JP4857875B2 - 液滴吐出記録ヘッドの駆動方法及び液滴吐出記録装置 - Google Patents

液滴吐出記録ヘッドの駆動方法及び液滴吐出記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、液滴を吐出して画像の記録を行う液滴吐出記録ヘッドの駆動方法及び当該液滴吐出記録ヘッドを備えた液滴吐出記録装置に関する。
従来、液滴吐出記録ヘッドに設けられた吐出ノズルからインク滴等の液滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェットプリンタ等の液滴吐出記録装置が知られている。
液滴吐出方式としては、液体を急速に加熱し気泡を発生させその圧力を用いて液滴吐出するもの、圧電素子に駆動電圧波形を印加し圧力波を発生させて液滴吐出するものなどがある。
圧電素子を用いた液滴吐出記録装置では、液滴吐出記録ヘッドの複数のノズルに対応した圧電素子に対して、記録するドットの濃度に応じて異なる駆動電圧波形を画素毎に印加することにより、吐出される液滴の体積を調整して階調表現を行っており、従来は液滴吐出の制御性から上記駆動電圧波形としてアナログ駆動波形を用いているものが多い。この種の液滴吐出記録装置では、駆動電圧波形としてアナログ駆動波形を用いることにより電圧振幅や時間変化を任意に設定できるため、吐出させる液滴体積の変調範囲を大きくすることができ、所望の滴体積の液滴を吐出させることも容易である。しかし、アナログ駆動波形を用いるためには、駆動回路が大型化してしまい、消費電力も大きい、という問題点もあった。特に、高速化を狙った紙幅長尺ヘッドを用いた記録装置では、この問題が顕著となった。
そこで、近年、駆動回路の小型化・低コスト化・省エネルギー化を目的として2値のデジタル駆動波形を用いる液滴吐出記録装置がある。しかし、この2値のデジタル駆動波形は、電圧振幅が電源電圧で決まり、駆動波形の時間変化もスイッチング素子のオン・オフに応じて決まるため、駆動電圧の波形の自由度が大きく低下してしまい、広い液滴体積の変調範囲において安定した吐出を行なうことが非常に困難である。
そこで、3値のデジタル駆動波形を用いて、2値のデジタル駆動波形よりも駆動波形の自由度を増やし、液滴変調範囲を広げ、かつ安定した吐出を得ることが提案されている。
一方で、圧電素子を用いた液滴吐出記録装置では、ノズル近傍のインク液の増粘を抑制し吐出を安定化することを目的として、インク滴の吐出を実行しないノズルに対して、インク滴を吐出させないような範囲でノズルのインク液面を振動させる予備波形を圧電素子に印加し、ノズル近傍のインクを攪拌する技術がよく用いられている。特に、最近は、高画質化を狙い、顔料系で粘度の高いインクが用いられるようになり、予備波形の効果は非常に重要となっている。
特許文献1では、デジタル駆動波形において、予備波形を印加することが提案されている。
また、特許文献2では、アナログ波形を用い、インクの増粘速度や温度に応じて、予備波形を変更し、予備波形の効果を最適化することが提案されている。
特開2004−181676公報 特開2001−341326公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、デジタル駆動波形を用いた予備波形において、インクの温度に応じて予備波形を最適化するに至っていない。また、特許文献2に記載の技術は、アナログ波形で予備波形を最適化するために、共通の駆動波形の1吐出周期中に複数の予備波形と吐出波形を並べ、その一部を必要に応じて選択し圧電素子に印加するという方式をとっている。この場合、1吐出周期中に複数の駆動波形を並べるため1周期が長くなり、高周波数化に関して不都合である。
また、予備波形として常に同一の波形を用いた場合、インクの温度が変化するとインクの粘度が変化し、ノズル部のメニスカス振動量が変化して、振動量が大きすぎる場合は液滴の誤吐出等が生じたり、振動量が小さすぎる場合はインク攪拌効果が小さくなったりする、という問題点があった。
液滴の誤吐出が生じた場合は、画質の劣化につながり、インク攪拌効果が小さくなった場合は、液滴の吐出速度が変化してしまい、着弾位置ズレ等を引き起こし、最悪の場合は不吐出が生じることもある。よって、温度に応じた予備波形の最適化は重要であり、一方で、アナログ波形に比べて波形自由度の小さい3値のデジタル駆動波形において、吐出波形の液滴体積の変調範囲を確保しつつ、予備波形を最適化することは、非常に困難であった。
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、3値のデジタル駆動波形において、液体の増粘抑制効果と液滴の誤吐出防止とを両立できる液滴吐出記録ヘッドの駆動方法及び液滴吐出記録装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1の本発明は、液滴を吐出するための吐出口と、前記吐出口に連通し、内部に液体が収容される圧力室と、前記圧力室に振動波を与える圧電素子と、が設けられた複数の吐出機構を備え、第1の電圧レベル、該第1の電圧レベルよりも低い第2の電圧レベル及び前記第1の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの間にある第3の電圧レベルの何れかを選択的に組み合わせた3値のデジタル駆動波形であって、前記第1の電圧レベルと前記第3の電圧レベルとの電位差と、前記第3の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの電位差とが異なるように設定された該3値のデジタル駆動波形を前記圧電素子に印加して前記吐出口から液滴を吐出させる液滴吐出記録ヘッドの駆動方法であって、記吐出機構近傍の環境温度が予め定められた閾値の温度よりも低温である場合には、前記液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる予備波形として、前記圧力室内の液体の固有振動周期Tcの