以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による車両の駐車支援装置が適用される車両給電システムの全体構成図である。図1を参照して、車両給電システム10は、車両100と、給電設備200とを備える。車両100は、受電ユニット110と、カメラ120と、通信部130と、ハイトセンサ135とを含む。
受電ユニット110は、車両100の車体底面に固設され、給電設備200の送電ユニット220(後述)から送出される電力を非接触で受電するように構成される。詳しくは、受電ユニット110は、自己共振コイル(後述)を含み、送電ユニット220に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより送電ユニット220から非接触で受電する。カメラ120は、車両100と送電ユニット220との位置関係を検知するために設けられ、たとえば車両後方を撮影可能に車体に取付けられる。通信部130は、車両100と給電設備200との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
ハイトセンサ135は、車両100の車高の変化を検知するためのセンサである。一例として、ハイトセンサ135は、車両100のサスペンションに設けられ、予め定められた基準位置に対する車両の沈み込み量を磁気変位や抵抗変位として測定することによって車高の変化を検知する。なお、ハイトセンサ135として、車体底面に設置したレーザー変位計を用い、路面との距離の変化を直接測定してもよい。このようなハイトセンサ135には、種々の公知のものを用いることができる。
給電設備200は、電源装置210と、送電ユニット220と、発光部230と、通信部240とを含む。電源装置210は、たとえば系統電源から供給される商用交流電力を高周波の電力に変換して送電ユニット220へ出力する。なお、電源装置210が生成する高周波電力の周波数は、たとえば1M〜10数MHzである。
送電ユニット220は、駐車場の床面に固設され、電源装置210から供給される高周波電力を車両100の受電ユニット110へ非接触で送出するように構成される。詳しくは、送電ユニット220は、自己共振コイル(後述)を含み、受電ユニット110に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより受電ユニット110へ非接触で送電する。発光部230は、送電ユニット220上に複数設けられ、送電ユニット220の位置を示すために設けられる。発光部230は、たとえばLEDなどから成る。通信部240は、給電設備200と車両100との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
この車両給電システム10においては、給電設備200の送電ユニット220から高周波の電力が送出され、車両100の受電ユニット110に含まれる自己共振コイルと送電ユニット220に含まれる自己共振コイルとが電磁場を介して共鳴することにより、給電設備200から車両100へ給電される。ここで、給電設備200から車両100への給電が効率的に行なわれるために、車両100を給電設備200へ誘導して車両100の受電ユニット110と給電設備200の送電ユニット220との位置合わせを行なう必要がある。この実施の形態においては、車両100の給電設備200への駐車制御は、2段階で行なわれる。
第1段階においては、カメラ120により撮影される画像に基づいて車両100のステアリングを制御することによって、給電設備200の送電ユニット220へ車両100が誘導される。より詳しくは、送電ユニット220上に設けられた複数の発光部230がカメラ120によって撮影され、複数の発光部230の位置および向きが画像認識される。そして、その画像認識の結果に基づいて送電ユニット220と車両100との位置および向きが認識され、その認識結果に基づきステアリングを制御することによって、給電設備200の送電ユニット220へ車両100が誘導される。
ステアリングの制御が終了し、送電ユニット220に対して予め定められた位置まで車両100が誘導されると、第1段階から第2段階に切替わる。この第2段階では、送電ユニット220から受電ユニット110への給電が行なわれ、受電ユニット110の受電状況に基づいて車両100の速度を制御(減速/停止)することによって、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせが行なわれる。より詳しくは、受電ユニット110の受電状況に基づいて、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離が推定される。そして、その推定結果に基づいて車両100の速度を制御(減速/停止)することによって、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせが行なわれる。
