以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
第1の実施の形態.
図1は、本実施の形態に係るアキシャルギャップ型モータ(以下、単に「モータ」と略称する)1の概略構成を概念的に示す。但し、モータ1の概略構成を分かり易く示す為に、電機子(ここでは固定子)32については、図中手前右側の回転軸92周りの周方向に沿った約45度の部分が切り取られ、界磁子(ここでは回転子)31については、図中手前側の回転軸92周りの周方向に沿った約120度の部分が切り取られた態様で示されている。
モータ1は、電機子32と、回転軸92と平行な方向(回転軸方向)で電機子32と対向する界磁子31とを備えている。
電機子32は、12個のコイル(巻線)A1〜A12(図2参照、図1においてコイルA2,A7,A10,A11は界磁子31で隠れているため、符号A2,A7,A10,A11は付されていない)が集中巻によって配置されて構成されている。
具体的には、電機子32は、円盤状の平板61と当該平板61に対して回転軸方向に突設された12個の磁心部101〜112(図2参照、図1において磁心部101〜103,107,109〜112は界磁子31等で隠れているため、符号101〜103,107,109〜112は付されていない)とが一体となったコア63と、当該磁心部101〜112の周囲にそれぞれ配置されたコイルA1〜A12とを備えている。磁心部101〜112は、平板61の界磁子31側の表面61aにおいて回転軸92の周りの周方向に沿って環状に設けられている。
平板61及び磁心部101〜112は、いずれも鉄等の高透磁率を有する素材(強磁性体)によって構成されている。各磁心部101〜112は、界磁子31側において、特に周方向に拡がった部分(幅広先端部)を有する。当該幅広先端部は、界磁子31側において径方向に凹凸を有し、当該凹凸は周方向に沿って同一形状となっている。
界磁子31は、円盤状の平板62と、8極の永久磁石(以下、単に「磁石」と略称する)621〜628(図6参照、図1において磁石621,622,624,625,628は平板62で隠れているため、符号621,622,624,625,628は付されていない)と、8枚の磁性体701〜708(図4参照、図1において磁性体701,702,704,705,708は平板62で隠れているため、符号701,702,704,705,708は付されていない)とを備えている。
平板62及び磁性体701〜708は、いずれも鉄等の高透磁率を有する素材(強磁性体)によって構成されている。磁石621〜628は、平板62の電機子32との間隙側すなわち界磁子31と電機子32とが接近して対向する間隙(所謂エアギャップ)側に、回転軸92の周りの周方向に沿って環状に配置され、回転軸方向にS極及びN極が並ぶようにそれぞれ磁化されている。磁性体701〜708は、磁石621〜628のエアギャップ側にそれぞれ設けられている。当該磁性体701〜708は、エアギャップ側において径方向に凹凸を有し、当該凹凸は周方向に沿って同一形状となっている。
そして、電機子32のエアギャップ側に設けられた凹凸と界磁子31のエアギャップ側に設けられた凹凸とは、凸部と凹部とが相互に互い違いとなるように配置されている。具体的には、電機子32の凹部に界磁子31の凸部が入り込んで所定の長さのエアギャップを介して相互に対向し合い、電機子32の凸部が界磁子31の凹部に入り込んで所定の長さのエアギャップを介して相互に対向し合う。この電機子32及び界磁子31の凹凸の構造及び相互に対向し合う凹凸の位置関係等については更に後述する。
また、磁石621〜628は、それぞれ界磁用の磁石(界磁用磁石)として機能し、界磁子31は、電機子32で発生した磁束が磁石621〜628に作用することで、電機子32に対して相対的な回転を行う。
図2は、第1の実施の形態に係る電機子32のコア63を界磁子31側から見た平面図であり、図3は、図2のA−A断面図、すなわち磁心部103,109が設けられている位置を含むように、コア63を平板61の軸すなわち回転軸92を含む平面で切った断面図である。
コア63は、円盤状の平板61の表面61a上において、磁心部101〜112が、回転軸92の周りの周方向に沿ってこの順番で環状に設けられて構成されている。磁心部101〜112は、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。なお、図2では、各磁心部101〜112の周囲にそれぞれ配置されるコイルA1〜A12の位置が破線で示されている。
各磁心部101〜112は、周囲に各コイルA1〜A12が配置される磁心本体部103T,109T(図3は断面図であるため、磁心本体部103T,109T以外の磁心本体部の符号が省略されている)と、磁心本体部103T,109Tの平板61とは反対側に設けられた幅広先端部とを有している。各磁心部101〜112の幅広先端部(すなわち界磁子31側)は、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸の92周りの周方向に沿った側面を有する凸部(電機子側突起部)P1〜P3と、凹部(電機子側溝部)B1,B2とを備えて構成されている。
具体的には、磁心部101〜112の界磁子31側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数の電機子側突起部P1〜P3と複数の電機子側溝部B1,B2とが延在している。より詳細には、各磁心部101〜112では、外周側から順に電機子側突起部P1、電機子側溝部B1、電機子側突起部P2、電機子側溝部B2、電機子側突起部P3が配置されている。
つまり、外周側から順に3つの電機子側突起部P1〜P3がこの順で配置され、電機子側突起部P1及び電機子側突起部P2の相互に対向し合う側面によって電機子側溝部B1の両側面が形成され、電機子側突起部P2及び電機子側突起部P3の相互に対向し合う側面によって電機子側溝部B2の両側面が形成されている。また、径方向の外側から順に、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁心部101〜112に設けられた12個の電機子側突起部P1が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁心部101〜112に設けられた12個の電機子側溝部B1が環状に配置され、磁心部101〜112に設けられた12個の電機子側突起部P2が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁心部101〜112に設けられた12個の電機子側溝部B2が環状に配置され、磁心部101〜112に設けられた12個の電機子側突起部P3が環状に配置されている。
なお、ここでは、各電機子側突起部P1〜P3の径方向に沿った厚み(幅)は略同一であり、各電機子側溝部B1,B2の径方向に沿った幅は略同一である。そして、各電機子側突起部P1〜P3の径方向に沿った幅は、各電機子側溝部B1,B2の径方向に沿った幅よりも相対的に短い。
図4は、第1の実施の形態に係る界磁子31に配置された磁性体701〜708に着目して電機子32側から見た平面図であり、図5は、図4のB−B断面図、すなわち磁性体702,706が設けられている位置を含むように、磁性体701〜708を回転軸92を含む平面で切った断面図である。
磁性体701〜708は、回転軸92の周りの周方向に沿ってこの順番で環状に設けられて構成されている。磁性体701〜708は、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。
各磁性体701〜708は、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面を有する凸部(界磁子側突起部)P11〜P14と、凹部(界磁子側溝部)B11〜B13とを備えている。
具体的には、磁性体701〜708の電機子32側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数の界磁子側突起部P11〜P14と複数の界磁子側溝部B11〜B13とが延在している。
より詳細には、各磁性体701〜708では、外周側から順に界磁子側突起部P11、界磁子側溝部B11、界磁子側突起部P12、界磁子側溝部B12、界磁子側突起部P13、界磁子側溝部B13、界磁子側突起部P14が配置されている。
つまり、外周側から順に4つの界磁子側突起部P11〜P14がこの順で配置され、界磁子側突起部P11及び界磁子側突起部P12の相互に対向し合う側面によって界磁子側溝部B11の両側面が形成され、界磁子側突起部P12及び界磁子側突起部P13の相互に対向し合う側面によって界磁子側溝部B12の両側面が形成され、界磁子側突起部P13及び界磁子側突起部P14の相互に対向し合う側面によって界磁子側溝部B13の両側面が形成されている。また、径方向の外側から順に、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701〜708に設けられた8個の界磁子側突起部P11が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701〜708に設けられた8個の界磁子側溝部B11が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701〜708に設けられた8個の界磁子側突起部P12が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701〜708に設けられた8個の界磁子側溝部B12が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701〜708に設けられた8個の界磁子側突起部P13が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701〜708に設けられた8個の界磁子側溝部B13が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701〜708に設けられた8個の界磁子側突起部P14が環状に配置されている。
なお、ここでは、各界磁子側突起部P11〜P14の径方向に沿った厚み(幅)は、各電機子側突起部P1〜P3の径方向に沿った厚みと略同一であり、各界磁子側溝部B11〜B13の径方向に沿った幅は、各電機子側溝部B1,B2の径方向に沿った幅と略同一である。つまり、各界磁子側突起部P11〜P14の径方向に沿った幅は、各界磁子側溝部B11〜B13の径方向に沿った幅よりも相対的に短い。
図6は、界磁子31の構成を概念的に示す斜視図である。但し、回転軸92と平行な所定の方向91に沿って分解して示している。
界磁子31は、平板62、複数(ここでは8つ)の磁石621〜628、及び複数(ここでは8つ)の磁性体701〜708を備える。なお、図6では、界磁子31の構成を簡略的に示すために磁性体701〜708の表面上に設けられた凹凸の記載を省略している。
平板62は、略中央部に軸孔PLが設けられた円盤状の平板である。磁石621〜628は、平板62上において、回転軸92の周りにおいて平板62の周方向に沿って環状で且つ相互に隣接して配置されており、隣接する磁石で磁極の極性が異なっている。
複数の磁性体701〜708は、複数の磁石621〜628に対して次の態様で配置される。当該配置の際には、複数の磁性体701〜708を複数の磁石621〜628に対して例えばそれぞれ固着させる。各磁性体701〜708は、平板62とは反対側から各磁石621〜628にそれぞれ被せられる。具体的には、磁性体701が磁石621に被せられ、磁性体702が磁石622に被せられ、磁性体703が磁石623に被せられ、磁性体704が磁石624に被せられ、磁性体705が磁石625に被せられ、磁性体706が磁石626に被せられ、磁性体707が磁石627に被せられ、磁性体708が磁石628に被せられる。
図7は、モータ1を平板側62の上方側(電機子32とは反対側)から見た平面図であり、図8は、図7のC−C断面図である。図8では、界磁子31と電機子32とが対向する状態、すなわち、界磁子31の電機子32側に設けられている各磁性体701〜708と、電機子32の界磁子31側に設けられている各磁心部101〜112とが対向する態様を示している。なお、図8は、磁性体701〜708のうちの磁性体702,706、磁心部101〜112のうちの磁心部103,109が含まれるように回転軸92を含む平面でモータ1が切断された断面図を示している。なお、他の磁性体701,703〜705,707,708と他の磁心部101,102,104〜108,110〜112との対向関係については、磁性体703,707と磁心部103,109との対向関係と同様であるため、図示及び説明を省略する。
図8に示すように、電機子32に設けられた電機子側突起部P1〜P3が、界磁子31に設けられた界磁子側溝部B11〜B13に入り込み、界磁子31に設けられた界磁子側突起部P12,P13が、電機子32に設けられた電機子側溝部B1,B2に入り込んでいる。より詳細には、回転軸92から相対的に離隔した外周側から順に、界磁子側突起部P11が電機子側突起部P1〜P3よりも回転軸92から離隔した外周側に設けられ、電機子側突起部P1が界磁子側溝部B11に入り込み、界磁子側突起部P12が電機子側溝部B1に入り込み、電機子側突起部P2が界磁子側溝部B12に入り込み、界磁子側突起部P13が電機子側溝部B2に入り込み、電機子側突起部P3が界磁子側溝部B13に入り込んでいる。そして、界磁子側突起部P14が電機子側突起部P1〜P3よりも回転軸92に対して接近した内周側に設けられている。
