JP4856806B2 - 記録ヘッド、記録ヘッド用基体および記録装置 - Google Patents

記録ヘッド、記録ヘッド用基体および記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所望の画像を被記録媒体に記録する記録ヘッド、記録ヘッド用基体および記録装置に関する。本発明は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の被記録媒体に対し記録を行う、プリンタ、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリンタ部を有するワードプロセッサ等の装置、さらには各種処理装置と複合的に組み合わせた産業用記録装置に適用できる発明である。ここで、本発明における「記録」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を被記録媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を付与することをも意味するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の記録ヘッドには、発熱素子を用いてインクリボンや感熱紙に熱を伝え記録を行うサーマルヘッドや、圧電素子を用いてインクを吐出し記録するインクジェットヘッドなどがある。以下では記録素子として発熱素子を用いてインクを吐出し記録するインクジェットヘッドを例にして説明する。
【0003】
熱等のエネルギをインクに与えることで、インクに急峻な体積変化(気泡の発生)を伴う状態変化を生じさせ、この状態変化に基づく作用力によって吐出口からインクを吐出し、これを被記録媒体上に付着させて画像を形成するインクジェット記録方法、いわゆるバブルジェット記録方法が従来知られている。このバブルジェット記録方法を用いる記録装置には、米国特許第4、723、129号公報等で開示されているように、インクを吐出するための吐出口と、この吐出口に連通するインク流路と、インク流路内に配されたインクを吐出するためのエネルギ発生手段としての記録素子が一般的に配されている。
【0004】
このような記録方法によれば、品位の高い画像を高速、低騒音で記録することができるとともに、この記録方法を行うヘッドではインクを吐出するための吐出口を高密度に配置することができるため、小型の装置で高解像度の記録画像、さらにカラー画像をも容易に得られるという多くの優れた点を有している。このため、バブルジェット記録方法は、近年、プリンタ、複写機、ファクシミリ等の多くのオフィス機器に利用されており、さらに、捺染装置等の産業用システムでも利用されるようになってきた。
【0005】
ところで、インクを吐出するためのエネルギを発生する記録素子は、半導体製造プロセスを用いて作製することができる。そのため、バブルジェット技術を利用した従来のヘッドは、シリコン基板からなる素子基板上に記録素子を形成して基体を構成し、その上にインク流路を形成するための溝を形成した、ポリサルフォン等の樹脂やガラス等からなる天板を接合した構成となっている。
【0006】
また、素子基板がシリコン基板からなることを利用し、記録素子を素子基板上に構成するだけでなく、記録素子を駆動するための駆動回路や、記録素子をヘッドの温度に応じて制御する際に用いられる温度センサおよびその駆動制御部等を素子基板上に構成したものもある。図19に、このような素子基板の構成の一例を示す。
【0007】
図19において、素子基板1001には、インク吐出用の熱エネルギを与える抵抗体からなる複数の発熱素子(記録素子)1005が並列に配列されたヒータ群1002と、各発熱素子1005を駆動するための複数のトランジスタ1008が並列に配列された駆動回路1003と、駆動回路1003の各トランジスタ1008を制御するための制御回路1004と、画像データや各種信号等を外部から入力するための入力端子1007とが形成されている。また、素子基板1001には、素子基板1001の温度を測定するための温度センサ、あるいは各発熱素子の抵抗値を測定するための抵抗センサといったセンサ1006が形成されている。
【0008】
制御回路1004は、不図示の、外部からシリアルに入力される画像データを駆動回路1003にパラレルに出力するシフトレジスタ、シフトレジスタから出力されるデータを一時記憶しトランジスタ1008に出力するラッチ回路、およびセンサ1006を駆動したりセンサ1006からの出力に応じて発熱素子の駆動パルス幅を制御するための駆動制御回路を備えている。なお、制御回路1004は、各発熱素子1005に個別に対応して画像データを出力するものや、ヒータ群1002を複数のブロックに分け、ブロック単位に対応して画像データを出力するもの等がある。このように、1つのヘッドについて複数のシフトレジスタを備え、インクジェット記録装置からの画像データの転送を複数のシフトレジスタに振り分けて入力することで、印字速度の高速化に容易に対応している。
【0009】
センサ1006としては、発熱素子の近傍の温度を測定する温度センサや、発熱素子の抵抗値をモニタするための抵抗センサ等が用いられる。
【0010】
噴射される液滴の吐出量を考えた場合、その吐出量は主にインクの発泡体積に関係する。インクの発泡体積は、発熱素子1005およびその周辺の温度によって変化する。そこで、温度センサによって発熱素子1005および周辺の温度を測定し、その結果に応じてインク吐出のためのヒートパルスを印加する前に、インクを吐出しない程度の小さいエネルギのパルス(プレヒートパルス)を加え、そのプレヒートパルスのパルス幅や、その出力タイミングを変更することにより発熱素子1005および周辺の温度を調整して、一定の液滴を吐出するようにして画像品位を維持することが行われる。
【0011】
