JP4158576B2 - 光学部材成形用金型およびその製造方法,樹脂製光学部材,光モジュール - Google Patents

光学部材成形用金型およびその製造方法,樹脂製光学部材,光モジュール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,通信機器またはコンピュータ用のデバイスとして使用されるのに好適な樹脂製光学部材,該樹脂製光学部材を備えた光モジュール,該樹脂製光学部材の成形に使用される光学部材成形用金型およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回折光学素子を用いたマイクロレンズや微小光学素子がCD等の光ディスク再生装置や光通信用の光学部品として使用されている。このようなマイクロレンズの例としては,非特許文献1で示されるシリコン製マイクロレンズのように円筒形状や蒲鉾型の形状をしたものがあり,シリコン基板を用いてフォトリソグラフィとエッチングを行うことにより製造できる。これらのマイクロレンズや微小光学素子の大きさは100μm〜数百μm角程度である。
【0003】
通常,光学部品はシリコン等の実装基板上に配置されて使用される。実装基板には,エッチングあるいは切削加工により形成された断面がV字形のV溝や,半導体レーザ配置用のテラス,V溝より大きな光学部品配置用の溝等が設けられている。基板に配置される部品は,ボンダと呼ばれる部品配置装置を用いて基板上に配置され,接着剤や半田等で固定される。ボンダで配置される部品は数百μm〜数mm程度の大きさが一般的である。例えば,上記のようなシリコン製のマイクロレンズを用いた光モジュールの場合は,シリコン製の実装基板上に形成されたV溝にシリコン製マイクロレンズを配置し固定する。この場合の固定の方法としては,接着剤や半田等を用いる方法が一般的である。
【0004】
【非特許文献1】
佐々木浩紀,外6名,「光パッケージ技術−光源とシリコンマイクロレンズの高精度実装技術」,エレクトロニクス実装学会誌,2002年,vol.5,No.5,p.466−471
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,シリコン製マイクロレンズは材質がシリコンであることから,使用可能な光の波長帯域に制限があり,例えば可視光領域においての使用は不可能である。また,上記のようなマイクロレンズを実装基板に配置する際には,ボンダのような高価な部品配置装置が使用されており,配置後は接着剤等で固定する必要がある。そのため,設備費や手間がかかるという短所がある。またさらに,上記光学部品を備えた通信機器等において,使用される光の波長が850nm,あるいは更に短い波長帯域の場合,さらなる低価格化と量産性の向上が要望されている。
【0006】
本発明の目的は,このような問題に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,使用可能な光の波長帯域の選択肢を拡大でき,量産性の向上と共に低価格化が可能な新規かつ改良された樹脂製光学部材,光モジュールを提供することにある。また,本発明の別の目的は,上記樹脂製光学部材の作製にあたり,量産性の向上と共に低価格化を可能にする新規かつ改良された光学部材成形用金型およびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明の第1の観点によれば,光学部材成形用金型が提供される。この光学部材成形用金型は,フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて形成されたレンズ部を有するレンズ素子と,溝を有する実装基板とを含み,レンズ素子が実装基板の溝に実装された金型作製用母型を用いて作製され,溝を形成するための溝形成部と,レンズ部を形成するためのレンズ形成部と,を備えたことを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば,この光学部材成形用金型はフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて形成されたレンズ部を有する金型作製用母型から形成されており,高精度に形成された形状を含む。また,1つの金型で,溝形成部とレンズ形成部とを備えているため,この金型を用いて成形された成形品は,溝とレンズとが一体化されたものとなり,従来行われていたレンズを溝に実装する作業や固定する作業が不要になる。
【0009】
また,本発明の第2の観点によれば,上記記載の金型を用いて樹脂を材質として成形され,溝と,レンズ部と,を備えたことを特徴とする樹脂製光学部材が提供される。
【0010】
かかる構成によれば,この樹脂製光学部材は樹脂を材質としているため,従来のシリコン製光学部品の場合は使用できなかった波長帯域の光が使用可能になる。また,上記金型を用いて成形された成型品である樹脂製光学部材は,高精度に形成された形状を有することができる。この樹脂製光学部材は一体化された部品実装用溝とレンズ部とを備えているため,従来行われていたレンズを溝に実装する作業や固定する作業が不要になる。さらに,この樹脂製光学部材は金型を用いて樹脂を材質として成形されているため,量産性に優れ,低価格化が可能である。
【0011】
