JP4859229B2 - 熱処理装置 - Google Patents

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Description

この発明は、熱処理装置に関するもので、更に詳細には、例えば半導体ウエハやLCD基板等の被処理基板に熱処理を施す熱処理装置に関するものである。
従来、半導体製造工程の一つであるフォトレジスト工程においては、半導体ウエハやLCD基板等の基板(以下にウエハという)の表面にレジストを塗布し、このレジストを所定のパターンで露光した後に、ウエハの表面に現像液を供給し、現像してレジストパターンを形成している。また、このフォトレジスト工程において、レジストを保護する目的で、一般にレジスト層の表面に保護膜を塗布する工程が組み込まれている。
一方、近年のデバイスパターンの微細化、薄膜化に伴い露光の解像度を上げる要請が高まっている。露光の解像度を上げるために、レジストの下層及び又は上層に反射防止膜を配置する方法が採られている。また、別の微細化の方法の一つとして、所定のマスクパターンを用いて基板上のフォトレジストを複数回露光してフォトレジストパターンを形成した後、プラズマアッシング等を用いてフォトレジストパターンを微細化する技術が知られている。
上記微細化技術において、ウエハの表面に多層膜が形成され、しかも、複数回の塗布処理と塗布処理後の加熱処理が繰り返し行われるため、異質膜の積層状態や温度変化等によってウエハに反りが発生する虞がある。ウエハに反りが発生すると、例えば、化学増幅型レジストにおいては、露光後の加熱処理後に冷却する際にウエハに反りが生じていると、ウエハの面上で酸触媒反応が停止する温度(例えば50℃)までの下降温度状態にばらつきが生じ、線幅の均一化が図れない。
ところで、従来では、ウエハの反りを抑制するために、反りを測定する反り測定部と、気体の吹き出しと吸引を選択的に行う複数の吹出し・吸引口と、反り測定部の測定結果に基づいて、各吹出し・吸引口による吹き出し又は吸引を行う制御部とを有する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、ウエハを載置するステージの上面に複数の突起を配置し、又は、複数の突起を配置すると共に、ウエハ周縁部に当たる箇所にシール・リングを配置し、ウエハとステージ間の空間から空気を引き抜くことにより、ウエハを突起に押し付けてウエハとステージ間の隙間を一定にする装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−210400号公報(特許請求の範囲、図4) 特開平11−214486号公報(特許請求の範囲、図2,図9)
しかしながら、前者すなわち特開2006−210400号公報に記載の技術は、反りを測定する反り測定部の測定結果に基づいて、各吹出し・吸引口による吹き出し又は吸引を制御する構造であるため、構造が複雑な上、反りを抑制する時間を要し、加熱処理後に短時間に冷却処理することが難しいという問題がある。
これに対して、後者すなわち特開平11−214486号公報に記載の技術によれば、前者に比べて構造を簡単にすることができるが、ステージの上面に配置された複数の突起上に載置されたウエハとステージ間の空間を負圧状態にしてウエハを突起に押し付ける構造であるため、ウエハとステージ間の空間全体を負圧にしなければならず、そのためには大きな負圧が必要となるという問題がある。また、ウエハの反りが複雑な場合には、各突起に確実にウエハを押し付けることが難しくなり、ウエハの反りを確実に抑制することができないという懸念がある。
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、被処理基板の反りを抑制し、均一な冷却処理を施すようにした熱処理装置を提供することを課題とする。
このように構成することにより、冷却プレートの突起上に被処理基板を載置した状態で、各突起の近傍に設けられた吸引孔から吸引することで、被処理基板を各突起に確実に押し付けて、被処理基板と冷却プレート表面との隙間を一定にすることができる。
上記目的を達成するために、請求項記載の発明は、被処理基板を加熱する熱板を有する加熱室と、上記熱板によって加熱された被処理基板を冷却する冷却プレートと、上記加熱室に対して被処理基板を搬入・搬出する搬送手段と、を具備する熱処理装置において、 上記冷却プレートは、該冷却プレートの本体表面に積層される可撓性を有する冷媒蓄留バッグからなる冷媒流路と、吸引手段に接続する複数の吸引孔とを具備してなる、ことを特徴とする。この場合、上記冷媒蓄留バッグの表面に、該冷媒蓄留バッグ表面との間に隙間をおいて被処理基板を載置する複数の突起を更に具備する方が好ましい(請求項)。
このように構成することにより、冷却プレートの冷媒蓄留バッグ上に被処理基板を載置した状態で、各吸引孔から吸引することで、被処理基板を変形する冷媒蓄留バッグの表面に確実に押し付けることができる。この場合、冷媒蓄留バッグの表面に、該冷媒蓄留バッグ表面との間に隙間をおいて被処理基板を載置する複数の突起を更に具備することにより、被処理基板と冷却プレート表面との隙間を一定にすることができ、また、被処理基板の全面が冷媒蓄留バッグに接触することがなくなり、被処理基板の汚れを防止することができる(請求項)。
また、請求項記載の発明は、請求項又は記載の熱処理装置において、 上記搬送手段は、上記加熱室と冷却プレートを結ぶ移動路と交差する方向に延在し、被処理基板を載置して搬送する複数本のワイヤと、被処理基板が上記冷却プレートの上方位置と上記加熱室内との間を搬送するように上記ワイヤを移動するワイヤ移動機構を具備し、 上記冷却プレートは、冷媒蓄留バッグの表面に形成され、上記ワイヤが潜り込み可能な溝部と、被処理基板を受け渡しすべく冷却プレートをワイヤに対して相対的に昇降させる昇降機構とを具備してなる、ことを特徴とする。
このように構成することにより、ワイヤによって被処理基板を加熱室に対して搬入・搬出することができると共に、ワイヤを冷却プレートの冷媒蓄留バッグに設けられた溝部に潜り込ませることにより、ワイヤ上の被処理基板を冷却プレートの冷媒蓄留バッグ上に受け渡し、ワイヤが溝部から上方に抜け出すことにより、冷媒蓄留バッグ上の被処理基板をワイヤに受け渡すことができる。
また、請求項記載の発明は、請求項又は記載の熱処理装置において、 上記冷却プレートは、搬送手段を兼用すべく該冷却プレートを加熱室に対して進退移動するプレート移動機構と、冷却プレートに対して被処理基板を受け渡しする昇降可能な支持ピンの貫挿用開口溝とを具備してなる、ことを特徴とする。この場合、上記冷媒蓄留バッグは一つであってもよく、あるいは、連通流路を介して互いに連通する複数の分割バッグにて形成してもよい(請求項)。
