JP4863759B2 - 検眼装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ディスプレイの画面に各種の検査視標を表示する視標呈示装置を持つ検眼装置に関する。
検眼システムにおける視標呈示装置としては、検査視標をスクリーンに投影するタイプの装置の他、液晶を用いたディスプレイタイプの装置が下記の特許文献1にて知られている。被検眼の矯正屈折力の両眼バランスを調整する両眼バランス検査の際、投影タイプの視標呈示装置においては、視力検査視標を横2段に並べて配置するともに、上段と下段の視標に互いに直交する偏光軸を持つ偏光フィルタを配置した検査視標を呈示する。被検者の右眼と左眼に、検査視標と対応した偏光フィルタをそれぞれ配置することにより、上段の視標と下段の視標を左右眼に別々に呈示することができる。
特許文献1の装置は、相前後して配置される2つの液晶表示装置と、互いに直交する偏光軸を持つ2つの偏光フィルタとを備える構成であり、従来の投影タイプの装置と同様な両眼バランス検査視標の呈示が可能である。
特表平5−130975号公報
しかしながら、上記のような両眼バランス検査視標を呈示するために、特許文献1のように2つの液晶表示装置及び2つの偏光フィルタを配置する構成は、複雑であり、コスト高となる。また、装置も大型化する。
本発明は、上記従来装置に問題点に鑑み、装置構成を複雑とすることなく、両眼バランス検査を精度良く行える検眼装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 左右の検眼窓に光学素子をそれぞれ切換え配置して被検眼の矯正屈折力を自覚的に検査する検眼装置本体と、ディスプレイの画面に各種の検査視標を表示する視標呈示装置と、該視標呈示装置の検査視標を選択する信号を入力するコントローラと、を備える検眼装置において、
前記視標呈示装置は、前記コントローラから入力される両眼バランス検査の選択信号に基づいて横一列に並べた視力検査視標を持つ両眼バランス検査を表示する表示制御手段を備え、前記検眼装置本体は、両眼バランス検査の前記選択信号に基づき、基底方向が上下逆となる所定の同度数のプリズムを左右の検眼窓にそれぞれ配置する光学素子切換手段を備えることを特徴とする。
(2) (1)の表示制御手段は、前記視力検査視標の上位置及び下位置にて、且つ左右が同じ位置に、同一の融像刺激用の図形を持つ両眼バランス検査視標を表示することを特徴とする。
(3) (1)の検眼装置において、前記プリズムはプリズム度数が可変なロータリプリズムであり、前記コントローラは、左右の検査窓にそれぞれ配置された前記ロータリプリズムのプリズム度数を左右同時に増減させる信号を前記光学素子切換手段に入力する信号入力手段を備えることを特徴とする。
(4) (3)の検眼装置のおいて、前記信号入力手段は、左右の検査窓にそれぞれ配置された前記ロータリプリズムの上下方向のプリズム度数を左右同時に増減させる信号を前記光学素子切換手段に入力する上下プリズム切換信号入力手段と、前記ロータリプリズムの左右方向のプリズム度数を左右同時に増減させる信号を前記光学素子切換手段に入力する左右プリズム切換信号入力手段と、を備えることを特徴とする検眼装置。
(5) ディスプレイの画面に各種の検査視標を表示する視標呈示装置と、該視標呈示装置の検査視標を選択する信号を入力するコントローラと、を備える検眼装置において、
前記視標呈示装置は、前記コントローラから入力される両眼バランス検査の選択信号に基づいて横一列に並べた視力検査視標と、該視力検査視標の上位置及び下位置にて、且つ左右が同じ位置に、融像刺激用の同一の図形を持つ両眼バランス検査視標を表示する表示制御手段を備え、基底方向が上下逆となる所定の同度数のプリズムを左右眼の眼前にそれぞれ配置して両眼バランス検査を行うことを特徴とする。