また,本発明の第3の観点によれば,光モジュールが提供される。この光モジュールは,上記記載の樹脂製光学部材と,光機能素子とを備えたことを特徴とする。あるいはこの光モジュールは,光学的に結合された上記記載の樹脂製光学部材を複数備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる構成によれば,上記記載の樹脂製光学部材を用いて光モジュールを構成しているため,波長帯域の選択肢を拡大でき,量産性の向上と共に低価格化が可能な光モジュールが得られる。また,複数の樹脂製光学部材または複数種類の樹脂製光学部材を組み合わせることにより,多様な光モジュールを安価に容易に得られる。
【0013】
また,本発明の第4の観点によれば,光学部材成形用金型の製造方法が提供される。この光学部材成形用金型の製造方法は,フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて形成されたレンズ部を含むレンズ素子を,実装基板上に形成された部品実装用の溝に実装して,金型作製用母型を作製する工程と,実装基板上に仕切り部材を設置して,金型作製用母型を複数の部分に区分する工程と,仕切り部材が設置された金型作製用母型にメッキ処理を施す工程と,仕切り部材を除去する工程と,金型作製用母型を除去して,レンズ部を形成するためのレンズ形成部と,溝を形成するための溝形成部とを含む金型を作製する工程と,を含むことを特徴とする。
【0014】
かかる構成によれば,高精度に形成されたレンズ部を含むレンズ素子を実装基板上に形成された部品実装用の溝に実装して,所望の光モジュールを作製し,この光モジュールを金型作製用母型にできる。また,仕切り部材を設置して光モジュールを所望の複数の部分に区分することにより,部分ごとの金型を作製することができる。さらに,1つの金型でレンズ形成部と溝形成部の両方を備える金型を作製することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下,図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお,以下の説明および添付図面において,略同一の機能および構成を有する構成要素については,同一符号を付すことにより,重複説明を省略する。
【0016】
本発明の典型的な態様では,シリコン製の実装基板上の溝にシリコン製のレンズ素子を実装したものを母型とする。そして,この母型に金属メッキ処理を施して金型を作製し,この金型を用いて樹脂を材質として射出成形を行うことにより光学部材を作製する。以下,図面を参照しながら,金型および樹脂製光学部材の製造方法および構成について説明する。
【0017】
図1は,本発明の第1の実施の形態にかかる金型および樹脂製光学部材の製造方法を示すフローチャートである。はじめに,レンズ素子10を実装基板20上のV溝28aに実装して,金型作製用母型となる光モジュール100を作製する(ステップS101)。
【0018】
図2に本発明の第1の実施の形態にかかる光モジュール100の構成斜視図を示す。レンズ素子10は光学基板からなり,その材質はシリコンである。レンズ素子10は,光学基板の表面の片面に形成されたレンズ部2と,縁部3と,略直方体形状の取扱部4と,略蒲鉾形の張出部6とを有する。
【0019】
レンズ部2はここでは円形形状をしており,ブレーズ型の回折光学素子からなる。レンズ部2は,半導体製造プロセスで用いられるフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて形成された部分である。以下では区別するために,レンズ素子10において,レンズ部2が形成されている側の面をレンズ形成面と呼び,レンズ形成面の対向面をレンズ非形成面と呼ぶ。
【0020】
レンズ部2の下部側にはレンズ部2の外周の一部としての縁部3が位置し,縁部3はレンズ部2の円周形状に沿った円弧形状を有する。この縁部3の円弧形状を呈する外形はレンズ部2の形成面側からその対向面側まで延びており,縁部3を含んで取扱部4から下方に張り出す略蒲鉾形状の張出部6を形成している。
【0021】
取扱部4は,レンズ部2の外周の上部側でレンズ部2と接続し,レンズ部2の表面に略平行な面内でレンズ部2より広い幅を有し,左右方向に伸長した全体として略直方体形状を有する。取扱部4の上面および側面は平坦に形成されている。
【0022】
レンズ素子10は,半導体製造技術で用いられるフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて作製することができる。例えば,シリコン基板にフォトリソグラフィとエッチングを繰り返すことにより回折光学素子からなるレンズ部2を作製し,レンズ素子10に対応する形状のパターンをフォトマスクパターンとして用いてDeep Etching等の手法を用いて任意の深さまで掘り下げることにより,レンズ素子10を作製できる。
【0023】
実装基板20は,ここではシリコン結晶基板からなる。実装基板20には,その表面から所定の深さまでに,凹溝24と,凹溝24と連通するV溝28a,28bとが形成されている。凹溝24は,略長方形の断面形状を有し,実装基板20の一端から他端まで延びており,その深さはV溝28a,28bの最深部より深い。凹溝24は,後述の仕切り部材30を配置するための溝である。
【0024】
V溝28a,28bは,V字形の断面形状を有する部品実装用の溝であり,レンズ素子10の張出部6を載置可能な寸法を有する。V溝28a,28bの伸長方向は凹溝24の伸長方向に垂直であり,V溝28a,28bは同一線上に伸長している。V溝28aは実装基板20の一端から凹溝24まで,V溝28bは凹溝24から実装基板20の途中までに形成されている。すなわち,実装基板20の一端から途中までに形成された1本の溝が凹溝24により分断されてV溝28a,28bになっていると考えることができる。
【0025】
