JP7004623B2 - 局所清浄化装置の解析方法、局所清浄化装置の除染方法および局所清浄化装置 - Google Patents

局所清浄化装置の解析方法、局所清浄化装置の除染方法および局所清浄化装置 Download PDF

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本発明は、局所清浄化装置の解析方法、局所清浄化装置の除染方法および局所清浄化装置に関する。
無菌製剤工場や食品工場、半導体製造工場などにおいて、空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気によって局所的に清浄化された作業ブース部を備えた局所清浄化装置が用いられている。このような局所清浄化装置において、近年、作業者のアクセスを物理的に遮断した気流自己循環型クローズド系の局所清浄化装置が無菌製剤工場を中心に普及しつつある。このようなクローズド系の局所清浄化装置においては、気流が周囲環境に拡散するオープン系と異なり開口部がほとんどなく、開口箇所を密封手段(気密弁など)で密封して内部に除染剤(ガスやミスト)を充満させて、除染することが可能である。クローズド系の局所清浄化装置においては、過酸化水素ガスを用いた除染(殺菌)が行われているものがある。過酸化水素ガスを用いた除染としては、例えば、前記した作業ブース部などの除染対象部内に供給した過酸化水素ガスを当該除染対象部内で凝縮させる湿式除染(ウェット法)と、除染対象部内に供給した過酸化水素ガスを凝縮させずに気相のままで除染対象部内に存在させる乾式除染(ドライ法)と、過酸化水素水のミストを噴霧して、ミストが浮遊している間に揮発させる方法(ミスト噴霧法)とがある。
ドライ法に関して、例えば、特許文献1に次の発明が開示されている。すなわち、この発明は、気液平衡を表す2つの所定の式がともに成立する解有りの状態が存在したとき、過酸化水素蒸気の室内凝縮が生じると判定するステップを備えている除染管理装置、というものである。
特許第4977233号公報
特許文献1に開示されている発明は、除染対象室の室内温度、室内湿度、室内過酸化水素濃度などをセンシングして前記したように2つの所定の式を算出して、室内の気相と液相のシミュレーションを行っている。しかしながら、特許文献1に開示されている発明においては、演算により凝縮が生じるか否かを自動判定ができ、不測に凝縮が生じることを回避するようにシステム構成がなされているが、室内過酸化水素濃度を算出、予測できるものではない。
また、気化させる過酸化水素水の量と過酸化水素水を揮発させる操作時の過酸化水素の分解率などを用い、一般的な物質収支式を用いて、室内の平均過酸化水素濃度を算出することは可能である。しかし、空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)やULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter)などのエアフィルタに、過酸化水素ガスを通過させて除染を実施する場合は、エアフィルタに吸着する過酸化水素成分量は室内の過酸化水素濃度に反映されない。これらのエアフィルタは主にガラス繊維が充填されて形成されているものが多く、またその表面積も大きいので、過酸化水素ガス(引用文献1における過酸化水素蒸気に相当)が多量に吸着する。そのため、従来の物質収支式を用いて、エアフィルタを備えた局所清浄化装置や除染対象室などにおける過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できなかった。
本発明は前記状況に鑑みてなされたものであり、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できる局所清浄化装置の解析方法、局所清浄化装置の除染方法および局所清浄化装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため本発明に係る局所清浄化装置の解析方法は、空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするエアフィルタを有するプレナム部と、前記エアフィルタから前記清浄空気が供給されて局所的に清浄化される作業ブース部と、前記エアフィルタ、前記プレナム部および前記作業ブース部に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させて前記プレナム部に導入する過酸化水素ガス発生部と、を備える局所清浄化装置における前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの濃度を解析する解析方法であり、前記プレナム部および前記作業ブース部を一体とみなし、かつ前記エアフィルタを備えていないとした場合における前記過酸化水素ガスの第1の濃度を計算する第1のガス濃度計算ステップと、前記第1の濃度である場合における、前記エアフィルタに吸着する前記過酸化水素ガスの吸着量を計算する吸着量計算ステップと、前記第1の濃度から前記吸着量を差し引いて前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの第2の濃度を計算する第2のガス濃度計算ステップと、を有する。
また、本発明に係る局所清浄化装置の除染方法は、空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするエアフィルタを有するプレナム部と、前記エアフィルタから前記清浄空気が供給されて局所的に清浄化される作業ブース部と、前記エアフィルタ、前記プレナム部および前記作業ブース部に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させて前記プレナム部に導入する過酸化水素ガス発生部と、を備える局所清浄化装置における前記作業ブース部内を除染する除染方法であり、前記プレナム部および前記作業ブース部を一体とみなし、かつ前記エアフィルタを備えていないとした場合における前記過酸化水素ガスの第1の濃度を計算する第1のガス濃度計算ステップと、前記第1の濃度である場合における、前記エアフィルタに吸着する前記過酸化水素ガスの吸着量を計算する吸着量計算ステップと、前記第1の濃度から前記吸着量を差し引いて前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの第2の濃度を計算する第2のガス濃度計算ステップと、計測された過酸化水素ガスの濃度が前記第2の濃度に近付くように前記過酸化水素ガス発生部で発生させる過酸化水素ガスの発生量を制御する発生量制御ステップと、を有する。
さらに、本発明に係る局所清浄化装置は、空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするエアフィルタを有するプレナム部と、前記エアフィルタから前記清浄空気が供給されて局所的に清浄化される作業ブース部と、前記エアフィルタ、前記プレナム部および前記作業ブース部に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させて前記プレナム部に導入する過酸化水素ガス発生部と、を備えるとともに、前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの濃度を解析する解析部を備え、前記解析部は、前記プレナム部および前記作業ブース部を一体とみなし、かつ前記エアフィルタを備えていないとした場合における前記過酸化水素ガスの第1の濃度を計算する第1のガス濃度計算手段と、前記第1の濃度である場合における、前記エアフィルタに吸着する前記過酸化水素ガスの吸着量を計算する吸着量計算手段と、前記第1の濃度から前記吸着量を差し引いて前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの第2の濃度を計算する第2のガス濃度計算手段と、を有する。