ここで、乗員数や荷物の重量の変化により車両100の車高が変化すると、送電ユニット220と受電ユニット110との距離が変化する。これにより、送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量(路面水平方向のずれ量)が同じであっても、受電ユニット110の受電状態が変化する。そこで、この実施の形態においては、受電状況(受電電圧)と上記の位置ずれ量との関係を示すマップをハイトセンサ135の出力に応じて予め複数作成しておき、ハイトセンサ135の出力に基づいてマップが選択される。そして、その選択されたマップを用いて、受電ユニット110の受電状況に基づいて送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量が推定され、その推定結果に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせが行なわれる。
なお、上記の第2段階時に送電ユニット220から送出される電力の大きさは、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせの完了後に送電ユニット220から受電ユニット110へ供給される電力よりも小さく設定される。上記第2段階時に送電ユニット220から電力を送出するのは、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせのためであり、本格的な給電を行なう際の大電力は不要だからである。
次に、上記の車両給電システム10における非接触給電方法の一例について説明する。この実施の形態では、共鳴法を用いて給電設備200から車両100への給電が行なわれる。
図2は、共鳴法による送電の原理を説明するための図である。図2を参照して、この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、同じ固有振動数を有する2つのLC共振コイルが電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
具体的には、高周波電源310に一次コイル320を接続し、電磁誘導により一次コイル320と磁気的に結合される一次自己共振コイル330へ1M〜10数MHzの高周波電力を給電する。一次自己共振コイル330は、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量とによるLC共振器であり、一次自己共振コイル330と同じ共振周波数を有する二次自己共振コイル340と電磁場(近接場)を介して共鳴する。そうすると、一次自己共振コイル330から二次自己共振コイル340へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。二次自己共振コイル340へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により二次自己共振コイル340と磁気的に結合される二次コイル350によって取出され、負荷360へ供給される。なお、共鳴法による送電は、一次自己共振コイル330と二次自己共振コイル340との共鳴強度を示すQ値がたとえば100よりも大きいときに実現される。
なお、図1との対応関係については、二次自己共振コイル340および二次コイル350が図1の受電ユニット110に対応し、一次コイル320および一次自己共振コイル330が図1の送電ユニット220に対応する。
図3は、図1に示した車両100の詳細構成図である。図3を参照して、車両100は、蓄電装置150と、システムメインリレーSMR1と、昇圧コンバータ162と、インバータ164,166と、モータジェネレータ172,174と、エンジン176と、動力分割装置177と、駆動輪178とを含む。また、車両100は、二次自己共振コイル112と、二次コイル114と、整流器140と、DC/DCコンバータ142と、システムメインリレーSMR2と、電圧センサ190とをさらに含む。さらに、車両100は、制御装置180と、カメラ120と、通信部130と、ハイトセンサ135と、タッチディスプレイ182と、駐車支援スイッチ(以下「PA(Parking Assist)スイッチ」とも称する。)184と、給電要求スイッチ186とをさらに含む。
この車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174を動力源として搭載する。エンジン176およびモータジェネレータ172,174は、動力分割装置177に連結される。そして、車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174の少なくとも一方が発生する駆動力によって走行する。エンジン176が発生する動力は、動力分割装置177によって2経路に分割される。すなわち、一方は駆動輪178へ伝達される経路であり、もう一方はモータジェネレータ172へ伝達される経路である。
