JP4859979B2 - 過酸化水素蒸発器 - Google Patents

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Description

本発明は蒸気過酸化水素の生成に関し、特に大量の蒸気過酸化水素を発生させるシステムおよび蒸気過酸化水素を処理する方法に関する。
過酸化水素(HO)を殺菌およびその他の処理に使用することは知られている。殺菌処理においては液体過酸化水素を蒸発させて蒸気過酸化水素(VHP)をつくる。蒸気過酸化水素は典型的には過酸化水素と水の液体混合物から生成される。この混合物を蒸発させるとき、水と過酸化水素の沸点が違うので注意しなければならない。この点、水は100℃で沸騰するが、純粋な過酸化水素は150℃で沸騰する。したがって、水と過酸化水素の混合物を蒸発させるとき、混合物を瞬間蒸発させない限り水は過酸化水素より前に沸騰する傾向がある。従来のシステムにおいては、フラッシュ蒸発は水および過酸化水素の少量の混合物を高温表面に滴下させて行っていた。高温面に空気を送って蒸気過酸化水素を回収していた。
US特許番号2491732は従来の蒸気過酸化水素(VHP)の蒸発器を開示する。前述の滴下蒸発方法の問題点は液体過酸化水素と水の混合物を蒸発させるため表面を高温に維持しなければならないことである。現在の滴下方法の蒸発器では1射出口当り毎分5gまでの射出流量が達成できることが試験でわかった。言い換えると、滴下式蒸発器は一定の寸法制限内で生成できる蒸気過酸化水素量に制限される。この制限があるので、多数の物品および装置を短時間で殺菌する必要のある大容量の殺菌処理に滴下式蒸発器を使用することができなかった。
蒸気過酸化水素を使用する汚染除去システムの別の問題点は汚染除去される物品または表面への蒸気過酸化水素の凝結を防止することにある。
したがって、汚染除去される物品または表面に凝結しない濃度レベルで大量の蒸気過酸化水素が生成できる大容量の蒸気過酸化水素発生器にすることが望ましい。
US 2,491,732
本発明は汚染除去すべき物品または表面に凝結しない濃度レベルで大量の蒸気過酸化水素が生成できる過酸化水素蒸発器を提供する。
本発明の好ましい実施形態によれば、次のステップが含まれる、物品を汚染除去する方法が提供される。
(a)既知温度の複数の物品を第1の通路に沿って移動させ、
(b)細長いプレナムを含む第2の通路に沿ってキャリヤガスを搬送し、第2の通路はプレナムより下流で第1の通路に交差し、
(c)キャリヤガスをプレナムの上流位置で少なくとも約105℃に加熱し、
(d)プレナムにおいてキャリヤガスに既知濃度の液体過酸化水素の噴霧ミストを注入し、
(e)(1)第2の通路に沿うキャリヤガスの容積流量と、(2)キャリヤガスに注入される過酸化水素の容積と、(3)第1の通路が第2の通路と交差する箇所のキャリヤガス中の蒸気過酸化水素の濃度が物品の既知温度より低い露点温度をもつようにプレナム内に注入されるキャリヤガスの温度とを制御するステップである。
本発明の別の側面によれば、次のステップを備えた物品を汚染除去する方法が提供される。
(a)汚染除去室を含む第1の通路に沿って複数の物品を移動させ、
(b)細長いプレナムとプレナムより下流に配置された汚染除去室とを含む第2の通路に沿ってキャリヤガスを搬送し、
(c)キャリヤガスをプレナムの上流位置において、過酸化水素を蒸発させるのに十分な温度に加熱し、
(d)プレナムで蒸気過酸化水素を生成するため、既知濃度の液体過酸化水素をプレナムのキャリヤガス内に注入し、
(e)(1)第2の通路に沿って移動するキャリヤガスの容積流量と、(2)キャリヤガス内に注入される液体過酸化水素の注入流量と、(3)プレナム内に注入されたキャリヤガスの温度とを制御することによって、汚染除去室内の物品を、予め選択した露点温度より高い温度で蒸気過酸化水素にさらすステップが含まれる。
本発明のまた別の側面によれば、次のステップが含まれる、物品を汚染除去する方法が提供される。
(a)所定温度の複数の物品を汚染除去室を通る第1の通路に沿って移動させ、
(b)細長いプレナムとプレナムより下流に配置された汚染除去室とを含む第2の通路に沿ってキャリヤガスを搬送し、
(c)キャリヤガスをプレナムの上流位置において、過酸化水素を蒸発させるのに十分な温度に加熱し、
(d)プレナムで蒸気過酸化水素を生成するため、既知濃度の液体過酸化水素をプレナムのキャリヤガス内に注入し、
(e)第2の通路に沿う離れた位置でキャリヤガスの温度および圧力を測定し、
(f)第2の通路のキャリヤガスの温度および圧力に基づいてキャリヤガス中の蒸気過酸化水素および水蒸気の露点温度を決定し、
(g)蒸気過酸化水素を汚染除去室内に注入し、
(h)(1)第2の通路に沿って移動するキャリヤガスの容積流量と、(2)キャリヤガス内に注入される液体過酸化水素の注入流量と、(3)プレナム内に注入されたキャリヤガスの温度とを制御することによって、蒸気過酸化水素の露点温度を予め選択した温度またはそれより低い温度に制御するステップが含まれる。
本発明のまた別の側面によれば、次のステップが含まれる、物品を汚染除去する方法が提供される。
(a)所定温度の複数の物品を汚染除去室を含む第1の通路に沿って移動させ、
(b)細長いプレナムとプレナムより下流に配置された汚染除去室とを含む第2の通路に沿ってキャリヤガスを搬送し、
(c)キャリヤガスをプレナムの上流位置において、過酸化水素を蒸発させるのに十分な温度に加熱し、
(d)プレナムで蒸気過酸化水素を生成するため、既知濃度の液体過酸化水素をプレナムのキャリヤガス内に注入し、
(e)汚染除去室内で物品を蒸気過酸化水素にさらし、
(f)(1)第2の通路に沿って移動するキャリヤガスの容積流量と、(2)プレナム内に注入されたキャリヤガスの温度とを制御することによって、蒸気過酸化水素を予め選択した温度またはそれより低い温度に維持するステップが含まれる。
本発明のまた別の側面によれば、次のステップが含まれる、物品を汚染除去する方法が提供される。
(a)汚染除去室を含む第1の通路に沿って複数の物品を移動させ、
(b)細長いプレナムと細長いプレナムの下流に配置された汚染除去室とを含む第2の通路に沿ってキャリヤガスを搬送し、
(c)キャリヤガスをプレナムの上流位置で、過酸化水素を蒸発させるのに十分な温度に加熱し、
(d)プレナムで蒸気過酸化水素を生成させるため、プレナムのキャリヤガス内に既知濃度の液体過酸化水素を注入し、
(e)物品を汚染除去室内で蒸気過酸化水素にさらし、
(f)(1)第2の通路に沿って移動するキャリヤガスの容積流量と、(2)キャリヤガス内に注入される液体過酸化水素の注入流量と、(3)プレナム内に注入されたキャリヤガスの温度とを制御することによって、蒸気過酸化水素を予め選択した温度またはそれより高い温度に維持し、かつ蒸気過酸化水素を予め選択した濃度またはそれより低い濃度に維持するステップが含まれる。
本発明のさらに別の側面によれば、汚染除去室内の物品を汚染除去する装置が提供される。汚染除去される物品は汚染除去室を通る第1の通路に沿ってコンベヤで搬送される。汚染除去室には蒸発ユニットが接続される。蒸発ユニットは汚染除去室より上方に配置される。蒸発ユニットおよび汚染除去室を通ってキャリヤガスが送風機で送られる。蒸発ユニットを流れるキャリヤガスは加熱手段で加熱される。蒸発ユニットには液体過酸化水素の供給源が流体接続される。液体過酸化水素は蒸発ユニット内に注入装置で注入される。
本発明のさらに別の側面によれば、汚染除去室内の物品を汚染除去する装置が提供される。この装置は、過酸化水素の供給源に接続された第1の貯蔵タンクおよび過酸化水素の供給源に接続された第2の貯蔵タンクを含む貯蔵器アセンブリを備える。第1の貯蔵タンクおよび第2の貯蔵タンクには過酸化水素を受け取る収集タンクが接続される。収集タンクは蒸発ユニットにも接続される。弁手段によって、第1の貯蔵タンクおよび第2の貯蔵タンクは液体過酸化水素の供給源に選択的に流体連絡される。収集タンクにはベントラインの一端が接続される。ベントラインの他端は第1の貯蔵タンクおよび第2の貯蔵タンクの頂部より上方の位置に配置される。流れを制御するためベントラインにはベント弁が配置される。
本発明の利点は、蒸気過酸化水素(VHP)の発生器が大容量であることである。
本発明の別の利点は、多量の蒸気過酸化水素を生成できる汚染除去システムであることである。
本発明の別の利点は、前述の汚染除去システムがシステム中の蒸気過酸化水素の流れを確認できるいくつかの方法を有することである。
本発明の別の利点は、前述の汚染除去システムがそこを流れるキャリヤガスの流量を修正できることである。
本発明の別の利点は、前述の汚染除去システムがシステムへの液体殺菌剤の注入流量を修正できることである。
本発明の別の利点は、前述の汚染除去システムがそこを流れるキャリヤガスの温度を修正できることである。
本発明の別の利点は、前述の汚染除去システムがキャリヤガス中の蒸気過酸化水素の濃度を、蒸気過酸化水素が汚染除去される物品の最初の温度より低い露点温度となるレベルに維持するよう作動できることである。
本発明のさらに別の利点は、前述の汚染除去システムにおいて蒸発しない過酸化水素(存在すれば)がシステムを下方向に流れてシステム内の低い点に集まるようにシステム構成部品が配置されることである。