図9は、図8の左半分を拡大した図、すなわちモータ1のエアギャップ近傍の構成を示す断面図である。
電機子側突起部P1は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った先端部の面(電機子側突起部先端面)T1と、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面(電機子側突起部側面)V1とを有する。電機子側突起部P2は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った先端部の面(電機子側突起部先端面)T2と、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面(電機子側突起部側面)V2とを有する。電機子側突起部P3は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った先端部の面(電機子側突起部先端面)T3と、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面(電機子側突起部側面)V3とを有する。
電機子側溝部B1は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った底の面(電機子側溝部底面)H1を有し、電機子側溝部B1の側面は電機子側突起部側面V1,V2によって形成されている。電機子側溝部B2は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った底の面(電機子側溝部底面)H2を有し、電機子側溝部B2の側面は電機子側突起部側面V2,V3によって形成されている。
界磁子側突起部P11は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った先端部の面(界磁子側突起部先端面)T11と、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面(界磁子側突起部側面)V11とを有する。界磁子側突起部P12は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った先端部の面(界磁子側突起部先端面)T12と、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面(界磁子側突起部側面)V12とを有する。界磁子側突起部P13は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った先端部の面(界磁子側突起部先端面)T13と、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面(界磁子側突起部側面)V13とを有する。界磁子側突起部P14は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った先端部の面(界磁子側突起部先端面)T14と、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面(界磁子側突起部側面)V14とを有する。
界磁子側溝部B11は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った底の面(界磁子側溝部底面)H11を有し、界磁子側溝部B11の側面は界磁子側突起部側面V11,V12によって形成されている。界磁子側溝部B12は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った底の面(界磁子側溝部底面)H12を有し、界磁子側溝部B12の側面は界磁子側突起部側面V12,V13によって形成されている。界磁子側溝部B13は、回転軸92に対して略垂直で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った底の面(界磁子側溝部底面)H13を有し、界磁子側溝部B13の側面は界磁子側突起部側面V13,V14によって形成されている。
そして、各電機子側突起部側面V1〜V3、及び各界磁子側突起部側面V11〜V14は、回転軸92に対して垂直な面に対して約90度傾いた面となっている。
モータ1では、外周側から順に、界磁子側突起部側面V11と電機子側突起部側面V1とが回転軸92に対して略垂直な方向に接近して対向し、電機子側突起部側面V1と界磁子側突起部側面V12とが回転軸92に対して垂直な方向に接近して対向し、界磁子側突起部側面V12と電機子側突起部側面V2とが回転軸92に対して略垂直な方向に接近して対向し、電機子側突起部側面V2と界磁子側突起部側面V13とが回転軸92に対して垂直な方向に接近して対向し、界磁子側突起部側面V13と電機子側突起部側面V3とが回転軸92に対して略垂直な方向に接近して対向し、電機子側突起部側面V3と界磁子側突起部側面V14とが回転軸92に対して垂直な方向に接近して対向する。
このように、電機子側突起部P1〜P3と界磁子側突起部P11〜P14とが回転軸92に対して略平行であり且つ周方向に沿った面で相互に接近して対向すると、電機子32と界磁子31とが相互に吸引及び排斥し合う力が、回転軸92の周りの径方向に分散する。したがって、回転軸92に平行なスラスト力の発生を効果的に抑制することができる。
また、界磁子側突起部側面V11〜V14のうちの電機子側突起部側面V1〜V3と対向する領域の面積(垂直方向対向面積)が、界磁子側溝部底面H11〜H13のうちの電機子側突起部先端面T1〜T3と対向する領域の面積と、電機子側溝部底面H1,H2のうちの界磁子側突起部先端面T12,T13と対向する領域の面積とを合計した面積(水平方向対向面積)よりも相対的に大きくなっている方が好ましい。
ここで言う垂直方向対向面積は、界磁子側突起部側面V11のうちの回転軸92と略垂直な方向に電機子側突起部側面V1と対向する面積と、界磁子側突起部側面V12のうちの回転軸92と略垂直な方向に電機子側突起部側面V1と対向する面積と、界磁子側突起部側面V12のうちの回転軸92と略垂直な方向に電機子側突起部側面V2と対向する面積と、界磁子側突起部側面V13のうちの回転軸92と略垂直な方向に電機子側突起部側面V2と対向する面積と、界磁子側突起部側面V13のうちの回転軸92と略垂直な方向に電機子側突起部側面V3と対向する面積と、界磁子側突起部側面V14のうちの回転軸92と略垂直な方向に電機子側突起部側面V3と対向する面積とを合計した面積である。
また、ここで言う水平方向対向面積は、界磁子側溝部底面H11のうちの回転軸92と略平行な方向に電機子側突起部先端面T1と対向する領域の面積と、電機子側溝部底面H1のうちの回転軸92と略平行な方向に界磁子側突起部先端面T12と対向する領域の面積と、界磁子側溝部底面H12のうちの回転軸92と略平行な方向に電機子側突起部先端面T2と対向する領域の面積と、電機子側溝部底面H2のうちの回転軸92と略平行な方向に界磁子側突起部先端面T13と対向する領域の面積と、界磁子側溝部底面H13のうちの回転軸92と略平行な方向に電機子側突起部先端面T3と対向する領域の面積とを合計した面積である。
なお、界磁子側突起部先端面T11,T14が、コイルA1〜A12(図9は、断面図であるため、図示の関係上コイルA1,A2,A4〜A12の記載が省略されている)と接近して対向する場合には、界磁子側突起部先端面T11,T14のうちの、コイルA1〜A12と対向する領域の面積を、水平方向対向面積に加えることが好ましく、この場合でも、水平方向対向面積よりも垂直方向対向面積の方が相対的に大きい方が更に好ましい。
このように、相互に接近して対向し且つ回転軸92に略平行な面の面積が、相互に接近して対向し且つ回転軸92に略垂直な面の面積よりも相対的に大きくなると、電機子32と界磁子31との間における磁束のうち、径方向に沿った磁束の割合が増加する。このため、回転軸92に平行なスラスト力の発生を更に抑制することができる。
また、回転軸92に対して略垂直な方向に対向する電機子32と界磁子31との最短距離(すなわち径方向に対向する最短距離)は、回転軸92に対して略平行に対向する電機子32と界磁子31との最短距離(すなわち回転軸方向に対向する最短距離)よりも短かいことが望ましい。
詳細には以下の態様であることが望ましい。界磁子側突起部側面V11と電機子側突起部側面V1とが離隔された最短距離、電機子側突起部側面V1と界磁子側突起部側面V12とが離隔された最短距離、界磁子側突起部側面V12と電機子側突起部側面V2とが離隔された最短距離、電機子側突起部側面V2と界磁子側突起部側面V13とが離隔された最短距離、界磁子側突起部側面V13と電機子側突起部側面V3とが離隔された最短距離、及び電機子側突起部側面V3と界磁子側突起部側面V14とが離隔された最短距離がそれぞれ略同一の所定の離隔距離(水平離隔距離)である。一方、電機子側突起部先端面T1と界磁子側溝部底面H11とが離隔された最短距離、電機子側溝部底面H1と界磁子側突起部先端面T12とが離隔された最短距離、電機子側突起部先端面T2と界磁子側溝部底面H12とが離隔された最短距離、電機子側溝部底面H2と界磁子側突起部先端面T13とが離隔された最短距離、及び電機子側突起部先端面T3と界磁子側溝部底面H13とが離隔された最短距離がそれぞれ略同一の所定の離隔距離(垂直離隔距離)である。そして、所定の水平離隔距離の方が、所定の垂直離隔距離よりも大きい。
更に、界磁子側突起部先端面T11,T14は、回転軸92に平行な方向に、コイルA1〜A12(図9は、断面図であるため、図示の関係上コイルA1,A2,A4〜A12の記載が省略されている)と対向するが、当該対向する距離も水平離隔距離よりも大きいことが望ましい。すなわち、相互に接近して対向する各電機子側突起部側面V1〜V3と各界磁子側突起部側面V11〜V14との最短距離が、電機子32及び界磁子31のうちの電機子側突起部側面V1〜V3と界磁子側突起部側面V11〜V14とを除く残余の接近して対向する各組合せの面どうしの最短距離よりも相対的に短いことが望ましい。
このように、界磁子31と電機子32との間で、相互に接近して対向する回転軸92に垂直な面に対して傾いた面どうしの最短距離を、相互に接近して対向する回転軸92に略垂直な面どうしの最短距離よりも相対的に短くすると、電機子32と界磁子31との間における磁束が主として径方向に沿ったものとなる。このため、回転軸92に平行なスラスト力をより低減させることができる。
上述した電機子32と界磁子31とが相互に凹凸を有する面で接近して対向するモータ1に係る技術によれば、電機子32と界磁子31とが回転軸92に垂直な面に対して約90度傾き且つ周方向に沿った面で相互に接近して対向する。このため、電機子32と界磁子31との間における磁束の向きが回転軸92に略平行な方向から傾き、電機子32と界磁子31とが相互に吸引及び排斥し合う力を回転軸92に略平行な方向から他の方向に分散させることができる。したがって、モータの小型化を阻害することなく、容易にスラスト力の発生を抑制することができる。
また、各磁心部101〜112の幅広先端部に、電機子側突起部P1〜P3及び電機子側溝部B1,B2を直接設けることで、電機子32に特別な部材を用いることなく、電機子32と界磁子31とを回転軸92に対して傾いた面で接近させて対向させている。
更に、図8及び図9に示したように、界磁子31に設けられた各磁性体701〜708は、各磁心部101〜112と比較して、外周側及び内周側まで延設されている。そして、各磁性体701〜708に設けられた界磁子側突起部P11〜P14は、各磁心部101〜112に設けられた電機子側突起部P1〜P3よりも数が多い。具体的には、複数の電機子側突起部P1〜P3よりも外周側に少なくとも1以上(ここでは1つ)の界磁子側突起部P11が設けられ、複数の電機子側突起部P1〜P3よりも内周側に少なくとも1以上(ここでは1つ)の界磁子側突起部P14が設けられている。更に、外周側及び内周側の界磁子側突起部P11,P14の先端面(界磁子側突起部先端面)T11,T14が、回転軸92に平行な方向に、磁心部101〜112の周囲に配置されたコイルA1〜A12と接近して対向している。
このような構成を採用したのは、モータ1の外径いっぱいにコア63を配置した場合には、磁心部101〜112の幅広先端部が拡がり過ぎて、コイルA1〜A12が周囲に配置された磁心本体部103T,109T(図3)から幅広先端部にかけた磁路が飽和し易くなるためである。したがって、当該構成により、界磁子31と対向する電機子32のコア63の幅広先端部が過大となり、当該コア63のコイルA1〜A12に囲まれている部分から幅広先端部にかけた経路で磁路が飽和してしまう不具合を防止することができる。更に、磁心101〜112の周囲に配置されたコイルA1〜A12の上まで電機子32と界磁子31とを接近させて対向させ、電機子32と界磁子31との間の空間を有効利用して鎖交磁束を増加させることもできる。
第2の実施の形態.