モータジェネレータ172は、交流回転電機であり、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機から成る。モータジェネレータ172は、動力分割装置177によって分割されたエンジン176の運動エネルギーを用いて発電する。たとえば、蓄電装置150の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称され、たとえば、満充電状態に対する百分率で示される。)が予め定められた値よりも低くなると、エンジン176が始動してモータジェネレータ172により発電が行なわれ、蓄電装置150が充電される。
モータジェネレータ174も、交流回転電機であり、モータジェネレータ172と同様に、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機から成る。モータジェネレータ174は、蓄電装置150に蓄えられた電力およびモータジェネレータ172により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、モータジェネレータ174の駆動力は、駆動輪178に伝達される。
また、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時には、運動エネルギーや位置エネルギーとして車両に蓄えられた力学的エネルギーが駆動輪178を介してモータジェネレータ174の回転駆動に用いられ、モータジェネレータ174が発電機として作動する。これにより、モータジェネレータ174は、走行エネルギーを電力に変換して制動力を発生する回生ブレーキとして作動する。そして、モータジェネレータ174により発電された電力は、蓄電装置150に蓄えられる。
動力分割装置177は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車から成る。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン176のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、モータジェネレータ172の回転軸に連結される。リングギヤはモータジェネレータ174の回転軸および駆動輪178に連結される。
蓄電装置150は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオンやニッケル水素などの二次電池から成る。蓄電装置150は、DC/DCコンバータ142から供給される電力を蓄えるほか、モータジェネレータ172,174によって発電される回生電力も蓄える。そして、蓄電装置150は、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給する。なお、蓄電装置150として大容量のキャパシタも採用可能であり、給電設備200(図1)から供給される電力やモータジェネレータ172,174からの回生電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
システムメインリレーSMR1は、蓄電装置150と昇圧コンバータ162との間に配設される。システムメインリレーSMR1は、制御装置180からの信号SE1が活性化されると、蓄電装置150を昇圧コンバータ162と電気的に接続し、信号SE1が非活性化されると、蓄電装置150と昇圧コンバータ162との間の電路を遮断する。昇圧コンバータ162は、制御装置180からの信号PWCに基づいて、正極線PL2の電圧を蓄電装置150から出力される電圧以上の電圧に昇圧する。なお、この昇圧コンバータ162は、たとえば直流チョッパ回路から成る。インバータ164,166は、それぞれモータジェネレータ172,174に対応して設けられる。インバータ164は、制御装置180からの信号PWI1に基づいてモータジェネレータ172を駆動し、インバータ166は、制御装置180からの信号PWI2に基づいてモータジェネレータ174を駆動する。なお、インバータ164,166は、たとえば三相ブリッジ回路から成る。
二次自己共振コイル112は、両端がオープン(非接続)のLC共振コイルであり、給電設備200の一次自己共振コイル(後述)と電磁場を介して共鳴することにより給電設備200から受電する。なお、二次自己共振コイル112の容量成分は、コイルの浮遊容量とするが、コイルの両端に接続されるコンデンサを設けてもよい。この二次自己共振コイル112については、給電設備200の一次自己共振コイルとの距離や、一次自己共振コイルおよび二次自己共振コイル112の共鳴周波数等に基づいて、一次自己共振コイルと二次自己共振コイル112との共鳴強度を示すQ値(たとえば、Q>100)およびその結合度を示すκ等が大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
二次コイル114は、二次自己共振コイル112と同軸上に配設され、電磁誘導により二次自己共振コイル112と磁気的に結合可能である。この二次コイル114は、二次自己共振コイル112により受電された電力を電磁誘導により取出して整流器140へ出力する。なお、二次自己共振コイル112および二次コイル114は、図1に示した受電ユニット110を形成する。