また、本発明に係る局所清浄化装置は、空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするエアフィルタを有するプレナム部と、前記エアフィルタから前記清浄空気が供給されて局所的に清浄化される作業ブース部と、前記エアフィルタ、前記プレナム部および前記作業ブース部に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させて前記プレナム部に導入する過酸化水素ガス発生部と、を備えるとともに、前記過酸化水素ガス発生部で発生させる前記過酸化水素ガスの発生量を調節して前記作業ブース部内における前記過酸化水素ガスの濃度を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記プレナム部および前記作業ブース部を一体とみなし、かつ前記エアフィルタを備えていないとした場合における前記過酸化水素ガスの第1の濃度を計算する第1のガス濃度計算手段と、前記第1の濃度である場合における、前記エアフィルタに吸着する前記過酸化水素ガスの吸着量を計算する吸着量計算手段と、前記第1の濃度から前記吸着量を差し引いて前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの第2の濃度を計算する第2のガス濃度計算手段と、計測された過酸化水素ガスの濃度が前記第2の濃度に近付くように前記過酸化水素ガス発生部で発生させる過酸化水素ガスの発生量を制御する発生量制御手段と、を有する。
本発明によれば、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できる局所清浄化装置の解析方法、局所清浄化装置の除染方法および局所清浄化装置を提供できる。
第1実施形態に係る局所清浄化装置の構成を説明する概略構成図である。 作業ブース部内を除染する際の過酸化水素ガスの概念的な濃度変遷を説明する模式図である。 第2実施形態に係る局所清浄化装置の構成を説明する概略構成図である。 本発明に係る局所清浄化装置の解析方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 本発明に係る局所清浄化装置の除染方法の一実施形態を説明するフローチャートである。 過酸化水素ガスの濃度を比較例1および実施例1でそれぞれ解析した結果を示すグラフである。図中、横軸は、経過時間[min]であり、縦軸は、過酸化水素ガスの濃度[ppm]である。 本発明に係る制御方法で過酸化水素ガスの濃度を制御した場合(実施例2)と、供給量を固定して過酸化水素ガスを供給した場合(比較例2)と、を比較したグラフである。図中、横軸は、経過時間[min]であり、縦軸は、過酸化水素ガスの濃度[ppm]である。 本発明の他の実施形態を示す概略構成図である。
以下、適宜図面を参照して本発明の一実施形態に係る局所清浄化装置の解析方法、局所清浄化装置の除染方法および局所清浄化装置について詳細に説明する。なお、参照する図面において共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。また、部材のサイズおよび形状は、説明の便宜上、変形または誇張して模式的に表す場合がある。
本明細書では、説明の便宜上、はじめに、局所清浄化装置の実施形態について説明し、次いで、局所清浄化装置の解析方法および除染方法の実施形態について説明する。
[局所清浄化装置]
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る局所清浄化装置10の構成を説明する概略構成図である。図2は、作業ブース部2内を除染する際の過酸化水素ガスの概念的な濃度変遷を説明する模式図である。
図1に示す局所清浄化装置10は、例えば、アクセス制限バリアシステム(Closed-Restricted Access Barrier Systems)やアイソレータなどとして用いられる。なお、本明細書において、アクセス制限バリアシステムとは、無菌操作のためのシステムであり、その内部と周辺環境を分離するために剛性壁による閉空間および吹き出し空気を利用することで、密閉されてはいないが包囲された、ISOクラス5(グレードA、Class100)の条件を満たす環境を実現するシステムをいう。また、本明細書において、アイソレータとは、製品充填用容器や充填後の製品を受け渡すマウスポートを除いて、環境および作業者の直接介入から物理的にほぼ完全に隔離された無菌操作区域を有する装置であって、除染した後にHEPAフィルタやULPAフィルタなどのエアフィルタによりろ過した空気を供給し、外部環境からの汚染の危険性を防ぎながら連続して使用できる装置をいう。
なお、局所清浄化装置10をアクセス制限バリアシステムとして用いる場合は、空気の清浄度レベルがISOクラス7(グレードB、Class10000)以上の環境下で用いることが好ましい。一方、局所清浄化装置10をアイソレータとして用いる場合は、空気の清浄度レベルがISOクラス8(グレードC、Class100000)またはグレードDの環境下で用いることができる。
図1に示すように、局所清浄化装置10は、プレナム部1と、作業ブース部2と、過酸化水素ガス発生部3と、を備えるとともに、解析部31を備えている。この解析部31は、後述するように、局所清浄化装置10を所定の手段として機能させることで、後述する他の実施形態に係る局所清浄化装置10の解析方法を行うことができる。
また、局所清浄化装置10には、作業用のグローブ10bが設けられている。このグローブ10bは、局所清浄化装置10の壁部10aと作業ブース部2とを貫通して、作業ブース部2内に到達するように設けられている。そのため、作業者は当該グローブ10bを介して作業ブース部2内で各種の作業が行えるようになっている。
(プレナム部)
プレナム部1は、後記する作業ブース部2と隔壁を介して隣接して設けられている。なお、局所清浄化装置10におけるプレナム部1の容積は問わない(特に限定されない)。プレナム部1は、エアフィルタ11を有しており、このエアフィルタ11によって空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にする。なお、エアフィルタ11は、気流において上流となる面にエアフィルタ用ファン13が設けられており、下流となる面に吹出口12が設けられている。プレナム部1は、エアフィルタ用ファン13を駆動させることで、エアフィルタ11によって得られた清浄空気を当該吹出口12から作業ブース部2内に向けて吹き出すことができる。なお、清浄空気は温度、湿度、清浄度などが適宜調整されていることが好ましい。エアフィルタ11としては、例えば、前記したHEPAフィルタまたはULPAフィルタを好適に用いることができるが、これらに限定されない。エアフィルタ11は、例えば、ガラス繊維が充填されて形成されたものを好適に用いることができる。
また、プレナム部1は、内部の気体を攪拌するファン14を備えていることが好ましい。このようにすると、過酸化水素ガス発生部3から導入された過酸化水素ガスをプレナム部1の内部で十分に攪拌することができ、均一に分布させることができる。そして、プレナム部1内で均一に分布する過酸化水素ガスを作業ブース部2内に導入できるため、作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度を均一にすることができる。
(作業ブース部)
作業ブース部2は、前記したようにプレナム部1と隣接して設けられている。作業ブース部2は、前記したエアフィルタ11から清浄空気が供給されることにより、局所的に清浄化されている。作業ブース部2には局所清浄化装置10の壁部10aに設けられているグローブ10bの届く範囲に各種の作業を行う作業台10cや各種の生産用装置(図示せず)などが配置されている。なお、局所清浄化装置10における作業ブース部2の容積は問わない(特に限定されない)。
前記した吹出口12から作業ブース部2内に導入される過酸化水素ガスの風速は0.4m/s以下であればよいが、0.2m/s以下とすることが好ましい。なお、過酸化水素ガスの風速を0.2m/s以下とすると、風速が十分に遅いので、プレナム部1内において過酸化水素ガスが十分均一な状態となる。そのため、局所清浄化装置10は、作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度をより均一にできる。
(過酸化水素ガス発生部)
