以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態における通信装置を有した多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称する)1の電気的構成を示したブロック図である。MFP1は、電話回線網100を介して接続される外部の通信装置(図示しない)と通話可能に構成されている。
本実施形態のMFP1は、電話回線網100を介して、外部の通信装置(図示しない)との間で通話を行っている場合に、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスの不整合によって生じる音声の反響(エコー)を抑制するものである。
次に、MFP1の電気的構成について説明する。MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、操作ボタン15、LCD16、スキャナ21、プリンタ22、モデム23、送受話器24、2線−4線変換回路25、NCU26を主に有している。
CPU11、ROM12、RAM13、及びフラッシュメモリ14は、バスライン28を介して互いに接続されている。また、モデム23と送受話器24とは2線−4線変換回路25に接続され、2線−4線変換回路25はNCU26に接続されている。更に、操作ボタン15、LCD16、スキャナ21、プリンタ22、モデム23、送受話器24、2線−4線変換回路25、NCU26、及びバスライン28は、入出力ポート29を介して互いに接続されている。
CPU11は、ROM12やRAM13やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム或いは、NCU26を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート29と接続された各部を制御する演算装置である。
ROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換可能な不揮発性のメモリである。図4のフローチャートに示す音質調整処理、および図5のフローチャートに示すインピーダンス整合処理を実行する各プログラムは、このROM12に格納されている。
また、ROM12には、スイッチ設定テーブルメモリ12aが設けられている。このスイッチ設定テーブルメモリ12aは、後述するインピーダンス整合処理(図5参照)により使用されるスイッチ設定テーブルが記憶されるメモリである。
ここで、図2を参照してスイッチ設定テーブルについて説明する。図2は、スイッチ設定テーブルの内容を模式的に示した模式図である。スイッチ設定テーブルは、後述する2線−4線変換回路25(図3参照)の中に設けられている5のスイッチSW1〜SW5の状態を個別に設定する(切り替える)ためのテーブルである。詳細については後述するが、それぞれのスイッチSW1〜SW5を切り替えることにより、MFP1の出力インピーダンスを32種類の値に変化させて、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させることができる。
スイッチ設定テーブルは、スイッチ設定番号nと、スイッチ設定番号nに対応する各スイッチSW1〜SW5の設定フラグとにより構成されており、一のスイッチ設定番号毎に、その一のスイッチ設定番号に対応するスイッチSW1の設定フラグ、スイッチSW2の設定フラグ、スイッチSW3の設定フラグ、スイッチSW4の設定フラグ、及びスイッチSW5の設定フラグとが関連づけられている。また、このスイッチ設定テーブルには、スイッチSW1〜SW5を用いて設定可能な全て(32通り)のスイッチ設定が含まれている。
設定フラグとは、スイッチSW1〜SW5の状態をオン(短絡状態)に設定するのか、オフ(開放状態)に設定するのかを示すフラグであり、この設定フラグがオフ(例えば、「0」)であれば、その設定フラグに対応するスイッチSW1〜SW5の状態がオフに設定されて、そのスイッチSW1〜SW5の両端が開放されることになる。一方、設定フラグがオン(例えば、「1」)であれば、その設定フラグに対応するスイッチSW1〜SW5の状態がオンに設定され、そのスイッチSW1〜SW5の両端が短絡されることになる。
例えば、図2に示すように、スイッチ設定番号「1」には、スイッチSW1の設定フラグ「0」と、スイッチSW2の設定フラグ「0」と、スイッチSW3の設定フラグ「0」と、スイッチSW4の設定フラグ「0」と、スイッチSW5の設定フラグ「0」とが関連づけられている。また、例えば、スイッチ設定番号「2」には、スイッチSW1の設定フラグ「1」と、スイッチSW2の設定フラグ「0」と、スイッチSW3の設定フラグ「0」と、スイッチSW4の設定フラグ「0」と、スイッチSW5の設定フラグ「0」とが関連づけられている。その他のスイッチ設定番号「3〜32」についても同様に、各スイッチ設定番号に対応する各スイッチSW1〜SW5の設定フラグが関連づけられているので、その説明を省略する。
後述するインピーダンス整合処理(図5参照)において、スイッチ設定番号「1」に応じた設定に、各スイッチSW1〜SW5を切り替えるという命令が実行されると、CPU11により、スイッチ設定テーブルの内容が参照され、スイッチ設定番号「1」に対応する各スイッチSW1〜SW5の設定フラグが読み取られる。そして、CPU11により、各スイッチSW1〜SW5に対して、読み取った設定フラグに対応する指示が入力され、各スイッチの状態が、読み取った設定フラグに応じた状態へと切り替えられる。
