JP4827602B2 - 視標呈示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被検眼の視機能を検査するための検査視標を呈示する視標呈示装置に関する。
視標呈示装置としては、検査視標をスクリーンに投影するタイプの装置の他、液晶を用いたディスプレイタイプの装置が下記の特許文献1にて知られている。被検者の両眼視機能検査としては、不等像視検査、立体視検査等があり、被検者の右眼と左眼とに異なる視標を呈示する。そのため、特許文献1の装置は、相前後して配置される2つの液晶表示装置と、互いに直交する偏光軸を持つ2つの偏光フィルタとを備え、従来の投影タイプの装置と同様に、被検者の右眼と左眼に偏光軸が直交する偏光フィルタをそれぞれ配置することにより、右眼用視標と左眼用視標を呈示するように構成されている。
特表平5−130975号公報
しかしながら、両眼視機能検査視標を呈示するために、特許文献1のように2つの液晶表示装置及び2つの偏光フィルタを配置する構成は、複雑であり、コスト高となる。また、装置も大型化する。
本発明は、上記従来装置に問題点に鑑み、簡易な構成で精度良く両眼視機能検査を実現できる視標呈示装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 被検者の片方の眼前に配置した赤フィルタ及び他方の眼前に配置した緑フィルタを介して両眼視機能検査視標を呈示するために、前記両眼視機能検査視標を構成する図形を画面に表示するカラーディスプレイを持つ視標呈示装置であって、
片方の眼のみに呈示する第1図形を緑色にて表示し、他方の眼のみに呈示する第2図形を赤色にて表示し、両眼に同時に呈示する融像刺激用の第3図形を赤色成分及び緑色成分を含まない色にて表示し、前記第1,第2及び第3図形の背景を白色にて表示するように前記カラーディスプレイを制御する制御ユニットを備え、赤フィルタ及び緑フィルタを介して前記第1,第2及び第3図形がそれぞれ黒色にて被検者に視認される構成としたことを特徴とする。
(2) (1)の視標呈示装置において、赤フィルタを介して前記第2図形及び背景を見たときに赤色に見える背景に前記第2図形が同化し、緑フィルタを介して前記第3図形及び背景を見たときに緑色に見える背景に前記第2図形が同化するように、前記カラーディスプレイに表示される第1図形の緑色の輝度及び第2図形の赤色の輝度を調整する調整手段を設けたことを特徴とする。
本発明によれば、偏光板を用いることなく、両眼視機能を検査できる視標を呈示できる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施形態の視標呈示装置の外観図である。
1は視標呈示装置であり、装置本体の筐体2に視標を呈示するためのカラー液晶のディスプレイ(LCD)3が取り付けられた構成となっている。4は装置を操作するためのリモコン、5はリモコンの指令信号を受信する受信部である。10は液晶ディスプレイ3に表示された視標である。この視標10はリモコン4の操作によって切り替えられる。視標10はディスプレイ3の中央に表示される構成となっており、被検者がディスプレイ3の中央から視線をずらすことなく視力検査ができる。図示するように、受信部5はディスプレイ2から離れた位置に配置される。これは、ディスプレイ3の周辺に目立つものがあると、被検者の意識が視標10以外に向いてしまう現象を低減させるためである。また、筐体2は全体に丸みを帯びた構造にしており、ディスプレイ3付近等で、室内光による筐体2の角部で光が反射する現象(エッジが立つ)が起こりにくいようにしている。30は赤緑眼鏡であり、右眼側に赤フィルタ30Rが、左眼側に緑フィルタ30Gが配置されている。これを用いて被検者の両眼視機能を検査する。
図2は、本実施形態の視標呈示装置の制御ブロック図を模式的に示した図である。20は制御ユニットであり、制御ユニット20にはディスプレイ3及び受信部5が接続される。制御ユニット20の内部には、様々な視標パターンを記憶するメモリやリモコン4からの指令信号を解読するデコーダ回路等を含む。
リモコン4には、装置本体を操作するための複数のボタンと、それらボタンによる操作の状況を表示する液晶ディスプレイ41が配置される。40は電源スイッチである。42は視標切換スイッチ群であり、視力値に対応するボタンを押すと、ディスプレイ3にその視力値の視標が表示される。このとき、ディスプレイ41にも同じ視標が表示されると共に、その視力値も表示される。
