JP4862407B2 - 半導体レンズの製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体レンズの製造方法に関するものである。
従来から、導電性基板を用いたマイクロレンズ用金型の製造方法およびそのマイクロレンズ用金型を用いたマイクロレンズの製造方法が提案されている(特許文献1参照)。なお、特許文献1には、マイクロレンズとして合成樹脂レンズが例示されている。
上記特許文献1のマイクロレンズ用金型の製造方法では、例えば、導電性基板たる低抵抗のp形シリコン基板の一表面上にシリコン窒化膜を堆積させた後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してシリコン窒化膜の所定部位に円形状の開孔部を形成し、その後、シリコン窒化膜をマスク層としてp形シリコン基板の上記一表面側の一部を陽極酸化処理にて多孔質化することにより半球状の多孔質シリコン部を形成する。その後、多孔質シリコン部を全体に亘って酸化することにより二酸化シリコン部を形成し、マスク層を除去してから、二酸化シリコン部を除去することによってp形シリコン基板の上記一表面に所望の凸レンズの形状に対応する凹部を形成し、続いて、p形シリコン基板の上記一表面側および他表面側それぞれに熱酸化膜を形成している。なお、上述の陽極酸化処理では、陽極酸化用の電解液中でp形シリコン基板の上記一表面側に対向配置される陰極と半導体基板の他表面に接する形で配置される陽極板との間に通電することで多孔質シリコン部を形成している。
ところで、上記特許文献1に開示されたマイクロレンズ用金型の製造方法では、p形シリコン基板として抵抗率が導体の抵抗率に比較的近い低抵抗のものを用いており、陽極酸化処理時にp形シリコン基板の多孔質化が等方性エッチングのように等方的に進行するので、上記開孔部の形状を円形状とすることにより、図17に示すようにp形シリコン基板100の上記一表面に形成される凹部101の深さ寸法a1と凹部101の円形状の開口面の半径a2とが略等しくなり、結果的に、マイクロレンズとして球面レンズを製造することができる。なお、上記特許文献1には、マイクロレンズ用金型の製造時に上記開孔部の形状を長方形状とすることにより、結果的に、マイクロレンズとしてシリンドリカルレンズを製造することができることも開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示されたマイクロレンズ用金型の製造方法では、凸曲面の曲率半径が一様なマイクロレンズを形成するためのマイクロレンズ用金型しか製造することができず、マイクロレンズとして非球面レンズを形成することはできなかった。
これに対して、従来から、半導体基板の一部をウェットエッチング若しくはドライエッチングにより除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法において、化合物半導体材料(例えば、InP、GaAs、InAsなど)からなる半導体基板の一表面上に形成するエッチングマスク層のパターンを適宜設計することで任意形状の半導体レンズ(例えば、球面レンズ、非球面レンズ、シリンドリカルレンズなど)を形成する技術が提案されている(特許文献2参照)。
ここで、上記特許文献2に開示された半導体レンズの製造方法により非球面レンズを製造する際には、エッチングマスク層において半導体基板の厚み方向に直交する面内で同心的に設ける複数の円環状の開孔部の開口幅を上記厚み方向に沿った中心軸から離れるにつれて大きくなるようにパターン設計しておくことで、エッチング時のエッチング深さおよびサイドエッチング量を開孔部ごとに変化させており、エッチング後に、エッチングマスク層を除去してから、さらに、不要な突起を除去するスムージング処理を行っている。
特開2000−263556号公報 特開平11−298046号公報
しかしながら、上記特許文献2に開示された半導体レンズの製造方法では、エッチング後にスムージング処理を行っても、不要な突起だけを選択的に除去することはできないので、表面が滑らかな半導体レンズ(球面レンズ、非球面レンズ、シリンドリカルレンズなど)を形成することは難しかった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、任意形状で且つ表面が滑らかな半導体レンズを容易に形成することが可能な半導体レンズの製造方法を提供することにある。
請求項1の発明は、半導体基板の一部を除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法であって、所望のレンズ形状に応じてパターン設計した陽極を半導体基板の一表面側に形成する陽極形成工程と、電解液中で半導体基板の他表面側に対向配置される陰極と陽極との間に通電して半導体基板の他表面側に除去部位となる多孔質部を形成する陽極酸化工程と、多孔質部を除去する多孔質部除去工程とを有することを特徴とする。
この発明によれば、陽極形成工程にて形成する陽極のパターンにより陽極酸化工程において半導体基板に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるので、陽極酸化工程にて形成する多孔質部の厚みの面内分布を制御することができて厚みが連続的に変化した多孔質部を形成することが可能であり、当該多孔質部を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状の半導体レンズが形成されるから、任意形状で且つ表面が滑らかな半導体レンズを容易に形成することが可能になる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記陽極形成工程では、前記半導体基板の前記一表面側に前記陽極の基礎となる導電性層を形成した後、導電性層に円形状の開孔部を設けるように導電性層をパターニングすることで前記陽極を形成することを特徴とする。