本発明の別の利点は、前述の汚染除去システムが蒸発器への殺菌剤供給ラインに吸収されたガスまたは閉じ込められたガスを取り除くセットリングタンクを有する殺菌剤供給システムを備えることである。
本発明の別の利点は、前述の汚染除去システムがシステム内で使用される空気を濾過、乾燥させる空気処理ユニットを備えることである。
本発明の別の利点は、前述のシステムを作動する方法で汚染除去される物品または表面に凝結が防止できることである。
本発明の別の利点は、前述のシステムを作動する方法で物品または表面が汚染除去される位置において蒸気過酸化水素の所望の濃度が維持できることである。
本発明の別の利点は、前述のシステムを作動する方法で液体過酸化水素の注入流量が一定に維持できることである。
これらの利点は図面および特許請求の範囲とともに以下に述べる好ましい実施形態から明らかになる。
図面を参照するに際して、図面は発明の好ましい実施形態を示すためであり、これに限定するものではないことに留意されたい。図1はコンベアベルト14に沿って移動する連続で汚染除去する物品12用の蒸気過酸化水素汚染除去システム10を示す。
大雑把に言えば、本発明による汚染除去システム10は殺菌剤供給ユニット、空気調節ユニット、蒸発器ユニット、汚染除去室または隔離室、分解装置ユニットおよび通気ユニットで構成される。ここで示す実施形態では、汚染除去システム10には1つの殺菌剤供給ユニット100、1つの空気調節ユニット200、2つの蒸発器ユニット300A,300B,2つの汚染除去室500A,500B,2つの分解装置ユニット600A,600Bおよび2つの通気ユニット700A,700Bが含まれる。
(殺菌剤供給ユニット100)
図2を参照すると、殺菌剤供給ユニット100がよく理解できる。供給ライン112によって殺菌剤供給ユニット100は液体殺菌剤の外部供給源114に接続する。ポンプおよびドレンアセンブリ120が供給ライン112に接続される。ポンプおよびドレンアセンブリ120にはモータ124で駆動されるポンプ122が含まれる。ポンプ122およびモータ124は計量された量の液体殺菌剤を貯蔵器アセンブリ130に運ぶように計画される。
貯蔵器アセンブリ130には2つの貯蔵タンク132A,132Bが含まれるのが好ましい。2つの殺菌剤貯蔵タンク132A,132Bは蒸発器ユニット300A,300Bに殺菌剤を連続して中断せずに流すようになっている。この点、一方の貯蔵タンク132Aには殺菌剤が満たされており、他方のタンク132Bは蒸発器ユニット300A,300Bへの殺菌剤の供給に使用中であるが、その詳細は後述する。タンク132Aとタンク132Bは本質的に同一であるので、タンク132Aのみを詳述する。タンク132Aについての記載はタンク132Bにも適用されるものである。
タンク132Aは一般に円柱形状をなし、両端に底部136とカバー138を備えた管状シェルまたは管状壁134で構成される。好ましい実施形態では、管状シェル134は円筒形状をなし、透明の材料で作られる。タンク132Aは液体殺菌剤Sを保持するため内部チャンバ142が形成される。供給ライン112から分岐した供給ブランチライン112a,112bが貯蔵タンク132A,132Bに接続される。弁144,146が供給ブランチライン112a,112bにそれぞれ配置され、貯蔵タンク132A,132Bへの液体殺菌剤の流れを制御する。各タンク132A,132Bにはレベルセンサ154が含まれる。センサ154は「一杯になったレベル」を示し、その詳細は後述する。圧力センサ155が各タンク132A,132Bの底部に設けられ、各タンク132A,132Bの流体レベルを指示する圧力信号を発する。
タンク132A,132Bはその底部端が、それぞれ流体導管162、164によって保持タンク170に接続される。制御弁166,168が流体導管162、164にそれぞれ配置され、貯蔵タンク132A,132Bから保持タンク170への殺菌剤の流れを制御する。図2に図示するように、タンク132A,132Bの上端はベントライン158に接続される。
保持タンク170には空気を封入した保持チャンバ172が形成される。ベントライン174が保持チャンバ172から上方に延びる。制御弁176がベントライン174に配置され、そこを通る流れを制御する。図2でよく理解できるように、ベントライン174の上端は貯蔵タンク132A,132Bの上端の高さに配置される。保持タンク170の保持チャンバ172内の所定のレベルにレベルセンサ177が配置される。保持タンク170内にレベルセンサ177が配置される。図示する実施形態ではレベルセンサ177はフロートスイッチである。
保持タンク170の底から延びる流体導管184で保持タンク170と制御弁186が接続される。制御弁186は殺菌剤の流れを制御して、蒸発器供給ライン192か、または供給ライン112に接続されたドレンライン194のいずれかのラインに殺菌剤を流す。図2に示すように、ドレンライン194はポンプおよびドレンアセンブリ120のドレンライン126に流体連絡する。戻りライン196が蒸発器供給ライン192からタンク132Aの上端まで設けられる。制御弁198が戻りライン196に配置され、そこを通過する殺菌剤の流れを制御する。
図示するように、蒸発器供給ライン192は蒸発器ユニット300A,300Bに接続される。したがって、図示する実施形態では、保持タンク170および貯蔵タンク132A,132Bは蒸発器ユニット300A,300Bより上方に、すなわち、より高い所に配置される。
(空気調節ユニット200)
図5を参照すると、空気調節ユニット200がよく示される。空気調節ユニット200は蒸発器ユニット300A,300Bで使用される空気を濾過、乾燥するために、また通気ユニット700A,700Bで使用される空気を濾過するために設けられる。空気調節ユニット200は基本的にフィルタ222、冷却アセンブリ230および直列に配置された乾燥剤車242で構成される。
空気取入れ導管212は周囲、すなわち室内空気に通じる第1の端部212aを備える。空気取入れ導管212の別の端部212bは空気調節ユニット200内のチャンバ262に接続される。フィルタ222が空気取入れ導管212内に配置され、そこを流れる空気を濾過する。フィルタ222はHEPAフィルタであるのが好ましい。冷却アセンブリ230はフィルタ222の下流に配置される。冷却アセンブリ230は冷却コイル232および冷却コイルに接続する冷却装置234から構成される。冷却コイル232は空気取入れ導管212を取り囲む。冷却装置234は、空気取入れ導管212を流れる空気を冷却して空気中の湿気が凝結する程度に空気取入れ導管212を取り囲むコイル232を十分冷却する寸法になっている。言い換えれば、冷却装置234は空気取入れ導管212を流れる空気から除湿する十分な容量をもつ。フィルタ222と冷却コイル232の間の空気取入れ導管212に空気供給ライン214が接続される。空気供給ライン214は濾過された空気をシステム10内のクール電子機器(図示しない)に供給する。第2の空気供給ラインがフィルタ212と冷却コイル232の間の空気取入れ導管に接続される。第2の空気供給ライン216は、詳細は後述するが、濾過された空気を通気ユニット700A,700Bに供給する。第1の軸Aの回りに回転可能な乾燥剤車242が空気取入れ導管212の端部212b、すなわちフィルタ222および冷却コイル232の下流に配置される。乾燥剤車242は車242の半分がチャンバ262内で回転するように配置される。空気取入れ導管212の端部212bは気流をチャンバ262内に位置する乾燥剤車の部分を通して導く。乾燥剤車242内の乾燥剤は空気取入れ導管212を流れる空気の湿気を吸収するように作動する。このようにチャンバ262に入ってくる空気はフィルタ222、冷却コイル232および乾燥剤車242によって濾過され、乾燥されている。湿度センサ272および温度センサ274がチャンバ262内に配置され、チャンバ262内空気の湿度および温度がそれぞれ監視される。図5に示すように、チャンバ262は空気ライン282を介して蒸発器ユニット300A,300Bに流体連絡される。
空気調節ユニット200には、乾燥剤車242を再生するための、すなわち乾燥剤車242から湿気を除去するための再生システム290が含まれる。再生導管292がチャンバ262に接続される。モータ296で駆動される送風機294がチャンバ262内の乾燥され濾過された空気を吸引し、乾燥された空気をヒータ298に導き、ヒータ298で乾燥空気を加熱する。再生導管292は加熱され乾燥され濾過された空気をチャンバ262外の乾燥剤車242の部分に導くように配置される。当分野の専門家には理解されるように、加熱された空気は乾燥剤車242を乾燥させ、すなわち乾燥剤車242から湿気を除去する。乾燥剤車242からの湿度の高い空気は再生導管292を通ってオリフィス284を介し空気調節ユニット200から排出される。圧力変換器285が送風機の出口に、すなわち送風機の下流に配置される。圧力変換器285はオリフィス284と連携して導管292を通る所望の気流を確立し、確実に適切に湿気を除去するように使用される。温度センサ286がヒータ298出口の空気温度を監視する。導管292の温度は湿気除去を適切にするよう制御される。
(蒸発器ユニット300A,300B)