過酸化水素ガス発生部3は、プレナム部1と連通する第1連通部3aと、作業ブース部2の下方で連通する第2連通部3bと、を有する。過酸化水素ガス発生部3は、例えば、生産作業終了後や生産作業開始前などの適時に行う除染処理において、プレナム部1とエアフィルタ11とを介して作業ブース部2内に過酸化水素ガスを導入する。したがって、過酸化水素ガス発生部3は、図2の模式図に示すように、作業ブース部2内を除湿し(除湿工程S1)、作業ブース部2内の過酸化水素ガスの濃度を上昇させ(濃度上昇工程S2)、所定時間、所定の濃度を維持して除染を行うことができる(除染工程S3)。そして、除染工程S3が終了したら、過酸化水素ガス発生部3は運転を停止し、作業ブース部2内を換気して過酸化水素ガスの濃度を低下させ、製品などに対して無害な環境にすることができる(無害化工程S4)。
つまり、過酸化水素ガス発生部3は、除染処理の濃度上昇工程S2および除染工程S3において、エアフィルタ11を含む局所清浄化装置10内面、具体的にはエアフィルタ11、プレナム部1および作業ブース部2に結露が生じない濃度で過酸化水素ガスを発生させ、前記した第1連通部3aから過酸化水素ガスをプレナム部1に導入する。なお、前記した第1連通部3aからプレナム部1への過酸化水素ガスの吹き出し風速は、例えば、15m/hとすることができるが、これに限定されるものではなく、任意に設定することができる。
また、図示しないがエアフィルタ11の後段に、整流用として、例えば、ポリエステル製のスクリーンを設置する場合がある。この場合、過酸化水素ガス発生部3は、このスクリーンにも結露が生じない濃度で過酸化水素ガスを発生させる。プレナム部1に導入された過酸化水素ガスは前記したように、エアフィルタ11を介して作業ブース部2内に導入される。そして、作業ブース部2内に導入された過酸化水素ガスは、作業ブース部2を除染した後、作業ブース部2の下方に設けられた排出口2aから排出され、大部分はレターンスペース1aを通って排出口2bからプレナム部1に戻り、一部は前記した第2連通部3bを通って過酸化水素ガス発生部3に戻る。
また、過酸化水素ガス発生部3は、作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度が予め設定された濃度となるように制御する。具体的には、過酸化水素ガス発生部3は、過酸化水素ガス発生部3に戻ってきた過酸化水素ガスを触媒3cで分解し、戻ってきた過酸化水素ガスに含まれている水分を除湿剤3dで除去する。過酸化水素ガス発生部3は、触媒3cと除湿剤3dとで処理した気体を必要に応じて図示しないヒータ等で加熱(予熱)する。そして、過酸化水素ガス発生部3は、これらの処理を行った気体と、新たに発生させた過酸化水素ガスと、を混合して第1連通部3aからプレナム部1に導入する。ここで、作業ブース部2から戻ってきた過酸化水素ガスは、エアフィルタ11でゴミや塵埃などが取り除かれているので装置外から新たに空気を取り入れる場合と比較すると清浄度が高く、エアフィルタ11の負担を低減することができる(エアフィルタ11を長期利用できる)。また、過酸化水素ガス発生部3は、過酸化水素ガスを触媒3cで分解するので、除湿剤3dとその後段のラインを保護することができる。また、過酸化水素ガス発生部3は、水分を除湿剤3dで除去するので、エアフィルタ11を含む局所清浄化装置10内面に結露が発生しないようにすることができる。
過酸化水素ガスは、過酸化水素ガス発生部3から得られる高濃度の過酸化水素ガスを含む気体が第1連通部3aを介して局所清浄化装置10に供給されるため、第1連通部3aの設置位置によっては、除染対象となる作業ブース部2内でも濃度分布が生じる。そこで、本実施形態では、好ましくは、局所清浄化装置10内における少なくとも2箇所、より具体的には、作業ブース部2の内部における少なくとも2箇所の過酸化水素ガスの濃度をセンサSで計測する。例えば、図1に示すように、作業ブース部2の中心と作業ブース部2の下方の角部にセンサSを設けて過酸化水素ガスの濃度を計測する。このように、局所清浄化装置10は、装置内の少なくとも2箇所で過酸化水素ガスの濃度を計測することにより、装置内で過酸化水素ガスが均一に分布しているか否かを確認できる。なお、この態様において、少なくとも2箇所の過酸化水素ガスの濃度を計測するセンサSによって計測されるそれぞれの過酸化水素ガスの濃度差が、例えば、20ppm以下であるときに、均一になったと判断することができる。
センサSは、装置内の少なくとも2箇所で過酸化水素ガスの濃度を計測できればよく、設置形態は特に限定されない。センサSは、装置内の所定の箇所に固定する固定式であってもよいし、アクチュエータによる駆動力を利用して計測位置を移動させる可動式であってもよい。センサSとしては、例えば、過酸化水素ガス濃度計を用いることができる。ただし、過酸化水素ガス濃度計は一般に高価であることから、局所清浄化装置10の立上げ時に濃度分布を確認しておき、普段の運用では1箇所の代表点に設置した過酸化水素ガス濃度計で濃度を計測するという使い方もあり得る。センサSは、過酸化水素ガスに耐性があるものであれば、市販されているものを任意に用いることができる。
センサSによって計測される過酸化水素ガスの濃度が所定の範囲を外れたら、過酸化水素ガス発生部3は、内蔵する気化器3eに滴下する過酸化水素水の液量を増減して過酸化水素ガスの濃度を調節する。
また、本実施形態においては、センサSがプレナム部1の内部の少なくとも2箇所に備えられていてもよい(図1においてこの態様は図示せず)。このようにすると、局所清浄化装置10は、これらのセンサSで計測される過酸化水素ガスの濃度が均一になっていることを確認した後に、プレナム部1からエアフィルタ11を介して過酸化水素ガスを作業ブース部2内に導入することができる。そのため、局所清浄化装置10は、作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度をより均一にすることができる。なお、この態様においても、少なくとも2箇所の過酸化水素ガスの濃度を計測するセンサSによって計測されるそれぞれの過酸化水素ガスの濃度差が、例えば、20ppm以下であるときに、均一になったと判断することができる。
気化器3eとしては、例えば、過酸化水素水が滴下されて当該過酸化水素水と接触する接触面が90~150℃に加熱できる電気ヒータなどを好適に用いることができるが、これに限定されない。気化器3eは、過酸化水素水を気化させて過酸化水素ガスを発生させることができるものであれば任意のものを用いることができる。
また、過酸化水素ガス発生部3は、気化器3eへの過酸化水素水の供給量を測定する測定部3fを有していることが好ましい。過酸化水素ガス発生部3は、気化器3eへの過酸化水素水の供給量を測定部3fで測定することにより、過酸化水素ガス発生部3(気化器3e)で発生させる過酸化水素ガスの発生量Gを正確に制御できる。なお、過酸化水素ガスの発生量Gについては、後述する第1のガス濃度計算手段32で説明する。測定部3fとしては、例えば、質量計や流量計などを挙げることができる。測定部3fとして質量計を用いる場合は、当該質量計に過酸化水素水を容れた容器3hを載せておき、過酸化水素水を使用して過酸化水素ガスを発生させている間、その質量を計測することが好ましい。このようにすると、局所清浄化装置10は、過酸化水素水の使用量を把握することができ、当該使用量から過酸化水素ガスの発生量Gを算出することもできる。なお、過酸化水素ガス発生部3において、気化器3e、測定部3f、容器3hは、解析部31とともに過酸化水素ガス発生装置3Aに収められている。
本実施形態においては、過酸化水素ガス発生部3は、前記したように、エアフィルタ11を含む局所清浄化装置10内面に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させる。すなわち、本実施形態においてはドライ法を採用する。このようにすると、局所清浄化装置10は、後述するシミュレーション、具体的には、解析部31による作業ブース部2内の過酸化水素ガスの濃度の解析を好適に行うことができる。また、このようにすると、局所清浄化装置10は、当該解析に基づいて、例えば、後記する制御部41(図3参照)による作業ブース部2内の過酸化水素ガスの濃度の制御を好適に行うことができる。つまり、局所清浄化装置10は、後述する実施形態に係る解析方法や除染方法を好適に行うことができる。他方、過酸化水素ガス発生部3がエアフィルタ11を含む局所清浄化装置10内面に結露が生じる濃度で過酸化水素ガスを発生させると、エアフィルタ11に液体が現れるため、局所清浄化装置10は、後述する解析(シミュレーション)や制御を正しく行うことができない。
