JP4859886B2 - 箱型荷台の後部ドアのスライド装置における後部ドア姿勢安定機構 - Google Patents

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Description

本発明は、トラック等の車両に架装される箱型荷台において、貨物の積み降ろしのために後部に設けられる後部ドアを、開放時に箱型荷台の側面にスライドさせて収納する後部ドアのスライド装置に関するものである。
貨物輸送用の車両であるトラックの荷台には、上方が開放された無蓋の荷台、屋根を備え周囲が密閉された6面体の箱型荷台等がある。近年では、風雨等による貨物の損傷を防止でき、梱包を簡易化できるとともに荷くずれ防止も容易な箱型荷台、つまりバンボディが広く普及している。このような箱型荷台では、通常、荷台後部に観音開き式の後部ドアが設けられ、後部ドアを開放して貨物の積み降ろしを行う。観音開き式の後部ドアは、跳ね上げ式の屋根を備え荷台の側面から貨物の積み降ろしができるウイングボディと呼ばれる荷台にも設けられている。
後部ドアは、荷台後部に設置された後部フレームに嵌め込まれて取り付けられており、後部ドアを閉鎖するには、後部ドアに装着したロックロッドを後部フレームの上下の梁に固着された受具(カムキーパー)に固定する。後部ドアを開放して貨物の積み降ろしを行うときは、ロックロッドを上下のカムキーパーから外し、後部ドアを270°回動して後部ドアを荷台の側面に平行に近接させた状態で、係止具によって後部ドアを保持する。したがって、後部ドアを開放するときには、270°回動させるためのスペースが必要であるが、積み降ろしの場所によってはそのスペースがない場合がある。例えば、貨物積み降ろし用のプラットフォームが設置された配送センターや貨物ターミナルにおいて、多数のトラックがプラットフォームに後部を接する形で並列して駐車し、相互の間隔が狭いときは、隣接するトラックが障害となって後部ドアを270°回動させることはできない。また、後部ドアの開閉時にドアが車両の横方向の外側に大きく張り出すことは、一般道路においては他の車両等の通行の妨げともなる。
こうした問題に対処するため、開放時に、後部ドアを90°回動し箱型荷台の側面と平行にした状態で、後部ドアを荷台の側面に沿って前方にスライドさせ、箱型荷台の側面に収納するスライド装置がある。このような後部ドアのスライド装置を備えた箱型荷台は、一例として、本出願人の出願に係る特開平9−112121号公報に開示されており、また、ウイングボディに後部ドアのスライド装置を装備した例が実用新案登録第2517989号公報に開示されている。図11、図12には、特開平9−112121号公報に開示された後部ドアのスライド装置を備えた箱型荷台を示す。
図11(a)に示すように、車両に架装された箱型荷台101の後部には、両側の支柱と上下の梁からなる4辺形の後部フレーム102が設置され、後部フレーム102には、2枚の後部ドア103が後部フレーム102に嵌め込まれる形で設けてある。各後部ドア103の車両中央側の端部には、ドアを閉鎖するロックロッド104が取り付けられ、ドアの閉鎖時に、ロックロッド104の上下に固着したカム体が、後部フレーム102の上下の梁にそれぞれ固着されたカムキーパー105に固定される。
後部ドア103は観音開き式に開閉するドアであり、さらに、開放時に、ドアを90°回動し箱型荷台の側面と平行にした状態で、荷台の側面に沿って前方にスライドさせるように構成される。そのため、後部ドア3の上部と下部には、上方ヒンジ106と下方ヒンジ107がスライド可能に取り付けられるとともに、側面パネル108の上部とその下方には、これらのヒンジに設置したローラが嵌め込まれる上方レール106Aと下方レール107Aとが設けられている。上方ヒンジ106と下方ヒンジ107の中間には、閉鎖した状態において後部ドア103を後部フレーム102に係合する中間ヒンジ109が取り付けられる。
上方ヒンジ106と下方ヒンジ107とは、機構的には同等のものであって、下方ヒンジ107について説明すると、これは、図12に示されるとおり、ヒンジピン挿入部が形成されたドア側ヒンジ片107Bと、同じくヒンジピン挿入部が形成された側面側ヒンジ片107Cとを備え、両方のヒンジピン挿入部にヒンジピン107Dを挿入して組み立てられる。側面側ヒンジ片107Cの裏面には、2個のローラ107Eが取り付けてあり、これらのローラ107Eは下方レール107Aに嵌め込まれる。上方ヒンジ106では、図11(a)のA−A断面である図11(b)に示されるとおり、側面側ヒンジ片106Cの裏面のローラ106Eが、側面パネル108の上部の外側に取り付けた上方レール106Aに嵌め込まれている。
後部ドア3を開放するときは、ロックロッド104を外した後、ドアを90°回動し箱型荷台の側面と平行にすると、後部ドア103に固着された下方ヒンジ107のドア側ヒンジ片ドア側ヒンジ片107Bも90°回動する(このときの下方ヒンジ107の状態を図12(b)の2点鎖線で表す)。この状態では、中間ヒンジ109と後部フレーム102との係合が外れ、後部ドア103を前方に押すと、上方ヒンジ106の側面側ヒンジ片106Cのローラ106Eが上方レール106Aに、また、下方ヒンジ107のローラ107Eが下方レール107Aに案内されて、後部ドア103は、荷台の側面に沿って前方にスライドし側面に収納される。
特開平9−112121号公報 実用新案登録第2517989号公報
