JP4866125B2 - 低温液化ガス貯留設備とアンカーストラップの設置方法 - Google Patents
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Description
このため、内槽を構成している内周壁の外周側に対して下向きに係止可能な金属製アンカーストラップを基盤に固定しておいて、貯留部に低温液化ガスを貯留してある状態で、アンカーストラップに引っ張り力(以下、初期引っ張り力という)を常時作用させておくことで、内槽の基盤に対する揺れ動きなどの移動を防止できるようにしてある。
従って、地震発生時に内槽を突き上げる外力が作用すると、アンカーストラップに作用させてある初期引っ張り力にその突き上げ外力に応じた引っ張り力が加わり、逆に、地震発生時に内槽を押し付ける外力が作用すると、アンカーストラップに作用させてある初期引っ張り力からその押し付け力に応じた圧縮力が差し引かれるので、地震発生時に内槽が基盤側に押し付けられても、アンカーストラップに引っ張り力が作用している状態を維持して、内槽の移動を防止できるように、内槽を突き上げる外力が作用したときの引っ張り力が金属材料の引っ張り耐力を超えない範囲で、初期引っ張り力を大きく設定しておく必要がある。
また、アンカーストラップは、内槽の内周壁と外槽の外周壁との間の位置に取り付けるので、内周壁と外周壁との間に断熱層を設ける前、つまり、内槽が常温の状態で、内周壁の外周側に対して下向きに係止可能に取り付ける必要がある。
従来の低温液化ガス貯留設備では、内周壁を形成している材料と同じ金属材料で形成してあるアンカーストラップを使用して、その一端側を基盤に固定し、貯留部に低温液化ガスの最大貯留重量に略相当する水を張った常温の状態で、他端側を内周壁の外周側に対して下向きに係止可能に取り付けておき、低温液化ガスを貯留部に貯留するに伴って内槽とアンカーストラップとが冷却されると、液面高さに応じた内周壁の熱収縮量と、その内周壁に対して下向きに係止しているアンカーストラップの熱収縮量とが釣り合うようにアンカーストラップに熱応力が生じ、その熱応力を初期引っ張り力としてアンカーストラップに作用させるように構成してある(例えば、特許文献1参照)。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、大きな初期引っ張り力をアンカーストラップに作用させ易くすることを目的とする。
アンカーストラップを、内槽を形成している金属材料よりも線膨張率が大きい金属材料で形成してあるので、内槽とアンカーストラップとが冷却されるに伴って、アンカーストラップにおける係止部位が内周壁における被係止部位よりも大きく収縮変位しようとし、内周壁の熱収縮量とアンカーストラップの熱収縮量とが釣り合うための大きな熱応力がアンカーストラップに生じて、大きな初期引っ張り力をアンカーストラップに作用させ易い。
内底板を底部断熱層に載置して内槽を設置した後、基盤に固定してあるアンカーストラップを、貯留部に低温液化ガスの最大貯留重量に略相当する水を張った状態、つまり、内槽が内側に張った水で膨らんで内周壁が内槽径方向外方側に変位している状態で、内周壁の外周側に対して下向きに係止可能に組み付けるので、貯留部から水を抜き取って内槽が収縮するに伴って、アンカーストラップにおける係止部位と内周壁における被係止部位とが内槽径方向内方側向けて変位し、低温液化ガスを貯留するために内槽をクールダウンする前においても、アンカーストラップに引っ張り力を作用させ易い。
図1は、液化天然ガスや液化プロパンガスなどの低温液化ガスの貯蔵設備を示し、鋼管杭1で支持される基礎スラブ(コンクリート製基礎盤)2を略円形に設けて、ドーム屋根3の上面側を構成する上部屋根材4と円筒状外周壁5と外底板6とを一体に備えた金属製外槽7を同芯状に設置し、ドーム屋根3の下面側を構成する下部屋根材8と円筒状内周壁9と内底板10とを一体に備えた金属(9%Ni鋼)製内槽11を外槽7の内側に同芯状に設置してある。
鋼管杭1で支持される基礎スラブ2と円筒状壁17とを一体に構築して、アンカー取り付け部19を基礎スラブ2に埋設固定しておき、基礎スラブ2と円筒状壁17とに一体の外槽7を設置するとともに、外底板6の上に設けた底部断熱層12の上に内底板10を載置して内槽11を設置した後、上部屋根材4及び外周壁5と下部屋根材8及び内周壁9との間に断熱層13を設ける前に、内槽11の耐圧試験を行うために、貯留部14に低温液化ガスGの最大貯留重量に略相当する水を張って、この水を張った状態で内槽11が膨らんで内周壁9が内槽径方向外方側に変位している状態でアンカーストラップ18を設置する。
本発明による低温液化ガス貯留設備とアンカーストラップの設置方法は、アンカーストラップを、内槽を形成している金属材料よりも線膨張率が大きい金属材料で形成してあれば、アンカーストラップを形成している金属材料と、内槽を形成している金属材料との組み合わせは限定されない。
4 上部屋根材
5 外周壁
6 外底板
7 外槽
8 下部屋根材
9 内周壁
10 内底板
11 内槽
12 断熱層(底部断熱層)
13 断熱層
14 貯留部
18 アンカーストラップ
20 係止部材
21 被係止部材
22 スペーサ
23 間隔
G 低温液化ガス
Claims (2)
- 上部屋根材と筒状外周壁と外底板とを一体に備えた金属製外槽の内側に、下部屋根材と筒状内周壁と内底板とを一体に備えた金属製内槽を設置するとともに、前記外槽と前記内槽との間に断熱層を設けて、前記内槽の内側を低温液化ガスの貯留部に形成し、
前記外底板をコンクリート製基盤に設置するとともに、前記内底板を前記外底板の上に設けてある底部断熱層に載置し、
前記内周壁の外周側に設けてある被係止部材に対して下向きに係止可能な係止部材を上端側に有する金属製アンカーストラップを備え、前記アンカーストラップの下端側を前記基盤に固定させて、前記内槽の移動を防止してある低温液化ガス貯留設備であって、
下端側が前記基盤に固定され上端側が前記被係止部材に係止可能な前記アンカーストラップを、前記内槽を形成している金属材料よりも線膨張率が大きい金属材料で形成してある低温液化ガス貯留設備。 - 請求項1記載の低温液化ガス貯留設備に設けてあるアンカーストラップの設置方法であって、
前記内底板を前記底部断熱層に載置して前記内槽を設置した後、
前記内槽を形成している金属材料よりも線膨張率が大きい金属材料で形成してある前記アンカーストラップを用いて、
前記貯留部に低温液化ガスの最大貯留重量に略相当する水を張った状態で、且つ、下端側を前記基盤に固定してある前記アンカーストラップの上端側の前記係止部材と前記被係止部材との間にスペーサを挟みこんだ状態で、前記内周壁に対する前記被係止部材の固定位置を位置決めして当該被係止部材を前記内周壁の外周側に溶接して固定し、前記スペーサを撤去して、前記アンカーストラップの前記係止部材を、前記被係止部材に対して係止方向に間隔を隔てて、前記被係止部材に対して下向きに係止可能に組み付け、前記貯留部内に貯留された水を抜くアンカーストラップの設置方法。
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