第1の実施の形態に係るモータ1では、電機子32側の各磁心部101〜112に3つの電機子側突起部P1〜P3が設けられ、界磁子31側の各磁性体701〜708に4つの界磁子側突起部P11〜P14が設けられた。これに対して、第2の実施の形態に係るモータ1Aでは、電機子32A側の各磁心部101A〜112Aに4つの電機子側突起部P21〜P24が設けられ、界磁子31A側の各磁性体701A〜708Aに3つの界磁子側突起部P31〜P33が設けられている。つまり、第2の実施の形態に係るモータ1Aは、第1の実施の形態に係るモータ1と比較して、電機子側と界磁子側との間で相互に接近して対向する突起部の配置数が変更された点が異なり、その他の構成は同様なものとなるため、同様な構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図10は、第2の実施の形態に係るモータ1Aの断面図であり、図7のC−C断面図に相当する。図10では、図8と同様に回転軸92が付されている。また、図11は、第2の実施の形態に係る電機子32Aのコア63Aを界磁子31A側から見た平面図であり、図12は、第2の実施の形態に係る界磁子31Aの磁性体701A〜708Aを電機子32A側から見た平面図である。
第2の実施の形態に係るモータ1Aは、電機子32Aと、当該電機子32Aに対して相対的な回転を行い、所定の回転軸92に平行な回転軸方向で当該電機子32Aと対向する界磁子31Aとを備えている。
第2の実施の形態に係る電機子32Aは、第1の実施形態に係る電機子32のコア63に含まれる幅広先端部の凹凸の数が変更されたものである。
コア63Aは、第1の実施の形態に係るコア63と同様に、円盤状の平板61の表面61a上において、磁心部101A〜112Aが、回転軸92の周りの周方向に沿ってこの順番で環状に設けられて構成されている。磁心部101A〜112Aは、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。
各磁心部101A〜112Aは、第1の実施の形態に係るコア63と同様に、周囲に各コイルA1〜A12が配置される磁心本体部と、平板61とは反対側に設けられた幅広先端部とを有している。各磁心部101A〜112Aの幅広先端部は、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面を有する凸部(電機子側突起部)P21〜P24と、凹部(電機子側溝部)B21〜B23とを備えて構成されている。
具体的には、外周側から順に4つの電機子側突起部P21〜P24がこの順で配置され、電機子側突起部P21及び電機子側突起部P22の相互に対向し合う側面によって電機子側溝部B21の両側面が形成され、電機子側突起部P22及び電機子側突起部P23の相互に対向し合う側面によって電機子側溝部B22の両側面が形成され、電機子側突起部P23及び電機子側突起部P24の相互に対向し合う側面によって電機子側溝部B23の両側面が形成されている。また、径方向の外側から順に、12個の電機子側突起部P21が環状に配置され、12個の電機子側溝部B21が環状に配置され、12個の電機子側突起部P22が環状に配置され、12個の電機子側溝部B22が環状に配置され、12個の電機子側突起部P23が環状に配置され、12個の電機子側溝部B23が環状に配置され、12個の電機子側突起部P24が環状に配置されている。
換言すれば、磁心部101A〜112Aの界磁子31A側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数の電機子側突起部P21〜P24と複数の電機子側溝部B21〜B23とが延在している。
第2の実施の形態に係る界磁子31Aは、第1の実施形態に係る界磁子31の磁性体701〜708の凹凸の数が変更されて、磁性体701〜708が磁性体701A〜708Aとされるとともに、平板62の半径が若干小さく調整されて平板62が平板62Aとされたものである。
磁性体701A〜708Aは、回転軸92の周りの周方向に沿ってこの順番で環状に設けられて構成されている。磁性体701A〜708Aは、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。
各磁性体701A〜708Aは、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面を有する凸部(界磁子側突起部)P31〜P33と、凹部(界磁子側溝部)B31,B32とを備えている。
換言すれば、磁性体701A〜708Aの電機子32A側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数の界磁子側突起部P31〜P33と複数の界磁子側溝部B31,B32とが延在している。
具体的には、外周側から順に3つの界磁子側突起部P31〜P33がこの順で配置され、界磁子側突起部P31及び界磁子側突起部P32の相互に対向し合う側面によって界磁子側溝部B31の両側面が形成され、界磁子側突起部P32及び界磁子側突起部P33の相互に対向し合う側面によって界磁子側溝部B32の両側面が形成されている。また、径方向の外側から順に、8個の界磁子側突起部P31が環状に配置され、8個の界磁子側溝部B31が環状に配置され、8個の界磁子側突起部P32が環状に配置され、8個の界磁子側溝部B32が環状に配置され、8個の界磁子側突起部P33が環状に配置されている。
また、図6に示すように、界磁子31Aは、平板62A、複数(ここでは8つ)の磁石621〜628、及び複数(ここでは8つ)の磁性体701A〜708Aを備える。平板62Aは、平板62の半径が適宜調整された平板である。
図10に示すように、電機子32Aに設けられた電機子側突起部P22,P23が、界磁子31Aに設けられた界磁子側溝部B31,B32に入り込み、界磁子31Aに設けられた界磁子側突起部P31〜P33が、電機子32Aに設けられた電機子側溝部B21〜B23に入り込んでいる。より詳細には、回転軸92から相対的に離隔した外周側から順に、電機子側突起部P21が界磁子側突起部P31〜P33よりも回転軸92から離隔した外周側に設けられ、界磁子側突起部P31が電機子側溝部B21に入り込み、電機子側突起部P22が界磁子側溝部B31に入り込み、界磁子側突起部P32が電機子側溝部B22に入り込み、電機子側突起部P23が界磁子側溝部B32に入り込んでいる。そして、電機子側突起部P24が界磁子側突起部P31〜P33よりも回転軸92に対して接近した内周側に設けられている。
また、各電機子側突起部P21〜P24の側面、及び各界磁子側突起部P31〜P33の側面は、回転軸92に対して垂直な面に対して約90度傾いた面となっている。
そして、モータ1Aでは、外周側から順に、電機子側突起部P21の側面と界磁子側突起部P31の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、界磁子側突起部P31の側面と電機子側突起部P22の側面とが回転軸92に対して垂直な方向に対向し、電機子側突起部P22の側面と界磁子側突起部P32の側面とが回転軸92に対して垂直な方向に対向し、界磁子側突起部P32の側面と電機子側突起部P23の側面とが回転軸92に対して垂直な方向に対向し、電機子側突起部P23の側面と界磁子側突起部P33の側面とが回転軸92に対して垂直な方向に対向し、界磁子側突起部P33の側面と電機子側突起部P24の側面とが回転軸92に対して垂直な方向に対向する。
このように、電機子側突起部P21〜P24と界磁子側突起部P31〜P33とが回転軸92に対して略平行であり且つ周方向に沿った面で相互に対向すると、電機子32Aと界磁子31Aとが相互に吸引及び排斥し合う力が、回転軸92の周りの径方向に分散する。したがって、回転軸92に平行なスラスト力の発生を効果的に抑制することができる。
また、界磁子側突起部P31〜P33の側面のうちの電機子側突起部P21〜P24の側面と接近して対向する領域の面積(垂直方向対向面積)が、界磁子側溝部B31,B32の底面のうちの電機子側突起部P22,P23の先端面と接近して対向する領域の面積と、電機子側溝部B21〜B23の底面のうちの界磁子側突起部P31〜P33の先端面と接近して対向する領域の面積とを合計した面積(水平方向対向面積)よりも相対的に大きくなっていることが好ましい。
このように、電機子32Aと界磁子31Aとの間で、相互に対向し且つ回転軸92に略平行な面の面積が、相互に対向し且つ回転軸92に略垂直な面の面積よりも相対的に大きくなると、電機子32Aと界磁子31Aとの間における磁束のうち、径方向に沿った磁束の割合が増加する。このため、回転軸92に平行なスラスト力の発生を更に抑制することができる。
界磁子側突起部P31〜P33の各側面と電機子側突起部P21〜P24の各側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に離隔した距離は略一定であり、略一定に設定された界磁子側突起部P31〜P33の各先端面と電機子側溝部B21〜B23の各底部との最短距離及び電機子側突起部P22,P23の各先端面と界磁子側溝部B31,B32の各底部との最短距離よりも短くなっている。
このように、電機子32Aと界磁子31Aとの間で、相互に接近して対向する回転軸92に垂直な面に対して傾いた面どうしの最短距離を、相互に接近して対向する回転軸92に略垂直な面どうしの最短距離よりも相対的に短くすると、電機子32Aと界磁子31Aとの間における磁束が主として径方向に沿ったものとなる。このため、回転軸92に平行なスラスト力をより低減させることができる。
上述した電機子32Aと界磁子31Aとが相互に凹凸を有する面で接近して対向するモータ1Aに係る技術によれば、電機子32Aと界磁子31Aとが回転軸92に垂直な面に対して約90度傾き且つ周方向に沿った面で相互に接近して対向する。このため、電機子32Aと界磁子31Aとの間における磁束の向きが回転軸92に平行な方向から傾き、電機子32Aと界磁子31Aとが相互に吸引及び排斥し合う力を回転軸92に平行な方向から他の方向に分散させることができる。したがって、モータの小型化を阻害することなく、容易にスラスト力の発生を抑制することができる。
また、電機子側突起部P21,P24は、磁石621〜628の側方(すなわち回転軸92に対して略垂直な方向に磁石621〜628から延ばした空間領域)まで延設されている。換言すれば、電機子側突起部P21,P24は、回転軸92に対して略垂直であり且つ複数の磁石621〜628を含む面上まで延設されている。
このような構成により、界磁子31Aの磁性体701A〜708Aの最外周に位置する界磁子側突起部P31及び磁石621〜628の外周面からの磁束を界磁子側突起部P31及び磁石621〜628の外周面の側方まで設けた電機子側突起部P21によって効率良く拾い上げることができる。つまり、界磁子側突起部P31等からの漏れ磁束を低減して、鎖交磁束を増大させることができる。また、界磁子31Aの磁性体701A〜708Aの最内周に位置する界磁子側突起部P33及び磁石621〜628の内周面からの磁束を界磁子側突起部P33及び磁石621〜628の内周面の側方まで設けた電機子側突起部P24によって効率良く拾い上げることができる。つまり、界磁子側突起部P33等からの漏れ磁束を低減して、鎖交磁束を増大させることができる。
そして、電機子側突起部P21,P24と平板62Aとの最短距離は、界磁子側突起部P31〜P33の各側面と電機子側突起部P21〜P24の各側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に離隔した距離(離隔距離)の約2倍以上に設定されていることが望ましい。これは、電機子32Aのコア63Aが界磁子31Aの平板62Aと近づき過ぎると、磁石621〜628からコア63Aへの磁束が、コア63Aから平板62A側へ漏洩し易くなるからである。すなわち、このような構成を採用するのは、漏れ磁束が増大してしまう不具合を防止する為である。
但し、上記第1の実施の形態で説明したように、各磁心部101A〜112Aの幅広先端部が拡がり過ぎて、コイルA1〜A12が周囲に配置された磁心本体部から幅広先端部にかけた磁路が飽和し易くなるデメリットが発生する虞がある。したがって、本実施の形態のように幅広先端部を拡大することで漏れ磁束を低減できる効果と、第1の実施の形態のように幅広先端部を過度に拡大させないことによって得られる効果とは、所謂トレードオフの関係にある。
したがって、設計上、重要視したい効果、又はバランスを考えて上記2つの構成を選択的に採用すべきである。例えば、磁石621〜628が配置される領域の径が小さい場合、すなわち磁石621〜628のサイズが小さな場合には、磁石621〜628の側方における漏れ磁束の影響が大きくなるため、本実施の形態のように漏れ磁束の低減を重要視する方が良いと考えられる。なお、磁石621〜628は高価であるため、コスト削減を図る上で、磁石621〜628のサイズを小さくすることがある。すなわち、本実施の形態に係る構成は、コスト削減を図る上でも有効である。
なお、本実施の形態では、各磁心部101A〜112Aにおいて、界磁子側突起部P31〜P33よりも回転軸92から離隔した外周側に1つの電機子側突起部P21が設けられたが、界磁子側突起部P31〜P33よりも回転軸92から離隔した外周側に設けられる電機子側の突起部の数は1以上であれば良い。また、各磁心部101A〜112Aにおいて、界磁子側突起部P31〜P33よりも回転軸92に対して接近した内周側に1つの電機子側突起部P24が設けられたが、界磁子側突起部P31〜P33よりも回転軸92に対して接近した内周側に設けられる電機子側の突起部の数は1以上であれば良い。
第3の実施の形態.