図3,7,8および9を参照すると、蒸発器ユニット300A,300Bがよく理解できる。蒸発器300Aと蒸発器300Bは本質的に同一であるので、蒸発器300Aについてのみ詳細を記載するが、このような記載は蒸発器300Bにも同様に適用されるものである。図3に示すように、蒸発器ユニット300A(および蒸発器ユニット300B)は殺菌剤供給ユニット100からの蒸発器供給ライン192に接続され、さらに空気調節ユニット200からの空気ライン282にも接続される。
蒸発器ユニット300Aは送風機322、流量を測定する流量測定装置332、ヒータ352および蒸発器360から構成され、これらはすべて図3に概要が示され、図7に図面で示される。
図示する実施形態では、蒸発器ユニット300Aには鋼製構造の支持フレーム314上に置かれたキャビネットまたはハウジング312が含まれる。キャビネット312および支持フレーム314はともに直立した円柱構造物である。送風機322が支持フレーム314の底部に配置される。送風機322はモータ324で駆動される。モータ324は可変速度モータとして、送風機の出力は流量を増加するよう制御できるのが好ましい。送風機322の入口は空気調節ユニット200からの空気ライン282に接続される。送風機322を作動すると、空気調節ユニット200から乾燥、濾過された空気が吸入される。図示する実施形態では送風機322の出口は垂直の導管328に接続される。流量測定装置332が導管328に配置され、導管328を流れる空気流量が測定される。流量測定装置332はベンチュリー装置であるのが好ましい。センサ334でベンチュリー装置における圧力差を測定し、流量測定装置332を流れる空気流量を指示する信号を発する。空気流量を高精度で決定できることと、そこを流れる空気のエネルギー損失が低いことからベンチュリー装置が好ましい。圧力センサ335が流量測定装置332に入る空気の静圧を測定するために設けられ、詳細は後述するように、導管328を通る質量流量の計算が容易となる。温度センサ36が流量測定装置332の下流に配置される。
図示する実施形態では一般にU形の導管ピース342が流量測定装置332に接続され、空気の流れの方向を変える。導管ピース342には図示する実施形態に示すように垂直方向の細長い直線状のヒータ領域342aが含まれる。図7に示すように、導管ピース342で形成される通路は流量計332に接続する導管ピース342の端部から細長い直線状ヒータ領域342aまで断面積が増加する。加熱装置352が導管ピース342の直線状ヒータ領域342a内に配置され、導管ピース342を流れる空気を加熱する。図示する実施形態では加熱装置352は電気装置である。防熱層354が加熱装置352を取り囲む。過酸化水素を蒸発させ、また汚染除去システム10内での凝結を十分防止できる所望の温度に維持するために、加熱装置352は導管ピース342を流れる空気を十分高い温度まで加熱できるように設計される。1つの実施形態では、加熱装置352は導管ピース342を流れる空気を少なくとも約105℃に加熱することができる。別の実施形態では、加熱装置352は導管ピース342を流れる空気を少なくとも180℃に加熱することができる。導管ピース342の断面積が増加することで、小径の管から大径のヒータ領域342aへの接続が可能になる。
蒸発器360はヒータ352の下流側となる導管ピース342の端部に接続される。蒸発器360は細長い内部蒸発プレナム364を形成するハウジング362で構成される。図示する実施形態では、ハウジング362は平坦なキャップ372を有する第1の端部366aと、漏斗形ベース374を有する第2の端部366bを備える矩形シェル366で構成される。ハウジング362の断面積および長さは液体殺菌剤が内部で蒸発するのに十分な時間がとれるような寸法にされている。蒸発器360の第1の端部366aは入口端部を形成し、蒸発器360の第2の端部366bは出口端部を形成する。シェル366、キャップ372およびベース374は好ましくは金属製で、より好ましくはアルミニウム製である。キャップ372は好ましくは溶接でシェル366に取り付けられる。導管ピース342はキャップ372内の開口によって蒸発器360の内部プレナム364に通じる。シェル366の出口端部366bにはベース374上の管状フランジ378に接続する管状フランジ376が含まれる。ベース374は漏斗形をなし、蒸発器ハウジング362を蒸気過酸化水素供給ライン512Aに接続し、このライン512Aは次いで汚染除去室500Aに接続する。
図7に示すように、蒸発器360は細長い蒸発器プレナム364が垂直になるような方向に向けられる。この点、加熱装置352および導管ピース342の直線領域342aは加熱した空気を下方向の蒸発器プレナム364に導くように蒸発器プレナム364と垂直に一直線に揃えられる。
殺菌剤注入装置410が蒸発器プレナム364内に配置される。注入装置410はプレナム364内の中心に配置され、蒸発器ハウジング362の第2の端部366bの方向の下方向に向ってプレナム364内に殺菌剤を注入するよう配置される。
注入装置410は、図8でよく理解できるように、内部混合チャンバ414を形成する筒状本体412で構成される。空気ライン422および殺菌剤ライン424が本体412に接続し、内部混合チャンバ414に通じる。空気ライン422は導管423によってシステム10内の濾過、乾燥された加圧空気の供給源(図示しない)に接続される。殺菌剤ライン424は殺菌剤供給ユニット100からの殺菌剤供給ライン192に接続される。モータ428で駆動されるポンプ426が、図3で概要が示されるように、殺菌剤供給ライン192に配置され、殺菌剤を加圧して注入装置410に供給する。ポンプ426は可変速度の蠕動ポンプであるのが好ましい。ポンプ426は選択された流量で殺菌剤を注入装置410内に注入するように設けられる(1分当りグラムにおける注入流量は質量流量計427で測定される)。モータ428は可変速度モータであるのが好ましく、殺菌剤の注入装置410への注入流量はモータ428の速度でよって可変にすることができる。圧力センサ429がポンプ426の下流において殺菌剤供給ライン192に配置される。圧力センサ429は殺菌剤注入流量が適性であることを監視(および確認)し、注入装置410が遮断されていないことを確認する。
噴霧ノズル432が本体412に取り付けられる。ノズル432は殺菌剤を微細なスプレイ、すなわち完全に蒸発させるのに十分に小さいミストがつくれるのが好ましい。通常の入手できる噴霧ノズルを本発明に使用すると有利となる。
蒸発器プレナム364内への注入装置410の位置決めを容易にするためにシェル366に開口438を形成する。開口438を囲むシェル366に、好ましくは溶接で、カラー442を取り付ける。カラー442に通常の締め具446を使ってカバープレート444を取り付ける。カバープレート444とカラー442の間にガスケット467を配置して完全に封止する。カバープレート444内のねじ開口に通常の金具448を挿入し、この金具に空気導管423からの空気ライン422と殺菌剤供給ライン192からの殺菌剤ライン424と接続する。
本発明の1つの側面によると、シェル366に相対的なノズル432の寸法は、蒸発器360の作動中においてノズル432からの噴霧がシェル366に接触することが最小限とされるように、または避けられるように決められる。
温度センサ452が蒸発器360の第1の端部366aと殺菌剤注入装置410の間の蒸発器プレナム364内に配置される。第2の温度センサ454が殺菌剤注入装置410の下流で蒸発器ハウジング362の第2の端部366bの付近となる蒸発器プレナム364内に配置される。センサ452、454間の温度降下は殺菌剤を蒸発させるのに必要な熱に比例するが、その詳細は後述する。
蒸気過酸化水素および水蒸気の濃度を指示する蒸気過酸化水素センサ462が殺菌剤注入装置410の下流の蒸発器プレナム364内に選択的に配置される。蒸気過酸化水素センサ462は蒸発器360の第2の端部366b(出口端部)付近に配置される。センサ462は好ましくは赤外線(IR)センサであり、より好ましくは近赤外線(IR)センサである。センサ462は一般に円筒形状をなし、プレナム364を横切ってハウジング362内に取り付けられる。センサ462はハウジング362に取り付けられるが、そこから容易に取り外しできる。
(汚染除去室500A,500B)
図1に示すように、蒸発器ユニット300A,300Bは蒸気過酸化水素導管512A,512Bによって、それぞれ汚染除去室500A,500Bに接続される。汚染除去室500Aと汚染除去室500Bは本質的に同一であるので、汚染除去室500Aのみについて記載するが、このような記載は汚染除去室500Bにも同様に適用されるものである。
図6および9でよく理解できる汚染除去室500Aは、殺菌/汚染除去される物品12をコンベア14で搬送するスペースまたは領域524を形成する包囲物またはハウジング522で構成される。マニホールド542がハウジング522に取り付けられ、マニホールド542はハウジング524内のスペースまたは領域524に通じる複数の間隔をあけた開口またはノズル544を備える。図9でよく理解できるように、ノズル544はコンベア14の上方に配置され、汚染除去室500Aを通過する物品12上に蒸気過酸化水素を均等に分配する。
