JP4863238B2 - 非水二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、充放電による容量の低下の少ない、高い容量密度を備えた非水二次電池に関し、特に電池製造時の電極表面からの粉落ち(活物質の脱落)に起因するソフトショートの発生を防ぐ技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の非水二次電池に関して、本出願人は、先に特開平11−329443号を以て提案した。そこでは、シート状の正極と負極が、これらの間にセパレートを介在させた状態で渦巻状に巻回されている。シート状の正極および負極は、導電性基体の少なくとも一方の面上に、活物質とバインダーとを含有する電極塗膜を積層することにより形成されている。
【0003】
電極塗膜のバインダーとしては、ポリビニリデンフルオライド系ポリマーとセルロース系ポリマーとの混合物を用いている。ポリビニリデンフルオライド系ポリマーを用いたのは、電解液に対して溶解し難い特性と、電極塗膜形成用塗料を調整するために必要な溶剤可溶性とを併せ持つことに拠る。しかし、ポリビニリデンフルオライド系ポリマーは、導電性基体として一般的に用いられている金属箔との接着力が小さい。このため、当該ポリビニリデンフルオライド系ポリマーのみをバインダーとして用いると、充放電を繰り返した場合に、電極塗膜と導電性基体との間の電気的接触が悪化し、電極活物質の利用率が低下して電池容量が減少してしまう。この問題を解決するため、導電性基体との接着力が大きなセルロース系ポリマーを添加している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、セルロース系ポリマーは硬くかつ柔軟性に劣るため、これを含む塗膜から構成される電極は、巻回しにくく、さらに曲げなどのストレスにより塗膜表面がひび割れて、活物質が脱落してソフトショートが発生する場合があった。この問題は、高容量化を目的として塗膜を高密度化すると顕著に現れる。具体的には、400Wh/l以上の容量密度を実現するために、正極の電極塗膜密度を3.15g/cm3 、負極の電極密度を1.55g/cm3 以上とした場合に、塗膜表面にひびが入り、活物質が脱落してソフトショートが発生する。
【0005】
本発明の目的は、充放電の繰り返しによる容量の低下が少ない高容量の非水二次電池において、ソフトショートの発生を防止して、非水二次電池の信頼性を向上するにある。本発明の目的は、容量密度が400Wh/lである高容量の非水二次電池において、ソフトショートの発生を防止して、信頼性を向上するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、図1に示すごとく、シート状の正極1と負極2が、これらの間にセパレート3を介在させた状態で渦巻状に巻回されている非水二次電池を対象とする。シート状の正極1および負極2のうち少なくとも一方の電極は、導電性基体の少なくとも一方の面上に、活物質とバインダーとを含む電極塗膜を積層することにより形成されている。電極塗膜の形成用塗料の組成中、前記バインダーが0.2〜20重量%の範囲で含まれている。バインダーは、第1種ポリマーと、この第1種ポリマーよりも接着力の小さい第2種ポリマーとからなる。第1種ポリマーはセルロース系ポリマーである。電極塗膜を、導電性基体側よりも塗膜表面側の方が第1種ポリマーの含有率が減少するようにかつ第2種ポリマーが増加するように構成する。
【0007】
具体的には、図2に示すごとく、導電性基体側から塗膜表面側に向けて、第1種ポリマーの含有率が漸減するように電極塗膜を構成することができる。また、図3に示すごとく、第1種ポリマーの含有率の異なる少なくとも2以上の塗膜を積層することにより、電極塗膜を構成されている。導電性基体付近の電極塗膜の第2種ポリマーと第1種ポリマーの比率は98:2〜19:81である。塗膜表面側の電極塗膜第2種ポリマーと第1種ポリマーの比率は100:0〜37:63である。第1種ポリマーをセルロース系ポリマーとし、第2種ポリマーを主成分モノマーとしてビニリデンフルオライドを含むポリビニリデンフルオライド系ポリマーとすることが望ましい。これにより、導電性基体と電極塗膜との良好な接着性を保ち、なおかつ電極の柔軟性を向上することができるので、曲げなどのストレスにより電極塗膜がひび割れて、活物質が脱落するのを防ぐことができる。
【0008】
正極活物質がリチウム含有複合金属酸化物であり、正極の電極塗膜の密度を3.15g/cm3 以上とすることができる。同様に、負極活物質が乱層構造を有する炭素材料、又は黒鉛であり、負極の電極塗膜の密度を1.55g/cm3 以上とすることもできる。これにより、400Wh/l以上の容量密度を有する高容量の非水二次電池を実現できる。
【0009】
【発明の作用効果】