このように構成することにより、冷却プレートに搬送手段の機能を持たせることができると共に、加熱室から被処理基板を搬出して搬送する過程で被処理基板を冷却することができる。
この発明によれば、上記のように構成されているので、以下のような優れた効果を奏する。
)請求項1,2記載の発明によれば、冷却プレートの冷媒蓄留バッグ上に被処理基板を載置した状態で、各吸引孔から吸引することで、被処理基板を変形する冷媒蓄留バッグの表面に確実に押し付けることができるので、被処理基板の反りを確実に抑制することができると共に、均一な冷却処理を行うことができ、熱処理の効率化を図ることができる。この場合、冷媒蓄留バッグの表面に、該冷媒蓄留バッグ表面との間に隙間をおいて被処理基板を載置する複数の突起を更に具備することにより、被処理基板と冷却プレート表面との隙間を一定にすることができ、また、被処理基板の全面が冷媒蓄留バッグに接触することがなくなり、被処理基板の汚れを防止することができる(請求項)。
)請求項記載の発明によれば、ワイヤによって被処理基板を加熱室に対して搬入・搬出することができると共に、ワイヤを冷却プレートの冷媒蓄留バッグに設けられた溝部に潜り込ませることにより、ワイヤ上の被処理基板を冷却プレートの冷媒蓄留バッグ上に受け渡し、ワイヤが溝部から上方に抜け出すことにより、冷媒蓄留バッグ上の被処理基板をワイヤに受け渡すことができるので、上記(1)に加えて更に被処理基板の搬送効率の向上が図れると共に、被処理基板へのパーティクルの付着を抑制することができる。
)請求項4,5記載の発明によれば、冷却プレートに搬送手段の機能を持たせることができると共に、加熱室から被処理基板を搬出して搬送する過程で被処理基板を冷却することができるので、上記(1)に加えて更に冷却処理の効率の向上が図れると共に、スループットの向上が図れる。
以下、この発明の最良の形態について、添付図示に基づいて説明する。
図1は、この発明に係る熱処理装置を適用する塗布・現像処理装置に露光処理装置を接続した処理システムの全体を示す概略平面図、図2は、上記処理システム概略斜視図である。
上記処理システムは、被処理基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)を複数枚例えば25枚密閉収納するキャリア10を搬出入するためのキャリアステーション1と、このキャリアステーション1から取り出されたウエハWにレジスト塗布,現像処理等を施す処理部2と、ウエハWの表面に光を透過する液層を形成した状態でウエハWの表面を液浸露光する露光部4と、処理部2と露光部4との間に接続されて、ウエハWの受け渡しを行うインターフェース部3とを具備している。
キャリアステーション1は、キャリア10を複数個並べて載置可能な載置部11と、この載置部11から見て前方の壁面に設けられる開閉部12と、開閉部12を介してキャリア10からウエハWを取り出すための受渡し手段A1とが設けられている。
また、キャリアステーション1の奥側には筐体20にて周囲を囲まれる処理部2が接続されており、この処理部2には手前側から順に加熱・冷却系のユニットを多段化した棚ユニットU1,U2,U3及び液処理ユニットU4,U5の各ユニット間のウエハWの受け渡しを行う主搬送手段A2,A3とが交互に配列して設けられている。また、主搬送手段A2,A3は、キャリアステーション1から見て前後方向に配置される棚ユニットU1,U2,U3側の一面部と、後述する例えば右側の液処理ユニットU4,U5側の一面部と、左側の一面をなす背面部とで構成される区画壁21により囲まれる空間内に配設されている。また、キャリアステーション1と処理部2との間、処理部2とインターフェース部3との間には、各ユニットで用いられる処理液の温度調節装置や温湿度調節用のダクト等を備えた温湿度調節ユニット22が配置されている。
棚ユニットU1,U2,U3は、液処理ユニットU4,U5にて行われる処理の前処理及び後処理を行うための各種ユニットを複数段例えば10段に積層した構成とされており、その組み合わせはウエハWを加熱(ベーク)する加熱ユニット(HP)、ウエハWを冷却する冷却ユニット(CPL)等が含まれている。
また、液処理ユニットU4,U5は、例えば図2に示すように、レジストや現像液などの薬液収納部の上に反射防止膜を塗布するボトム反射防止膜塗布ユニット(BCT)23,トップ反射防止膜塗布ユニット(TCT)24、塗布ユニット(COT)25、ウエハWに現像液を供給して現像処理する現像ユニット(DEV)26等を複数段例えば5段に積層して構成されている。この塗布・現像装置はレジストが塗布されたウエハWを露光前に洗浄液すると共に、露光後のウエハWを洗浄するこの発明に係る熱処理装置を備えており、この例では、熱処理装置は現像ユニット(DEV)26に設けられている。
インターフェース部3は、図3に示すように、処理部2と露光部4との間に前後に配置される第1の搬送室3A及び第2の搬送室3Bにて構成されており、それぞれに第1のウエハ搬送部30A及び第2のウエハ搬送部30Bが設けられている。第1のウエハ搬送部30Aは昇降自在かつ鉛直軸回りに回転自在な基体31Aと、この基体31A上に設けられる進退自在なアーム32Aとで構成されている。また第2のウエハ搬送部30Bは昇降自在かつ鉛直軸回りに回転自在な基体31Bと、この基体31B上に設けられる進退自在なアーム32Bとで構成されている。
また、第1の搬送室3Aには、第1のウエハ搬送部30Aを挟んでキャリアステーション1側から見た左側に、ウエハWのエッジ部のみを選択的に露光するための周縁露光装置(WEE)33と、複数例えば25枚のウエハWを一時的に収容する2つのバッファカセット34が例えば上下に積層されて設けられている。同じく右側には受渡しユニット35、各々例えば冷却プレートを有する2つの高精度温調ユニット36及び露光をしたウエハWをPEB処理する加熱・冷却ユニット(PEB)37が例えば上下に積層されて設けられている。この加熱・冷却ユニット(PEB)37内に、後述するこの発明に係る熱処理装置40が配設されている。また、露光部4側に形成されたウエハ搬送口3aを介して第2の搬送室3Bと露光部4との間でウエハWの受け渡しをするための受渡しステージ38A,38Bが左右に並んで設けられている。これら受渡しステージ38A,38Bの各々の表面にはウエハWを裏面側から支持する例えば3本の基板支持ピン39が設けられている。
次に、この発明に係る熱処理装置40について、図4ないし図17を参照して説明する。なお、この場合、ウエハWの大きさとしては例えば12インチサイズのものが用いられる。