43は検査視標切換スイッチ群である。このスイッチ群43では、赤緑テストやクロスシリンダーテスト、両眼視機能検査等の様々な視機能を検査するための視標を表示させる機能を有している。44は方向選択ボタン、45は視力値増減ボタンである。これらのボタン44、45を押すことで、現在表示中の視標の方向を任意に変えたり、視力値を上下させることができる。46は画像表示ボタンであり、ボタン46を押すことで、予め制御ユニット20に記憶させておいた画像を表示させることができる。47は反転ボタンであり、現在表示中の視標を白黒反転させる。48は整列ボタンであり、これを押すことにより、現在表示中の視標を水平方向に並べて表示させる。
次に、このような構成を備える装置を用いた両眼視機能の検査について説明する。図3は、不等像検査を説明する図である。図3(a)は、両眼検査のうち「不等像」が選択された場合のディスプレイ3の表示画面を示した図である。一方、図3(b)は、従来の投影タイプの装置による不等像検査視標を示した図であり、被検者の右眼と左眼に偏光軸が直交する偏光フィルタをそれぞれ配置し、右眼用視標と左眼用視標を呈示するように構成されたものである。
初めに、従来の投影タイプにおける視標構成を図3(b)により説明する。図3(b)において、90は不等像検査視標、90Rは右眼に呈示するためのコの字状呈示図形、90Lは左眼に呈示するためのコの字状呈示図形である。95はスクリーン3aに写し出された背景画面であり、黒色で表示される。呈示図形90R,90L及び融像視標91は白色で表示される。図形90R,90Lは、中心の垂直線を基準に線対称に配置される。それぞれのコの字状図形を左右眼に別々に呈示して、それらの像が左右で同一と見えるかどうかを検査するものである。従来の検査では、2つの偏光板を用意し、左右への像の分離を偏光方向を異ならせることによって行っていた。例えば、図形90Rに135度の偏光方向を持たせ、図形90Lに45度の偏光方向を持たせて、被検者に右眼135度、左眼45度の偏光方向を持つ偏光眼鏡(図示を略す)をかけさせて、検査していた。ここで、91は融像視標であり、両眼検査時の左右眼に対する融像刺激となる。このため、視標91は両眼に見えるよう偏光方向を持っていない。
従来例に対し、偏光板を用いることなく両眼の不等像検査を行うことができる視標が図3(a)に示す、本実施形態の不等像検査視標50である。不等像検査視標50は、機能検査視標切換スイッチ群のうち、「不等像」を特定できる機能を有する選択スイッチを選択することでディスプレイ3に表示される。背景画面55は白色で表示される。赤フィルタ30Rを介して右眼のみに呈示される視標となる呈示図形50G(第1図形)は緑色で表示される。緑フィルタ30Gを介して左眼のみに呈示される視標となる呈示図形50R(第2図形)は赤色で表示される。そして、両眼に同時に呈示される融像視標51は黒色で表示される。ディスプレイ3の画面に表示される図形及びその色は制御ユニット20により制御される。
図4は不等像検査視標50の見え方を説明する図である。赤緑眼鏡30をかけて視標50を見た場合、右眼には、図4(a)のように見える。右眼は赤フィルタ30Rを通して、ディスプレイ3を見るため、背景画面55は赤色に見える。また、赤フィルタ30Rを通して、赤色の呈示図形50Rを見るために、呈示図形50Rは背景画面55に同化して見える(形状を認識できなくなる)。一方、呈示図形50Gは赤色成分を持たないために、被検者には黒色として認識される。このとき、融像刺激51は変わらず、黒色に見える。
一方、左眼でも右眼の場合と同様の現象が起こる。左眼は緑フィルタ30Gを通して、ディスプレイ3を見るために、背景画面55は緑色に見え、呈示図形50Gも背景画面55に同化して見える(形状を認識できなくなる)。その一方で、呈示図形50R及び融像図形51は黒色に見える(図4(b)参照)。
このようにして、右眼と左眼で見える像が異なるため、被検者は融像視標51を利用することにより、図3(c)に示すように、両眼で不等像検査を見ることができる。このとき、融像視標51が黒色であるため、どちらの眼でも黒色に見える。検者は、被検者に赤緑眼鏡30をかけてもらった上で、被検者は見えている呈示図形50G、50Rの大きさや位置のズレ等を申告してもらい、被検者の両眼での視機能を検査する。