この発明によれば、前記陽極酸化工程において前記半導体基板に流れる電流の電流密度が、前記陽極の開孔部の中心線に近づくほど小さくなる面内分布となるので、前記半導体基板の前記他表面側では前記陽極の開孔部の中心線に近づくほど前記多孔質部の厚みが薄くなり、半導体レンズとして表面が滑らかな非球面レンズを形成することができる。
請求項3の発明は、半導体基板の一部を除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法であって、所望のレンズ形状に応じてパターン設計した絶縁層を半導体基板の一表面側に形成する絶縁層形成工程と、半導体基板の前記一表面側において絶縁層および前記一表面の露出部位を覆う導電性層からなる陽極を形成する陽極形成工程と、電解液中で半導体基板の他表面側に対向配置される陰極と陽極との間に通電することによって半導体基板の他表面側を多孔質化することで除去部位となる多孔質部を形成する陽極酸化工程と、多孔質部を除去する多孔質部除去工程とを有することを特徴とする。
この発明によれば、絶縁層形成工程にて形成する絶縁層のパターンにより陽極酸化工程において半導体基板に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるので、陽極酸化工程にて形成する多孔質部の厚みの面内分布を制御することができて厚みが連続的に変化した多孔質部を形成することが可能であり、当該多孔質部を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状の半導体レンズが形成されるから、任意形状で且つ表面が滑らかな半導体レンズを容易に形成することが可能になる。また、絶縁層のパターンにより陽極酸化工程において半導体基板に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるので、請求項1の発明のように陽極のパターンにより電流密度の面内分布が決まる場合に比べて、低抵抗率の半導体基板を用いることが可能になる。
請求項4の発明は、半導体基板の一部を除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法であって、所望のレンズ形状に応じてパターン設計した絶縁層を半導体基板の一表面側に形成する絶縁層形成工程と、半導体基板の前記一表面および絶縁層の表面に接する通電用の電解液中において半導体基板の前記一表面側に対向配置される通電用電極と陽極酸化用の電解液中で半導体基板の他表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体基板の前記他表面側を多孔質化することで除去部位となる多孔質部を形成する陽極酸化工程と、多孔質部を除去する多孔質部除去工程とを有することを特徴とする。
この発明によれば、絶縁層形成工程にて形成する絶縁層のパターンにより陽極酸化工程において半導体基板の前記他表面側に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるので、陽極酸化工程にて形成する多孔質部の厚みの面内分布を制御することができて厚みが連続的に変化した多孔質部を形成することが可能であり、当該多孔質部を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状の半導体レンズが形成されるから、任意形状で且つ表面が滑らかな半導体レンズを容易に形成することが可能になる。また、陽極酸化工程では半導体基板の前記一表面および絶縁層の表面に接する通電用の電解液中に配置される通電用電極と半導体基板の他表面側で陽極酸化用の電解液中に配置される陰極との間に通電することで多孔質部を形成するので、請求項3の発明における陽極形成工程が不要であり、請求項3の発明に比べて工程数を削減することができるという利点がある。
請求項5の発明は、請求項3または請求項4の発明において、前記絶縁層形成工程では、前記半導体基板の前記一表面側に前記絶縁層の基礎となる絶縁膜を形成した後、絶縁膜を円形状にパターニングすることで前記絶縁層を形成することを特徴とする。
この発明によれば、前記陽極酸化工程において前記半導体基板に流れる電流の電流密度が、前記半導体基板の厚み方向に一致する前記絶縁層の中心線に近づくほど小さくなる面内分布となるので、前記半導体基板では前記絶縁層の中心線に近づくほど前記多孔質部の厚みが薄くなり、半導体レンズとして表面が滑らかな非球面レンズを形成することができる。
請求項6の発明は、請求項3ないし請求項5の発明において、前記絶縁層は、シリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜からなることを特徴とする。
この発明によれば、前記絶縁層を一般的は半導体製造プロセスにより容易に形成することができ、前記絶縁層の位置精度およびパターン精度を高精度化でき、ひずみの少ない半導体レンズを形成することができる。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記陽極酸化工程では、前記電解液の電気抵抗値を調整することにより、前記多孔質部の形状を制御することを特徴とする。
