JP4851967B2 - 条鋼材の熱間圧延方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スケール起因、および温度降下による表面微細クラック起因の表面疵発生を抑制でき、表面性状に優れた条鋼材を製造できる条鋼材の熱間圧延方法に関するものである。
加熱炉で加熱された条鋼材を、高圧水によってデスケーリングし、その後所定の間隔をおいて複数配置した圧延スタンドの対になったロールに設けた種々の孔型によって、複数パスに分けて順次圧延することで、断面積を順次減少させて所定の製品形状および寸法の条鋼材に仕上げることは従来から行われてきた。
しかしながら、この熱間圧延方法によって線材、棒鋼、角鋼などの条鋼材製品を製造した場合、仕上がった条鋼材の表面に表面疵が多数形成されてしまうことがあり、かねてから問題となっていた。このような表面疵が残存したままで鍛造加工等の2次加工を施すと、表面疵を起点として割れなどの加工欠陥が発生する可能性がある。
この表面疵発生の主要因の1つとしては、まず、加熱炉や圧延工程途中で材料表面に発生する鋼材との密着性の高いサブスケール、すなわちスケール(酸化鉄)と地鉄(鋼)の界面部に生成する、Cr、Si等の酸化しやすい合金元素を含み、微細な気孔を内包する剥離困難な鉄酸化物が考えられる。加熱炉等で鋼材表面に発生するサブスケールの除去を容易にできるようにした条鋼材の製造方法として、例えば、特許文献1および特許文献2に記載された発明がある。これらの特許文献1および2に記載された方法は、サブスケールの構造を剥離しやすい構造に変化させるものであり、表面性状に優れた条鋼材が確実に製造できる非常に優れた発明であるが、スケールロスや加熱炉操業上の問題が残り、改善の余地があった。
また、より一般的な方法として、スケールの構造は変化させずに高圧水デスケーラの吐出圧力を上げることで衝突圧力を上げ、剥離困難なスケールを除去する方法がある。しかしながら、高圧水デスケーラで完全にサブスケールを剥離させるには、例えば500kgf/cm2(49.0MPa)以上の吐出圧が必要となり、デスケーリングによる鋼材の温度降下のために圧延機の負荷が上昇すること、表面の大きな温度低下によって鋼材表面にクラックが生じ、これが新たな表面疵の原因となる等の問題があった。
このような問題を改善する手段として、例えば特許文献3に記載されたように、ブラシロールを用いたメカニカルデスケーリングの方式がある。このデスケーリング方式は、鋼材を温度低下させることなく、スケールを機械的に削りとるため、サブスケールを完全に剥離させるための有用な手段である。しかしながら、サブスケールを完全に剥離させるためには、鋼材の同一場所に複数回ブラシを接触させることが必要であり、動いている鋼材に対してこの接触を実現するためには非常に高いブラシ回転数(ブラシロール周速)とするか、ブラシロールを組み込んだ複数台のデスケーリング設備を設置する必要がある。従って現実的な設備費用面から設備を決定した場合、この設備では、ある程度のサブスケール除去は見込めるが、完全に除去することはできないという問題があった。
特開2003 ―119517号公報 特開2002― 316207号公報 特開平4 ―115863号公報
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的としてなされたものであり、その課題は、条鋼材を熱間圧延する際に発生する表面疵を、大きな設備投資をすることなく抑制することができ、近年の厳しい表面疵保証を満足する条鋼材製品を製造することができる条鋼材の熱間圧延方法を提供することである。
前記の課題を解決するために、この発明では以下の構成を採用したのである。