第1及び第2の実施の形態に係るモータ1,1Aでは、電機子32,32Aと界磁子31,31Aとが接近して対向する面に設けられた凹凸が、回転軸92と略平行な方向に沿い且つ周方向に沿った側面を有する突起部によって形成された。これに対して、第3の実施の形態に係るモータ1Bでは、電機子32Bと界磁子31Bとが接近して対向する面に設けられる凹凸が、尖鋭な先端部を有する突起部によって形成されている。つまり、第3の実施の形態に係るモータ1Bは、第1及び第2の実施の形態に係るモータ1,1Aと比較して、電機子側及び界磁子側の双方において相互に対向して設けられる突起部の形状や数が変更された点が異なり、その他の構成は同様なものとなるため、同様な構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図13は、第3の実施の形態に係るモータ1Bの断面図であり、図7のC−C断面図に相当する。図13では、図8と同様に回転軸92が付されている。また、図14は、第3の実施の形態に係る電機子32Bのコア63Bを界磁子31B側から見た平面図であり、図15は、第3の実施の形態に係る界磁子31Bの磁性体701B〜708Bを電機子32B側から見た平面図である。
第3の実施の形態に係るモータ1Bは、電機子32Bと、当該電機子32Bに対して相対的な回転を行い、所定の回転軸92に平行な回転軸方向で当該電機子32Bと対向する界磁子31Bとを備えている。
第3の実施の形態に係る電機子32Bは、第1の実施形態に係る電機子32のコア63の幅広先端部の凹凸の形状ならびに数が変更されたものである。
コア63Bは、第1の実施の形態に係るコア63と同様に、円盤状の平板61の表面61a上において、磁心部101B〜112Bが、回転軸92の周りの周方向に沿ってこの順番で環状に設けられて構成されている。磁心部101B〜112Bは、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。
各磁心部101B〜112Bは、第1の実施の形態に係るコア63と同様に、周囲に各コイルA1〜A12が配置される磁心本体部と、平板61とは反対側に設けられた幅広先端部とを有している。各磁心部101B〜112Bの幅広先端部は、回転軸92に垂直な面に対して所定の角度だけ傾けられ且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面を有する凸部(電機子側突起部)P41〜P44と、凹部(電機子側溝部)B41〜B43とを備えて構成されている。
回転軸92を含む平面で切った各電機子側突起部P41〜P44の断面形状は、先端が鋭角である略三角形(ここでは、二等辺三角形)であり、外周側から順に4つの電機子側突起部P41〜P44がこの順で配置されている。また、電機子側突起部P41及び電機子側突起部P42の側面により電機子側溝部B41が形成され、電機子側突起部P42及び電機子側突起部P43の側面により電機子側溝部B42が形成され、電機子側突起部P43及び電機子側突起部P44の側面により電機子側溝部B43が形成されている。
つまり、電機子側突起部P41〜P44については、回転軸92を含む平面で切った断面形状がV字型あり、側面と先端面とが一体の面として回転軸92に垂直な面に対して所定角度だけ傾いた面によって形成されている。また、電機子側溝部B41〜B43については、回転軸92を含む平面で切った断面形状がV字型であり、側面と底面とが一体の面として回転軸92に垂直な面に対して所定角度だけ傾いた面によって形成されている。
また、径方向の外側から順に、12個の電機子側突起部P41が環状に配置され、12個の電機子側溝部B41が環状に配置され、12個の電機子側突起部P42が環状に配置され、12個の電機子側溝部B42が環状に配置され、12個の電機子側突起部P43が環状に配置され、12個の電機子側溝部B43が環状に配置され、12個の電機子側突起部P44が環状に配置されている。
換言すれば、磁心部101B〜112Bの界磁子31B側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数の電機子側突起部P41〜P44と複数の電機子側溝部B41〜B43とが延在している。
第3の実施の形態に係る界磁子31Bは、第1の実施形態に係る界磁子31の磁性体701〜708に設けられた凹凸の形状及び数が変更されて、磁性体701〜708が磁性体701B〜708Bとされたものである。つまり、図6に示すように、界磁子31Bは、平板62、複数(ここでは8つ)の磁石621〜628、及び複数(ここでは8つ)の磁性体701B〜708Bを備える。
磁性体701B〜708Bは、回転軸92の周りの周方向に沿ってこの順番で環状に設けられて構成されている。磁性体701B〜708Bは、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。
各磁性体701B〜708Bは、回転軸92に垂直な面に対して所定の角度だけ傾けられ且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面を有する凸部(界磁子側突起部)P51〜P55と、凹部(界磁子側溝部)B51〜B54とを備えている。
換言すれば、磁性体701B〜708Bの電機子32B側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数の界磁子側突起部P51〜P55と複数の界磁子側溝部B51〜B54とが延在している。
回転軸92を含む平面で切った各界磁子側突起部P51〜P55の断面形状は、先端が鋭角である略三角形(ここでは、二等辺三角形)であり、外周側から順に5つの電機子側突起部P51〜P55がこの順で配置されている。また、界磁子側突起部P51及び界磁子側突起部P52の側面により界磁子側溝部B51が形成され、界磁子側突起部P52及び界磁子側突起部P53の側面により界磁子側溝部B52が形成され、界磁子側突起部P53及び界磁子側突起部P54の側面により界磁子側溝部B53が形成され、界磁子側突起部P54及び界磁子側突起部P55の側面により界磁子側溝部B54が形成されている。
つまり、界磁子側突起部P51〜P54については、回転軸92を含む平面で切った断面形状がV字型あり、側面と先端面とが一体の面として回転軸92に垂直な面に対して所定角度だけ傾いた面によって形成されている。また、界磁子側溝部B51〜B54については、回転軸92を含む平面で切った断面形状がV字型であり、側面と底面とが一体の面として回転軸92に垂直な面に対して所定角度だけ傾いた面によって形成されている。
また、径方向の外側から順に、8個の界磁子側突起部P51が環状に配置され、8個の界磁子側溝部B51が環状に配置され、8個の界磁子側突起部P52が環状に配置され、8個の界磁子側溝部B52が環状に配置され、8個の界磁子側突起部P53が環状に配置され、8個の界磁子側溝部B53が環状に配置され、8個の界磁子側突起部P54が環状に配置され、8個の界磁子側溝部B54が環状に配置され、8個の界磁子側突起部P55が環状に配置されている。
図13に示すように、電機子32Bに設けられた電機子側突起部P41〜P44が、界磁子31Bに設けられた界磁子側溝部B51〜B54に入り込み、界磁子31Bに設けられた界磁子側突起部P52〜P54が、電機子32Bに設けられた電機子側溝部B41〜B43に入り込んでいる。より詳細には、回転軸92から相対的に離隔した外周側から順に、界磁子側突起部P51が電機子側突起部P41〜P44よりも回転軸92から離隔した外周側に設けられ、電機子側突起部P41が界磁子側溝部B51に入り込み、界磁子側突起部P52が電機子側溝部B41に入り込み、電機子側突起部P42が界磁子側溝部B52に入り込み、界磁子側突起部P53が電機子側溝部B42に入り込み、電機子側突起部P43が界磁子側溝部B53に入り込み、界磁子側突起部P54が電機子側溝部B43に入り込み、電機子側突起部P44が界磁子側溝部B54に入り込んでいる。そして、界磁子側突起部P55が電機子側突起部P41〜P44よりも回転軸92に対して接近した内周側に設けられている。
また、各電機子側突起部P41〜P44の側面、及び各界磁子側突起部P51〜P55の側面は、回転軸92に対して垂直な面に対して所定の角度(ここでは約30度)だけ傾いた面となっている。モータ1Bでは、各電機子側突起部P41〜P44の側面と各界磁子側突起部P51〜P55の側面とが、回転軸92に対して所定の角度(ここでは約60度)だけ傾いた方向に接近して対向する。このため、電機子32Bと界磁子31Bとの間における磁束の向きが回転軸92に平行な方向から傾き、電機子32Bと界磁子31Bとが相互に吸引及び排斥し合う力を回転軸92に平行な方向から他の方向に分散させることができる。したがって、モータ1Bの小型化を阻害することなく、容易にスラスト力の発生を抑制することができる。
特に、界磁子31Bと電機子32Bとが接近して対向する面(ここでは、略全面)に設けられる突起部の数を、界磁子31B及び電機子32Bの双方ともに、複数とすることで、各電機子側突起部P41〜P44の側面と、各界磁子側突起部P51〜P55の側面とが接近して対向する方向を、回転軸92に対して所定角度(例えば45度)以上の比較的大きな角度だけ傾いた方向とすることができる。すなわち、電機子32Bと界磁子31Bとが相互に吸引及び排斥し合う力を回転軸92に平行な方向から他の方向に分散させることができる。
第4の実施の形態.