また、発熱素子1005における、インクを発泡させるのに必要なエネルギを考えた場合、放熱条件が一定であれば、そのエネルギは発熱素子1005の必要な単位面積当たりの投入エネルギと発熱素子1005の面積の積で表わされる。これにより、発熱素子1005の両端にかかる電圧、発熱素子1005に流れる電流およびパルス幅を、その必要なエネルギが得られる値に設定すればよい。発熱素子1005に流れる電流は、発熱素子1005の抵抗値が、素子基板1001の製造過程における発熱素子の膜厚のばらつき等により、ロットにより、あるいは素子基板1001によって抵抗値が異なっている。
【0012】
したがって、印加されるパルス幅が一定で、発熱素子1005の抵抗値が設定よりも大きい場合はその流れる電流値が小さくなり、発熱素子1005に投入されるエネルギ量が不足してしまい、インクを適正に発泡させることができなくなる。逆に、発熱素子1005の抵抗値が小さくなると、同じ電圧を印加しても電流値が設定値よりも大きくなる。この場合には、発熱素子1005により過剰なエネルギが発生され、発熱素子1005の損傷や短寿命につながるおそれがある。そこで、抵抗センサによって発熱素子1005の抵抗値を常にモニタし、その値によりヒートパルス幅を変化させて、発熱素子にほぼ一定のエネルギが印加されるようにしている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような素子基板を有する従来のインクジェットヘッドでは、発熱素子に供給するヒータ印加用電圧、および制御回路を動作させるための制御回路用電圧の2種類の電圧源が必要であり、それらの電圧をインクジェット記録装置本体から供給している。
【0014】
キャリッジに搭載されて印字中に被記録媒体の表面に沿って移動するインクジェットヘッドに電源電圧を供給するため、インクジェットヘッドと記録装置の本体とはフレキシブル基板等の比較的長いケーブルによって接続される。このような構成のため、例えば、同時に多くの発熱素子が駆動される場合にインクジェットヘッドに供給されるヒータ印加用電圧が降下することがある。
【0015】
したがって、従来のインクジェットヘッドでは、電圧降下を考慮して、発熱素子に印加する電圧を、吐出に必要な電圧(以下、吐出電圧と称す)よりも高めに設定していたため、発熱素子の耐久性を低下させるおそれがあった。
【0016】
また、フレキシブル基板等のケーブルによって伝送される信号や電圧にはノイズが重畳されやすいため、スパイク状のノイズによって発熱素子を損傷させる可能性があり、損傷には至らなくても耐久性が低下するおそれがあった。
【0017】
近年のインクジェット記録装置には、多方面の製品のそれぞれの分野に応じた、より高品位な画像の出力要求が高まると共に、記録速度を向上させる要求も高まり、インクを吐出するためのノズル(インク流路)数の増加や記録周期の短縮化が進んでいる。そのため、発熱素子に印加する駆動パルスの幅を短くし、同時駆動する記録素子数を増やすことが必要である。
【0018】
しかしながら、従来のインクジェットヘッドでは、発熱素子に印加する電圧が固定電圧であるため、インクの種類や発熱素子の大きさに応じてインクの吐出エネルギを制御しようとする場合に、ヒートパルス幅を変えることによる制御しかできなかった。このような構成では、パルス幅を短くすることができないために、今後、益々進む高速化(例えば吐出周波数が10kHz以上、さらには20kHz以上)、多ノズル化に対応することが困難である。
【0019】
そこで本発明は、記録素子に印加する電源電圧を安定化させると共に、高速化、多ノズル化に対応して、インクの種類や記録素子に応じてインクの吐出エネルギを最適に制御可能な記録ヘッド、記録ヘッド用基体および記録装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の記録ヘッドは、インクを吐出して記録を行うための複数の記録素子と、インクを発泡させない程度に加熱するためのプレヒートパルスとインクを発泡させるように加熱するためのメインヒートパルスとを複数の記録素子に印加して、複数の記録素子をそれぞれ駆動する駆動回路と、外部から供給される電圧から、複数の記録素子に印加するための複数の異なる所定の電圧を発生する所定電圧発生回路と、を有し、複数の記録素子の駆動周波数が所定の周波数より低い場合に、所定電圧発生回路はメインヒートパルスの電圧として複数の異なる所定の電圧のうち相対的に低い電圧を発生し、駆動回路は相対的に長いパルス幅のメインヒートパルスを記録素子に印加し、駆動周波数が所定の周波数より高い場合に、所定電圧発生回路はメインヒートパルスの電圧として複数の異なる所定の電圧のうち相対的に高い電圧を発生し、駆動回路は相対的に短いパルス幅のメインヒートパルスを記録素子に印加し、さらに、駆動回路がメインヒートパルスを記録素子に印加する前に、所定電圧発生回路はプレヒートパルスの電圧としてメインヒートパルスの電圧より低い電圧を発生し、駆動回路はメインヒートパルスのパルス幅より長いパルス幅のプレヒートパルスを記録素子に印加することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の記録ヘッド用基体は、基板と、基板に設けられ、インクを吐出して記録を行うための複数の記録素子と、基板に設けられ、インクを発泡させない程度に加熱するためのプレヒートパルスとインクを発泡させるように加熱するためのメインヒートパルスとを複数の記録素子に印加して、複数の記録素子をそれぞれ駆動する駆動回路と、基板に設けられ、外部から供給される電圧から、複数の記録素子に印加するための複数の異なる所定の電圧を発生する所定電圧発生回路と、を有し、複数の記録素子の駆動周波数が所定の周波数より低い場合に、所定電圧発生回路はメインヒートパルスの電圧として複数の異なる所定の電圧のうち相対的に低い電圧を発生し、駆動回路は相対的に長いパルス幅のメインヒートパルスを記録素子に印加し、駆動周波数が所定の周波数より高い場合に、所定電圧発生回路はメインヒートパルスの電圧として複数の異なる所定の電圧のうち相対的に高い電圧を発生し、駆動回路は相対的に短いパルス幅のメインヒートパルスを記録素子に印加し、さらに、駆動回路がメインヒートパルスを記録素子に印加する前に、所定電圧発生回路はプレヒートパルスの電圧としてメインヒートパルスの電圧より低い電圧を発生し、駆動回路はメインヒートパルスのパルス幅より長いパルス幅のプレヒートパルスを記録素子に印加することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の記録装置は、前記した構成の記録ヘッドと、該記録ヘッドを駆動する駆動信号供給手段とを備えていることを特徴とする