上記溝を有する実装基板20の作製方法としては例えば,V溝28a,28bを構成する1本のV溝を異方性エッチングにより形成した後,ダイシング等により凹溝24を形成してもよい。
【0026】
光モジュール100においては,実装基板20のV溝28a上にレンズ素子10の張出部6が当接するよう載置する。このとき,図2に示すように,凹溝24の2つの側面のうち,V溝28a側の凹溝24の側面と,レンズ素子10のレンズ非形成面とが同一平面上に位置するように配置する。また,レンズ形成面がV溝28bではなく,V溝28a側を向くように配置する。レンズ素子10を適正な位置に配置した後,レンズ素子10を実装基板20に接着剤で固定して光モジュール100を作製する。
【0027】
レンズ部2は光束を変換する機能を有し,V溝28a,28bは部品実装用の溝としての機能を有するものであり,光モジュール100においてレンズ部2およびV溝28a,28bは主要構成部と言える。
【0028】
次に,図3(a),図3(b)に示すように,光モジュール100に仕切り部材30を設置して,前半部F1と後半部R1の2つの部分に区分する(ステップS102)。前半部F1はレンズ素子10およびV溝28aを含む。後半部R1はV溝28bを含むが,レンズ素子は含まない。図3(a)はこの状態での光モジュール100の上面図であり,図3(b)は図3(a)のA−A’断面における断面図である。
【0029】
本実施の形態においては,仕切り部材30は,板状の部材であり,その材質には例えばポリイミド板を用いることができる。仕切り部材30の厚みは凹溝24の幅とほぼ同じであり,仕切り部材30はその下方が凹溝24に差し込まれて設置される。仕切り部材30は,厚み方向に垂直な2つの面である前面32,後面34を有し,前面32はレンズ素子10のレンズ非形成面と接触し,同一平面上にある。仕切り部材30の実装基板20の上面からの高さは,レンズ素子10の高さより十分高い。仕切り部材30における,凹溝24の伸張方向に平行な方向の長さは,同方向の実装基板20の幅より十分長い。
【0030】
仕切り部材30とレンズ素子10は,それらの接触面の所定部分に塗布された接着剤18により接着される。接着剤18には例えばシリコーン系樹脂の接着剤を使用できる。なお,レンズ素子10と実装基板20の上面との間隙,すなわち,張出部6とV溝28aとの間隙(図3(b)の斜線部),張出部6の両側に位置する取扱部4の下面と実装基板20の上面との間隙に,接着剤18が回り込み,塗布量によっては間隙を充填することもある。接着剤18の回り込みはレンズ部2を通過する光束に影響を与えないものであれば問題ない。本実施の形態および以降の実施の形態では,接着剤18によりこれらの間隙が充填された場合について説明を進める。
【0031】
次に,仕切り部材30が設置された図3(a),図3(b)に示す状態の光モジュール100の上面部U全体にメッキ処理を施す(ステップS103)。上面部Uとは図3(b)に示す光モジュール100において二点鎖線で示す境界線Bより上方の部分を意味する。境界線BはV溝28a,28bの最深部より下方であるようにする。このメッキ処理の方法としては,例えば,図3(a),図3(b)に示す光モジュール100を逆さまの状態として,その上面部Uの部分をクロム無電解メッキ液に浸漬して,クロム無電解メッキを行う。メッキ処理はここではクロム無電解メッキを用いたが,これに限定するものではない。例えば,その他の無電解メッキ(ニッケル無電解メッキなど),あるいは無電解メッキと電解メッキの併合なども可能である。
【0032】
メッキ処理後,全体をワックス等で固め,不要部分を研磨して所望の形状に成形する(ステップS104)。ここでは,仕切り部材30の側面および上面を研磨して,実装基板20の幅より突出している部分を無くし,レンズ素子10上辺より突出している部分の長さを短くした。成形は研磨以外の方法により行ってもよい。なお,この工程は,仕切り部材30および光モジュール100の形状に応じて行われ,場合によっては省略可能である。
【0033】
次に,有機溶媒等で洗浄することにより接着剤18を除去し,仕切り部材30を除去する(ステップS105)。
【0034】
次に,金型作製用母型である光モジュール100を除去して金型を作製する(ステップS106)。ここでは,メッキ内部のシリコンを溶解するため,30%水酸化カリウム溶液に浸ける。数時間で内部のシリコン製の光モジュール100は溶解し,金型40a,金型40bの2つの光学部材成形用金型の作製が完了する。金型40aは前半部F1を母型とした金型であり,金型40bは後半部R1を母型とした金型である。
【0035】
図4は金型40a,金型40bの斜視図であり,図5は金型40a,金型40bの側面図である。なお,図4,図5では,厚みは無視して描いている。図4,図5に示すように,金型40aは,回折光学素子のレンズ部を形成するためのレンズ形成部42,および溝を形成するための溝形成部であるV溝形成部48aを有する。レンズ形成部42およびV溝形成部48aはそれぞれ,前半部F1におけるレンズ素子10のレンズ部2および実装基板20のV溝28aを写した形状を有する。また,金型40bは,溝を形成するためのV溝形成部48bを有し,V溝形成部48bは後半部R1における実装基板20のV溝28bを写した形状を有する。
【0036】
図5に示す金型40aの側面図において,稜線を表す水平方向の3つの線に上から順にUL,VL,BLの符号を付している。実線で表される線ULは実装基板20の上面に対応し,点線で表される線VLは実装基板20のV溝28aの最深部に対応し,実線で表される線BLは図3(b)で示す境界線Bに対応する。
【0037】