本発明において、電極の塗膜中のバインダーは、導電性基体との接着力の異なる2種類のポリマー、例えば、セルロース系ポリマー(第1種ポリマー)と、主成分モノマーとしてビニリデンフルオライドを含むポリビニリデンフルオライド系ポリマー(以下、これをポリビニリデンフルオライド系ポリマーと称す)(第2種ポリマー)とで構成する。前者のセルロース系ポリマーはポリマー中に−OH基等を有するため、バインダーがポリビニリデンフルオライド系ポリマー単独で構成された電極塗膜に比べ、導電性基体との接触性が良好となり、電極からの粉落ち(活物質の脱落)によるソフトショートの発生確率を抑えることができる。また、セルロース系ポリマーは、硬くかつ柔軟性に劣るため、これを含む塗膜より電極を構成すると、特に塗膜が高密度化された場合には巻回し難くなり、さらに曲げなどのストレスにより塗膜がひび割れて、かえって活物質の脱落が生じ易くなるが、本発明では、導電性基体側から塗膜表面側に向かってセルロース系ポリマーの含有率が減少するように塗膜を構成したので、導電性基体と塗膜との良好な接着性を保ったまま、電極の柔軟性を向上させることができる。このため、電極塗膜を高密度化した場合でも、前記問題が生じにくくなり、電池作製時のソフトショートの発生を防ぐことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
塗膜中におけるセルロース系ポリマーの含有率の変化は、図2に示すごとく、導電性基体側から塗膜表面側に向かって漸減させることができる。また、図3に示すように、セルロース系ポリマーの含有率の異なる2つの塗膜を積層してもよい。なお、2層の界面付近では含有率が漸減するようにして、導電性基体側と塗膜表面側の両端では、含有率がおよそ一定値となるようにしてもよい。要はセルロース系ポリマーの含有率が導電性基体側よりも塗膜表面側の方が少なければよい。また、3以上の塗膜を積層してもよいし、正極と負極とで、ポリビニリデンフルオライド系ポリマーおよびセルロース系ポリマーの種類が異なっていてもよい。
【0011】
上記の塗膜構成は、例えば、活物質とポリビニリデンフルオライド系ポリマーおよびセルロース系ポリマーを含む塗料で、セルロース系ポリマーの含有率の高いもの(これを(A)とする)と低いもの(これを(B)とする)を作製し、まず塗料(A)を導電性基体上に塗布し、さらにその上に塗料(B)を塗布するなどにより得ることができる。ここで、(A)が乾燥しないうちに(B)の塗布を行うと図2に示すような塗膜が形成され、(A)の乾燥後に(B)の塗布を行った場合には図3のような塗膜が形成される。
【0012】
また、導電性基体上に予めセルロース系ポリマーを含む溶液を塗布することにより、セルロース系ポリマーの薄層を形成しておき、この上に塗料を塗布することによっても本発明の構成を実現できる。しかしこの場合には、導電性基体と電極塗膜との界面における塗膜中のセルロース系ポリマーの含有率が必要以上に大きくなることがあり、基体−塗膜間の電気抵抗が上昇することにより、負荷特性の低下を招くことがあるので、セルロース系ポリマーの塗布量を制限するのが望ましい。
【0013】
前記電極塗膜におけるポリビニリデンフルオライド系ポリマーとセルロース系ポリマーの混合比率としては、導電性基体付近では、重量比で10:90〜99:1が好ましく、20:80〜99:1であることがより好ましい。セルロース系ポリマーの比率が上記範囲より少ない場合は、導電性基体との接着性が不足して、電池の放充電を繰り返しているうちに電極塗膜と導電性基体の間の電気的接合が劣化して電池容量が減少するおそれがある。一方、セルロース系ポリマーの基範囲より比率が上記範囲より多い場合は、リチウムイオンの伝導抵抗が増加して電池容量が低下するおそれがある。
【0014】
一方、塗膜表面付近では、前記混合比率としては、20:80〜100:0が好ましく、30:70〜100:0であることがより好ましい。
【0015】
上記の混合比率は、例えば、電極を導電性基体面に垂直に切断して、この断面に対して顕微ラマンスペクトルをとることにより調べることができる。
【0016】
本発明のバインダーを構成するポリビニリデンフルオライド系ポリマーは、主成分モノマーであるビニリデンフルオライドを80重量%以上含有する含フッ素系モノマー群の重合体が好ましい。上記の主成分モノマーであるポリビニリデンフルオライド系ポリマーを80重量%以上含有する含フッ素系モノマー群としては、ビニリデンフルオライド単独、あるいは、ビニリデンフルオライドと他のモノマー少なくとも一種以上との混合物が挙げられる。この他のモノマーとしては、ビニルフルオライド、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0017】
本発明において、上記のように含フッ素系モノマー群中のビニリデンフルオライドが80重量%以上であることを好ましいとするのは、ビニリデンフルオライドが80重量%より少ない場合は、塗料の調製がし難くなるおそれがあるためであり、含フッ素系モノマー群のすべてがビニリデンフルオライドであってもよい。
【0018】
また、本発明において、バインダーを構成する他方の構成成分であるセルロース系ポリマーとしては、ポリビニリデンフルオライド系ポリマーが溶解する溶剤に溶解するものが好ましく、そのような観点から、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどが挙げられる。
【0019】