<第1実施形態>
図4は、この発明に係る熱処理装置40の第1実施形態の要部を示す概略斜視図、図5は、熱処理装置40の概略断面図、図6は、熱処理装置40の概略平面図である。
上記熱処理装置40は、図4に示すように、処理容器をなす筐体41を備えており、筐体41の側壁にはウエハWの搬送口42が開口され、搬送口42はシャッタ43により開閉自在とされている。このシャッタ43はウエハWを加熱する際に、搬送口42を介して筐体41内に外気が流入することにより後述のウエハWの周囲に形成される気流が乱れることを防ぐために設けられているが、シャッタ43の代わりに例えばエアカーテンを搬送口42付近に設けて外気の流入を防いでもよい。
また、筐体41内の下部には基台44が設けられており、搬送口42に向かう側を手前側とすると、この基台44の手前側にはウエハWを冷却するための冷却プレート50が設けられ、奥側にはウエハWを加熱処理するための扁平な加熱室60が設けられている。この加熱室60の冷却プレート50に対向する側面は、ウエハWを搬入出するための開口部61として開口しており、ウエハWは、冷却プレート50の上方側の位置と、加熱室60の内部との間を搬送手段70により搬送され、加熱室60内ではこの搬送手段70に保持された状態で加熱処理が行われるようになっている。
上記冷却プレート50は、例えばアルミニウム合金製部材により形成され、ウエハWと略同じ直径を有する略円形板状に形成されており、例えば、後述する溝部59以外の領域では、4mm程度の厚さに形成されている。また、冷却プレート50の表面には、図4及び図6に示すように、冷却プレート50の中心位置と、同心円上に等間隔をおいた複数位置例えば8箇所に、冷却プレート50表面との間に僅かな隙間例えば0.1mmをおいてウエハWを載置するプロキシミティ用の突起51が突設されている。また、各突起51の近傍位置には、それぞれ吸引孔52が設けられている。この場合、図7に示すように、各吸引孔52同士は、冷却プレート50の裏面に設けられた吸引溝53を介して連通されており、吸引溝53に接続する吸引管路54を介して吸引手段である真空ポンプ55に接続されている。なお、吸引溝53の開口部は、例えばステンレス鋼製の塞ぎ部材56によって閉塞されている。また、吸引管路54には開閉弁V1が介設されている。
また、冷却プレート50には、該冷却プレート50におけるウエハW載置面の全域を均等に冷却するように冷媒流路である冷却水流路配管58(以下に冷却配管58という)が蛇行状に配設されており、この冷却配管58の一端には冷却水供給口58aが設けられ、この冷却水供給口58aに冷却水供給源(図示せず)が接続され、他端には冷却水の排出口58bが設けられている。この場合、冷却プレート50の裏面側に、冷却配管58を収納する収納空間53aを形成し、この収納空間53a内に冷却配管58を収納した状態で、収納空間53aの開口部を上記塞ぎ部材56にて閉塞することにより、吸引溝53と収納空間53aの開口部を同時に閉塞することができる。
なお、この場合、図8に示すように、吸引孔52と冷却配管58が交差する部位における吸引溝53に、冷却配管58を収納する収納空間53aを設け、吸引溝53及び収納空間53aの開口部を塞ぎ部材56にて閉塞してもよい。この場合、収納空間53aと冷却配管58との間に若干の隙間が形成され、収納空間53aと連通する吸引孔52からの吸引が可能になっている。このように構成することにより、冷却配管58と吸引孔52に連通する吸引溝53との干渉を避けることができると共に、冷却プレート50を厚くすることなく、冷却プレート50内に冷媒系統と吸引系統とを設けることができる。
上記のように、冷却プレート50の表面における中心位置と、同心円上の等間隔の8箇所、合計9箇所に突起51を設けると共に、各突起51の近傍位置に吸引孔52を設け、各吸引孔52を真空ポンプ55に接続することにより、真空ポンプ55による負圧を各突起51の近傍位置に作用してウエハWを吸引つまり各突起51に押し付けて、ウエハWと冷却プレート50表面との隙間を一定にすることができる。したがって、大きな負圧力を要することなく、ウエハWに均一に負圧を付与することができ、ウエハWの反りを抑制することができる。そして、冷却配管58内に供給される冷却水によって冷却プレート50に載置されたウエハWを均一に冷却することができる。
なお、上記説明では、突起51が冷却プレート50の中心位置と、同心円上の等間隔の8箇所に設けられる場合について説明したが、突起51は少なくとも3個設けられていれば任意の数であってもよい。但し、ウエハWの複雑な反りを確実に抑制するためには、冷却プレート50の中心位置と、1又は複数の同心円上の等間隔の位置に突起51を設ける方が好ましい。
一方、上記搬送手段70は、筐体41の長さ方向(図4,図6中のY方向)であるウエハWの移動路と、交差する方向(図4,図6中のX方向)に延在し、ウエハWを載置して搬送する複数本例えば2本のワイヤ71を備えている。このワイヤ71は、例えばアラミド繊維等の合成繊椎や炭化ケイ素繊維,炭素繊維等のセラミック繊推等の、23℃〜250℃にてウエハWを熱処理しても、熱により変性しない耐熱性の材質により構成され、例えば直径が0.5mm程度の太さのものが用いられる。
このようなワイヤ71は、ウエハWや冷却プレート50の直径より長い長さを有しており、それぞれの両端部を一対のワイヤ支持部72にて支持されており、このワイヤ支持部72は、移動機構73により、ウエハWを冷却プレート50の上方位置と加熱室60内との間を搬送するように移動するように構成されている。ここで、図4〜図6に示すように、ワイヤ71が冷却プレート50側に位置する位置をホーム位置とする。
上記移動機構73は、図4〜図6に示すように、基台44の上部に設けられ、筐体41の上記Y方向に伸びる一対のガイドレール74と、搬送口42から見て、ウエハWの左右方向の一方側(右側)のワイヤ支持部72が一体的に取り付けられ、ガイドレール74に沿って移動する第1のワイヤ移動部材75と、搬送口42から見て、ウエハWの左右方向の他方側(左側)のワイヤ支持部72が一体的に取り付けられ、ガイドレール74に沿って移動する第2のワイヤ移動部材76と、これら第1及び第2のワイヤ移動部材75,76を一体的に、ガイドレール74に沿って移動させる駆動部77と、を備えており、後述する制御部からの指令に基づいて駆動が制御されるようになっている。
なお、図示しないが、ワイヤ71には、ウエハWの載置位置を規制するためのビーズ部材が例えばワイヤ71にそれぞれ2個ずつ設けられている。このビーズ部材は、ウエハWの周縁の4カ所の位置に対応するようにワイヤ71に設けられており、ウエハWをビーズ部材の内側に載置することにより、ウエハWの周縁の4カ所の位置がビーズ部材により位置決めされ、ワイヤ71により移動するときにも移動中のウエハWの載置位置がずれないようになっている。