後部ドアを荷台の側面に収納するスライド装置を備えた箱型荷台では、上方ヒンジ及び下方ヒンジをスライドさせるため、上方レールと下方レールとを箱型荷台の側面に設置する必要がある。このとき、下方レールは、図11(a)に示すとおり、箱型荷台の下方の、一定距離離れた位置に設置して、下方レールが箱型荷台の側面パネルよりも横方向の外側に張り出さないようにすることが可能である。しかし、上方レールは、側面パネルに設置せざるを得ないため、図11(b)に示すように、後部ドアを閉鎖して車両が走行するときでも側面パネルよりも横方向の外側にDの寸法だけ張り出すこととなる。一般道路を走行する車両は、その大きさが過大であると交通の安全性を損なうため、関係法令等によって走行の際の高さや横幅等が制限されており、上方レールの張り出し量を含めた横幅を制限内に収めなければならない。
一方、箱型荷台の荷室は、積載する貨物量を増大するため横方向の内法寸法がなるべく大きいことが望ましい。そのため、後部ドアのスライド装置を備えていない、いわば通常の箱型荷台では、箱型荷台の側面パネルの位置は、一般的には法令上の最大横幅寸法に合わせた位置に設定される。これに対し、後部ドアのスライド装置を備えた箱型荷台においては、上方レールの突き出し量の分だけ側面パネルの位置が内側寄りとなる結果、荷室の横方向の内法寸法が減少して積載可能な貨物量も少なくなる。さらに、後部ドアのスライド装置を備えた箱型荷台は、これを備えていない箱型荷台とは寸法が異なることになるため、部材の共通化が困難であり、例えば、ウイングボディに後部ドアのスライド装置を装備する場合には、跳ね上げ式の屋根を構成するウイングとして、通常のウイングボディのものを採用することができない。
そして、後部ドアのスライド装置において、後部ドアを開閉する操作あるいはスライドして収納する操作を円滑に行うには、後部ドアがふらついて揺動することのないように、90°回動する際には安定した回転軸の回りに回転させるとともに、スライドの際には、後部ドアを安定した姿勢で移動させる必要がある。後部ドアを開放して箱型荷台の側面に収納したときでも、後部ドアを安定した姿勢で保持することが必要であって、収納時に後部ドアが箱型荷台に対して容易に移動を起こすときは、例えば貨物ターミナルの構内において、貨物の積み降ろしのために後部ドアを箱型荷台の側面に収納したまま車両を低速で移動する場合に、車両の振動に起因して後部ドアが箱型荷台に対して相対的に揺動し、下方ヒンジ等に過大な荷重が作用する。
本発明の課題は、後部ドアを荷台の側面に収納するスライド装置を備えた箱形荷台において、後部ドアを閉鎖した場合に、スライド装置の構成部品が横方向の外側に張り出すことを防止し、しかも、開閉の際に後部ドアを安定した姿勢に維持するようにして、上述の問題を解決することにある。
上記の課題に鑑み、本発明は、観音開き式の後部ドアを開放時に側面に収納するスライド装置を装備する箱型荷台において、後部ドアの荷室側の上部にドアレールを取り付けるとともに、後部ドアのスライド時にドアレールが嵌め込まれるガイド部材を後部フレームに装着し、後部ドアを閉鎖したときには、このガイド部材を車両の横方向内側に変位して外側への突き出しを防止し、かつ、後部ドアに上方ヒンジ及び下方ヒンジを設けて上方ヒンジには転動ローラを取り付け、スライド時において転動ローラが箱型荷台の側面パネルに当接することにより、後部ドアを安定した姿勢に保持するように構成したものである。すなわち、本発明は、
「観音開き式に開閉される後部ドアと、前記後部ドアを取り付ける後部フレームとを備え、車両に架装される箱型荷台であって、
前記後部ドアの上部及び下部には、上方ヒンジ及び下方ヒンジがそれぞれ固定されるとともに、前記箱型荷台の下方には下方レールが車両前後方向に延びるように設置され、前記後部ドアの開放時に、前記下方ヒンジが前記下方レールに沿ってスライドして、前記後部ドアが前記箱型荷台の側面に収納されるよう構成されており、
前記後部ドアの荷室側の上部には、水平方向に延びるドアレールが固定され、かつ、前記後部フレームの上部には、前記後部ドアがスライドするときに前記ドアレールが嵌め込まれるガイド部材が装着され、
前記ガイド部材が、前記後部フレームの車両側面側に固定されたガイド部材用ヒンジピンに枢着され、車両の横方向外側に変位するようばね部材によって付勢されるとともに、前記後部ドアを閉鎖したときに、前記後部ドアと連動して前記ガイド部材を車両の横方向内側に変位する押し込み装置が設けられており、
前記上方ヒンジが、前記後部ドアに固着されたドア側ヒンジ片と、連結ヒンジピンにより前記ドア側ヒンジ片に連結されるピン側ヒンジ片とを備え、かつ、前記ドア側ヒンジ片と前記ピン側ヒンジ片とは、相互の間の角度が大きくなるようヒンジ用ばねによって付勢され、
前記ピン側ヒンジ片の先端には、転動ローラが取り付けられた上方ヒンジピンが固定されるとともに、前記後部フレームには、前記後部ドアの閉鎖時に前記上方ヒンジピンを収容する上方ヒンジピン受けが固着されており、
前記転動ローラが、前記後部ドアの開放時に前記箱型荷台の側面パネルに当接しながらスライドする」
ことを特徴とする箱型荷台となっている。
請求項2に記載のように、前記上方ヒンジには、前記ドア側ヒンジ片と前記ピン側ヒンジ片との間の角度が所定値以下となることを阻止するストッパを設けることが好ましい。
請求項3に記載のように、前記後部フレームの下部には、前記後部ドアがスライドするときに前記後部ドアに当接する下方ローラを設置することが好ましい。この場合には、請求項4に記載のように、前記下方ローラを、前記後部フレームの車両側面側に固定された支持軸に枢着し、車両の横方向外側に変位するよう下方ローラ用ばねによって付勢するとともに、前記後部ドアを閉鎖したときは、前記後部ドアと連動して車両の横方向内側に変位するように構成することができる。また、請求項5に記載のように、前記後部ドアの荷室側の下部における、前記後部ドアがスライドするときに前記下方ローラが当接する位置には、水平方向に延びる下方ドアレールを固定することが好ましい。