本発明において、バインダーは電極塗膜中において0.2〜20重量%、特に0.5〜10重量%であることが好ましい。バインダーの含有量が上記範囲より少ない場合は、電極塗膜の機械的強度が低下して、電極塗膜が導電性基体から剥離するおそれがあり、また、バインダーの含有量が上記範囲より多い場合は、電極塗膜中の活物質が減少して電池容量が低下するおそれがある。
【0020】
本発明のポリビニリデンフルオライド系ポリマーとセルロース系ポリマーとからなるバインダーは、正極、負極のうちいずれの電極に使用してもよく、また、正極、負極の両方に使用してもよい。また、バインダーを構成するポリマーとしては、ポリビニリデンフルオライド系ポリマーとセルロース系ポリマーには限られない。すなわち、これら2種のポリマーは、電極液に対して溶解し難いこと、電極塗膜形成用塗料を調整するために必要な溶剤可溶性を持つこと、導電性基体との接着力が互いに異なることの3点を満たせばよい。
【0021】
本発明において、正極活物質としては、例えば、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物(これらは、通常、LiNiO2 、LiCoO2 、LiMn2 O4 で表されるが、LiとNiの比、LiとMnとの比は化学量論組成からずれている場合が多い)などのリチウム含有複合金属酸化物が単独でまたは2種以上の混合物として、あるいはそれらの固溶体として用いられる。
【0022】
正極は、例えば、上記正極活物質を含み、必要に応じて、鱗片状黒鉛、カーボンブラックなどの電子伝導助剤を含み、さらにバインダーを含む塗料を導電性基体上に塗布し、乾燥して、導電性基体の少なくとも一方の面に少なくとも正極活物質とバインダーを含有する塗膜を形成する工程を経て作製される。なお、上記塗料の調製に当たって、バインダーはあらかじめ溶剤に溶解させた溶液として用い、上記正極活物質などの固体粒子と混合して塗料を調製するようにしてもよい。
【0023】
本発明において、負極活物質としては、例えば、リチウム金属またはリチウム含有化合物が用いられるが、そのリチウム含有化合物としてはリチウム合金とそれ以外のものがある。上記リチウム合金としては、例えば、リチウム−アルミニウム、リチウム−鉛、リチウム−ビスマス、リチウム−インジウム、リチウム−ガリウム、リチウム−インジウム−ガリウムなどのリチウムと他の金属との合金が挙げられる。リチウム合金以外のリチウム含有化合物としては、例えば、乱層構造を有する炭素材料、黒鉛などが挙げられる。これらは製造時にはリチウムを含んでいないものもあるが、負極活物質として作用するときには、化学的手段、電気化学的手段によりリチウムを含有した状態になる。
【0024】
負極は、例えば、上記負極活物質に、必要に応じて、例えば、鱗片状黒鉛、カーボンブラックなどの電子伝導助剤を添加し、さらにバインダーと溶剤を加え、混合して塗料を調製し、その塗料を導電性基体上に塗布し、乾燥して、導電性基体の少なくとも一方の面に少なくとも負極活物質とバインダーを含有する塗膜を形成する工程を経て作製される。なお、上記塗料の調製にあたっては、バインダーはあらかじめ溶剤に溶解させ、バインダー溶液として負極活物質などと混合して塗料を調製するようにしてもよい。
【0025】
本発明において、上記ポリビニリデンフルオライド系ポリマーとセルロース系ポリマーとをバインダーとして用いる塗膜の形成用に使用する塗料の溶剤としては、ビニリデンフルオライド系ポリマーとセルロース系ポリマーを共に溶解させるような溶剤を使用することが好ましく、そのような溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどが挙げられ、それらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0026】
上記塗料を導電性基体に塗布する際の塗布方法としては、例えば、押出しコータ、リバースローラー、ドクターブレード、アプリケーターなどをはじめ、各種の塗布方法を採用することができる。
【0027】
本発明において、正極、負極などの電極の導電性基体としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属性導電材料を網、パンチドメタル、フォームメタルや、板状に加工した箔などが用いられる。
【0028】
電解液としては、例えば、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートなどの単独または2種以上の混合溶媒に、例えば、LiCF3 SO3 、LiC4 F9 SO3 、LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 などの電解質を単独でまたは2種以上溶解させて調製した有機溶媒系の電解液が用いられる。
【0029】
セパレータとしては、例えば、厚さ10〜50μmで、開孔率30〜70%の微多孔性ポリエチレンフィルムまたは微多孔性ポリプロピレンフィルムなどが好適に用いられる。
【0030】
電池は、例えば、上記のようにして作製されるシート状の正極1とシート状の負極2との間にセパレータ3を介在させて渦巻状に巻回して作製した渦巻状巻回構造の電極体を、ニッケルメッキを施した鉄やステンレス鋼製の電池ケース内5に挿入し、電解液4を注入し、封口する工程を経て作製される(図1参照)。また、上記電池には、通常、電池内部に発生したガスをある一定圧力まで上昇した段階で電池外部に排出して、電池の高圧下での破裂を防止するための防爆機構が取り入れられる。