即ち、請求項1に係る条鋼材の熱間圧延方法は、素材ビレット状態の被圧延材を加熱した後、複数配置した圧延機のそれぞれのロール孔型によって被圧延材の断面積を順次減少させて、所要の形状および寸法の条鋼材に仕上げる条鋼材の熱間圧延方法であって、前記素材ビレットが、Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する鋼からなり、前記加熱を1200℃以下で行なう加熱工程と、この加熱工程後、前記被圧延材を少なくとも1回、露点:30〜60℃の湿潤雰囲気中に2秒以下曝す水蒸気酸化処理工程と、その水蒸気酸化処理工程後、ブラシロールを用いたメカニカルデスケーラにより前記被圧延材をデスケーリングする工程を備えたことを特徴とする。
上記条鋼材の熱間圧延方法で、条鋼材を、Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する組成の鋼種とし、加熱温度を1200℃以下とする前提条件を設けたのは、このような鋼種および加熱温度の場合にサブスケールが生成しやすく、このサブスケールの生成により、熱間圧延過程でスケール押し込みによる表面疵が発生しやすいという問題点が従来から存在するためである。上記のように、条鋼材に仕上げる、素材ビレットや圧延過程における被圧延材に、水蒸気を含む湿潤雰囲気中に曝す水蒸気酸化処理を施すことにより、水蒸気がサブスケールと地鉄との界面部に達して地鉄(鋼)表面を直接酸化して、サブスケールと地鉄との界面に薄い酸化層(ウスタイト(FeO))が形成される。このウスタイト(FeO)は強度が低いため、その生成時の熱応力等によって亀裂が入って伝播し、上層のサブスケールを破壊する。その上、水蒸気の作用により地鉄界面が均一に酸化され、この界面が平滑となってサブスケールが地鉄からきれいに除去されやすくなり、すなわち剥離しやすいスケール性状に改質されてデスケーリング性が大きく改善される。しかも、デスケーリングを、ブラシロールを用いたメカニカルデスケーラによって行なうため、従来の高圧水を用いたデスケーリングに比べて、素材ビレットや被圧延材の温度降下が極めて小さく圧延機の負荷上昇が抑制され、簡便な設備で効果的にデスケーリングを行なうことができる。
水蒸気を供給した湿潤雰囲気中でのサブスケールの剥離性を評価するために、本発明者らは以下に示すサブスケール剥離性評価実験を行なった。表1に実験条件を示す。
Figure 0004851967
図1(a)は、実験状況を模式的に示したもので、試験片9を1200℃にまで加熱した後、この温度で、露点が30℃になるように水蒸気供給量を調整した湿潤雰囲気に2秒曝して、矩形状の表面(平面)にサブスケールを含むスケール層を一様に生成させた試験片(鋼材)を固定して、この試験片の前記矩形状の平面(表面)に試験用ブラシロール10を押し当てて回転させ、この試験用ブラシロール10が試験片9の表面に接触する回数と、図1(b)に示したスケール層の剥離長さLdとの関係を実測により求めた。また、比較のために、試験片9を1200℃まで加熱後、湿潤雰囲気に曝さずに、そのまま試験用ブラシロール10を押し当てて回転させ、ブラシロール10の接触回数Cとスケール層の剥離長さLdとの関係も求めた。試験用ブラシロール10は、金属製の軸部10aに、長さが30mmの金属製のブラシ部(針状毛部)10bを放射状に設けた、直径(最外周径)が200mmのものである。ブラシロール10の回転数は、接触回数Cの少ない方から、100rpm(C=5236)、140rpm、300rpm、500rpm(C=26180)と、接触回数Cが多くなるにつれて段階的に増加させた。表1に実験条件を、図2に実験結果を示す。なお、図1(b)でスケール層の剥離長さLdは模式的に示したもので、図2に示したスケール層の剥離長さLdは、試験片の幅(W)方向の平均値である。また、図2中に示した理論上の接触長さLtは、図1(a)に示したように、試験用ブラシロール10の直径(最外周径)と押し込み量dから決定される幾何学的な接触長さである。また、ブラシロールの接触回数Cは、以下の式(1)で求めた。
接触回数C=π×Db×Nb/60×S/B--------------------(1)
ここで、Db:ブラシロール直径、Nb:ブラシロール回転数(rpm)、S:ブラシロール接触時間(s)、B:ブラシ(針状毛)の間隔(=1mm)、である。