また、上記冷却プレート50には、ワイヤ71が潜り込むための溝部59が、搬送手段70が上記ホーム位置にあるときの、2本のワイヤ71に対応する位置に形成され、この溝部59は、ワイヤ71に設けられたビーズ部材も潜り込める大きさに設定されている。また、基台44の内部の冷却プレート50の下方側には、冷却プレート50を昇降させるための昇降機構80が設けられている。昇降機構80には、例えば複数本の支持ピン81が接続されており、これら支持ピン81は昇降機構80により基台44上に穿孔された孔を介して基台44上に垂直に出没できるように構成されている。
そして、この昇降機構80により、冷却プレート50はワイヤ71に対して相対的に昇降自在に構成されている。これにより、冷却プレート50をワイヤ71に対して相対的に昇降させ、ワイヤ71が溝部59に潜り込むことによって、ワイヤ71上のウエハWを冷却プレート50に受け渡し、ワイヤ71が冷却プレート50の溝部59から上方に抜け出すことによって、冷却プレート50上のウエハWをワイヤ71に受け渡すようになっている。なお、冷却プレート50を昇降させずに、ワイヤ71を昇降させることにより、冷却プレート50を、ワイヤ71に対して相対的に昇降自在に構成するようにしてもよい。
なお、冷却プレート50の周縁部の例えば4箇所には、図4及び図6に示すように、冷却プレート50の中心部に向けて切り欠き部50aが形成されている。この切り欠き部50aは、後述するように、外部の搬送機構例えば上記第1,第2のウエハ搬送部30A,30Bと冷却プレート50との間でウエハWの受け渡しを行なうときに必要なものである。
ここで、ワイヤ71によるウエハWの保持位置については適宜選択されるものであるが、この例では、外部の搬送機構例えば上記第2のウエハ搬送部30BがウエハWを保持する位置の近傍にてワイヤ71がウエハWを保持するように設定され、このため冷却プレート50では、搬送口42側から見て、手前側の2個の切り欠き部50aを結ぶようにワイヤ71に対応する溝部59が形成され、奥側の2個の切り欠き部50aを結ぶようにワイヤ71に対応する溝部59が形成されている。
上記加熱室60は、その内部にてウエハWの加熱処理を行なうものであり、ウエハWより大きい内部空間を有している。この加熱室60は、例えば厚さが3mm程度のアルミニウム合金やステンレス等の伝熱性の材料により、縦断面が略コ字状に形成されており、開口部61の両側の側壁部62には、それぞれ例えば3mm程度の隙間63が形成され、この隙間63にワイヤ71が入り込むようになっている。また、開口部61の上下方向の大きさは6mm以下の大きさに設定され、その内部には扁平な空間が形成されている。
この加熱室60の上部側及び下部側には、例えば窒化アルミニウム(AlN)や炭化ケイ素(SiC)製の熱板64が設けられており、熱板64は、例えばウエハWと略同じ大きさの円板状に形成されている。そして、この熱板64により加熱することにより、この加熱室60の内部が加熱されるようになっている。
また、基台44の加熱室60の手前側には、ガス吐出部65が設けられ、加熱室60の内部の奥側には排気部66が設けられている。なお、図4ではガス吐出部65と排気部66を省略している。このガス吐出部65と排気部66とは、ウエハWが加熱室60内にあるときに、ウエハWを挟んで手前側と奥側に設けられており、これによりウエハWの直径(幅)をカバーし、更に加熱室60の天板60aと底板60bとの間を手前側から奥側へ、すなわちウエハWの一端側から他端側へと流れるいわば一方向流ともいうべき気流を形成できるようにそれぞれ設けられている。
上記ガス吐出部65は、図5に示すように、筐体41の加熱室60の開口部61に向かう斜面部を備えており、この斜面部には例えば多数の小孔が吐出口65aとして筐体41の幅方向(図中X方向)に沿ってそれぞれ一定の間隔をおいて設けられている。この吐出口65aの一端から他端までの長さは加熱室60内に載置されるウエハWの直径をカバーするように構成されている。ガス吐出部65にはガス供給管65b,開閉弁V2を介して、例えば筐体41の外部へ設けられた、クリーンなパージ用ガス例えば窒素ガスなどの不活性ガスが貯留されているガス供給源68に接続されている。
また、上記ガス吐出部65の内部には、幅方向に沿って伝熱板(図示せず)が設けられ、この伝熱板には例えば幅方向に沿って間隔をおいて複数のヒートパイプ67の一端が接続されている。各ヒートパイプの他端は熱板64に接続されており、ガス供給源68からガス供給管65bを介してガス吐出部65の内部空間に供給されたパージ用ガスは、伝熱板によりウエハWの加熱温度(加熱時のウエハWの表面温度)と同じ温度に温調され、吐出口65aから吐出されるようになっている。なお、パージガスを加熱する手段は、例えばガス供給管65bの出口付近に設けたヒータであってもよい。
ウエハWは加熱室60内にワイヤ71により保持された状態で支持され、熱板64とは直接接触していないが、熱板64により伝熱性材料により構成された加熱室60を介して上下方向から加熱されると共に、加熱されたパージガスがウエハWの表面に沿って流れることで、ウエハWを予め設定したプロセス温度で加熱できるように構成されている。
排気部66は、加熱室60の下部側に設けられた熱板64を挟んでガス吐出部65と対向するように設けられ、加熱室60の底板60bから加熱室60内に向かう斜面部を備えている。この斜面部には例えば多数の小孔が排気口66aとして加熱室60の幅方向に沿って、それぞれ一定の間隔をおいて設けられており、この排気口66aの一端から他端までの長さは例えばウエハWの直径をカバーするように構成されている。排気部66には排気管66bが接続されており、この排気管66bは筐体41の外部へ延びて、その端部は例えば工場の排気路に接続されている。また、排気管66bにはファン66cが介設されており、このファン66cの回転数が制御されることで排気部66は例えば予め設定された排気量で排気口66aから加熱室60内の排気を行なうことができるように構成されている。なお、排気管66bには開閉弁V3が介設されている。
なお、ガス吐出部65及び排気部66により上述の一方向流が形成できればよいので、ガス吐出部65及び排気部66はこの実施の形態の構成に限定されるものではない。また、吐出口65a及び排気口66aの形状もこの例に限らず、例えば幅方向に沿ったスリット状に設けられていてもよい。