以上のようにして、偏光板を用いることなく、被検者の両眼視機能を検査することができる。また、背景画面55を白色とし、融像視標51を黒色とすることによって、左右眼で同じ色の融像視標51を見せることができる。ここで、従来の投影タイプのように、背景画面55を黒色とし、融像視標51を白色とすると、融像視標51は、右眼では赤色に、左眼では緑色に見えることなる。融像の条件である「色、形、大きさ、明るさ」の内、色の条件が異なる状態となる。このため、融像力の弱い被検者では、異なる色で見える融像視標を一つに見ることができず、不等像検査の精度に影響が出てしまうことがある。これに対して、図3(a)のような表示とすれば、精度良く検査ができる。
次に、偏光板を用いない立体視機能検査について説明する。図5は、立体視機能検査視標60を示す図である。立体視機能検査視標60は、機能検査切換スイッチ群43の立体視を押すことで、ディスプレイ3に表示される。従来の立体視検査も、前述の不等像視機能検査と同様に、偏光板を用いて、右眼と左眼に異なる像(視差の異なる像)を呈示し、両眼で立体視させていた。本実施形態の立体視検査でも前述の不等像視機能検査と同様に、赤緑眼鏡30を利用し、右眼と左眼に異なる図形(像)を呈示し、立体視を検査する。
図5(a)は、ディスプレイ3に表示される立体視検査視標60を示す図である。背景画面65は白色であり、融像刺激となる融像視標62は黒色でディスプレイ3の中央に配置される。視標62の上下に対してそれぞれ棒状の図形60R、61R,60G,61Gが配置される。棒60R、61Rは赤色、棒60G,61Gは緑色で構成される。棒60R、60Gは視標62の上部に、視標62を基準として対称に配置される。棒61R、61Gは視標62の下部に、視標62を基準として対称に配置される。ここでは、棒60G、61Gが右眼に対する視標となる図形、棒60R、61Rが左眼に対する視標となる図形となる。
図5(b)及び図5(c)は赤緑眼鏡30を通して、ディスプレイ3を見た場合の右眼での見え方と左眼での見え方を示した図である。前述の不等像視機能検査の場合と同様に、フィルタの色と同色の棒は背景画面65に同化し、フィルタの色に対して補色となる棒は黒色となる。このようにして右眼と左眼で異なる図形が見えるため、被検者が両眼でディスプレイ3を見ると、棒60Rと60Gが重なり、棒61Rと61Gが重なって、図5(d)に示す像のように見える。このとき、融像視標62が融像刺激となる。
検者は、被検者に赤緑眼鏡をかけてもらった上で、被検者に視標が立体的に見えるかどうか、また、その見え具合はどうかを質問し、被検者の立体視機能を検査する。このとき、棒60Rと60Gの距離により、被検者に認識される視差をコントロールできる。
なお、上記では赤フィルタ30R及び緑フィルタ30Gを持つ赤緑眼鏡30を使用した検査の例で説明したが、多数の光学素子が配置されたディスクを持ち、ディスクを回転して検査窓に光学素子を切換え配置するフォロプタを使用した検査においても適用できる。一般に使用されているフォロプタは、赤フィルタ及び緑フィルタがディスクに配置されている。
なお、以上説明した本実施形態では、融像刺激となる融像視標51、62を黒色としたがこれに限るものではない。融像視標は、赤フィルタ30R、緑フィルタ30Gを通して見た場合に、被検者に黒色と視認される色で構成されればよい。融像視標は、赤色成分や緑色成分を含まない色、例えば、青成分を多く含む、青色等であってもよい。
次に、赤フィルタ30Rを介して視標を見たときに赤色に見える背景に赤色の図形(呈示図形50R、60R等)が同化し、緑フィルタ30Gを介して視標を見たときに緑色に見える背景に緑色の図形(呈示図形50G、60G等)が同化するように、ディスプレイ3の表示輝度を調整する方法(カラーバランス調整方法)を説明する。
図6は、カラーバランス調整用画面を示す図である。80はディスプレイ3に表示されたテストチャートである。ディスプレイ3の下端には4つのファンクションキー85が配置される。テストチャート80は、このメニューキー86を押すことで表示される。ファンクションキー85には、色調整の赤/緑を選択する選択キー87、選択された色の輝度(明るさ、強度)を増減するプラスキー88、マイナスキー89を有している。カラー80R,80Gは画面中央に配置された色見本であり、カラー80Rは赤色、80Gは緑色で構成される。この赤色、緑色が視標で使われる色となる。カラー80W、80Bは、視標や背景画面で用いられる色を示し、白色、黒色で構成される。これらのカラー80R、80G,80W,80BはRGBでその配色が管理される。81はメッセージウインドウであり、カラーバランスの調整手順やファンクションキー85の位置等を作業者に示す。
