JP4851745B2 - 自動二輪車用排気装置 - Google Patents
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Description
本発明は、触媒装置をエンジンの下側に配置することにより触媒作用を向上させた自動二輪車用排気装置において、触媒装置の取付構造を簡素化すると共に、触媒装置の排気流通断面積を増大させた場合でも、触媒装置を収納する排気経路形成部材の外径の増大化を防ぎ、自動二輪車のバンク角及び最低地上高を大きくできるようにすることを目的としている。
また、フランジ継手を採用しつつ、該フランジ継手部分の径方向の寸法を、コンパクトにでき、自動二輪車において、バンク角及び最低地上高を大きくすることができる。
図1〜図9は本発明の実施の形態であり、以下、これらの図面に基づいて説明する。
図1は自動二輪の右側面図であり、スイングアーム10の排気管挿通用の凹部44の凹部カバー45(図3参照)を除いて示している。この図1において、車体フレーム1は、左右一対のメインフレーム2と、左右一対のスイングアームブラケット4と、矩形枠状のリヤフレーム7とから、側方から見て概ねY字状に主構成されている。メインフレーム2はヘッドパイプ3から後下がりに後方へ延び、後端部は図示しないクロス部材により左右が連結されている。スイングアームブラケット4は、メインフレーム2の後下端部に下方突出状に溶接により接合されている。リヤフレーム7は、メインフレーム2の後端部にボルト22により固着されると共に、メインフレーム2の後端部から後上がりに後方へ延び、後車輪11の上方を覆っており、シートレール機能を有すると共に、車体後部構成体20の躯体(骨組み)としての機能も有している。前記ヘッドパイプ3にはフロントフォーク5が支持され、フロントフォーク5の上端部にはハンドル6が設けられ、フロントフォーク5の下端部には前車輪8が支持されている。
図2は、後車輪11の上方に配置される車体後部構成体20の詳細を示す分解斜視図であり、車体後部構成体20は、前記リヤフレーム7と、前記リヤカウル19と、前記リヤフェンダー21と、から主構成されている。リヤフレーム7は、前後方向に延びる左右一対のレール部7aと、左右のレール部7aを連結する複数のクロス部7bとを、鋳造又はダイカスト鋳造により矩形枠状に一体成形したものであり、左右のレール部7aの前端部に、それぞれ上下一対の取付ボス部7cが形成されている。リヤフェンダー21は合成樹脂製であって後車輪11の上方を覆っており、リヤフェンダー21の上面に各種部品を搭載し、収納できるように、リヤフェンダー21の周囲には側壁21aが一体に形成され、また、各種搭載部品を所定位置に区分けできるように、複数の隔壁21bが形成されている。リヤフェンダー21は、リヤフレーム7内に下側から嵌め込まれ、図示しない複数のボルトによりリヤフレーム7に締結されている。リヤカウル19はリヤフレーム7の後半部を覆うと共に、リヤシート取付用の開口19aが形成されている。
図3はスイングアーム10の平面図であり、スイングアーム10は、前端のピボット筒(軸)部10aに一体に形成された平板状の前部42と、該平板状前部42から後方に延びる左右一対のアーム部43とから構成されており、前記平板状前部42の右端部には排気管挿通用の凹部44が形成され、該凹部44の右側開口端には前記凹部カバー(排気管カバー)45が着脱自在に取り付けられている。前記リヤショックアブソーバ9は、車幅中心線Cより左側、すなわち前記排気管挿通用凹部44とは反対側に位置しており、リヤショックアブソーバ9の上端部に設けられるオイル用のリザーブタンク46は、リヤショックアブソーバ9よりもさらに左側に位置している。
図4は排気装置の分解斜視図、図5は排気装置の平面図、図6は排気装置のエンジン後方部位の右側面図、図7は触媒管26の左側面拡大図、図8〜図10は、それぞれ図7の触媒管26のVIII-VIII、IX-IX、X−X断面拡大図である。