上記制御部は、例えばコンピュータからなるプログラム格納部を有しており、プログラム格納部には、後述するような熱処理装置の作用、つまりウエハWの処理、ウエハWの受け渡し、ウエハWの加熱及び気流の制御などが実施されるように命令が組まれた、例えばソフトウェアからなるプログラムが格納される。そして当該プログラムが制御部に読み出されることにより制御部は当該半導体製造装置の作用を制御する。なおこのプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスクなどの記憶媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
次に、熱処理装置40の作用について説明する。まず、外部の搬送機構である第2のウエハ搬送部30Bのアーム32Bにより、搬送口42を介して筐体41内に露光処理後のウエハWを搬入し、ウエハWを冷却プレート50を介してワイヤ71に受け渡す。つまり図11(a)に示すように、まず、搬送手段70を上記ホーム位置に位置させてから、冷却プレート50を上昇させて、冷却プレート50の下面と基台44との間に、外部の第2のウエハ搬送部30Bのアーム32Bの通路を形成する。次いで図11(b)及び図8(c)に示すように、ウエハWを保持したアーム32Bを冷却プレート50の上方側に進入させ、次いで下降させることにより、ウエハWを冷却プレート50に受け渡す。続いて、アーム32Bを冷却プレート50の下面と基台44との間の位置にて退却させる。この後、図11(d)及び図12(a)に示すように、冷却プレート50を下降させて、冷却プレート50上のウエハWをワイヤ71に受け渡す。このときウエハWは、ワイヤ71に設けられたビーズ部材(図示せず)の内側に周縁部が位置するように載置され、こうしてビーズ部材にて位置決めされた状態でワイヤ71上に保持される。
次いで、図12(b)及び図12(c)に示すように、冷却プレート50を更に下降させた後、ウエハWを保持するワイヤ71を加熱室60側へ移動させて、ウエハWを加熱室60内に搬送する。加熱室60内は、ウエハWがワイヤ71により搬送されるまでに、熱板64により加熱され、例えば120℃程度になっている。
このようにして、加熱室60内にウエハWがワイヤ71により保持された状態で搬入されると、開閉弁V2が開かれ、ガス供給源68からガス供給管65bにパージ用ガスが供給される。このパージ用ガスは吐出部65で約120℃に加熱されて、吐出口65aから加熱室60の天板60aへ向けて吐出される。この吐出口65aからパージ用ガスの吐出が開始されるのと略同時に、開閉弁V3が開き、ファン66cが回転することで排気部66からの排気が行なわれる。このようにして、吐出部65から供給されたパージ用ガスは加熱室60の天板60aと底板60bとの間を手前側から奥側に流れ、ウエハWの周囲を通過した後に、排気部66に流入し、加熱室60、筐体41の外へ除去される。つまりウエハWの周囲に一方向流が形成される。このように熱板64の熱と一方向流とにより、ウエハWに塗布された化学増幅型レジストの酸触媒反応が誘起される。このようにしてウエハWへのパージ用ガスの供給が例えば一定時間行なわれた後に、ガス供給源68からのパージ用ガスの供給と排気部66による排気を停止する。
次いで、ワイヤ71によりウエハWを上記ホーム位置へ搬送してから、冷却プレート50を上昇させ、冷却プレート50上の突起51とウエハW裏面とを接触させると同時に、真空ポンプ55を駆動して、各突起51に近接する吸引孔52から冷却プレート50とウエハW裏面との間の空気を吸引して、ウエハWを突起51に押し付ける。これにより、ウエハWの反りは抑制され、冷却プレート50上面とウエハW下面との間に、例えば0.1mm程度の隙間を形成した状態で、冷却プレート50に設けられた冷却配管58を流れる冷却水(冷媒)によりウエハWを冷却し、ウエハWの粗冷却を行なう。具体的には、加熱室60により例えば120℃の温度で熱処理されたウエハWを、上記酸触媒反応が安定する温度例えば50℃まで冷却する。そして、粗冷却が終了した後、冷却プレート50を介して外部の搬送機構である第1のウエハ搬送部30Aのアーム31AにウエハWを受け渡し、筐体41の外へ搬送する。
ここで、冷却プレート50からアーム31AへのウエハWの受け渡しは、上記第2のウエハ搬送部30Bのアーム31Bから冷却プレート50へのウエハWの受け渡しと逆の動作で行なわれ、例えばウエハWを保持する冷却プレート50の下面と基台44との間に、第1のウエハ搬送部30Aのアーム31Aを進入させ、次いで、アーム31Aを冷却プレート50の上方位置まで上昇させることにより、アーム31A上に冷却プレート50からウエハWを受け取り、次いで冷却プレート50の上方側にてウエハWを保持したアーム31Aを退却させることにより行なわれる。
このような熱処理装置40では、ワイヤ71上にウエハWを保持させた状態で、扁平な空間を有する加熱室60に搬入してウエハWの熱処理を行なっており、加熱室60には昇降自在な蓋体が設けられておらず、また、熱板64に受け渡さずに、ウエハWを熱板から離隔して熱処理を行っているので、ウエハWを熱板64に受け渡す動作が不要となる。
このため、蓋体の昇降動作や、熱板との間のウエハWの受け渡し動作に要する作業時間が不要となり、その分オーバーヘッドタイムを削減することができ、スループットの向上を図ることができる。
また、この例では、加熱室60の上部側と下部側に熱板64を設けているので、加熱室60内のウエハWに対して加熱室60の上下から加熱でき、この際、加熱室60が扁平であって、上下の熱板64とウエハWとの距離が小さいので、ウエハWの昇温が早く、これによりウエハWが所定の温度に加熱するまでに要する時間が短くなり、その分オーバーヘッドタイムを低減することができる。
また、ワイヤ71上にウエハWを保持した状態で、熱板64に受け渡さずに、ウエハWを熱板64から浮上させた状態で熱処理を行うことから、ウエハWに反りが発生していても、反ったウエハWを熱板64上に載置する動作が不必要であり、ウエハWの反りが原因となるウエハWの搬送ミスが発生する虞がなく、安定した状態で熱処理を行うことができる。
更に、熱板64へのウエハWの受け渡し動作が不要であるため、加熱室60内の上下方向の大きさに、受け渡しのためのクリアランスを容易する必要がなく、加熱室60内は、ウエハWを保持したワイヤ71が入る分の高さがあればよいので、これにより加熱室60内の内部空間を扁平に設け、上記開口部61の隙間を小さくすることができる。
