JP4863910B2 - 薄板基材の搬送用治具及びプリント配線基板の製造方法 - Google Patents
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Description
このローラコンベア方式の処理装置は、例えば図11に示すように、上側搬送ローラ8と下側搬送ローラ9が適当な間隔を置いて配置された構造になっている。このローラコンベアで薄板基材3を搬送しながら、ローラコンベア31の上下に配置されたスプレーノズル10から薄板基材3の両面に処理液11を吹き付けることにより湿式処理が行われている。
近年、プリント配線基板の薄板化が進み、厚さが0.2mm以下の薄板基材では剛性が不足して、図12(a)に示すように、基材の自重や処理液のスプレー圧により薄板基材3が曲がり、ローラコンベア31の下側搬送ローラ9の間から脱落して不良となったり、図12(b)に示すように、上下の搬送ローラ8、9間にうまく引き込めずに、薄板基材3が折れ曲がったり、割れたり、破れたりというトラブルが発生している。
特許文献1に開示された技術例では、先導板と被処理基板との間の連結手段を改良して、簡単に、短時間で、確実に処理基板を着脱できるようにしている。
また、薄板基材をローラ搬送しつつ確実に各種の処理を施すことができるように、薄板基材の搬送方向先頭に先導板を接続する例として、基板よりも剛性の高い材料からなる先導板を薄板基材の搬送方向先頭に接続する方法も知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に開示された技術例では、先導板の末尾に凸片を凸設し、この凸片と被処理基板とをフッ素樹脂製のテープで貼り付け、ローラコンベア上を搬送することにより、搬送中に処理液や洗浄液等を噴射しても基板がローラコンベアから脱落するのを確実に防ぐことができ、基板処理効率を高く安定に保つことができるとされている。
また、先導板の他の形状例としては、図14に示すように、先導板6の先導部6aの両側から搬送方向と反対側に延在する一対の側片6c、6dを一体に設け、これらの先導部6a及び側片6c、6dに囲まれた門型形状の中空部6bの内側に薄板基材3を収容して、先導部6a及び側片6c、6dと被処理薄板基材3とをフッ素樹脂製のテープ4で貼り付ける方法も開示されている。
図16(a)は薬液処理装置を上から見た平面図、(b)は(a)の線E−E’に沿った断面図、(c)は(a)の線F−F’に沿った断面図である。図16に示すように、図13に示すロの字型形状の先導板5を貼り付けた薄板基材3はコンベア方式の薬液処理装置へ薄板基材3を貼り付けた側を上側にして投入する。
薄板基材3の搬送方向両端と幅方向の両端は、基材搬送用治具に貼り付けられているために、コンベア方式の薬液処理装置で弛みや跳ね上がりの搬送トラブルを発生させることは無く、E−E’断面やF−F’断面で見ても、薄板基材3の中央部のへこみも浅く残留する処理液11の量も比較的少なくなる。
また、図14に示す門型形状の先導板6を使用した場合には、薄板基材3の後端は門型の形状をした先導板側片が無い部分となるために、薄板基材後端側へ処理液11が逃げることが可能で、図9(b)及び(c)に示したように薄板基材3の弛みも少なく、薄板基材3上に残留する処理液11も少なくなり、次の処理槽への処理液の持ちこみ量を比較的少なくすることができるとされている。
一例として図17に、自動投入機、現像処理装置、水洗装置、熱風乾燥コンベア、吊下げ式乾燥炉、自動受取機で構成される、ソルダーレジスト現像・乾燥一貫ラインを例に挙げて説明する。図17において32は自動投入機,33は現像処理装置,34は水洗装置,35は熱風乾燥コンベア,36は吊下げ式乾燥炉,37は自動受取機である。ここで自動投入機32には、後述するようなラック7に収容された薄板基材3がセットされている。