前記したエアフィルタ11を含む局所清浄化装置10内面に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させる過酸化水素ガス発生部3としては、例えば、特表2004-524086号公報に記載されているシステムを好適に用いることができる。
(解析部)
解析部31は、作業ブース部2内の過酸化水素ガスの濃度を解析する。当該解析を行うため、解析部31は、第1のガス濃度計算手段32と、吸着量計算手段33と、第2のガス濃度計算手段34と、を有する。解析を行う際、解析部31は、これら第1のガス濃度計算手段32と、吸着量計算手段33と、第2のガス濃度計算手段34と、による各処理をこの順で行う。そして、これらの一連の処理は、連続的に行うこともできるし、間欠的に行うこともできる。なお、本明細書において、連続的に行うとは、前回の一連のステップが全て終了し次第、続けて次回の一連のステップを行うことをいう。また、本明細書において、間欠的に行うとは、前回の一連のステップが全て終了した後、所定時間のインターバルを置いてから次回の一連のステップを行うことをいう。
解析部31は、例えば、図示しない中央演算処理装置(CPU)と、CPUを前記した各手段として機能させるプログラムが記録された記録媒体(図示せず)と、を含んで構成される。記録媒体としては、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、リードオンリーメモリ(ROM)などが挙げられる。すなわち、本実施形態に係る局所清浄化装置10は、前記CPUと記録媒体とを備え、コンピュータと同様の構成・機能を有する。そのため、本実施形態に係る局所清浄化装置10は、記録媒体に記録されたプログラムを読み出して前記した各手段として機能し、前記したように作業ブース部2内の過酸化水素ガスの濃度を解析できる。
(第1のガス濃度計算手段)
第1のガス濃度計算手段32は、プレナム部1および作業ブース部2を一体とみなし、かつエアフィルタ11を備えていないとした場合における過酸化水素ガスの第1の濃度C1を計算する。つまり、過酸化水素ガスの導入対象となるプレナム部1と作業ブース部2とを合わせて一つの構造物と仮定し、当該構造物の容積Vと、任意の運転時間Tと、前記任意の運転時間Tにおける過酸化水素ガスの発生量(具体的には、単位時間当たりの局所清浄化装置10(プレナム部1および作業ブース部2)への過酸化水素ガス導入量I)と、前記任意の運転時間Tにおける第2連通部3bから排出される過酸化水素ガスの排出量(具体的には、単位時間当たりの排出量E)と、に基づいて、前記構造物内(プレナム部1および作業ブース部2内)の過酸化水素ガスの濃度(前記した第1の濃度C1)を計算する。なお、この計算では、エアフィルタ11を備えていないと仮定しているので、エアフィルタ11に吸着される過酸化水素ガスの分量を考慮する必要はない。第1の濃度C1は、例えば、局所清浄化装置10内の過酸化水素ガスの物質収支式(式1)を解いた(式2)で求めることができる。
d(C1・V)/dT=I-E …(式1)
(式1)をC1について解くと、次式が得られる。
C1=(I/Q)(1-e-(Q/V)T) …(式2)
=C1×Q
ここで、Qは、第2連通部3bを通って過酸化水素ガス発生部3から第1連通部3aに至るラインの気体の単位時間あたりの循環風量、すなわち、図示しない風量計で計測された単位時間あたりの循環風量である。この循環風量Qを計測するため、本実施形態における過酸化水素ガス発生部3は、除湿剤3dと気化器3eの間に風量計(図示せず)を備え、予め設定した風量となるよう、過酸化水素ガス発生部3内に備えた図示しないファンを制御することが好ましい。
なお、気化器3eで気化した過酸化水素ガスの発生量G(具体的には、単位時間あたりの発生量)と、風量計で計測された単位時間あたりの循環風量Qとから、プレナム部1への過酸化水素ガスの導入濃度Cを正確に計算することができる。この計算は、例えば、(式3)で行うことができる。つまり、循環風量Qは、図示しない過酸化水素ガス濃度計などの任意の手段によってプレナム部1への過酸化水素ガスの導入濃度Cが分かっている場合は、この(式3)から算出することができる(式3.1)。
=G/Q …(式3)
Q=G/C …(式3.1)
ここで、本実施形態では、前記した単位時間当たりの局所清浄化装置10への過酸化水素ガス導入量Iと、気化器3eで気化した過酸化水素ガスの発生量Gとは、I=Gと仮定することもできる。
(吸着量計算手段)
吸着量計算手段33は、第1のガス濃度計算手段32で計算して得られた第1の濃度C1である場合における、エアフィルタ11に吸着する過酸化水素ガスの吸着量CA(具体的には、フィルタ単位面積あたりの吸着量)を計算する。発明者らが鋭意検討した結果、ガラス繊維製のエアフィルタ11については、過酸化水素ガスの吸着量CAは、エアフィルタ11周囲の過酸化水素ガスの濃度にほぼ比例して増加し、いわゆるヘンリー型の吸着特性(吸着量CAが吸着成分の分圧に比例する性質)を示すことを見出した。そして、過酸化水素ガスの濃度は、800ppmまでは少なくともこの特性を示すことが分かった。なお、エアフィルタ11に吸着する過酸化水素ガス成分の量は、エアフィルタ11を通過してトラップされた過酸化水素ガス成分の量になることも考えられた。しかし、ガラス繊維製のエアフィルタ11の場合、ある濃度まではエアフィルタ11を通過する過酸化水素ガス濃度(分圧)で吸着量CAが決まることが明らかになった。本実施形態において、周辺の濃度がCである過酸化水素ガスを通気したエアフィルタ11の吸着量CAは、温度が一定の場合、例えば、(式4)で求めることができる。なお、CHは定数、Cはエアフィルタ11周辺の過酸化水素ガスの濃度である。
CA=CH×C …(式4)
ここで、局所清浄化装置10内の湿度環境によってCHの値は異なり、同じ温度の場合は相対湿度が高い方がCHの値は大きくなることが実験的に確認されている。なお、用いるエアフィルタ11によって吸着特性が異なってくる可能性がある。そのため、吸着量CAを計算するにあたって事前に使用予定のエアフィルタ11を用いて吸着試験を行うなどして、これらの特性を調べておくことが好ましい。本実施形態では、フィルタ特性に応じて、吸着量計算手段33における計算にあたり、適宜の式を適用することができる。適宜の式としては、例えば、ヘンリーの吸着等温式(前記(式4)参照)のほか、ラングミュアの吸着等温式、BETの吸着等温式、Freundlichの吸着等温式、Gibbsの吸着等温式などが挙げられる。
(第2のガス濃度計算手段)
第2のガス濃度計算手段34は、第1のガス濃度計算手段32で計算した過酸化水素ガスの第1の濃度C1から吸着量CAを差し引いて作業ブース部2内の過酸化水素ガスの第2の濃度C2を計算する。より具体的には、第2のガス濃度計算手段34は、第1のガス濃度計算手段32で単位時間当たりの局所清浄化装置10への過酸化水素ガス導入量Iを与えて計算した過酸化水素ガスの第1の濃度C1から、当該第1の濃度C1環境下でのエアフィルタ11の過酸化水素ガスの吸着量CAを差し引いて作業ブース部2を含む局所清浄化装置10内の過酸化水素ガスの第2の濃度C2を計算する。つまり、第2のガス濃度計算手段34によって、過酸化水素ガスがエアフィルタ11に吸着した量を考慮に入れたプレナム部1および作業ブース部2(特に、作業ブース部2)内の過酸化水素ガスの濃度を推算する。この第2の濃度C2は、(式5)で求めることができる。なお、Aはエアフィルタ11の有効膜面積である。
C2=C1-CA×A …(式5)
(効果)
以上に説明したように、第1実施形態に係る局所清浄化装置10は、過酸化水素ガスがエアフィルタ11に吸着した量をも考慮に入れて作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度を計算する。そのため、第1実施形態に係る局所清浄化装置10は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できる。また、第1実施形態に係る局所清浄化装置10は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できるので、これに基づいて、過酸化水素ガス発生部3で用いる装置の設計や運転条件の事前検討(机上検討)を行うことができる。