【0023】
本発明では、所定電圧発生回路によってヘッド内部で記録を行うための所望の電圧を発生するため、外部からケーブルを介して電圧を供給することによる電圧降下が防止されると共に、ノイズによる発熱素子の損傷や耐久性の低下が防止される。特に、所定電圧発生回路から記録素子印加用電圧を出力することで、記録素子への印加電圧を吐出電圧に応じた最適な値に設定することができるため、効率よく安定してインクを吐出させることができる。
【0024】
また、所定電圧発生回路から複数の所望の電圧を発生し、該電圧を記録素子のグループ毎に供給することで、インクの種類や記録素子に応じて記録素子印加用電圧を最適に設定することができるため、高速化、多ノズル化されたヘッドであっても、インクの吐出エネルギを容易に制御することが可能になる。
【0025】
さらに、所定電圧発生回路から記録素子に印加する記録素子印加用電圧、および制御回路に印加する制御回路用電圧をそれぞれ供給することで、ヘッドに供給する電源用の電圧が一種類で済むため、本体装置の負荷が軽減する。このとき、制御回路用電圧を立ち上げてから記録素子印加用電圧を立ち上げる、記録素子印加用電圧を立ち下げてから制御回路用電圧を立ち下げる、あるいは印字時のみ記録素子印加用電圧を記録素子に印加する制御を行うことで、記録素子の誤動作が防止され、ヘッドの信頼性が向上する。
【0026】
また、所定電圧発生回路を複数の記録素子が形成された基板と同一の基板上に設けることで、部品点数が低減するため、組み立てが容易になる。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に本発明について図面を参照して説明する。
(第1の参考例
図1は本発明のインクジェットヘッドの第1の参考例の構成を示すブロック図であり、図2は図1に示した所定電圧発生回路の一構成例を示す回路図である。
【0028】
図1(a)に示すように、本参考例のインクジェットヘッド1は、素子基板上に形成されたヒータ群12の各発熱素子13にヒータ印加用電圧を供給するための所定電圧発生回路(電圧変換回路)11を有する構成である。
【0029】
所定電圧発生回路11は、図2に示すように、入力端子21および出力端子22間に挿入されるトランジスタTr1と、出力端子22から出力される出力電圧VOを分圧して検出するための抵抗器R1、R2と、トランジスタTr1のベース-コレクタ間に挿入される抵抗器R3と、所定の基準電圧Vrefを出力する基準電圧源23と、抵抗器R1、R2によって検出された検出電圧Vsおよび基準電圧Vrefが入力され、検出電圧Vsと基準電圧Vrefが等しくなるようにトランジスタTr1を制御する差動増幅回路24とを備えた構成である。さらに、負荷変動に対して安定性をよくするため、コンデンサ25を出力端子22と接地電位間に挿入してもよい。
【0030】
図2に示した回路では、検出電圧Vsと基準電圧Vrefが等しくなるように差動増幅器24によってトランジスタTr1のベース電流が制御され、外部からの入力電圧VIの変動に対して出力電圧VOが一定に制御される。なお、基準電圧源23から出力される基準電圧Vrefを変更可能にすることで、出力電圧VOの値を所望の電圧に容易に調整することができる。
【0031】
このような所定電圧発生回路11をインクジェットヘッド1に有することで、図1(b)に示すように、インクジェットヘッド1に供給される外部からの入力電圧VAにスパイク状のノイズが重畳したり入力電圧VAが電圧降下を起こした場合でも、所定電圧発生回路11の出力電圧VBがほぼ一定に維持されるため、ノイズ入力や外部電圧降下に対して変動が少ないヒータ印加用電圧を各発熱素子13に印加することができる。
【0032】
よって、スパイク状のノイズによる発熱素子13の損傷や耐久性の低下が防止され、インクジェット記録装置の本体から供給される電源電圧が降下した場合でも安定な電圧が各発熱素子13に印加されるため、発熱素子13の寿命の低下が防止される。
(第2の参考例
図3は本発明のインクジェットヘッドの第2の参考例の構成を示すブロック図である。
【0033】
図3に示すように、本参考例のインクジェットヘッド3は、複数の発熱素子33が複数のヒータ群32(図3では321、322の2つの場合を例示)に分割され、各ヒータ群32毎に各々の発熱素子33が駆動される構成である。
【0034】
参考例のインクジェットヘッド3が有する所定電圧発生回路31は、例えば、図2に示した回路を複数個備えた構成であり、各ヒータ群32にヒータ印加用電圧をそれぞれ個別に供給する。
【0035】
このような構成にすると、ヒータ印加用電圧を各ヒータ群32毎に所望の値に設定することができるため、例えば、1つのインクジェットヘッド内にカラーインク用とブラックインク用の駆動条件の異なる発熱素子が一体的に設けれている場合でも、インクの種類あるいは発熱素子の大きさに応じた最適な電圧で発熱素子33を駆動することができる。したがって、高速化、多ノズル化されたインクジェットヘッドであっても、インクの吐出エネルギを容易に制御することが可能になる。
(第3の参考例
図4は本発明のインクジェットヘッドの第3の参考例の構成を示すブロック図であり、図5は図4に示した所定電圧発生回路の一構成例を示す回路図である。また、図6は図4に示した所定電圧発生回路の出力電圧の立ち上がり波形、および立ち下がり波形をそれぞれ示すタイミングチャートである。
