JP4865135B2 - 椅子用連結部材及びそれを備える椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右に並べた椅子を互いに連結するための連結部材、及びそれを備えた椅子に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8〜図10は、それぞれ、金属パイプ製の椅子同士を係脱自在に連結する従来の連結部材の代表的なものを示している。
【0003】
図8に示す連結部材(01)は、上下方向を向く蟻ほぞ(02)と蟻溝(03)とを備え、これを、連結しようとする杆体(P)(P)の対向面に、前後方向に食い違い状として取付け、一方の蟻ほぞ(02)を、対向する蟻溝(03)に係合させることにより、左右に並べた椅子同士を互いに連結するものである。
このものでは、蟻ほぞ(02)の角部が削れたり変形することがあるため、これを避けるために厚さを大としなければならず、全体が大型化するという問題がある。
【0004】
図9に示すものは、杆体(P)(P)の対向面に、平面視前向コ字状の連結部材(04)と、同じく後向コ字状の連結部材(05)とを、開口の向きが互いに逆になるようにして取付けたもので、形状は単純であるが、杆体(P)への取付位置が不正確であると、前後左右にがたついたり、係合不能となったりするので、取付作業に正確さを要し、手間がかかる。また、2種類の連結部材(04)(05)を必要とするため、製造コストが高くつき、また前後左右を取り違えて取り付けるおそれもある。
【0005】
図10に示すものは、杆体(P)(P)の対向面に、平面視T字状の係合片(06)を有する連結部材(07)と、上記係合片(06)係合しうるT溝(08)を有する連結部材(09)とを複数対設けたものであるが、形状がやや複雑であるとともに、破損し易く、また2種類の連結部材(07)(09)を必要とするため、製造コストが高くつく等の問題がある。
【0006】
さらに、上述のいずれのものも、外側に突起部が露呈し、それに衣服や靴またはその他のものが引っかかるおそれがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、1種類の単純な形状のものを複数用意するだけで、左右に並べた椅子同士を、前後左右にがたつくことなく、簡単かつ確実に連結することができるとともに、他物が引っかかるような突起物がなく、安全性の高い椅子用連結部材、及びそれを備えた椅子を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によると上記課題は、次のようにして解決される。 (1) 左右に並べた椅子同士を互いに連結するための連結部材であって、前後方向を向く取付部の一側面に係合部を有し、前記係合部が、前記取付部より一側方に突出する平面視鉤形の係合片と、該係合片と前記取付部との間に形成された係合溝とを備え、前記係合溝を、同一の連結部材を係合部同士が互いに向き合うように前後逆向きとして、一方の係合片を他方の係合溝に嵌合したとき、各係合片が、前後及び左右に相対移動不能となるような形状とし、さらに、前記係合溝の一方の内側面を形成する取付部側の側面を平面視V字状に凹入させ、かつ前記係合片における取付部より一側方に突出する基片の先端に連設された折曲片が基片に対し鋭角をなして、前記V字状の側面の半部と平行にV字状の谷部まで突出させる。
【0009】
(2) 上記(1)項において、全体を緩衝材料により形成する。
【0010】
(3) 椅子において、左右の側面における互いに対応する部分に、1対の上記(1)または(2)項の椅子用連結部材を、係合部が外側を向くようにして、かつ前後の向きを逆として取り付ける。
【0011】
(4) 上記(3)項において、各椅子用連結部材を、下端に接床部材として取付ける。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。
図1は、本発明の椅子用連結部材を用いて、左右に並べた2個の椅子を連結した状態を示す平面図、図2は、その側面図、図3〜図6は、その各部の詳細を示す図である。
【0013】
各椅子(1)は、金属製のパイプを折曲して、側面視方形枠状とした左右1対の側脚(2)(2)同士を、左右方向を向く適宜の数の連結材(図示略)により互いに連結し、左右の側脚(2)(2)の上部水平杆(3)(3)間に座(4)を架設し、かつ左右の側脚(2)(2)の後部より起立する左右1対の背杆(5)(5)に、背凭れ(6)を架設したものである。
