JP4857782B2 - 間隙閉塞部材 - Google Patents
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Description
免震構造物では、免震装置を保護するために、基礎の周縁部に起立部を形成して保護壁とし、該保護壁に囲まれた領域内に、免震建物の底部(建物架台)と免震装置とが納められる。そして、地震時や強風時に、基礎に対して免震建物を水平方向に移動可能とするために、前記保護壁と免震建物との間には所定の間隙が設けられている。
そして、保護壁と免震建物との間の隙間に人や物が落下することを防止するための、又は、該隙間を通じて免震装置に影響を及ぼす風雨等の外部環境から免震装置を保護するための、基礎と免震建物との間の隙間を遮蔽する蓋体が公知となっている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、免震建物の変位に応じて、基礎と免震建物との両構造物間の隙間を覆いながら、大地震時等の免震建物の過大な変位量を制限することができる間隙閉塞部材を提供することにある。
そして、該隙間はシート体によって覆われているため、人や物が落下することを防止することができ、免震装置を風雨から保護することもできる。
つまり、シート体によって変位制限及び落下防止の2つの効果を得ることができ、その結果、免震建物の建築費用を低減することができる。
加えて、免震建物が隙間の広がる方向に移動する際において、徐々に強い力で免震建物の移動を制限するため、免震建物の移動が急激に止められることがなくなり、免震建物に伝わる衝撃を低減することができる。
また、シート体が弛んでいる状態とシート体が弛んでいない状態が存するため、免震建物の移動に対する変位制限の力の大きさを2段階で変化させることができる。その結果、小地震等によって免震建物が小さく移動する際にはシート体による変位制限が働かず、つまり間隙閉塞部材が免震建物の移動の抵抗とならず、大地震等によって免震建物が大きく移動する際には、シート体による変位制限が働いて免震装置の外周がコンクリート基礎の保護壁内周に衝突したり、免震装置の限界変位を超えて免震建物が変位することを防止することができる。
図1は本発明の間隙閉塞部材1・1を備えたコンクリート基礎2を示す側面断面図であり、図2は免震建物10が定常位置にあるときの間隙閉塞部材1を示す側面断面図であり、図3は免震建物10が定常位置から変位したときの間隙閉塞部材1を示す側面断面図であり、図4は本発明の間隙閉塞部材1を示す拡大側面断面図であり、図5は免震建物10が変位したときのコンクリート基礎2を示す側面断面図である。
前記免震装置20は、基礎2に形成された基礎底面3上に固設されるものであって、前記保護壁4により保護されている。
前記免震装置20・20・・・にて、免震建物10の躯体11が基礎2に対して略水平方向に可動に支承される。そして、免震建物10が基礎2に対して略水平方向に移動する際に、互いに干渉(当接)しないように、免震建物10の躯体11と基礎2の保護壁4との間に間隙が設けられている。
詳しくは、図2乃至図4に示すように、免震装置20は、上面にすり鉢形状の転動面を有する下部材20bと、下面にボール保持部を有する上部材20dと、該ボール保持部に転動自在に保持されるボール20cとで構成され、ボール20cは前記転動面を自由に転動することができる。以下、免震装置20が破壊される臨界、即ち、ボール20cが下部材20b上面の端部に達した際の、免震建物10の変位を免震装置20の限界変位とする。
前記上部材20dの周囲には、前記下部材20bの転動面への埃等の堆積を抑止するために、該下部材20b上方を覆う該傘部20eが、設けられている。
ここで、傘部20eはゴム等の弾性部材で構成されるものであり、大地震時や強風時に上部材20dが移動して傘部20eが保護壁4に当接した場合であっても、該傘部20eや保護壁4が傷つかないように構成されている。
また、免震建物10が基礎2に対して変位すると、前記免震装置20の上部材20dが、基礎2の保護壁4等に衝突したり、ボール20cが上部材20dと下部材20bとの間から外れたりする不具合が発生する虞がある。