【0036】
図4に示すように、本参考例のインクジェットヘッド4は、ヒータ印加用電圧(10V〜40V)、および制御回路45を動作させるための制御回路用電圧(3.3Vもしくは5V)を所定電圧発生回路41からそれぞれ供給する構成である。
【0037】
参考例のように所定電圧発生回路41からヒータ印加用電圧および制御回路用電圧をそれぞれ供給すると、インクジェットヘッドに外部から供給する電圧が一種類で済むため、インクジェット記録装置本体の負荷を低減することができる。特に、電源電圧が一種類であればインクジェットヘッドをバッテリーで駆動することも可能になる。
【0038】
図5に示すように、本参考例の所定電圧発生回路41は、入力端子51を介して入力された入力電圧VIを整流する整流回路54と、整流回路54の出力電圧を入力とし、所望の電圧VO1を出力端子52より出力する第1のレギュレータ回路55と、整流回路54の出力電圧を入力とし、所望の電圧VO2を出力端子53より出力する第2のレギュレータ回路56と、第1のレギュレータ回路55に対する入力電圧をON/OFFするためのトランジスタTr11と、第2のレギュレータ回路56に対する入力電圧をON/OFFするためのトランジスタTr12と、第2のレギュレータ回路56の出力電圧を放電するための抵抗器R11およびトランジスタTr13と、トランジスタTr11、Tr12、Tr13のON/OFFを所定のタイミングでそれぞれ制御するタイマー57とを備えた構成である。
【0039】
第1のレギュレータ回路55および第2のレギュレータ回路56は、例えば、図2に示した回路と同様の回路で構成される。なお、図5では記録装置本体から交流電圧が供給される場合を想定して整流回路54を設けているが、記録装置本体から直流電圧が供給される場合は不要である。
【0040】
図5に示した回路は、トランジスタTr11およびトランジスタTr12をONさせる際に、タイマー57によってトランジスタTr11を先にONにさせてからトランジスタTr12をONにする。また、トランジスタTr11およびトランジスタTr12をOFFさせる際には、トランジスタTr12をOFF、トランジスタTr13をONにし、第2のレギュレータ回路56の出力電圧が十分に放電されて0Vになる時間が経過してからトランジスタTr11をOFFにする。
【0041】
ここで、出力端子52から出力される電圧VO1を制御回路用電圧とし、出力端子53から出力される電圧VO2をヒータ印加用電圧とすると、図6(a)に示すように、制御回路用電圧が供給された後にヒータ印加用電圧が供給され、ヒータ印加用電圧がOFFされた後に制御回路用電圧がOFFされる。
【0042】
また、図6(b)に示すように、タイマー57によってヒータ駆動信号により発熱素子43を駆動するときのみ、すなわちインクを吐出し、印字を行う間のみヒータ印加用電圧をヒータ群42に供給させることもできる。
【0043】
このように、制御回路用電圧が常にONした状態でヒータ印加用電圧がON/OFFされるように印加タイミングを制御することで、発熱素子43の誤動作を防止することができるため、誤動作による発熱素子43の損傷が防止される。また、印字時のみヒータ印加用電圧を発熱素子43に供給して発熱素子43を保護することで、インクジェットヘッドの信頼性を向上させることができる。
【0044】
なお、第2の参考例と同様に発熱素子が複数のヒータ群に分割されている場合も、所定電圧発生回路41に図5に示す第2のレギュレータ回路56と同様の回路を複数個備え、それらをトランジスタTr12およびTr13と同様にタイマー57で制御することで、各ヒータ群にそれぞれ所望の電源電圧を供給することが可能になる。この場合、第2の参考例と同様の効果を得ることができる。
(第の実施の形態)
図7は本発明のインクジェットヘッドの第の実施の形態の構成を示すブロック図であり、図8は図7に示した所定電圧発生回路の一構成例を示す回路図である。また、図9〜図13は図7に示した所定電圧発生回路から出力されるヒータ印加用電圧と発熱素子に印加されるヒータ駆動電圧の様子を示すタイミングチャートである。
【0045】
図7に示すように、本実施形態のインクジェットヘッド7は、所定電圧発生回路71の出力電圧VBを変更するためのヒータ電圧制御信号VCがインクジェットヘッド7の外部から与えられる構成である。所定電圧発生回路71の出力電圧VBはヒータ印加用電圧としてヒータ群72に供給され、各発熱素子73に印加されるヒータ駆動電圧はヒータ電圧制御信号VCによって外部から変更可能になる。
【0046】
図8に示すように、本実施形態の所定電圧発生回路71は、入力端子81および出力端子82間に挿入されるトランジスタTr21と、出力端子82から出力される出力電圧VOを分圧して検出するための抵抗器R21、R22と、トランジスタTr21のベース-コレクタ間に挿入される抵抗器R23と、所定の基準電圧Vrefを出力する基準電圧源83と、抵抗器R21、R22によって検出された検出電圧Vsおよび基準電圧Vrefが入力され、検出電圧Vsと基準電圧Vrefが等しくなるようにトランジスタTR21を制御する差動増幅回路84と、制御端子85から入力されたヒータ電圧制御信号VCが抵抗器R24を介してベースに入力され、コレクタが出力端子82に接続され、エミッタが抵抗器R25を介して差動増幅器の検出電圧Vsが入力される入力端子に接続されたトランジスタTr22とを備えた構成である。
【0047】
図8に示す所定電圧発生回路81の構成では、図2に示した第1の参考例の所定電圧発生回路と同様に、差動増幅器84によって検出電圧Vsと基準電圧Vrefが等しくなるようにトランジスタTr21のベース電流が制御され、外部からの入力電圧VIの変動に対して出力電圧VOが一定に制御される。
【0048】