また、例えば、図2の模式図で示した濃度上昇工程S2では、作業ブース部2内の過酸化水素ガスの濃度を上昇させるために過酸化水素ガス発生部3を最大の能力で運転することになる。そのため、濃度上昇工程S2の過程を局所清浄化装置10で推算できることは、適切な発生能力を持つ過酸化水素ガス発生部3を設計できることにつながる。したがって、局所清浄化装置10は、無駄に発生能力の大きい過酸化水素ガス発生部を設計してしまうという事態を避けることができる。また、局所清浄化装置10は、過酸化水素ガスの濃度を所望の時間までにターゲット濃度まで上昇させることができない発生能力の小さい過酸化水素ガス発生部を設計してしまうという事態を避けることができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る局所清浄化装置について説明する。図3は、第2実施形態に係る局所清浄化装置20の構成を説明する概略構成図である。
図3に示すように、局所清浄化装置20は、プレナム部1と、作業ブース部2と、過酸化水素ガス発生部3と、を備えるとともに、制御部41を備えている。この制御部41は、後述するように、局所清浄化装置20を所定の手段として機能させることで、後述する他の実施形態に係る局所清浄化装置の除染方法を行うことができる。
図3に示す第2実施形態におけるプレナム部1、作業ブース部2および過酸化水素ガス発生部3と、図1に示す第1実施形態におけるプレナム部1、作業ブース部2および過酸化水素ガス発生部3とは共通する構成要素である。そこで、これらについては説明を省略し、相違する構成要素である制御部41について説明する。なお、過酸化水素ガス発生部3において、制御部41は、気化器3e、測定部3f、容器3hとともに過酸化水素ガス発生装置3Aに収められている。
制御部41は、過酸化水素ガス発生部3で発生させる過酸化水素ガスの発生量Gを制御する。当該制御を行うため、制御部41は、第1のガス濃度計算手段32と、吸着量計算手段33と、第2のガス濃度計算手段34と、発生量制御手段35と、を有する。除染処理を行う際、制御部41は、これら第1のガス濃度計算手段32と、吸着量計算手段33と、第2のガス濃度計算手段34と、発生量制御手段35と、による各処理をこの順で行う。そして、これらの一連の処理は、連続的に行うこともできるし、間欠的に行うこともできる。
制御部41は、前記した解析部31と同様、CPUと記録媒体とを含んで構成される(いずれも図示せず)。すなわち、本実施形態に係る局所清浄化装置20は、前記CPUと記録媒体とを備え、コンピュータと同様の構成・機能を有する。そのため、本実施形態に係る局所清浄化装置20は、記録媒体に記録されたプログラムを読み出し、前記した各手段として機能して前記したように過酸化水素ガス発生部3で発生させる過酸化水素ガスの発生量Gを制御できる。
ここで、制御部41の第1のガス濃度計算手段32、吸着量計算手段33および第2のガス濃度計算手段34は、前述した解析部31の第1のガス濃度計算手段32、吸着量計算手段33および第2のガス濃度計算手段34と共通する構成要素である。したがって、制御部41は、局所清浄化装置20をこれらの手段として機能させることで前述した解析部31と同様に、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できるが、これについての説明は省略し、相違する構成要素である発生量制御手段35について説明する。
(発生量制御手段)
発生量制御手段35は、計測された過酸化水素ガスの濃度C3が第2の濃度C2に近付くように過酸化水素ガス発生部3で発生させる過酸化水素ガスの発生量Gを制御する。より具体的には、発生量制御手段35は、センサSで計測した過酸化水素ガスの濃度C3が、容器3hから気化器3eへの過酸化水素水の供給量が一定であると仮定した条件で計算した前記第2の濃度C2に近付くように、過酸化水素ガスの発生量Gを制御する。これは例えば、過酸化水素ガス発生部3で、容器3hから測定部3fを介して気化器3eへの過酸化水素水の供給量を制御することによって過酸化水素ガスの発生量Gを制御する。この手段の対象となる第2の濃度C2は、第1実施形態で説明した第2の濃度C2と同様であるので、気化器3eへの過酸化水素水の供給量が一定であると仮定した場合の作業ブース部2内における過酸化水素ガスの第2の濃度C2が高い精度で推算されている。
発生量制御手段35は、計測された過酸化水素ガスの濃度C3が第2の濃度C2に近付くように過酸化水素ガスの発生量Gを制御するため、次のような計算を行う。すなわち、発生量制御手段35は、例えば、第2の濃度C2と、センサSで計測した濃度C3と、の差分ΔCを求める。差分ΔCは、(式6)で求めることができる。
ΔC=C3-C2 …(式6)
そして、発生量制御手段35は、当該差分ΔCが小さくなる発生量で過酸化水素ガスを発生させる。差分ΔCが小さくなるとは、例えば、(式6)によって算出される値がプラスであれば、第2の濃度C2に対して、センサSで計測した過酸化水素ガスの濃度C3が高いことになるので、この差分ΔCを小さくするため、過酸化水素ガスの発生量Gを減少させる制御を行う。一方、(式6)によって算出される値がマイナスであれば、第2の濃度C2に対して、センサSで計測した過酸化水素ガスの濃度C3が低いことになるので、この差分ΔCを小さくするため、過酸化水素ガスの発生量Gを増加させる制御を行う。
発生量制御手段35の制御で過酸化水素ガスの発生量Gを減少させる場合、過酸化水素ガス発生部3は、気化器3eへの過酸化水素水の供給量を減らせばよい。一方、発生量制御手段35の制御で過酸化水素ガスの発生量Gを増加させる場合、過酸化水素ガス発生部3は、気化器3eへの過酸化水素水の供給量を増やせばよい。
(効果)
以上に説明したように、第2実施形態に係る局所清浄化装置20は、第1実施形態と同様、過酸化水素ガスがエアフィルタ11に吸着した量をも考慮に入れて作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度を計算する。そのため、第2実施形態に係る局所清浄化装置20は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できる。また、第2実施形態に係る局所清浄化装置20は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できるので、これに基づいて、過酸化水素ガス発生部3で発生させる過酸化水素ガスの発生量Gを高い精度で制御し、作業ブース部2内の除染前準備(除染コンディションの調整)ができる。
(好適な用途)
以上に説明した実施形態に係る局所清浄化装置10、20は、無菌製剤工場や食品工場、半導体製造工場などで好適に用いられ、より好適にはこれらの施設におけるクリーンルーム内に設置されて用いられる。
[局所清浄化装置の解析方法]
次に、本発明に係る局所清浄化装置10の解析方法(以下、単に「本解析方法」と呼称することがある)の一実施形態について説明する。図4は、本解析方法の一実施形態を説明するフローチャートである。ここで、本解析方法で用いられる局所清浄化装置10は、第1実施形態で前記したものであり、前述したように、プレナム部1と、作業ブース部2と、過酸化水素ガス発生部3と、を備えている。本解析方法は、このような局所清浄化装置10における作業ブース部2を含む局所清浄化装置10内の過酸化水素ガスの濃度を解析する。当該解析は、第1実施形態で述べた解析部31で行うことができる。解析部31は前記解析のため、以下のステップを行う。
図4に示すように、本解析方法は、第1のガス濃度計算ステップS11と、吸着量計算ステップS12と、第2のガス濃度計算ステップS13と、を順に行う。解析を行う際は、本解析方法はこれらの一連のステップを連続的に行うこともできるし、間欠的に行うこともできる。
第1のガス濃度計算ステップS11では、プレナム部1および作業ブース部2を一体とみなし、かつエアフィルタ11を備えていないとした場合における過酸化水素ガスの第1の濃度C1を計算する。第1のガス濃度計算ステップS11は、第1実施形態で述べた第1のガス濃度計算手段32に対応し、当該手段により行うことができるので、その説明は省略する。なお、このステップにおける計算は、前述した(式2)で行うことができる。