【0014】
各椅子(1)における各側脚(2)の直下に位置する下部水平杆(7)の前後部には、同一形状の椅子用連結部材(以下単に連結部材という)(8)が、その左右のもの同士を互いに前後逆向きとして、かつ後述する係合部(11)がすべて外側を向くようにして、止めねじ(9)をもってそれぞれ固着されている。
【0015】
各連結部材(8)は、全体が緩衝性を有する、すなわち硬めの弾性を有する合成樹脂材料により形成され、図4〜図6に示すように、正面形ほぼC字状をなし、かつ前後方向を向く半円筒状の取付部(10)の外側面に、係合部(11)を形成したものである。
【0016】
係合部(11)は、取付部(10)より外側方に突出する平面視鉤形の係合片(12)を有し、この係合片(12)と取付部(10)との間には、係合溝(13)が形成されている。
【0017】
係合溝(13)は、図3に示すように、同一の連結部材(8)(8)を係合部(11)(11)同士が互いに向き合うように前後逆向きとして、一方の係合片(12)を他方の係合溝(13)に嵌合したとき、各係合片(12)が、前後及び左右に相対移動不能となるような形状とされている。
【0018】
この実施形態においては、その具体的な一例として、係合溝(13)の一方の内側面を形成する取付部(10)側の側面(14)を平面視V字状に凹入させ、かつ係合片(12)における取付部(10)より外側方に向かって延出する基片(12a)の先端に連設された折曲片(12b)が、基片(12a)に対して鋭角をなして、V字状の側面(14)の半部(14a)と平行に、V字状の谷部(14b)まで延出するようにしてある。
【0019】
側面(14)における残りの半部(14c)は、それと逆方向に傾斜する傾斜面(15)と協働しうるように、外側方に向かって平面視山形に突出する山部(16)を有し、その山部(16)の頂部における上下方向の中間部には、取付部(10)を貫通して上述の止めねじ(9)を挿通させるための皿孔(17)が設けられている。
【0020】
取付部(10)のC字形の内面における基片(12a)が連設されている端部寄りには、C字形の中心を向く突起(18)が形成されている。
【0021】
図4〜図6に示すように、各連結部材(8)は、椅子(1)における各下部水平杆(7)の外側面における前後の連結部材取付部に穿設した前後2個の係合孔(19)(20)のいずれか一方のもの(図6のものでは後方の係合孔(20))に突起(18)を嵌合し、かつ他方のもの(同上前方の係合孔(19))に、皿孔(17)に挿通したタッピンねじとした止めねじ(9)をねじ込むことにより、下部水平杆(7)に強固に固着され、下面が接床することにより、下部水平杆(7)を床面から若干持ち上げるように支持する。すなわち、4個の連結部材(18)は、下部水平杆(7)が直接接床しないようにする接床部材としての機能をも有している。
【0022】
このようにして、左右に2個ずつの連結部材(8)(8)を、左右のもの同士が互いに前後逆向きとなるようにして取り付けられた2個の椅子(1)(1)を、図1に示すように左右に並べて連結するには、左右いずれかの椅子(1)の互いに隣接する方の側脚(2)をわずかに持ち上げて、ぞの前後の連結部材(8)の各係合片(12)を、隣接する椅子(1)の前後の連結部材(8)の各係合溝(13)に係合するようにして上方から落とし込み、すべての連結部材(8)を接床させればよい。
【0023】
これによって、左右の椅子(1)(1)は、前後及び左右のいずれの方向にも相対移動不能として互いに連結される。
【0024】
なお、図1及び図3に示す例では、対向する1対の連結部材(8)(8)同士を互いに係合させたとき、一方の係合部(11)と他方の係合溝(13)との間に若干の遊びが形成されるようにしてあり、これによって、各連結部材(8)の下部水平杆(7)への取付位置の若干の狂いや、椅子(1)の変形等を許容できるようにしている。
【0025】
左右の椅子(1)(1)の連結を解除するには、いずれか一方の椅子(1)の全体、または隣接している方の側脚(2)のみを、上方に若干持ち上げて、互いに係合している連結部材(8)(8)同士の一方を他方に対して上方に離脱させるだけでよい。
【0026】
本発明における連結部材(8)の係合部(11)の形状は、上述の図1〜図6に示すもののみに限定されるものではなく、幾多の変化変形が可能である。
【0027】