ここで、図8に示した回路では、ヒータ電圧制御信号VCが“L”レベルのときはトランジスタTr22が導通しないため、所定電圧発生回路71からは所定の出力電圧VOがそのまま出力される。一方、ヒータ電圧制御信号が“H”レベルのときはトランジスタTr22が導通するため、トランジスタTr22のエミッタに接続された抵抗器R25が分圧用の抵抗器R21に並列接続された構成と等しくなる。このため、抵抗器R21、R22による分圧比が変わり、検出電圧Vsが大きくなって出力端子82から出力される電圧が出力電圧VOよりも低い電圧VO’で制御される。
【0049】
このような所定電圧発生回路71を有することで、本実施形態の所定電圧発生回路71は、例えば、図9に示すように、発熱素子(ヒータ)73に印加するヒータ駆動電圧を、ヒータの抵抗値によって変化させることができる。例えば、ヒータの抵抗値が製造上の理由などでばらつく場合、170Ω〜200Ωと小さいときにはヒータ駆動電圧=VO’で、201Ω〜230Ωと大きいときにはヒータ駆動電圧=VOでと変化させる。これにより、ヒータの抵抗値毎に駆動電圧を調整でき、パルス幅を総体的に短くし、高速化が可能となる。
【0050】
また、本実施形態の所定電圧発生回路71は、図10に示すように、発熱素子73に印加するヒータ駆動電圧を、同時に駆動するヒータの数によって変化させることもできる。例えば、ヒータの同時駆動数が最大で16個所の場合、同時駆動数が1〜8個所のときにはヒータ駆動電圧=VO’で、同時駆動数が9〜16個所のときにはヒータ駆動電圧=VOでと変化させる。これにより、所定電圧発生回路71からヒータ間の電圧降下も補償することができ、ヒータの同時駆動数によらず安定した吐出が可能となる。
【0051】
また、本実施形態の所定電圧発生回路71は、図11に示すように、発熱素子73に印加するヒータ駆動電圧を、駆動するヒータの周波数によって変化させることもできる。例えば、ヒータの吐出周波数が〜20kHzのときにはヒータ駆動電圧=VO’で、吐出周波数が20kHz〜のときにはヒータ駆動電圧=VOでと変化させる。これにより、印字モードによってそれぞれ最適な駆動を行うことが可能となり、安定した吐出が可能となる。
【0052】
さらに、本実施形態の所定電圧発生回路71は、図12に示すように、発熱素子73に印加するヒータ駆動電圧を、プレヒートパルス(ヒータ駆動電圧=VO’)とメインパルス(ヒータ駆動電圧=VO)とで変化させることもできる。プレヒートパルスでは、発泡しないように低電圧で、かつインクに熱が伝わるように数μsかけて加熱し、メインパルスでは安定して発泡させるために高電圧で1μs以下の短いパルスで加熱する。これにより、発熱素子73に最適なヒート駆動電圧を供給することができる。したがって、効率よく安定してインクを吐出させることが可能となる。また、このような構成により、パルス幅を2μs以下にすることが可能となり、吐出周波数が15kHz、さらには20kHz以上の高速駆動が可能となる。
【0053】
また、図13に示すようなプレヒートパルスとメインパルスが印加される場合でも同様な駆動が可能である。
【0054】
なお、ヒータ電圧制御信号VCは必ずしもインクジェットヘッド7の外部から与えられる必要はなく、例えば、制御回路75から与える構成であってもよい。
【0055】
また、第2の参考例と同様に発熱素子が複数のヒータ群に分割されている場合は、所定電圧発生回路71に図8に示すような回路を複数個備えることで、各ヒータ群にそれぞれ所望の電源電圧を供給することが可能になる。この場合、第2の参考例と同様の効果を得ることができる。
【0056】
ところで、上記第1〜3の参考例および第1の実施の形態では、所定電圧発生回路の配置場所について特に言及していないが、所定電圧発生回路は発熱素子が形成された素子基板上に形成されることが望ましい。この場合、発熱素子が形成される素子基板と所定電圧発生回路を有する他の基板とを接続する端子等を減らすことができるため、部品点数が低減されて組み立てが容易になる。
【0057】
なお、所定電圧発生回路は、発熱素子が形成される素子基板とは別のヘッドの基板に形成されてもよい。このような場合でも実用上問題なくヒータ群や制御回路に所望の電圧が供給可能である。
【0058】
図14は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの要部を示す破断斜視図である。インクジェット記録ヘッドHを構成する天板1100は樹脂材料で形成され、記録液を溜めておく液室1104や複数の液流路1103を形成する天板部材、複数の液流路1103にそれぞれ連通する複数の吐出口(オリフィス)1102を形成する吐出口形成部材1101、および記録液供給口1105が一体的に成形されている。また、ヒータボード(素子基板)1107には、シリコン基板上に複数配列されインクを吐出するために利用される熱エネルギを発生してインクに膜沸騰を生起させるヒータ(電気熱変換体)1106とこれに電力を供給するアルミニウム等の不図示の電気配線とが公知の成膜技術により形成され、ベースプレート1110上に公知のダイボンディング技術により位置決め固定されている。配線基板1108は、ヒータボード1107の配線に対応して公知のワイヤーボンディングにより接続される配線と、この配線の端部に位置し、装置本体からの電気信号を受ける複数のパッド1109とを有している。そして、天板1100とヒータボード1107とは液流路1103およびヒータ1106のそれぞれに対応するように位置決めされた状態で接合され、配線基板1108とともにベースプレート1110上に固定され、インクジェット記録ヘッドHを形成している。
【0059】
上記実施の形態に係るインクジェットヘッドを搭載したインクジェットヘッドカートリッジを概略説明する。図15は、前述したインクジェットヘッドを含むインクジェットヘッドカートリッジの模式的分解斜視図であり、インクジェットヘッドカートリッジは、主にインク吐出ヘッド部200とインク容器140とから概略構成されている。
【0060】