観音開き式に開閉する後部ドアを、開放時に90°回動した状態で前方にスライドさせ側面に収納する箱型荷台では、後部ドアの下部に固定される下方ヒンジが、後部ドアの重量を支持しながら箱型荷台の下方に設置された下方レールに沿ってスライドする。本発明においては、後部ドアに下方ヒンジとともに上方ヒンジが設けてあり、後部ドアの開放及び閉鎖の際に90°回動するときには、上下2個所のヒンジピンを中心に回動して後部ドアの上部の回転中心が定位置に保持される。そのため、開放及び閉鎖の作動が安定し円滑な操作が可能となり、また、90°回動したときの後部ドアを安定した状態に維持することができる。
本発明の後部ドアのスライド装置は、基本的な構成として、後部ドアに取り付けたドアレールと後部フレームに設けたガイド部材とを備えるものである。つまり、後部ドアの荷室側の上部には、水平方向に延びるドアレールが固定され、かつ、後部ドアが取り付けられる箱型荷台の後部フレームの上部には、ガイド部材が装着されている。後部ドアがスライドするときには、ドアレールがガイド部材に嵌め込まれ、後部ドアは、その下部が下方ヒンジを介して下方レールに案内されるとともに、その上部がドアレールに係合するガイド部材に案内された状態でスライドする。したがって、後部ドアをスライドするときにおいても、適正な姿勢に保持しながら円滑にスライドすることができる。
ガイド部材は、後部フレームの車両側面側に固定されたガイド部材用ヒンジピンに枢着され、車両の横方向外側に変位するようばねによって付勢されており、さらに、後部ドアと連動してガイド部材を車両の横方向内側に変位する押し込み装置が設けられ、後部ドアを閉鎖したときは、押し込み装置がガイド部材を車両の横方向内側に変位するように構成されている。車両が一般道路を走行するときは、後部ドアが閉鎖され、ロックロッドで閉鎖位置に固定されるので、ガイド部材は、押し込み装置により車両の横方向内側に変位することとなる。
このように、本発明のガイド部材は、車両が停車し貨物の積み降ろしの目的で後部ドアを開放した際のみに、横方向外側に変位するものであるため、ガイド部材の存在により荷室の横方向の内法寸法が制約されることはない。ドアレールも、後部ドアの荷室側に設けられるので、やはり荷室の横方向の内法寸法を減少させるものではない。本発明の後部ドアのスライド装置を備えた箱型荷台においては、法令上等で許容される最大横幅寸法と一致するよう箱型荷台の側面パネルの位置を設定することが可能であって、その結果、スライド装置のない箱型荷台との部材の共通化も容易となる。また、ガイド部材は、後部フレームの車両側面側のガイド部材用ヒンジピンに枢着され、車両の横方向外側にばね部材によって付勢されるものであるので、構造が簡易なものであり、その製造及び装着作業も容易である。
さらに、本発明の後部ドアのスライド装置では、上方ヒンジは、後部ドアに固着されたドア側ヒンジ片と連結ヒンジピンによりドア側ヒンジ片に連結されるピン側ヒンジ片とを備え、両方のヒンジ片が相互の間の角度が大きくなるようヒンジ用ばねによって付勢されており、かつ、ピン側ヒンジ片の先端には、転動ローラが取り付けられた後部ドア回動用の上方ヒンジピンが固定され、この転動ローラが、後部ドアの開放時に箱型荷台の側面パネルに当接しながらスライドするよう構成されている。これによって、後部ドアを90°回動するときには、後部ドアは、その上部が上方ヒンジピン受けに収容された上方ヒンジピンを中心に、その下部が下方ヒンジのヒンジピンを中心に回転し、開放及び閉鎖の作動が安定し円滑な操作が可能となる。また、後部ドアをスライドする過程においても、次に述べるように、後部ドアの上部が車両横方向に揺動する事態を防止して、後部ドアを安定した姿勢でスライドすることができる。
後部ドアをスライドするときには、上方ヒンジピンに取り付けられた転動ローラが箱型荷台の側面パネルに当接する。転動ローラは、ピン側ヒンジ片の先端部に置かれ、ピン側ヒンジ片とドア側ヒンジ片との間にはヒンジ用ばねが設けられているため、転動ローラが側面パネルに当接すると、ヒンジ用ばねが押圧されて両方のヒンジ片のなす角度が減少し、上方ヒンジが車両横方向外側に向けて常時押されることとなる。したがって、スライド時にガイド部材で案内される後部ドアの上部が、車両横方向に揺動することはなく、後部ドアを安定した姿勢でスライドすることができる。後部ドアをスライド後に箱型荷台の側面に収納した状態においても、転動ローラにより、上方ヒンジには車両横方向外側に向けた力が作用し、後部ドアを安定して保持することが可能となる。
請求項2の発明は、ドア側ヒンジ片とピン側ヒンジ片との間にヒンジ用ばねを設置するとともに、両方のヒンジ片のなす角度が所定値以下となることを阻止するストッパを設けるものである。これにより、後部ドアをスライドするときに、後部ドアの上方ヒンジの車両横方向が規制され、後部ドアをより一層安定した姿勢に保つことができる。
請求項3の発明は、後部フレームの下部に、後部ドアがスライドするときにこれに当接する下方ローラを設置するものである。このような下方ローラを設けると、後部ドアがスライドする際に、後部ドアの上部が転動ローラにより車両横方向の外側に押され、かつ、後部ドアの下部が下方ローラに当接して反作用を受け、車両横方向の外側に押されることとなる。このため、後部ドアのスライド時における横方向への揺動が確実に防止される。後部ドアを箱型荷台の側面に収納したときには、転動ローラが位置する後部ドアの上部と対角をなす後部ドア下部が、車両横方向にいわば突っ張った状態となり、後部ドアを車両の側面に収納した状態で車両を低速で走行させる際にも、後部ドアが箱型荷台に対してがたつきを起こし、下方ヒンジ等が損傷するような事態が防止される。