図2から、剥離長さLdは、接触回数Cが多くなるほど増加するが、水蒸気による湿潤雰囲気に曝さない場合には、理論接触長さLtに到達するまで約26000回の接触回数が必要であるのに対し、湿潤雰囲気に2秒曝した場合には、約16000回の接触回数で理論接触長さLtに到達していることがわかる。このことは、加熱後の試験片すなわち鋼材を水蒸気供給による湿潤雰囲気に曝すことの効果によって、より少ない接触回数で、生成したサブスケールをスケール層ごと完全に剥離できることを意味しており、この水蒸気酸化処理効果によって、ブラシロールの回転数を大きく増加させることなく、またはブラシロールを複数台、すなわちメカニカルデスケーリング装置を複数台設置することなく、従来、剥離が困難であったサブスケールを容易かつ完全に剥離できることを意味している。
前記湿潤雰囲気の露点を30〜60℃の範囲としたのは次の理由による。すなわち、露点が30℃未満の場合には、湿潤雰囲気中の水蒸気濃度が低くなるため、サブスケールの破壊が不十分となり、また、60℃を超える場合には、湿潤雰囲気中の水蒸気濃度が高くなるため、スケールが成長し過ぎてその剥離性が却ってわるくなるためである。なお、このようなスケール成長によるスケール剥離性の低下を抑制するという観点からは、前記水蒸気酸化処理工程での湿潤雰囲気中の露点は55℃以下であることがより望ましく、したがって、この露点の範囲は、30〜55℃がより望ましい。露点が30〜60℃および30〜55℃の湿潤雰囲気を絶対水蒸気量を用いて表すと、それぞれ、絶対水蒸気量0.3〜122g/湿潤雰囲気1m、絶対水蒸気量30.3〜99.1g/湿潤雰囲気1m、となる。
前記水蒸気酸化処理工程で、素材ビレットや被圧延材を湿潤雰囲気中に曝す時間を2秒以下としたのは次の理由による。すなわち、水蒸気酸化による地鉄界面部のウスタイト(FeO)形成効果は、その厚みが薄い状態に止まる水蒸気処理時間が短いほど出やすい。したがって、水蒸気酸化時間が2秒を超えると、前記素材ビレットや被圧延材の表面酸化が進行し、地鉄界面に形成されたウスタイト(FeO)が、地鉄との整合性が高いマグネタイト(Fe)に変化するため、サブスケールが剥離しにくくなって、熱間圧延でのスケール押し込みによる表面疵の発生を助長することになり、また、地鉄界面を平滑化する効果もなくなり、メカニカルデスケーリング性の改善効果もなくなるためである。なお、前記水蒸気酸化処理時間は、短すぎると水蒸気がサブスケールの下層まで到達することができず、地鉄が酸化されないため、サブスケールを破壊する前記の効果がなくなる。したがって、湿潤雰囲気中に曝す時間は0.1秒以上とすることが好ましい。
請求項2に係る条鋼材の熱間圧延方法は、前記水蒸気酸化処理工程を前記加熱工程の直後および粗圧延工程の直後にそれぞれ設けたことを特徴とする。
このように、水蒸気酸化処理を2回行なうようにすると、加熱工程で生成した所謂1次のサブスケール、および圧延速度が遅く圧延時間が比較的長い、すなわち酸化時間が比較的長い粗圧延過程で生成した所謂2次のサブスケールの双方を、メカニカルデスケーリングにより効果的に除去することが可能となり、スケール押し込みによる表面疵の発生をより抑制することができる。
この発明では、Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する条鋼材を1200℃以下で加熱した後に、少なくとも1回、露点が30〜60℃の湿潤雰囲気中に2秒以下曝す水蒸気酸化処理を行なって、剥離が困難なサブスケールを含むスケールを、剥離しやすいスケール性状に改質してメカニカルデスケーリングにより除去するようにしたので、大掛かりな設備を必要とせずに効果的にデスケーリングを行なうことができ、近年の厳しい表面疵保証を満足する条鋼材製品を製造することができる。
以下に、この発明の実施形態を、実施例を交えて、添付の図3および図4に基づいて説明する。