【0031】
(非水二次電池の構造)
本発明は、例えば図1に示すような非水二次電池に適用される。非水二次電池は、シート状の正極1および負極2を有する。これら正極1と負極2は、セパレータ3を介して渦巻状に巻回され、渦巻状巻回構造の電極体として電解液4とともに電池ケース5内に収容されている。
【0032】
電池ケース5はステンレス鋼製で、負極端子を兼ねており、この電池ケース5の底部には上記渦巻状巻回構造の電極体の挿入に先立って、ポリプロピレン製の絶縁体6が配置されている。封口板7はアルミニウム製で、円板状をしていて、中央部に薄肉部7aを設け、かつ上記薄肉部7aの周囲に電池内圧を防爆弁9に作用させるための圧力導入口7bとしての孔が設けられている。そして、この薄肉部7aの上面に防爆弁9の突出部9aが溶接され、溶接部分11を構成している。なお、上記の封口板7に設けた薄肉部7aや防爆弁9の突出部9aなどは、図面上での理解がしやすいように、切断面のみを図示しており、切断面後方の輪郭線は図示を省略している。また、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aとの溶接部分11も、図面上での理解が容易なように、実際よりは誇張した状態に図示している。
【0033】
端子板8は、圧延鋼製で表面にニッケルメッキが施され、周縁部が鍔状になった帽子状をしており、この端子板8にはガス排出孔8aが設けられている。防爆弁9は、アルミニウム製で、円板状をしており、その中央部には発電要素側(図1では、下側)に先端部を有する突出部9aが設けられ、その突出部9aの下面が、前記したように、封口板7の薄肉部7aの上面に溶接され、溶接部分11を構成している。絶縁パッキング10は、ポリプロピレン製で、環状をしており、封口板7の周縁部の上部に配置され、その上部に防爆弁9が配置していて、封口板7と防爆弁9とを絶縁するとともに、両者の間から電解液が漏れないように両者の間隙を封止している。環状ガスケット12はポリプロピレン製で、リード体13はアルミニウム製で、前記封口板7と正極1とを接続し、渦巻状巻回構造の電極体の上部には絶縁体14が配置され、負極2と電池ケース5の底部とはニッケル製のリード体15で接続されている。
【0034】
前記のように、電池ケース5の底部には絶縁体6が配置され、前記正極1、負極2およびセパレータ3からなる渦巻状巻回構造の電極体や、電解液4、渦巻状巻回構造の電極体上部の絶縁体14などは、この電池ケース5内に収容され、それらの収容後、電池ケース5の開口端近傍部分に底部が内方に突出した環状の溝が形成される。そして、上記電池ケース5の開口部に、封口板7、絶縁パッキング10、防爆弁9が挿入された環状ガスケット12を入れ、さらにその上から端子板8を挿入し、電池ケース5の溝から先の部分を内方に締め付けることによって、電池ケース5の開口部が封口されている。ただし、上記のような電池組立にあたっては、前記のように、あらかじめ負極2と電池ケース5とをリード体15で接続し、正極1と封口板7とをリード体13で接続しておくことが好ましい。
【0035】
上記のようにして組み立てられた電池においては、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aとが溶接部分11で接触し、防爆弁9の周縁部と端子板8の周縁部とが接触し、正極1と封口板7とは正極側のリード体13で接続されているので、正極1と端子板8とはリード体13、封口板7、防爆弁9およびそれらの溶接部分11によって電気的接続が得られ、電路として正常に機能する。
【0036】
そして、電池に異常事態が起こり、電池内部にガスが発生して電池の内圧が上昇した場合には、その内圧上昇により、防爆弁9の中央部が内圧方向(図1では、上側の方向)に変形し、それに伴って溶接部分11で一体化されている薄肉部7aに剪断力が働いて、該薄肉部7aが破断するか、または防爆弁9の突出部9aと封口板7の薄肉部7aとの溶接部分11が剥離し、それによって、正極1と端子板8との電気的接続が消失して、電流が遮断されるようになる。その結果、電池反応が進行しなくなるので、過充電時や短絡時でも、充電電流や短絡電流による電池の温度上昇や内圧上昇がそれ以上進行しなくなって、電池の発火や破裂を防止できるように設計されている。
【0037】
なお、上記防爆弁9には薄肉部9bが設けられており、たとえば、充電が極度に進行にして電解液や活物質などの発電要素が分解し、大量のガスが発生した場合は、防爆弁9が変形して、防爆弁9の突出部9aと封口板7の薄肉部7aとの溶接部分11が剥離した後、この防爆弁9に設けた薄肉部9bが開裂してガスを端子板8のガス排出孔8aから電池外部に排出させて電池の破裂を防止することができるように設計されている。
【0038】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例などにおいて、濃度などを示す%は重量%である。
【0039】
(実施例1)
(1)正極の作製