請求項4の発明は、後部フレームの下部に設けた下方ローラを、後部フレーム上部のガイド部材と同様に、後部ドアを閉鎖したときは、後部ドアと連動して車両の横方向内側に変位するように構成したものである。これにより、下方ローラが比較的寸法の大きなものであっても、車両走行中の箱型荷台の横幅寸法が増大するのを回避できる。また、請求項5の発明のように、後部ドアの荷室側の下部に、スライド時に下方ローラが当接する下方ドアレールを固定したときは、下方ローラが接触する後部ドアの荷室側の表面が保護されるとともに、ドアレールの高さを大きく設定すると、寸法の小さな下方ローラを使用することが可能となる。
以下、図面に基づいて、後部ドアのスライド装置を装備した本発明の箱型荷台について説明する。ここでは、まず、本発明の後部ドアのスライド装置における基本的な構成となる、後部ドアに取り付けたドアレールと後部フレームに設けたガイド部材等からなる後部ドア上部案内機構について述べる。
図1は、本発明を実施した箱型荷台の斜視図であり、図1(a)は、車両の左側後部ドアを閉鎖した状態で車両の斜め後方から見た図、図1(b)は、開放時に左側後部ドアを90°回動した状態で斜め前方から見た図となっている。なお、これらの斜視図は、分かり易いようにロックロッド等を省略して示すものであり、右側後部ドアが対称的な同一構造物となっていることは言うまでもない。図2は、図1(b)の状態におけるA部の拡大斜視図、図3は、90°回動した後部ドアの荷室側(裏面)の上部を、図1(b)と反対方向から見た斜視図である。図4(a)(b)には、それぞれ図1(a)の状態におけるA部の側面図と後面図とを示し、図5(a)(b)には、それぞれ図1(b)の状態におけるA部の側面図と後面図とを示す。また、図6は、後部ドアを前方端までスライドして収納した状態を斜視図で示すもので、図6(a)は、車両の斜め前方から見た図、図6(b)は、図6(a)の後部ドア上部を矢印R方向から見た拡大斜視図である。
図1等に示す実施例の箱型荷台は、ウイングボディであり、片側の側面パネル1と屋根パネル2とが一体となって跳ね上げ式に開閉するウイングを備え、かつ、側面パネル1の下方には、蝶番により下方に開放可能に支持された煽り板3を備えている。この実施例の箱型荷台では、側面パネル1が法令上の最大横幅寸法と合わせた位置に設けてある。箱型荷台に装備される後部ドア4は、図1(a)に示すとおり、車両の走行時には後部フレーム5に嵌め込まれる形で閉鎖される。
後部ドア4の下部には下方ヒンジ6が固着されるとともに、箱型荷台の下方には下方レール7が設けられており、貨物の積み降ろしの際には、図1(b)に示すように後部ドア4を90°回動した後、下方ヒンジ6を下方レール7に沿ってスライドさせ、後部ドア4を箱型荷台の後部側面に収納する。下方レール7は、下方ヒンジ6が側面パネル1よりも外側に張り出さないよう、箱型荷台の下方において所定の距離だけ横方向内側に設置されている。下方ヒンジ6は、大略、図12に示すものと同様な構成を有しているが、スライド時の後部ドア4の重量及びモーメントを支えるよう、下方ヒンジ6の側面側ヒンジ片6aの前後端部にローラを2個ずつ設け、これらのローラにより下方レール7を上下から挟み込む構造となっている。
後部ドア4の上部には上方ヒンジ8が固着され、中間部には2個の中間ヒンジ9が固着されている。ただし、上方ヒンジ8には、下方ヒンジ6のヒンジピンと同一垂直線上に配置された上方ヒンジピンが固定され、上方ヒンジピンは、後部ドア4の開閉にあたり90°回動する際の回転中心となるのに対し、中間ヒンジ9は、後部ドア4が閉鎖された図1(a)に示す状態において、後部フレーム5に固定された中間ヒンジ受けと係合し、後部ドア4の中間部を後部フレーム5に結合するものである。なお、上方ヒンジ8の詳細な構成については、図8等を参照しながら後述する。
本発明のスライド装置では、後部ドア4の荷室側の上部には水平方向に延びるドアレール10が固定される(図3、図4(b)及び図5(a)参照)とともに、後部フレーム5の上部には、上方ヒンジ8が設けられる位置の下方に、ドアレール10の嵌め込まれるガイド部材11が装着される。ガイド部材11は、図2、図4等に示すように(後述の図7も参照)、後部フレーム5に固定された水平方向のガイド部材用ヒンジピン12に枢着されており、ばね部材13により車両の横方向外側に変位するよう付勢されている。この実施例のガイド部材11には、ガイド部材用ヒンジピン12を越えて延びる延長部14が設けてあり、ばね部材13によりガイド部材11が車両の横方向外側に変位したときに、延長部14の端部の端部ストッパ14aが後部フレーム5に固定された基台部分に当接する。そのため、図1(b)の状態にある後部ドア4が車両の前方にスライドするときには、ガイド部材11は略垂直な起立状態に保持される(図2及び図5(b)参照)。
後部ドア4には、図1(a)のように後部ドア4を閉鎖したときに、ガイド部材11を押圧し車両の横方向内側に変位する押え部材15が固定される。押え部材15は屈曲部15aを有し、後部ドア4が閉鎖されると、図4(b)に示すとおり、屈曲部15aがガイド部材11に当接してこれをガイド部材用ヒンジピン12の回りに回動し、車両の横方向内側に変位する。これによって、後部ドア4を閉鎖したときには、ガイド部材11を側面パネル1よりも横方向に張り出さない位置に移動させることができる。