薄板基材3は、搬入用コンベア22で搬送され、薄板基材3の先端がリフト24に取り付けられたリフトチャック25の位置に来るまで搬送される。この位置で薄板基材3の先端がリフトチャック25にてクランプされ、リフト24により上昇させられ、搬送用爪20の位置まで持ち上げられ、搬送用爪20に受け渡される。搬送用爪20はチェーン21の回動により薄板基材3を吊下げたまま乾燥ゾーン26および冷却ゾーン27を通過する。搬出コンベア23の上方に達した薄板基材3は、基材受取アーム28に受け渡され、基材受取アーム28に上端を保持された状態で水平方向に転じて、搬出コンベア23上に載せられ、自動受取機へ送られる。
あった。
このような構成の搬送用治具を使用すれば、剛性に乏しい薄板基材を自動化ラインで処理する場合にも、搬送時の脱落や折れ曲がり、割れ、破れなどのトラブルを防止することができ、薬液処理工程においても容易に液切りできる利点がある。
薄板の厚さは0.25mm以上0.8mm未満とすることが好ましい。
また、凹部に面した先導部と袖部の内側先端が水平面となす角度θは、30〜45度とすることが好ましい。
このような製造方法を採用すれば、剛性に乏しい薄板基材を自動化ラインで処理する場合にも、搬送時の脱落や折れ曲がり、割れ、破れなどのトラブルを防止することができ、薬液処理工程においても容易に液切りすることができる。
本発明の搬送用治具1は、図1(a)に示すような門型の形状をした搬送用治具である。搬送用治具1の搬送方向先端には先導部1aを有し、先導部1aの両端からは搬送方向と逆方向に延伸する袖部1b,1cを有し、これら先導部1aと袖部1b,1cに囲まれた中心部に搬送用治具の凹部2が形成されている。
図2(a)に本発明の搬送用治具1に薄板基材3をテープ4で貼り付けた状態を平面視して示し、図2(b)は(a)に示した搬送用治具1を図示矢印の方向から見た図である。本発明の搬送用治具1では、図2に示すように搬送用治具の凹部2内に薄板基材3をテープ4で貼り付けて使用する。薄板基材3は搬送用治具1の1b、1c内側に僅かに重ねてある。
このように搬送用治具1の袖部1b,1cを薄板基材3の後端よりも後ろにはみ出させることにより、後述するようにラックに立てかける際にラックの底部には搬送用治具だけが接触し、薄板基材の下端は接触しないので薄板基材後端を保護する効果が生まれ、薄板基材の割れ、破れなどの発生が皆無となり、薄い基板の下端が損傷するのを防止することができる。
搬送用治具の凹部2の内側をこのような鋭角に構成することにより、図5(a)に示すように、薄板基材3と搬送用治具1が接する部分は広く開いており、液体が溜まりづらく、搬送用治具1と薄板基材3の接合面に残留する薬液や洗浄水などの液体38の量を極めて少なくすることができる。
先導部1aや袖部1b,1cの先端を図5(b)のように直角に構成しておくと、薄板基材3と搬送用治具1の接する部分に液体が溜まりやすく、搬送用治具1と薄板基材3との接合面に残留する液体38の量が多くなるので好ましくない。
ここで、凹部は、図3に示したように幅方向の長さ2Wは処理する薄板基材の長さより短く、搬送方向の長さ2Lは処理する薄板基材の長さより長く形成する。実際には、搬送用治具と薄板基材との重なり幅が大きすぎる場合には処理液が隙間に入り込み、後の処理槽へ多量の液体が持ち込まれたり、薄板基材の乾燥後に染み出してきて、薄板基材を汚染することがあるので、重なり幅が3mmから10mm程度になるように凹部2の寸法を決定することが望ましい。当然、外形寸法は、自動投入・コンベア搬送・自動受取の各装置で搬送・受け渡しが可能な大きさとなり、トラブルの発生しない寸法で作製されねばならない。
搬送用治具に薄板基材を貼り付ける際には、薄板基材の搬送方向の前端と幅方向の両端を搬送用治具と重ねたうえでテープで貼り付ける。このテープは、薬液処理装置での搬送中に剥がれることの無い粘着力を持ち、処理液への耐性も備えたテープが用いられる。また、乾燥装置など高温にさらされる処理にも投入されるので、耐熱性も兼ね備えている必要がある。
この時、搬送用治具1を使用すれば、搬送用治具1の後端1dが薄板基材3の末端3aよりも後ろに張り出しているので、図6に示すように薄板基材3の末端3aが直接ラック7に接触しないので、薄くて脆い薄板基材3が割れたり損傷することはない。