インク吐出ヘッド部200は、素子基板151、吐出口が開口した天板153、押さえバネ128、インク供給部材130、アルミベースプレート(支持体)120等から成っている。素子基板151には、前述のようにインクに熱を与えるための発熱抵抗体が、複数個、列状に設けられている。この素子基板151と天板153との接合によって、吐出されるインクが流通する液流路(不図示)が形成される。押さえバネ128は、天板153に素子基板151方向への付勢力を作用させる部材であり、この付勢力により素子基板151、天板153と、後述する支持体120とを良好に一体化させている。天板と素子基板とを例えば接着剤などで接合する場合には、この押さえバネはなくてもよい。支持体120は、素子基板151等を支持するためのものであり、この支持体120上にはさらに素子基板151に接続し電気信号を供給するためのプリント配線基板123や、装置側と接続することで装置側と電気信号のやりとりを行うためのコンタクトパッド124が配置されている。
【0061】
インク容器140は、インク吐出ヘッド部200に供給されるインクを収容している。インク容器140の外側には、インク吐出ヘッド部200とインク容器140との接続を行う接続部材を配置するための位置決め部144と、接続部材を固定するための固定軸145が設けられている。インクの供給は、インク容器140のインク供給路142、143から接続部材を介してインク供給部材130のインク供給131、132に供給され、各部材の液供給路133、129、153cを介して共通液室に供給される。ここではインク容器140からインク供給部材130へのインクの供給を2つの経路に分けて行っているが、必ずしも分けなくてもよい。
【0062】
なお、このインク容器140には、インクの消費後にインクを再充填して使用してもよい。このためにはインク容器140にインク注入口を設けておくことが望ましい。又、インク吐出ヘッド部200とインク容器140とは一体であってもよく、分離可能としてもよい。
【0063】
図16は、前述のインクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装置の概略構成を示している。インクジェット記録装置のキャリッジ(走査装置)HCは、インクを収容するインク容器140とインク吐出ヘッド部200とが着脱可能なヘッドカートリッジを搭載しており、被記録媒体搬送手段で搬送される記録紙等の被記録媒体170の幅方向(矢印a、b方向)に往復移動する。なお、インク容器とインク吐出ヘッド部とは互いに分離可能な構成になっている。
【0064】
図16では不図示の駆動信号供給手段からキャリッジHC上のインク吐出手段に駆動信号が供給されると、この信号に応じてインク吐出ヘッド部200から被記録媒体170に対して記録インクが吐出される。
【0065】
また、本例のインクジェット記録装置においては、被記録媒体搬送手段とキャリッジHCを駆動するための駆動源としてのモータ161、駆動源からの動力をキャリッジHCに伝えるためのギア162、163、およびキャリッジ軸164等を有している。この記録装置によって、各種の被記録媒体に対してインクを吐出することで良好な画像の記録物を得ることができた。
【0066】
図17は、本発明のインクジェットヘッドを適用したインクジェット記録装置を動作させるための装置全体のブロック図である。
【0067】
記録装置は、ホストコンピュータ300より印字情報を制御信号として受け取る。印字情報は印字装置内部の入出力インタフェイス301に一時保存されると同時に、記録装置内で処理可能なデータに変換され、ヘッド駆動信号供給手段を兼ねるCPU302に入力される。CPU302はROM303に保存されている制御プログラムに基づき、前記CPU302に入力されたデータをRAM304等の周辺ユニットを用いて処理し、印字するデータ(画像データ)に変換する。
【0068】
またCPU302は前記画像データを記録用紙上の適当な位置に記録するために、画像データに同期して記録用紙およびヘッド200を移動する駆動用モータ306を駆動するための駆動データを作る。画像データおよびモータ駆動データは、各々ヘッドドライバ307と、モータドライバ305を介し、ヘッド200および駆動モータ306に伝達され、それぞれ制御されたタイミングで駆動され画像を形成する。
【0069】
上述のような記録装置に適用でき、インク等の液体の付与が行われる被記録媒体としては、各種の紙やOHPシート、コンパクトディスクや装飾板等に用いられるプラスチック材、布帛、アルミニュウムや銅等の金属材、牛皮、豚皮、人工皮革等の皮革材、木、合板等の木材、竹材、タイル等のセラミックス材、スポンジ等の三次元構造体等を対象とすることができる。
【0070】
また、上記記録装置として、各種の紙やOHPシート等に対して記録を行うプリンタ装置、コンパクトディスク等のプラスチック材に記録を行うプラスチック用記録装置、金属板に記録を行う金属用記録装置、皮革に記録を行う皮革用記録装置、木材に記録を行う木材用記録装置、セラミックス材に記録を行うセラミックス用記録装置、スポンジ等の三次元網状構造体に対して記録を行う記録装置、又、布帛に記録を行う捺染装置等をも含むものである。
【0071】
また、これらのインクジェット記録装置に用いる吐出液としては、夫々の被記録媒体や記録条件に合わせたインクを用いればよい。
【0072】
次に、本発明のインクジェットヘッドを記録ヘッドとして用い、被記録媒体に対して記録を行う、インクジェット記録システムの一例を説明する。
【0073】
図18は、前述した本発明のインクジェットヘッドを用いたインクジェット記録装置の構成を説明するための模式図である。本実施の形態におけるインクジェットヘッドは、被記録媒体の記録可能幅に対応した長さに360dpiの間隔で吐出口を複数配したフルライン型のヘッドであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色に対応した4つのヘッド201a〜201dをホルダ202によりX方向に所定の間隔を持って互いに平行に固定支持されている。