図3に示すように、後部ドア4の荷室側上部に取り付けたドアレール10の後方端部、つまり、後部ドア4をスライドして収納する時点でドアレール10がガイド部材11に接触する端部には、ドアレール10を覆うようにドアレール補強部材16が固着され、その下方には、弾性材からなる円柱形のバンパ17が固着されている。一方、図5(b)等に示すように(後述の図7も参照)、ガイド部材11には、断面において略水平方向に僅かに延びる段差部11aが形成されており、段差部11aの上方には、ドアレール10が摺接する頂部部分に合成樹脂製の摺動材11b(図7等)が固定され、さらに、ローラ部材18が取り付けられている。後部ドア4を前方端部までスライドしたときは、図6の斜視図に示すとおり、ドアレール補強部材16がローラ部材18に乗り上げるとともに、バンパ17が段差部11aの下方に位置するようになる。
ここで、本発明のスライド装置における、ドアレール10及びガイド部材11を中心とする後部ドア上部案内機構の作動について説明する。
車両の走行時おいては、ウイングが閉鎖されて側面パネル1が垂直となり、また、箱型荷台に装備される後部ドア4も閉鎖されて図1(a)に示す状態となる。この状態では、ドアレール10が後部ドア4の上部に取り付けられて荷室内に存在するので、荷室の横方向の内法寸法は、ドアレール10の存在により制限されることはない。そして、ガイド部材11は、押え部材15の屈曲部15aに当接して車両の横方向内側に変位し、側面パネル1よりも横方向に張り出さない位置に移動する(図4(b)参照)ので、ガイド部材11の存在によって側面パネル1の車両横方向の位置が制約を受けることはない。このように、本発明の後部ドアのスライド装置では、荷室の横方向の内法寸法を極力大きくすることができると同時に、スライド装置のない箱型荷台との部材の共通化も容易であって、例えば共通の寸法のウイングを用いることができる。
車両を停車させて後部ドアから貨物の積み降ろしを行うときは、図示しないロックロッドをカムキーパーから外した後、後部ドア4を90°回動して図1(b)の状態とする。このとき、後部ドア4は、下方ヒンジ6及び上方ヒンジ8のヒンジピンを中心として回転し、中間ヒンジ9が中間ヒンジ受けから離れるとともに、押え部材15の屈曲部15aもガイド部材11から離れる。ガイド部材11は、ばね部材13に押されて車両の横方向に張り出すように変位し、延長部14のストッパ14aが基台に当接して起立状態に保持される(図5(b)参照)。ガイド部材11の起立状態では、その上端部がドアレール10と横方向で一致した位置にあり、図1(b)の状態の後部ドア4を車両の前方に僅かにスライドすると、ドアレール10はガイド部材11に嵌め込まれる。その後は、ドアレール10がガイド部材11の摺動材11bと摺接しながら、後部ドア4は前方へのスライドを続ける。このときは、後部ドア4の下方が下方ヒンジ6を介して下方レール7により案内され、かつ、後部ドア4の上部がドアレール10を介してガイド部材11により案内されるため、後部ドア4を安定した姿勢でスライドすることが可能となる。
後部ドア4が前方端までスライドして収納状態となったときは、図6(a)に示すように、後部ドア4の後方端部(スライドする状態での)が後部フレーム5と一致する位置に達する。この位置では、図6(b)の拡大斜視図に示すとおり、ドアレール補強部材16がガイド部材11の上部に取り付けたローラ部材18に乗り上げるとともに、バンパ17がガイド部材11の段差部11aの下方に位置するようになる。なお、後部ドア4が前方端までスライドしたときは、下方ヒンジ6と下方レール7とに設けた図示しないストッパ同士が当接してそれ以上のスライドを阻止し、さらに、図示しないロック装置が作動して後部ドア4が収納状態に保持される。
後部ドア4の収納状態においては、後部ドアの重量が後部ドア4の前方端部の下方ヒンジ6によって支持されており、車両側面にある後部ドア4には、その後部を下側に向けるようなモーメント(図6(a)のM1)が作用する。この実施例においては、後部ドア4の収納時に、ドアレール補強部材16がガイド部材11の上部のローラ部材18に乗り上げるよう構成されている。そのため、後部ドア4の重量がガイド部材11にも作用し、下方ヒンジ6に作用する荷重が軽減されると同時に、そのモーメントが打ち消され、後部ドア4を安定した状態で収納することができる。例えば貨物ターミナルの構内等において、後部ドア4を側面に収納したまま車両を低速で走行させるような場合でも、後部ドア4が傾斜して下方ヒンジ6に過大な荷重が作用することがない。
また、後部ドア4が前方にスライドして前方端まで達した際には、下方ヒンジ6と下方レール7とに設けたストッパ同士が衝突するため、後部ドア4には、その上部を車両の前方に傾ける衝撃的なモーメント(図6(a)のM2)が発生する。このときは、後部ドア4の後方が上方に移動するので、後部ドア4に固着された弾性材のダンパ17が、ガイド部材11の段差部11aに当接してそれ以上の移動を阻止し、下方ヒンジ7に過大なモーメント荷重が作用するのを防止する。
貨物の積み降ろしの完了後後部ドア4を再び閉鎖するときは、図6(a)に示す収納状態にある後部ドア4のロック装置を解除し、後部ドア4を後方にスライドして図1(b)に示す状態とする。ここで90°逆方向に回動すると、後部ドア4は、上方ヒンジ8及び下方ヒンジ6のヒンジピンを中心に回転して図1(a)に示す状態となり、ガイド部材11は、車両の走行に支障のないよう、押え部材15の屈曲部15aに押されて側面パネル1よりも車両の横方向内側に移動する。