20%以下、又は80%以上120%以下となるパルス幅分、前記第3の電圧レベルから前記第2の電圧レベルに変化させた後、再び該第3の電圧レベルに復帰させた第1予備波形を前記圧電素子に印加し、前記環境温度が予め定められた閾値の温度以上である場合には、前記液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる予備波形として、前記固有振動周期Tcの40%以上60%以下となるパルス幅分、前記第3の電圧レベルから前記第1の電圧レベルに変化させた後、再び該第3の電圧レベルに復帰させた第2予備波形を前記圧電素子に印加することを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、3値のデジタル駆動波形を印加して圧電素子を駆動するので、アナログ波形を印加する場合と比較すると波形に制約があるものの、2値のデジタル駆動波形を印加する場合と比較すると、広い液滴体積の変調範囲において安定した吐出を行なうことが可能になる。また、2値のデジタル駆動波形を印加する場合と比較すると駆動回路がやや大型化するものの、アナログ波形を印加する場合よりも、駆動回路を小型化、低コスト化することができる。
また、請求項1記載の発明によれば、温度変化に応じて液体の粘度が変化することに着目し、環境温度に応じて異なる予備波形を適用するようにしている。すなわち、環境温度が低いほど、液体の粘度が高くなって振動が伝わりにくくなるので、予備波形の振幅が大きい第1予備波形を印加している。また、環境温度が高いほど、液体の粘度が低くなって振動が伝わりやすくなり、予備波形を印加した場合に誤って液滴を吐出してしまう恐れがあるので、予備波形の振幅が小さい第2予備波形を印加している。
よって、請求項1記載の発明によれば、液体の増粘抑制効果と液滴の誤吐出防止とを両立できる。
また、本発明は、請求項2記載の発明のように、前記圧力室の容積は、前記圧電素子に印加される電圧レベルが高いほど収縮し、印加される電圧レベルが低いほど膨張し、前記第1の電圧レベルと前記第3の電圧レベルとの電位差を、前記第3の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの電位差よりも小さく設定することにより、3値のデジタル駆動波形において、広い変調範囲で安定吐出が可能な吐出波形と温度に応じた予備波形とが両立できる。
また、本発明は、請求項記載の発明のように、前記第2の電圧レベル及び前記第1の電圧レベルを固定値とし、前記第3の電圧レベルを前記環境温度に応じて変化させるようにしてもよい。これにより、環境温度により変化する液体の粘度に応じて、吐出波形と予備波形の電圧振幅を同時に変えられるので、吐出する液滴の体積及び液体の増粘抑制効果を温度に関係なく均一にすることができる。さらに、電圧値を変化させるのは第3の電圧レベルだけであるので、他の第1の電圧レベル第2の電圧レベルも変化させる場合に比べて、電源回路を簡単にできる。
一方、本発明は、請求項記載の発明のように、前記第2の電圧レベルを固定とし、前記第3の電圧レベルと前記第1の電圧レベルとの電位差が一定になるように、前記環境温度に応じて前記第3の電圧レベルと前記第1の電圧レベルとを変化させることもできる。これにより、環境温度により変化する液体の粘度に応じて、吐出波形と予備波形の電圧振幅を同時に変えられるので、吐出する液滴の体積及び液体の増粘抑制効果を温度に関係なく均一にすることができる。さらに、電圧値を変化させる際に、第3の電圧レベル第1の電圧レベルとの電位差を一定に保つので、第3の電圧レベル及び第1の電圧レベルをそれぞれ独立して変化させる場合に比べて、電源回路を簡単にできる。
また、本発明は、請求項記載の発明のように、前記環境温度が低いほど前記第3の電圧レベルを高くすることが好ましい。これにより、温度が低く液体の粘度が高い場合でも、吐出波形と予備波形の振幅を大きくすることにより、吐出する液滴の体積及び液体の増粘抑制効果を温度に関係なく均一にできる。
一方、上記課題を解決するために、請求項の発明は、吐出口が設けられて内部に液体が収容される圧力室に圧電素子が設けられた複数の吐出機構を備え、所定の周期毎の吐出タイミングで、第1の電圧レベル、該第1の電圧レベルよりも低い第2の電圧レベル及び前記第1の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの間にある第3の電圧レベルの何れかを選択的に組み合わせた3値のデジタル駆動波形を前記圧電素子に印加して、当該圧電素子を変形させることにより前記圧力室内の液体に振動波を与えて前記吐出口から液滴を吐出させる液滴吐出記録ヘッドを有する液滴吐出記録装置であって、前記第1の電圧レベルと前記第3の電圧レベルとの電位差と、前記第3の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの電位差とが異なるように設定する設定手段と、前記吐出機構近傍の環境温度を検出する検出手段と、前記圧力室内の液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる液体増粘抑制用の予備波形として、前記環境温度が予め定められた閾値の温度よりも低温である場合には、前記液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる予備波形として、前記圧力室内の液体の固有振動周期Tcの20%以下、又は80%以上120%以下となるパルス幅分、前記第3の電圧レベルから前記第2の電圧レベルに変化させた後、再び該第3の電圧レベルに復帰させた第1予備波形を生成し、前記環境温度が予め定められた閾値の温度以上である場合には、前記液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる予備波形として、前記固有振動周期Tcの40%以上60%以下となるパルス幅分、前記第3の電圧レベルから前記第1の電圧レベルに変化させた後、再び該第3の電圧レベルに復帰させた第2予備波形を生成する予備波形生成手段と、記圧電素子に対して、前記予備波形生成手段により生成された前記第1予備波形又は前記第2予備波形を印加する印加手段と、を備えている。
