JP6080073B2 - 低温タンクの制震プレート装置 - Google Patents
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Description
この低温タンク1の内槽1bには、通常供用時の低温液体のガス圧Pや熱収縮力、および地震荷重によって内槽1bの側板6が浮き上がるアップリフト力UP、および底板7が横滑りや水平移動をする水平力HPが発生する。このアップリフト力UPに対応するように、従来一般には、内槽側板6の下部にアンカーストラップ11が設けられており、このアンカーストラップ11は基盤4に対して傾斜させて確りと設置されている。
しかしながら、図15のCの部分を拡大して示す図16のように、このアンカーストラップ11は、アンカーストラップ本体がアンカーボックスの上端から外側上方斜めに長く出ているため、水平方向の揺動や滑動による水平力HPには対応が十分ではない。そこで、水平荷重による水平力HPを抑制して横滑りや水平移動HLを抑制し、かつタンク本体以外の部分で地震等のエネルギーを吸収してタンク本体を損傷させないようにすることが望まれている。
殊に、サスペンドデッキ構造の内槽屋根を有する二重殻低温貯槽の場合には、水平荷重による水平力で内槽が横滑りや水平移動をしないようにする防止対策が求められている。
低温タンクの内槽を通常供用時のガス圧や熱収縮による水平方向引張り荷重、および地震による水平方向の引張り荷重に対応するため、簡便で効率良く内槽の横滑りや水平移動を防止することができ、さらにタンク本体以外の部分である制震プレート装置で引張り荷重のエネルギーを吸収するためタンク本体の損傷を防止することができる。
引張り荷重に加えて圧縮荷重に対しても耐久性を確保するため、簡便な構造を有し効率良く内槽の横滑りや水平移動を防止し、かつタンク本体以外の部分である制震プレート装置で引張り荷重及び圧縮荷重のエネルギーを吸収するため、タンク本体の損傷防止を一層向上することができる。
低温タンク1は、外槽1aと内槽1bとからなる平底円筒形二重殻構造である。
外槽1aは外槽側板2と外槽底板3と外槽屋根5とからなり、基盤4上に固定されこの外槽1aの内部に保冷空間9と内槽底部保冷8を設けて、この内槽底部保冷8上に内槽側板6と内槽底板7と内槽屋根10とからなる内槽1bが設置されている。
この低温タンク1の内槽1bの内槽屋根10はサスペンドデッキタイプ、つまり吊り屋根10a構造で、屋根吊り材10bによって外槽屋根5の内側に吊り下げ状に固定されている。12は内槽1b下部(図1のAに示す)に設ける制震プレート装置で、円周方向に均等な間隔を設けて複数個設置する。
そのため、ガス圧Pに伴う内槽1bの浮き上がる垂直方向の力、つまりアップリスト力は内槽屋根10aと吊り材10bを介して外槽屋根5に伝達されるため、熱収縮力などによる内槽1bへのアップリフト力は小さいが、水平方向の力HPは大きい。
そこで、この水平方向の力HPに対応して水平方向の移動や横滑りや水平移動を防止するように、内槽1b下部に制震プレート装置12を設置した事例である。
この連結板15の一方端縁は内槽底板7の外周上面に溶接で確りと固着する。また連結板15の他方端縁は、内槽底部保冷8を貫通して基盤4上面から鉛直にアンカー支持台14a設け、このアンカー支持台14aを貫通して基盤4から鉛直に設けたアンカーボルト13上部に、平板状のベースプレート14を介在させてその上に連結板15の他方端縁を水平に重ね合わせて上方に突出させ、このアンカーボルト13の上端部をナット13aにて固定する。
この制震プレート装置12及び連結板15の構造については、図7で詳細に説明する。
外槽1aは外槽側板2と外槽底板3と外槽屋根5とからなり基盤4上に固定され、この外槽1aの内部に保冷空間9と内槽底部保冷8を設けて、この内槽底部保冷8上に内槽側板6と内槽底板7と内槽屋根10とからなる内槽1bが設置されている。
この内槽屋根10は密閉構造であり、通常の供用時のタンク気相部のガス圧Pに伴う内槽1bの浮き上がる垂直方向の力、つまりアップリスト力UPは内槽1bへ作用するため、このアップリフト力UPに対応するようにアンカーストラップ11が設けられている。
この第2の実施形態例は、内槽1bの下部近傍にアップリフト力UPに対応するアンカーストラップ11を設けるとともに、水平方向の力HPに対応するように制震プレート装置12を併用して設置する事例である。
内槽1bの側板6からアップリフト力UPに対応するようにアンカーストラップ11を設けるとともに、本願の制震プレート装置12は、水平力HPに対応して横滑りや水平移動を防止するようにその中間部に設置する。
この制震プレート装置12は、連結板15の一方端を内槽底板7上面に固定し、他方端はプレート14を介してアンカーボルト13上端に水平に固定設置する。
制震プレート装置12の連結板15は一方端を略矩形部15aに形成して、くり抜き長穴17を設け、内槽底板外周7の上面に長い溶接距離部18にて固着する。また他方端は略楕円形部15bに形成し、距離L(矢印)の取付長穴16を設け、アンカーボルト13の上端を取り付け、低温液受入れのクールダウンに伴って内槽が収縮して移動する距離Lにスライド追従が可能となるように形成する。
略楕円形部15bの初期取付け位置は、アンカーボルト13を取付長穴16距離Lのa1の位置に挿通して上端のナット13aで固定する。
クールダウン時のタンク内槽の収縮に伴って、連結板15にかかる引張り力(矢印で示す)によってアンカーボルト13の位置は、図の破線矢印で示すように移動して(距離L)低温液受入れ後はa2の位置で固定状態が確保される。