整流器140は、二次コイル114によって取出された交流電力を整流する。DC/DCコンバータ142は、制御装置180からの信号PWDに基づいて、整流器140によって整流された電力を蓄電装置150の電圧レベルに変換して蓄電装置150へ出力する。システムメインリレーSMR2は、DC/DCコンバータ142と蓄電装置150との間に配設される。システムメインリレーSMR2は、制御装置180からの信号SE2が活性化されると、蓄電装置150をDC/DCコンバータ142と電気的に接続し、信号SE2が非活性化されると、蓄電装置150とDC/DCコンバータ142との間の電路を遮断する。電圧センサ190は、整流器140とDC/DCコンバータ142との間の電圧VHを検出し、その検出値を制御装置180へ出力する。
タッチディスプレイ182は、所望の駐車位置に車両100を誘導して駐車させる制御(以下「駐車支援制御」とも称する。)の実行時、カメラ120によって撮影された画像の情報を制御装置180から受け、その受けた画像情報を表示する。また、タッチディスプレイ182は、上記画像情報を表示するとともに、車両100の駐車位置を決定するための利用者からの入力を受け付け、その入力された駐車位置情報を制御装置180へ出力する。このタッチディスプレイ182には、たとえば、カーナビゲーション装置のディスプレイを用いることができる。
制御装置180は、アクセル開度や車両速度、その他種々のセンサからの信号に基づいて、昇圧コンバータ162およびモータジェネレータ172,174をそれぞれ駆動するための信号PWC,PWI1,PWI2を生成し、その生成した信号PWC,PWI1,PWI2をそれぞれ昇圧コンバータ162およびインバータ164,166へ出力する。そして、車両の走行時、制御装置180は、信号SE1を活性化してシステムメインリレーSMR1をオンさせるとともに、信号SE2を非活性化してシステムメインリレーSMR2をオフさせる。
また、PAスイッチ184および給電要求スイッチ186が利用者によりオンされると、制御装置180は、カメラ120によって撮影された画像の情報をカメラ120から受け、その受けた画像情報をタッチディスプレイ182へ出力する。さらに、制御装置180は、タッチディスプレイ182において利用者によって入力された駐車位置の情報をタッチディスプレイ182から受ける。また、さらに、制御装置180は、電圧センサ190によって検出される電圧VHの検出値を電圧センサ190から受ける。そして、制御装置180は、これらのデータに基づいて、給電設備200の送電ユニット220(図1)へ車両100を誘導するように、後述の方法により駐車支援制御を実行する。
そして、送電ユニット220と車両100の受電ユニット110との位置合わせが完了すると、制御装置180は、通信部130を介して給電設備200へ給電指令を送信するとともに、信号SE2を活性化してシステムメインリレーSMR2をオンさせる。さらに、制御装置180は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号PWDを生成し、その生成した信号PWDをDC/DCコンバータ142へ出力する。これにより、給電設備200による蓄電装置150の充電が開始される。
PAスイッチ184は、カメラ120およびタッチディスプレイ182を用いた駐車支援を利用者が要求するためのスイッチである。また、給電要求スイッチ186は、給電設備200による蓄電装置150の充電を利用者が要求するためのスイッチである。
図4は、図3に示した制御装置180の機能ブロック図である。図4を参照して、制御装置180は、駐車支援ECU(Electronic Control Unit)410と、ステアリングECU420と、車両ECU430と、モータ制御ECU440と、充電ECU450とを含む。
駐車支援ECU410は、図示されないPAスイッチ184および給電要求スイッチ186がオンされると、カメラ120から受ける画像情報に基づいて、給電設備200の送電ユニット220(図1)へ車両100を誘導するための制御を実行する。
具体的には、駐車支援ECU410は、カメラ120から受ける画像情報をタッチディスプレイ182へ出力するとともに、その画像情報に基づいて送電ユニット220を認識する。なお、送電ユニット220には、送電ユニット220の位置および向きを示す複数の発光部230が設けられている。そして、駐車支援ECU410は、カメラ120に映し出された複数の発光部230の映像に基づいて送電ユニット220との位置関係(おおよその距離および向き)を認識する。なお、駐車支援ECU410は、ハイトセンサ135の出力を受け、ハイトセンサ135の出力によって上記位置関係を補正する。
また、駐車支援ECU410は、タッチディスプレイ182において利用者により入力された駐車位置の情報をタッチディスプレイ182から受ける。そして、駐車支援ECU410は、送電ユニット220の認識結果およびタッチディスプレイ182から受ける駐車位置情報に基づいて、所定速度VS1で車両100が後退するように車両ECU430へ後退指令を出力するとともに、送電ユニット220へ適切な向きで車両100が誘導されるようにステアリングECU420へ操舵指令を出力する。