本発明のガイド部材11を、後部ドア4と連動して車両横方向の内側に変位させる押し込み装置について、その変形例を図7に示す。ただし、この変形例のガイド部材11の構造は、ガイド部材用ヒンジピン12の上方においては前述のガイド部材と全く同一であって、ばね部材13で車両の横方向外側に押圧されるとともに、段差部11aが形成され、その上にはローラ部材18が取り付けられている。ガイド部材用ヒンジピン12の下方に延びる延長部14が設けられている点も共通であるけれども、この変形例の延長部14は、先端部分が2つに分割されており、その一方が基台と当接するストッパ14aを構成する。そして、分割された他方の部分は、図7(c)に示すとおり、後部フレーム5に設けられた開口5aを通過して後部フレーム5の内部に入り込み、その先端には当接部14bが形成されている。後部ドアのスライド時には、ガイド部材11は図7(b)に示す起立状態にある。
後部フレーム5の内部には、先端部分に形成された当接部14bと接触するカム部材19が設置され、カム部材19は、後部フレーム5の内部を上下方向に延びるトルクロッド20にアームを介して固定されている。トルクロッド20の下方部分には、図示は省略するが同様なカム部材が設けてあり、これは、後部ドアの閉鎖に伴いトルクロッド20を回転させるようになっている。これにより、後部ドアが閉鎖するとカム部材19が図7(c)の矢印方向に移動してガイド部材11の延長部14を押し、ガイド部材11は、車両の横方向内側に変位する。
なお、この変形例及び上記実施例のガイド部材11は、ガイド部材用ヒンジピン12を越えて延びる延長部14を設けるものであるが、本発明のガイド部材として延長部を備えていないものを使用することもできる。この場合は、例えばガイド部材用ヒンジピン部分に回転を規制するストッパを設け、押し込み装置として、上記実施例と同様な後部ドアに固定した押え部材を設ければよい。また、ガイド部材を付勢するばね部材13として、上記実施例では圧縮式コイルばねを用いているが、ガイド部材用ヒンジピンを取り巻くねじり式コイルばねを採用し、ガイド部材を車両横方向外側に付勢してもよい。
次いで、本発明の後部ドア姿勢安定機構を構成する、上記実施例における上方ヒンジ8の構造等について、図8をも参照しながら詳述する。図8(a)は、図5(a)のA−A断面矢視図を示すものであり、図8(b)は上方ヒンジ8の単品図、図8(c)は、後部ドアのスライド時における上方ヒンジ8の平面図、また、図8(d)は、後部ドアの収納状態における上方ヒンジ8の斜視図、すなわち、図6(a)のY部の拡大斜視図である。
上方ヒンジ8の単品図である図8(b)に示されるとおり、上方ヒンジ8は、後部ドア回動用の上方ヒンジピン8aが固定されたピン側ヒンジ片8bと、後部ドア4に固定されたドア側ヒンジ片8cとを備えている。両方のヒンジ片8b、8cは、それらの間の角度が可変となるよう、連結ヒンジピン8dで結合されるとともに、連結ヒンジピン8dを取り巻くヒンジ用ばね(ねじり式コイルばね)8eによって両方のヒンジ片間の角度が大となるよう付勢されており、上方ヒンジ8に力が作用しない自由状態では、図8(b)に示されるように、両方のヒンジ片8b、8cの端部が当接してその間の角度が90°となる。ピン側ヒンジ片8bにはストッパ8fが設けてあり、これは、ドア側ヒンジ片8bとの間の角度が所定値となったときにドア側ヒンジ片8cの凸部に当って、それ以上の角度の減少を阻止する。
上方ヒンジピン8aの上部と下部には、断面円形のピン軸8g、8hがそれぞれ形成され、上部のピン軸8gの上方には、ゴム等の弾性材からなる転動ローラ21が取り付けられている。一方、後部フレーム5には、図4、図5等に示されるように、上方ヒンジピン8aのピン軸8g、8hを収容する2個の上方ヒンジピン受け22が、対応する上下方向の位置にそれぞれ固着される。これらの上方ヒンジピン受け22は、断面がU字形に曲げられた鋼鈑を後部フレーム5に溶接したものであり、車両前方に延びる延長ガイド部22aを有している。上方ヒンジピン受け22のU字形部に上方ヒンジピン8aが収容されたときは、図4(b)に示されるとおり、上方ヒンジ8は、転動ローラ21を含めて側面パネル1よりも車両横方向の内側に納まるように、また、上方ヒンジピン8aが下方ヒンジ6のヒンジピンと同一垂直線上に存在するように取り付けられる。
ウイングの側面パネル1には、転動ローラ21に対応する高さ位置に細長い補強用の走行板23がねじ止めされる。走行板23は厚さの薄いものであって、側面パネル1から車両横方向に実質的に張り出すようなものではなく、また、後部ドア4をスライドしたときに転動ローラ21が移動する範囲に亘って前後方向に延びている。そして、図8(a)に示されるように(図5等も参照)、後部ドア4を90°回動した状態における上方ヒンジ8の前方には、スライドストッパ24が設置される。スライドストッパ24は、先端に棒材24aを溶接した板材を、ねじり式コイルばね24bにより車両横方向外側に付勢して後部フレーム5に取り付けたものであり、ウイングの閉鎖時には、側面パネル1に棒材24aが押されて図の実線の状態となるが、ウイングが開放したときは、ねじり式コイルばね24bで外側に突出して図の2点鎖線の状態となり、上方ヒンジ8及び後部ドア4の前方へのスライドが阻まれることとなる。
上記の構成を備えた上方ヒンジ8の作動等について説明する。
後部ドア4を閉鎖した状態から90°回動した状態までの範囲では、図4、図5等に示すように、上方ヒンジ8の上方ヒンジピン8aが上方ヒンジピン受け22の後端のU字形部に収容されており、後部ドア4は、下方ヒンジ6のヒンジピン及び上方ヒンジ8の上方ヒンジピン8aを中心として回転する。したがって、回動の際に、後部ドア4の上部がふらつくことがなく、後部ドア4を安定した姿勢で円滑に開閉することが可能であると同時に、下方ヒンジ6のヒンジピンに作用する荷重が軽減され、その耐久性が向上する。