図1に戻り、説明を続ける。RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。このRAM13には、スイッチ設定番号メモリ13aと、検出音量メモリ13bと、整合終了フラグメモリ13cとが設けられている。各メモリ13a〜13cはそれぞれ、後述するインピーダンス整合処理(図5参照)により値が設定されるメモリである。
ここで簡単に、電話回線網100と、インピーダンス整合処理(図5参照)によって行われる処理とについて説明する。
MFP1が相手側の通信装置(図示しない)を発呼し、電話回線網100を介して相手側の通信装置と接続される場合、まず、MFP1が、電話回線Lを介して、MFP1が設置された地域の回線交換処理を行う電話交換機(以下、「MFP1側の電話交換機」と称する)と接続される。次に、MFP1側の電話交換機は、基幹通信回線と呼ばれる専用線を介して、相手側の通信装置が設置された地域の回線交換処理を行う電話交換機(以下、「相手側の電話交換機」と称する)と接続される。すると、この相手側の電話交換機と相手側の通信装置とが電話回線Lを介して接続され、発呼側のMFP1と相手側の通信装置との間が、通話可能に接続されることになる。
ここで、MFP1において送受話器24のマイクロフォン(以下、「マイク」と称する)24aに音声が入力されると、音声が音声信号に変換され電話回線Lに入力される。そして、通常は、入力された音声信号が電話回線Lを通り、MFP1側の電話交換機へと到達すると、基幹通信回線を介して相手側の電話交換機へと送信されて、その相手側の電話交換機から相手側の通信装置へと送信される。その音声信号が相手側の通信装置によって受信されると、音声信号が音声に変換されて放音される。
ところが、MFP1と、MFP1と接続されている電話回線Lとのインピーダンスが不整合であると、2線−4線変換回路25を介して電話回線Lに入力されるべき音声信号が、一部、2線−4線変換回路25から送受話器24のスピーカ24bへ回り込むという現象が生じる。以下、2線−4線変換回路25から送受話器24のスピーカ24bへ回り込む音声信号のことを、側音信号Rと称する。この側音信号Rが生じると、送受話器24のスピーカ24bから放音される音声に反響(エコー)が生じるので、ユーザは通話に違和感や不快感を感じる。つまり、側音信号Rが生じると、通話品質が低下してしまう。
また、一概に電話回線Lと言っても、近年では、アナログ回線や、ISDN(Integrated Services Digital Network)回線や、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線や、光ファイバー回線など、多種多様な回線が存在している。よって、ユーザが利用する電話回線Lの種別や、MFP1からMFP1側の電話交換機までの電話回線Lの線路長などの違いにより、MFP1が接続される電話回線Lのインピーダンスが大きく異ってしまう。つまり、ユーザの利用環境により、MFP1が接続される電話回線Lのインピーダンスが大きく異なるため、インピーダンスの整合が困難となっている。
そこで、インピーダンス整合処理(図5参照)を行って、2線−4線変換回路25の中に設けられている5のスイッチSW1〜SW5の状態を切り替えて、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させる。また、インピーダンスが整合されたかを検出するために、モデム23のトーン信号発生回路23aによりトーン信号S(例えば、周波数が「1kHz」で音量が「−10dBm」ある音を示す電気信号)を発生させて電話回線Lに入力し続ける。そして、スイッチ設定番号「1」から「32」まで順番に各スイッチSW1〜SW5の状態を、そのスイッチ設定番号に応じた設定に切り替えながら、2線−4線変換回路25から送受話器25に回り込む側音信号Rの大きさを、トーン信号検出回路23bにより検出する。
ここで図1に戻り、説明を続ける。RAM13のスイッチ設定番号メモリ13aは、インピーダンス整合処理(図5参照)が実行開始されてから、インピーダンスを整合する設定に使用したスイッチ設定番号の中で、トーン信号検出回路23bにより検出された側音信号Rの大きさが最も小さかったスイッチ設定番号が記憶されるメモリである。なお、初期化された場合には、スイッチ設定番号「1」が記憶される。
検出音量メモリ13bは、インピーダンス整合処理(図5参照)が実行開始されてから、トーン信号検出回路23bにより検出された側音信号Rの大きさの中で、最も小さかった値が記憶されるメモリである。なお、初期化された場合には、モデム23のトーン信号発生回路23aから出力されるトーン信号Sの音量が(例えば、「−10dBm」)が記憶される。
整合終了フラグメモリ13cは、インピーダンス整合処理(図5参照)が実行された場合に、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させることができたか否かを示す整合終了フラグが記憶されるメモリある。