正極の作製を、正極活物質として用いるリチウムニッケル酸化物の合成、塗膜の形成の順に説明する。
【0040】
▲1▼リチウムニッケル酸化物の合成
水酸化リチウム(LiOH・H2 O)と酸化ニッケル(Ni2 O3 )とを熱処理してリチウムニッケル酸化物を合成した。上記の合成は以下のように行った。
【0041】
水酸化リチウムと酸化ニッケルとをLi:Ni=1:1.05(モル比)の割合になるように秤量した後、メノウ製の乳鉢で粉砕しつつ混合した。これを酸素(O2 )気流中において500℃で2時間予備加熱した後、昇温速度50℃/h以下で700℃で20時間加熱して焼成することによってリチウムニッケル酸化物を合成した。なお、合成したリチウムニッケル酸化物は水分に対して弱いため、粉砕などの取扱いは、アルゴンガス雰囲気中で行った。
【0042】
▲2▼塗膜の形成
まず、上記のようにして合成したリチウムニッケル酸化物と、電子伝導助剤としての鱗片状黒鉛、バインダーを構成するポリビニリデンフルオライド系ポリマーとしてのポリビニリデンフルオライドと、セルロース系ポリマーとしてのヒドロキシプロピルセルロースを用い、それらと溶剤としてのN−メチルピロリドンを下記の組成で含む正極塗膜形成用塗料A、Bを調製した。
【0043】
<塗料Aの組成>
正極塗膜形成用塗料の組成リチウムニッケル酸化物 90重量部
鱗片状黒鉛 6重量部
ポリビニリデンフルオライド 3重量部
ヒドロキシプロピルセルロース 1重量部
N−メチルピロリドン 45重量部
【0044】
<塗料Bの組成>
正極塗膜形成用塗料の組成リチウムニッケル酸化物 90重量部
鱗片状黒鉛 6重量部
ポリビニリデンフルオライド 3.5重量部
ヒドロキシプロピルセルロース 0.5重量部
N−メチルピロリドン 45重量部
【0045】
上記塗料A、塗料Bの調製は次に示すように行った。まず、N−メチルピロリドンにポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースを溶解してバインダー溶液を調製し、このバインダー溶液に正極活物質のリチウムニッケル酸化物と電子伝導助剤としての鱗片状黒鉛を加え、混合することによって塗料A、塗料Bを調製した。
【0046】
そして、まず、得られた塗料Aを導電性基体としての厚さ20μmのアルミニウム箔上にアプリケータを用いて塗布し、100〜120℃で乾燥して塗膜を形成し、続いて、この塗膜上に塗料Bを同様の方法で塗布乾燥して塗膜を形成した。同様に、アルミニウム箔の裏面側にも上記塗料Aを塗布乾燥後、塗料Bを塗布乾燥し、片面2層構造の電極体を形成した。この電極体を100℃で8時間真空乾燥した後、ロールプレスしてシート状の正極を作製した。このときの電極塗膜の密度は、3.20g/cm3 であった。塗膜断面の顕微ラマンスペクトルにより求めたポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では、73:27で、塗膜表面付近では85:15であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が減少していることを確認した。
【0047】
(2)負極の作製
負極活物質として人造黒鉛(2800℃で合成)を用い、バインダーとして正極塗膜形成用塗料に用いたものと同様のポリビニリデンフルオライド系ポリマーとセルロース系ポリマーとを用い、それらを下記の割合で含む負極塗膜形成用塗料C、Dを調製した。
【0048】
<塗料Cの組成>
人造黒鉛 90重量部
ポリビニリデンフルオライド 8重量部
ヒドロキシプロピルセルロース 2重量部
N−メチルピロリドン 80重量部
【0049】
<塗料Dの組成>
人造黒鉛 90重量部
ポリビニリデンフルオライド 9重量部
ヒドロキシプロピルセルロース 1重量部
N−メチルピロリドン 80重量部
【0050】
得られた塗料を導電性基体としての厚さ18μmの銅箔上にアプリケータを用いて塗布し、100〜120℃で乾燥して塗膜を形成し、続いてこの塗膜上に塗料Dを同様の方法で塗布乾燥して塗膜を形成した。同様に、銅箔の裏面側にも上記塗料Cを塗布乾燥後、塗料Dを塗布乾燥し、片面2層構造の電極体を形成した。その後、この電極体を100℃で8時間真空乾燥した後、ロールプレスしてシート状の負極を作製した。このときの電極塗膜の密度は、1.55g/cm3 であった。また、塗膜断面の顕微ラマンスペクトルにより求めたポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では、79:21で、塗膜表面付近では88:12であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が減少していることを確認した。
【0051】
(3)電解液の調製
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒にLiPF6 を1mol /l溶解して有機溶媒系の電解液を調製した。
【0052】
(4)筒形電池の組み立て