請求項記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様に作用するので、請求項1記載の発明と同様、液体の増粘抑制効果と液滴の誤吐出防止とを両立できる。
以上説明したように、本発明によれば、3値のデジタル駆動波形において、環境温度に応じて予備波形を最適化し、液体の増粘抑制効果と液滴の誤吐出防止とを両立できる、という優れた効果を有する。さらに、吐出波形も同時に温度に応じて最適化し、電源回路も簡単化できる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。なお、本実施の形態は、本発明をインクジェット記録装置に適用したものである。
図1には、本実施の形態に係るインクジェットプリンタ(以下、単に「プリンタ」という)100の構成が概略的に示されている。
同図に示すように、プリンタ100には、無端状の搬送ベルト112が複数のローラ114に巻き掛けられており、図中矢印Aで示される方向に周回するようになっている。なお、複数のローラ114の一部は不図示の駆動手段の駆動力を受けて回転する駆動ローラとされており、他のローラは搬送ベルト112の回転に追従して回転する従動ローラとされている。
一方、プリンタ100には、用紙トレイ120が配設されており、当該用紙トレイ120には、画像を記録するための記録用紙Pが積み重ねられて収容される。当該用紙トレイ120に収容された記録用紙Pは、不図示のピックアップ機構により最上層から1枚ずつ持ち出されて給紙搬送路122に案内され、給紙搬送路122によって、搬送ベルト112上の所定位置に送り出される。なお、搬送ベルト112には、記録用紙Pを密着保持する機能が備えられている。これにより、給紙搬送路122により送り込まれた記録用紙Pは、密着保持された状態で矢印A方向に搬送されることになる。
プリンタ100には、上記搬送ベルト112上に記録用紙Pが送り込まれる所定位置の搬送方向下流側に、上記記録用紙Pの搬送経路に沿って記録ヘッドユニット137が配設されている。この記録ヘッドユニット137には、搬送ベルト112による記録用紙Pの搬送方向上流側から、シアン(C)色インク吐出用、マゼンタ(M)色インク吐出用、イエロー(Y)色インク吐出用、ブラック(K)色吐出用の4つの記録ヘッド136が設けられており、搬送される記録用紙Pは、各色の記録ヘッド136に順次対向される。
各色の記録ヘッド136は、多数の吐出機構10(図1では図示省略、図2参照)が上記矢印A方向と直交する搬送ベルト112の幅方向全域にわたって配列されているFWA(Full Width Array)型のものとされている。
各記録ヘッド136は、記録ヘッド制御部150によりそれぞれ駆動され、画像データに基づいて各色のインク滴が各記録ヘッド136に設けられた吐出機構10から吐出されるようになっている。これにより、搬送ベルト112に密着された記録用紙Pには、順次対向する各記録ヘッド136によりインク滴が吐出されてフルカラー画像が記録される。
また、本実施の形態では、記録ヘッドユニット137近傍に、環境温度センサ140が配設されており、記録ヘッドユニット137の環境温度を検出して、記録ヘッド制御部150に出力する。
さらに、搬送ベルト112による記録用紙Pの搬送経路上であって記録ヘッドユニット137の下流側には、搬送経路が屈曲される位置に設けられたローラ114の配設位置に対応するようにスクレーパ126が設けられており、画像記録が終了した記録用紙Pを搬送ベルト112から分離させて、排出路128を介して排紙トレイ130に送り出すようになっている。
図2は、本発明の実施の形態に係わるインクジェットプリンタ100の吐出機構10の構成を示す図である。
吐出機構10は、インクタンク12、供給路14、圧力室16、ノズル18、及び電気機械変換素子としての圧電素子20を有している。
インクタンク12には、インクが充填され、インクタンク12に充填されたインクは、供給路14を介して圧力室16に充填され、圧力室16に連通したノズル18にインクが供給される。
圧力室16の壁面の一部は振動板16Aからなり、該振動板16Aにピエゾ素子等の圧電素子20が設けられており、圧電素子20によって振動板16Aを変形させて振動させることで、圧力室16内に圧力波が発生する。すなわち、圧電素子20の振動によって発生する圧力波によって、圧力室16内に充填されたインクがノズル18から吐出され、圧力室16には供給路14を介してインクタンク12からインクが補充されるようになっている。
ノズル18は、例えば、記録紙幅方向に複数配列した記録ヘッドとすることで、記録紙幅方向の画像を記録し、記録紙と記録ヘッドとを相対的に移動することで記録紙に画像を記録することができる。
図3は、本発明の実施の形態に係わるインクジェットプリンタ100のヘッドを駆動する記録ヘッド制御部150の概略構成を示す図である。
同図に示すように、記録ヘッド制御部150は、コントローラ22と、駆動回路30と、を含んで構成されている。
駆動回路30は、シフトレジスタ42と、ラッチ回路44と、セレクタ46と、レベルシフタ48と、ドライバ50と、を含んで構成されている。
コントローラ22から出力されたクロック信号と、第1駆動波形信号〜第16駆動波形信号(詳細は後述する)を選択するための選択信号とは、シフトレジスタ42に入力され、ラッチ信号はラッチ回路44に入力される。
なお、以下では、1つの圧電素子20に駆動波形を供給する場合について説明するが、他の圧電素子20についても同様であるので、説明を省略する。
シフトレジスタ42は、入力された選択信号をパラレルデータに変換してラッチ回路44へ出力する。ラッチ回路44は、シフトレジスタ42から出力されたパラレルデータをラッチ信号の入力に応じてラッチする。