【0074】
これらのヘッド201a〜201dに対してそれぞれ駆動信号供給手段を構成するヘッドドライバ307から信号が供給され、この信号に基づいて各ヘッド201a〜201dの駆動が成される。各ヘッド201a〜201dには、吐出液としてY、M、C、Bkの4色のインクがそれぞれインク容器204a〜204dから供給されている。
【0075】
また、各ヘッド201a〜201dの下方には、内部にスポンジ等のインク吸収部材が配されたヘッドキャップ203a〜203dが設けられており、非記録時に各ヘッド201a〜201dNO吐出口を覆うことでヘッド201a〜201dの保守を成すことができる。
【0076】
符号206は、先の例で説明したような各種、被記録媒体を搬送するための搬送手段を構成する搬送ベルトである。搬送ベルト206は、各種ローラにより所定の経路に引き回されており、モータドライバ305に接続された駆動用ローラにより駆動される。
【0077】
本インクジェット記録装置においては、記録を行う前後に被記録媒体に対して各種の処理を行う前処理装置251および後処理装置252をそれぞれ被記録媒体搬送経路の上流と下流に設けている。
【0078】
前処理と後処理は、記録を行う被記録媒体の種類やインクの種類に応じて、その処理内容が異なるが、例えば、金属、プラスチック、セラミックス等の被記録媒体に対しては、前処理として、紫外線とオゾンの照射を行い、その表面を活性化することでインクの付着性の向上を図ることができる。また、プラスチック等の静電気を生じやすい被記録媒体においては、静電気によってその表面にゴミが付着しやすく、このゴミによって良好な記録が妨げられる場合がある。このため、前処理としてイオナイザ装置を用い被記録媒体の静電気を除去することで、被記録媒体からゴミの除去を行うとよい。また、被記録媒体として布帛を用いる場合には、滲み防止、染着率の向上等の観点から布帛にアルカリ性物質、水溶性物質、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチオ尿素から選択される物質を付与する処理を前処理として行えばよい。前処理としては、これに限らず、被記録媒体の温度を記録に適切な温度にする処理等であってもよい。
【0079】
一方、後処理は、インクが付与された被記録媒体に対して熱処理、紫外線照射等によるインクの定着を促進する定着処理や、前処理で付与し未反応で残った処理剤を洗浄する処理等を行うものである。
【0080】
なお、本例では、ヘッド201a〜201dとしてフルラインヘッドを用いて説明したが、これに限らず、前述したような小型のヘッドを被記録媒体の幅方向に搬送して記録を行う形態のものであってもよい。
【0081】
また、本例ではインクを吐出するためのエネルギを与える記録素子として抵抗体からなる発熱素子を用いたインクジェットヘッドを例にして説明したが、ピエゾ効果によってインクを吐出させる圧電素子を記録素子として用いたインクジェットヘッドや発熱素子を用いたサーマルヘッドでも本発明は適用することができる。
【0082】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【0083】
所定電圧発生回路によってヘッド内部で記録を行うための所望の電圧を発生するため、外部からケーブルを介して電圧を供給することによる電圧降下が防止されると共に、ノイズによる発熱素子の損傷や耐久性の低下が防止される。特に、所定電圧発生回路から記録素子印加用電圧を出力することで、記録素子への印加電圧を吐出電圧に応じた最適な値に設定することができるため、効率よく安定してインクを吐出させることができる。
【0084】
また、所定電圧発生回路から複数の所望の電圧を発生し、該電圧を記録素子のグループ毎に供給することで、インクの種類や記録素子に応じて記録素子印加用電圧を最適に設定することができるため、高速化、多ノズル化されたヘッドであっても、インクの吐出エネルギを容易に制御することが可能になる。
【0085】
さらに、所定電圧発生回路から記録素子に印加する記録素子印加用電圧、及び制御回路に印加する制御回路用電圧をそれぞれ供給することで、ヘッドに供給する電源用の電圧が一種類で済むため、本体装置の負荷が軽減する。このとき、制御回路用電圧を立ち上げてから記録素子印加用電圧を立ち上げる、記録素子印加用電圧を立ち下げてから制御回路用電圧を立ち下げる、あるいは印字時のみ記録素子印加用電圧を記録素子に印加する制御を行うことで、記録素子の誤動作が防止され、ヘッドの信頼性が向上する。
【0086】
また、所定電圧発生回路を複数の記録素子が形成された基板と同一の基板上に設けることで、部品点数が低減するため、組み立てが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のインクジェットヘッドの第1の参考例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した所定電圧発生回路の一構成例を示す回路図である。
【図3】本発明のインクジェットヘッドの第2の参考例の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明のインクジェットヘッドの第3の参考例の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示した所定電圧発生回路の一構成例を示す回路図である。
【図6】図4に示した所定電圧発生回路の出力電圧の立ち上がり波形、および立ち下がり波形をそれぞれ示すタイミングチャートである。
【図7】本発明のインクジェットヘッドの第の実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図8】図7に示した所定電圧発生回路の一構成例を示す回路図である。