次に,上記金型を用いた樹脂製光学部材の成形について説明する。一例として金型40aを用いて図6に示す樹脂製光学部材50を成形する場合について説明する。上記の金型作製工程の後,金型40aおよびその他必要な金型を用いて金型を組み付ける(ステップS107)。その他必要な金型は,樹脂製光学部材50に応じた形状を有する金型であり,底面部,側面部等を構成するための金型である。このような金型は当業者であれば容易に想到可能な単純で一般的な構成の金型であるため,ここではその詳細説明を省略する。なお,この金型組み付けの工程では,研磨等により余計な部分を除去して金型全体を整形することもありうる。
【0038】
上記の組み付けられた金型を射出成形装置に入れ,樹脂を材質として通常の射出成形を行うことにより,樹脂製光学部材50を作製することができる(ステップS108)。図6は樹脂製光学部材50の斜視図である。樹脂には例えば一般的なPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いることができる。樹脂製光学部材50はレンズ部52および部品実装用のV溝58を有する。レンズ部52,V溝58はそれぞれ,金型40aのレンズ形成部42,V溝形成部48aにより形成された部分であり,前半部F1におけるレンズ素子10のレンズ部2,実装基板20のV溝28aと同形状,同寸法を有する。
【0039】
また,金型40aおよび金型40bを用いて,図7に示す樹脂製光学部材60を作製することも可能である。この場合は,ステップS107の金型組み付け工程において,金型40a,金型40bおよびその他必要な金型を用いて金型を組み付ける(ステップS107)。この場合のその他必要な金型は,樹脂製光学部材60に応じた形状を有する金型であり,底面部,仕切り部材30が配置されていた部分等を構成するための金型である。このような金型は当業者であれば容易に想到可能な単純で一般的な構成の金型であるため,ここではその詳細説明を省略する。なお,この金型組み付けの工程では,研磨等により余計な部分を除去して金型全体を整形することもありうる。
【0040】
樹脂製光学部材50の場合と同様に,上記の組み付けられた金型を射出成形装置に入れ,樹脂を材質として通常の射出成形を行うことにより,樹脂製光学部材60を作製することができる。図7に樹脂製光学部材60の斜視図を示す。樹脂には例えば一般的なPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いることができる。
【0041】
樹脂製光学部材60は,レンズ部62および部品実装用のV溝68a,68bを有する。レンズ部62,V溝68a,68bはそれぞれ,金型40aのレンズ形成部42,V溝形成部48a,金型40bのV溝形成部48bにより形成された部分であり,レンズ素子10のレンズ部2,実装基板20のV溝28a,28bと同形状,同寸法を有する。すなわち,樹脂製光学部材60は,光モジュール100の主要構成部であるレンズ部2,V溝28a,28bと同様のレンズ部62,V溝68a,68bを有する。なおここでは,V溝68aとV溝68bの間の長さおよび形状は,仕切り部材30を模したものとしたが,これに限定するものではなく,別の態様のものでもよい。
【0042】
なお,上記のレンズ部52,62はここでは波長850nmのレーザ光に対して使用可能な構成としている。したがって,レンズ部52,62を形成するための金型の母型となるレンズ素子10のレンズ部2の回折光学素子は,材質をPMMAとし,使用波長を850nmとした場合に最適化設計されていることは言うまでもない。
【0043】
上記のように作製されたレンズ部52,62の回折効率は80%以上の値を示しており,実用上十分なレンズ特性を有することが確認された。
【0044】
本実施の形態によれば以下のような効果が得られる。本実施の形態の樹脂製光学部材は,PMMAを材質にしているため,シリコンを材質にした場合には使用できなかった波長帯域の光が使用可能となる。本実施の形態の光学部材成形用金型は一体化されたV溝形成部とレンズ形成部とを有しており,この金型を用いて成形された樹脂製光学部材もまた,1つの樹脂製光学部材で一体化された部品実装用溝とレンズ部と実装基板に相当するものを有している。よって,従来行われていたボンダのような高価な部品配置装置を用いてレンズを溝に実装する作業や固定する作業が不要になる。さらに,この樹脂製光学部材は金型を用いて樹脂を材質として成形されているため,量産性に優れ,低価格化が可能である。
【0045】
図8は本発明の第2の実施の形態にかかる光モジュール200の構成を示す斜視図である。本実施の形態では,光モジュール200を金型作製用母型として金型および樹脂製光学部材を作製する。図2に示す第1の実施の形態における光モジュール100の有するレンズ素子が1つであったのに対し,光モジュール200は2つのレンズ素子を有する。以下,この点に注目して説明し,第1の実施の形態と同様の構成については,重複説明を省略する。
【0046】
光モジュール200は,実装基板220と,2つのレンズ素子210a,210bとからなる。レンズ素子210a,210bは,それぞれブレーズ型回折光学素子からなるレンズ部212a,212bを有し,これらの光学性能は第1の実施の形態におけるレンズ素子10のレンズ部2と異なる。その他の点では,レンズ素子210a,210bは,第1の実施の形態におけるレンズ素子10と同様の外形形状,構成を有し,シリコンからなる。レンズ素子210a,210bにおいてレンズ部212a,212bが形成されている側の面をレンズ形成面と呼び,レンズ形成面の対向面をレンズ非形成面と呼ぶことにする。
【0047】