図9でよく理解できるように、温度センサ546および蒸気過酸化水素センサ552がマニホールド54内に配置される。蒸気過酸化水素センサ552は蒸気過酸化水素と水蒸気の濃度を指示することができる。センサ552は近赤外線(IR)センサであるのが好ましい。センサ552は円筒状をなし、そこから延びる光学ファイバーケーブル552aを備える。近赤外線センサ552のマニホールド542への挿入、取出しを容易にするため、間隔をあけた一対のレール562,564がマニホールド542内に設けられる。図示する実施形態では、レール562,564は円柱棒である。近赤外線センサ552はマニホールド542側壁の開口に挿入される。ケーブル552aが貫通できるキャップまたはプラグ572で開口を封止する。
(分解装置ユニット600A,600B)
図6を参照すると、分解装置ユニット600Aおよび600Bの概要が示される。分解装置ユニット600Aと分解装置ユニット600Bは本質的に同一であるので、分解装置ユニット600Aのみを記載するが、このような記載は分解装置ユニット600Bにも適用されるものである。
導管612によって包囲物522と分解装置ユニット600Aとが接続される。図9でよく理解できるように、導管612は包囲物522の1つの側面を介して包囲物522内の領域524に通じる。流量測定装置622が導管612に配置され、そこを通過する流量に関するデータが与えられる。図示する実施形態では、流量測定装置622には圧力センサ624が含まれ、この圧力センサ624で流量測定装置622における圧力差を検出し、装置622を流れる流量を指示する信号を与えるように作動する。好ましい実施形態では、流量測定装置622はベンチュリー装置622である。追加の圧力センサ625が設けられ、以下に記載する質量流量の計算のため流量測定装置622内の静圧を測定する。温度センサ626が流量測定装置622下流の導管612に配置される。導管612はモータ634で駆動される送風機632の入口に接続される。送風機632の出口側から延びる導管636は分解装置に接続される。分解装置642は基本的に触媒装置であって、そこを通過する過酸化水素を分解するように作動できる。この点、触媒分解装置は蒸気過酸化水素を水と酸素とに変換する。温度センサ662が分解装置642の前方、すなわち上流側に配置される。第2のセンサ664が分解装置642の後方、すなわち下流側に配置される。
(通気ユニット700A,700B)
図4を参照すると、通気ユニット700Aの概要が示される。通気ユニット700Aと通気ユニット700Bは本質的に同一であるので、通気ユニット700Aのみについて記載するが、このような記載は通気ユニット700Bにも同様に適用されるものである。図4に示すように、通気ユニット700Aは空気調節ユニット200からの空気供給ライン216に接続される。空気調節ユニット200からの空気供給ライン216は通気ユニット700A,700Bに濾過された空気を供給する。空気供給ライン216は可変速度モータ714で駆動される送風機712の入口側に接続される。送風機712は通気ユニット700A内に配置され、空気調節ユニット200のフィルタ222および供給ライン216を通してシステム10外から空気を吸引する。送風機712の出口側は通気導管722に接続される。通気導管722は通気ユニット700A内に設けられる。送風機712の下流側の通気導管722内に流量測定装置732が配置される。好ましい実施形態では流量測定装置732はベンチュリー装置である。圧力センサ734で流量測定装置732における圧力差を測定し、通気導管722を流れる空気流量を指示する信号を与える。流量測定装置732に入る空気の静圧を測定するため圧力センサ735が設けられ、通気導管722を通る質量流量の計算を容易にする。温度センサ736が流量測定装置732の前方(上流)に配置される。温度センサ736は送風機712と流量測定装置732の間に配置される。弁要素738が流量測定装置732の下流側の通気導管722に配置され、通気導管722を流れる空気流量を調節する。フィルタ装置742が弁要素738の下流側に配置される。フィルタ装置742は、好ましくはHEPAフィルタであり、空気調節ユニットのフィルタ222に加えて、通気導管722を流れる空気の第2の濾過を行う。加熱装置752がフィルタ装置742の下流側の通気導管722に配置される。マニホールド762には濾過、加熱された空気を汚染除去室500A内に分配する複数のノズルまたはポート764が含まれる。マニホールド762は、コンベア14が汚染除去室500Aから出る位置においてコンベア14の上方に配置される。温度センサ766がマニホールド762内に配置される。
通気ユニット700Aは基本的には加熱、濾過された空気を汚染除去室500Aに送り、コンベア14上の物品12から過酸化水素を取り除き、それによって凝結を防止する。
図1および4でよく理解できるように、導管772によって蒸気過酸化水素導管512Aと通気導管722とが接続される。導管772は蒸発器360とマニホールド542との間の蒸気過酸化水素導管512Aに接続される。導管772は弁738とフィルタ装置742との間の通気導管722に接続される。弁774が導管772に配置され、そこの流れを制御する。導管772は通気ユニット700Aのフィルタ装置の汚染除去を周期的に行うために設けられる。通気導管722の弁738を閉じて、導管772の弁774を開くことによって、蒸発器360の蒸気過酸化水素をフィルタ装置742に導くことができる。
本発明により、汚染除去システムの空気温度、空気流量、殺菌剤温度および殺菌剤注入流量を制御することによって、蒸気過酸化水素の所望の濃度が汚染除去室内で維持できる。汚染除去システムにおいて蒸気過酸化水素(VHP)が使用される場合、蒸気過酸化水素が汚染除去される製品または物品上に凝結するのを防止する必要がある。定常状態において凝結を防止するために、蒸気過酸化水素の定常流プロセス、殺菌剤注入流量、空気流量および空気温度を制御する必要がある。本発明によれば、凝結を防止するため、所望の蒸気過酸化水素の濃度および温度に制御される。本発明の1つの側面によれば、システム10の作動が制御され、気流内の過酸化水素の濃度は汚染除去される物品の温度より低い露点温度に維持される。システム10は以下に記載する数学モデルに基づいて制御される。
水および過酸化水素の露点濃度は殺菌剤が注入される空気温度と、空気内の水および過酸化水素の濃度とによって異なる。蒸気過酸化水素汚染除去装置で使用される定常状態、定常流プロセスの場合には、露点濃度は殺菌剤の注入流量と注入器を通過する空気温度および空気容積流量とによって異なる。
気流(mg/l)内の過酸化水素の濃度Cpは等式(1)によって与えられる。
Figure 0004859979
ただし
I=殺菌剤注入流量(g/min)
F=空気流量(実際のft3/min)
P=殺菌剤中の過酸化水素のパーセンテージ
E=蒸発過程で分解した過酸化水素量の関数としての蒸発器効率(0.90=90%)
等式(1)において1000はgをmgに換算するための換算係数である。28.32はft3をlに換算するための換算係数である。
気流(mg/l)内の水蒸気の濃度Cは等式(2)によって与えられる。
Figure 0004859979
ただし、Cw,airr=蒸発器に流れ込む空気流内の水の濃度(mg/l)
過酸化水素は水と酸素に分解される。触媒作用を受けた過酸化水素の9/17は水に変換され、残りは酸素に変換される。このことは、触媒作用を受けた過酸化水素の水の部分を空気流内の水の濃度に加える等式(2)で理解される。
等式(1)および(2)から、空気流内の水および過酸化水素の濃度が決まる。過酸化水素の露点は次のようにして決定される。
最初に湿度のない包囲物内に過酸化水素の一定濃度の液体を入れたとき、液体過酸化水素および水は蒸発して包囲物内で平衡状態になることが知られている。蒸気過酸化水素の濃度は液体の過酸化水素濃度よりも低い。Schumb, Satterfield, & Wentworth 1955による「過酸化水素」の書物のような公知文献から、等式および表によって、Hおよび水に対する液体濃度と気体濃度との関係が与えられる。包囲物内では蒸気濃度は飽和点に達する。
文献情報は一定容積の水と過酸化水素混合物の飽和点を決定するのに使用される。
この点、過酸化水素水溶液(液体形態)に対するガス相の過酸化水素のモル分率(yh)は次の等式(3)によって与えられる。
Figure 0004859979
ただし、
xh=液体殺菌剤中の過酸化水素のモル分率
P=混合物の全蒸気圧(mmHg)-
混合物の全蒸気圧(P)は次の等式(4)によって与えられる。
Figure 0004859979
ただし、
Pwg-=水の蒸気圧(mmHg)(等式(5)を参照)
xw=水のモル分率
Phg=過酸化水素の蒸気圧(mmHg)(等式(5)を参照)
γw-=水の活性度係数
水の活性度係数は次の等式(5)によって与えられる。
Figure 0004859979
ただし、
xp=過酸化水素のモル分率
R=1.987cal/gmole−K理想気体定数
B0=活性度係数の計算用の係数=-1017+0.97*T
B1=活性度係数の計算用の係数=85
B2=活性度係数の計算用の係数=13
T=水蒸気温度(K)