具体的には、インピーダンス整合処理(図5参照)において、トーン信号検出回路23bにより検出された側音信号Rの大きさが、規定値(例えば、「−30dBm」)以下であった場合に、整合終了フラグがオン(例えば、「1」)に設定され、全て(32通り)のスイッチ設定番号の設定を試みたが、側音信号Rの大きさが全て既定値を超えていた場合にオフ(例えば、「0」)に設定される。なお、初期化された場合には、オフ(例えば、「0」)に設定される。
フラッシュメモリ14は書換可能な不揮発性のメモリであり、このフラッシュメモリ14に記憶されたデータは、MFP1の電源オフ後も保持される。フラッシュメモリ14には、送話音量レベルメモリ14aと、受話音量レベルメモリ14bとが設けられている。
送話音量レベルメモリ14aは、送受話器24のマイク24aの送話音量レベルが記憶されるメモリである。送話音量レベルとは、マイク24aに音声が入力された場合にマイク24aから出力される音声信号の大きさを示し、例えば「1」から「7」までの値で示される。この値が小さいほどマイク24aから出力される音声信号の大きさが小さくなり、この値が大きいほど出力される音声信号の大きさが大きくなる。なお、初期状態では「4」に設定されている。
受話音量レベルメモリ14bは、送受話器24のスピーカ24bの受話音量レベルが記憶されるメモリである。受話音量レベルとは、スピーカ24bに音声信号が入力された場合にスピーカ24bから放音される音の大きさを示し、例えば「1」から「7」までの値で示される。この値が小さいほどスピーカ24bから放音される音の大きさが小さくなり、この値が大きいほど放音される音の大きさが大きくなる。なお、初期状態では「4」に設定されている。
操作ボタン15には、電話番号を入力するための数字ボタンや、スキャナ機能およびプリント機能などの各機能の設定を行うためのボタンや、各種動作の指示を行うための入力ボタンなどが設けられている。LCD16は、操作ボタン15の操作に応じてメニューや動作状態などを表示するための表示デバイスである。ユーザは操作ボタン15を操作することにより、その操作に対応する情報がLCD16に表示される。
スキャナ21は、所定の読取位置(非図示)にセットされた原稿から画像の読み取りを行うと共に、その画像をLCD16に表示したりプリンタ22で印刷可能な画像データを生成するものである。このスキャナ21により読み取られた画像データは、RAM13における所定の記憶領域に記憶される。
プリンタ22は、所定の給紙位置(非図示)にセットされた記録用紙に画像を印刷するインクジェット方式のプリンタで構成されている。プリンタ22は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを使用する印刷ヘッド、紙送り装置、回復装置を備えカラー印刷を行う。印刷ヘッドには複数個のノズル(インク吐出口)が設けられており、ノズルからインク吐出を行いながら、紙送り装置で記録用紙を送り画像を記録用紙に印刷する。
モデム23は、ファクシミリ機能によって送信する画像データを、電話回線網100に伝送可能な音声信号に変調してNCU26を介して送信したり、電話回線網100からNCU26を介して入力された音声信号を受信し、LCD16に表示したりプリンタ21で記録用紙に記録できるように画像データへ復調するものである。
このモデム23には、トーン信号発生回路23aと、トーン信号検出回路23bとが設けられている。トーン信号発生回路23aは、トーン信号S(例えば、周波数が「1kHz」で音量が「−10dBm」である音を示す電気信号)を発生させるための回路である。トーン信号発生回路23aにより発生させられたトーン信号Sは、2線−4線変換回路25およびNCU26を介して、電話回線Lに入力される。
トーン信号検出回路23bは、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスの不整合により、2線−4線変換回路25から送受話器24のスピーカ24bへ回り込む側音信号Rの大きさを検出する回路である。
送受話器24は、電話回線網100を介して接続される相手側の通信装置(図示しない)との間で、通話を行うための装置であり、マイク24aと、スピーカ24bと、エコーキャンセル回路24cとを有している。マイク24aと、スピーカ24bとは、エコーキャンセル回路24cを介して、2線−4変換回路25と接続されている。
マイク24aは、入力された音を音声信号(電気信号)に変換して出力するものである。MFP1が電話回線網100を介して相手側の通信装置(図示しない)と通話可能に接続されている場合、ユーザは送受話器24を用いて相手側の通信装置との間で通話を行うことができる。
ユーザから発せられる音声は、まず、このマイク24aに入力され、音声信号に変換される。そして、変換された音声信号は、フラッシュメモリ14の送話音量レベルメモリ14aに記憶される送話音量レベルに応じた大きさに増幅され、2線−4線変換回路25およびNCU26を介して電話回線網100に入力され、相手側の通信装置へと送信される。
スピーカ24bは、入力された音声信号を音に変換して放音するものであり、相手側の通信装置(図示しない)から送信されてくる音声信号は、電話回線網100を介してMFP1まで到達し、NCU26および2線−4線変換回路25を介して、エコーキャンセル回路24cを経由して、スピーカ24bに入力される。そして、スピーカ24bに入力された音声信号は、フラッシュメモリ14の受話音量レベルメモリ14bに記憶される受話音量レベルに応じた大きさに増幅されてから、音声に変換され放音される。