また、駐車支援ECU410は、ステアリングの制御が終了し(すなわち、あとはステアリングを操作することなく後退のみすればよい状態)、予め定められた位置まで車両100が誘導されると、その旨を車両ECU430へ通知する。なお、一例として、送電ユニット220に車両100が近づくことによってカメラ120の撮影範囲から送電ユニット220が所定量外れる位置を、上記の予め定められた位置とすることができる。ステアリングECU420は、駐車支援ECU410から受ける操舵指令に基づいて、実際にステアリングの自動制御を行なう。
車両ECU430は、通常の走行が行なわれるときは、アクセルペダル/ブレーキペダルの操作状況や車両の走行状況等に応じて、モータ制御ECU440へ制御指令を出力する。
駐車支援制御時においては、車両ECU430は、駐車支援ECU410から後退指令を受けると、速度VS1で車両が後退するようにモータジェネレータ174(図3)を駆動するための信号を生成してモータ制御ECU440へ出力する。
そして、送電ユニット220に対して所定位置まで車両100が誘導されたことを示す通知を駐車支援ECU410から受けると、車両ECU430は、受電ユニット110の受電状況に基づいて車両100の速度を制御(減速/停止)する。これにより、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせが行なわれる。
具体的には、車両ECU430は、速度VS1よりも低い速度VS2で車両が後退するための信号を生成してモータ制御ECU440へ出力する。さらに、車両ECU430は、位置合わせ用の送電を要求する給電指令を通信部130を介して給電設備200へ送信し、給電設備200からの受電電圧を示す電圧VH(図3)の検出値を充電ECU450から受ける。そして、車両ECU430は、その電圧VHの検出値に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との位置ずれ量(路面水平方向の横ずれ量)を推定する。
すなわち、図5に示すような一定の給電電圧(給電設備200の出力電圧)に対して、受電電圧を示す電圧VHは、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離に応じて変化する。
図6は、送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量と受電電圧との関係を示した図である。なお、受電ユニット110が送電ユニット220と対向するときを位置ずれ量0とする。また、給電設備200の出力電圧は一定であるものとする。
図6を参照して、曲線M1〜M3は、車両100の車高がそれぞれ異なる場合の関係を示しており、曲線M1,M2,M3の順に車高が低くなる場合の関係が示されている。このように、車両100の車高が変化すると、送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量と受電電圧との関係が変化する。
また、図7は、車両100の車高の変化とハイトセンサ135の出力との関係の一例を示した図である。図7を参照して、車高が変化すると、ハイトセンサ135の出力が変化する。
そこで、この実施の形態では、図6に示すように、送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量と電圧VH(受電電圧)との関係を示すマップをハイトセンサ135の出力に応じて予め複数作成しておく。そして、ハイトセンサ135の出力に基づいてマップを選択し、その選択されたマップを用いて、送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量を電圧VHに基づいて推定する。そして、予め定められた位置ずれ量の許容値Lthに対応する電圧VHの値Vthを電圧VHが超えると、車両ECU430は、車両100を停止させる。
再び図4を参照して、車両ECU430は、送電ユニット220と受電ユニット110との距離の推定結果に基づいて、車両100の減速や停止を指示する指令をモータ制御ECU440へ出力する。そして、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせが完了し、車両100が停止すると、車両ECU430は、蓄電装置150を充電するための給電指令を通信部130を介して給電設備200へ送信するとともに、蓄電装置150の充電の開始を指示する指令を充電ECU450へ出力する。
モータ制御ECU440は、車両ECU430からの指令に基づいて、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を制御する。詳しくは、モータ制御ECU440は、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を駆動するための信号を生成してそれぞれインバータ164,166および昇圧コンバータ162へ出力する。