セレクタ46には、コントローラ22から第1駆動波形信号〜第16駆動波形信号が選択対象信号として入力されると共に、ラッチ回路44によってラッチされた選択信号のパラレルデータがセレクト端子に入力される。従って、セレクタ46は、第1駆動波形信号〜第16駆動波形信号から選択信号によって選択が指示されたものを選択して出力することになる。
セレクタ46の駆動波形信号の出力端子はレベルシフタ48に接続されており、セレクタ46から出力された波形信号はレベルシフタ48によってレベル変換されて出力される。なお、レベルシフタ48には、図示しない第3電源から所定電圧レベルHVDDの電力が供給されており、レベルシフタ48では、選択信号によって選択された波形信号を、電圧レベルHVDDに応じた電圧レベルまでレベル変換して、ドライバ50に入力する。
ここで、上記第1〜第16駆動波形信号は、それぞれ一対の波形信号S1、S2により構成されており、当該一対の波形信号S1、S2に基づいてドライバ50により3値の駆動波形信号を生成する。
ドライバ50は、第1信号生成回路52と、第2信号生成回路54とが備えられている。本実施の形態に係わる第1信号生成回路52は、PMOS52AとNMOS52Bを直列に接続して構成したインバータ回路として構成されており、同様に、第2信号生成回路54もまた、PMOS54AとNMOS54Bを直列接続して構成したインバータ回路として構成されている。
第1信号生成回路52は、PMOS52AとNMOS52Bのドレイン同士が接続されると共に、PMOS52AとNMOS52Bのゲートが接続されている。同様に、第2信号生成回路54も、PMOS54AとNMOS54Bのドレイン同士が接続されると共に、PMOS54AとNMOS54Bのゲートが接続されている。
また、第1信号生成回路52におけるPMOS52Aのソースには、供給する電力の電圧レベルが可変である図示しない第一電源からの所定電圧レベルHV1とされた電力が供給されると共に、NMOS52Bのソースは接地されてグランドレベルとされている。また、PMOS52A及びNMOS52Bの各ゲートにはレベルシフタ48の一方の出力端子が接続されており、セレクタ46によって選択された一対の波形信号の一方で、かつレベルシフタ48によってレベル変換された波形信号S1が入力される。
従って、第1信号生成回路52では、レベルシフタ48から入力された波形信号S1の信号レベルがハイレベルである場合はPMOS52Aがオフ状態でNMOS52Bがオン状態となるため、出力される電圧の電圧レベルはグランドレベルとなる。これに対して、レベルシフタ48から入力された波形信号S1の信号レベルがローレベルである場合はPMOS52Aがオン状態でNMOS52Bがオフ状態となるため、出力される電圧の電圧レベルは電圧レベルHV1となる。この結果、第1信号生成回路52から出力される電圧は、波形がレベルシフタ48から入力された波形信号S1の反転波形と同一で、かつ電圧レベルとしてグランドレベル及び電圧レベルHV1の2つを有するものとなる。
一方、第2信号生成回路54におけるPMOS54Aのソースには、図示しない第二電源からの所定電圧レベルHV2とされた電力が供給されると共に、NMOS54Bのソースには、第1信号生成回路52におけるPMOS52A及びNMOS52Bの接続点(ドレイン)が接続されている。従って、NMOS54Bのソースには、第1信号生成回路52のインバータ出力が印加されることになる。更に、PMOS54A及びNMOS54Bの各ゲートにはレベルシフタ48の他方の出力端子が接続されており、セレクタ46によって選択された一対の波形信号の他方で、かつレベルシフタ48によってレベル変換された波形信号S2が入力される。
従って、第2信号生成回路54では、レベルシフタ48から入力された波形信号S2の信号レベルがハイレベルである場合はPMOS54Aがオフ状態でNMOS54Bがオン状態となるため、出力される電圧の電圧レベルは第1信号生成回路52から出力された電圧と同様のもの(波形がレベルシフタ48から入力されている波形信号の反転波形と同一で、かつ電圧レベルがグランドレベル及び電圧レベルHV1の2つを有するもの)となる。これに対し、レベルシフタ48から入力された波形信号S2の信号レベルがローレベルである場合はPMOS54Aがオン状態でNMOS54Bがオフ状態となるため、出力される電圧の電圧レベルは電圧レベルHV2となる。この結果、第2信号生成回路54から出力される電圧は、レベルシフタ48から入力された一対の波形信号S1、S2に応じて第1信号生成回路52及び第2信号生成回路54から各々出力される電圧を組み合わせた、電圧レベルとしてグランドレベル、電圧レベルHV1、及び電圧レベルHV2の3値となる。
例えば、駆動波形の電圧レベルを電圧レベルHV2としたい場合は、第2信号生成回路54からの出力波形の電圧レベルを電圧レベルHV2にするようにする。従って、この場合には、第2信号生成回路54に入力する波形信号S2をローレベルとすればよい。なお、この場合は第1信号生成回路52の出力は第2信号生成回路54の出力に影響を与えることはないので、第1信号生成回路52に入力する波形信号S1のレベルは制限されない。
一方、駆動波形の電圧レベルを電圧レベルHV1としたい場合は、第1信号生成回路52からの出力波形の電圧レベルを電圧レベルHV1にすると共に、第2信号生成回路54からの出力波形の電圧レベルも電圧レベルHV1にする必要がある。従って、この場合には、第1信号生成回路52に入力する波形信号S1をローレベルにすると共に、第2信号生成回路54に入力する波形信号S2をハイレベルにする必要がある。
更に、駆動波形の電圧レベルをグランドレベルとしたい場合は、第1信号生成回路52からの出力波形の電圧レベルをグランドレベルにすると共に、第2信号生成回路54からの出力波形の電圧レベルもグランドレベルにする必要がある。従って、この場合には、第1信号生成回路52に入力する波形信号S1をハイレベルにすると共に、第2信号生成回路54に入力する波形信号S2もハイレベルにする必要がある。