エコーキャンセル回路24cは、通話中に反響(エコー)が生じる場合に、その反響を軽減させるための回路である。具体的には、マイク24aから出力される音声信号に基づいて、マイク24aから出力された音声信号に対し位相を反転させた信号(以下、「エコー抑制信号」と称する)を生成する。なお、マイク24aから出力される音声信号の一部が側音信号Rであるので、エコー抑制信号は、側音信号Rと逆位相の音声信号となる。
そして、反響が生じる遅延時間に合わせて、生成したエコー抑制信号と、電話回線100を介して受信される音声信号とを混成する。電話回線100を介して受信される音声信号には、側音信号Rが重なっているので、生成したエコー抑制信号と、電話回線100を介して受信される音声信号とを混成することで、受信された音声信号に重なっている側音信号Rの大きさを小さくすることができる。そして、その混成された音声信号を、電話回線100を介して受信される音声信号の代わりに、スピーカ24bに入力する。つまり、スピーカ24bからは、側音信号Rの大きさが小さい音が放音されることになるので、反響が軽減される。
また、エコーキャンセル回路24cは、回線を介して受信された音信号の信号減衰量を、CPU11からの指示に応じて、数段階(例えば、「大、中、小」など)に可変することができる。
2線−4線変換回路25は、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させるための回路である。NCU26は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などの制御を行うものである。
ここで、図3を参照して、2線−4線変換回路25について説明する。図3は、2線−4線変換回路25の回路構成の一例を示す回路図である。なお、本来は、2線−4線変換回路25と電話回線Lとは、NCU26を介して接続されているが、ここでは、説明を簡単にするために、NCU26についての説明は省略する。つまり、2線−4線変換回路25と電話交換機との間が、電話回線Lのみで接続されているものとして説明する。
2線−4線変換回路25は、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させるための回路であり、トランス回路41と、受信アンプ回路42と、送信アンプ回路43と、切換回路44と、インピーダンス整合回路45とにより構成されている。
トランス回路41は、電話回線LとMFP1とを電気的に絶縁するための回路であり、ライントランスLTと、信号の直流分をカットするための結合用コンデンサC1とにより構成されている。
ライントランスLTの1次側の一端には、2線で構成される電話回線Lの一方が接続され、ライントランスLTの1次側の他端には、電話回線Lの他方が接続されている。また、ライントランスLTの2次側の一端には、結合用コンデンサC1の一端が接続され、ライントランスLTの2次側の他端は、グランドGNDに接続されている。結合用コンデンサC1の他端は、(後述する)インピーダンス整合回路45のスイッチSW1の一端および抵抗R7の一端と、(後述する)受信アンプ回路45の抵抗R1の一端とにそれぞれ接続されている。
受信アンプ回路42は、電話回線Lから送信されてくる音声信号を所定のレベルに増幅するとともに、所定の周波数帯域以下の信号を通過させるローパスフィルタの機能を有するものである。
受信アンプ回路42は、オペアンプOP1と、抵抗R1,R2,R3と、コンデンサC2とにより構成されている。抵抗R1の一端には、(上述した)トランス回路41の結合用コンデンサC1の他端と、(後述する)インピーダンス整合回路45のスイッチSW1の一端および抵抗R7の一端とがそれぞれ接続されている。
オペアンプOP1の負極側入力端子には、抵抗R1の他端と、抵抗R3の一端と、コンデンサC2の一端とがそれぞれが接続され、抵抗R3の他端には、コンデンサC2の他端と、オペアンプOP1の出力端子と、(後述する)切換回路44のスイッチSW7の一端とがそれぞれ接続されている。
また、オペアンプOP1の正極側入力端子には、抵抗R2の一端が接続され、抵抗R2の他端には、(後述する)インピーダンス整合回路45の抵抗R9の一端、抵抗R10の一端、インピーダンスブロックZ2の一端、インピーダンスブロックZ3の一端、スイッチSW4の一端、及びスイッチSW5の一端とがそれぞれ接続されている。
送信アンプ回路43は、モデム23のトーン信号発生回路23a、または、送受話器24のマイク24aから出力される音声信号を所定のレベルに増幅するとともに、所定の周波数帯域以下の信号を通過させるローパスフィルタの機能を有するものである。
送信アンプ回路43は、オペアンプOP2と、信号の直流分をカットするための結合用コンデンサC5と、抵抗R4,R5,R6と、コンデンサC3,C4とにより構成されている。オペアンプOP2の負極側入力端子には、抵抗R5の一端と、抵抗R4の一端と、コンデンサC4の一端がそれぞれ接続され、抵抗R5の他端には、(後述する)切換回路44のスイッチSW6の一端が接続されている。
抵抗R4の他端には、コンデンサC4の他端と、結合用コンデンサC5の一端と、オペアンプOP2の出力端子とがそれぞれ接続され、結合用コンデンサC5の他端には、(後述する)インピーダンス整合回路45のインピーダンスブロックZ1の一端、抵抗R7の他端と、抵抗R8の一端とがそれぞれ接続されている。