この発明によれば、前記多孔質部の形状をより制御しやすくなる。
請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7の発明において、前記多孔質部除去工程が前記多孔質部である第1の多孔質部を除去する第1の多孔質部除去工程であり、第1の多孔質部除去工程の後に、前記半導体基板の前記一表面側に所望のレンズ形状に応じた厚み分布を有する第2の多孔質部を請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の陽極酸化工程により形成してから、第2の多孔質部を除去することを特徴とする。
この発明によれば、半導体レンズとして、両凸レンズ、両凹レンズ、凹凸レンズなどを形成することができる。
請求項1ないし請求項8の発明では、任意形状で且つ表面が滑らかな半導体レンズを容易に形成することが可能になるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態では、半導体基板の一部を除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法として、半導体基板たるp形シリコン基板10(図1(a)参照)の一部を陽極酸化工程おいて多孔質化することにより形成した多孔質シリコンからなる多孔質部を除去して半導体レンズたるシリコンレンズ1(図1(e)参照)を製造する製造方法を例示する。ここにおいて、本実施形態におけるシリコンレンズ1は、平凸型の非球面レンズである。なお、本実施形態では、p形シリコン基板10の抵抗率を80Ωcmに設定してあるが、この数値は特に限定するものではない。
以下、上述のシリコンレンズ1の製造方法について図1(a)〜(e)を参照しながら説明する。
まず、図1(a)に示すp形シリコン基板10を洗浄する洗浄工程、p形シリコン基板の一表面(図1(a)における下面)にマークを設けるマーキング工程を行ってから、p形シリコン基板10の上記一表面側に陽極酸化工程で利用する陽極12(図1(c)および図2(a)参照)の基礎となる所定膜厚(例えば、1μm)のアルミニウム膜からなる導電性層11を形成する導電性層形成工程を行うことによって、図1(b)に示す構造を得る。ここにおいて、導電性層形成工程では、例えばスパッタ法によってp形シリコン基板10の上記一表面上に導電性層11を成膜した後、NガスおよびHガス雰囲気中で導電性層11のシンタ(熱処理)を行う。なお、導電性層11の成膜方法はスパッタ法に限らず、例えば蒸着法などを採用してもよい。
導電性層形成工程の後、導電性層11に円形状の開孔部13を設けるように導電性層11をパターニングするパターニング工程を行うことによって、図1(c)に示す構造を得る。ここにおいて、パターニング工程では、フォトリソグラフィ技術を利用してp形シリコン基板10の上記一表面側に上記開孔部13に対応する部位が開孔されたレジスト層(図示せず)を形成した後、レジスト層をマスクとして導電性層11の不要部分を例えばウェットエッチング技術あるいはドライエッチング技術によってエッチング除去して開孔部13を設けることにより導電性層11の残りの部分からなる陽極12を形成し、その後、上記レジスト層を除去する。なお、導電性層11がアルミニウム膜であれば、導電性層11の不要部分をウェットエッチング技術によりエッチング除去する場合には、例えば燐酸系エッチャントを用いればよく、導電性層11の不要部分をドライエッチング技術によりエッチング除去する場合には、例えば反応性イオンエッチング装置などを用いればよい。また、本実施形態では、上述の導電性層形成工程とパターニング工程とで、所望のレンズ形状に応じてパターン設計した陽極12を半導体基板たるp形シリコン基板10の上記一表面側に形成する陽極形成工程を構成している。なお、円形状の開孔部13の半径は1mmに設定してあるが、この数値は特に限定するものではなく、シリコンレンズ1のレンズ径の設計値に基づいて適宜設定すればよい。
パターニング工程の後、陽極酸化用の電解液B(図3参照)中でp形シリコン基板10の他表面側(図1(a)における上面側)に対向配置される陰極25(図3参照)と陽極12との間に通電してp形シリコン基板10の上記他表面側に除去部位となる多孔質部14を形成する陽極酸化工程(陽極酸化処理)を行うことによって、図1(d)に示す構造を得る。
ここにおいて、陽極酸化工程では、図3に示す構成の陽極酸化装置Aを用いる。陽極酸化装置Aは、p形シリコン基板10の上記一表面側に形成された陽極12に接触させる平板状の通電用電極21を有し陽極12と通電用電極21とを接触させた形でp形シリコン基板10を支持する円板状の支持台22と、中心線を上下方向として支持台22の上方に配置される円筒状の筒体23と、筒体23の下端部に連続一体に形成された内鍔部23aとp形シリコン基板10の周部との間に介装されるOリングからなるシール部材24と、筒体23の下端部に連続一体に形成された外鍔部23bと支持台22の周部とを結合する複数の結合部材26とを備えており、p形シリコン基板10の上記他表面とシール部材24と筒体23とで囲まれる空間に陽極酸化用の電解液Bが入れられる。なお、電解液Bとしては、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合溶液を用いているが、フッ化水素水溶液の濃度やフッ化水素水溶液とエタノールとの混合比は特に限定するものではない。また、筒体23は、電解液Bに対して耐性を有する材料、例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂により形成すればよい。