過酸化水素の活性度係数(γ)は次の等式(6)によって与えられる。
Figure 0004859979
過酸化水素のモル分率(Xp)は次の等式(7)(H2O2.comから)によって与えられる。
Figure 0004859979
ただし、
Percent=気体または液体形態の過酸化水素のパーセンテージ
MWw=水の分子量=18.016g/mole
MWp=過酸化水素の分子量=34.016g/mole
水の蒸気圧は次の等式(8)(ASHRAE Fundamentals bookから)によって与えられる。0℃を超える温度に対して次の等式(8)が与えられる。
Figure 0004859979
ただし、
VP=飽和蒸気圧(psi)
TF=蒸気温度(°F)
C8=-10440.397
C9=-11.29465
C10=-0.027022355
C11=0.00001289036
C12=-2.4780681E-09
C13=6.5459673
無水過酸化水素の蒸気圧は次の等式(9)によって与えられる。
Figure 0004859979
ただし、
Phg=過酸化水素の蒸気圧(mmHg)
T=蒸気圧(K)
理想気体の法則は一定温度における過酸化水素と水の蒸気成分の飽和レベルを計算するのに使用できる。理想気体の法則は次の等式(10)によって与えられる。
Figure 0004859979
ただし、
P=水と過酸化水素混合物の蒸気圧(mmHg)
V=容積(m3
n=モル数
R=気体定数(0.082liter-atm/mol-K)
T=蒸気温度(K)
過酸化水素蒸気または水蒸気の飽和濃度は通常、単位容積当りの質量で与えられる。等式(10)は次の式等(11)で与えられるように濃度を決定するのに書き直すことができる。
Figure 0004859979
ただし、
C=蒸気の飽和濃度(mg/liter)
w=質量(mg)
V=容積(liter)
M=水または過酸化水素の分子量(gram/mole)
=34.016grams/mole(過酸化水素に対して)
=18.016grams/mole(水に対して)
x=蒸気モル分率
P=等式(8)および(9)から計算した水および過酸化水素混合物の蒸気圧(mmHg)
R=気体定数(0.082liter-atm/mole-K)
T=蒸気の温度(K)
等式(11)を水の飽和濃度(Cw,sat)および過酸化水素の飽和濃度(Ch,sat)について解くことができる。過酸化水素蒸気のパーセントは次の等式(12)を使用して計算できる。
Figure 0004859979
ただし、
Pc=蒸気形態の過酸化水素パーセント
Cp,cc=等式(11)から計算した過酸化水素の濃度(mg/liter)
Cw,cc=等式(11)から計算した水の濃度(mg/liter)
等式(12)で計算した蒸気形態の過酸化水素のパーセンテージは等式(1)および(2)を使用して計算した過酸化水素のパーセントと比較することができる。
Figure 0004859979
ただし、
P=気流内の過酸化水素の理論的パーセント
CpおよびCwは前に記載した等式(1)および(2)で説明されている。
等式(12)で計算した過酸化水素のパーセンテージは等式(13)で計算したものと一致させる必要がある。前に述べたように、殺菌剤中の過酸化水素のパーセンテージを等式(7)で使用すると、等式(12)を使用して算出したパーセンテージは低すぎる。この2つの等式は、等式(12)と(13)を使用して算出した濃度が一致するまで、等式(7)で使用する液体過酸化水素の濃度(パーセント)を増加させることで等式(12)からの修正した飽和蒸気濃度を生成するようにする。
入口の空気温度は殺菌剤を十分に蒸発させ、かつ下流における凝結を防止するのに十分に高い出口温度を与えるものでなければならない。蒸発器管の入口の必要温度は次のようにして決定する。
過酸化水素を蒸発させるために必要な熱のほとんどは過酸化水素の蒸発潜熱に当てられる。わずかであるが、液体殺菌剤を室温から蒸発温度に加熱するのに顕熱が必要となる。蒸発熱(潜熱)を水中の過酸化水素濃度の関数として図10に示すが、これはH2O2.comから無料で見ることができる。
潜熱hfgはグラム当りのカロリーの単位で与えられる。Hfgの単位は次の等式(14)に示すように水中の35%過酸化水素のグラム当りのBTUに換算できる。
Figure 0004859979
蒸発熱は次の等式(15)で決定される。
Figure 0004859979
ただし、
I=殺菌剤注入流量(grams/min)
殺菌剤を室温から所望の出口温度に加熱するのに必要な顕熱は次の等式(16)によって決定される。
Figure 0004859979
ただし、
ρster=H2O2.comに記載された殺菌剤の密度(図11参照)(gram/ml)
Cp,ster=H2O2.comに記載された殺菌剤の比熱(図12参照)(BTU/gram-C)
T2=ユーザが規定する蒸発器出口温度(C)
Tamb=殺菌剤の周囲温度(C)
図11および12はH2O2.comから無料で見ることができる。
殺菌剤を蒸発させため高温空気が使用される。空気流で失われた熱Qairは次の等式(17)で決定される。
Figure 0004859979
ただし、
mfr=空気の質量流量=(0.075lbm/scf)×scfm(lbm/min)
Cp=バルク温度における空気の比熱(BTU/lbm-R)
T1=入口空気温度(蒸発器管内へ)(°F)
T2=出口空気温度(蒸発器管外へ)(°F)
出口温度は等式(17)を使用して空気流内の殺菌剤の露点を知ることで決定される。Qairの値はQvap+Qsenに等しい。等式(17)中の未知数は入口温度だけである。等式(16)をT1について解くと、等式(18)が得られる。
Figure 0004859979
次にシステム10の作動について述べる。制御装置(図示しない)はシステム10が異なる3つの作動モードで作動できるようにプログラムされる。すなわち、(1)汚染除去室500A,500B内で所望の露点温度を維持するように作動させるモード、(2)殺菌剤を一定の注入流量で作動させるモードおよび(3)所望の過酸化水素濃度を保持するように作動させるモードである。制御装置はシステム中の種々のセンサから入力信号を受け取る。さらに、制御装置は、前述の等式に基づいて、選択した作動モードによって加熱装置298,352,752、送風機モータ294,322,632,712およびポンプモータ124,324,428を制御するようにプログラムされる。
最初、汚染除去室の特定の露点を維持する第1の作動モードに注目すると、この作動モードにおいてはユーザーの入力が必要となる。特にユーザーは(a)所望の露点温度(Tdp)と、(b)所望の蒸発器出口温度と、(c)液体殺菌剤中の過酸化水素のパーセンテージとを入力する。
蒸気過酸化水素センサ552を使用すると露点は計算できる。センサを使用しないときは、水および過酸化水素濃度(仮定効率が知られている)の計算は等式(1)、(2)を使用して判断できる。
当分野の専門家には知られているように、露点温度は空気中の水蒸気および過酸化水素蒸気が飽和して凝結を開始する温度である。本発明において、第1の作動モードで作動させるときのシステム10の目的は、殺菌される物品12上の凝結を防止するように、空気温度、空気流量、および空気流内の水蒸気および過酸化水素蒸気(VHP)の濃度を制御することである。当分野の専門家には理解されるように、殺菌される物品12の温度は実際の露点温度を決定するときのファクターとなる。図示する実施形態においては、物品12は汚染除去室500A,500B内をコンベアで搬送される。汚染除去室500Aまたは500Bに入ってくる物品12の最初の温度は所望の露点温度(Tad)の決定に重要となる。所望の露点温度は汚染除去室500Aまたは500Bに入ってくる物品12の最初の温度に基づいて決定される。確実に物品12上に凝結させないために、システムに入力される「予め選択した温度」とも言われる「所望の露点温度」は汚染除去室500Aまたは500Bに入るときの物品12の最初の温度よりも一定の温度分だけ低いのが好ましい。好ましい実施形態では、所望の露点温度は汚染除去室500Aまたは500Bに入るときの物品の最初の温度より約30℃低く選択される。勿論、付加される温度ファクターは、物品の最初の温度よりも低くとどまる限り、増加または減少することもできる。
当分野の専門家には理解されるように、汚染除去室に入るとき殺菌される物品12の温度が低ければ低いほど、水蒸気および過酸化水素蒸気が物品12上に凝結する露点温度は低くなる。
ユーザーが入力する第2のデータは所望の蒸発器出口温度である。これらのデータも汚染除去される物品12の物理的性質によってある程度異なる。この点、物品12の損傷を避けるため、一定の温度以下でシステム10を作動させる必要がある。
ユーザーが入力する第3のデータは液体殺菌剤中の過酸化水素のパーセンテージである。この情報は液体殺菌剤の供給者から与えられる。
以上の入力された情報に基づいて、システムは第1の作動モードで以下のように作動する。
最初、殺菌剤供給ユニット100の2つの貯蔵タンク132A,132Bに液体殺菌剤を充填するのが好ましい。ポンプ122で各タンクに液体殺菌剤を入れる。各タンク132A,132Bのレベルセンサ154で指示される所望の充填レベルまで各タンク132A,132Bに充填するのが好ましい。