次に基材取り出し位置13に到着したラック7は、薄板基材3−1と直後の背もたれ棒12bと共に、傾斜方向を反転させられ(図8(b)参照。)、続けて、背もたれ棒12bの傾斜方向を反転させることで、背もたれ棒12aと12bは、V字状に開いた状態になり、薄板基材3−1は背もたれ棒12aの側へ寄りかかった状態になる(図8(c)参照。)。
そして、薄板基材3−1が起倒コンベア17に乗り移ったところで、起倒コンベア17は薄板基材3−1を載せた状態で水平まで倒れ、現像ライン入口のコンベア18に薄板基材3−1を供給する。
また、薄板基材3の後端は門型の形状をした搬送用治具が無い部分に面しているために、薄板基材後端側へ処理液が逃げることが可能となり、次の槽への処理液の持ち込み量を少なくすることができる。
図9(a)は薬液処理装置の現像処理装置や水洗装置の間等に設置される吸水ロール部分の平面図を示し、図9(b)は(a)の線C−C’に沿った断面図を示し、図9(c)は(a)の線D−D’に沿った断面図である。図9(b)、(c)に示すように、本発明の搬送用治具1に貼り付けた薄板基材3は、吸水ロール19部分での弛みも少なく、薄板基材3表面に残留する処理液11の量を極めて少なくすることができる。
図10に示すように、自動受取機37は受取アーム29に薄板基材3を載せた状態で支点を中心に回転し、L形ラック30に薄板基材3を立てかける。
プリント配線基板を製造するための各工程を経て必要な加工を終えた段階で、薄板基材は搬送用治具からはずされるが、この搬送用治具は1回の使用で使用不能になることは無く、繰り返し再利用が可能である。
次に、板厚0.05mm、銅箔厚12μm、サイズ405×335mmの両面銅張積層板(住友ベークライト製ELC−4785GS)に、公知の方法により孔明け、スルーホールメッキ、回路形成を行い、両面に回路パターンが形成された薄板基材を作製した。
回路パターンが形成された薄板基材に、公知の方法でレジスト塗工、レジスト露光を行った。
レジスト露光を終えた薄板基材を、図2のように薄板基材の搬送方向の前端と幅方向の両端が、搬送用治具と約3mm重なるように配置してテープ(Ideal Tape Company製9190)で貼り付けた。つまり、薄板基材の搬送方向の前端と幅方向の両端は、搬送用治具にしっかり固定され、搬送方向の後端は、搬送用治具の後端よりも約10mm前に位置するように貼り付けた。
搬送用治具の後端が約10mm張り出すように薄板基材を貼り付けているので、ラックに立てかけても、薄板基材の後端はラックに接触せず、背もたれ棒の揺動動作でもラックの底部と擦れることの無いように保護されている。
ローラコンベア方式の薬液処理装置での搬送時に、搬送用治具の薄板基材を貼り付けた面が上側になるような向きで、薄板基材を貼り付けた搬送用治具を収納したラックを自動投入機にセットし、自動投入作業を起動した。
搬送用治具に薄板基材を貼り付けたことで、図8(c)のように寄りかかった状態を保ち、図8(d)のように搬送用治具の下端がフックにのり、エスカレータベルトが上昇中も図22のごとく、煽られることもなく、正常に投入することができた。
現像・水洗・熱風乾燥ラインに投入された搬送用治具に貼り付けた薄板基材は、搬送方向前方端と幅方向の両端の3辺を搬送用治具に貼り付けられているために、ローラコンベアの間から脱落して搬送不能になったり、薄板基材が折れたり、割れたり、破れたりというトラブルの発生は無く、現像・水洗・熱風乾燥処理を完了できた。
搬送用爪に吊下げられた搬送用治具に貼り付けた薄板基材は、チェーンの回動により乾燥ゾーン・冷却ゾーンを通過し、搬出用コンベアの上方に達した。搬出用コンベアの上方に達した搬送用治具に貼り付けられた薄板基材は、基材受取アームに受け渡され、搬出用コンベア上に載せられ、自動受取機へ送られたが、基材受取アームも搬送用治具の部分をクランプするので、トラブルの発生は無かった。
自動受取機へ送られた搬送用治具に貼り付けた薄板基材は、搬送用治具が張り出している側を上側にして搬送用治具の搬送方向前端がL型ラックの底部に接する向きで、L型ラックに立てかけられた。
搬送用治具から取り外した薄板基材にNiAuメッキを施したところ、NiAuメッキの不具合の発生も無く、処理槽間での液切り状態も問題なかったことが確認できた。