第1の実施の形態に係るモータ1では、電機子側溝部B1,B2の底面(電機子側溝部底面)H1,H2、及び界磁子側溝部B11〜B13の底面(界磁子側溝部底面)H11〜H13が回転軸92に対して略垂直な平面で形成されていた。これに対して、第4の実施の形態に係るモータ1Cでは、電機子側溝部底面H1,H2及び界磁子側溝部底面H11〜H13に対し、回転軸92を含む平面で切った断面がV字型であり且つ周方向に沿って形成された凹み部を更に設けている。つまり、第4の実施の形態に係るモータ1Cは、第1の実施の形態に係るモータ1と比較して、電機子側溝部底面H1,H2及び界磁子側溝部底面H11〜H13の形状が変更されて、電機子側溝部B1,B2及び界磁子側溝部B11〜B13が、電機子側溝部B61,B62及び界磁子側溝部B71〜B73とされ、それに伴って、磁心部101〜112及び磁性体701〜708が磁心部101C〜112C及び磁性体701C〜708Cとされている点が異なる。その他の構成は同様なものとなるため、同様な構成については同じ符号を使用して説明を省略する。
図16は、第4の実施の形態に係るモータ1Cの断面図であり、図7のC−C断面図に相当する。図16では、図8と同様に回転軸92が付されている。また、図17は、第3の実施の形態に係る電機子32Cのコア63Cを界磁子31C側から見た平面図であり、図18は、第4の実施の形態に係る界磁子31Cの磁性体701C〜708Cを電機子32C側から見た平面図である。
第4の実施の形態に係るモータ1Cは、電機子32Cと、当該電機子32Cに対して相対的な回転を行い、所定の回転軸92に平行な回転軸方向で当該電機子32Cと対向する界磁子31Cとを備えている。
電機子32Cについては、図16及び図17に示すように、磁心部101C〜112Cが、第1の実施の形態の各磁心部101〜112と同様に配置されている。そして、各磁心部101C〜112Cにおいて、回転軸92の周りの径方向に沿って隣接配置され、且つ周方向に沿って延在する3つの突起部(電機子側突起部)P1〜P3が設けられている。そして、回転軸92の周りの径方向に沿って隣接配置された各2つの電機子側突起部の組によって溝部(電機子側溝部)B61,B62が形成されている。
各電機子側溝部B61,B62は、回転軸92を含む平面に沿った断面形状がV字型であり且つ回転軸92の周りの周方向に沿って一様に凹んだ底部(電機子側底部)B61s,B62sを有している。具体的には、電機子側溝部B61が、電機子側底部B61sを有し、電機子側溝部B62が、電機子側底部B62sを有している。
界磁子31Cについては、図16及び図18に示すように、磁性体701C〜708Cが、第1の実施の形態の各磁性体701〜708と同様に配置されている。そして、各磁性体701C〜708Cにおいて、回転軸92の周りの径方向に沿って隣接配置され、且つ周方向に沿って延在する4つの突起部(界磁子側突起部)P11〜P14が設けられている。そして、回転軸92の周りの径方向に沿って隣接配置された各2つの界磁子側突起部の組によって溝部(界磁子側溝部)B71〜B73が形成されている。
各界磁子側溝部B71〜B73は、回転軸92を含む平面に沿った断面形状がV字型であり且つ回転軸92の周りの周方向に沿って一様に凹んだ底部(界磁子側底部)B71s〜B73sを有している。具体的には、界磁子側溝部B71が界磁子側底部B71sを有し、界磁子側溝部B72が界磁子側底部B72sを有し、界磁子側溝部B73が界磁子側底部B73sを有している。
このように、電機子側溝部B61,B62及び界磁子側溝部B71〜B73の底部をそれぞれ凹ませることで、電機子32Cと界磁子31Cとが回転軸92と平行な方向に対向する距離(エアギャップの長さ)が更に長くなる。このため、電機子32Cと界磁子31Cとの間における回転軸92に平行な磁束を更に低減させることができる。したがって、回転軸92に平行なスラスト力の発生を更に低減することができる。
なお、ここでは、各電機子側溝部B61,B62及び各界磁子側溝部B71〜B73の底部をそれぞれ回転軸92を含む断面形状がV字型となるように凹ませた。しかしながら、これに限られず、例えば、曲面状に凹ませても、電機子32Cと界磁子31Cとが回転軸92と平行な方向に対向する距離(エアギャップの長さ)が更に長くなり、回転軸92に平行なスラスト力の発生を更に低減することができる。
但し、界磁子31Cについては、回転軸92に沿って薄肉化を図る上で、磁石621〜628まで(又は磁石621〜628の近傍まで)界磁子側溝部B71〜B73の底部を凹ませることが想定される。このような場合には、各界磁子側溝部B71〜B73の底部を曲面状に凹ませるよりも、V字型に凹ませる方が、凹み部近傍の磁石621〜628から界磁子側突起部P11〜P14に向けて磁束をスムーズに流すことができる。なお、磁石の磁極面すべてを磁性体701C〜708Cが覆うことが、磁気抵抗を低減する上で望ましい。したがって、最大で、界磁子側溝部B71〜B73の底部が磁石621〜628に接する程度まで界磁子側溝部B71〜B73の深さを深くできる。但し、磁性体701C〜708Cの製造時の取り扱いを考えれば、各磁極に被せられる磁性体を磁極毎に一体化する方が好ましいため、界磁子側溝部B71〜B73の底部と磁石とは接しない方が望ましい。
また、電機子側底部B61s,B62s及び界磁子側底部B71s〜B73sに対して更に溝を設けて、当該溝を利用することで、電機子側突起部P1〜P3の側面と界磁子側突起部P11〜P14の側面との離隔距離(すなわちエアギャップの長さ)をより正確に調整することができるようにしても良い。当該態様について図19を参照しつつ以下説明する。
図19は、図16で示した断面図のうち、電機子側突起部P1、界磁子側突起部P12、電機子側溝部B61、及び界磁子側溝部B71近傍に着目した図である。なお、他の電機子側突起部P2,P3、界磁子側突起部P13、電機子側溝部B62、及び界磁子側溝部B72,B73についても同様な構成となるため、ここでは図示を省略している。
図19で示すように、電機子側溝部B61には、電機子32Cと界磁子31Cとを回転軸92と平行な方向に沿って接近させて当接させた場合に、界磁子側突起部P12が嵌合する溝部(電機子側嵌合部)K61が設けられている。また、界磁子側溝部B71には、電機子32Cと界磁子31Cとを回転軸92と平行な方向に沿って接近させて当接させた場合に、電機子側突起部P1が嵌合する溝部(界磁子側嵌合部)K71が設けられている。つまり、これらの電機子側嵌合部K61及び界磁子側嵌合部K71は、電機子側溝部B61及び界磁子側溝部B71の延在方向、すなわち回転軸92の周りの周方向に沿って設けられている。
換言すれば、各溝部(電機子側溝部B61,B62及び界磁子側溝部B71〜B73)の各底部(電機子側底部B61s,B62s及び界磁子側底部B71s〜B73s)を構成する面(回転軸92に垂直な面に対して所定角度だけ傾いた面)の略中腹に、電機子側嵌合部K61及び界磁子側嵌合部K71が、回転軸92の周りの周方向に沿って設けられている。
また、電機子側嵌合部K61及び界磁子側嵌合部K71は、界磁子側突起部P12及び電機子側突起部P1が、当該電機子側嵌合部K61及び界磁子側嵌合部K71にそれぞれ嵌合した状態(図19(b))で、各電機子側突起部P1〜P3の側面と各界磁子側突起部P11〜P14の側面とが離隔する距離(離隔距離)が所定距離となるように設けられている。当該所定距離としては、例えば、1つの突起部の内周側及び外周側の離隔距離が略同一となる距離であることが好ましい。
そして、電機子側嵌合部K61及び界磁子側嵌合部K71を利用して、電機子側突起部P1〜P3の側面と界磁子側突起部P11〜P14の側面との離隔距離を調整する工程を有するモータ1Cの製造方法は、例えば以下の工程I〜工程IVを有している。
工程I.複数の界磁子側溝部B71〜B73の底部(界磁子側底部)B71s〜B73sに、各電機子側突起部P1〜P3がそれぞれ嵌合する複数の界磁子側嵌合部K71を設ける。
工程II.複数の電機子側溝部B61,B62の底部(電機子側底部)B61s,B62sに、各界磁子側突起部P12,P13がそれぞれ嵌合する複数の電機子側嵌合部K61を設ける。
工程III.界磁子側嵌合部K71に対して各電機子側突起部P1〜P3を嵌合させるとともに、電機子側嵌合部K61に対して各界磁子側突起部P72,P73を嵌合させることで、回転軸92の周りの径方向に沿った電機子側突起部P1〜P3と界磁子側突起部P71〜P74と位置関係を決定する(図19(b)の状態)。すなわち、各電機子側突起部P1〜P3の側面と各界磁子側突起部P71〜P74の側面とが離隔する距離(離隔距離)が所定距離に設定される。
工程IV.工程IIIで決定された回転軸92の周りの径方向に沿った電機子側突起部P1〜P3と界磁子側突起部P71〜P74と位置関係を保持したまま、回転軸92と平行な方向に沿って電機子32Cと界磁子31Cとを所定距離だけ離隔させる(図19(a)の状態)。つまり、電機子側突起部P1〜P3と各界磁子側突起部P71〜P74とを回転軸92に平行な方向に沿って所定距離だけ離隔させる。
なお、この電機子側突起部P1〜P3と界磁子側突起部P71〜P74とを離隔させる手法としては、例えば、界磁子31Cの軸孔PLに固定された軸を保持して、パルスモータ等を用いて所定距離だけずらす方法等が挙げられる。そして、回転軸92に対して垂直な方向のエアギャップの長さを所定距離に設定した状態で、軸受を介して完全に軸を固定することで、当該エアギャップの長さが所定距離に維持された状態となる。
このような構成により、電機子32Cと界磁子31Cとの間で回転軸92に対して垂直な面と傾いて対向する面(ここでは、回転軸92に対して約90度傾いた各電機子側突起部P1〜P3及び各界磁子側突起部P71〜P74の側面)どうしの距離(すなわちエアギャップの長さ)を精度良く設定することができる。このため、電機子32Cと界磁子31Cとの間において相互に吸引及び排斥し合う力に偏りが発生してしまう不具合を解消することができる。
ところで、図19(b)で示したように、電機子側突起部P1〜P3と界磁子側突起部P71〜P74とを単に当接させると、磁石621〜628による吸引力により、図19(a)で示したように、電機子側突起部P1〜P3と界磁子側突起部P71〜P74とを離隔させるのが困難である。
そこで、例えば、界磁子31Cに対して磁石621〜628を取り付けていない状態で、工程IVで各電機子側突起部P1〜P3と各界磁子側突起部P71〜P74とを所定距離だけ離隔させた後に、平板62と磁性体701C〜708Cとの間に磁石621〜628をそれぞれ挿入して取り付けることで界磁子31Cを作成する手法が考えられる。また、例えば、界磁子31Cのうちの磁石621〜628が配置されるべき位置に未着磁の磁石材料(以下「界磁用磁石材料」)を配置しておき、工程IVで各電機子側突起部P1〜P3と各界磁子側突起部P71〜P74とを所定距離だけ離隔させた後に、複数の界磁用磁石材料に対して着磁を行うことで、複数の界磁用磁石621〜628を作成して界磁子31Cを作成する手法も考えられる。なお、複数の界磁用磁石材料に対する着磁の手法としては、例えば、電機子32CのコイルA1〜A12に電流を適宜流すことで着磁させるような、種々の周知の手法を採用することができる。
このような構成を採用すると、電機子32Cと界磁子31Cとを接触させた後に、電機子32Cと界磁子31Cとを回転軸92に平行な方向に引き離すことができる。したがって、回転軸92に垂直な方向に沿って電機子32Cと界磁子31Cとを所定距離だけ容易に離隔させることができる。
なお、ここでは、第1の実施の形態に係る電機子側溝部底面H1,H2、及び界磁子側溝部底面H11〜H13に対して回転軸92を含む平面に沿った断面形状がV字型で且つ周方向に沿って設けられた凹み部を配設したが、これに限られず、第2の実施の形態に係る電機子側溝部B21〜B23の底面、及び界磁子側溝部B31,B32の底面に対して回転軸92を含む平面に沿った断面形状がV字型で且つ周方向に沿って設けられた凹み部を配設しても、同様な効果を得ることができる。
第5の実施の形態.