表1には、上記波形信号S1及びS2と、駆動波形の電圧レベルとの関係が示されている。なお、同表におけるS1は第1信号生成回路52に入力される波形信号を示し、S2は第2信号生成回路54に入力される波形信号を示し、OUTは第2信号生成回路54から対応する圧電素子20に供給される駆動波形の電圧レベルを示す。
Figure 0004857875
第1信号生成回路52及び第2信号生成回路54の各々に入力すべき波形信号S1、S2を生成させる際には、表1に示される真理値表に基づき、最終的に所望の駆動波形が得られるような一対の駆動波形を生成し、ドライバ50に供給すればよい。
なお、本実施の形態に係るインクジェット記録装置では、図示しない第3電源から供給される電力の電圧レベルHVDDと第二電源から供給される電力の電圧レベルHV2との関係を(電圧レベルHVDD≧電圧レベルHV2)とし、電圧レベルHV2と図示しない第一電源から供給される電力の電圧レベルHV1との関係を(電圧レベルHV2>電圧レベルHV1)としている。
ここで、本実施の形態に係るインクジェット記録装置では、圧電素子20の駆動によって吐出されるインク滴の吐出量の種類として、「大滴」、「中滴」及び「小滴」の3種類が適用されており、コントローラ22では、当該3種類の吐出量の各々に対応する駆動波形を生成することができる一対の波形信号として、以下の表2に示される第1〜第16駆動波形信号が生成され、駆動回路30に入力されるように構成されている。
Figure 0004857875
表2に示されるように、大滴用駆動波形、中滴用駆動波形及び小滴用駆動波形は、各吐出機構10の吐出特性のばらつきに応じてそれぞれ5種類ずつ設定されるようになっている。さらに、インクを吐出させることなく攪拌し、インクの増粘によるノズル目詰まりを防止する予備波形も設定される。
なお、各吐出機構10の吐出特性のばらつきを示す補正情報は、各ノズル毎に予めコントローラ22に設けられたメモリ等に格納されている。コントローラ22は、画像データにより示される各画素の濃度に基づいて記録する画素の濃度レベルを高濃度、中濃度、低濃度、記録なしの何れかに分類し、補正情報に基づいて当該画素を記録する際に用いる駆動波形信号を指定する駆動波形指定信号を出力する。なお、記録する画素の濃度レベルが高濃度であれば大滴用駆動波形の何れかが、中濃度であれば中滴用駆動波形の何れかが、低濃度であれば小滴用駆動波形の何れかが、それぞれ選択される。
ここで、圧電素子20を用いたインク吐出では、圧電素子20に1つのパルスを印加することによって、パルスの立ち下がりで圧力室16が膨張され、パルスの立ち上がりで圧力室16が収縮される。この時、パルスの立ち下がりで圧力波Waが発生し、パルスの立ち上がりで圧力波Waに対して位相が180度ずれた圧力波Wbが発生する。そして、圧力波Wbが発生する時点で残響として圧力波Waが残っているので、双方の合成波Wによって吐出のエネルギーが決定されることになる。
すなわち、圧力波Waと圧力波Wbの発生タイミングは、圧電素子20に印加するパルス幅によって制御される。また、圧力波Waと圧力波Wbとは共に、圧力室16の容積や剛性などで決定される固有周期Tcの振動波であるので、圧電素子20に印加するパルス幅を制御することで吐出エネルギーを制御することができる。
例えば、パルス幅Twが固有周期Tcの1/2であるとすると、図4に示すように、圧力波Waと圧力波Wbの位相が等しくなるため合成波Wは大きくなり、吐出エネルギーが大きくなる。一方、パルス幅Twが固有周期Tcに等しい場合には、図5に示すように、圧力波Waと圧力波Wbの位相は逆になるため合成波Wは打ち消され、吐出エネルギーが小さくなる。
そこで、本実施の形態では、図6(A)〜(C)に示されるような駆動波形をそれぞれ大滴用駆動波形、中滴用駆動波形、小滴用駆動波形として設定している。なお、各図において、噴射パルスのパルス幅T1はそれぞれ固有周期Tcの1/2とされており、インク滴速度が最大となるように設定されている。
図6(A)に示されるように、大滴用駆動波形は、噴射パルスの印加終了による圧力室16の収縮時に、駆動波形信号を低電圧値GNDから高電圧値HV2に一気に変化させることにより、吐出するインク滴体積を増加させている。したがって、圧力室16は、収縮時に急激に膨張前の状態よりも収縮することになり、圧力室16内部に急激に引き込まれるインク液からノズル近傍のインク液が分離してインク滴としてノズル18から吐出される。これにより、当該大滴用駆動波形信号を圧電素子20に印加することにより約9plのインク滴を吐出させる。
また、インク滴吐出後に高電圧値HV2から中間電圧値HV1に戻るタイミングを、インク滴吐出後の圧力波の残留振動を抑制するように設定している。
一方、図6(B)及び(C)に示されるように、中滴用駆動波形及び小滴用駆動波形は、圧電素子20に印加する電圧を中間電圧値HV1からパルス幅T1だけ低電圧値GNDに変化させた後、再び中間電圧値HV1に復帰させ、更に噴射パルスのパルス幅T1よりも小さいパルス幅T3の非噴射パルスを印加して、吐出直後に印加する電圧をパルス幅T3だけ低電圧値GNDに変化させている。
これにより、噴射パルスにより吐出したインク液面を非噴射パルスの印加により圧力室16内に引き込んで吐出するインク滴体積を小さくするようにしている。
なお、中滴用駆動波形(図6(B)参照)の噴射パルス印加後、非噴射パルス印加までのインターバルT2よりも小滴用駆動波形(図6(C)参照)のインターバルT2を短くしている。これにより、中滴用駆動波形信号を圧電素子20に印加することにより4plのインク滴が吐出され、小滴用駆動波形信号を圧電素子20に印加することにより2plのインク滴が吐出される。
なお、インク液面の残留振動を抑制するためには、T2を異ならせた場合、これに応じてT3についても調整して、T2とT3の和を一定にすることが好ましい。
ところで、インクの粘度は環境温度に応じて変化するので、環境温度に関係なくインク滴量を均一化するためには、環境温度の変化に応じて駆動波形を調節する必要がある。通常、環境温度が低温であるほどインク液の粘度が高くなり、環境温度が高温であるほどインク液の粘度が低くなる。