オペアンプOP2の正極側入力端子には、コンデンサC3の一端と、抵抗R6の一端とがそれぞれ接続され、コンデンサC3の他端はグランドGNDに接続され、抵抗R6の他端には、電圧「+5VDC」が印加されている。
切換回路44は、モデム23を電話回線Lに接続するのか、送受話器24を電話回線Lに接続するのかを切り換えるための回路であり、スイッチSW6と、スイッチSW7とにより構成されている。これらのスイッチSW6,SW7は、一端側に1つの接続端子が設けられ、他端側に2つの接続端子(接続端子A、接続端子B)が設けられており、CPU11の指令によって、一端側の接続端子が、他端側の接続端子(接続端子A、接続端子B)の何れか一方と接続される。例えば、CPU11からハイ信号が入力されている間は、各スイッチSW6,SW7の一端と、他端側の接続端子Aが接続され、ロウ信号が入力されている間は、各スイッチSW6,SW7の一端と、他端側の接続端子Bが接続される。
より具体的には、本実施形態では、接続端子Aにモデム23が接続され、接続端子Bに送受話器24が接続されている。すなわち、スイッチSW6の一端側の接続端子には、(上述した)送信アンプ回路43の抵抗R5の他端が接続され、スイッチSW6の他端側の接続端子Aには、モデム23のトーン信号発生回路23aの出力端子が接続され、スイッチSW6の他端側の接続端子Bには、送受話器24のマイク24aの出力端子が接続されている。
また、スイッチSW7の一端側の接続端子には、(上述した)受信アンプ回路42のオペアンプOP1の出力端子と、抵抗R3の他端と、コンデンサC2の他端とが接続されている。スイッチSW7の他端側の接続端子Aには、モデム23のトーン信号検出回路23bの入力端子が接続され、スイッチSW7の他端側の接続端子Bには、送受話器24の()エコーキャンセル回路24cを介して)スピーカ24bが接続されている。
インピーダンス整合回路45は、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させるための回路であり、インピーダンスブロックZ1,Z2,Z3,Z4,Z5と、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4,SW5と、抵抗R7,R8,R9,R10とにより構成されている。
インピーダンスブロックZ1〜Z5は、回路素子である抵抗、コイル、及びコンデンサのうち、複数の回路素子を並列、直列、又は並列と直列とを組み合わせて接続し構成された回路ブロックであり、各インピーダンスブロックZ1〜Z5の両端を測定すると、それぞれ所定のインピーダンス特性を有するように構成されている。なお、各インピーダンスブロックZ1〜Z5のインピーダンスは、それぞれ異なっていても良いし、全て同じでも良いし、一部が同じであっても良い。
スイッチSW1〜SW5は、CPU11からの指示に従って、両端に接続されている回路素子を互いに接続するか(以後、スイッチがオンすると称する)、回路素子の互いの接続を切り離すよう(以後、スイッチがオフすると称する)に構成されている。例えば、CPU11からハイ信号が入力されている間は、スイッチSW1〜SW5がオンされて、各スイッチSW1〜SW5の両端が接続(短絡)され、ロウ信号が入力されている間は、スイッチSW1〜SW5がオフされ、スイッチSW1〜SW5の両端が開放される。
スイッチSW1の一端には、(上述した)トランス回路41の結合用コンデンサC1の他端と、抵抗R7の一端と、(上述した)受信アンプ回路42の抵抗R1の一端とがそれぞれ接続されている。
スイッチSW1の他端には、インピーダンスブロックZ1の他端が接続され、インピーダンスブロックZ1の一端には、抵抗R7の他端と、抵抗R8の一端と、(上述した)受信アンプ回路42の結合用コンデンサC5の他端とがそれぞれ接続されている。
抵抗R8の他端には、スイッチSW2の一端と、スイッチSW3の一端と、抵抗R9の他端とが接続され、スイッチSW2の他端にはインピーダンスブロックZ2の他端が接続され、スイッチSW3の他端にはインピーダンスブロックZ3の他端が接続されている。
インピーダンスブロックZ2の一端には、インピーダンスブロックZ3の一端と、抵抗R9の一端と、抵抗R10の一端と、スイッチSW4の一端と、スイッチSW5の一端と、(上述した)受信アンプ回路42の抵抗R2の他端とがそれぞれ接続されている。
スイッチSW4の他端にはインピーダンスブロックZ4の一端が接続され、スイッチSW5の他端にはインピーダンスブロックZ5の一端が接続されている。インピーダンスブロックZ4の他端には、インピーダンスブロックZ5の他端と、抵抗R10の他端が接続されると共に、リファレンス電圧REFが印加されている。
上述した2線−4線変換回路25によれば、スイッチSW6,SW7を切り替えることによって、モデム23および送受話器24の何れか一方を選択的に、電話回線Lに接続することができる。
そして、例えば、スイッチSW1をオンすると、インピーダンスブロックZ1が、抵抗R7に対して並列に接続されるので、受信アンプ回路42および送信アンプ回路43とトランス41との間の経路のインピーダンスが変化する。また、スイッチSW2をオンすると、インピーダンスブロックZ2が、抵抗R9に対して並列に接続されるので、受信アンプ回路42および送信アンプ回路43とトランス41との間の経路のインピーダンスが変化する。その他のスイッチSW3〜SW5関しても同様に、スイッチをオンすると、受信アンプ回路42および送信アンプ回路43とトランス41との間の経路のインピーダンスが変化する。