ここで、第1のガス濃度計算ステップS11の計算の開始のタイミングは、運転時間Tにおける容器3hから気化器3eへの過酸化水素水の供給速度(測定部3fを用いて測定される)に応じて任意に設定できる。すなわち、前記したように連続的に行う場合は、次回の計算の開始のタイミングを前回の一連のステップが全て終了したら直ぐに行う。他方、前記したように間欠的に行う場合は、前回の一連のステップが全て終了した後、所定時間のインターバルを置いてから次回の計算を開始する。いずれによっても、過酸化水素ガスの発生量Gの計算を経て、過酸化水素ガスの第1の濃度C1を計算することができる。なお、第1のガス濃度計算ステップS11の計算の開始のタイミングを連続的に行うようにすると、より正確で計測値に近い値が得られる。一方、第1のガス濃度計算ステップS11の計算の開始のタイミングを間欠的に行うようにすると、データ容量の圧縮等を図ることができる。
次に、吸着量計算ステップS12では、前記した第1の濃度C1である場合における、エアフィルタ11に吸着する過酸化水素ガスの吸着量CAを計算する。吸着量計算ステップS12は、第1実施形態で述べた吸着量計算手段33に対応し、当該手段により行うことができるので、その説明は省略する。なお、このステップにおける計算は、前述した(式4)で行うことができる。
次に、第2のガス濃度計算ステップS13では、第1の濃度C1から吸着量CAを差し引いて作業ブース部2内の過酸化水素ガスの第2の濃度C2を計算する。第2のガス濃度計算ステップS13は、第1実施形態で述べた第2のガス濃度計算手段34に対応し、当該手段により行うことができるので、その説明は省略する。なお、このステップにおける計算は、前述した(式5)で行うことができる。
(効果)
以上に説明した本解析方法は、前記した各ステップを行い、過酸化水素ガスがエアフィルタ11に吸着した量をも考慮に入れて作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度を計算する。そのため、本解析方法は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できる。そして、本解析方法は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できるので、これに基づいて、過酸化水素ガス発生部3で用いる機器の設計や運転条件の事前検討(机上検討)を行うことができる。
[局所清浄化装置の除染方法]
次に、本発明に係る局所清浄化装置20の除染方法(以下、単に「本除染方法」と呼称することがある)の一実施形態について説明する。図5は、本除染方法の一実施形態を説明するフローチャートである。ここで、本除染方法で用いられる局所清浄化装置20は、第2実施形態で前記したものであり、前述したように、プレナム部1と、作業ブース部2と、過酸化水素ガス発生部3と、を備えている。本除染方法は、このような局所清浄化装置20における作業ブース部2内の除染を行う。当該除染は、第2実施形態で述べた制御部41による制御で行うことができる。制御部41は前記制御のため、以下のステップを行う。
図5に示すように、本除染方法は、第1のガス濃度計算ステップS21と、吸着量計算ステップS22と、第2のガス濃度計算ステップS23と、発生量制御ステップS24と、を順に行う。除染処理を行う際は、本除染方法はこれらの一連のステップを連続的に行うこともできるし、間欠的に行うこともできる。連続的に行う場合の作用・効果および間欠的に行う場合の作用・効果は、前述した解析方法と同様である。
なお、本実施形態においては、第1のガス濃度計算ステップS21、吸着量計算ステップS22および第2のガス濃度計算ステップS23は、前述した解析方法における第1のガス濃度計算ステップS11、吸着量計算ステップS12および第2のガス濃度計算ステップS13と同様である。つまり、本除染方法は、除染の制御の一部に前述した解析方法を含むものである。以下、本除染方法の説明にあたり、前述した解析方法と相違する発生量制御ステップS24について説明する。
発生量制御ステップS24では、計測された過酸化水素ガスの濃度C3が第2の濃度C2に近付くように過酸化水素ガス発生部3で発生させる過酸化水素ガスの発生量Gを制御する。発生量制御ステップS24は、第2実施形態で述べた発生量制御手段35に対応し、当該手段により行うことができるので、その説明は省略する。なお、このステップにおける計算は、前述した(式6)で行うことができる。
(効果)
以上に説明したように、本除染方法は、前述した解析方法と同様、過酸化水素ガスがエアフィルタ11に吸着した量をも考慮に入れて作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度を計算する。そのため、本除染方法は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できる。そして、本除染方法は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できるので、これに基づいて、過酸化水素ガス発生部3で発生させる過酸化水素ガスの発生量Gを高い精度で制御し、作業ブース部2内の除染前準備(除染コンディションの調整)ができる。
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
本発明の効果を確認するため、図3に示す態様の局所清浄化装置20を用意した。なお、前述したように、局所清浄化装置20は、備える手段の一部により局所清浄化装置10を具現する。つまり、この局所清浄化装置20は、過酸化水素ガス発生部3で発生させる過酸化水素ガスの発生量Gを制御する制御部41を備えているが、当該制御部41の一部の手段を用いることによって、作業ブース部2内の過酸化水素ガスの濃度を解析する解析部31(図1参照)が具現される。換言すれば、制御部41による制御の一環で前記した解析を行うことができ、図1に示す態様の局所清浄化装置10が具現される。なお、過酸化水素ガス発生部3には、第2連通部3bから第1連通部3aに至る流路を介して局所清浄化装置20との間でガスを循環させることができるファン(図示せず)が備えられている。そして、図示しない風量計によるフィードバック制御により前記ファンの回転数を制御することで、循環風量Qを制御することができる。気化器3eで発生させた過酸化水素ガスは、この循環している気体と混合し、局所清浄化装置20に送られる。
この局所清浄化装置20のプレナム部1の容積は1.9mであり、作業ブース部2の容積は2.9mであり、これらを合計した容積(全体容積)は4.8mであった。なお、エアフィルタ11としてHEPAフィルタを用いた。
このような局所清浄化装置20を用いて、作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度の解析および制御を行った。作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度の解析にあたり、作業ブース部2の中心と、四隅(角部)の一箇所にセンサSを取り付けて過酸化水素ガスの濃度を計測した。解析の設定条件と結果を以下に記す。
図6は、過酸化水素ガスの濃度を比較例1および実施例1でそれぞれ解析した結果を示すグラフである。図中、横軸は、経過時間[min]であり、縦軸は、過酸化水素ガスの濃度[ppm]である。なお、比較例1および実施例1に係る解析(シミュレーション)時の設定条件は以下のようにした。実施例1に係る解析は、前述した(式2)、(式4)~(式6)を用いて計算した。第2連通部3bから排出される過酸化水素ガスの排出量(単位時間当たりの排出量E)は、風量計による実測値(設定した風量とほぼ同等)を用いた。そのため、前記した(式3)および(式3.1)は用いなかった。また、実施例1に係る解析に関して、解析を行う前に事前実験を行い、HEPAフィルタへの過酸化水素ガスの吸着量CAを確認し、これを特性として計算式に組み込んで前記計算を行った。
<実施例1に係る解析時の設定条件>
・過酸化水素ガスの導入対象:プレナム部1
・作業ブース部2内におけるターゲット濃度:400ppm
・HEPAフィルタから作業ブース部2へのダウンフロー風速:0.2m/s
・容器の容積:4.8m
・運転時間:10分