この実施例の上方ヒンジピン受け22には、後部ドア4の回動時に上方ヒンジピン8aが収容されるU字形部から前方に、所定の長さ延びる延長ガイド部22aが形成されている。延長ガイド部22aは、以下に述べる機能を備えている。
後部ドア4をスライドさせ車両の側面に収納するときは(ウイングの閉鎖によりスライドストッパ24は上方ヒンジ8と干渉しない位置となる)、上方ヒンジ8の上方ヒンジピン8a及び転動ローラ21は、図8(a)の破線に沿って移動する。このとき、後部ドア4を90°回動した状態では、後部ドア4が上方及び下方ヒンジのヒンジピンを中心に回転するため、後部ドア4のドアレール10と後部フレーム5のガイド部材11との間には、図5(a)においてLで示す少量の間隙が生じる。上方ヒンジピン受け22の延長ガイド部22aは、その長さがLを超える寸法に設定されているので、後部ドア4をスライドする初期において、ドアレール10がガイド部材11に嵌め込まれるまでは、上方ヒンジ8のヒンジピン8aが延長ガイド部22aに案内されて移動する。つまり、上方ヒンジピン受け22の延長ガイド部22aにより、後部ドア4の上方に固着したドアレール10が、後部フレーム5との間の距離を一定に保持しながら移動するため、上記間隙の存在にかかわらず、ドアレール10をガイド部材11に確実に嵌め込むことができる。
後部ドア4がスライドして、上方ヒンジピン8aが延長ガイド部22aから外れ側面パネル1の位置に達すると、転動ローラ21は、走行板23に乗り上げて車両横方向外側に変位する。これにより、図8(c)に示すとおり、上方ヒンジ8の両方のヒンジ片8b、8cがヒンジ用ばね8eに抗して折り曲げられ、その間の角度が減少して、ピン側ヒンジ片8cのストッパ8fがドア側ヒンジ片8bの凸部に突き当たる。上方ヒンジ8は、この状態を保ちながら前方端までスライドし、後部ドア4の収納位置では図8(d)のようになる。
このように、後部ドア4をスライドする過程では、上方ヒンジ8が転動ローラ21によって車両横方向外側に向けて押圧されるため、ガイド部材11にも車両横方向外側に向けた力が作用する。その結果、ガイド部材11は、延長部14のストッパ14aが常に基台と当接した起立位置を保持することとなり、後部ドア4がスライドする間に、その上部が車両横方向に揺動する事態を防止することができる。
なお、上記実施例では、上方ヒンジ8の上方ヒンジピン8aの上部に転動ローラ21を取り付けているが、転動ローラ21を上方ヒンジピン8aの下部に設け、転動ローラ21と対応する高さに走行板23を固定してもよい。
そして、この実施例のスライド装置では、後部ドアの荷室側の下部に下方ドアレールが固定されるとともに、下方ドアレールに対応する位置の後部フレームの下部には下方ローラが設置されており、以下、これらについて説明する。図9は、下方ドアレール25及び下方ローラ26の斜視図であって、後部ドアを90°回動した状態で、図3と同様な方向から後部ドアの下部を見た図である。図10(a)及び図10(b)は、後部ドアを閉鎖したときと、90°回動したときにおける下方ローラ26の拡大斜視図であって、それぞれ、図1(a)と図1(b)とにおけるB部を拡大して示すものである。
図9に示すように、後部ドア4の荷室側の下部には、断面ハット形の下方ドアレール25がねじ止めされ、下方ドアレール25は、後部ドア4の全幅に亘って延びている。後部フレーム5の下部には、下方ドアレール25と高さの一致する位置に下方ローラ26が設置され、かつ、後部ドア4に固定された下方ヒンジ6には、下方ローラ26と一致する位置に切り欠き部6aが形成されている。下方ローラ26は、図10(b)に示すように、下方ローラ用ばね(ねじり式コイルばね)26aにより付勢されて支持軸26bに枢着されており、後部ドア4を90°回動した状態では、下方ローラ26の回転軸が垂直になって下方ドアレール25が下方ローラ26上をスライドすることが可能となる。下方ローラ26にはアームローラ26cが設けてあり、後部ドア4を閉鎖すると、下方ヒンジ6がアームローラ26cを押し込んで、図10(a)に示すとおり、下方ローラ26の回転軸を水平とする。この状態では、下方ローラ26は、側面パネル1よりも車両横方向に張り出すことはなく、下方ヒンジ6の切り欠き部6aに収容される。
後部ドア4がスライドするときは、下方ドアレール25が下方ローラ26上を摺動するから、後部ドア4の下部には車両横方向の外側に向かう力が作用し、この力は、後部ドア4が図6(a)に示す収納位置に達した状態でも継続して働く。そのため、後部ドア4の収納位置においては、図6(a)の対角位置であるW部、X部が、それぞれ下方ヒンジ6、ガイド部材11によって車両横方向に位置決めされるとともに、Y部、Z部には、それぞれ上方ヒンジ8の転動ローラ21、下方ローラ26により車両横方向の外側に向かう力が作用することとなる。つまり、収納位置にある後部ドア4の4隅は、車両横方向にいわば突っ張った状態にあり、箱型荷台に対する相対的な位置が容易に変動することはない。したがって、貨物ターミナルの構内等において、後部ドア4を車両の側面に収納した状態で車両を低速で走行させる際にも、車両の振動等に起因して後部ドア4ががたつきを起こし下方ヒンジ6等に損傷を与えることはなく、後部ドア4を箱型荷台に非常に安定した状態で保持することが可能である。