つまり、スイッチSW1〜SW5をオン、オフすることにより、受信アンプ回路42および送信アンプ回路43とトランス41との間の経路のインピーダンスを変化させることができるので、電話回線Lの種別(アナログ回線や、ISDN回線や、ADSL回線や、光ファイバー回線など)や、MFP1からMFP1側の電話交換機までの電話回線Lの線路長などの違いによって、MFP1が接続される電話回線Lのインピーダンスが大きく異ってしまう場合でも、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させることができる。
次に、図4を参照して、MFP1のCPU11により実行される音質調整処理について説明する。図4は、MFP1の音質調整処理を示すフローチャートである。この音質調整処理は、通話中に生じる反響(エコー)を低下させるための処理であり、MFP1の主電源が投入された場合に実行される処理である。この音質調整処理では、まず、MFP1側の電話交換機との間の電話回線Lを閉結し(S1)、インピーダンス整合処理を実行する(S2)。
ここで、図5を参照して、MFP1のCPU11により実行されるインピーダンス整合処理(S2)について説明する。図5は、MFP1のインピーダンス整合処理(S2)を示すフローチャートである。このインピーダンス整合処理(S2)は、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させる処理である。
このインピーダンス整合処理(S2)では、まず、RAM13のスイッチ設定番号メモリ13a、検出音量メモリ13b、および整合終了フラグメモリ13cをそれぞれ初期化する(S11)。それぞれが初期化されると、スイッチ設定番号メモリ13aには、スイッチ設定番号「1」が記憶され、検出音量メモリ13bには、トーン信号Sの音量(例えば、「−10dBm」)が記憶され、整合終了フラグメモリ13cの整合終了フラグがオフに設定される。
次に、モデム23のトーン信号発生回路23aによりトーン信号S(例えば、周波数が「1kHz」で音量が「−10dBm」である音を示す電気信号)を発生させ、電話回線Lに入力する(S12)。なお、ここでは、2線−4線変換回路25のスイッチSW6およびSW7が切り替えられて、電話回線Lにモデム23が接続された状態に設定されている。
そして、変数nの値を「0」に初期化し(S13)、変数nに「1」を加算する(S14)。次に、ROM12のスイッチ設定テーブルメモリ12aのスイッチ設定テーブルを参照し、変数nの値に対応する各スイッチSW1〜SW5の設定(設定フラグ)を取得する(S15)。そして、取得した各スイッチSW1〜SW5の設定(設定フラグ)に基づいて、各スイッチSW1〜SW5の設定を変更する(S16)。
次に、モデム23のトーン信号検出回路23bにより、側音信号R(すなわち、受信アンプ回路42に回り込んだ一部のトーン信号S)検出し、その側音信号Rの音量を取得する(S17)。取得した側音信号Rの音量が、規定値(例えば、「−30dBm」)以下であるかを判定し(S18)、取得した側音信号Rの音量が、規定値以下である場合は(S18:Yes)、RAM13の整合終了フラグメモリ13cに記憶されている整合終了フラグをオンに設定し(S26)、このインピーダンス整合処理を終了する。
S18の処理において、取得した側音信号Rの音量が、規定値(例えば、「−30dBm」)を超えている場合は(S18:No)、取得した側音信号Rの音量が、RAM13の検出音量メモリ13bに記憶されている音量より小さいかを判定する(S19)。
S19の処理において、取得した側音信号Rの音量が、検出音量メモリ13bに記憶されている音量より小さい場合は(S19:Yes)、取得した側音信号Rの音量を、検出音量メモリ13bに記憶し、変数nの値を、RAM13のスイッチ設定番号メモリ13aに記憶する(S20)。S19の処理において、取得した側音信号Rの音量が、検出音量メモリ13bに記憶されている音量以上である場合は(S19:No)、S20の処理をスキップして、S21の処理へ移行する。
次に、変数nの値が「32」であるかを判定し(S21)、変数nの値が「32」に達していない場合は(S21:No)、S14の処理に戻り、上述したS14〜S21の各処理を繰り返す。一方、変数nの値が「32」である場合は(S21:Yes)、各スイッチSW1〜SW5の状態を設定可能な全ての状態(32通りの状態)に設定したが、それでも、側音信号Rの音量を規定値(例えば、「−30dBm」)以下にできなかったことになる。
その場合は、まず、モデム23のトーン信号発生回路23aにより発生させ続けているトーン信号Sの発生を停止させる(S22)。次に、ROM12のスイッチ設定テーブルメモリ12aのスイッチ設定テーブルを参照し、RAM13のスイッチ設定番号メモリ13aに記憶されているスイッチ設定番号に対応する各スイッチSW1〜SW5の設定(設定フラグ)を取得する(S23)。
そして、取得した各スイッチSW1〜SW5の設定(設定フラグ)に基づいて、各スイッチSW1〜SW5の設定を変更し(S24)、RAM13の整合終了フラグメモリ13cに記憶されている整合終了フラグをオフに設定し(S25)、このインピーダンス整合処理を終了する。