また、このような熱処理装置40では、上述のように、加熱室60には昇降自在な蓋体が設けられていないので、蓋体の昇降が原因となる加熱装置内の気流の乱れの発生が起こる虞がない。このため加熱装置内の気流が乱れにくく、当該気流の制御を良好に行なうことができる。これにより、上述のような一方向流を形成する加熱装置においては、気流の乱れを抑えて上記一方向流を形成できるので、結果として上記昇華物が気流に沿って飛散し、排出口から排出される。このように昇華物が気流の流れに従って十分に排出されるので、ウエハWへのパーティクル付着を抑えることができる。この際、加熱室60の開口部61は常時開放しているが、この開口部61は、上下方向の大きさが6mm以下と、隙間が薄いので、気流の乱れが発生しにくく、所定の気流が形成できる。
また、搬送手段70から熱板64へのウエハWの受け渡しを行なわないので、この点からも、加熱室60内の気流の乱れの発生を防止することができる。つまり上述のように搬送手段から熱板へのウエハWの受け渡しには、支持ピンの昇降等の一連の動作にて行われ、この動作によっても気流の乱れが発生するが、このような受け渡し動作を行なわないことによっても、気流の乱れの発生を防止することができる。
また、蓋体の昇降や、熱板へのウエハWの受け渡しのための駆動機構が不要となるので、蓋体を昇降する場合や熱板へのウエハWの受け渡しを行なう場合に比べて、駆動系が少なくなって制御が容易である上、省スペース化を図ることができる。更にこの際、冷却プレート50に、外部の搬送アーム32A,32Bの形状に対応する切り欠き部50aを形成し、ウエハWを載せた外部の搬送アーム32A,32Bを当該冷却プレート50の上方側に進入させ、次いでこの冷却プレートの上方側から下方側に通り抜けてウエハWを冷却プレート50に受け渡すように構成することにより、外部の搬送機構(第1,第2のウエハ搬送部30A,30B)と冷却プレート50との間のウエハWの受け渡しのための昇降可能な支持ピンを設ける場合に比べて、駆動系を更に削減でき、省スペース化を図ることができる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、冷媒流路を冷却プレート50に設けられる蛇行状の冷却配管58にて形成する場合について説明したが、冷却配管58に代えて図9及び図10に示すように、冷媒流路を構成する可撓性を有する冷媒蓄留バッグ90を用い、この冷媒蓄留バッグ90を、第1実施形態の冷却プレート50と同様に例えばアルミニウム合金製部材により形成され、ウエハWと略同じ直径を有する略円形板状の冷却プレート本体500の表面に積層して冷却プレート50Aを形成してもよい。この場合、冷媒蓄留バッグ90の複数箇所、例えば冷却プレート50の中心位置と、同心円上の等間隔の8箇所、合計9箇所に吸引孔52を設け、各吸引孔52を真空ポンプ55に接続することにより、真空ポンプ55による負圧を各吸引孔52の近傍位置に作用してウエハWを冷媒蓄留バッグ90の表面に押し付けることができる。
なお、この場合、図10に示すように、冷媒蓄留バッグ90の表面における冷却プレート50の中心位置と、同心円上の等間隔の8箇所、合計9箇所に、例えば合成樹脂又はセラミック製の突起51を貼着して冷媒蓄留バッグ90表面との間に隙間をおいてウエハWを載置するようにし、各突起51の近傍に吸引孔52を設け、各吸引孔52を真空ポンプ55に接続することにより、真空ポンプ55による負圧を各吸引孔52の近傍位置に作用してウエハWを各突起51に押し付けるようにしてもよい。
なお、上記冷媒蓄留バッグ90の表面には、上記ワイヤ71が潜り込み可能な2個の溝部59が設けられている。また、吸引孔52は冷却プレート本体500にも連通しており、冷却プレート本体500の裏面において、各吸引孔52同士が吸引溝53を介して連通されている。そして、吸引溝53の開口部は上記塞ぎ部材56によって閉塞されている(図10参照)。
上記冷媒蓄留バッグ90は、耐水性及び可撓性を有する例えばポリテトラフルオロエチレン(商品名「テフロン」)にて形成されている。この冷媒蓄留バッグ90は厚さ約2mmに形成され、同じく約2mmに形成される冷却プレート本体500に積層されて、約4mmの厚さの冷却プレート50Aを形成している。
なお、第2実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
上記のように構成される熱処理装置40Aによれば、真空ポンプ55による負圧を各吸引孔52の近傍位置に作用してウエハWを弾性変形する冷媒蓄留バッグ90の表面に押し付けるか、あるいは、突起51に押し付けて、ウエハWを吸着保持することができるので、ウエハWの反りを抑制することができ、また、ウエハWの冷却を均一にすることができる。
<第3実施形態>
図13は、この発明に係る熱処理装置の第3実施形態の要部を示す概略平面図、図14は、第3実施形態の熱処理装置の概略断面図である。
第3実施形態の熱処理装置40Bは、第1実施形態と同様に、アルミニウム合金製の冷却プレート50BにウエハWの搬送機能を持たせた場合である。すなわち、図13に示すように、熱処理装置40Bに、冷却プレート50Bを加熱室60に対して進退移動する、例えばボールねじ機構やタイミングベルト機構等からなるプレート移動機構100と、冷却プレート50に対してウエハWを受け渡しする昇降可能な支持ピン200との干渉を避けるための貫挿用開口溝501,502とを具備した場合である。
この場合、冷却プレート50Bは、加熱室60から退避したホーム位置において、昇降機構200によって昇降自在な3本の支持ピン201との干渉を回避する長さの異なる2個の貫挿用開口溝501,502を設けると共に、冷却プレート50Bの表面には、第1実施形態と同様に、冷却プレート50Bの中心位置と、同心円上に等間隔をおいた複数位置例えば8箇所に、冷却プレート50B表面との間に僅かな隙間例えば0.1mmをおいてウエハWを載置する突起51が突設されている。また、各突起51の近傍位置には、それぞれ吸引孔52が設けられている。この場合、図示しないが、各吸引孔52同士は、冷却プレート50の裏面に設けられた吸引溝を介して連通されており、吸引溝に接続する吸引管路54を介して吸引手段である真空ポンプ55に接続されている。なお、吸引溝の開口部は、上記塞ぎ部材(図示せず)によって閉塞されている。
また、冷却プレート50Bには、2個の貫挿用開口溝501,502を回避して、冷却プレート50BにおけるウエハW載置面の全域を均等に冷却するように冷媒流路である上記冷却配管58が蛇行状に配設されており、この冷却配管58の一端には冷却水供給口58aが設けられ、この冷却水供給口58aに冷却水供給源(図示せず)が接続され、他端には冷却水の排出口58bが設けられている。
なお、第3実施形態において、その他の部分は第1実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