本発明によれば、装置構成を複雑とすることなく、両眼バランス検査を精度良く行える。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本実施形態の検眼システム100の構成概要図である。1は被検者と検者の間に配置される検眼テ−ブル、60は自覚的に被検眼の屈折力や視機能を検査する検眼装置本体であり、検眼装置本体60は左右対称な一対のレンズ室ユニット62と、この左右のレンズ室ユニット62を吊下げ支持する支持ユニット63を備える。左右のレンズ室ユニット62の内部には、球面レンズや円柱レンズなど多数の光学素子を同一円周上に配置した回転ディスクが回転可能に設けられており、左右のレンズ室ユニット62のそれぞれに設けられた検眼窓61に光学素子が切換え配置される。支持ユニット63は、被検者の瞳孔間距離に合わせて検眼窓61の間隔を変える為に、左右のレンズ室ユニット62の間隔を調整するスライド機構、及び左右のレンズ室ユニット62の輻輳角を調整する輻輳機構を持つ。
70は視標呈示装置であり、装置本体の筐体71に視標を呈示するためのカラー液晶のディスプレイ(LCD)72が取り付けられた構成となっている。視標呈示装置70はリレーユニット6と接続され、コントローラ5により操作される。75は液晶ディスプレイ72に表示される検査視標である。この視標75はコントローラ5の操作によって切り替えられる。視標75はディスプレイ72の中央に表示される構成となっており、被検者がディスプレイ72の中央から視線をずらすことなく視力検査ができる。筐体71は全体に丸みを帯びた構造にしており、ディスプレイ72付近等で、室内光による筐体71の角部で光が反射する現象(エッジが立つ)が起こりにくいようにしている。視標呈示装置70は壁に掛けられたり、スタンド等によって、検眼装置70と同じ程度の高さに位置される。これら、検眼装置60及び視標呈示装置70により検眼システム100が構成される。
図2は、左眼測定用のレンズ室ユニット62を上側から見た部分断面図である。Lは測定光軸であり、Eは被検眼を示す。レンズ室ユニット62のカバー20内には、ディスク群10、それぞれ開口及び複数の光学素子を備える6枚の回転ディスク11〜16が軸30を回転中心にして配置されている。各ディスクの配置は、被検眼E側から近い順に強球面レンズディスク11、弱球面レンズディスク12、強円柱レンズディスク13、弱円柱レンズディスク14、第1補助レンズディスク15、第2補助レンズディスク16となっている。各ディスクの外周にはギヤが形成されており、それぞれモータ18(18a〜18f)により回転され、光軸Lに配置する光学素子の切換えが行われる。40aは検者側の検眼窓4に配置された保護ガラス、40bは被検眼E側の検眼窓4′に配置された保護ガラスを示す。
ディスク15は、第1群の補助レンズ150を保持するものである。開口以外の穴には、+0.12Dの球面レンズ、緑フィルタ/赤フィルタ、分散プリズム(6/10△)、±0.50Dのクロスシリンダレンズ、偏光板(135度と45度)、+0.12D付き偏光板、マドックスレンズ、等が設けられている。なお、遮蔽部,ピンホールもディスク15に設けられているが、これはディスク15に一体成型により形成されている。
ディスク16は、第2群の補助レンズ160を保持するものであり、開口以外の穴には、ロータリプリズム、±0.25及び±0.50のクロスシリンダレンズ、±0.25Dのオートクロスシリンダレンズ、眼幅調整用のマークが付された素通しのレンズ、+10Dの球面レンズ、−10Dの球面レンズ、等の補助レンズが配置されている。ロータリプリズム、クロスシリンダレンズは、光軸Lを中心にそれぞれ回転可能に設けられている。図中の第2群の補助レンズ160には、ロータリプリズムとして説明する。ロータリプリズム160は、同じ度数の2つのプリズム160a、160bから構成される。ロータリプリズム160は2つのプリズム160a、160bを相対的に回転させることで、プリズム度数と基底方向を連続的に変化させることができる補助レンズである。プリズム160a、160bはフレネル式のものにすれば、その厚みが抑えられ、有利である。