蒸発器ユニット300A,300Bに液体殺菌剤を供給するときは、一方のタンク132Aまたは132Bを使用するのが好ましい。一方のタンク132Aまたは132Bから液体殺菌剤がなくなると、他方のタンク132Aまたは132Bの液体殺菌剤を蒸発器ユニット300A,300Bの供給に使用する。空のタンク132Aまたは132Bに所属する弁144,146を開き、外部供給源114から空のタンクに液体殺菌剤をポンプで送り込むことによって、空のタンク132A,132Bに再度充填することができる。一方の空のタンク132A,132Bに充填しているときには、蒸発器ユニット300A,300Bへは他方のタンク132A,132Bを使用して供給する。タンク132A,132Bの寸法は1つのタンク132Aまたは132Bに再充填中であっても、汚染除去システム10を連続作動できる大きさである。その結果、殺菌剤が蒸発器300A,300Bに同時に全体として連続して流れ、物品12の連続処理が可能になる。
図2に示すように、タンク132A,132Bの液体殺菌剤は保持タンク170に導かれる。保持タンク170の寸法は、液体殺菌剤から放出されたガスが蒸発器ユニット300A,300Bに入る前に供給ユニット100から逃がすことのできる大きさである。この点、保持タンク170の外形寸法はシステム10の供給ラインおよび導管よりもかなり大きいので、液体殺菌剤のガスを取り除いて逃すことで、このようなガス泡またはガスポケットが蒸発器ユニット300A,300Bに流れ込むのを防止できることがわかった。
前に述べたように、殺菌供給ユニット100は重力式供給システムである。蒸発器供給ライン192内にガス気泡が詰まるのを避けるため、保持タンクから蒸発器ユニット300A,300Bに至る蒸発器供給ライン192を形成する導管および配管はすべて下流に向って傾斜させ、それによって蒸発器供給ライン192内の液体殺菌剤から放出されたガスを保持タンク170に移動させ、そこからベントライン174を通って放出することができる。ベントライン174の弁176はフロートスイッチ177で制御される。
図3に示す蒸発器ユニット300A,300Bの作動に注目して、蒸発器ユニット300Aの作動について記載するが、このような記載は蒸発器300Bにも適用されるものである。システム10の制御装置によってモータ324が駆動され、それによって空気調節ユニット200から空気が吸引され、垂直導管328を通って空気が蒸発器360内に送られる。送風機322によって送られた空気流量は流量測定装置332によって測定される。前に述べたように、モータ322は電気制御の可変速度モータであるのが好ましく、蒸発器360を通る空気流量は制御装置で自動的に調節できる。加熱装置352で蒸発器プレナム364に入る空気を加熱する。加熱装置352の出力は加熱装置352のデューティサイクルを変えることで調節できる。言い換えれば、蒸発器プレナム364に流れ込む空気の温度は加熱装置352の出力を調節することで調節できる。
システム10を最初に起動させるとき、空気を送風機322からプレナム364および汚染除去室500Aに強制的に送り込む。加熱された空気がシステム10に送り込まれ、システム10の温度が安定するまでシステムの構成部品は加熱される。システム10の温度センサ274,286、336、452、454、546、626、662および664でシステム10内の空気の温度を監視し、温度センサ336で測定され加熱装置352に入る温度に基づいてシステムが平衡温度に達したことが決定される。
一旦、システム10の温度が安定すると、液体殺菌剤を注入装置410によって、加熱された気流内に注入する。システムに注入する殺菌剤量は前に述べた等式を使用した計算に基づいて制御装置で行われる。加熱気流内へ液体殺菌剤を最初注入すると、加熱された空気流内で液体殺菌剤が蒸発する結果として蒸発器プレナム364内の圧力が上昇する。蒸発器プレナム364内におけるこの圧力上昇のため蒸発器360内へ入る空気流量は減少することになる。この空気流量の減少量は流量測定装置322によって検出される。本発明の1つの側面によると、送風機モータ324の作動は流量測定装置332を流れる検出された空気流量で制御される。流量測定装置332およびセンサ334からの出力信号に基づいて、制御装置は送風機322の速度を増加させて蒸発器プレナム364および下流のユニットを通る所望の空気流量を維持する。この点、システム10は自己調節式であり、蒸気過酸化水素が生成されている間は、システム10を通過する所望の空気流量が維持される。蒸発器ユニット360からの蒸気過酸化水素は過酸化水素供給ライン512Aを通って汚染除去室500Aに搬送される。本発明の別の実施形態によると、安全の理由のため蒸発器ユニット360は図3に示すように汚染除去室500Aより上方に配置される。この点、蒸発器ユニット360で蒸発しなかった過酸化水素は液体状態で残り、下方の汚染除去室500A内に滴下または流れ込む。汚染除去室への液体過酸化水素の滴下または流れ込みは汚染除去室500Aの目視検査で確かめられる。汚染除去室で液体過酸化水素が見つかれば、危険状態を避けるため本システムを停止する。
蒸気過酸化水素はマニホールド542に入り、そこでノズル544を通して物品12上に分配される。この点、理解されるように、一旦、蒸発器360の定常作動が確立されると、物品12は汚染除去室500Aを通って移動を開始する。
図面で概要を示すように、蒸気過酸化水素は上方から物品12上に導かれる。分解装置ユニット600Aの送風機632は汚染除去室500Aからライン612を介して蒸気過酸化水素を吸引するように作動する。図6に示すように、汚染除去室から吸引された気流は分解装置642に押し込まれ、そこで蒸気過酸化水素は酸素と水に分解されてシステム10から排出される。
以上述べたように、汚染除去室500Aの水蒸気および過酸化水素蒸気の濃度を所望の露点温度に維持するようにシステムを制御する本作動モードの間は、システム10の制御装置でシステム10内の種々のセンサを常に監視し、適量の液体過酸化水素殺菌剤が注入装置410に注入されていることを確認する。
本発明の別の側面によると、システム10によってシステム10内で生成された蒸気過酸化水素の量を数日毎に監視して確認する。蒸気過酸化水素(VHP)を測定する第1の方法によると、分解装置642における温度降下は温度センサ662および664を使用してシステム10により監視する。この点、蒸気過酸化水素の分解で熱が発生する。分解装置642における温度変化を監視することで、システムを流れる蒸気過酸化水素量の第1の目安が決定できる。
システム10内の蒸気過酸化水素を測定し監視する第2の方法は蒸気過酸化水素センサ462または552を使用した測定による。
システム10内の蒸気過酸化水素を測定し監視する第3の方法は注入装置410への液体殺菌剤の注入流量を監視する方法である。この点、測定された量の液体殺菌剤を注入装置410に指示するため質量流量計427の出力を監視する。過酸化水素および水の濃度は等式(1)および(2)を使用して計算される。
システム10内の蒸気過酸化水素を測定し監視する第4の方法は蒸発器プレナム364内の温度変化を監視する方法である。特に、蒸発器プレナム364内の温度センサ452および454を監視する。蒸気過酸化水素の分解で単位質量当り一定の熱量が発生するのと丁度同じように、液体過酸化水素の蒸発も温度低下を生じる一定の熱量が必要となる。蒸発器プレナム364内の気流における温度変化を監視することで、システム10内の蒸気過酸化水素の量が決定できる。
本発明の1つの側面によると、システム10で前述の4つ全ての状態を監視して出力計算を互いに比較する。監視した4つのパラメーターのうちいずれか1つでも誤差の許容範囲から外れると、システム10はシステムオペレータに対し、問題があることを警告する。
システム10内のセンサを常に監視することで、気流内の水蒸気および過酸化水素蒸気の濃度は所望の露点温度に維持される。前述したように、所望の作動露点温度は汚染除去室に入ってくる物品12の温度より好ましくは約30℃低いので、このような物品12上への凝結は避けることができる。
このように、本発明は特定の露点温度を維持するよう作動できるシステム10を提供し、水蒸気または過酸化水素蒸気が物品12上に凝結することを防止するとともに、汚染除去される物品12に損傷を与えないように所望の作動温度を維持する。
次にシステム10を所定の注入流量に保持する第2の作動モードに注目すると、ユーザーは所望のマニホールド542の温度および液体殺菌剤中の過酸化水素のパーセンテージを再度入力する必要がある。この作動モードで、一旦定常流量が達成されると、注入装置410の注入流量が設定量で維持される。システムを流れる空気流量は所望の作動温度を維持すべく増加するが、注入流量の方はこのモードの作動中を通して一定に維持される。凝結が生じるか否かが決定ができるよう露点がユーザーに指示される。
蒸気過酸化水素濃度が一定に保持される第3の作動モードにおいては、ユーザーはマニホールド542の所望の作動温度を入力する。一旦、定常状態の流量がシステム内で達成されると、液体過酸化水素を空気流内に注入する。前述したように、システム10でシステム10の蒸気過酸化水素の量を監視し、注入装置410のポンプ426の注入流量を増加または減少させて所望の蒸気過酸化水素濃度を維持する。