また、陽極酸化装置Aは、p形シリコン基板10の上記他表面に対向配置される白金電極からなる陰極25と、通電用電極21を介して陽極12と陰極25との間に電圧を印加する電圧源31と、電圧源31から通電用電極21に流れる電流を検出する電流センサ32と、電流センサ32の検出電流に基づいて電圧源31の出力電圧を制御するマイクロコンピュータなどからなる制御部33とを備えており、制御部33が、電圧源31から通電用電極21へ所定電流密度(例えば、30mA/cm)の電流が所定時間(例えば、120分)だけ流れるように電圧源31を制御するようになっている。なお、陽極酸化工程の処理条件は特に限定するものではなく、上述の所定電流密度および上記所定時間はそれぞれ適宜設定すればよい。
ところで、p形シリコン基板10の一部を陽極酸化工程において多孔質化する際には、ホールをh、電子をeとすると、以下の反応が起こっていると考えられる。
Si+2HF+(2−n)h→SiF+2H+ne
SiF+2HF→SiF+H
SiF+2HF→SiH
すなわち、p形シリコン基板10の陽極酸化では、Fイオンの供給量とホールhの供給量との兼ね合いで多孔質化あるいは電解研磨が起こることが知られており、Fイオンの供給量の方がホールの供給量よりも多い場合には多孔質化が起こり、ホールhの供給量がFイオンの供給量よりも多い場合には電解研磨が起こる。したがって、本実施形態のように半導体基板としてp形シリコン基板10を用いている場合には、陽極酸化による多孔質化の速度はホールhの供給量で決まるから、p形シリコン基板10中を流れる電流の電流密度で多孔質化の速度が決まり、多孔質部14の厚みが決まることになる。本実施形態では、p形シリコン基板10中を図4の矢印で示すような経路で電流が流れるので、p形シリコン基板10の上記他表面側(図4における上面側)では、陽極12の開孔部13の中心線から離れるほど電流密度が徐々に大きくなるような電流密度の面内分布を有することとなり、p形シリコン基板10の上記他表面側に形成される多孔質部14は、陽極12の開孔部13の中心線に近くなるほど徐々に薄くなっている。
上述の陽極酸化工程の終了後、p形シリコン基板10を乾燥させてから、多孔質部14を除去する多孔質部除去工程を行う。ここにおいて、多孔質部14を除去するエッチング液としてアルカリ系溶液(例えば、KOH、NaOHなど)やHF系溶液を用いれば、多孔質部14を除去する多孔質部除去工程において、アルミニウムにより形成されている陽極12もエッチング除去することができ、図1(e)および図2(b)に示す構造のシリコンレンズ1を得ることができるので、その後、個々のシリコンレンズ1に分離するダイシング工程を行えばよい。なお、多孔質部14を除去する多孔質部除去工程と、陽極12を除去する陽極除去工程とを別々に行ってもよい。
以上説明した本実施形態のシリコンレンズ1の製造方法によれば、陽極形成工程にて形成する陽極12のパターンにより陽極酸化工程において半導体基板たるp形シリコン基板10に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるので、陽極酸化工程にて形成する多孔質部14の厚みの面内分布を制御することができて厚みが連続的に変化した多孔質部14を形成することが可能であり、当該多孔質部14を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状のシリコンレンズ1が形成されるから、任意形状で且つ表面が滑らかなシリコンレンズ1を容易に形成することが可能になる。
ここにおいて、本実施形態における陽極形成工程では、p形シリコン基板10の上記一表面側に陽極12の基礎となる導電性層11を形成した後、導電性層11に円形状の開孔部13を設けるように導電性層11をパターニングすることで陽極12を形成しているので、陽極酸化工程においてp形シリコン基板10の上記他表面側ではp形シリコン基板10に流れる電流の電流密度が、陽極12(導電性層11)の開孔部13の中心線に近づくほど小さくなる面内分布となるから、p形シリコン基板10の上記他表面側では陽極12の開孔部13の中心線に近づくほど多孔質部14の厚みが薄くなり、シリコンレンズ1として表面が滑らかな平凸型の非球面レンズを形成することができる。なお、このようにして形成されたシリコンレンズ1の光軸は上述の開孔部13の中心線と一致する。
ところで、上述のシリコンレンズ1の製造方法においては、陽極酸化工程において半導体基板たるp形シリコン基板10に流れる電流の電流密度の面内分布によってレンズ形状(本実施形態では、平凸型の非球面レンズにおける非球面の曲率半径やレンズ径)が決まるので、半導体基板たるp形シリコン基板10の抵抗率や厚み、陽極酸化工程にて用いる電解液Bの電気抵抗値や、p形シリコン基板10と陰極25との間の距離、陰極25の平面形状(p形シリコン基板10に対向配置した状態においてp形シリコン基板10に平行な面内での形状)、陽極12における円形状の開孔部13の内径などを適宜設定することにより、レンズ形状を制御することができる。