次に、第3実施形態の熱処理装置40Bの動作態様について、図17を参照して説明する。まず、外部の搬送機構(図示せず)によって熱処理装置40Bの筐体41内に搬送されるウエハWは、ホーム位置にある冷却プレート50Bの上方に搬送されると、図示しない昇降機構が駆動して支持ピン201が上昇してウエハWを受け取る(図17(a)参照)。ウエハWを受け取った後、支持ピン201が下降して、ウエハWを冷却プレート50B表面の突起51上に載置する(図17(b)参照)。このとき、真空ポンプ55が駆動して各突起51に近接する吸引孔52から冷却プレート50とウエハW裏面との間の空気を吸引して、ウエハWを突起51に押し付ける。これにより、ウエハWの反りは抑制され、冷却プレート50上面とウエハW下面との間に、例えば0.1mm程度の隙間を形成した状態で吸着保持される。
次いで、プレート移動機構100が駆動して、ウエハWを保持する冷却プレート50Bを加熱室60側へ移動させて、ウエハWを加熱室60内に搬送して、ウエハWを加熱処理(PEB)する(図17(c)参照)。これにより、ウエハWに塗布された化学増幅型レジストの酸触媒反応が誘起される。
ウエハWの加熱処理(PEB)が終了した後、冷却プレート50Bに設けられた冷却配管58に冷却水(冷媒)を流してウエハWを冷却し、ウエハWの粗冷却を行ないつつプレート移動機構100を駆動して冷却プレート50BによりウエハWを上記ホーム位置へ搬送する。このときにおいても、真空ポンプ55は駆動しており、各突起51に近接する吸引孔52から冷却プレート50とウエハW裏面との間の空気を吸引して、ウエハWを突起51に押し付ける。これにより、加熱処理(PEB)によって生じるウエハWの反りは抑制され、冷却プレート50上面とウエハW下面との間に、例えば0.1mm程度の隙間を形成した状態で、冷却プレート50に設けられた冷却配管58を流れる冷却水(冷媒)によりウエハWを冷却し、ウエハWの粗冷却を行ない、上記酸触媒反応を停止する。そして、粗冷却が終了した後、冷却プレート50を介して外部の搬送機構である第1のウエハ搬送部30Aのアーム31AにウエハWを受け渡し、筐体41の外へ搬送する。
上記のように構成される第3実施形態の熱処理装置40Bによれば、加熱処理(PEB)後に冷却プレート50Bの冷却配管58に冷却水を流しつつ冷却プレート50Bを加熱室60からホーム位置に移動するので、冷却時間の短縮を図ることができる。
<第4実施形態>
上記第3実施形態においては、冷媒流路を冷却プレート50Bに設けられる蛇行状の冷却配管58にて形成する場合について説明したが、冷却配管58に代えて図15に示すように、冷媒流路を構成する可撓性を有する冷媒蓄留バッグ90Cを用い、この冷媒蓄留バッグ90Cを、第1実施形態の冷却プレート50と同様に例えばアルミニウム合金製部材により形成され、ウエハWと略同じ直径を有する略円形板状の冷却プレート本体500Cの表面に積層して冷却プレート50Cを形成してもよい。なお、冷媒蓄留バッグ90Cは、第2実施形態と同様の材質例えばポリテトラフルオロエチレン(商品名「テフロン」)にて形成されており、支持ピン201の貫挿用開口溝501,502を除く冷却プレート本体500Cのほぼ全域に積層されている。
この場合、冷媒蓄留バッグ90の複数箇所、例えば冷却プレート50Cの中心位置と、同心円上の等間隔の8箇所、合計9箇所に突起51を設けて冷媒蓄留バッグ90C表面との間に隙間をおいてウエハWを載置するようにし、各突起51の近傍に吸引孔52を設け、各吸引孔52を真空ポンプ55に接続することにより、真空ポンプ55による負圧を各吸引孔52の近傍位置に作用してウエハWを冷媒蓄留バッグ90C表面の突起51に押し付けるようにしてもよい。
上記のように構成することにより、真空ポンプ55による負圧を各吸引孔52の近傍位置に作用してウエハWを冷媒蓄留バッグ90C表面の突起51に押し付けて、ウエハWを冷却プレート50C上に僅かな間隔例えば0.1mmをおいて吸着保持することができる。これにより、ウエハWの反りを抑制することができると共に、ウエハWの冷却を均一にすることができる。
なお、上記説明では、冷却プレート本体500Cの表面に一つの冷媒蓄留バッグ90Cを積層した場合について説明したが、図16に示すように、複数例えば2個に分割された分割バッグ91,92によって冷媒蓄留バッグ90Dを形成し、この冷媒蓄留バッグ90Dを冷却プレート本体500Cの表面に積層して冷却プレート50Dを形成してもよい。この場合、分割バッグ91,92同士は、冷却プレート本体500Cに設けられた連通流路93を介して互いに連通されている(図16(b)参照)。この場合、一方の分割バッグ91は、冷却プレート本体500Cに設けられた一方の貫通用開口溝501と、他方の貫通用開口溝502の半分を除いた輪郭を有し、他方の分割バッグ92は、貫通用開口溝502の残りの半分を除いた輪郭を有している以外は、第4実施形態の冷媒蓄留バッグ90Cと同様に形成されている。なお、分割バッグ91,92は、必ずしも2個である必要はなく、互いに連通されていれば3個以上であってもよい。
上記のように、冷媒蓄留バッグ90Dを分割バッグ91,92にて形成することにより、貫通用開口溝501,502を有する冷却プレート本体500Cに対して冷媒蓄留バッグ90Dを容易に積層することができる。
なお、第4実施形態において、その他の部分は第3実施形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して説明は省略する。
次に、上記塗布・現像装置を用いてウエハWを処理する手順について説明する。ここでは、ウエハWの表面にボトム反射防止膜(BARC)を形成し、その上層にレジスト層を塗布し、レジスト層の表面にトップ反射防止膜TC(以下に保護膜TCという)を積層した場合について説明する。まず、例えば25枚のウエハWを収納したキャリア10が載置部11に載置されると、開閉部12と共にキャリア10の蓋体が外されて受渡し手段A1によりウエハWが取り出される。そして、ウエハWは棚ユニットU1の一段をなす受渡しユニット(図示せず)を介して主搬送手段A2へと受け渡され、塗布処理の前処理として例えばユニット(BCT)23にてその表面にボトム反射防止膜(BARC)が形成される。その後、主搬送手段A2により棚ユニットU1の加熱処理部に搬送されてベーク(BAKE)される。
その後、主搬送手段A2によりウエハWは塗布ユニット(COT)25内に搬入され、ウエハWの表面全体に薄膜状にレジストが塗布された後、主搬送手段A2により棚ユニットU2の加熱処理部に搬送されてプリベーク(PAB)される。