第1の作動モードの制御方法は次のとおりに行われる。
1)ユーザーは下記を入力する。
a.所望の露点温度(Tdp
b.マニホールド温度
c.液体殺菌剤中の過酸化水素パーセンテージ
2)下記は既知である。
a.試験で見つけた蒸発器効率(E)(近赤外線センサ462を使用すると、等式(1)および(2)は過酸化水素および水の濃度を決定するのに必要ない。近赤外線センサ462を使用しな場合は、過酸化水素および水の濃度の計算に等式(1)および(2)を使用する。この計算ではユーザーが汚染除去システム10の制御装置に蒸発器の効率を入力することが必要となる。)
b.乾燥装置から出た気流内の水の濃度(売り手のデータまたは試験から)
3)蒸発器で生成された蒸気は液体殺菌剤と同一パーセンテージの過酸化水素を含むものと最初に仮定する。
4)等式(7)を使用して殺菌剤の過酸化水素のモル分率(xp)を計算する。
5)殺菌剤の水のモル分率を計算する、xw=1-xp
6)ユーザーが入力した露点温度で等式(5)および(6)を使用して活性度係数を計算する。
7)ユーザーが入力した露点温度で等式(8)および(9)を使用して水および過酸化水素の蒸気圧を計算する。
8)等式(4)を使用して全蒸気圧を計算する。
9)等式(3)を使用して過酸化水素の液体に対するガスのモル分率を決める。
10)等式(7)を使用して計算したモル分率が等式(3)を使用して計算したモル分率に等しいか否かを決める。
11)モル分率が許容誤差の範囲内で一致しないときは、殺菌剤(液相)中の過酸化水素のモル分率を繰り返し、前記ステップ5から10をやり直す。解を収束するため多くの繰り返し技術を使用することができる。
12)モル分率が許容誤差の範囲内で一致するときは、等式(11)を使用して過酸化水素の飽和濃度(Ch,sat)および水の飽和濃度(Cw,sat)を計算する。
13)Ch,satを使用して等式(1)から殺菌剤注入流量を計算する。
14)等式(2)を使用して水の濃度(Cw)を計算する。
15)CwとCw,saatを比較する。
16)CwとCw,satとが許容誤差範囲内で等しくないときは、Ch,satおよびCwを使用して過酸化水素のパーセンテージを再計算する。P=Ch,satt/(Ch,sat+Cw)100。ステップ4から15をやり直す。
17)CwとCw,satとが許容誤差範囲内で等しいときは、最初の注入流量を前記ステップ15で計算したものに等しくなるように設定する。
18)等式(15)を使用して蒸発熱(Qvap)を計算する。
19)等式(17)を使用して蒸発器入口空気温度(T1)を決定する。
20)ステップ19で計算した空気温度が下流の構成部品に対して高過ぎることがないときは、空気流量がT1で確立でき、システムが定常状態に達したあとで、過酸化水素を気流内に注入することができる。
21)空気温度が下流の構成部品に対して高過ぎるときは、温度は最大許容温度に最初設定することができる。
22)蒸発器出口温度が所望の露点温度(Tdp)と所望の出口温度(T2)の温度差と同じ分だけ露点より高くなるまで繰り返すことによって、注入流量を決定することができる。
23)必要な露点(Tdp)および出口温度(T2)が達成されるまで漸増方法を続けることができる。
24)制御にフィードバックが設けられる場合は、等式(1)および(2)で計算したものの代わりに過酸化水素および水の実際の濃度を使用することで露点が達成できる。
第2の作動モードの制御方法は次のとおりに行われる。
1)ユーザーは下記を入力する。
a.所望の注入流量
b.マニホールド温度
c.液体殺菌剤の過酸化水素パーセンテージ
2)下記は既知である。
a.試験で見出した蒸発器効率(E)(近赤外線センサを使用しない場合に使用される)
b.乾燥装置から出た気流内の水の濃度(売り手のデータまたは試験から)
3)ユーザーが設定した注入流量に基づいて制御装置で露点を計算して表示する。
4)入力した注入流量に対する露点を知ったユーザーは汚染除去される物品上に凝結を避けるため必要に応じて調節することができ、すなわち「ユーザー入力」を変更することができる。
この点、第2の作動モードにおいては露点の自動制御はない。
第3の作動モードの制御戦略は次のとおりに行われる。
1)ユーザーは下記を入力する。
a.所望の過酸化水素濃度
b.マニホールド温度
c.液体殺菌剤の過酸化水素パーセンテージ
2)下記は既知である。
a.試験で見つけた蒸発器効率(E)(近赤外線センサを使用しないとき使用される)
b.乾燥装置から出た気流内の水の濃度(売り手のデータまたは試験から)
3)所望の蒸気過酸化水素濃度が達成されるまで、制御装置で液体過酸化水素の注入流量を計算し漸増する。
4)制御装置で所望の過酸化水素濃度における露点を計算して表示する。
以上、本発明の特定の実施形態について記載した。この実施形態は説明のためにのみ記載したものであり、発明の精神および範囲から逸脱することなく、当分野の専門家には数多くの変更や修正を行うことができる。このような変更や修正は特許請求の範囲に記載の発明またはそれと均等な発明である限り、すべて包含されるものである。
本発明はある部品とその部品の配置において具体的な形態をとり、この好ましい実施形態は明細書で詳細に記載され、明細書の一部をなす図面に示される。
図1は大容量の蒸気過酸化水素汚染除去システムの概要を示す図であり、本発明の好ましい実施形態を示す。 図2は図1に示す汚染除去システムの殺菌剤供給ユニットの概要を示す図である。 図3は図1に示す汚染除去システムの蒸発器ユニットを示す図である。 図4は図1に示す汚染除去システムの通気ユニットの概要を示す図である。 図5は図1に示す汚染除去システムの空気調節ユニットの概要を示す図である。 図6は図1に示す汚染除去システムの分解装置ユニットの概要を示す図である。 図7は図1に示す汚染除去システムの蒸発器の側面図である。 図8は図7に示す蒸発器ユニットの噴霧器の拡大図である。 図9はマニホールドおよび汚染除去室の斜視図である。 図10は蒸発熱(潜熱)を過酸化水素の水中濃度の関数として示すグラフである。 図11は過酸化水素の密度を過酸化水素の水中濃度の関数として示すグラフである。 図12は過酸化水素の熱容量を過酸化水素の水中濃度の関数として示すグラフである。

Claims (25)

  1. 物品を汚染除去する方法であって、
    (a)汚染除去室を含む第1の通路に沿って所定温度の複数の物品を移動させ、
    (b)細長いプレナムと前記プレナムより下流に配置された前記汚染除去室と前記汚染除去室より下流に配置された分解装置とを含む第2の通路に沿ってキャリヤガスを搬送し、
    (c)前記プレナムの上流位置において、過酸化水素を蒸発させるのに十分な温度に前記キャリヤガスを加熱し、
    (d)前記プレナムで蒸気過酸化水素を生成するため、既知濃度の液体過酸化水素を前記プレナムの前記キャリヤガスに注入し、
    (e)前記汚染除去室内の前記物品を前記蒸気過酸化水素にさらし、
    (f)(1)前記第2の通路に沿って移動する前記キャリヤガスの容積流量と、(2)前記キャリヤガス内に注入される前記液体過酸化水素の注入流量と、(3)前記プレナムに注入された前記キャリヤガスの前記温度とを制御することで、前記蒸気過酸化水素を予め選択した温度またはその温度以上に制御し、
    (g)前記キャリヤガス中の蒸気過酸化水素の所定の濃度を達成するため、前記分解装置における温度変化を測定して前記キャリヤガス中の蒸気過酸化水素の濃度を決定し、同時に、前記キャリヤガス内への前記液体過酸化水素の注入流量を調節する
    ステップを含むことを特徴とする方法。
  2. 前記予め選択した温度は前記物品の前記所定温度より約30℃低いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記細長いプレナムは前記汚染除去室より上方に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記第2の通路に沿って、前記キャリヤガス中の蒸気過酸化水素の前記濃度を測定するために使用できる過酸化水素センサを設け、
    前記過酸化水素センサに基づいて前記キャリヤガス中の蒸気過酸化水素の前記濃度を決定する
    ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記過酸化水素センサは赤外線(IR)センサであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 前記過酸化水素センサは近赤外線(IR)センサであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  7. 前記過酸化水素センサは前記汚染除去室に配置されたことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  8. 前記過酸化水素センサは前記プレナムに配置されたことを特徴とする請求項4に記載の方法。
  9. 前記プレナム内への前記液体過酸化水素の注入流量を測定するために使用できる質量流量計を設け、
    前記注入流量に基づいて前記キャリヤガス中の過酸化水素の前記濃度を決定する
    ステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記キャリヤガス中の過酸化水素の前記濃度は、前記液体過酸化水素が前記キャリヤガス内に注入される注入点より上流の位置と、前記液体過酸化水素が前記キャリヤガス内に注入される前記注入点より下流の位置との間における前記キャリヤガスの温度変化を測定することで決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. (a)前記汚染除去室に第1の過酸化水素センサを設け、前記第1の過酸化水素センサに基づいて蒸気過酸化水素の前記濃度を決定する工程、
    (b)前記プレナムに第2の過酸化水素センサを設け、前記第2の過酸化水素センサに基づいて蒸気過酸化水素の前記濃度を決定する工程、
    (c)前記プレナム内への前記液体過酸化水素の注入流量を測定するため使用できる質量流量計を設け、前記質量流量に基づいて蒸気過酸化水素の前記濃度を決定する工程および、
    (d)前記キャリヤガス内への前記液体過酸化水素の注入点より上流の点と、前記液体過酸化水素の前記注入点より下流の点との間における前記キャリヤガスの温度変化から前記濃度を決定する工程
    の少なくとも2つの工程に基づいて前記キャリヤガス中の過酸化水素の前記濃度が決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 前記第2の通路に沿って間隔をあけた位置に、前記キャリヤガスの温度を測定するため使用できる複数の温度センサを設け、
    前記第2の通路に沿って間隔をあけた位置に、前記キャリヤガスの圧力を測定するため使用できる複数の圧力センサを設け、
    前記過酸化水素センサ、前記複数の温度センサおよび前記複数の圧力センサからの読みに基づいて前記キャリヤガス中の前記蒸気過酸化水素および前記水蒸気の前記露点温度を決定し、
    (1)前記第2の通路に沿って移動するキャリヤガスの前記容積流量と、(2)前記キャリヤガス内に注入される前記液体過酸化水素の注入流量と、(3)前記プレナム内に注入された前記キャリヤガスの前記温度とを制御することによって、前記蒸気過酸化水素を前記予め選択した温度またはそれより低い温度の露点温度に制御する
    ステップが前記ステップ(e)に含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 前記第2の通路に沿って、前記キャリヤガス中の蒸気過酸化水素の前記濃度および水蒸気の濃度を測定するため使用できる過酸化水素センサを設け、
    前記第2の通路に沿って間隔をあけた位置に、前記キャリヤガスの温度を測定するため使用できる複数の温度センサを設け、
    前記第2の通路に沿って間隔をあけた位置に、前記キャリヤガスの圧力を測定するため使用できる複数の圧力センサを設け、
    前記過酸化水素センサ、前記複数の温度センサおよび前記複数の圧力センサからの読みに基づいて前記キャリヤガス中の前記蒸気過酸化水素および前記水蒸気の露点温度を決定し、
    (1)前記第2の通路に沿って移動するキャリヤガスの前記容積流量と、(2)前記キャリヤガス内に注入される前記液体過酸化水素の注入流量と、(3)前記プレナム内に注入された前記キャリヤガスの前記温度とを制御することによって、前記蒸気過酸化水素を前記予め選択した温度またはそれより低い温度の露点温度に制御する
    ステップが前記ステップ(e)に含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 物品を汚染除去する装置であって、
    汚染除去室と、
    汚染除去される物品を前記汚染除去質を通る第1の通路に沿って搬送するコンベヤと、
    前記汚染除去室より上方に配置され前記汚染除去室に接続する蒸発ユニットと、
    前記蒸発ユニットおよび前記汚染除去室を通るキャリヤガスを前記汚染除去室より下流に配置された分解装置を含む第2の通路に沿って搬送する送風機と、
    前記蒸発ユニットを流れる前記キャリヤガスを加熱する加熱手段と、
    前記蒸発ユニットに流体接続された液体過酸化水素の供給源と、
    蒸気過酸化水素を生成するため、前記蒸発ユニットに液体過酸化水素を注入する注入装置と
    前記送風機と前記加熱手段と前記注入装置とを制御することで、前記蒸気過酸化水素を予め選択した温度またはその温度以上に制御し、かつ、前記キャリヤガス中の蒸気過酸化水素の所定の濃度を達成するため、前記分解装置における温度変化を測定して前記キャリヤガス中の蒸気過酸化水素の濃度を決定し、同時に、前記注入装置を制御する制御装置
    を備えたことを特徴とする装置。
  15. 前記蒸発ユニットは入口および出口を有する細長いチャンバを備え、前記出口は前記汚染除去室に流体接続され、前記出口は前記入口より下方に配置されたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
  16. 前記注入装置は前記細長いチャンバの中心に位置するノズルを備え、前記ノズルは液体過酸化水素の前記供給源に流体連絡し、かつ前記ノズルは前記細長いチャンバ内に噴霧ミストとして液体過酸化水素を注入するよう作動できることを特徴とする請求項14に記載の装置。
  17. 前記加熱手段は前記蒸発ユニットに接続されたヒータであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
  18. 前記汚染除去室に接続された分解装置であって、そこを流れる前記キャリヤガス中の過酸化水素を分解する分解装置と、
    前記汚染除去室と前記分解装置との間に配置され、前記キャリヤガスを前記汚染除去室から前記分解装置に搬送するための送風機と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
  19. 前記蒸発ユニットに接続された空気調節ユニットをさらに備え、前記空気調節ユニットは、
    チャンバと、
    前記チャンバを流れる前記キャリヤガスから汚染物を除去するため前記チャンバに接続されたフィルタと、
    前記チャンバを流れる前記キャリヤガスを冷却するため前記チャンバに接続された冷却装置と、
    一端が前記チャンバに接続された再生導管と、
    前記チャンバから前記再生導管を通って前記キャリヤガスの一部を搬送する送風機と、
    前記再生導管を流れる前記キャリヤガスの前記一部を加熱する加熱手段と、
    前記チャンバを流れる前記キャリヤガスから湿気を除去するため前記チャンバと前記再生導管とに接続された乾燥剤要素と
    を備えたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
  20. 前記乾燥剤要素は、前記乾燥剤要素の一部が前記チャンバと前記再生導管との間で移動できるように軸の回りに回転可能であることを特徴とする請求項19に記載の装置。
  21. 液体過酸化水素の前記供給源および前記蒸発ユニットに接続された貯蔵器アセンブリをさらに備え、前記貯蔵器アセンブリは、
    前記過酸化水素供給源に接続された第1の貯蔵タンクと、
    前記過酸化水素供給源に接続された第2の貯蔵タンクと、
    前記第1の貯蔵タンクおよび前記第2の貯蔵タンクに接続され、さらに前記蒸発ユニットにも接続された収集タンクと、
    前記第1の貯蔵タンクおよび前記第2の貯蔵タンクを前記収集タンクに選択的に流体連絡させ、かつ前記第1の貯蔵タンクおよび前記第2の貯蔵タンクを液体過酸化水素の前記供給源に選択的に流体連絡させる弁手段と、
    一端が前記収集タンクに接続されたベントラインであって、かつ他端が前記第1の貯蔵タンクおよび前記第2の貯蔵タンクの頂部よりも上方の位置に配置されたベントラインと、
    通過する流れを制御するため前記ベントラインに配置されたベント弁と
    を備えたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
  22. 液体過酸化水素の前記供給源から前記第1の貯蔵タンクおよび前記第2の貯蔵タンクに前記液体過酸化水素をポンプで送るポンピング手段をさらに備えたことを特徴とする請求項21に記載の装置。
  23. 前記収集タンクは前記蒸発ユニットより上方に配置されたことを特徴とする請求項21に記載された装置。
  24. 前記汚染除去室に接続された通気ユニットをさらに備え、前記通気ユニットは前記通気ユニットおよび前記汚染除去室を流れるガスから汚染物を除去し、前記通気ユニットは、 一端が前記汚染除去室に接続された導管と、
    前記導管を通る前記ガスを前記汚染除去室に搬送する送風機と、
    前記導管を流れる前記ガスから汚染物を除去するフィルタと、
    前記導管を流れる前記ガスを加熱する加熱手段と
    を備えたことを特徴とする請求項14に記載の装置。
  25. 一端が前記蒸発ユニットに、他端が前記フィルタの上流位置の前記導管に接続された分岐導管と、
    前記蒸発ユニットを前記フィルタおよび前記汚染除去室に選択的に流体接続するための弁手段と
    をさらに備えたことを特徴とする請求項24に記載の装置。
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