図3は、条鋼材の1種である線材のミルレイアウト(圧延ライン)の加熱炉1および圧延機の配置の一部、すなわち粗圧延機列2および中間圧延機列3を模式的に示したものである。前記粗圧延機列2および中間圧延機列3は、いずれも孔型を設けた一対のロールを組み込んだ水平圧延機2a、3aおよび垂直圧延機2b、3bが所要の間隔で複数配置されている。加熱炉1の出側には、被圧延材4aとなる素材ビレット4の水蒸気酸化処理を行なう水蒸気酸化処理装置5が配置され、この水蒸気酸化処理装置5の出側には、メカニカルデスケーリング装置6が設置されている。
前記水蒸気酸化処理装置5には、水蒸気供給管7、7aから水蒸気が供給されて湿潤雰囲気が形成され、この湿潤雰囲気中の露点が30〜60℃となるように、前記水蒸気の供給量が調節される。この湿潤雰囲気中の露点は、被圧延材(素材ビレット4を含む)4aの表面から高さ50cm以内の表面近傍の雰囲気を採取して、露点計、例えば鏡面式露点計によって測定することができる。
前記水蒸気酸化処理装置5の出側に設置されたメカニカルデスケーリング装置6では、デスケーリング手段としてブラシロールが用いられている。このメカニカルデスケーリング装置6では、例えば、図4(a)に示すように、ブラシロール8a〜8dが、素材ビレット4の各面(4つの表面)に対して、その対向する面の中央A1、A2に、ブラシロール8a、8bおよび8c、8dのロール幅方向(ロール軸方向)の中央部が位置するように配置されている。そして、このブラシロール8a〜8dは、使用し続けたときのブラシの局部的損耗等を緩和するため、その軸心を垂直方向に対して、素材ビレット4の軸方向に直角な方向に対して、角度θ(例えば、30°)だけ傾けて、所要の力(例えば、100〜200kgf)で押し付けられるようになっている。また、鋼種や要求表面品質レベル等の必要に応じて水蒸気酸化処理およびメカニカルデスケーリングが行なえるように、粗圧延機列2の出側にも、水蒸気酸化処理装置5aを設置し、さらにその出側にメカニカルデスケーリング装置6aを配置することができる。前記粗圧延機列2の最終圧延機(2b)からは、通常、断面形状が「角」の被圧延材が放出されるため、水蒸気酸化処理装置5aの出側に設置されたメカニカルデスケーリング装置6aにおいても、図4(a)および(b)に示したものと同様のブラシロールの配置とすることができる。
加熱炉4で、1200℃以下で加熱された後、抽出された、Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する鋼からなる素材ビレット4は、その表面に生成した剥離が困難なサブスケールを含むスケール層が、水蒸気の供給により露点が30〜60℃の範囲に調整された水蒸気酸化処理装置5内の湿潤雰囲気に2秒以下の短時間曝されて、前述のように、水蒸気の作用により剥離しやすいスケール性状に改質された後、メカニカルデスケーリング装置6で、ブラシロール8a〜8dの回転により、生成したスケールが破壊され、地鉄界面から剥離される。そして、デスケーリングされた素材ビレット4は、粗圧延機列2の水平圧延機2aおよび垂直圧延機2bで順次圧延されて、その断面積が順次減少し、粗圧延機列2の最終圧延機2bfから、断面形状が「角」の被圧延材4aが放出され、中間圧延機列3および仕上げ圧延機列(図示省略)でさらに順次圧延されて、所要寸法(形状・寸法)の線材(条鋼材)製品に仕上げられる。
なお、前述のように、鋼種や要求表面品質レベルに応じて、水蒸気酸化処理装置5aで、粗圧延機列2の最終圧延機(2b)から放出された断面形状が「角」の被圧延材4aを、素材ビレット4の場合と同様に、露点が30〜60℃の範囲に調整された湿潤雰囲気に2秒以下の短時間曝され、圧延速度が遅いため、圧延時間すなわち(大気との接触による)酸化時間が比較的長い粗圧延過程で生成した、サブスケールを含む2次スケール層を、水蒸気の作用により剥離しやすいスケール性状に改質された後、メカニカルデスケーリング装置6aで生成したスケールが破壊され、地鉄界面から剥離される。このように、素材ビレット4の加熱過程および、必要に応じて、酸化時間の比較的長い粗圧延段階で被圧延材4aに生成した、剥離が困難なサブスケールを含むスケール層をそれぞれ地鉄界面から除去することにより、熱間圧延過程でのスケール押し込みによる表面疵の発生を防止することができる。