上記第4の実施の形態に係るモータ1Cでは、単に8つの磁石621〜628を回転軸92の周りで周方向に沿って環状に配置した界磁子31Cを用いた。これに対して、第5の実施の形態に係るモータ1Dでは、周方向に沿った各磁石621D〜628Dの間の隙間に、磁性体によって構成される凸部(磁性体凸部)701b〜708bを配置した界磁子31Dを用いている。つまり、第5の実施の形態に係るモータ1Dは、第4の実施の形態に係るモータ1Cと比較して、所謂リラクタンストルクを発生させるために界磁子の構成が変更されて界磁子31Cが界磁子31Dとされている点が異なり、その他の構成は同様なものとなるため、同様な構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図20は、第5の実施の形態に係る界磁子31Dのコア65を電機子32C側から見た平面図である。コア65は、いずれも鉄等の高透磁率を有する素材(強磁性体)によって構成されており、円盤状の平板62Dと当該平板62Dに対して回転軸92に平行な方向(回転軸方向)に突設された8個の凸部(磁性体凸部)701b〜708bとを備えている。具体的には、磁性体凸部701b〜708bは、平板62Dの中央部に貫通した軸孔PLの周りの周方向に沿ってこの順に環状に配置されている。
磁性体凸部701b〜708bは、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。
また、平板62Dと、磁性体凸部701b〜708bのうち軸孔PLの周りの周方向に沿って相互に隣接配置される磁性体凸部の組とによって、磁石を配置するための溝(磁石配置用溝)701c〜708cが形成されている。例えば、磁性体凸部701bと磁性体凸部702bとの隙間に磁石配置用溝702cが形成され、磁性体凸部702bと磁性体凸部703bとの隙間に磁石配置用溝703cが形成され、磁性体凸部703bと磁性体凸部704bとの隙間に磁石配置用溝704cが形成され、磁性体凸部704bと磁性体凸部705bとの隙間に磁石配置用溝705cが形成され、磁性体凸部705bと磁性体凸部706bとの隙間に磁石配置用溝706cが形成され、磁性体凸部706bと磁性体凸部707bとの隙間に磁石配置用溝707cが形成され、磁性体凸部707bと磁性体凸部708bとの隙間に磁石配置用溝708cが形成され、磁性体凸部708bと磁性体凸部701bとの隙間に磁石配置用溝701cが形成されている。
つまり、軸孔PLの周りの周方向に沿って、磁石配置用溝701c、磁性体凸部701b、磁石配置用溝702c、磁性体凸部702b、磁石配置用溝703c、磁性体凸部703b、磁石配置用溝704c、磁性体凸部704b、磁石配置用溝705c、磁性体凸部705b、磁石配置用溝706c、磁性体凸部706b、磁石配置用溝707c、磁性体凸部707b、磁石配置用溝708c、及び磁性体凸部708bが順次配置されている。そして、各磁性体凸部701b〜708bは、所謂q軸を形成する。
図21は、図20のD−D断面図、すなわち磁性体凸部702b,706bを含むように回転軸92を含む平面で切ったコア65の断面図である。なお、磁性体凸部702b,706b以外の他の磁性体凸部701b,703b〜705b,707b,708bについても同様な断面形状を有している。
各磁性体凸部701b〜708bは、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面を有する凸部(以下「q軸用突起部」と称する)Pb11〜Pb14と、凹部(以下「q軸用溝部」と称する)Bb71〜Bb73とを備えている。
換言すれば、磁性体凸部701b〜708bの電機子32C側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数のq軸用突起部Pb11〜Pb14と複数のq軸用溝部Bb71〜Bb73とが延在している。
より詳細には、各磁性体凸部701b〜708bでは、外周側から順にq軸用突起部Pb11、q軸用溝部Bb71、q軸用突起部Pb12、q軸用溝部Bb72、q軸用突起部Pb13、q軸用溝部Bb73、q軸用突起部Pb14が配置されている。
つまり、外周側から順に4つのq軸用突起部Pb11〜Pb14がこの順で配置され、
q軸用突起部Pb11とq軸用突起部Pb12の側面によってq軸用溝部Bb71の両側面が形成され、q軸用突起部Pb12とq軸用突起部Pb13の側面によってq軸用溝部Bb72の両側面が形成され、q軸用突起部Pb13とq軸用突起部Pb14の側面によってq軸用溝部Bb73の両側面が形成されている。
また、径方向の外側から順に、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用突起部Pb11が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用溝部Bb71が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用突起部Pb12が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用溝部Bb72が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用突起部Pb13が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用溝部Bb73が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用突起部Pb14が環状に配置されている。
なお、各q軸用突起部Pb11〜Pb14及び各q軸用溝部Bb71〜Bb73の断面形状は、第4の実施の形態に係る界磁子側突起部P11〜P14及び界磁子側溝部B71〜B73の形状とほぼ同様なものとなっているため、説明を省略する。
図22は、第5の実施の形態に係る界磁子31Dに設けられる磁石621D〜628Dの配置を電機子32C側から見た平面図であり、図23は、図22のE−E断面図、すなわち磁石622D,626Dを回転軸92を含む平面で切った断面図である。なお、磁石621D,623D〜625D,627D,628Dの断面形状は、磁石622D,626Dの断面形状と同様である。
図22及び図23に示すように、磁石621D〜628Dは、平板61Dの電機子32Cとの間隙(所謂エアギャップ)側に、回転軸92の周りの周方向に沿って環状に配置され、回転軸92に平行な方向にS極及びN極が並ぶようにそれぞれ磁化されている。
図24は、第5の実施の形態に係る界磁子31Dに配置された磁性体701a〜708aに着目して電機子32C側から見た平面図であり、図25は、図24のF−F断面図、すなわち磁性体702a,706aを回転軸92を含む平面で切った断面図である。なお、磁性体701a,703a〜705a,707a,708aの断面形状は、磁性体702a,706aの断面形状と同様である。
磁性体701a〜708aは、回転軸92の周りの周方向に沿ってこの順番で環状に設けられて構成されている。磁性体701a〜708aは、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。そして、各磁性体701a〜708aは、所謂d軸を形成する。
また、各磁性体701a〜708aは、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面を有する凸部(以下「d軸用突起部」と称する)Pa11〜Pa14と、凹部(以下「d軸用溝部」と称する)Ba71〜Ba73とを備えている。
換言すれば、磁性体701a〜708aの電機子32C側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数のd軸用突起部Pa11〜Pa14と複数のd軸用溝部Ba71〜Ba73とが延在している。
より詳細には、各磁性体701a〜708aでは、外周側から順にd軸用突起部Pa11、d軸用溝部Ba71、d軸用突起部Pa12、d軸用溝部Ba72、d軸用突起部Pa13、d軸用溝部Ba73、d軸用突起部Pa14が配置されている。
つまり、外周側から順に4つのd軸用突起部Pa11〜Pa14がこの順で配置され、
d軸用突起部Pa11とd軸用突起部Pa12の側面によってd軸用溝部Ba71の両側面が形成され、d軸用突起部Pa12とd軸用突起部Pa13の側面によってd軸用溝部Ba72の両側面が形成され、d軸用突起部Pa13とd軸用突起部Pa14の側面によってd軸用溝部Ba73の両側面が形成されている。
また、径方向の外側から順に、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用突起部Pa11が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用溝部Ba71が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用突起部Pa12が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用溝部Ba72が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用突起部Pa13が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用溝部Ba73が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用突起部Pa14が環状に配置されている。
なお、各d軸用突起部Pa11〜Pa14及び各d軸用溝部Ba71〜Ba73の断面形状は、第4の実施の形態に係る界磁子側突起部P11〜P14及び界磁子側溝部B71〜B73の形状とほぼ同様なものとなっているため、説明を省略する。
図26は、第5の実施の形態に係る界磁子31Dにおけるコア65と磁石621D〜628Dとの配置関係を示す図である。各磁石621D〜628Dは、コア65の各磁石配置用溝701c〜708c内に配置され、且つ平板62D上に固設される。つまり、平板62Dは、電機子32Cとは反対側から磁石621D〜628Dを保持する部材として機能する。具体的には、磁石配置用溝701cに磁石621Dが配置され、磁石配置用溝702cに磁石622Dが配置され、磁石配置用溝703cに磁石623Dが配置され、磁石配置用溝704cに磁石624Dが配置され、磁石配置用溝705cに磁石625Dが配置され、磁石配置用溝706cに磁石626Dが配置され、磁石配置用溝707cに磁石627Dが配置され、磁石配置用溝708cに磁石628Dが配置されている。そして、各磁性体凸部701b〜708b及び各磁石621D〜628Dは、軸孔PLの周りの周方向に沿って所定の距離だけそれぞれ離隔されて環状に配置されている。各磁性体凸部701b〜708bと各磁石621D〜628Dとが離隔されている距離は、漏れ磁束を防ぐ観点から、電機子32Cと界磁子31Dとの離隔距離(すなわち、回転軸92に対して垂直な方向の離隔距離であるエアギャップの長さ)の約2倍以上とすることが好ましい。
図27は、第5の実施の形態に係る界磁子31Dを電機子32C側から見た平面図である。図28は、図27のG−G断面図、すなわち磁石622Dと磁性体702a及び磁石626Dと磁性体706aとを含むように回転軸92を含む平面で界磁子31Dを切った断面図である。図29は、図27のH−H断面図、すなわち磁性体凸部702b,706bを含むように回転軸92を含む平面で切ったコア65の断面図であり、図21と全く同様なものとなっている。