上記シート状の正極を幅28mm×長さ220mmの帯状に切断し、シート状の負極を幅30mm×長さ260mmの帯状に切断した。そして、それぞれの電極の一方の端部の塗膜の一部を剥がして、金属箔を露出させた部分に、アルミニウム製のリード体を抵抗溶接し、厚み25μmで開孔率50%の微多孔性ポリエチレンフィルムからなる帯状セパレータを上記シート状の正極とシート状の負極の間に介在させ、渦巻状に巻回して渦巻状電極体を作製し、その渦巻状電極体をステンレス鋼製の電池ケースに挿入した。
【0053】
そして、負極側のリード体の先端を絶縁体を貫通させて電池ケースの底部に溶接し、さらに、電池ケースの開口部に絶縁体を挿入し、溝を形成した後、封口板と正極側のリード体とを溶接した。そして、このような工程を経て作製された電極などを内填する缶体を60℃で10時間真空乾燥した後、乾燥雰囲気中で電解液2mlを注入後、封口して図1に示すような筒形のR5型リチウム二次電池(外径:14.95mm、高さ:39.7mm)を作製した。
【0054】
(実施例2)
実施例1の正極塗膜形成用塗料Aの組成中、ポリビニリデンフルオライド3重量部を3.5重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を0.5重量部に、N−メチルピロリドン45重量部を43重量部に、正極塗膜形成用塗料Bの組成中、ポリビニリデンフルオライド3.5重量部を3.9重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース0.5重量部を0.1重量部に、N−メチルピロリドン45重量部を43重量部に、負極塗膜形成用塗料Cの組成中、ポリビニリデンフルオライド8重量部を9.5重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース2重量部を0.5重量部に、N−メチルピロリドン80重量部を75重量部に、負極塗膜形成用塗料Dの組成中、ポリビニリデンフルオライド9重量部を9.8重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を0.2重量部に、N−メチルピロリドン80重量部を75重量部に変更した他は、実施例1と同様にR5型リチウム二次電池を作製した。なお、上記の正・負極の電極塗膜密度は、各々3.25g/cm3 と1.60g/cm3 であった。
【0055】
正極塗膜のポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では87:13で、塗膜表面付近では97:3であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が減少していることを確認した。同様に、負極塗膜のポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では94:6で、塗膜表面付近では97:3であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が減少していることを確認した。
【0056】
(実施例3)
実施例1の正極塗膜形成用塗料Aの組成中、ポリビニリデンフルオライド3重量部を3.92重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を0.08重量部に、N−メチルピロリドン45重量部を40重量部に、正極塗膜形成用塗料Bの組成中、ポリビニリデンフルオライド3.5重量部を4重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース0.5重量部を0重量部に、N−メチルピロリドン45重量部を40重量部に、負極塗膜形成用塗料Cの組成中、ポリビニリデンフルオライド8重量部を9.8重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース2重量部を0.2重量部に、N−メチルピロリドン80重量部を74重量部に、負極塗膜形成用塗料Dの組成中、ポリビニリデンフルオライド9重量部を10重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を0重量部に、N−メチルピロリドン80重量部を74重量部に変更した他は、実施例1と同様にR5型リチウム二次電池を作製した。なお、上記の正・負極の電極塗膜密度は、各々3.28g/cm3 と1.63g/cm3 であった。
【0057】
正極塗膜のポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では98:2で、塗膜表面付近では100:0であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が減少していることを確認した。同様に、負極塗膜のポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では97:3で、塗膜表面付近では100:0であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が減少していることを確認した。
【0058】
(実施例4)