本願発明の、「水蒸気酸化処理+メカニカルデスケーラ」の組み合わせによる表面疵低減効果を確認するため、表2に組成を示す鋼種A〜Eの各150mm角ビレットを加熱炉の燃焼ガス雰囲気中で1000〜1350℃の範囲に加熱し、加熱炉から抽出直後に、表3に示す工程1〜工程4の4つのデスケーリング処理を施すことにより、それぞれ、直径8.0mmの線材を製造する実機実験を実施した。この製造した直径8.0mmの線材について、以下に示す方法で表面疵の発生状態を評価した。すなわち、コイル状に巻取った直径8.0mm線材の先端側から後端側にかけて、長手方向(圧延方向)に垂直な横断面10箇所以上を採取し、各横断面を観察断面として、光学顕微鏡(倍率:100〜200)により表面疵を観察した。深さが0.01mm以上の疵を表面疵としてカウントし、その平均値(疵個数の合計数/観察断面数の合計数=1観察断面あたりの疵個数)を算出した。そして、この疵個数の平均値が、0(疵無し)のものをランク0、0超〜10以下のものをランク1、10超〜20以下のものをランク2、20超〜30以下のものをランク3、30超のものをランク4と定義して、それぞれの工程を経た線材の表面疵の発生状態を評価した。製品としてランク1以下の表面疵発生状態であれば、全く問題ない。このようにして工程1〜工程4について、表面疵の発生状態を評価した結果を表4〜表7に示す。
Figure 0004851967
Figure 0004851967
Figure 0004851967
表4は、標準(比較)条件である工程1についての実験結果を示したものであるが、表面疵ランクは3〜4と、線材製品として問題のない表面疵ランク1以下を達成できていない。鋼種によるバラツキはあるものの、加熱温度の低い1050℃の条件の方が、加熱温度の高い1200℃の条件よりも、表面疵ランクがわるい。これは、高圧水デスケーリングによるビレット(被圧延材)表面の温度降下により表面クラックが発生したこと、およびデスケーリング能力は、表面温度が高いほど向上すること、などに起因する。
表5は、工程2についての実験結果を示したものである。表面疵ランクは工程1に比べて改善されているが、線材製品として問題のない表面疵ランク1以下には到達していない。工程1に比べて改善されているのは、デスケーリング手段を高圧水デスケーラからメカニカルデスケーラに変更したことにより、ビレット(被圧延材)表面の温度降下が緩和されていること、および流体によるデスケーリングよりも機械的デスケーリングの方が、高いデスケーリング能力を有するためと推察される。また、この工程2の場合も、加熱温度が高い圧延条件の方が、表面疵ランクが良好であるのは、工程1の場合と同様に、ビレット(被圧延材)表面が高いほどデスケーリング能力が向上することによる。
Figure 0004851967
Figure 0004851967
表6は、工程3についての実験結果を示したものである。水蒸気酸化処理の条件(露点および処理時間)が本願発明の範囲内の実験No.(21,22,26〜28,31〜33,36,38,39)については、水蒸気酸化処理によるスケール剥離性の向上のため、表4に示した工程1の高圧水デスケーリングのみの場合よりも改善され、いずれの加熱温度についても表面疵ランクは2〜3の範囲にある。また、水蒸気酸化処理条件が本願発明内の前記実験No.間について比較すると、工程3の場合も、加熱温度が1050℃以下の実験No.(21,27,31,36,38)については、他の加熱温度が高い実験No.に比較して表面疵ランクはわるくなっている。これは、工程1の場合と同様に、加熱温度が低い場合には、高圧水デスケーリングによるビレット(被圧延材)表面の温度降下により表面クラックが発生することに起因する。しかし、加熱温度が低い場合でも、工程1(高圧水デスケーリングのみ)の場合よりも、表面疵ランクが改善されており、水蒸気酸化処理によるスケール剥離性の向上効果は認められる。工程3の圧延条件では、水蒸気酸化処理条件が本願発明の技術的範囲内にあり、かつ加熱温度が1050℃よりも高い実験No.については、表面疵ランクは2となって、工程1の場合の表面疵ランク3よりも改善されるが、線材製品として問題のない表面疵ランク1以下にはまだ到達していない。