なお、上記実施例では、下方ローラ26を支持軸26bに枢着しその姿勢を可変としているが、下方ローラ26に小型のものを採用して固定式としてもよい。また、下方ドアレール25を省略して、下方ローラ26が直接後部ドア4の荷室側パネルに接触するように構成することもできる。
以上詳述したように、本発明は、観音開き式の後部ドアを開放時に側面に収納するスライド装置を装備する箱型荷台において、後部ドアの荷室側の上部にドアレールを取り付けるとともに、後部ドアのスライド時にドアレールが嵌め込まれるガイド部材を後部フレームに装着し、後部ドアを閉鎖したときには、このガイド部材を車両の横方向内側に変位して外側への突き出しを防止し、さらに、後部ドアに上方ヒンジ及び下方ヒンジを設けて上方ヒンジには転動ローラを取り付け、スライド時において転動ローラが箱型荷台の側面パネルに当接することにより、後部ドアを安定した姿勢に保持するように構成したものである。上記の実施例では、ウイングボディに本発明を適用した場合について説明しているが、本発明は、ウイングを備えていない通常の箱型荷台に対しても適用可能であること、そして、側面パネル以外の部分が最大横幅である箱型荷台では、後部ドアの閉鎖時にその最大横幅の内側となるようガイド部材等を変位させればよいことは言うまでもない。また、実施例の説明中にも述べているように、ガイド部材等の構成部品について種々の変形が可能であることは明らかである。
本発明の後部ドアのスライド装置を備えた箱形荷台の斜視図である。 図1(b)のA部拡大図である。 本発明の後部ドア荷室側の上部を見た斜視図である。 後部ドアを閉鎖したときの箱形荷台上部の側面図及び後面図である。 後部ドアを90°回動したときの箱形荷台上部の側面図及び後面図である。 後部ドアを箱形荷台側面に収納したときの斜視図である。 本発明のガイド部材の変形例を示す図である。 本発明の上方ヒンジの構造等を示す図である。 本発明の実施例における後部ドア荷室側の下部を見た斜視図である。 本発明の実施例における下方ローラの斜視図である。 後部ドアのスライド装置を備えた従来の箱形荷台の斜視図等である。 図11の箱形荷台における下方ヒンジを示す図である。
符号の説明
1 側面パネル
4 後部ドア
5 後部フレーム
6 下方ヒンジ
7 下方レール
8 上方ヒンジ
8a 上方ヒンジピン
8b ピン側ヒンジ片
8c ドア側ヒンジ片
8d 連結ヒンジピン
8e ヒンジ用ばね
8f ストッパ
10 ドアレール
11 ガイド部材
11a 段差部
12 ガイド部材用ヒンジピン
13 ばね部材
14 延長部
14a 端部ストッパ
15 押え部材(押し込み装置)
16 ドアレール補強部材
17 バンパ
18 ローラ部材
19 カム部材(押し込み装置)
20 トルクロッド(押し込み装置)
22 上方ヒンジピン受け
22a 延長ガイド部
24 スライドストッパ
25 下方ドアレール
26 下方ローラ

Claims (5)

  1. 観音開き式に開閉される後部ドアと、前記後部ドアを取り付ける後部フレームとを備え、車両に架装される箱型荷台であって、
    前記後部ドアの上部及び下部には、上方ヒンジ及び下方ヒンジがそれぞれ固定されるとともに、前記箱型荷台の下方には下方レールが車両前後方向に延びるように設置され、前記後部ドアの開放時に、前記下方ヒンジが前記下方レールに沿ってスライドして、前記後部ドアが前記箱型荷台の側面に収納されるよう構成されており、
    前記後部ドアの荷室側の上部には、水平方向に延びるドアレールが固定され、かつ、前記後部フレームの上部には、前記後部ドアがスライドするときに前記ドアレールが嵌め込まれるガイド部材が装着され、
    前記ガイド部材が、前記後部フレームの車両側面側に固定されたガイド部材用ヒンジピンに枢着され、車両の横方向外側に変位するようばね部材によって付勢されるとともに、前記後部ドアを閉鎖したときに、前記後部ドアと連動して前記ガイド部材を車両の横方向内側に変位する押し込み装置が設けられており、
    前記上方ヒンジが、前記後部ドアに固着されたドア側ヒンジ片と、連結ヒンジピンにより前記ドア側ヒンジ片に連結されるピン側ヒンジ片とを備え、かつ、前記ドア側ヒンジ片と前記ピン側ヒンジ片とは、相互の間の角度が大きくなるようヒンジ用ばねによって付勢され、
    前記ピン側ヒンジ片の先端には、転動ローラが取り付けられた上方ヒンジピンが固定されるとともに、前記後部フレームには、前記後部ドアの閉鎖時に前記上方ヒンジピンを収容する上方ヒンジピン受けが固着されており、
    前記転動ローラが、前記後部ドアの開放時に前記箱型荷台の側面パネルに当接しながらスライドすることを特徴とする箱型荷台。
  2. 前記上方ヒンジには、前記ドア側ヒンジ片と前記ピン側ヒンジ片との間の角度が所定値以下となることを阻止するストッパが設けられている請求項1に記載の箱型荷台。
  3. 前記後部フレームの下部には、前記後部ドアがスライドするときに、前記後部ドアに当接する下方ローラが設置されている請求項1又は請求項2に記載の箱型荷台。
  4. 前記下方ローラが、前記後部フレームの車両側面側に固定された支持軸に枢着され、車両の横方向外側に変位するよう下方ローラ用ばねによって付勢されるとともに、前記後部ドアを閉鎖したときは、前記後部ドアと連動して車両の横方向内側に変位する請求項3に記載の箱型荷台。
  5. 前記後部ドアの荷室側の下部における、前記後部ドアがスライドするときに前記下方ローラが当接する位置には、水平方向に延びる下方ドアレールが固定されている請求項3又は請求項4に記載の箱型荷台。
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