ここにおいて、電解液Bの電気抵抗値は、例えば、フッ化水素水溶液の濃度や、フッ化水素水溶液とエタノールとの混合比などを変えることにより調整することができるので、陽極12の形状の他に、陽極12の形状以外の条件(例えば、電解液Bの電気抵抗値)を適宜設定することによって、シリコンレンズ1の形状をより制御しやすくなる。また、陰極25の平面形状としては、例えば、図5(a)に示すように、p形シリコン基板10に対向配置した状態において、陽極12の開孔部13(図5(c)参照)と中心線が一致する円形状の開孔部25a(図5(b)参照)を有する平面形状を採用すればよい。ここで、陰極25の開孔部25aの内径は、陰極12の開孔部13の内径と必ずしも同じ値に設定する必要はなく、p形シリコン基板10の厚みや電解液Bの電気抵抗値や陰極25とp形シリコン基板10との間の距離などを考慮して適宜設定すればよい。なお、図5(a)における上向きの矢印はp形シリコン基板10中を流れる電流の経路を模式的に示しており、図5(a)における下向きの矢印は電解液B中を移動する電子の経路を模式的に示している。
また、上述の陽極酸化工程では、制御部33において電流センサ32による検出電流の電流密度が所定電流密度となるように電圧源31の出力電圧を制御し、通電開始から所定時間が経過すると直ちに通電を終了するようにしているが、通電終了前に電流密度を連続的ないし段階的に減少させることでp形シリコン基板10の多孔質化の速度および多孔度を低下させれば、多孔質部14を除去した後のシリコンレンズ1の表面をより滑らかな表面とすることが可能となる。
また、本実施形態の製造方法により形成されるシリコンレンズ1では、図6に示すように、レンズ部1aとレンズ部1aを全周に亘って囲むフランジ部1bとを連続一体に形成することが可能となる。したがって、例えば、図7に示す赤外線センサのように、赤外線検出素子(例えば、焦電素子、サーモパイルなど)60を収納したケース50の前壁51に形成された窓孔51a内にレンズ部1aを配置した状態でフランジ部1bを前壁51の後面における窓孔51aの周部と固着することができるので、図8に示すようにシリコン基板やゲルマニウム基板を研磨することにより形成された従来の赤外線用のレンズ200に比べて、ケース50へ容易に取り付けることが可能となる。なお、図7に示した赤外線センサにおけるケース50は、後面が開放された有底円筒状のケース本体50aと、ケース本体50aの後面を閉塞するベース板50bとで構成されている。
ところで、上述の製造方法では、陽極形成工程において円形状の開孔部13が設けられた陽極12を形成しているが、開孔部13の形状を円形状ではなくて長方形状の形状とすれば、シリコンレンズ1として、図9に示すようなシリンドリカルレンズを形成することも可能である。また、陽極12を図10(a)に示すような円形状の平面形状とすれば、シリコンレンズ1として、図10(b)および図11に示すような平凹型の非球面レンズを形成することも可能である。
また、p形シリコン基板10として抵抗率が導体の抵抗率に近い低抵抗のp形シリコン基板を用い、電解液Bの電気抵抗値を高抵抗化すれば、p形シリコン基板10を流れる電流の電流密度の面内分布は電解液Bの抵抗の影響を受けやすくなる。したがって、図12(a)に示すようにp形シリコン基板10の上記一表面(図12(a)における下面)の全面を覆う陽極12を設け、陽極酸化工程において図12(a),(b)に示すような円形状の開孔部25aを有する陰極25を用いるようにすれば、電解液B中では図12(a)中に矢印で示した経路で電子が移動することになるので、p形シリコン基板10の上記他表面側では陰極25の円形状の開孔部25aの中心線に近づくほど電流密度が小さくなって、開孔部25aの中心線に近づくほど厚みが薄くなった多孔質部14を形成することができ、シリコンレンズ1として、平凸型の非球面レンズを形成することができる。なお、上述のように低抵抗のp形シリコン基板10を用いる場合には、陽極12を設けずに、陽極酸化工程においてp形シリコン基板10の上記一表面を図3に示した陽極酸化装置における通電用電極21(図3参照)と接するように配置してもよい。
(実施形態2)
本実施形態の半導体レンズたるシリコンレンズ1の製造方法は実施形態1と略同じであって、実施形態1では陽極形成工程において円形状の開孔部13を有する陽極12を形成していたのに対して、陽極形成工程の前に、所望のレンズ形状に応じてパターン設計した円形状の絶縁層15(図13参照)を半導体基板たるp形シリコン基板10の上記一表面側(図13における下面側)に形成する絶縁層形成工程を有し、陽極形成工程では、図13に示すようにp形シリコン基板10の上記一表面側において絶縁層15およびp形シリコン基板10における上記一表面の露出部位を覆う導電性層(例えば、アルミニウム膜など)からなる陽極12をスパッタ法などによって形成している点が相違する。なお、他の工程は実施形態1と同じなので説明を省略する。
上述の絶縁層形成工程では、p形シリコン基板10の上記一表面側に絶縁層15の基礎となる絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜など)を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用して絶縁膜を円形状にパターニングすることで絶縁層15を形成している。