充電ECU450は、給電設備200からの受電電圧を示す電圧VHの検出値を電圧センサ190(図3)から受け、その受けた値を車両ECU430へ出力する。また、充電ECU450は、車両ECU430から充電開始指令を受けると、システムメインリレーSMR2へ出力される信号SE2を活性化することによってシステムメインリレーSMR2をオンさせる。そして、充電ECU450は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号を生成してDC/DCコンバータ142へ出力する。これにより、蓄電装置150の充電が実行される。
この制御装置180においては、駐車支援ECU410およびステアリングECU420によって誘導制御部460が構成される。誘導制御部460は、カメラ120により撮影された画像に基づいて車両100のステアリングを制御することにより、給電設備200の送電ユニット220へ車両100を誘導する(操舵モード)。また、車両ECU430、モータ制御ECU440および充電ECU450によって車両制御部470が構成される。車両制御部470は、受電ユニット110の受電状況(電圧VH)に基づいて、送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量を推定する。そして、その推定結果に基づいて車両100の速度を制御(減速/停止)することにより、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせを行なう(減速/停止モード)。
送電ユニット220と受電ユニット110との位置ずれ量は、受電ユニット110の受電電圧(電圧VH)と、送電ユニット220および受電ユニット110間の距離との関係を示すマップを用いて推定される。ここで、受電電圧(電圧VH)は、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離に依存するので、この実施の形態では、車両100の車高の変化を検知するハイトセンサ135の出力に応じて上記マップが予め複数作成される。そして、ハイトセンサ135の出力に基づいてマップが選択され、その選択されたマップを用いて、電圧VHに基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との位置ずれ量が推定される。
なお、受電ユニット110の受電電圧(電圧VH)に代えて、送電ユニット220から受電ユニット110への送電効率を受電状況の指標として用いてもよい。
図8は、図3に示した制御装置180により実行される駐車支援制御の手順を示すフローチャートである。図8を参照して、制御装置180は、PAスイッチ184および給電要求スイッチ186が利用者によりオンされたか否かを判定する(ステップS10)。これらのスイッチがオンされていないと判定されたときは(ステップS10においてNO)、制御装置180は、以降の一連の処理を実行することなくステップS110へ処理を移行する。
ステップS10においてPAスイッチ184および給電要求スイッチ186がオンされたと判定されると(ステップS10においてYES)、制御装置180は、タッチディスプレイ182の画面上において利用者により車両100の駐車位置が決定されたか否かを判定する(ステップS20)。
そして、タッチディスプレイ182において駐車位置が決定されると(ステップS20においてYES)、制御モードが操舵モードとなり、制御装置180は、カメラ120からの画像情報に基づいて、上述の駐車支援ECU410およびステアリングECU420から成る誘導制御部460による自動操舵運転を実行する(ステップS30)。
次いで、制御装置180は、給電設備200の送電ユニット220に対して所定位置まで車両100が誘導されたか否かを判定する(ステップS40)。たとえば、タッチディスプレイ182に映し出された送電ユニット220が撮影範囲から所定量外れたとき、上記所定位置まで誘導されたものと判定される。
ステップS40において所定位置に到達したものと判定されると(ステップS40においてYES)、制御モードが操舵モードから減速/停止モードに切替わる。そして、制御装置180は、受電ユニット110による給電設備200からの受電電圧(電圧VH)に基づいて、上述の車両ECU430、モータ制御ECU440および充電ECU450から成る車両制御部470による速度制御(減速/停止)を開始する(ステップS50)。
すなわち、制御装置180は、減速指令を生成し、上記自動操舵運転時の速度VS1からそれよりも低い速度VS2に車両100を減速させる(ステップS60)。また、制御装置180は、ハイトセンサ135の出力を取得する(ステップS70)。そして、制御装置180は、ハイトセンサ135の出力に応じて予め複数準備された、電圧VHと送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量との関係を示すマップの中から、ステップS70において取得されたハイトセンサ135の出力に基づいてマップを選択する(ステップS80)。