実装基板220は,シリコン結晶基板からなる。第1の実施の形態における実装基板20と同様に,実装基板220には,その表面から所定の深さまでに,断面形状が略長方形の凹溝224と,断面形状がV字形のV溝228a,228bとが形成されている。ただし,本実施の形態における凹溝224は,第1の実施の形態における凹溝24に比べ,実装基板220の長軸方向における幅が長くなっている。また,凹溝224の深さは凹溝24の深さと必ずしも同一ではない。
【0048】
V溝228a,228bに関しては,第1の実施の形態におけるV溝28a,28bとそれぞれ同様であり,V溝228aは実装基板220の一端から凹溝224まで,V溝228bは凹溝224から実装基板220の途中までに,同一直線上に形成されている。また,V溝228a,228bは共に,レンズ素子210a,210bの張出部を載置可能な寸法を有し,部品実装用の溝としての機能を有する。
【0049】
光モジュール200においては,第1の実施の形態における光モジュール100と同様に,実装基板220のV溝228a,228b上にレンズ素子210a,210bのそれぞれの張出部が当接するよう載置され,接着剤で固定されて実装されている。レンズ素子210a,210bは共にレンズ非形成面が対向するように配置されている。また,凹溝224のV溝228a側の側面とレンズ素子210aのレンズ非形成面とが同一平面上に位置し,凹溝224のV溝228b側の側面とレンズ素子210bのレンズ非形成面とが同一平面上に位置するように配置されている。光モジュール200においても,レンズ部212a,212bおよびV溝228a,228bは主要構成部と言える。
【0050】
第1の実施の形態の場合と同様に,凹溝224内に仕切り部材230の下方が配置されるように,光モジュール200に仕切り部材230を設置する。図9はこの状態での光モジュール200の上面図である。本実施の形態においては,仕切り部材230は,直方体状の部材であり,その材質には例えばポリイミド板を用いることができる。仕切り部材230は,V溝228a,228bの伸長方向に垂直な2つの面を有し,これらの2つの面はそれぞれレンズ素子210a,210bのレンズ非形成面と接触し,同一平面上にある。仕切り部材230の実装基板220の上面からの高さは,レンズ素子210a,210bの高さより十分高い。仕切り部材230において,V溝228の伸張方向に垂直な方向の長さは,同方向の実装基板220の幅より十分長い。
【0051】
仕切り部材230とレンズ素子210a,210bは,それらの接触面の所定部分に塗布された接着剤により接着される。接着剤には例えばシリコーン系樹脂の接着剤を使用できる。図9に示すように,仕切り部材230を設置することにより,レンズ素子210aを含む側の前半部F2と,レンズ素子210bを含む側の後半部R2とに区分される。
【0052】
次に,第1の実施の形態と同様に,仕切り部材230が設置された図9に示す状態の光モジュール200の上面部全体にメッキ処理を施す。上面部の定義,好ましい範囲は第1の実施の形態の上面部Uと同様である。メッキ処理はここではクロム無電解メッキを用いたが,これに限定するものではない。例えば,その他の無電解メッキ(ニッケル無電解メッキなど),あるいは無電解メッキと電解メッキの併合なども可能である。メッキ処理後,全体をワックス等で固め,不要部分を研磨して所望の形状に成形する。
【0053】
次に,第1の実施の形態と同様に,有機溶媒等で洗浄することにより接着剤を除去し,仕切り部材230を除去する。そして,30%水酸化カリウム溶液に浸けることにより,シリコン製の金型作製用母型である光モジュール200を溶解させて,除去する。これにより,前半部F2を母型とした金型240aと,後半部R2を母型とした金型240bの2つの光学部材成形用の金型の作製が完了する。
【0054】
図10は金型240a,金型240bの斜視図である。なお,図10では,厚みは無視して描いている。図10に示すように,金型240aは,回折光学素子のレンズ部を形成するためのレンズ形成部242a,および溝を形成するための溝形成部であるV溝形成部248aを有する。レンズ形成部242aおよびV溝形成部248aはそれぞれ,前半部F2におけるレンズ素子210aのレンズ部212aおよび実装基板220のV溝228aを写した形状を有する。
【0055】
また,金型240bは,回折光学素子のレンズ部を形成するためのレンズ形成部242b,および溝を形成するための溝形成部であるV溝形成部248bを有する。レンズ形成部242bおよびV溝形成部248bはそれぞれ,後半部R2におけるレンズ素子210bのレンズ部212bおよび実装基板220のV溝228bを写した形状を有する。
【0056】
その後,第1の実施の形態と同様に,金型240a,金型240bおよびその他に必要な金型を用いて組み付けを行う。例えば,図11に示す凹溝264を有する樹脂製光学部材260を形成する場合を考える。この場合のその他必要な金型は,底面部,凹溝264等を構成するための金型であるが,このような金型は当業者であれば容易に想到可能な単純で一般的な構成の金型であるため,ここではその詳細説明を省略する。
【0057】
組み付けられた金型を射出成形装置に入れ,樹脂を材質として通常の射出成形を行い,1つの樹脂製光学部材260を作製することができる。樹脂には例えばPMMAを用いることができる。図11に,樹脂製光学部材260に半導体レーザ90と光ファイバ92を搭載して構成した光モジュール269の斜視図を示す。
【0058】