しかして、本実施形態の製造方法によれば、絶縁層形成工程にて形成する絶縁層15のパターンにより陽極酸化工程においてp形シリコン基板10に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるので、実施形態1と同様に陽極酸化工程にて形成する多孔質部14の厚みの面内分布を制御することができて厚みが連続的に変化した多孔質部14を形成することが可能であり、当該多孔質部14を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状のシリコンレンズ1が形成されるから、任意形状で且つ表面が滑らかなシリコンレンズ1を容易に形成することが可能になる。
ここで、本実施形態では、陽極酸化工程においてp形シリコン基板10の他表面側(図13における上面側)においてp形シリコン基板10に流れる電流の電流密度が、p形シリコン基板10の厚み方向に一致する絶縁層15の中心線に近づくほど小さくなる面内分布となるので、p形シリコン基板10の上記他表面側では絶縁層15の中心線に近づくほど多孔質部14の厚みが薄くなり、シリコンレンズ1として表面が滑らかな非球面レンズを形成することができる。このようにして形成されたシリコンレンズ1の光軸は絶縁層15の中心線と一致する。
また、本実施形態では、絶縁層15がシリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜からなる絶縁膜により構成されているので、絶縁層15を一般的は半導体製造プロセスにより容易に形成することができ、絶縁層15の位置精度およびパターン精度を高精度化でき、ひずみの少ないシリコンレンズ1を形成することができる。なお、絶縁膜はシリコン酸化膜やシリコン窒化膜などのシリコン系の絶縁膜に限らず、レジストなどの有機材料により形成してもよい。
また、本実施形態では、絶縁層15のパターンにより陽極酸化工程においてp形シリコン基板10に流れる電流の電流密度の面内分布を制御するので、実施形態1のように陽極12のパターンにより電流密度の面内分布を制御する場合に比べて、p形シリコン基板10としてより低抵抗率のものを用いることが可能になる。
(実施形態3)
本実施形態の半導体レンズたるシリコンレンズ1の製造方法は実施形態1と略同じであって、実施形態1における陽極形成工程の代わりに、図14に示すように所望のレンズ形状に応じてパターン設計した平面形状が円形状の絶縁層16を半導体基板たるp形シリコン基板10の上記一表面側に形成する絶縁層形成工程を採用している点が相違する。また、陽極酸化工程においては、図15に示すような陽極酸化装置Dを用い、p形シリコン基板10の上記一表面側(図15における右面側)でp形シリコン基板10の上記一表面および絶縁層16の表面に接する通電用の電解液C中においてp形シリコン基板10の上記一表面側に対向配置される白金電極からなる通電用電極21と、p形シリコン基板10の他表面側(図15における左面側)において陽極酸化用の電解液B中でp形シリコン基板10の上記他表面側に対向配置される白金電極からなる陰極25との間に電圧源31から通電することによってp形シリコン基板10の上記他表面側を多孔質化することで除去部位となる多孔質部14を形成するようにしている点が相違する。ここで、各電解液B,Cとしては、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合溶液を用いているが、フッ化水素水溶液の濃度やフッ化水素水溶液とエタノールとの混合比は特に限定するものではない。なお、他の工程は実施形態1と同じなので説明を省略する。
図15に示した陽極酸化装置Dは、上面が開放されるとともに図15における右側壁に開口窓41aが形成されp形シリコン基板10とともに第1の処理槽を構成する第1の処理槽用部材41と、上面が開放されるとともに図15における左側壁に開口窓42aが形成されp形シリコン基板10とともに第2の処理槽を構成する第2の処理槽用部材42と、p形シリコン基板10の上記他表面側の周部と第1の処理槽用部材41の右側壁における開口窓41aの周部との間に介在するOリングからなるシール部材43と、p形シリコン基板10の上記一表面側の周部と第2の処理槽用部材42の左側壁における開口窓42aの周部との間に介在するOリングからなるシール部材44とを備えており、第1の処理槽に陽極酸化用の電解液Bが入れられ、第2の処理槽に通電用の電解液Cが入れられる。なお、各処理槽用部材41,42は、それぞれ電解液B,Cに対して耐性を有する材料、例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素系樹脂により形成すればよい。
また、陽極酸化装置Dは、実施形態1にて説明した陽極酸化装置Aと同様に、電圧源31から通電用電極21に流れる電流を検出する電流センサ32と、電流センサ32の検出電流に基づいて電圧源31の出力電圧を制御するマイクロコンピュータなどからなる制御部33とを備えており、制御部33が、電圧源31から通電用電極21へ所定電流密度(例えば、30mA/cm)の電流が所定時間(例えば、120分)だけ流れるように電圧源31を制御するようになっている。なお、陽極酸化工程の処理条件は特に限定するものではなく、上述の所定電流密度および上記所定時間はそれぞれ適宜設定すればよい。