さらに引張り荷重がかかる場合には、略平行部15cで対抗して、弾性変形から塑性変形して引張り荷重のエネルギーを吸収する。なお、所定以上の過大な荷重がかかる場合には略平行部15cで降伏する。
また、液の変化に伴う圧縮荷重が作用した場合にはa1の位置に戻り、所定以上の圧縮荷重がかかる場合は略平行部15cで対抗する。
また、ベースプレート14は、図示を省略するが断熱材を介装して冷熱の伝導、ショートパスが生じないようにする。
このように、制震プレート装置12は構造が簡単で簡便化が図られ、組立て施工がし易く、貯蔵液変化や地震荷重などによって内槽1bにかかる水平力HPに対応し横滑りや水平移動を防止する。
制震プレート装置12の連結板15の略平行部15cには、Nの範囲の圧縮力が増すように設ける部材としてさや構造の補強部材19を装着した場合を示す。
このさや構造の補強部材19は、連結板15へ擦動自在に装着することによって引張り荷重に対しては連結板15が対抗し、圧縮方向の過大な荷重Tに対してはさや構造の補強部材19の両端縁部が当接して抵抗し、連結板15が湾曲したり潰れたりすることがない。このように、圧縮荷重のエネルギーを吸収するため、タンク本体の損傷を防止することができる。
この図示例は、略楕円形部15bをアンカーボルト13に対して遊嵌状に挿通して架設するピン差込部13bに形成した事例を示す。このようにピン差込部13bとすることにより、ピン差込部13bで略楕円形部15bの挿通部近傍が上下方向に擦動する(矢印Sで示す)ため、垂直方向の動きを拘束することなく垂直方向の過大な荷重に対する破損を防止することができる。
計測装置20は、内槽側板6表面に固着した計測端縁20aから、外槽2の外側に設けた伸縮機能を有するノズル21先端に気密固定した計測先端部20bへと至る、棒状の計測ロッド20cで形成する。この計測ロッド20cは断熱性を有する部材で形成し、ノズル21の内部には弾力性を有するグラスウールやウレタンなどの断熱材を充填する。
内槽側板6及び内槽底板7の水平方向の移動量は、伸縮機能を有するノズル21の先端に固定した計測先端部20bの移動する距離に相当する。
外槽2の外側に位置する計測先端部20bで、図に示す距離Mを計測することによって、外部からは判らない内槽側板6及び内槽底板7の移動量を確認し、さらに連結板15の伸縮量を検知することができる。このようにして、連結板15の伸縮量の計測履歴から、内部の連結板15の劣化状況や降伏の有無を判断することが可能となる。
O〜Aは弾性域(ひずみδ1)、A〜Bは塑性域(ひずみδ2)、Cは降伏位置を示す。O〜A〜B〜Oに囲まれる面積がエネルギー吸収量に相当する。
この連結板15のひずみ量を、図10に示す計測装置20による測定値M(計測端部20bの移動量)と対応させて、設計時の許容応力を設定する。
グラフの0(ゼロ)点は、連結板15を設置したアンカーボルト13のナット固定部13a(図8参照)の初期設定の取付け位置a1を示す。また、クールダウン時の内槽収縮に伴う引張り力による移動位置a2を示し、a1とa2の間隔は、クールダウン時に内槽収縮によって移動する距離Lに相当する。
また、連結板15の張力と変位L1が対応し、被覆部材19の圧縮力と変位L2が対応する。
このように、制震プレート装置12を構成する連結板15及び被覆部材19によって、液変位や地震荷重による内槽にかかる水平方向の力に対応してエネルギーを吸収して横滑りや水平移動を防止することができる。
連結板15の一部分、A−aと対向する位置のB-aについて、図14で説明する。
この制震プレート装置12は、図4で説明したように必要に応じて複数個を設置する。
クールダウンでタンクが縮み移動することにより、アンカーボルト13の位置がa1からa2に(距離L)それぞれスライドして移動する。(破線矢印)
また、低温タンク供用時に地震などによって水平方向の力が作用する場合には、15のA−a部分はa2を起点として引張力が作用し、対向する15のB-a部分はa2を起点としてまずスライド移動した後に圧縮力が作用する。さらにその後は、上記A−a部分の引張力とB-a部分の圧縮力の両方が合算して作用するため、水平方向の荷重に対して耐久力が増加しエネルギー吸収能力も向上する。
1a外槽
1b内槽
2外槽側板
3外槽底板
4基盤
5外槽屋根
6内槽側板
7内槽底板
8内槽底部保冷
9内外槽空間
10内槽屋根
11アンカーストラップ
12制震プレート装置
13アンカーボルト
13aナット固定部
13bピン差込部
14ベースプレート
14aアンカー支持台
14bアンカー基盤
15連結板
15a略矩形部
15b略楕円形部
15c略平行部
16取付長穴
17くり抜き長穴
18溶接部
19筒状補強部材
20計測装置
21ノズル
22断熱材
Pガス圧
UPアップリフト力
HP水平方向の力
HL横滑りや水平移動
Claims (2)
- 一方端縁を内槽底板外周上端面に溶着固定し、他方端縁を基盤より立設したアンカーボルト上端へ水平に架設してなる連結板を設けて形成したことを特徴とする低温タンクの制震プレート装置。
- 上記連結板の中間部に、圧縮荷重に対抗するさや構造の補強部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の低温タンクの制震プレート装置。
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