・第2連通部3bから排出される過酸化水素ガスの排出量(単位時間当たりの排出量E):C1×Qで算出
・循環風量Q:15m/h(設定風量値≒風量計実測値、プレナム部1への吹き出し風量)
・過酸化水素水供給量:3.37g/min
・気化器3eのヒータの温度:100℃
・HEPAフィルタの有効濾材面積:16m
<比較例1に係る解析時の設定条件>
・過酸化水素ガスの導入対象:プレナム部
・容器の容積:4.8m
・過酸化水素水供給量:3.37g/min
・循環風量Q:15m/h(設定風量値≒風量計実測値、プレナム部への吹き出し風量)
・HEPAフィルタの有効濾材面積:16m
作業ブース部2除染用の従来のシミュレーション(比較例1)は、シミュレーションにおいてHEPAフィルタへの過酸化水素ガスの吸着量を考慮しないで行った。そのため、図6に示すように、従来のシミュレーション(比較例1)は、作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度が速やかに上昇する計算結果となった。そして、比較例1に係る従来のシミュレーションによる計算結果は、作業ブース部2の中心に設けられたセンサS(図1参照)による過酸化水素ガスの濃度の計測値Aおよび作業ブース部2の下方の角部に設けられたセンサS(図1参照)による過酸化水素ガスの濃度の計測値Bのいずれからも乖離していることが確認された。なお、比較例1は、過酸化水素水の単位時間当たりの供給量(供給速度)を一定(実験では、供給速度は1分間隔で測定し、解析では、計測した全データの平均を供給速度としている)として計算している。そのため、比較例1は、滑らかな曲線になっている。
一方、本解析方法(実施例1)では、第1のガス濃度計算ステップS11(S21)と、吸着量計算ステップS12(S22)と、第2のガス濃度計算ステップS13(S23)と、を順に行って計算している。つまり、本解析方法(実施例1)では、HEPAフィルタへの過酸化水素ガスの吸着量CAを考慮している。そのため、本解析方法(実施例1)では、作業ブース部2内における過酸化水素ガスの濃度が緩やかに上昇する計算結果となった。なお、実施例1では、HEPAフィルタの過酸化水素ガスの吸着量が、瞬時に第1の濃度C1における吸着量になる(系内の濃度とHEPAフィルタとの間の化学平衡に達するのが速い(吸着速度が速く、ある濃度Cのときの吸着量に達するのが速い))という仮定の下で計算していた。そのため、実際に起きている現象とは離れ、本解析方法による計算結果と、計測値と、が合致しないことも考えられた。しかし、図6に示すように、実施例1に係る本解析方法による計算結果は、作業ブース部2の中心に設けられたセンサS(図1参照)による過酸化水素ガスの濃度の計測値Aおよび作業ブース部2の下方の角部に設けられたセンサS(図1参照)による過酸化水素ガスの濃度の計測値Bとほぼ一致していた。このことから、前記仮定は正しいことが裏付けられ、実施例1に係る本解析方法は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できることが確認された。なお、実施例1も、過酸化水素水の単位時間当たりの供給量(供給速度)を一定(実験では、供給速度は1分間隔で測定し、解析では、計測した全データの平均を供給速度としている)として計算している。そのため、実施例1も滑らかな曲線になっている。
そして、図7は、本発明に係る制御方法で過酸化水素ガスの濃度を制御した場合(実施例2)と、供給量を固定して過酸化水素ガスを供給した場合(比較例2)と、を比較したグラフである。図中、横軸は、経過時間[min]であり、縦軸は、過酸化水素ガスの濃度[ppm]である。
なお、実施例2および比較例2は、10分後の目標濃度が500ppmとなるように供給量を固定して供給した場合の計測値である。
図7に示すように、比較例2では、10分経過しても目標濃度である500ppmに達しなかった。また、比較例2では、過酸化水素ガスの濃度の上昇が所々滑らかでない曲線となり、スムーズに行われなかった。
これに対し、実施例2は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算し、過酸化水素水の供給量を推算値に合わせられるよう制御できるので、狙い通り、10分経過した時点での目標濃度が500ppmとなった。
以上、本発明の一実施形態に係る局所清浄化装置の解析方法、局所清浄化装置の除染方法および局所清浄化装置について詳細に説明したが本発明の主旨はこれに限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
例えば、前述したように、局所清浄化装置10、20におけるプレナム部1および作業ブース部2の容積は問わない(特に限定されない)。局所清浄化装置10、20の容積を大きくすると、図8に示すような除染対象室80になる。なお、図8は、本発明の他の実施形態を示す概略構成図である。このような除染対象室80としては、例えば、クリーンルームが挙げられる。そのため、局所清浄化装置10、20の容積を大きくして除染対象室80とした場合も当然に局所清浄化装置10、20と同一の構成を採用できる。
すなわち、図8に示すように、除染対象室80は、プレナム部1に相当するプレナム部81と、作業ブース部2に相当する作業部屋82と、過酸化水素ガス発生部3に相当する過酸化水素ガス発生部83と、を備えたものとすることができる。この場合において、除染対象室80は、過酸化水素ガス発生装置3Aに相当する過酸化水素ガス発生装置3Bを備えており、その内部に、解析部31に相当する解析部831、または、制御部41に相当する制御部841を備えている。このような構成を有する除染対象室80は、局所清浄化装置10、20と同様の作用・効果を奏することができる。
つまり、図8に示す除染対象室30は、局所清浄化装置10、20と同様、当該除染対象室80の備えるエアフィルタ11に吸着した量をも考慮に入れて作業部屋82内における過酸化水素ガスの濃度を計算できる。そのため、除染対象室80は、局所清浄化装置10、20と同様、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できる。また、これにより、除染対象室80は、局所清浄化装置20と同様、当該除染対象室80の内部、具体的には、作業部屋82内を除染できる。すなわち、当該他の実施形態に係る発明は、過酸化水素ガスの濃度を高い精度で推算できる除染対象室80の解析方法、除染対象室80の除染方法および除染対象室80を提供するという課題があるときに、これを解決することができる。
なお、除染対象室80は、吹出口12を有している。プレナム部81は、この吹出口12から温度、湿度、清浄度が調整された清浄空気を作業部屋82内に向けて吹き出す。また、除染対象室80は、排出口2aと吸気口2cとを有している。作業部屋82は、除染に使用された過酸化水素ガスをこの排出口2aから排出し、これに続く吸気口2cと、これに続く第2連通部3bと、を順に通って当該過酸化水素ガスを過酸化水素ガス発生部83に戻す。過酸化水素ガス発生部83に戻った過酸化水素ガスは、触媒3cおよび除湿剤3dを順に経て処理された後、過酸化水素ガス発生装置3Bに供給される。
なお、除染対象室80は、前記した構成要素以外にも、空調機84および排気装置85を備えている。空調機84は、空調機用エアフィルタ84aと吸気モータ84bとを内蔵しており、吸気モータ84bを駆動させて取り込んだ外気を空調機用エアフィルタ84aにより清浄空気とし、除染対象室80に給気する。空調機84と作業部屋82との間には、風量を一定に保つ定風量ダンパ84cが設けられている。空調機84は、生産作業などの作業中には運転が継続されて作業部屋82内を陽圧に保つが、除染中は運転が停止される。排気装置85は、生産作業などの作業中に作業部屋82内の空気を外部に排気する装置である。排気装置85としては、例えば、排気モータが挙げられる。作業部屋82と排気装置85との間には、図示しない差圧計で作業部屋82内外の差圧を検知し、これに基づいて室間差圧(作業部屋82と隣室間の差圧)を調整する差圧調整ダンパ85aが設けられている。なお、作業部屋82の空調機84などの給気系統と、排気装置85などの排気系統とには、それぞれ気密ダンパ84d、85bが設置されており、除染時にはこれらが閉止されて除染対象室80は気密される。