界磁子31Dは、図26で示したようにコア65上に配置された各磁石621D〜628Dに対して、各磁性体701a〜708aを電機子32C側からそれぞれ被せたものとなっている。具体的には、磁石621Dに磁性体701aが被せられ、磁石622Dに磁性体702aが被せられ、磁石623Dに磁性体703aが被せられ、磁石624Dに磁性体704aが被せられ、磁石625Dに磁性体705aが被せられ、磁石626Dに磁性体706aが被せられ、磁石627Dに磁性体707aが被せられ、磁石628Dに磁性体708aが被せられている。
つまり、回転軸92の周りの周方向に沿った磁性体701a〜708aの各隙間に各磁性体凸部701b〜708bが配置されている。より詳細には、磁性体701aと磁性体702aとの隙間に磁性体凸部701bが配置され、磁性体702aと磁性体703aとの隙間に磁性体凸部702bが配置され、磁性体703aと磁性体704aとの隙間に磁性体凸部703bが配置され、磁性体704aと磁性体705aとの隙間に磁性体凸部704bが配置され、磁性体705aと磁性体706aとの隙間に磁性体凸部705bが配置され、磁性体706aと磁性体707aとの隙間に磁性体凸部706bが配置され、磁性体707aと磁性体708aとの隙間に磁性体凸部707bが配置され、磁性体708aと磁性体701aとの隙間に磁性体凸部708bが配置されている。
また、径方向の外側から順に、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用突起部Pa11と磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用突起部Pb11とが交互に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用溝部Ba71と磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用溝部Bb71とが交互に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用突起部Pa12と磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用突起部Pb12とが交互に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用溝部Ba72と磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用溝部Bb72とが交互に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用突起部Pa13と磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用突起部Pb13とが交互に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用溝部Ba73と磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用溝部Bb73とが交互に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体701a〜708aに設けられた8個のd軸用突起部Pa14と磁性体凸部701b〜708bに設けられた8個のq軸用突起部Pb14とが交互に配置されている。
例えば、回転軸92を中心とした周方向に沿って、磁性体701aのd軸用突起部Pa11、磁性体凸部701bのq軸用突起部Pb11、磁性体702aのd軸用突起部Pa11、磁性体凸部702bのq軸用突起部Pb11、磁性体703aのd軸用突起部Pa11、磁性体凸部703bのq軸用突起部Pb11、磁性体704aのd軸用突起部Pa11、磁性体凸部704bのq軸用突起部Pb11、磁性体705aのd軸用突起部Pa11、磁性体凸部705bのq軸用突起部Pb11、磁性体706aのd軸用突起部Pa11、磁性体凸部706bのq軸用突起部Pb11、磁性体707aのd軸用突起部Pa11、磁性体凸部707bのq軸用突起部Pb11、磁性体708aのd軸用突起部Pa11、及び磁性体凸部708bのq軸用突起部Pb11がこの順で配置される。
図30は、第5の実施の形態に係るモータ1Dを平板62Dの上方側(電機子32Cと反対側)から見た平面図であり、図31は、図30のI−I断面図であり、図32は、図30のJ−J断面図である。図31及び図32では、界磁子31Dと電機子32Cとが対向する状態、すなわち、界磁子31Dの電機子32C側に設けられている各磁性体701a〜708a及び各磁性体凸部701b〜708bと、電機子32Cの界磁子31D側に設けられている各磁心部101C〜112Cとが対向する態様を示している。
図31は、磁性体701a〜708aのうちの磁性体702a,706a、磁心部101C〜112Cのうちの磁心部103C,109Cが含まれるように回転軸92を含む平面でモータ1Dを切断した断面図を示している。なお、他の各磁性体701a,703a〜705a,707a,708aと他の磁心部101C,102C,104C〜108C,110C,112Cとの対向関係については、磁性体702a,706aと磁心部103C,109Cとの対向関係と同様であるため、図示及び説明を省略する。
図31に示すように、電機子32Cに設けられた電機子側突起部P1〜P3が、界磁子31Dに設けられたd軸用溝部Ba71〜Ba73に入り込み、界磁子31Dに設けられたd軸用突起部Pa12,Pa13が、電機子32Cに設けられた電機子側溝部B61,B62に入り込んでいる。より詳細には、回転軸92から相対的に離隔した外周側から順に、d軸用突起部Pa11が電機子側突起部P1〜P3よりも回転軸92から離隔した外周側に設けられ、電機子側突起部P1がd軸用溝部Ba71に入り込み、d軸用突起部Pa12が電機子側溝部B61に入り込み、電機子側突起部P2がd軸用溝部Ba72に入り込み、d軸用突起部Pa13が電機子側溝部B62に入り込み、電機子側突起部P3がd軸用溝部Ba73に入り込んでいる。そして、d軸用突起部Pa14が電機子側突起部P1〜P3よりも回転軸92に対して接近した内周側に設けられている。
図32は、磁性体凸部701b〜708bのうちの磁性体凸部702b,706b、磁心部101C〜112Cのうちの磁心部103C,109Cが含まれるように回転軸92を含む平面でモータ1Dを切断した断面図を示している。なお、他の各磁性体凸部701b,703b〜705b,707b,708bと他の磁心部101C,102C,104C〜108C,110C〜112Cとの対向関係については、磁性体凸部702b,706bと磁心部103C,109Cとの対向関係と同様であるため、図示及び説明を省略する。
図32に示すように、電機子32Cに設けられた電機子側突起部P1〜P3が、界磁子31Dに設けられたq軸用溝部Bb71〜Bb73に入り込み、界磁子31Dに設けられたq軸用突起部Pb12,Pb13が、電機子32Cに設けられた電機子側溝部B61,B62に入り込んでいる。より詳細には、回転軸92から相対的に離隔した外周側から順に、q軸用突起部Pb11が電機子側突起部P1〜P3よりも回転軸92から離隔した外周側に設けられ、電機子側突起部P1がq軸用溝部Bb71に入り込み、q軸用突起部Pb12が電機子側溝部B61に入り込み、電機子側突起部P2がq軸用溝部Bb72に入り込み、q軸用突起部Pb13が電機子側溝部B62に入り込み、電機子側突起部P3がq軸用溝部Bb73に入り込んでいる。そして、q軸用突起部Pb14が電機子側突起部P1〜P3よりも回転軸92に対して接近した内周側に設けられている。
また、各電機子側突起部P1〜P3の側面、及び各d軸用及びq軸用突起部Pa11〜Pa14,Pb11〜Pb14の側面は、回転軸92に垂直な面に対して約90度傾いた面となっている。
モータ1Dでは、磁石621D〜628Dが設けられている径方向に沿って、外周側から順に、d軸用突起部Pa11の側面と電機子側突起部P1の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、電機子側突起部P1の側面とd軸用突起部Pa12の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、d軸用突起部Pa12の側面と電機子側突起部P2の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、電機子側突起部P2の側面とd軸用突起部Pa13の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、d軸用突起部Pa13の側面と電機子側突起部P3の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、電機子側突起部P3の側面とd軸用突起部Pa14の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向する。
また、磁石621D〜628Dが設けられていない径方向に沿って、外周側から順に、q軸用突起部Pb11の側面と電機子側突起部P1の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、電機子側突起部P1の側面とq軸用突起部Pb12の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、q軸用突起部Pb12の側面と電機子側突起部P2の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、電機子側突起部P2の側面とq軸用突起部Pb13の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、q軸用突起部Pb13の側面と電機子側突起部P3の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向し、電機子側突起部P3の側面とq軸用突起部Pb14の側面とが回転軸92に対して略垂直な方向に対向する。
このように、電機子側突起部P1〜P3とd軸及びq軸用突起部Pa11〜Pa14,Pb11〜Pb14とが回転軸92に対して略平行であり且つ周方向に沿った面で相互に接近して対向すると、電機子32Cと界磁子31Dとが相互に吸引及び排斥し合う力が、回転軸92の周りの径方向に分散する。したがって、回転軸92に平行なスラスト力の発生を効果的に抑制することができる。
更に、ここでは、界磁子31Dにおいて所謂q軸を形成するための磁性体凸部701b〜708bを設けることで、磁性体凸部701b〜708bを経由する磁路(すなわちq軸)のインダクタンスLqが、磁性体701a〜708aを経由する磁路(すなわちd軸)のインダクタンスLdよりも大きくなっている。すなわち、逆突極性(Lq>Ldの関係式が成立する性質)を示すように設定されている。このため、電流位相をq軸に対して適当な進み角をもって制御することで(通常45°以下)、所謂マグネットトルクに対して、所謂リラクタンストルクを更に加えて、トルクやエネルギー効率を高めることができる。また、弱め磁束制御を用いることで、より高速まで高い効率で回転させることができる。
上述した電機子32Cと界磁子31Dとが相互に凹凸を有する面で対向するモータ1Dに係る技術によれば、上記第4の実施の形態に係るモータ1Cと同様にスラスト力の発生を抑制しつつ、更に、リラクタンストルクを利用して、回転力を高めることができる。
なお、ここでは、上記第4の実施の形態に係る界磁子31Cに対して、所謂q軸を形成するための磁性体凸部701b〜708bを設けるような構成について説明したが、これに限られず、例えば、上記第1から第3の実施の形態に係る界磁子31,31A,31Bに対して、本実施の形態と同様に、所謂q軸を形成するための磁性体凸部を設けるような構成を採用しても良い。このような構成によれば、本実施の形態と同様に、リラクタンストルクを利用して、回転力を高めることができる。
その他.
