏側に直接取付けられている。エアバッグ装置2は、エアバッグ15及び図示しないインフレータとを内装するエアバッグハウジング3を含むエアバッグモジュール4からなっており、インストルメントパネル1の裏側の車両前後の面に沿って一対の取付けブラケット5a、5bを介して取付けられている。
【0003】
従来のエアバッグ装置2のインストルメントパネル1への取付け構造は、図6に取付け部の拡大図を示すように、取付けブラケット5bがインストルメントパネル1の芯材6にボルト7、ナット8とで構成される取付け部材9によって固定されている。このとき、エアバッグ装置2は、取付けブラケット5bの他面11に設けられているボルト7の径と略同等の大きさの係合孔10を通っており、ガタツキ等のないように固定されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ガタツキのないように固定されているため、例えば、エアバッグモジュール4が作動した場合、エアバッグ15の膨張によりエアバッグモジュール4内に大きな内圧が作用し、これによって、エアバッグハウジング3が大きく変形し、これに伴って取付けブラケット5bも変形し、インストルメントパネル1に対して、この変形量分の負荷がかかり、場合によってはインストルメントパネル1自身も変形、破壊する場合があった。
【0005】
本発明は、エアバッグモジュール作動時においても、インストルメントパネルが変形しないようにインストルメントパネルの裏側に取付けられるエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための本発明の請求項1に記載のエアバッグ装置は、自動車のインストルメントパネルの裏側、エアバッグハウジングに内装されたエアバッグ及びインフレータとを含むエアバッグモジュールが、一対の取付けブラケットを介して取付けられたエアバッグ装置であって、前記取付けブラケットは、断面がL字状で、一面が前記エアバッグハウジングの車両前後の面に沿って固定され、他面が前記インストルメントパネルの裏側に設けられた取付け部材と該他面に設けられた係合孔とが係合して固定されており、前記係合孔が、車両前後方向であってエアバッグが膨張する方向に長い長孔であり、エアバッグが膨張しエアバッグハウジングが変形した場合に取付け部材が長孔内をスライドできることを特徴とする。このような構成によると、エアバッグの膨張時に、エアバッグハウジングが変形した場合であっても、取付け部材がエアバッグハウジングの変形に合わせて長孔内を移動するため、エアバッグハウジングが直接固定されているインストルメントパネルに負荷をかけることがない。このため、インストルメントパネルの変形、破壊を防止することができる。
【0007】
請求項2に記載のエアバッグ装置は、請求項1において、前記取付け部材が段付ボルトとナットであることを特徴とする。このような構成によると、取付け部材であるボルトが、エアバッグハウジングの変形時に、長孔内を移動しやすい状態となる。また、段付ボルトを使用することによって、ナットを締め付けた時に、インストルメントパネルに締め付け力が直接作用しないため、長孔に形成された係合孔の効果が機能しやすくなるとともに、インストルメントパネルの変形を防止できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るエアバッグ装置の実施の形態例を説明する。
【0009】
本実施形態例に係るエアバッグ装置は、図1に示す自動車のインストルメントパネル1の裏側に取付けられている。
【0010】
図2に、図1におけるA−A線断面図を示す。図2に示すように、本実施形態例に係るエアバッグ装置2は、インストルメントパネル1の裏側の芯材6に、エアバッグハウジング3に内装されたエアバッグ15及び図示しないインフレータとを含むエアバッグモジュール4が、一対の取付けブラケット5a,5bによって取付けられている。
【0011】
エアバッグ装置2が取付けられるインストルメントパネル1は、一般的に表皮13と、発泡ウレタン樹脂等からなる発泡材14と、芯材6とで構成されている。
【0012】
取付けブラケット5a、5bは、断面がL字状で、夫々の一面がエアバッグハウジング3の車両前後の対向する面に固定されている。固定は、接着、螺合等任意の方法で行うことができる。また、取付けブラケット5a,5bの他面には、エアバッグハウジング3に取付けられた一面に対して垂直方向、換言すると、車両前後方向に長い長孔10が形成されている。この取付けブラケット5a,5bは、鉄等の鋼材で形成されている。このような材質で形成されているため、エアバッグモジュール4の軽量化が可能となる。
【0013】
これら取付けブラケット5a,5bは、図2に示すように、インストルメントパネル1に設けられている取付け部材9であるボルト7及びナット8によってインストルメントパネル1の裏側に取付けられる。
【0014】
図3に取付け部の拡大図を示す。図3に示すように、取付けブラケット5bは、他面11に形成された長孔10に、インストルメントパネル1の発泡材14内に埋設されたボルト7が通され、ワッシャ16及びナット8によって芯材6に押し当てられるようにして固定されている。
【0015】