樹脂製光学部材260は,レンズ部262a,262bおよび部品実装用のV溝268a,268bを有する。レンズ部262a,V溝268aはそれぞれ,金型240aのレンズ形成部242a,V溝形成部248aにより形成された部分である。レンズ部262b,V溝268bはそれぞれ,金型240bのレンズ形成部242b,V溝形成部248bにより形成された部分である。レンズ部262a,262b,V溝268a,268bはそれぞれ,レンズ部212a,212b,V溝228a,228bと同形状,同寸法を有する。すなわち,樹脂製光学部材260は,光モジュール200の主要構成部であるレンズ部212a,212b,V溝228a,228bと同様のレンズ部262a,262b,V溝268a,268bを有する。
【0059】
また,樹脂製光学部材260は,V溝268aとV溝268bの間に,光モジュール200の凹溝224とほぼ同様の断面形状が略長方形の凹溝264を有する。なお,V溝268aとV溝268bの間の形状はこれに限定するものではなく,他の断面形状の溝でもよく,あるいは,溝でなくてもよい。
【0060】
レンズ部262a,262bはここでは,一例として波長850nmのレーザ光に対して使用可能な構成としている。したがって,レンズ部262a,262bを形成するための金型の母型となるレンズ部212a,212bの回折光学素子は,材質をPMMAとし,使用波長を850nmとした場合に最適化設計されていることは言うまでもない。
【0061】
上記のように作製されたレンズ部262a,262bの回折効率は80%以上の値を示しており,実用上十分なレンズ特性を有することが確認された。
【0062】
図11に示す光モジュール269において,半導体レーザ90,レンズ部262a,262b,光ファイバ92が同一光軸を共有するように,樹脂製光学部材260の表面上の所定位置に半導体レーザ90が配置され,V溝268aに光ファイバ92の一端が配置されている。半導体レーザ90を出射した光はレンズ部262bでコリメートされた後,レンズ部262aで集光され,光ファイバ92に入射する。上記構成での半導体レーザ90と光ファイバ92間の結合損失は約3.0dBであった。
【0063】
以上より,本実施の形態によれば,第1の実施の形態と同様に,以下のような効果が得られる。本実施の形態の樹脂製光学部材は,PMMAを材質にしているため,シリコンを材質にした場合には使用できなかった波長帯域の光が使用可能となる。本実施の形態の光学部材成形用金型は一体化されたV溝形成部とレンズ形成部とを有しており,この金型を用いて成形された樹脂製光学部材もまた,1つの樹脂製光学部材で一体化された部品実装用溝とレンズ部と実装基板に相当するものを有している。よって,従来行われていたボンダのような高価な部品配置装置を用いてレンズを溝に実装する作業や固定する作業が不要になる。さらに,この樹脂製光学部材は金型を用いて樹脂を材質として成形されているため,量産性に優れ,低価格化が可能である。
【0064】
なお,第2の実施の形態において,レンズ部の焦点距離を変更したい場合は,例えば2つの金型240,260を作製した後に,一方を焦点距離の異なる別の金型と交換して,他方の金型とあわせて用いて射出成形すればよい。このようにして,異なる光学性能を有する樹脂製光学部材を容易に作製することができる。
【0065】
図12は,変形例としての光モジュール279の斜視図を示す。光モジュール279は,樹脂製光学部材270と光機能素子としての光アイソレータ94からなる。樹脂製光学部材270は,第1の実施の形態の金型40aと,第2の実施の形態の金型240bとを用いて作製されたものである。用いる金型が違うだけであり,その他の点では前述の樹脂製光学部材260と同様であるため,その作製方法については,ここでは重複説明を省略する。
【0066】
樹脂製光学部材270は,金型40aにより成形されたレンズ部272aおよび部品実装用のV溝278aと,金型240bにより成形されたレンズ部272bおよび部品実装用のV溝278bとを有する。また,V溝278aとV溝278bの間には断面形状が略長方形の凹溝274を有する。凹溝274は,樹脂製光学部材260の凹溝264と同様であるが,深さのみ異なる。凹溝274上には光路に位置するように光アイソレータ94が挿入配置され接着剤で固定されている。なお,光機能素子として光アイソレータの代わりに例えば偏向子,波長板,フィルタ等を使用することも可能である。
【0067】
上記のように作製されたレンズ部272a,272bの回折効率は80%以上の値を示しており,実用上十分なレンズ特性を有することが確認された。
【0068】
また,図11に示す光モジュール269の場合と同様に,本実施の形態の光モジュール279に半導体レーザ90,レンズ部272a,272b,光ファイバ92が同一光軸を共有するように,樹脂製光学部材270の表面上の所定位置に半導体レーザ90を配置し,V溝278aに光ファイバ92の一端を配置して,半導体レーザ90と光ファイバ92間の結合損失を測定したところ約3.2dBであった。
【0069】
本変形例のように,レンズ部の光学性能が異なる複数種類の金型を用意しておき,組み付ける金型の組み合わせを変えて射出成形を行えば,部分的に性能が異なる樹脂製光学部材を容易に作製することができる。例えば,複数のレンズ部を有する光モジュールに対し,1つのレンズ部の焦点距離のみ異なる光モジュールを得たい場合に有効である。
【0070】
また,本変形例では光機能素子を備えた光モジュールを構成しており,これによって多様な光モジュールを構成できる。また,備える光機能素子に応じて,光機能素子が配置される凹溝の形状や寸法を変えたい場合,実装基板とレンズ素子からなる光モジュールでは,異なる凹溝が形成された実装基板を用意した後,再びレンズ素子を実装するという手間が必要であった。これに対し,本変形例では,凹溝を形成する部分の金型のみ変更して射出成形するだけで,容易に所望の樹脂製光学部材を得ることができる。