以上の図5のフローチャートのインピーダンス整合処理により、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを適切に整合させることができる。具体的には、側音信号Rの音量が規定値(例えば、「−30dBm」)以下となるように、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを整合させることができる。例えば、規定値を、通話中に反響(エコー)が生じても、ユーザが違和感や不快感を感じない程度の大きさの側音信号Rの音量(例えば、「−30dBm」)としておけば、ユーザは、通話中に違和感や不快感を感じずに、快適に通話を行うことができるので、通話品質を一定レベル以上に維持することができる。また、各スイッチSW1〜SW5の状態を設定可能な全ての状態(32通りの状態)に設定しなくても、規定値以下となったら、このインピーダンス整合処理を終了するので、インピーダンス整合処理および音質調整処理の実行時間を短縮することができる。
また、各スイッチSW1〜SW5の状態を設定可能な全ての状態(32通りの状態)に設定しても、側音信号Rの音量が規定値(例えば、「−30dBm」)以下にならかった場合には、側音信号Rの音量が最も小さくなるように、各スイッチSW1〜SW5の状態を設定することができる。つまり、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを可能な範囲で適切に整合させることができる。よって、側音信号Rの音量が規定値以下にならない場合でも、側音信号Rの発生を最も低下させることができるので、送受話器24のスピーカ24bに入力される側音信号Rを最も低下させて、反響(エコー)を最も抑制することができる。従って、通話中に生じる反響を抑制して通話品質を向上させることができる。
ここで、図4のフローチャートの説明に戻る。S2の処理が終了すると、次に、電話交換機との間で閉結されている電話回線Lを開放する(S3)。そして、RAM13の整合終了フラグメモリ13cに記憶されている整合終了フラグがオンであるかを判定し(S4)、整合終了フラグがオンである場合は(S4:Yes)、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスの整合が取れており、側音信号Rの音量が、規定値(例えば、「−30dBm」)以下であるので、S5〜S8の処理をスキップして、この音質調整処理を終了する。
S4の処理において、整合終了フラグがオフである場合は(S4:No)、側音信号Rの音量が、規定値(例えば、「−30dBm」)を超えており、通話中に反響(エコー)が生じるので、反響を抑制する処理を行う。
まず、RAM13の検出音量メモリ13bに記憶されている音量と、規定値(例えば、「−30dBm」)との差分が、「6dB」以下であるかを判定し(S5)、検出音量メモリ13bに記憶されている音量と、規定値との差分が「6dB」以下である場合は(S5:Yes)、フラッシュメモリ14の送話音量レベルメモリ14aの送話音量レベルを、規定値との差分だけ小さく設定し(S6)、この音質調整処理を終了する。
例えば、検出音量メモリ13bの音量が「−28dBm」であり、規定値(「−30dBm」)である場合には、規定値との差分だけ、マイク24aから出力される音声信号の大きさを低下させることになる。例えば、フラッシュメモリ14の送話音量レベルメモリ14aの送話音量レベルを「1」下げると、マイク24aから出力される音声信号の大きさが「1dB」低下する場合には、規定値との差分が「2dB」であるので、送話音量レベルメモリ14aの送話レベルが「2」下げられる。
S5の処理において、RAM13の検出音量メモリ13bに記憶されている音量と、規定値との差分が「6dB」を超えている場合は(S5:No)、フラッシュメモリ14の送話音量レベルメモリ14aの送話音量レベルを、「6dB」小さく設定する(S7)。ここで、規定値との差分だけ送話音量レベルを下げるのではなく、「6dB」だけ下げているのは、マイク24aから送信される音声信号の大きさが小さくなりすぎて、相手側の通信装置で音が聞き取れなくなることを抑制するためである。次に、送受話器24のエコーキャンセル回路24cの信号減衰量を「大」に設定し(S8)、つまり、エコーキャンセル効果を最大に設定して、この音質調整処理を終了する。
以上の図4のフローチャートの音質調整処理により、側音信号Rの音量に応じて、マイク24aから送信される音声信号の大きさを小さくし、発生する側音信号Rの大きさを小さくすることができる。よって、送受話器24のスピーカ24bに入力される側音信号Rが小さくなるので、通話中に生じる反響(エコー)を抑制することができる。
また、側音信号Rの音量と、規定値(「−30dBm」)との差分が、「6dB」以下である場合には、マイク24aから送信される音声信号の大きさを、その差分だけ下げて、通話中に生じる反響(エコー)を抑制することができる。よって、マイク24aから送信される音声信号の大きさが、必要以上に小さくなりすぎることを抑制することができる。