図3は、ディスク13、14に設けられた円柱レンズ130、140、及びディスク16に設けられた第2補助レンズであるロータリプリズム160の回転機構を説明する図である。円柱レンズ130は歯車を持つホルダ131により、光軸Lを中心に回転可能にディスク14に取り付けられている。同様に、円柱レンズ140は歯車が形成されたホルダ141により、光軸Lを中心に回転可能にディスク14に取り付けられている。ホルダ131及び141の歯車は、軸30を中心に回転する太陽歯車200に噛み合っており、太陽歯車200に連結した歯車201、リレー歯車202を介してモータ203の回転が円柱レンズ130及び140に同時に伝達される。
また、ロータリプリズム160も歯車が形成されたホルダ162により、光軸Lを中心に回転可能にディスク16に取り付けられている。ホルダ162の歯車は、軸30を中心に回転する太陽歯車163に噛み合っており、この太陽歯車の内側に一体的に形成された歯車がリレー歯車164を介してモータ165に連結している。なお、図3に示すようにロータリプリズム160をディスク16に回転可能に取り付ける場合には、ディスク16の反対側にも光軸Lを中心に回転可能なホルダを取り付け、そのホルダの歯車を太陽歯車173に噛み合わせる。太陽歯車173には歯車174が連結しており、この歯車174にリレー歯車175を介してモータ176の回転を伝達する。
次に、本実施形態のコントローラ5を説明する。図4はコントローラ5を上から見た図である。50は視標や検査の設定等を表示するモニタである。スイッチパネル55には、左右に回すことで数値の増減を行う光学素子の切換信号入力手段となるダイアル56、球面度数S、乱視度数C、乱視軸角度A、瞳孔間距離PD等のデータを変更するモードに切り換えるためのモードスイッチ58、プログラム検眼用のスタートスイッチ59等の操作スイッチが備えられる。57は表示モードを設定変更するためのメニュースイッチである。58aは度数スイッチであり、球面度数S、乱視度数C、乱視軸角度Aのいずれかを選択するモードに切り換えるためのスイッチである。
次に、モニタ50の表示画面を説明する。図5は検眼時にモニタ50に表示される表示画面を示す図である。ここでは、被検眼の左右眼の完全矯正度数を検眼した後に、両眼バランス検査を行う場合の表示画面を説明する。80は検眼情報表示画面であり、現在、レンズ室ユニット60に配置されている光学素子の情報や、他の装置から取得した被検者の屈折力情報が表示されている。画面80の一部は、タッチパネルになっており、表示されたアイコンに触れることで、設定を変更したり、画面を切り換えることができる。81は、視標呈示装置20に呈示する視標を選択する(切り換える)ための視標チャート選択ボタンである。現在呈示されている視標チャートの情報は、チャートビュア81aに表示される。82は、補助レンズの表示と切換をする補助レンズ選択ボタンである。これらのボタンは、タッチパネルにて操作できる構成となっている。84は度数表示部で、光学素子の情報等が表示されている。ここに表示されている数値を変更して、光学素子の配置等を切り換える場合は、コントローラ5のモードスイッチ58で項目を選択し、ダイアル56等で数値を増減して行う。85はメッセージウインドウで現在の検査に関する情報が表示される。86はプリズム度数ウインドウであり、後述する両眼バランス検査において、両眼の補助レンズにロータリプリズム160が挿入された場合に表示され、ロータリプリズム160の度数を表示する。