【0071】
次に,上記方法により作製される樹脂製光学部材を組み合わせて構成された光モジュールについて説明する。図13は,本発明の第3の実施の形態にかかる光モジュール300の上面図である。光モジュール300は,3つの樹脂製光学部材50,350,360と,半導体レーザ90と,光ファイバ92と,ビームスプリッタ96と,フォトダイオード98と,実装基板320とから主に構成される。
【0072】
樹脂製光学部材50は,図6に示す第1の実施の形態の樹脂製光学部材であり,レンズ部52とV溝58を有する。樹脂製光学部材350,360は第2の実施の形態の金型240bと,側面部および底面部を構成する金型とを用いて,PMMAを材質にして形成された部材であり,互いに同一形状,同一構成である。樹脂製光学部材350はレンズ部352と部品実装用のV溝358を有し,樹脂製光学部材360はレンズ部362と部品実装用のV溝368を有する。
【0073】
光モジュール300では図13に示すように,樹脂製光学部材50のV溝58には光ファイバ92の一端が配置され,樹脂製光学部材350の表面上の所定位置には半導体レーザ90が配置され,樹脂製光学部材360の表面上の所定位置にはフォトダイオード98が配置されている。
【0074】
また,樹脂製光学部材50と樹脂製光学部材350とが所定距離をもって同一光軸を共有するように配置されている。樹脂製光学部材50と樹脂製光学部材350の間には,樹脂製光学部材50から樹脂製光学部材350へ進行する光束を分波可能なように,ビームスプリッタ96が配置されている。分波された光束の光軸と樹脂製光学部材360の光軸とが同一になるように,樹脂製光学部材360が樹脂製光学部材50,樹脂製光学部材350の側方に配置されている。
【0075】
全体としてビームスプリッタ96を中心にして3つの樹脂製光学部材50,350,360がコの字形を形成するような配置となっている。実装基板320上には上記構成の3つの樹脂製光学部材50,350,360と,ビームスプリッタ96が配置され,それぞれは実装基板320に接着剤で固定されている。
【0076】
上記のように,3つの樹脂製光学部材50,350,360はビームスプリッタ96を介して互いに光学的に結合されている。半導体レーザ90から出射した光は,樹脂製光学部材350のレンズ部352によりコリメートされた後,ビームスプリッタ96内を直進し,樹脂製光学部材50のレンズ部52により集光されて光ファイバ92に入射する。また,逆に光ファイバ92からレンズ部52に向けて出射された光は,レンズ部52によりコリメートされた後,ビームスプリッタ96でその光学特性に応じて光路を直角に折り曲げられて樹脂製光学部材360方向に向かい,レンズ部362により集光されてフォトダイオード98に入射する。このように,光モジュール300はトランシーバ構成となっており,通信用の光学系として好適である。
【0077】
上記のように作製されたレンズ部352,362の回折効率は80%以上の値を示しており,実用上十分なレンズ特性を有することが確認された。また,図13に示す構成において,半導体レーザ90と光ファイバ92間の結合損失は約3.2dBであった。
【0078】
以上より,本実施の形態によれば,以下のような効果が得られる。本実施の形態の樹脂製光学部材は,PMMAを材質にしているため,シリコンを材質にした場合には使用できなかった波長帯域の光が使用可能となる。また,本実施の形態の樹脂製光学部材もまた,1つの樹脂製光学部材で一体化された部品実装用溝とレンズ部と実装基板に相当するものを有している。よって,従来行われていたボンダのような高価な部品配置装置を用いてレンズを溝に実装する作業や固定する作業が不要になる。さらに,この樹脂製光学部材は金型を用いて樹脂を材質として成形されているため,量産性に優れ,低価格化が可能である。
【0079】
さらにまた,本実施の形態では,複数の樹脂製光学部材を組み合わせて光モジュールを構成している。組み合わせる樹脂製光学部材の数や構成は上記例に限定されず,様々なものが考えられる。複数の樹脂製光学部材または複数種類の樹脂製光学部材を組み合わせることにより,多様な光モジュールを安価に容易に得られる。例えば,半導体レーザ90が配置された樹脂製光学部材350と,フォトダイオード98が配置された樹脂製光学部材360を用いてピックアップ用光学系を構成することも考えられる。
【0080】
以上,添付図面を参照しながら本発明にかかる好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0081】
例えば上記実施の形態では,樹脂製光学部材の材質としてPMMAを用いたが,これに限定するものではなく,ポリオレフィンでもよく,あるいは射出成形が可能な高分子材料であれば使用可能である。材質は使用波長や用途に応じて選択することが好ましい。例えば,重水素化PMMAを用いれば1.3μm帯の波長で使用可能であり,ポリオレフィンを用いれば300nm〜1μmの波長帯域で使用可能である。
【0082】
上記実施の形態では,レンズ部としてブレーズ型回折光学素子を用いたが,これに限定するものではなく,バイナリ型回折光学素子や屈折型のレンズなど,基板に作製可能な光学素子であれば適用可能である。レンズ部は,円形に限らず所望の形状で形成可能である。母型とするレンズ素子の形状は,上記例に限定されず,実装用の溝に載置可能であれば円筒形状や蒲鉾型の形状でもよい。レンズ素子や光ファイバを実装するための溝は断面がV字形の溝としたが,これに限定するものではなく,略長方形,略台形等の別の形状も採用可能である。また,凹溝や仕切り部材の形状も上記例に限定されない。