また、側音信号Rの音量と、規定値(「−30dBm」)との差分が、「6dB」を超えている場合には、マイク24aから送信される音声信号の大きさを「6dB」だけ下げて、且つ、エコーキャンセル回路24cによるエコーキャンセル効果を最大に設定することができる。よって、通話中に生じる反響(エコー)を抑制することができる。また、側音信号Rの音量と、規定値との差分が大きい(「6dB」を超えている)場合でも、一定量(「6dB」)までしか、マイク24aから送信される音声信号の大きさが低下しないので、マイク24aから送信される音声信号の大きさが小さくなりすぎて、相手側の通信装置で音が聞き取れなくなることを抑制することができる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
例えば、本実施形態のMFP1では、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスの不整合により、2線−4線変換回路25において生じる側音信号Rの大きさを検出しているが、トーン信号Sが電話回線Lに入力された後に、MFP1側の電話交換機から電話回線Lを通り戻ってくるトーン信号S(以下、「反射トーン信号」と称する)の大きさを検出しても良い。MFP1が接続されている電話回線Lと、MFP1側の電話交換機とのインピーダンスが不整合であると、反射トーン信号が生じ、それが電話回線Lを通りMFP1へ戻り、スピーカ24bから放音され、反響(エコー)が発生する。そのような場合には、反射トーン信号の大きさが最も小さくなるように、MFP1と、MFP1側の電話交換機との間の経路のインピーダンスを整合させれば、MFP1へ戻る反射トーン信号の大きさを低下させることができるので、反響(エコー)を抑制して通話品質を向上させることができる。また、反射トーン信号および側音信号Rの大きさに基づいて、各経路のインピーダンスを整合させても良い。
また、本実施形態では、トーン信号Sの一例として、周波数が「1kHz」で音量が「−10dBm」である音を示す電気信号を用いているが、可聴帯域(「20Hz〜20kHz)内の周波数であれば他の周波数を用いても良い。なお、本実施形態では、人が最も聞きやすいとされる「1kHz」を用いている。
また、本実施形態では、一種類のトーン信号Sしか使用していないが、複数の周波数(例えば、「500Hz」、「2kHz」など)のトーン信号Sを、別々に電話回線Lに入力しても良い。また、複数の周波数のトーン信号Sを(各周波数を重畳させて)同時に電話回線Lに入力しても良い。そして、電話回線Lに入力した各周波数について、側音信号Rや反射トーン信号を検出すれば、電話回線Lの周波数特性に応じて、各経路のインピーダンスを整合させることができるので、側音信号Rや反射トーン信号を低下させることができる。従って、スピーカ24bに入力される側音信号Rや反射トーン信号を小さくすることができるので、通話中に生じる反響(エコー)を抑制して通話品質を向上させることができる。
また、本実施形態のインピーダンス整合処理(図5参照)では、側音信号Rの音量が規定値以下となったら処理を終了するが、各スイッチSW1〜SW5の状態を設定可能な全ての状態(32通りの状態)に設定してから、その中で、側音信号Rの音量が最も小さくなる設定を用いるように構成しても良い。そうすることで、MFP1と、MFP1が接続される電話回線Lとのインピーダンスを最適に整合させることができるので、発生する側音信号Rの大きさを最も小さくすることができる。従って、送受話器24のスピーカ24bに入力される側音信号Rが最も小さくなるので、通話中に生じる反響(エコー)を最も抑制することができる。
また、本実施形態では、2線−4線変換回路25の中の各スイッチSW1〜SW5の状態を切り替えて、受信アンプ回路42および送信アンプ回路43とトランス41との間の経路のインピーダンスを可変させているが、受信アンプ回路42および送信アンプ回路43とトランス41との間の経路のインピーダンスが固定値である場合でも、本実施形態を適用すれば、通話中に生じる反響(エコー)を抑制することができる。すなわち、側音信号Rの音量に応じて、マイク24aから送信される音声信号の大きさを小さくすれば、発生する側音信号Rの大きさを小さくすることができるので、送受話器24のスピーカ24bに入力される側音信号Rが小さくなり、通話中に生じる反響(エコー)を抑制することができる。
また、本実施形態では、エコーキャンセル回路24cが設けられているが、エコーキャンセル回路24cを設けていない場合でも、本実施形態を適用すれば、通話中に生じる反響(エコー)を抑制することができる。すなわち、側音信号Rの音量に応じて、マイク24aから送信される音声信号の大きさを小さくすれば、発生する側音信号Rの大きさを小さくすることができるので、送受話器24のスピーカ24bに入力される側音信号Rが小さくなり、通話中に生じる反響(エコー)を抑制することができる。
また、本実施形態のMFP1は、2線−4線変換回路25において生じる側音信号Rの大きさを検出するという構成であるが、加えて、マイク24aから出力される音声信号の大きさを検出し、マイク24aから出力される音声信号の大きさが基準値を超える場合に、スピーカ24bに入力される音声信号の大きさを低下させるように構成しても良い。ユーザから発せられる音声がマイク24aに入力されると側音信号Rが生じ、その側音信号がスピーカ24bに入力されて反響(エコー)が生じる。そこで、ユーザから発せられる音声がマイク24aに入力されている間、スピーカ24bに入力される音声信号を低下させれば、スピーカ24bに入力される側音信号Rの大きさを小さくすることができるので、さらに反響(エコー)を抑制することができる。