本発明に係る間隙閉塞部材1は、コストを抑えつつ上記のような不具合を解消することができるものである。
間隙閉塞部材1は、免震建物10及び保護壁4のほぼ全周囲に渡って、免震建物10の躯体11(架台)と、基礎2の保護壁4との間に架設されるものである。
図4に示すように、免震建物10側においては、該免震建物10の躯体11にH型鋼12の一側のフランジが固設され、該H型鋼12の他側のフランジと押圧板83とでシート体5の一端が挟持されるようにして、これらがボルト81及びナット82から成る締結部材8にて締結される。
前記H型鋼12は、定常時(揺れが発生しないとき)において、保護壁4よりも内周側に位置するように、免震建物10の下面の周縁部にわたって設けられる。そして、H型鋼12と、保護壁4(及び保護壁4に設けたL字状部材7)との間には、基礎2に対して免震建物10が変位したときに干渉しない程度に十分な間隙が設けられる。
つまり、前記押圧板63と、L字状部材7との間でシート体5の一端が挟持される。
尚、L字状部材7は、シート体5と一体的に構成されるもの、すなわちシート体5の基礎2側の端部を折り曲げて形成されるものであっても良い。
但し、シート体5は、平面視略長方形状に限定するものでなく、一又は複数のシート体5・5・・・を組み合わせることによって、免震建物10のほぼ全周囲に渡って、該免震建物10下部の躯体11と基礎2の保護壁4の内周との隙間を閉塞できる形状であればよい。
具体的には、シート体5をゴムや粘弾性体や極低降伏点鋼等から構成し、該シート体5の厚みや引張り方向の幅を調節することによって所望のバネ定数を得るのである。
つまり、シート体5によって変位制限及び落下防止の2つの効果を得ることができ、その結果、免震建物10の建築費用を低減することができる。
加えて、免震建物10が隙間の広がる方向に移動する際において、徐々に強い力で免震建物10の移動を制限するため、免震建物10の移動が急激に止められることがなくなり、免震建物10に伝わる衝撃を低減することができる。
これにより、図1、図2、図4に示すように、免震建物10が定常位置にあるとき、即ちボール20cが下部材20b上面のすり鉢の最低位置にあるときにおいて、該シート体5が撓むように構成している。
そして、該シート体5は免震建物10の外周に渡って張り巡らされているから、免震建物10と保護壁4との隙間の幅が広くなってもそこから人や物が落下したり、基礎2の保護壁4より内側に風雨が入り込んで来たりすることがない。
そのため、図5に示すように、一方(図5において、左側)の隙間が狭まる方向に免震建物10が移動した場合には、対向する側(図5において、右側)の隙間に架け渡された間隙閉塞部材1のシート体5が引っ張られることによって、免震建物10の変位が制限を受ける。
これによって、地震や強風等によって免震建物10がどの方向へ移動した場合であっても、免震建物10の上部材20dの外周が基礎2の保護壁4内周に衝突したり、ボール20cが下部材20bから飛び出す、即ち免震装置20の限界変位を超えて免震建物10が相対変位することを防止することができる。
2 基礎
3 基礎底面3
4 保護壁
5 シート体
10 免震建物
20 免震装置
20b 下部材
20c ボール
20d 上部材
20e 傘部
Claims (2)
- 基礎上に免震装置を介して支持された建物本体と、該基礎に形成された保護壁と、の間に配設される間隙閉塞部材であって、
可撓性及び弾性を有するシート体で構成し、
該シート体の上端を前記建物本体下部の周縁に、下端を該保護壁の周縁に連結し、
前記シート体の引張り方向の幅が、定常位置にある前記建物本体と前記保護壁との隙間より大きく、
該シート体を前記建物本体と前記保護壁との間に撓んだ状態に架設したことを特徴とする間隙閉塞部材。 - 前記建物本体が定常位置にあるときに、前記シート体が弛んだ状態で保持され、
前記免震装置の限界変位付近まで該建物本体が変位したときに、前記シート体が引っ張られる構成としたことを特徴とする請求項1に記載の間隙閉塞部材。
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