図6は検眼システム100の制御ブロック図を示す図である。リレーユニット6の制御部6aに視標呈示装置70の制御部73、検眼装置60の制御部65、コントローラ5の制御部51が接続されている。制御部73はディスプレイ72と接続され、コントローラ5からの制御信号によって、視標を切り換える。また、ディスプレイ72に表示する視標の表示制御を行う。制御部65はモータ18と接続され、指令信号により、モータを駆動させる。モータ18はディスク群10と接続され、制御部65の指定する光学素子を配置させる。制御部51は、モニタ50、スイッチ55と接続され、モニタ50、スイッチ55からの制御信号(視標の切換えや光学素子の切換え等)を制御部6aへと送る。制御部6aは制御部51の制御信号をそれぞれ制御部65.75へと分配する。
以上のような構成を備える検眼システムにおいて、偏光板を用いず、ロータリプリズム160を用いて両眼バランス検査を行う手順を説明する。先に説明した検眼装置60及び視標呈示装置70を操作し、被検眼の右眼、左眼のそれぞれの屈折度数(球面度数、乱視度数、乱視軸)を求め、左右眼それぞれの最高視力を求め、完全矯正値を得る。これらの検査については、説明を省略する。完全矯正値を得た後に、検査窓61に被検眼の最高視力を得る球面レンズ、円柱レンズを配置した上で、両眼視機能検査を行う。
図7は、本実施形態の両眼バランス検査用視標を説明する図である。図7(a)は、ディスプレイ72に表示された両眼バランス検査視標90である。91は白色(輝度値の高い)で構成された横長のスリットである。92は黒色(低い輝度値)で構成された背景であり、ディスプレイ72の全面にわたる。93はスリット91上に横一列に配置された視標群である。この視標群93にはランドルト環やE字、数字、図形等が用いられる。本実施形態では、図示するように、視標93a〜93dと順番に視力値が大きいもの(視標のサイズとしては小さいもの)になっていく構成としている。94は融像刺激となる図形である融像視標であり、スリット92の上下に配置される。融像視標94a、94b、94cはそれぞれスリット92を挟んで対となり、垂直方向(上下方向)では、同じ位置に配置される。また、融像視標94a、94b、94cは、スリット92の水平方向の中心を基準とし、上下に等距離に配置される。対となる融像視標94a、94b、94cは、それぞれが同形状、同サイズ、同色の図形にて構成される。ここでは、融像視標94aが白抜きの四角、融像視標94bが白抜きの丸、融像視標94cが白抜きの三角の図形で表示される。なお、融像視標の図形は、多角形や星型等の印、文字等であってもよい。また、融像視標94は白色に限らず、融像刺激なる視認し易いものであれば、白黒以外の色で表示されてもよい。
両眼バランス検査の開始の入力は、モニタ50の視標チャート選択ボタン81より行う。両眼バランス検査用視標90は、モニタ50で視標チャート選択ボタン81から視標90を示すボタン(アイコン)が選択されることで、ディスプレイ72に表示される。視標90の選択信号は、モニタ50に送られ、モニタ50の表示画面が図6に示したように切換る。モニタ50では、視標90の模式図(イラスト)がチャートビュア81aに表示され、補助レンズ82にはロータリプリズム160を示すアイコンが表示される。メッセージウインドウ85には、両眼バランス検査に関するメッセージが表示され、プリズム度数ウインドウには現在のロータリプリズム度数が表示される(ここでは、2△)。
また、この選択信号は制御部6aを介して、制御部73、制御部65へと送られる。制御部73は、ディスプレイに視標90を表示させる。また、制御部65は、モータ18fを駆動し、ティスク16を回転させて、検査窓61の右眼、左眼にそれぞれ基底方向が上下逆となるロータリプリズム160を配置させる。
このとき、ロータリプリズムは右眼が2△BD(Base Down、基底下方)、左眼が2△BU(Base Up、基底上方)の度数にて配置される。ここでは、左右眼前に配置されたロータリプリズム160のプリズム度数(フレ量)を同じとする。これにより、検査窓61を通して、視標を見る被検者には、右眼では本来の位置よりも上方にものが見え、左眼では本来の位置よりも下方に見えるようになる(図7(b)、(c)参照)。