実施例1の正極塗膜形成用塗料Aの組成中、ポリビニリデンフルオライド3重量部を0.8重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を3.2重量部に、N−メチルピロリドン45重量部を52重量部に、正極塗膜形成用塗料Bの組成中、ポリビニリデンフルオライド3.5重量部を1.5重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース0.5重量部を2.5重量部に、N−メチルピロリドン45重量部を52重量部に、負極塗膜形成用塗料Cの組成中、ポリビニリデンフルオライド8重量部を3重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース2重量部を7重量部に、N−メチルピロリドン80重量部を84重量部に、負極塗膜形成用塗料Dの組成中、ポリビニリデンフルオライド9重量部を4重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を6重量部に、N−メチルピロリドン80重量部を75重量部に変更した他は、実施例1と同様にR5型リチウム二次電池を作製した。なお、上記の正・負極の電極塗膜密度は、各々3.25g/cm3 と1.60g/cm3 であった。
【0059】
正極塗膜のポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では19:81で、塗膜表面付近では37:63であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が減少していることを確認した。同様に、負極塗膜のポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では29:71で、塗膜表面付近では38:62であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が減少していることを確認した。
【0060】
(実施例5)
実施例2の正極塗膜形成用塗料A、塗料Bの組成中、ヒドロキシプロピルセルロースをメチルセルロースに、負極塗膜形成用塗料C、塗料Dの組成中、ヒドロキシプロピルセルロースをメチルセルロースに変更した他は、実施例2と同様にしてR5型電池を作製した。なお、上記の正、負極の電極塗膜密度は各々3.24g/cm3 と1.61g/cm3 であった。
【0061】
正極塗膜のポリビニリデンフルオライドとメチルセルロースの比率は、導電性基体付近では86:14で、塗膜表面付近では97:3であり、また、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がメチルセルロースの含有率が減少していることを確認した。負極塗膜についても、導電性基体付近では94:6で、塗膜表面付近では97:3で、また、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がメチルセルロースの含有率が減少していることを確認した。
【0062】
(比較例1)
実施例1の正極塗膜形成用塗料Aの組成はそのままで、塗料Bの組成中、ポリビニリデンフルオライド3.5重量部を2.5重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を1.5重量部に、N−メチルピロリドン45重量部を47重量部に、負極塗膜形成用塗料Cの組成はそのままで、塗料Dの組成中、ポリビニリデンフルオライド9重量部を7重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を3重量部に、N−メチルピロリドン80重量部を82重量部に変更した他は、実施例1と同様にR5型リチウム二次電池を作製した。なお、上記の正・負極の電極塗膜密度は、各々3.17g/cm3 と1.53g/cm3 であった。
【0063】
正極塗膜のポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では73:27で、塗膜表面付近では61:39であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が増加していることを確認した。同様に、負極塗膜のポリビニリデンフルオライドとヒドロキシプロピルセルロースの比率は、導電性基体付近では79:21で、塗膜表面付近では68:32であり、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がヒドロキシプロピルセルロースの含有率が増加していることを確認した。
【0064】
(比較例2)
実施例1の正極塗膜形成用塗料Aの組成中、ポリビニリデンフルオライド3重量部を4重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース1重量部を0重量部に、N−メチルピロリドン45重量部を40重量部に変更して、セルロース系ポリマーを含有しない塗料のみで塗膜を形成し、負極は、負極塗膜形成用塗料Cの組成中、ポリビニリデンフルオライド8重量部を10重量部に、ヒドロキシプロピルセルロース2重量部を0重量部に、N−メチルピロリドン80重量部を75重量部に変更して、セルロース系ポリマーを含有しない塗料のみで塗膜を形成した以外は、実施例1と同様にR5型リチウム二次電池を作製した。上記の正・負極の電極塗膜密度は、各々3.28g/cm3 と1.64g/cm3 であった。なお、表1に実施例1〜5および比較例1、2の各塗料の組成を示す。