図7には、3種類の環境温度下において、印加する駆動波形と高電圧値HV2及び低電圧値GNDを固定して中間電圧値HV1だけを変化させたときのインク滴体積の測定結果がそれぞれ示されている。なお、図7(A)は大滴用駆動波形によるインク滴体積の測定結果を、図7(B)は中滴用駆動波形によるインク滴体積の測定結果を、図7(C)は小滴用駆動波形によるインク滴体積の測定結果を、それぞれ示す。
同図(A)〜(C)に示されるように、駆動波形が同じ場合は、環境温度が低いほどインク滴体積は小さくなり、環境温度が高いほど、インク滴体積は大きくなる。
また、図7(A)に示されるように、環境温度が10℃の場合はHV1=22(V)のときに、環境温度が25℃の場合はHV1=18(V)のときに、環境温度が30℃の場合はHV=14(V)のときに、それぞれ大滴のインク滴体積がほぼ9(pl)となる。
図7(B)に示されるように、環境温度が10℃の場合はHV1=22(V)のときに、環境温度が25℃の場合はHV1=18(V)のときに、環境温度が30℃の場合はHV=14(V)のときに、それぞれ中滴のインク滴体積がほぼ4(pl)となる。
図7(C)に示されるように、環境温度が10℃の場合はHV1=22(V)のときに、環境温度が25℃の場合はHV1=18(V)のときに、環境温度が30℃の場合はHV=14(V)のときに、それぞれ小滴のインク滴体積がほぼ2(pl)となる。
したがって、以下の表3に示すように、環境温度に応じてHV1を設定することにより、環境温度変化によるインク滴体積誤差を補正することができる。
Figure 0004857875
なお、本実施の形態では、上記中間電圧値HV1は、コントローラ22により、前記前記環境温度センサ140から入力される環境温度に応じて、適宜変更指示を電源回路に出力することにより変更している。
一方、本実施の形態では、予備駆動波形信号として、図8(A)に示される第1予備波形及び図8(B)に示される第2予備波形を選択的に適用するようにしている。
図8(A)に示される第1予備波形は、圧電素子20に印加する電圧を、上記噴射パルスのパルス幅T1よりも短いパルス幅T5だけ、中間電圧値HV1から低電圧値GNDに変化させた後、再び中間電圧値HV1に復帰させる駆動波形である。すなわち、圧力室16は、膨張した状態に保持され、その後に元の状態まで収縮される。
一方、図(B)に示される第2予備波形は、圧電素子20に印加する電圧を中間電圧値HV1から高電圧値HV2に変化させた後、上記第1予備波形のパルス幅T5よりも長いパルス幅T6経過後に、再び中間電圧値HV1に復帰させる駆動波形である。これにより、圧力室16は、わずかに収縮した状態に保持され、その後に元の状態まで膨張される。
なお、第1予備波形よりも第2予備波形の方が省電力であるものの、インク液面の振動も第2予備波形の方が小さくなる。
ここで、上述したように、予備波形は、インク滴を吐出させない程度にインク液面を振動させて、ノズル近傍のインクを攪拌してインクの増粘を抑制し、吐出を安定させるためのものであり、非印字時には全てのノズルに対して、印字時には非選択ノズルに対して、それぞれ印加される。
また、予備波形は、インク増粘抑制効果を発揮することと、かつ誤吐出を防止することの双方を両立させることが重要であり、環境温度変化によりインク粘度が変化した場合には、予備波形についても補正が必要となる。
そこで、本実施の形態では、上記第1予備波形及び第2予備波形を、環境温度の変化に応じて、選択すると共に、そのパルス幅T5又はT6についても、最適な値を設定するようにしている。
この予備波形の設定を、省電力でかつ十分に効果を発揮できるように設定すべく、出願人は、誤吐出の有無及びインク増粘抑制効果の有無に関する実験を行なった。
ここで、実験においては、低電圧値GND及び高電圧値HV2を環境温度にかかわらず固定として、中間電圧値HV1のみを環境温度に応じて上記表3に示すように設定し、環境温度10℃、25℃、35℃のそれぞれの条件において、予備波形1又は予備波形2をそのパルス幅T5又はT6を0.1Tc〜1.5Tcまで変更した。
第1予備波形による誤吐出の有無の実験結果を以下の表4に、第2予備波形による誤吐出の有無の実験結果を表5に、それぞれ示す。
なお、表4及び表5において、丸印は誤吐出がなかったことを、バツ印は誤吐出があったことを、それぞれ示している。
また、予備波形を印加して、ヘッド内の1つでも誤吐出があった場合にはバツとし、全く誤吐出がない場合には丸とした。
Figure 0004857875
Figure 0004857875
さらに、表6には、表4で丸印が付された(誤吐出がない)予備波形について行ったインク増粘抑制効果に関する実験結果を、表7には、表5で丸印が付された(誤吐出がない)予備波形について行ったインク増粘抑制効果に関する実験を、それぞれ示す。
なお、インク増粘抑制効果の実験は、連続吐出を行なって連続吐出時のインク滴速度Aを測定した後に10秒間予備波形を印加し、その後最初に吐出させたインク滴速度Bを測定することにより行なった。
また、インク増粘抑制効果の評価は、インク滴速度Aとインク滴速度Bとの比較により行い、予備波形印加後のインク滴速度Bの低下度合いが10%未満なら丸印、10%以上30%未満なら三角印、30%以上ならバツ印とした。
Figure 0004857875
Figure 0004857875
以上の結果と、消費電力低減のためには予備波形の電圧振幅は小さい方がよいことに基づいて、例えば以下の表8に示すように、環境温度に応じた予備波形を設定することができる。
Figure 0004857875
このようにして、コントローラ22では、環境温度センサ140から入力される環境温度に応じて、適宜表2に示す第16駆動波形信号として、第1予備波形及び第2予備波形を選択的に適用して駆動回路30に出力する。