図7(b)で示されるように、2△BDのロータリプリズム160によって、視標90が点線で示される本来の位置よりも矢印D1の示す分だけ上方にフレているのが分かる。左眼の場合も同様に、矢印D2分だけ、視標90が下方にフレて見える。この矢印D1、D2が、ロータリプリズム160によるフレ量2△を表している。
このようにして、被検者には、右眼(図7(b))、左眼(図7(c))で視標90の見える位置が上下にずれて(分離して)見える。このため、被検者は、図7(d)に示すように上下に見える視標90を比較することができる。患者は、被検者が右眼で見た指標90と左眼で見た視標90がはっきり見えるか、ぼやけて見えるか等の申告に基づいて、被検者の両眼の視力値に適切な矯正度数を決める。
このとき、対となる融像視標94a、94b、94cが同一形状、同サイズ、同色であるため、被検者がそれぞれの融像視標94a、94b、94cにて融像し易くなる。被検者が図7(b)の融像視標94bの下方と、図7(c)の融像視標94bの上方と合せる(融像する)ことにより、上下に分離された視標90が近づき、図7(d)に示すように見え、比較がし易くなる。また、融像視標94a、94b、94cが上下同位置に配置されるため、図7(d)のように、左右眼で比較する視標90が上下にそろう。また、融像視標94があることにより、斜位のある被検者でも両眼バランス検査がし易くなる。さらに、左右眼による視標の左右方向等の揺れが抑制される。
また、背景92が黒色(低い輝度値)であるため、上下に分離された視標90を比較する際の視覚的なノイズが少なくなる。さらに、視標90を上下に分離するためのロータリプリズム160のプリズム度数(フレ量)が同じであるために、左右眼で見える視標90の像が同じとなる。仮に、度数の異なるプリズムを用いると、度数による歪みや色あい等の違いから、左右眼で見える像が多少異なる。左右眼で視認される視標90の像が同じであるならば、左右眼に挿入するロータリプリズム160の度数は同一でなくてもよい。
以上のようにして、偏光板を用いることなく、プリズム(ロータリプリズム160)によって両眼バランス検査を行うことができる。
本実施形態では、視標90の上下への分離を度数2△のロータリプリズム160で行ったが、被検者によっては、視標90が上下に分離されない場合や上下に大きく離れすぎてしまう場合がある。これらを補正するための方法を以下に説明する。
検査窓61に配置したロータリプリズム160の度数を変更したい場合に、ダイアル56を回転させることにより、左右眼のロータリプリズム160の度数だけが共に増減する構成とする。図6のプリズム度数ウインドウ86に示すように、ダイアル56の右回転はプリズム度数を下げ、左回転はプリズム度数を上げる。このダイアル56の回転をトリガとした制御信号を、検眼装置60の制御部65が受ける。それに伴い、制御部65が左右のディスク16を制御するべく、モータ18fを駆動する構成とすればよい。左右眼のロータリプリズム160を同度数とすることで、左右眼それぞれで視認する視標90の歪みや色合いが同一となるため、両眼バランス検査の精度が向上する。
また、以上の説明では、視標90を上下に分離し、その分離度合(フレ量)を調整する構成としたが、これに限るものではない。上下に分離された視標90をそれぞれ左右方向にフレ量の調整をする構成としてもよい。図8は、ロータリプリズム160によるフレ量を上下左右に調整する画面の構成を説明する図である。300は両眼バランス調整ウインドウである。301は画面中央に表示された両眼バランス検査用視標で、左右眼で見た場合を示すように、上下に視標90が表示される。310は上下フレ量接近調整パネルであり、320は上下フレ量分離調整パネルである。これらのパネル310、320は前述のロータリプリズム160の上下分離量(フレ量)を調整する構成と同じ機能を果たす。パネル310、320のそれぞれの矢印の中央にあるボタン311、321を押すことで、前述のダイアル56による視標90の上下分離度の調整と同じことができる。「近づける」との表示があるボタン311を押すことで、左右のロータリプリズム160のプリズム度数が、同度数下がる。逆に、「話す」と表示されたボタン321を押すことで、左右のロータリプリズム160のプリズム度数が同度数下がる。この場合の指令信号のデコードは、ダイアル56を用いた場合と同様である。