その後、主搬送手段A2によりウエハWはユニット(TCT)24にてレジスト層の表面に保護膜TCが形成された後、主搬送手段A2により棚ユニットU2の加熱処理部に搬送されてベーク(BAKE)される。ベーク(BAKE)が施された後、ウエハWは周辺露光装置(WEE)に搬送されて、周辺露光処理が施された後に加熱処理及びクーリング処理が施される。次いで、ウエハWは、インターフェース部3の第1,第2のウエハ搬送部30A,30Bにより露光部4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われる。
露光処理後のウエハWは、インターフェース部3の第2のウエハ搬送部30Bにより加熱・冷却ユニット(PEB)37に搬送され、加熱・冷却ユニット(PEB)37内の加熱室60でポストエクスポージャーベーク処理される。この際、化学増幅型レジストの酸触媒反応が促進される。つまり、レジストに含まれる酸発生剤から発生した酸の触媒作用によりレジスト成分が化学的に反応することにより、この反応領域は例えばポジ型のレジストの場合には現像液に対して可溶解性となる。
その後、加熱・冷却ユニット(PEB)37内の冷却プレート50,50A,50B,50Cによって所定温度に調整される。この際、上述したように、ウエハWの反りは抑制された状態でウエハWは粗冷却され、酸触媒反応が短時間で停止される。
次に、加熱冷却処理されたウエハWは、第1のウエハ搬送部30Aによって加熱・冷却ユニット(PEB)37から取り出された後、現像処理ユニット26に搬送されて、現像液が塗布される。その後、メインアームA1によって加熱処理ユニット(POST)に搬送され、所定の現像処理が行われる。
現像処理後のウエハWは、キャリアステーション1の載置部11に載置された空のキャリア10内に収納されて一連の塗布・現像処理を終了する。
なお、上記実施形態では、この発明に係る熱処理装置が塗布・現像処理システムにおける加熱・冷却ユニット(PEB)37に適用される場合について説明したが、この発明に係る熱処理装置は、加熱・冷却ユニット(PEB)37以外の熱処理装置にも適用でき、また、ウエハW以外のLCD基板やマスク基板等の熱処理にも適用できることは勿論である。
この発明に係る熱処理装置を適用した塗布・現像処理システムの全体を示す概略平面図である。 上記処理システムの概略斜視図である。 上記処理システムにおけるインターフェース部を示す斜視図である。 この発明に係る熱処理装置の第1実施形態を示す概略斜視図である。 上記第1実施形態の熱処理装置の概略断面図である。 上記第1実施形態の熱処理装置の概略平面図である。 図5のI−I線に沿う拡大断面図である。 第1実施形態の熱処理装置における冷却プレートの変形例を示す要部拡大断面図である。 この発明に係る熱処理装置の第2実施形態における冷却プレートの概略平面図(a)、その側面図(b)及び(a)のII−II線に沿う拡大断面図(c)である。 この発明に係る熱処理装置の第3実施形態における冷却プレートの概略平面図(a)、その側面図(b)及び(a)のIII−III線に沿う拡大断面図(c)である。 第1実施形態における冷却プレートへのウエハの受け渡し動作を示す概略断面図である。 第1実施形態の熱処理装置における加熱室へのウエハの搬入動作を示す概略断面図である。 この発明に係る熱処理装置の第4実施形態を示す概略平面図である。 第4実施形態の熱処理装置を示す概略断面図である。 第4実施形態における冷却プレートを示す概略平面図(a)及びその側面図(b)である。 第4実施形態における冷却プレートの変形例を示す概略平面図(a)及びその一部を断面で示す側面図(b)である。 第4実施形態の熱処理装置におけるウエハの加熱・冷却動作を示す概略断面図である。
符号の説明
W 半導体ウエハ(被処理基板)
40,40B 熱処理装置
50,50A,50B,50C,50D 冷却プレート
51 突起
52 吸引孔
53 吸引溝
53a 収納空間
55 真空ポンプ(吸引手段)
56 塞ぎ部材
58 冷却配管(冷媒流路)
59 溝部
60 加熱室
64 熱板
70 搬送手段
71 ワイヤ
73 移動機構
77 駆動部
80 昇降機構
90,90C,90D 冷媒蓄留バッグ
91,92 分割バッグ
93 連通流路
100 プレート移動機構
200 昇降機構
201 支持ピン
500,500C 冷却プレート本体
501,502 貫挿用開口溝

Claims (5)

  1. 被処理基板を加熱する熱板を有する加熱室と、上記熱板によって加熱された被処理基板を冷却する冷却プレートと、上記加熱室に対して被処理基板を搬入・搬出する搬送手段と、を具備する熱処理装置において、
    上記冷却プレートは、該冷却プレートの本体表面に積層される可撓性を有する冷媒蓄留バッグからなる冷媒流路と、吸引手段に接続する複数の吸引孔とを具備してなる、ことを特徴とする熱処理装置。
  2. 被処理基板を加熱する熱板を有する加熱室と、上記熱板によって加熱された被処理基板を冷却する冷却プレートと、上記加熱室に対して被処理基板を搬入・搬出する搬送手段と、を具備する熱処理装置において、
    上記冷却プレートは、該冷却プレートの本体表面に積層される可撓性を有する冷媒蓄留バッグからなる冷媒流路と、上記冷媒蓄留バッグの表面に、該冷媒蓄留バッグ表面との間に隙間をおいて被処理基板を載置する複数の突起と、各突起の近傍に設けられ、吸引手段に接続する吸引孔とを具備してなる、ことを特徴とする熱処理装置。
  3. 請求項又は記載の熱処理装置において、
    上記搬送手段は、上記加熱室と冷却プレートを結ぶ移動路と交差する方向に延在し、被処理基板を載置して搬送する複数本のワイヤと、被処理基板が上記冷却プレートの上方位置と上記加熱室内との間を搬送するように上記ワイヤを移動するワイヤ移動機構を具備し、
    上記冷却プレートは、冷媒蓄留バッグの表面に形成され、上記ワイヤが潜り込み可能な溝部と、被処理基板を受け渡しすべく冷却プレートをワイヤに対して相対的に昇降させる昇降機構とを具備してなる、ことを特徴とする熱処理装置。
  4. 請求項又は記載の熱処理装置において、
    上記冷却プレートは、搬送手段を兼用すべく該冷却プレートを加熱室に対して進退移動するプレート移動機構と、冷却プレートに対して被処理基板を受け渡しする昇降可能な支持ピンの貫挿用開口溝とを具備してなる、ことを特徴とする熱処理装置。
  5. 請求項ないしのいずれかに記載の熱処理装置において、
    上記冷媒蓄留バッグを、連通流路を介して互いに連通する複数の分割バッグにて形成してなる、ことを特徴とする熱処理装置。
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