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
◎例えば、上述した第1の実施の形態では、各磁心部101〜112が、コイルA1〜A12が周囲に巻回される磁心本体部103T,109Tと界磁子31に接近して対向する幅広先端部とが一体の磁心部101〜112として形成されていたが、磁心本体部103T,109Tと幅広先端部とを別体として構成しても良い。このような構成とすると、電機子側のコアを構成する各部材の形状が簡単なものとなる。その結果、界磁子に対向する電機子の面に凹凸を設ける工程が容易となるため、電機子と界磁子とを回転軸に垂直な面に対して傾いた面で容易に対向させることができる。
以下、当該構成について具体例を示して説明する。なお、第1の実施の形態と同様な構成については、同じな符号を付して説明を省略する。
図33は、磁心部101S〜112Sの配置を示す図である。各磁心部101S〜112Sは、周囲に各コイルA1〜A12が配置される部分であり、第1の実施の形態に係る磁心本体部103T,109Tと同様な配置及び形状を有している。具体的には、円盤状の平板61の表面61a上において、磁心部101S〜112Sは、回転軸92の周りの周方向に沿ってこの順番で環状に設けられて構成されている。磁心部101S〜112Sは、周方向に沿って相互に隣り合うもの同士が所定距離だけ離隔されて配置されるとともに、それぞれ同じ形状を有し、回転軸92を中心とした回転対称の関係にある形状(すなわち回転軸92に対して同一形状)を有している。
図34は、磁性体101U〜112Uに着目して界磁子31側から見た平面図である。図35は、各磁性体101U〜112Uが各磁心部101S〜112Sに対して被せられて形成されたコア63Dを備えた電機子32Dを界磁子31側から見た図であり、図35では、磁心部101S〜112Sの位置を破線で示すとともに、各磁心部101S〜112Sの周りに配置されるコイルA1〜A12の図示を省略している。図36は、図35のK−K断面図、すなわち磁心部103S,109S及び磁性体103U,109Uを含むように、回転軸92を含む平面でコア63Dを切った断面図である。
各磁性体101U〜112Uは、第1の実施の形態に係る各磁心部101〜112の幅広先端部と同様な形状を有しており、各磁性体101U〜112Uは、回転軸92に対して略平行で且つ回転軸92の周りの周方向に沿った側面を有する凸部(電機子側突起部)P1〜P3と、凹部(電機子側溝部)B1,B2とを備えて構成されている。
換言すれば、磁性体101U〜112Uの界磁子31側には、回転軸92を中心とした半径がそれぞれ異なる複数の同心円上に設けられ、且つ回転軸92を中心とした周方向に沿って断続的に並べられた複数の電機子側突起部P1〜P3と複数の電機子側溝部B1,B2とが延在している。より詳細には、各磁性体101U〜112Uでは、外周側から順に電機子側突起部P1、電機子側溝部B1、電機子側突起部P2、電機子側溝部B2、及び電機子側突起部P3が配置されている。
つまり、外周側から順に3つの電機子側突起部P1〜P3がこの順で配置され、電機子側突起部P1及び電機子側突起部P2の相互に対向し合う側面によって電機子側溝部B1の両側面が形成され、電機子側突起部P2及び電機子側突起部P3の相互に対向し合う側面によって電機子側溝部B2の両側面が形成されている。また、径方向の外側から順に、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体101U〜112Uに設けられた12個の電機子側突起部P1が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体101U〜112Uに設けられた12個の電機子側溝部B1が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体101U〜112Uに設けられた12個の電機子側突起部P2が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体101U〜112Uに設けられた12個の電機子側溝部B2が環状に配置され、回転軸92を中心とした周方向に沿って磁性体101U〜112Uに設けられた12個の電機子側突起部P3が環状に配置されている。
なお、第2〜第5の実施の形態に係る電機子32A〜32Cについても、各磁心部101A〜112A,101B〜112B,101C〜112Cが、各コイルA1〜A12が周囲に巻回される各磁心部101S〜112Sと、幅広先端部と同様な形状を有する各磁性体とを別体として構成しても、同様な効果を得ることができる。
◎また、上述した実施の形態では、電機子32,32A〜32D及び界磁子31,31A〜31Dが相互に接近して対向し合う面において、それぞれ径方向に沿って3〜5個の突起部が隣接配置されたが、この径方向に沿った突起部の数は、電機子側及び界磁子側に対してそれぞれ複数個ずつであれば良い。
◎なお、第1から第5の実施の形態に係る磁性体701〜708,701A〜708A,701B〜708B,701C〜708C,701D〜708D,701a〜708aについては、回転軸92に対して垂直な方向に短距離のエアギャップを介して電機子32,32A〜32Dに対向するため、回転軸92の周りの径方向の配置精度が特に要求される。そこで、磁性体701〜708,701A〜708A,701B〜708B,701C〜708C,701D〜708D,701a〜708aや磁性体凸部701b〜708b等の電機子32,32A〜32D側に設けられる凹部(すなわち、界磁子側溝部B11〜B13,B31,B32,B51〜B54,B71〜B73やd軸用溝部Ba71〜Ba73やq軸用溝部Bb71〜Bb73)に円環状の治具(例えば、スペーサ)等を嵌めつつ、8個の磁性体701〜708,701A〜708A,701B〜708B,701C〜708C,701D〜708D,701a〜708aを円環状に精度良く配置するようにすれば良い。
また、上述した変形例に係る磁性体101U〜112Uについても、回転軸92に対して垂直な方向に短距離のエアギャップを介して界磁子31,31A〜31Dに対向するため、回転軸92の周りの径方向の配置精度が特に要求される。そこで、磁性体101U〜112Uの界磁子31,31A〜31D側に設けられる凹部(すなわち、電機子側溝部B1,B2)に円環状の治具(例えば、スペーサ)等を嵌めつつ、12個の磁性体101U〜112Uを円環状に精度良く配置するようにすれば良い。
◎また、コア63,63A〜63Dの材質としては、圧粉磁心等の磁気的に等方性を有する磁性材料が適している。特に、磁心部101〜112,101A〜112A,101B〜112B,101C〜112Cの幅広先端部や磁性体701〜708,701A〜708A,701B〜708B,701C〜708C,701D〜708D,101U〜112Uについては、磁束の流れが三次元的になるため、等方性を有する磁性材料を用いて形成されることが好ましい。また、平板61,62,62Dについては、回転軸92に平行な方向に沿って薄い鋼板が積層されて形成されていても良い。
◎また、1つの界磁子を両側から2つの電機子で挟み込む所謂ダブルステータ(ダブルギャップ)の構造であっても、界磁子が回転軸92に平行な方向に沿って一方の電機子に相対的に近づいて配置されると、スラスト力の相殺が不十分で、大きなスラスト力を発生してしまう場合も想定される。このような場合にも、上述した実施の形態に係る技術を採用すると、スラスト力を低減することができる。例えば、界磁子の両側のエアギャップが若干異なった場合であっても、スラスト力の増大を抑えることができる。つまり、電機子が1つの場合でも2つの場合でも、上述した実施の形態に係る技術により、スラスト力を抑制することができる。そして、バックヨークの変形等も併せて抑制することができる。
◎また、界磁子の電機子側に設けられた磁性体、及び電機子の界磁子側に設けられた磁性体において、各磁性体の回転軸92周りの周方向に沿った端部近傍におけるエアギャップ長が、残余の部分よりも長くなっても良い。例えば、凹部の幅が端部ほど広くなっても、凸部の幅が端部ほど狭くなっても良い。このような構成により、コギングトルクを低減することができる。また、加工上、凹凸の角部に丸み(アール)を設ける事等は、本発明の趣旨の範囲内において自由である。
◎また、上記実施の形態では、磁心部の周りに配置される巻線A1〜A12の巻線方式は集中巻であったが、これに限られず、例えば、所謂分布巻等の他の巻線方式であっても良い。
◎また、上述した何れのモータも、例えば圧縮機に搭載することができる。例えば図37には、第1の実施の形態に係るモータを搭載した圧縮機の断面が示されている。なお、図37では、磁心部101〜112及び磁性体701〜708の表面に設けられている凹凸を省略して示している。図37に示される圧縮機について以下説明する。
圧縮機は、筒状の筐体80、吸入管81及び吐出管82を備える。吸入管81は、例えば筐体80の側面に接続される。吐出管82は、モータに対して吸入管81とは反対側に位置する。
当該筐体80内には、圧縮部84、モータ及びバランスウエイト83を有する。モータの回転軸92は筐体80が延在する方向に沿って延びる。
バランスウエイト83は、例えば回転子の電機子(固定子)32とは反対側の面上の外径付近に載置されている。バランスウエイト83を載置することに代えて、回転子の基体(平板)62の電機子32側に穴(これは、負のバランスウエイトと把握できる)を設けても良い。バランスウエイトを設けることに加えて、回転軸92に対して磁性体701〜708のバランスウエイト83とは反対側の部分の外径を大きくすることが望ましい。なお、実際には、バランスウエイト83と圧縮部84との間、すなわち、バランスウエイト83の反対側に、もう1つのバランスウエイトを設ける必要があるが、これは、クランク軸の根元付近のシャフトに設ける等、通常用いる技術を適用することができるため、説明は省略する。
吸入管81から吸入された冷媒は、圧縮部84においてモータの駆動により圧縮される。圧縮された冷媒は、吐出管82から排出される。
このような圧縮機によれば、冷媒等を効率良く圧縮することができる。しかも、電機子32と回転子との間の空隙が回転軸92に対して垂直であるので、圧縮機内に存在する潤滑油などの油が吐出管82から排出されることや、油が攪拌されることが低減される。
また、回転子に付着した油は、回転子が回転した際に遠心力によって圧縮機の側壁へと移動する。よって、吐出管82をモータに対して鉛直上方に設けた場合には、側壁に沿って油が鉛直下方へと移動し、以って吐出管82側へと油が移動することが妨げられる。
更には、バランスウエイト83は回転子の表面の外径付近に載置されるので、バランスウエイト83の回転軸92方向への厚みを小さくすることができ、以って圧縮機が小型化される。
上述した何れのモータも、空調機に搭載して、ファンの回転に用いても良い。更には、自動車に搭載して、車輪を回転させても良い。