【0083】
また,金型の母型の光モジュールはシリコンからなるレンズ素子や実装基板を用いたが,これに限定するものではなく,GaAs,Inp,GaP,SiC,Ge等を材料とする基板等の他の材質も考えられる。上記実施の形態では,金型作製時のメッキとしてクロムメッキを用いたが,これに限定するものではなく,ニッケルリン,ニッケル,ニッケル系合金によるメッキも採用可能である。
【0084】
なお上記実施の形態において,レンズ部の表面に反射防止膜を成膜して結合効率を向上させるようにしてもよい。反射防止膜としては例えば,TiO,AlN,SiN等が考えられる。
【0085】
【発明の効果】
以上,詳細に説明したように本発明によれば,使用可能な光の波長帯域の選択肢を拡大でき,量産性の向上と共に低価格化が可能な樹脂製光学部材および光モジュールを提供することができる。また,このような樹脂製光学部材を作製する際に使用される量産性の向上と共に低価格化を可能にする光学部材成形用金型およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態にかかる金型および樹脂製光学部材の製造方法を示すフローチャートでである。
【図2】 本発明の第1の実施の形態にかかる金型作製用母型となる光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図3】 図2の光モジュールに仕切り部材を設置した状態を示す図であり,図3(a)は上面図,図3(b)は図3(a)の位置A−A’における断面図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態にかかる金型の構成を示す斜視図である。
【図5】 本発明の第1の実施の形態にかかる金型の構成を示す側面図である。
【図6】 本発明の第1の実施の形態にかかる樹脂製光学部材の構成を示す斜視図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態にかかる樹脂製光学部材の構成を示す斜視図である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態にかかる金型作製用母型となる光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図9】 図8の光モジュールに仕切り部材を設置した状態を示す上面図である。
【図10】 本発明の第2の実施の形態にかかる金型の構成を示す斜視図である。
【図11】 本発明の第2の実施の形態にかかる光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図12】 本発明の第2の実施の形態の変形例にかかる光モジュールの構成を示す斜視図である。
【図13】 本発明の第3の実施の形態にかかる光モジュールの構成を示す上面図である。
【符号の説明】
2,52,62 レンズ部
10 レンズ素子
18 接着剤
20 実装基板
24 凹溝
28a,28b,58,68a,68b V溝
30 仕切り部材
32 前面
34 後面
40a,40b 金型
42 レンズ形成部
48a,48b V溝形成部
50,60 樹脂製光学部材
90 半導体レーザ
92 光ファイバ
94 光アイソレータ
96 ビームスプリッタ
98 フォトダイオード
100 光モジュール
B 境界線
F1 前半部
R1 後半部
U 上面部

Claims (6)

  1. フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて形成されたレンズ部を有するレンズ素子と,溝を有する実装基板とを含み,前記レンズ素子が前記実装基板の溝に実装された金型作製用母型を用いて作製され,
    溝を形成するための溝形成部と,
    レンズ部を形成するためのレンズ形成部と,
    を備えたことを特徴とする光学部材成形用金型。
  2. 前記レンズ形成部は回折光学素子を形成するものであることを特徴とする請求項1に記載の光学部材成形用金型。
  3. 請求項1または2に記載の金型を用いて,樹脂を材質として成形され,
    溝と,
    レンズ部と,
    を備えたことを特徴とする樹脂製光学部材。
  4. 請求項3に記載の樹脂製光学部材と,
    光機能素子と,
    を備えたことを特徴とする光モジュール。
  5. 請求項3に記載の樹脂製光学部材を複数備え,前記複数の樹脂製光学部材が光学的に結合するように構成されていることを特徴とする光モジュール。
  6. 光学部材成形用金型の製造方法であって,
    フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて形成されたレンズ部を含むレンズ素子を,実装基板上に形成された部品実装用の溝に実装して,金型作製用母型を作製する工程と,
    前記実装基板上に仕切り部材を設置して,前記金型作製用母型を複数の部分に区分する工程と,
    前記仕切り部材が設置された金型作製用母型にメッキ処理を施す工程と,
    前記仕切り部材を除去する工程と,
    前記金型作製用母型を除去して,レンズ部を形成するためのレンズ形成部と,溝を形成するための溝形成部とを含む金型を作製する工程と,を含むことを特徴とする光学部材成形用金型の製造方法。
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