板厚0.50mm、銅箔厚35μm、サイズ515×515mmの両面銅張積層板(松下電工製R−1766)の両面の銅箔を塩化第二鉄エッチング液で全面除去した。搬送用治具として銅箔を除去した前記積層板をルータで外寸480×442mmに加工し、その内側を内寸399mm×329mmにくり抜いて、図13に示したような中央部がロの字型の形状をした従来型の先導板を作製した。(図13参照。)
実施例と同様に作製され、レジスト露光を終えた薄板基材を、上記のロの字型の先導板に薄板基材と先導板とが約3mm開くように配置し、テープ(Ideal Tape Company製9190)で貼り付けた。
以下、実施例と同様に処理した結果、薄板基材の折れ・割れ・破れなどの発生は無かったが、NiAuメッキを施したところ、NiAuメッキの光沢ムラが発生した。
板厚0.80mm、銅箔厚35μm、サイズ515×515mmの両面銅張積層板(松下電工製R−1766)を材料にして、比較例1と同様に加工して図14に示したような中央部に門型形状の中空部を有する板基材用搬送用治具を作成した。
搬送用治具以外は、実施例と同様の条件で処理を行った結果、薄板基材の折れ・割れ・破れの発生は無かったが、乾燥ジミに起因するNiAuメッキの光沢ムラが発生した。
1a,5a,6a 先導部
1b、1c 袖部
1d 後端
2 凹部
2a、2b、2c 内側
2W 凹部の幅方向長さ
2L 凹部の搬送方向長さ
3 薄板基材
4 テープ
5,6 先導板
5b,6b 中空部
7 ラック
8 上側搬送ローラ
9 下側搬送ローラ
10 スプレーノズル
11 処理液
12、12a、12b 背もたれ棒
13 基材取り出し位置
14 ラック搬送ベルト
15 エスカレータベルト
16 フック
17 起倒コンベア
18 現像ライン入口のコンベア
19 吸水ロール
20 搬送用爪
21 チェーン
22 搬入用コンベア
23 搬出用コンベア
24 リフト
25 リフトチャック
26 乾燥ゾーン
27 冷却ゾーン
28 基材受取アーム
29 受取アーム
30 L型ラック
31 コンベア
32 自動投入機
33 現像処理装置
34 水洗装置
35 熱風乾燥コンベア
36 吊下げ式乾燥炉
37 自動受取機
38 液体
Claims (5)
- 剛性の高い材質の薄板からなる平面形状が門型形状をした搬送用治具であって、搬送方向先端には先導部を有し、該先導部の両端から搬送方向と逆方向に延伸する薄板基材より長い袖部を有し、薄板基材の3辺が前記先導部と袖部に重ねて固定され、前記先導部と袖部に囲まれた凹部に面した先導部と袖部の内側は、薄板基材を重ねる面側が平面であって、反対面側に斜面を有し、その断面形状は先端が鋭角をなしてなることを特徴とする薄板基材の搬送用治具。
- 薄板基材の3辺が3〜10mm先導部と袖部に重ねて固定されることを特徴とする請求項1に記載の薄板基材の搬送用治具。
- 厚さが0.25mm以上0.8mm未満で、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、プロピレン樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂のうちいずれか1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の薄板基材の搬送用治具。
- 搬送方向先端には先導部を有し、該先導部の両端から搬送方向と逆方向に延伸する薄板基材より長い袖部を有し、前記先導部と袖部に囲まれた凹部に面した先導部と袖部の内側は、薄板基材を重ねる面側が平面であって、反対面側に斜面を有し、その断面形状は先端が鋭角をなしている搬送用治具を用いて、薄板基材の3辺を前記先導部と袖部に重ねて固定し、プリント配線基板の製造一貫ラインで処理することを特徴とするプリント配線基板の製造方法。
- 前記搬送用治具に、薄板基材をテープで貼り付けて固定することを特徴とする請求項4に記載のプリント配線基板の製造方法。
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