Figure 0004851967
表7は、工程4についての実験結果を示したものである。水蒸気酸化処理条件(露点および処理時間)を本発明の技術的範囲内とし、かつデスケーリング手段を、高圧水デスケーラからメカニカルデスケーラに変更することにより、どの実験No.においても表面疵ランクは1以下に改善されている。この改善効果は、水蒸気酸化処理によるスケール剥離性の向上効果およびメカニカルデスケーラを使用したことによるビレット(被圧延材)の表面温度低下防止の効果が相乗して得られたものであり、本願発明の技術的範囲内の水蒸気酸化処理条件および圧延(加熱)条件では、表面疵ランク1以下の表面性状の良好な線材製品を製造することができる。
なお、前記メカニカルデスケーラ6、6a(図3参照)の後面側に、素材ビレットおよび被圧延材の表面温度降下を殆ど生じさせないような、例えば、圧力が40kgf/cm2(3.9MPa)程度の低圧水デスケーラを配置して、メカニカルデスケーラ6、6aによるデスケーリング後に、ビレットおよび被圧延材表面に残存したスケール屑を除去するようにしてもよい。また、水蒸気酸化処理装置5(図3参照)の入側に圧力が150kgf/cm2(14.7MPa)程度の高圧水デスケーラを配置して、加熱炉で生成した通常の厚いスケール(FeO、Fe、Fe)を除去し、水蒸気酸化処理装置5で水蒸気酸化した後に、メカニカルデスケーラ6によって高圧水デスケーラで剥離できなかったサブスケールを除去するようにしてもよい。
(a)、(b)サブスケール剥離性評価実験概要を模式的に示す説明図である。 ブラシロールの接触回数とスケール剥離長さとの関係を示す説明図である。 線材の圧延ラインのレイアウトの一例を模式的に示す説明図である。 (a)ブラシロールの配置の一例を示す説明図である。(b)素材ビレット表面に対するブラシロールの傾斜角の一例を示す説明図である。
符号の説明
1:加熱炉 2:粗圧延機列 3:中間圧延機列
2a、3a:水平圧延機 2b、3b:垂直圧延機 4:素材ビレット
4a:被圧延材 5、5a:水蒸気酸化処理装置
6、6a:メカニカルデスケーリング装置 7、7a:水蒸気供給管
8a〜8d:ブラシロール 9:試験片 10:試験用ブラシロール
10a:ブラシロール軸部 10b:ブラシ(針状毛)部

Claims (2)

  1. 素材ビレット状態の被圧延材を加熱した後、複数配置した圧延機のそれぞれのロール孔型によって被圧延材の断面積を順次減少させて、所要の形状および寸法の条鋼材に仕上げる条鋼材の熱間圧延方法であって、前記素材ビレットが、Siを0.05質量%以上と、Cr、Niのうち少なくとも1種以上を0.1質量%以上含有する鋼からなり、前記加熱を1200℃以下で行なう加熱工程と、この加熱工程後、前記被圧延材を少なくとも1回、露点:30〜60℃の湿潤雰囲気中に2秒以下曝す水蒸気酸化処理工程と、その水蒸気酸化処理工程後、ブラシロールを用いたメカニカルデスケーラにより前記被圧延材をデスケーリングする工程を備えたことを特徴とする条鋼材の熱間圧延方法。
  2. 前記水蒸気酸化処理工程を前記加熱工程の直後および粗圧延工程の直後にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載の条鋼材の熱間圧延方法。
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JP2009046731A (ja) * 2007-08-20 2009-03-05 Kobe Steel Ltd スケール剥離性に優れたSi、Cr含有条鋼材の製造方法

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