例えば、図7に示すように、上述の折曲片(12b)に相当する折曲片(12b')の先端部と係合溝(13')の先端部との形状をほぼ円形として、両連結部材(8')(8')同士を互いに係合させたとき、両係合片(12')が互いに巴状をなして緊密に係合するようなものとしてもよい。なお、図7において、図1〜図6に示す実施形態におけるものと同一または類似の部材には、同一またはダッシュを付した符号を付して図示するに止め、それらについての詳細な説明は省略する。
【0028】
【発明の効果】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
(a) 請求項1記載の発明によると、1種類の単純な形状のものを複数用意するだけで、左右に並べた椅子同士を、前後左右にがたつくことなく、簡単かつ確実に連結することができるとともに、蟻柄と蟻溝とを用いた従来のもののような鋭角の角部をなくすことができ、その部分からの削れや変形を防止することができる。
【0029】
また、一方の係合片を他方の係合溝に嵌合することにより、1対の連結部材同士の前後及び左右への相対移動が確実に阻止され、左右の椅子同士を確実に連結することができる。
【0030】
(b) さらに、係合片の折曲片の先端が、V字形の係合溝の谷部に位置し、外方に向かって突起物として突出することがないので、その先端に衣服その他の物が引っ掛るおそれがなく、安全である。
【0031】
(c) 請求項2記載の発明によると、連結部材に人体や他物が衝突しても、それらを傷つけることがなく、安全である。
【0032】
(d) 請求項3記載の発明によると、同一形状の少なくとも2個の連結部材を、前後の向きを逆とするだけで、椅子の左右の側面の対応する部分に、同一要領で簡単に取り付けることができる。
【0033】
(e) 請求項4記載の発明によると、接床部材を別途設ける必要がなくなり、製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の椅子用連結部材を用いて、左右に並べた2個の椅子を連結した状態を示す平面図である。
【図2】 同じく、側面図である。
【図3】 図1のA部の拡大平面図である。
【図4】 本発明の椅子用連結部材の一実施形態の斜視図である。
【図5】 図1のV−V線に沿う拡大縦断正面図である。
【図6】 図5のVI−VI線に沿う横断平面図である。
【図7】 本発明の椅子用連結部材の変形例により、左右の椅子を連結したときの要部の平面図である。
【図8】 従来の椅子用連結部材の第1の例を示す斜面図である。
【図9】 従来の椅子用連結部材の第2の例を示す斜面図である。
【図10】 従来の椅子用連結部材の第3の例を示す斜面図である。
【符号の説明】
(1)椅子
(2)側脚
(3)上部水平杆
(4)座
(5)背杆
(6)背凭れ
(7)下部水平杆
(8)椅子用連結部材
(9)止めねじ
(10)取付部
(11)(11')係合部
(12)(12')係合片
(12a)(12a')基片
(12b)(12b')折曲片
(13)(13')係合溝
(14)(14')側面
(14a)(14c)半部
(14b)谷部
(15)傾斜面
(16)山部
(17)皿孔
(18)突起
(19)(20)係合孔
Claims (4)
- 左右に並べた椅子同士を互いに連結するための連結部材であって、前後方向を向く取付部の一側面に係合部を有し、前記係合部が、前記取付部より一側方に突出する平面視鉤形の係合片と、該係合片と前記取付部との間に形成された係合溝とを備え、前記係合溝を、同一の連結部材を係合部同士が互いに向き合うように前後逆向きとして、一方の係合片を他方の係合溝に嵌合したとき、各係合片が、前後及び左右に相対移動不能となるような形状とし、さらに、前記係合溝の一方の内側面を形成する取付部側の側面を平面視V字状に凹入させ、かつ前記係合片における取付部より一側方に突出する基片の先端に連設された折曲片が基片に対し鋭角をなして、前記V字状の側面の半部と平行にV字状の谷部まで突出させたことを特徴とする椅子用連結部材。
- 全体を緩衝材料により形成した請求項1記載の椅子用連結部材。
- 左右の側面における互いに対応する部分に、1対の請求項1または2記載の椅子用連結部材を、係合部が外側を向くようにして、かつ前後の向きを逆として取り付けたことを特徴とする椅子。
- 各椅子用連結部材を、下端に接床部材として取付けてなる請求項3記載の椅子。
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