次に、左右方向のフレ量調節について説明する。330は外斜位補正用パネル、340は内斜位補正用パネルである。パネル330には、「上側を右へ」と表示されたボタン331があり、パネル340には、「下側を右へ」と表示されたボタン341がある。このボタン331、341の表示は、被検者が見ている視標90の見え方を、検者が訊くことによって、斜位を補正する際のガイドとなる。例えば、被検者の見える視標90(図7(d)参照)であれば、被検者に斜位はない。しかし、視標90の上側が下側よりも左にあれば、被検者には外斜位があることになり、逆に、視標90の下側が上側よりも左にあれば、被検者には内斜位があることになる。
被検者の斜位に合わせて、ボタン331、341を押すことで、斜位の補正を行う。ここでは、内斜位がある場合を例に挙げて説明する。この場合、外斜位を補正する方向(内方基底:BI(Base In))に、左右の検査窓61に配置されたロータリプリズム160を回転させる。このとき、左右のロータリプリズム160は上下の分離を維持したまま、左右眼に配置されたそれぞれのプリズム160a、bを回転させ、BI方向に0.5△のプリズム度数成分を加える。また、被検者に内斜位があるの場合は、ボタン341を押し、左右眼のロータリプリズム160に外方基底:BO(Base Out)成分のプリズム度数を加えればよい。このときの、上下方向ほプリズム度数及び左右方向のプリズム度数は、プリズム度数表示ウインドウ350に表示される。ウインドウ350には、左右眼における上下方向、左右方向のプリズム度数が表示される。また、左右方向のプリズム度数を見ることで、被検者が内斜位か外斜位かの傾向がわかる。
このような構成を備えるウインドウ300は、表示画面80の視標チャートビュア81aやメッセージウインドウ85等の代わりに表示される構成とする。モニタ50がタッチアパネルなっているため、各ボタン311、321、331、341がプリズム切換の信号入力手段となり、これらをタッチすることにより、指令信号が前述の場合と同様に検者の所望するロータリプリズム160を制御可能とする。
このようにして、ロータリプリズム160を用いて、視標90の上下の分離を維持したまま、左右方向のフレ量(プリズム度数)を変更することにより、斜位のある被検者でも精度よく両眼バランス検査が行える。また、両眼バランス検査において、被検者の持つ斜位が、内斜位か外斜位かの傾向を把握し易くなる。また、左右方向のプリズムを同じ度数となるように変更することにより、左右眼でのプリズムの特性を起因とする視標90の歪みや色味の違いを低減でき、精度の高い両眼バランス検査ができる。
なお、以上説明した本実施形態では、視標90において、スリット91の上下に複数の融像視標94を配置したが、この構成に限るものではない。融像刺激となる上下の図形(印)が同じものであればよい。横長の直線や縦長の複数の直線であってもよい。また、融像視標94a、94b、94cは、スリット92の水平方向の中心を基準とし、上下に等距離に配置されたが、これに限るものではない。左右眼での融像が可能であれば、融像視標94が上下に等間隔の配置でなくてもよい。また、ロータリプリズム160による視標90の上下への分離を、右眼を上方、左眼を下方としたが、これが逆であってもよい。