【図9】図7に示した所定電圧発生回路から出力される、ヒータの抵抗値にばらつきがある場合の、ヒータ印加用電圧と発熱素子に印加されるヒータ駆動電圧の様子を示すタイミングチャートである。
【図10】図7に示した所定電圧発生回路から出力される、同時に駆動するヒータの数が異なる場合の、ヒータ印加用電圧と発熱素子に印加されるヒータ駆動電圧の様子を示すタイミングチャートである。
【図11】図7に示した所定電圧発生回路から出力される、ヒータを駆動する周波数が異なる場合の、ヒータ印加用電圧と発熱素子に印加されるヒータ駆動電圧の様子を示すタイミングチャートである。
【図12】図7に示した所定電圧発生回路から出力される、プレヒートパルスとメインパルスとで印加する電圧を変える場合の、ヒータ印加用電圧と発熱素子に印加されるヒータ駆動電圧の様子を示すタイミングチャートである。
【図13】図12に示したタイミングチャートの変形例を示すタイミングチャートである。
【図14】本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドの要部を示す破断斜視図である。
【図15】本発明を適用可能なインクジェットヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【図16】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の概略構成図である。
【図17】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の装置ブロック図である。
【図18】本発明を適用可能な液体吐出システムを示す図である。
【図19】従来のヘッドの素子基板の回路構成を示す図である。
【符号の説明】
1、3、4、7 インクジェットヘッド
11、31、41、71 所定電圧発生回路
12、321、322、72 ヒータ群
13、33、73 発熱素子
21、51、81 入力端子
22、52、82 出力端子
23、83 基準電圧源
24、84 差動増幅回路
25 コンデンサ
45、75 制御回路
54 整流回路
55 第1のレギュレータ回路
56 第2のレギュレータ回路
57 タイマー
85 制御端子
R1〜R3、R11,R21〜R26 抵抗器
Tr1、Tr11〜Tr13、Tr21、Tr22 トランジスタ

Claims (5)

  1. インクを吐出して記録を行うための複数の記録素子と、
    インクを発泡させない程度に加熱するためのプレヒートパルスとインクを発泡させるように加熱するためのメインヒートパルスとを前記複数の記録素子に印加して、前記複数の記録素子をそれぞれ駆動する駆動回路と、
    外部から供給される電圧から、前記複数の記録素子に印加するための複数の異なる所定の電圧を発生する所定電圧発生回路と、
    を有し、
    前記複数の記録素子の駆動周波数が所定の周波数より低い場合に、前記所定電圧発生回路はメインヒートパルスの電圧として前記複数の異なる所定の電圧のうち相対的に低い電圧を発生し、前記駆動回路は相対的に長いパルス幅の該メインヒートパルスを前記記録素子に印加し、
    前記駆動周波数が前記所定の周波数より高い場合に、前記所定電圧発生回路はメインヒートパルスの電圧として前記複数の異なる所定の電圧のうち相対的に高い電圧を発生し、前記駆動回路は相対的に短いパルス幅の該メインヒートパルスを前記記録素子に印加し、さらに、前記駆動回路が該メインヒートパルスを前記記録素子に印加する前に、前記所定電圧発生回路はプレヒートパルスの電圧として前記メインヒートパルスの電圧より低い電圧を発生し、前記駆動回路は前記メインヒートパルスのパルス幅より長いパルス幅のプレヒートパルスを前記記録素子に印加することを特徴とする記録ヘッド。
  2. 前記所定電圧発生回路は、前記複数の記録素子が設けられた基板と同一の基板に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の記録ヘッド。
  3. 前記複数の記録素子は、発熱素子であることを特徴とする、請求項1または2に記載の記録ヘッド。
  4. 基板と、該基板に設けられ、インクを吐出して記録を行うための複数の記録素子と、前記基板に設けられ、インクを発泡させない程度に加熱するためのプレヒートパルスとインクを発泡させるように加熱するためのメインヒートパルスとを前記複数の記録素子に印加して、前記複数の記録素子をそれぞれ駆動する駆動回路と、前記基板に設けられ、外部から供給される電圧から、前記複数の記録素子に印加するための複数の異なる所定の電圧を発生する所定電圧発生回路と、を有し、
    前記複数の記録素子の駆動周波数が所定の周波数より低い場合に、前記所定電圧発生回路はメインヒートパルスの電圧として前記複数の異なる所定の電圧のうち相対的に低い電圧を発生し、前記駆動回路は相対的に長いパルス幅の該メインヒートパルスを前記記録素子に印加し、
    前記駆動周波数が前記所定の周波数より高い場合に、前記所定電圧発生回路はメインヒートパルスの電圧として前記複数の異なる所定の電圧のうち相対的に高い電圧を発生し、前記駆動回路は相対的に短いパルス幅の該メインヒートパルスを前記記録素子に印加し、さらに、前記駆動回路が該メインヒートパルスを前記記録素子に印加する前に、前記所定電圧発生回路はプレヒートパルスの電圧として前記メインヒートパルスの電圧より低い電圧を発生し、前記駆動回路は前記メインヒートパルスのパルス幅より長いパルス幅のプレヒートパルスを前記記録素子に印加することを特徴とする記録ヘッド用基体。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の記録ヘッドと、該記録ヘッドを駆動する駆動信号供給手段とを備えていることを特徴とする記録装置。
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