なお、表8には、最も消費電力が低減できる予備波形のパルス幅をそれぞれ設定した場合の例であり、第1予備波形のパルス幅としては、インク液の固有振動周期Tcの20%以下、又は80%以上120%以下の範囲であれば液体の増粘抑制効果と液滴の誤吐出防止とを両立させるように設定できる。また、第2予備波形のパルス幅としては、インク液固有振動周期Tcの40%以上60%以下の範囲であれば液体の増粘抑制効果と液滴の誤吐出防止とを両立させるように設定できる。
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、ノズル18が設けられて内部に液体が収容される圧力室16に圧電素子20が設けられた複数の吐出機構10を備え、所定の周期毎の吐出タイミングで、前記圧電素子20に、電圧値が異なる3つの電源端子の何れかを選択的に接続することにより、高電圧値HV2、低電圧値GND及び中間電圧値HV1の3値のデジタル駆動波形を圧電素子20に印加して、当該圧電素子20を変形させることにより前記圧力室16内の液体に振動波を与えて前記ノズル18から液滴を吐出させ、前記高電圧値HV2と前記中間電圧値HV1との電位差が、前記中間電圧値HV1と前記低電圧値GNDとの電位差よりも小さくなるように設定しておき、前記吐出タイミングで前記液滴の吐出を実行しない吐出機構10の前記圧電素子20に対して、液滴を吐出させることなく前記圧力室16内の液体を振動させる液体増粘抑制用の予備波形を印加するに際し、前記吐出機構10近傍の環境温度を検出し、検出された環境温度に応じて、前記環境温度が予め定められた閾値の温度よりも低温である場合には、前記圧電素子20に接続する電源端子を、中間電圧値HV1の電源端子、低電圧値GNDの電源端子、中間電圧値HV1の電源端子の順に切り替える第1予備波形を、前記環境温度が予め定められた閾値の温度以上である場合には、前記圧電素子に接続する電源端子を、中間電圧値HV1の電源端子、高電圧値HV2の電源端子、中間電圧値HV1の電源端子の順に切り替える第2予備波形を、それぞれ印加するので、液体の増粘抑制効果と液滴の誤吐出防止とを両立できる。
また、本実施の形態によれば、前記第1予備波形のパルス幅を、前記圧力室内における前記液体の固有振動周期Tcの20%(0.2Tc)とし、前記第2予備波形のパルス幅を、前記固有振動周期Tcの40%〜50%(0.4Tc、0.5Tc)としているので、液体の増粘抑制効果と液滴の誤吐出防止とを両立できる。
なお、本実施の形態では、高電圧値HV2と低電圧値GNDを固定として、中間電圧値HV1のみを環境温度に応じて変化させる形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、中間電圧値HV1と高電圧値HV2との差を一定に保ちながら、中間電圧値HV1及び高電圧値HV2を環境温度に応じて変化させるようにしてもよい。
このようにした場合に、環境温度10℃、25℃、35℃のそれぞれの条件において、予備波形1又は予備波形2をそのパルス幅T5又はT6を0.1Tc〜1.5Tcまで変更した実験の結果は、次の表9及び表10に示されるようになる。
なお、第1予備波形による誤吐出の有無の実験結果を以下の表9に、第2予備波形による誤吐出の有無の実験結果を表10に、それぞれ示す。
なお、表9及び表10において、丸印は誤吐出がなかったことを、バツ印は誤吐出があったことを、それぞれ示している。
また、予備波形を印加して、ヘッド内の1つでも誤吐出があった場合にはバツとし、全く誤吐出がない場合には丸とした。
Figure 0004857875
Figure 0004857875
さらに、表11には、表9で丸印が付された(誤吐出がない)予備波形について行ったインク増粘抑制効果に関する実験結果を、表12には、表10で丸印が付された(誤吐出がない)予備波形について行ったインク増粘抑制効果に関する実験を、それぞれ示す。
なお、インク増粘抑制効果の実験は、連続吐出を行なって連続吐出時のインク滴速度Aを測定した後に10秒間予備波形を印加し、その後最初に吐出させたインク滴速度Bを測定することにより行なった。
また、インク増粘抑制効果の評価は、インク滴速度Aとインク滴速度Bとの比較により行い、予備波形印加後のインク滴速度Bの低下度合いが10%未満なら丸印、10%以上30%未満なら三角印、30%以上ならバツ印とした。
Figure 0004857875
Figure 0004857875
以上の結果と、消費電力低減のためには予備波形の電圧振幅は小さい方がよいことに基づいて、例えば以下の表13に示すように、環境温度に応じた予備波形を設定することができる。
Figure 0004857875
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンタの構成(図1乃至図3参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
また、測定値等(図7及び表3乃至表13参照)も一例であり、各値は実際の記録ヘッドの仕様や吐出させる液体の流路における固有振動周期等に応じて適宜設定し得る。
また、本実施の形態では、インク液を吐出して、記録媒体上へ画像(文字を含む)を記録するインクジェットプリンタに本発明を適用した形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば半導体や液晶表示器等のパターン形成のためにシート状の基板に液滴を吐出するパターン形成装置等の他の液滴吐出装置にも適用することができる。
実施の形態に係るFWA型インクジェットプリンタの構成を示す概略図である。 実施の形態に係る記録ヘッドの構成を示す断面図である。 実施の形態に係る記録ヘッド制御部の構成を示すブロック図である。 圧力室膨張時の圧力波と収縮時の圧力波が合成されたそれぞれの圧力波よりも大きな合成波ができる場合を説明するための図である。 圧力室膨張時の圧力波と収縮時の圧力波が合成されてそれぞれが打ち消し合ってそれぞれの圧力波よりも小さな合成波ができる場合を説明するための図である。 (A)は大滴用駆動波形、(B)は中滴用駆動波形、(C)は小滴用駆動波形をそれぞれ示す図である。 3種類の環境温度下において、中間電圧値HV1を変化させて同一の駆動波形を印加したときのインク滴体積を示す図であり、(A)は大滴のインク滴体積を、(B)は中滴のインク滴体積を、(C)は小滴のインク滴体積を、それぞれ示している。 (A)は第1予備波形を、(B)は第2予備波形を、それぞれ示す図である。