【0065】
【表1】
【0066】
上記のようにして作製した実施例1〜5および比較例1・2の電池について、電池作製時の電極表面からの粉落ち(活物質の脱落)のよるソフトショートの発生確率(%)、および充放電を繰り返したときの電池容量の変化を測定した。電池容量の測定方法は以下のごとくである。
【0067】
(電池容量の測定方法)
充放電電流をCで表示した場合、R5型で、600mAを1Cとして充放電を行った。充電は、1Cの電流制限回路を設けて4.2Vの定電圧で行い、放電は電池の電極間電圧が2.75Vに低下するまで行った。そして、このときの電池の充放電の繰り返しにおける200回目の放電容量を、1回目の放電容量で割った値に100を掛けたものを200回目の容量保持率(%)とした。表2に、実施例1〜5および比較例1、2の電池の200回目の容量保持率(%)を示す。
【0068】
【表2】
【0069】
表2から、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がセルロース系ポリマーの含有率が減少するように電極塗膜を構成した実施例1〜5では、セルロース系ポリマーの含有率が増加するようにした比較例1や、セルロース系ポリマーを添加しなかった比較例2に比べて、ソフトショートの発生確率が低くなっており、電池製造時の電極の粉落ち(活物質の脱落)が抑制されていることがわかる。また、実施例1〜5では、比較例1・2と比して容量保持率が高く、充放電を繰り返しても、電池容量が低下し難くなっていることがわかる。これは、導電性基体と電極塗膜との接着性を良好に保ったまま、電極の柔軟性が向上していることに拠るものと考える。
【0070】
以上のように、本発明によれば、導電性基体側よりも塗膜表面側の方がセルロース系ポリマーの含有率が減少するように電極塗膜を構成したことにより、電池の高容量化を目的として電極塗膜を高密度化した場合であっても、電池製作時の電極の粉落ち(活物質の脱落)を抑制することができる。これにより、ソフトショートの発生や充放電の繰り返しによる容量劣化を抑制し、長期信頼性に優れた非水二次電池を実現できる。特に、電極塗膜密度を正極では3.15g/cm3 以上、負極では1.55g/cm3 以上とした場合でも、電池作製時の電極の粉落ち(活物質の脱落)を抑制してソフトショートの発生を抑えることができるので、長期信頼性に優れた400Wh/l以上の高容量密度の非水二次電池を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の非水二次電池の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】電極塗膜におけるセルロース系ポリマーの含有率の変化の一態様を説明するための図である。
【図3】電極塗膜におけるセルロース系ポリマーの含有率の変化の他の態様を説明するための図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ
Claims (6)
- シート状の正極と負極が、これらの間にセパレートを介在させた状態で渦巻状に巻回されている非水二次電池において、
前記シート状の正極および負極のうち少なくとも一方の電極が、導電性基体の少なくとも一方の面上に、活物質とバインダーとを含む電極塗膜を積層することにより形成されており、
前記電極塗膜の形成用塗料の組成中、前記バインダーが0.2〜20重量%の範囲で含まれており、
前記バインダーは、第1種ポリマーと、この第1種ポリマーよりも接着力の小さい第2種ポリマーとからなり、
第1種ポリマーはセルロース系ポリマーであり、
前記電極塗膜が、導電性基体側よりも塗膜表面側の方が第1種ポリマーの含有率が減少するようにかつ第2種ポリマーが増加するように構成されており、
前記導電性基体側に、第2種ポリマーと第1種ポリマーの両ポリマーが含まれるように構成されていることを特徴とする非水二次電池。 - 導電性基体側から塗膜表面側に向けて、第1種ポリマーの含有率が漸減するように前記電極塗膜が構成されている請求項1記載の非水二次電池。
- 第1種ポリマーの含有率の異なる少なくとも2以上の塗膜を積層することにより、前記電極塗膜が構成されている請求項1記載の非水二次電池。
- 導電性基体付近の電極塗膜の第2種ポリマーと第1種ポリマーの比率は98:2〜19:81であり、塗膜表面側の電極塗膜第2種ポリマーと第1種ポリマーの比率は100:0〜37:63であり、第2種ポリマーが主成分モノマーとしてビニリデンフルオライドを含むポリビニリデンフルオライド系ポリマーであることを特徴とする請求項1記載の非水二次電池。
- 正極活物質がリチウム含有複合金属酸化物であり、正極の電極塗膜の密度が3.15g/cm3 以上である請求項1又は2又は3又は4記載の非水二次電池。
- 負極活物質が乱層構造を有する炭素材料、又は黒鉛であり、負極の電極塗膜の密度が1.55g/cm3 以上である請求項1又は2又は3又は4記載の非水二次電池。
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