なお、以上説明した本実施形態では、被検者の左右眼に配置する基底方向が上下逆のプリズム(ここでは、ロータリプリズム160)を検眼装置本体60の制御により配置する構成としたが、これに限るものではない。本実施形態で用いた視標呈示装置70を使って、分散プリズムを手動で眼前に挿脱する手動式の検眼装置やテストフレーム等を用いる検査の場合でもよい。また、回転ディスク16に、ロータリプリズム160を配置しない構成としてもよい。例えば、左右それぞれのレンズ室ユニット62の回転ディスク16に、分散プリズム2△を配置する。この分散プリズムは、左右眼の検査窓61に配置された場合に、右眼では2△BD,左眼では2△BUとなるようにしておく。検眼装置60をこのような構成にして、前述の実施形態のように、被検者の左右眼に呈示する両眼バランス検査用視標を上下に分離させて、両眼バランス検査を行うことができる。なお、回転ディスク16に度数の異なる分散プリズム、例えば、1.5△、2△、2.5△等を配置する構成としてもよい。
本実施形態の自覚式検眼装置を検者側から見た状態を示す外観略図である。 レンズ室ユニットの内部機構を示す概略図である。 ディスクに設けられた光学素子の回転機構を説明する図である。 コントローラ5の構成を示す図である。 モニタ80の表示画面を示す図である。 本実施形態の検眼装置の制御ブロック図である。 両眼バランス検査用視標を示す図である。 両眼バランス調整ウインドウを示す図である。
符号の説明
62 レンズ室ユニット
5 コントローラ
60 検眼装置本体
70 視標呈示装置
80 モニタ
90 両眼バランス検査用視標
93 視標
94 融像視標
160 ロータリプリズム
160a、160b ロータリプリズム
300 両眼バランス調整ウインドウ

Claims (5)

  1. 左右の検眼窓に光学素子をそれぞれ切換え配置して被検眼の矯正屈折力を自覚的に検査する検眼装置本体と、ディスプレイの画面に各種の検査視標を表示する視標呈示装置と、該視標呈示装置の検査視標を選択する信号を入力するコントローラと、を備える検眼装置において、
    前記視標呈示装置は、前記コントローラから入力される両眼バランス検査の選択信号に基づいて横一列に並べた視力検査視標を持つ両眼バランス検査を表示する表示制御手段を備え、
    前記検眼装置本体は、両眼バランス検査の前記選択信号に基づき、基底方向が上下逆となる所定の同度数のプリズムを左右の検眼窓にそれぞれ配置する光学素子切換手段を備えることを特徴とする検眼装置。
  2. 請求項1の表示制御手段は、前記視力検査視標の上位置及び下位置にて、且つ左右が同じ位置に、同一の融像刺激用の図形を持つ両眼バランス検査視標を表示することを特徴とする検眼装置。
  3. 請求項1の検眼装置において、前記プリズムはプリズム度数が可変なロータリプリズムであり、前記コントローラは、左右の検査窓にそれぞれ配置された前記ロータリプリズムのプリズム度数を左右同時に増減させる信号を前記光学素子切換手段に入力する信号入力手段を備えることを特徴とする検眼装置。
  4. 請求項3の検眼装置のおいて、前記信号入力手段は、左右の検査窓にそれぞれ配置された前記ロータリプリズムの上下方向のプリズム度数を左右同時に増減させる信号を前記光学素子切換手段に入力する上下プリズム切換信号入力手段と、前記ロータリプリズムの左右方向のプリズム度数を左右同時に増減させる信号を前記光学素子切換手段に入力する左右プリズム切換信号入力手段と、を備えることを特徴とする検眼装置。
  5. ディスプレイの画面に各種の検査視標を表示する視標呈示装置と、該視標呈示装置の検査視標を選択する信号を入力するコントローラと、を備える検眼装置において、
    前記視標呈示装置は、前記コントローラから入力される両眼バランス検査の選択信号に基づいて横一列に並べた視力検査視標と、該視力検査視標の上位置及び下位置にて、且つ左右が同じ位置に、融像刺激用の同一の図形を持つ両眼バランス検査視標を表示する表示制御手段を備え、
    基底方向が上下逆となる所定の同度数のプリズムを左右眼の眼前にそれぞれ配置して両眼バランス検査を行うことを特徴とする検眼装置。








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