しかして、本実施形態の製造方法によれば、絶縁層形成工程にて形成する絶縁層16のパターンにより陽極酸化工程においてp形シリコン基板10の上記他表面側に流れる電流の電流密度の面内分布が決まるので、陽極酸化工程にて形成する多孔質部14の厚みの面内分布を制御することができて厚みが連続的に変化した多孔質部14を形成することが可能であり、当該多孔質部14を多孔質部除去工程にて除去することで所望のレンズ形状のシリコンレンズ1が形成されるから、任意形状で且つ表面が滑らかなシリコンレンズ1を容易に形成することが可能になる。また、陽極酸化工程ではp形シリコン基板10の上記一表面側でp形シリコン基板10の上記一表面および絶縁層16の表面に接する通電用の電解液C中に配置される通電用電極21とp形シリコン基板10の上記他表面側で陽極酸化用の電解液B中に配置される陰極25との間に通電することで多孔質部14を形成するので、実施形態2において説明した陽極形成工程が不要であり、実施形態2の製造方法に比べて、工程数を削減することができるという利点がある。
(実施形態4)
本実施形態では、半導体レンズたるシリコンレンズ1の製造方法として、図16(h)に示すような両凸型の非球面レンズを製造する製造方法について図16を参照しながら説明するが、実施形態1と同様の工程については説明を適宜省略する。
まず、図16(a)に示すp形シリコン基板10に洗浄工程、マーキング工程を行ってから、p形シリコン基板10の一表面側(図16(a)における下面側)に陽極酸化工程で利用する陽極12(図16(c)参照)の基礎となる所定膜厚(例えば、1μm)のアルミニウム膜からなる導電性層11を形成する導電性層形成工程を行うことによって、図16(b)に示す構造を得る。
導電性層形成工程の後、導電性層11に円形状の開孔部13を設けるように導電性層11をパターニングするパターニング工程を行うことによって、図16(c)に示す構造を得る。なお、導電性層形成工程とパターニング工程とで陽極形成工程(以下、第1の陽極形成工程と称す)を構成している。
パターニング工程の後、陽極酸化用の電解液中でp形シリコン基板10の他表面側(図16(a)における上面側)に対向配置される陰極と陽極12(以下、第1の陽極12と称す)との間に通電してp形シリコン基板10の上記他表面側に除去部位となる多孔質部14(以下、第1の多孔質部14と称す)を形成する陽極酸化工程(以下、第1の陽極酸化工程と称す)を行うことによって、図16(d)に示す構造を得る。
第1の陽極酸化工程の終了後、p形シリコン基板10を乾燥させてから、第1の多孔質部14を除去する多孔質部除去工程(以下、第1の多孔質部除去工程と称す)を行う。ここにおいて、第1の多孔質部14を除去するエッチング液としてアルカリ系溶液(例えば、KOH、NaOHなど)やHF系溶液を用いれば、第1の多孔質部除去工程において、アルミニウムにより形成されている第1の陽極12もエッチング除去することができ、図16(e)に示す構造を得ることができる。なお、第1の多孔質部除去工程と、第1の陽極12を除去する第1の陽極除去工程とを別々に行ってもよい。
上述の第1の多孔質部除去工程の後に、p形シリコン基板10において第1の多孔質部14の除去により曲面が形成されている側(つまり、p形シリコン基板10の上記他表面側)に、第1の陽極形成工程と同様にして所望のレンズ形状に応じてパターン設計した第2の陽極17(ここでは、第2の陽極17は第1の陽極12の円形状の開孔部13と中心線が一致する円形状の開孔部が設けられるようにパターン設計してある)を形成することによって、図16(f)に示す構造を得る。
その後、上述の第1の陽極酸化工程と同様にしてp形シリコン基板10の上記一表面側に所望のレンズ形状に応じた厚み分布を有する第2の多孔質部18を形成する第2の陽極酸化工程を行うことによって、図16(g)に示す構造を得る。
第2の陽極酸化工程の終了後、p形シリコン基板10を乾燥させてから、第2の多孔質部18を除去する第2の多孔質部除去工程を行う。ここにおいて、第2の多孔質部18を除去するエッチング液としてアルカリ系溶液(例えば、KOH、NaOHなど)やHF系溶液を用いれば、第2の多孔質部除去工程において、アルミニウムにより形成されている第2の陽極17もエッチング除去することができ、図16(h)に示す構造のシリコンレンズ1を得ることができるので、その後、個々のシリコンレンズ1に分離するダイシング工程を行えばよい。なお、第2の多孔質部18を除去する第2の多孔質部除去工程と、第2の陽極17を除去する第2の陽極除去工程とを別々に行ってもよい。
しかして、本実施形態の製造方法では、シリコンレンズ1として、表面が滑らかな両凸型の非球面レンズを形成することができる。
なお、本実施形態では、シリコンレンズ1として、両凸レンズ(両凸型の非球面レンズ)を製造する方法について説明したが、各陽極12,17のパターン設計を適宜変更することにより、両凹レンズ、凹凸レンズなどを形成することができる。
また、実施形態1〜3においても、多孔質部14を除去した後で、p形シリコン基板10の上記他表面側に多孔質部(第1の多孔質部)14を形成するまでの工程を採用してp形シリコン基板10の上記一表面側に所望のレンズ形状に応じた厚み分布を有する第2の多孔質部を形成してから除去するようにすれば、両凸レンズ、両凹レンズ、凹凸レンズなどを形成することができる。
ところで、上記各実施形態では、半導体基板としてp形シリコン基板10を採用しているが、半導体基板はp形シリコン基板に限らず、例えば、n形シリコン基板、Ge基板,SiC基板などの陽極酸化処理による多孔質化が可能な他の半導体基板でもよい。なお、半導体基板に代えて、陽極酸化処理による多孔質化が可能な金属基板(例えば、Al基板、Ti基板など)を用いることも可能である。また、上記各実施形態では、半導体レンズとして、平凸レンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、凹凸レンズ、シリンドリカルレンズなどの単レンズについて説明したが、本発明の技術思想によれば、単レンズに限らず、隣り合う単レンズが互いに重なりあった所謂マルチレンズや、上述の単レンズをアレー状に設けた所謂アレーレンズや上述の複数種類の単レンズを複合させたレンズも形成することが可能となる。