次いで、制御装置180は、その選択したマップを用いて、受電電圧を示す電圧VHが予め定められたしきい値Vth(図6)を超えたか否かを判定する(ステップS90)。そして、電圧VHがしきい値Vthを超えたと判定されると(ステップS90においてYES)、制御装置180は、停止指令を生成し、車両100を停止させる(ステップS100)。
車両100が停止すると、制御装置180は、給電設備200へ給電指令を送信し、給電設備200による蓄電装置150の充電を開始する(ステップS110)。
図9は、車両100の駐車支援制御実行時における主な信号の波形図である。図9を参照して、時刻t1以前は、誘導制御部460(図3)によるステアリング制御が行なわれているものとする(操舵モード)。なお、操舵モードにおける車両100の後退速度は、VS1に設定されている。
時刻t1において、操舵モードにおいて、送電ユニット220に対して所定位置まで車両100が誘導されると、操舵モードから減速/停止モードに制御モードが切替わり、車両制御部470(図3)による車両100の速度制御が実行される。このタイミングで、車両100の後退速度は、VS1よりも低いVS2に減速される。
車両100の受電ユニット110が給電設備200の送電ユニット220に近づくにつれて、給電設備200からの受電電圧を示す電圧VHが上昇する。そして、時刻t2において、ハイトセンサ135の出力に基づき選択されたマップにおいて規定されるしきい値Vthに電圧VHが達すると、送電ユニット220と受電ユニット110との位置ずれ量が許容範囲内になったものと判断され、設定車速が0となって車両100が停止する。その後、時刻t3において、減速/停止モードから充電モードに制御モードが切替わり、給電設備200から蓄電装置150の充電を指示する充電指令がオンされる。
以上のように、この実施の形態においては、車両100の車高の変化を検知するハイトセンサ135の出力に応じて予め定められた、受電ユニット110の受電状況と送電ユニット220に対する受電ユニット110の位置ずれ量との関係を用いて、ハイトセンサ135の出力および受電状況に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせが行なわれる。これにより、乗員数や荷物の重量の変化により車高が変化しても、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせの精度が維持される。したがって、この実施の形態によれば、給電設備200に対する車両100の駐車精度が向上する。
なお、上記の実施の形態においては、給電設備200に対して車両100が後方駐車されることを前提にカメラ120が車両後部に配設されるものとしたが、給電設備200に対して車両100が前方駐車される場合には、カメラ120は車両前部に配設されてもよい。
また、上記においては、共鳴法を用いて給電設備200から車両100へ非接触で送電するものとしたが、給電設備200から車両100への送電手法は、必ずしも共鳴法に限定されるものではなく、その他の非接触送電手法である、電磁誘導を用いた送電や、マイクロ波を用いた送電であってもよい。なお、これらの送電手法においても、給電設備200から車両100への給電状況に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を推定することが可能である。
また、上記においては、発光部230に基づいて送電ユニット220の位置および方向を画像認識するものとしたが、発光部230を設けることなく送電ユニット220の形状等を画像認識してもよい。なお、上記の実施の形態のように発光部230を設けることによって、夜間においても送電ユニット220の位置および方向を認識することが可能である。
また、上記においては、車両100として、動力分割装置177によりエンジン176の動力を分割して駆動輪178とモータジェネレータ172とに伝達可能なシリーズ/パラレル型のハイブリッド車について説明したが、この発明は、その他の形式のハイブリッド車にも適用可能である。すなわち、たとえば、モータジェネレータ172を駆動するためにのみエンジン176を用い、モータジェネレータ174でのみ車両の駆動力を発生する、いわゆるシリーズ型のハイブリッド車や、エンジン176が生成した運動エネルギーのうち回生エネルギーのみが電気エネルギーとして回収されるハイブリッド車、エンジンを主動力として必要に応じてモータがアシストするモータアシスト型のハイブリッド車などにもこの発明は適用可能である。
さらに、この発明は、エンジン176を備えずに電力のみで走行する電気自動車や、直流電源として蓄電装置150に加えて燃料電池をさらに備える燃料電池車にも適用可能である。また、この発明は、昇圧コンバータ162を備えない車両や、DC/DCコンバータ142を備えない車両にも適用可能である。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。