符号の説明
10 吐出機構
16 圧力室(圧力室)
18 ノズル(吐出口)
20 圧電素子
22 コントローラ(設定手段、予備波形生成手段)
30 駆動回路(印加手段)
100 インクジェットプリンタ
136 記録ヘッド
137 記録ヘッドユニット
140 環境温度センサ(温度検出手段)
150 記録ヘッド制御部

Claims (6)

  1. 液滴を吐出するための吐出口と、前記吐出口に連通し、内部に液体が収容される圧力室と、前記圧力室に振動波を与える圧電素子と、が設けられた複数の吐出機構を備え、第1の電圧レベル、該第1の電圧レベルよりも低い第2の電圧レベル及び前記第1の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの間にある第3の電圧レベルの何れかを選択的に組み合わせた3値のデジタル駆動波形であって、前記第1の電圧レベルと前記第3の電圧レベルとの電位差と、前記第3の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの電位差とが異なるように設定された該3値のデジタル駆動波形を前記圧電素子に印加して前記吐出口から液滴を吐出させる液滴吐出記録ヘッドの駆動方法であって、
    記吐出機構近傍の環境温度が予め定められた閾値の温度よりも低温である場合には、前記液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる予備波形として、前記圧力室内の液体の固有振動周期Tcの20%以下、又は80%以上120%以下となるパルス幅分、前記第3の電圧レベルから前記第2の電圧レベルに変化させた後、再び該第3の電圧レベルに復帰させた第1予備波形を前記圧電素子に印加し
    前記環境温度が予め定められた閾値の温度以上である場合には、前記液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる予備波形として、前記固有振動周期Tcの40%以上60%以下となるパルス幅分、前記第3の電圧レベルから前記第1の電圧レベルに変化させた後、再び該第3の電圧レベルに復帰させた第2予備波形を前記圧電素子に印加することを特徴とする液滴吐出記録ヘッドの駆動方法。
  2. 前記圧力室の容積は、前記圧電素子に印加される電圧レベルが高いほど収縮し、印加される電圧レベルが低いほど膨張するように設定されており、
    前記第1の電圧レベルと前記第3の電圧レベルとの電位差を、前記第3の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの電位差よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の液滴吐出記録ヘッドの駆動方法。
  3. 前記第2の電圧レベル及び前記第1の電圧レベルを固定値とし、前記第3の電圧レベルを前記環境温度に応じて変化させることを特徴とする請求項1又は請求項記載の液滴吐出記録ヘッドの駆動方法。
  4. 前記第2の電圧レベルを固定とし、前記第3の電圧レベルと前記第1の電圧レベルとの電位差が一定になるように、前記環境温度に応じて前記第3の電圧レベルと前記第1の電圧レベルとを変化させることを特徴とする請求項1又は請求項記載の液滴吐出記録ヘッドの駆動方法。
  5. 前記環境温度が低いほど前記第3の電圧レベルを高くすることを特徴とする請求項又は請求項記載の液滴吐出記録ヘッドの駆動方法。
  6. 吐出口が設けられて内部に液体が収容される圧力室に圧電素子が設けられた複数の吐出機構を備え、所定の周期毎の吐出タイミングで、第1の電圧レベル、該第1の電圧レベルよりも低い第2の電圧レベル及び前記第1の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの間にある第3の電圧レベルの何れかを選択的に組み合わせた3値のデジタル駆動波形を前記圧電素子に印加して、当該圧電素子を変形させることにより前記圧力室内の液体に振動波を与えて前記吐出口から液滴を吐出させる液滴吐出記録ヘッドを有する液滴吐出記録装置であって、
    前記第1の電圧レベルと前記第3の電圧レベルとの電位差と、前記第3の電圧レベルと前記第2の電圧レベルとの電位差とが異なるように設定する設定手段と、
    前記吐出機構近傍の環境温度を検出する検出手段と、
    前記圧力室内の液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる液体増粘抑制用の予備波形として、前記環境温度が予め定められた閾値の温度よりも低温である場合には、前記液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる予備波形として、前記圧力室内の液体の固有振動周期Tcの20%以下、又は80%以上120%以下となるパルス幅分、前記第3の電圧レベルから前記第2の電圧レベルに変化させた後、再び該第3の電圧レベルに復帰させた第1予備波形を生成し、前記環境温度が予め定められた閾値の温度以上である場合には、前記液滴を吐出させることなく前記圧力室内の液体を振動させる予備波形として、前記固有振動周期Tcの40%以上60%以下となるパルス幅分、前記第3の電圧レベルから前記第1の電圧レベルに変化させた後、再び該第3の電圧レベルに復帰させた第2予備波形を生成する予備波形生成手段と、
    記圧電素子に対して、前記予備波形生成手段により生成された前記第1予備波形又は前記第2予備波形を印加する印加手段と、
    を備えた液滴吐出記録ヘッドの駆動装置。
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