赤緑眼鏡30の赤フィルタ30Rを介して、視標(不等像検査視標50や立体視検査視標60)を見たときに赤色に見える背景画面55、65に赤色の図形が同化するようにさせるため、メニューキー86を押して、作業者はテストチャート80を表示させ、赤・緑選択キー87で「赤」を選択する。作業者は赤フィルタ30Rを通して、テストチャート80を見ながら、カラー80Rがカラー80Wと同化するように、プラスキー88、マイナスキー89を操作し、色味を調節する。この操作によって、カラー80Rの赤成分の輝度値(R成分)が変更(増減)される。この変更を保存し、他の視標に反映させる場合は、再びメニューキー86を押す。これにより、赤色(カラー80R)のカラーバランスが制御部20に記憶される。制御部20は記憶された赤色(カラー80R)を、呈示図形(例えば、50R、60R)の赤色とする。
このようにして、赤フィルタ30Rを介して視標を見たときに赤色に見える背景に赤色の図形(呈示図形50R、60R等)を同化させる。緑フィルタ30Gを介しての場合も同様である。一連のファンクションキー85と制御部20によって、カラーバランスの調節手段が構成される。
なお、本実施形態では、カラーバランスの調整をカラーバランス調整用画面(テストチャート80)を利用して行ったがこれに限るものではない。赤色、緑色、背景画面となる黒色及び/又は白色が含まれる視標(例えば、不等像検査視標)を用いてもよい。
なお、以上の説明では、赤フィルタ30Rを介して視標を見たとき、赤い図形が白い背景画面(作業者には赤く見える)に同化させる調整を行ったが、背景画面は白色でなくてもよい。反転ボタン47で背景画面を黒色にした場合では、赤フィルタ30Rを介して見て緑色の図形が黒色となり、背景画面に同化して見える。緑色と黒色の同化度合を変更する場合は、赤フィルタ30Rを介して、テストチャート80のカラー80Gとカラー80Bを見て、前述のように、緑色(カラー80G)の輝度を調節する。
なお、本実施形態では、赤緑眼鏡30を使った場合の呈示図形の背景画面への同化調整において、赤色や緑色のカラーバランスの変更結果を制御部20に記憶し、赤色や緑色の図形(呈示図形50R、50G等)を表示する場合の基準とする構成としたが、これに限るものではない。ディスプレイ3に、表示する画像のカラーバランスを調整する機能を有するものを用い、先に説明したカラーバランスの調整を行う構成としてもよい。また、ディスプレイ3の明るさやコントラストの調整によって、表示される画像のカラーバランスを調整する構成であってもよい。
本実施形態の視標呈示装置の模式的な外観図である。 本実施形態の視標呈示装置の制御ブロック図を模式的に示した図である。 本実施形態に不等像検査視標を説明する図である。 本実施形態の不等像検査視標の見え方を説明する図である。 本実施形態の立体視機能検査視標の見え方を説明する図である。 本実施形態のカラーバランス調整用画面を説明する図である。
符号の説明
1 視標呈示装置
2 液晶ディスプレイ
4 リモコン
10 視標
30 赤緑眼鏡
50 不等像検査視標
60 立体視機能検査視標
90 不等像検査視標


Claims (2)

  1. 被検者の片方の眼前に配置した赤フィルタ及び他方の眼前に配置した緑フィルタを介して両眼視機能検査視標を呈示するために、前記両眼視機能検査視標を構成する図形を画面に表示するカラーディスプレイを持つ視標呈示装置であって、
    片方の眼のみに呈示する第1図形を緑色にて表示し、他方の眼のみに呈示する第2図形を赤色にて表示し、両眼に同時に呈示する融像刺激用の第3図形を赤色成分及び緑色成分を含まない色にて表示し、前記第1,第2及び第3図形の背景を白色にて表示するように前記カラーディスプレイを制御する制御ユニットを備え、
    赤フィルタ及び緑フィルタを介して前記第1,第2及び第3図形がそれぞれ黒色にて被検者に視認される構成としたことを特徴とする視標呈示装置。
  2. 請求項1の視標呈示装置において、赤フィルタを介して前記第2図形及び背景を見たときに赤色に見える背景に前記第2図形が同化し、緑フィルタを介して前記第3図形及び背景を見たときに緑色に見える背景に前記第2図形が同化するように、前記カラーディスプレイに表示される第1図形の緑色の輝度及び第2図形の赤色の輝度を調整する調整手段を設けたことを特徴とする視標呈示装置。



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