以上に述べた実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した各構成、機能、処理部、処理手段、制御手段等は、それらの一部または全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリ、ハードディスク、SSDなどの記録装置、または、ICカード、SDカード、DVDなどの記録媒体に置くことができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
10、20 局所清浄化装置
1 プレナム部
11 エアフィルタ
2 作業ブース部
3 過酸化水素ガス発生部
31 解析部
32 第1のガス濃度計算手段
33 吸着量計算手段
34 第2のガス濃度計算手段
41 制御部
35 発生量制御手段
S センサ
14 ファン
S11、S21 第1のガス濃度計算ステップ
S12、S22 吸着量計算ステップ
S13、S23 第2のガス濃度計算ステップ
S24 発生量制御ステップ

Claims (11)

  1. 空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするエアフィルタを有するプレナム部と、前記エアフィルタから前記清浄空気が供給されて局所的に清浄化される作業ブース部と、前記エアフィルタ、前記プレナム部および前記作業ブース部に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させて前記プレナム部に導入する過酸化水素ガス発生部と、を備える局所清浄化装置における前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの濃度を解析する解析方法であり、
    前記プレナム部および前記作業ブース部を一体とみなし、かつ前記エアフィルタを備えていないとした場合における前記過酸化水素ガスの第1の濃度を計算する第1のガス濃度計算ステップと、
    前記第1の濃度である場合における、前記エアフィルタに吸着する前記過酸化水素ガスの吸着量を計算する吸着量計算ステップと、
    前記第1の濃度から前記吸着量を差し引いて前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの第2の濃度を計算する第2のガス濃度計算ステップと、
    を有することを特徴とする局所清浄化装置の解析方法。
  2. 空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするエアフィルタを有するプレナム部と、前記エアフィルタから前記清浄空気が供給されて局所的に清浄化される作業ブース部と、前記エアフィルタ、前記プレナム部および前記作業ブース部に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させて前記プレナム部に導入する過酸化水素ガス発生部と、を備える局所清浄化装置における前記作業ブース部内を除染する除染方法であり、
    前記プレナム部および前記作業ブース部を一体とみなし、かつ前記エアフィルタを備えていないとした場合における前記過酸化水素ガスの第1の濃度を計算する第1のガス濃度計算ステップと、
    前記第1の濃度である場合における、前記エアフィルタに吸着する前記過酸化水素ガスの吸着量を計算する吸着量計算ステップと、
    前記第1の濃度から前記吸着量を差し引いて前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの第2の濃度を計算する第2のガス濃度計算ステップと、
    計測された過酸化水素ガスの濃度が前記第2の濃度に近付くように前記過酸化水素ガス発生部で発生させる過酸化水素ガスの発生量を制御する発生量制御ステップと、
    を有することを特徴とする局所清浄化装置の除染方法。
  3. 空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするエアフィルタを有するプレナム部と、
    前記エアフィルタから前記清浄空気が供給されて局所的に清浄化される作業ブース部と、
    前記エアフィルタ、前記プレナム部および前記作業ブース部に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させて前記プレナム部に導入する過酸化水素ガス発生部と、
    を備えるとともに、
    前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの濃度を解析する解析部を備え、
    前記解析部は、
    前記プレナム部および前記作業ブース部を一体とみなし、かつ前記エアフィルタを備えていないとした場合における前記過酸化水素ガスの第1の濃度を計算する第1のガス濃度計算手段と、
    前記第1の濃度である場合における、前記エアフィルタに吸着する前記過酸化水素ガスの吸着量を計算する吸着量計算手段と、
    前記第1の濃度から前記吸着量を差し引いて前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの第2の濃度を計算する第2のガス濃度計算手段と、
    を有することを特徴とする局所清浄化装置。
  4. 空気中のゴミや塵埃を取り除いて清浄空気にするエアフィルタを有するプレナム部と、
    前記エアフィルタから前記清浄空気が供給されて局所的に清浄化される作業ブース部と、
    前記エアフィルタ、前記プレナム部および前記作業ブース部に結露が生じない濃度の過酸化水素ガスを発生させて前記プレナム部に導入する過酸化水素ガス発生部と、
    を備えるとともに、
    前記過酸化水素ガス発生部で発生させる前記過酸化水素ガスの発生量を調節して前記作業ブース部内における前記過酸化水素ガスの濃度を制御する制御部を備え、
    前記制御部は、
    前記プレナム部および前記作業ブース部を一体とみなし、かつ前記エアフィルタを備えていないとした場合における前記過酸化水素ガスの第1の濃度を計算する第1のガス濃度計算手段と、
    前記第1の濃度である場合における、前記エアフィルタに吸着する前記過酸化水素ガスの吸着量を計算する吸着量計算手段と、
    前記第1の濃度から前記吸着量を差し引いて前記作業ブース部内の前記過酸化水素ガスの第2の濃度を計算する第2のガス濃度計算手段と、
    計測された過酸化水素ガスの濃度が前記第2の濃度に近付くように前記過酸化水素ガス発生部で発生させる過酸化水素ガスの発生量を制御する発生量制御手段と、
    を有することを特徴とする局所清浄化装置。
  5. 請求項3または4において、
    前記プレナム部から前記エアフィルタを介して前記作業ブース部内への前記過酸化水素ガスを含む清浄空気の吹き出し速度が0.2m/s以下であることを特徴とする局所清浄化装置。
  6. 請求項3または4において、
    前記プレナム部の内部および前記作業ブース部の内部における少なくとも2箇所の前記過酸化水素ガスの濃度を計測するセンサを備えていることを特徴とする局所清浄化装置。
  7. 請求項6において、
    前記センサが、過酸化水素ガス濃度計であることを特徴とする局所清浄化装置。
  8. 請求項3または4において、
    前記プレナム部が内部の気体を攪拌するファンを備えていることを特徴とする局所清浄化装置。
  9. 請求項6において、
    前記センサが前記プレナム部の内部の少なくとも2箇所に備えられており、これらのセンサで計測される前記過酸化水素ガスの濃度が均一になったと判断されたら、前記プレナム部から前記エアフィルタを介して前記過酸化水素ガスを前記作業ブース部内に導入することを特徴とする局所清浄化装置。
  10. 請求項9において、
    前記均一になったとの判断は、前記少なくとも2箇所の前記過酸化水素ガスの濃度を計測するセンサが過酸化水素ガス濃度計である場合、それぞれの箇所で計測される前記過酸化水素ガスの濃度差が20ppm以下であるときに行うことを特徴とする局所清浄化装置。
  11. 請求項3または4において、
    前記エアフィルタがHEPAフィルタまたはULPAフィルタであることを特徴とする局所清浄化装置。
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