実施形態1におけるシリコンレンズの製造方法の説明図である。 同上の製造方法の説明図である。 同上の製造方法で用いる陽極酸化装置の概略構成図である。 同上の製造方法の説明図である。 同上の製造方法の説明図である。 同上におけるシリコンレンズを示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。 同上におけるシリコンレンズを備えた赤外線センサの概略構成図である。 同上におけるシリコンレンズの比較例を示し、(a)は概略平面図、(b)は概略断面図である。 同上の他の製造方法により形成されるシリコンレンズの概略斜視図である。 同上のさらに他の製造方法の説明図である。 同上のさらに他の製造方法により形成されるシリコンレンズの概略斜視図である。 同上の別の製造方法の説明図である。 実施形態2におけるシリコンレンズの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 実施形態3におけるシリコンレンズの製造方法を説明するための主要工程断面図である。 同上の製造方法で用いる陽極酸化装置の概略構成図である。 実施形態4におけるシリコンレンズの製造方法の説明図である。 従来のマイクロレンズ用金型の製造方法の説明図である。
符号の説明
1 シリコンレンズ
10 p形シリコン基板
11 導電性層
12 陽極
13 開孔部
14 多孔質部

Claims (8)

  1. 半導体基板の一部を除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法であって、所望のレンズ形状に応じてパターン設計した陽極を半導体基板の一表面側に形成する陽極形成工程と、電解液中で半導体基板の他表面側に対向配置される陰極と陽極との間に通電して半導体基板の他表面側に除去部位となる多孔質部を形成する陽極酸化工程と、多孔質部を除去する多孔質部除去工程とを有することを特徴とする半導体レンズの製造方法。
  2. 前記陽極形成工程では、前記半導体基板の前記一表面側に前記陽極の基礎となる導電性層を形成した後、導電性層に円形状の開孔部を設けるように導電性層をパターニングすることで前記陽極を形成することを特徴とする請求項1記載の半導体レンズの製造方法。
  3. 半導体基板の一部を除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法であって、所望のレンズ形状に応じてパターン設計した絶縁層を半導体基板の一表面側に形成する絶縁層形成工程と、半導体基板の前記一表面側において絶縁層および前記一表面の露出部位を覆う導電性層からなる陽極を形成する陽極形成工程と、電解液中で半導体基板の他表面側に対向配置される陰極と陽極との間に通電することによって半導体基板の他表面側を多孔質化することで除去部位となる多孔質部を形成する陽極酸化工程と、多孔質部を除去する多孔質部除去工程とを有することを特徴とする半導体レンズの製造方法。
  4. 半導体基板の一部を除去して半導体レンズを製造する半導体レンズの製造方法であって、所望のレンズ形状に応じてパターン設計した絶縁層を半導体基板の一表面側に形成する絶縁層形成工程と、半導体基板の前記一表面および絶縁層の表面に接する通電用の電解液中において半導体基板の前記一表面側に対向配置される通電用電極と陽極酸化用の電解液中で半導体基板の他表面側に対向配置される陰極との間に通電することによって半導体基板の前記他表面側を多孔質化することで除去部位となる多孔質部を形成する陽極酸化工程と、多孔質部を除去する多孔質部除去工程とを有することを特徴とする半導体レンズの製造方法。
  5. 前記絶縁層形成工程では、前記半導体基板の前記一表面側に前記絶縁層の基礎となる絶縁膜を形成した後、絶縁膜を円形状にパターニングすることで前記絶縁層を形成することを特徴とする請求項3または請求項4記載の半導体レンズの製造方法。
  6. 前記絶縁層は、シリコン酸化膜もしくはシリコン窒化膜からなることを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の半導体レンズの製造方法。
  7. 前記陽極酸化工程では、前記電解液の電気抵抗値を調整することにより、前記多孔質部の形状を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の半導体レンズの製造方法。
  8. 前記多孔質部除去工程が前記多孔質部である第1の多孔質部を除去する第1の多孔質部除去工程であり、第1の多孔質部除去工程の後に、前記半導体基板の前記一表面側に所望のレンズ形状に応じた厚み分布を有する第2の多孔質部を請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の陽極酸化工程により形成してから、第2の多孔質部を除去することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の半導体レンズの製造方法。
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