次に、本実施形態例に係るエアバッグ装置2の作動について説明する。図示しない衝突センサ等によって衝突を感知すると、衝突センサからの信号によって、エアバッグモジュール4内のインフレータが作動して、エアバッグ15が膨張、展開する。この時、図4に示すように、エアバッグ15の膨張に合わせてエアバッグハウジング3も変形する。このため、従来のように、ガタツキのないように固定した場合、エアバッグハウジング3の変形によって、インストルメントパネル1に負荷がかかり、樹脂によって形成されているインストルメントパネル1は、低温下等の環境や、あるいは熱老化によって衝撃に弱くなっていることがあり、場合によっては破壊することがあった。
【0016】
ところが、図3に示すように、取付けブラケット5bの他面11には、ボルト7等の取付け部材9と係合する係合孔10が、車両前後方向に長い長孔に形成されている。このため、エアバッグ15が膨張した際に、エアバッグハウジング3が変形した場合、その変形に合わせてボルト7が係合穴10内をスライドして、取付けブラケット5bが図中矢印方向に移動し、エアバッグハウジング3の変形による負荷がインストルメントパネル1に伝達されず、インストルメントパネル1の変形、破壊を抑制することができる。
【0017】
このように、取付けブラケット5bのインストルメントパネル1の芯材6と接する面11に車両前後方向に長い長孔が形成されることによって、エアバッグモジュール4が作動した際、エアバッグ15の膨張に合わせてこの取付けブラケット5bが車両前後方向に移動するため、取付けブラケット5a,5bにかかる負荷をインストルメントパネル1に直接伝達することがなくなる。このため、取付けブラケット5a,5bに変形しにくい高剛性の材料を使用する場合に比べて、材料費を軽減できるとともに、材料の軽量化も可能となる。
【0018】
なお、本発明に係るエアバッグ装置は、図5に示すように、取付け部材9のボルトに段付ボルト17を使用することもできる。このような段付ボルト17を使用することによってナット8を締め付けた時に、取付けブラケット5の他面11にナット8の締め付け力が直接作用せず、エアバッグ15の展開時に前述の長孔に形成された係合孔10の効果が機能しやすくなり、インストルメントパネル1の変形、破壊を確実に防止することが可能となる。
【0019】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されており、取付けブラケットに設けられたインストルメントパネルの取付け部材との係合孔が長孔に形成されており、これによって、エアバッグ展開時に、エアバッグハウジングが変形した場合であっても、インストルメントパネルに負荷がかからず、インストルメントパネルの変形、破壊を防止することが可能となる。また、取付けブラケットに高剛性のものを使用した場合に比べて、材料費を低減することができ、さらには軽量化も可能となる。また、エアバッグハウジング及び取付けブラケットの変形に対応することが可能であるため、従来通りのインストルメントパネルの衝撃対策を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエアバッグ装置の取付けられるインストルメントパネルの全体概略図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】本発明に係るエアバッグ装置の一実施形態例のインストルメントパネルへの取付け部の拡大断面図である。
【図4】エアバッグモジュール作動時のエアバッグハウジングの変形を説明するための図である。
【図5】本発明に係るエアバッグ装置の他の実施形態例のインストルメントパネルへの取付け部の拡大断面図である。
【図6】従来のエアバッグ装置のインストルメントパネルへの取付け部の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 インストルメントパネル
2 エアバッグ装置
3 エアバッグハウジング
4 エアバッグモジュール
5a、5b 取付けブラケット
6 芯材
7 ボルト
8 ナット
9 取付け部材
10 係合孔
11 他面
12 一面
13 表皮
14 発泡樹脂
15 エアバッグ
16 ワッシャ
17 段付ボルト
17a 段部

Claims (2)

  1. 自動車のインストルメントパネルの裏側、エアバッグハウジングに内装されたエアバッグ及びインフレータとを含むエアバッグモジュールが、一対の取付けブラケットを介して取付けられたエアバッグ装置であって、前記取付けブラケットは、断面がL字状で、一面が前記エアバッグハウジングの車両前後の面に沿って固定され、他面が前記インストルメントパネルの裏側に設けられた取付け部材と該他面に設けられた係合孔とが係合して固定されており、前記係合孔が、車両前後方向であってエアバッグが膨張する方向に長い長孔であり、エアバッグが膨張しエアバッグハウジングが変形した場合に取付け部材が長孔内をスライドできることを特徴とするエアバッグ装置。
  2. 前記取付け部材が段付ボルトとナットであることを特徴とする請求項1に記載のエアバッグ装置。
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