図5において、エンジン15の排気口から排気マフラー33、34の出口までの排気経路は、前述のように複数の排気経路形成部材を接続することにより構成されており、該実施の形態では、排気経路形成部材として、排気上流側から順に、気筒用排気管24、第1の集合管25、触媒管26、第2の集合管27、立ち上がり状の排気管28、分岐管30、分岐排気管31、32、延長排気管36及び排気マフラー33、34を接続しているが、材料としては、前述のように、触媒管26及び該触媒管26と一体に形成される第2の集合管27を、触媒装置65と同材料の耐熱性の優れたステンレス鋼製とし、その他の気筒用排気管24、第1の集合管25、立ち上がり状の排気管28、分岐管30、分岐排気管31、32、延長排気管36及び排気マフラー33、34を、ステンレス鋼よりも比重の小さいチタン又はチタン合金製としている。
図8は触媒管26の縦断側面図(図7のVIII-VIII断面図)であり、この図8において、ステンレス鋼製の触媒管26内に収納される触媒装置65は、薄板円筒状のステンレス鋼製のケース67と、ステンレス鋼製のメタルハニカムを渦巻き状に巻いた前後一対の触媒担体66と、から構成され、両触媒担体66は、白金やバナジウム等の触媒を担持すると共に、排気ガス流方向に所定間隔を置いてケース67内に嵌合し、たとえばスポット溶接によりケース67の内周面に固着(接合)されている。前記ケース67は、排気ガス流方向の一方の端部、たとえば下流側の端部が溶接によりケース67の内周面に固着され、上流側の端部が排気ガス流方向に移動可能な自由端部となっている。触媒管26に対するケース67の前記溶接構造は、たとえば触媒管26の周方向等間隔を置いた3カ所に長孔70を形成し、各長孔70部分で、ケース67を触媒管26に溶接(プラグ溶接)により固着している。なお、触媒装置65は、前記のようなハニカム型触媒には限定されず、たとえばパンチングプレートを利用した触媒等を内蔵することもできるが、触媒担体の材料としては、触媒管26と同じ耐熱性のあるステンレス鋼が用いられ、溶接により触媒管26に固着される。
図4において、ステンレス鋼製の触媒管26の後端に形成された同材料の第2の集合管27は、前述のようにクランプ39を利用した嵌合継手によりチタン又はチタン合金製の排気管28に接続されているが、触媒管26の前端は、前述のようにフランジ継手59により前側の第1の集合管25に接続されており、前記フランジ継手59の構造を、以下、詳しく説明する。
図4において、分岐管30の排気デバイスボディ部30aには、排気デバイス51として、たとえばバタフライ弁が備えられており、前記排気デバイスボディ部30a内に回動自在に支持された弁軸54と、該弁軸54に固着された円板形の弁体53と、排気デバイスボディ部30aの前側に配置された入力用の被駆動プーリ55等と、から主構成されている。弁軸54は、前後方向に延びるように水平に配置されると共に前方に突出し、該前方突出部に前記被駆動プーリ55が固着され、該被駆動プーリ55は、リヤフェンダー21の後部に配設されたアクチュエータ71の駆動プーリ76に、一対の伝動ケーブル77、78を介して連動連結している。
図4において、触媒管26の前端部は、前述のようにフランジ継手59により、第1の集合管25の後端部に接続される。すなわち、図7において、両フランジ25a、26aは金属ガスケット62を介して重ね合わされ、ボルト60及びナット61により接続される。フランジ継手59を利用していることにより、クランプを用いた嵌合継手のように、触媒管長さ方向に大きな作業スペースを確保する必要がなく、狭いスペースでも、容易に接続作業を行うことができる。
(1)ステンレス鋼製の触媒装置65を収納する触媒管26を、触媒装置65と同材料のステンレス鋼製とし、溶接により触媒装置65を触媒管26に固着しているので、ブラケット等の特別の取付部品を用いることなく触媒装置65を取り付けることができ、触媒管26に対する触媒装置65の取付構造が簡単になると共に、触媒管の径を必要以上に大きくすることなく、触媒装置65の排気流通断面積を大きく確保できる。これにより、エンジン15の下側の限られた配置スペースにコンパクトに触媒管26を配置できると共に、自動二輪車における最低地上高及びバンク角を大きくすることができる。
(1)前記実施の形態では、異種材料の排気経路形成部材の組み合わせとして、触媒管をステンレス鋼製とし、排気管28等をチタン又はチタン合金製としているが、その他の異種材料の組み合わせを採用することもできる。たとえば、ステンレス鋼製の触媒管に対し、排気管28等をNi、Cr及びFeの合金のインコネル製又はその他の軽量合金製とすることも可能である。また、触媒管に対して、他の排気管等の材料を、たとえば鉄等の安価な材料とすることにより、触媒管の耐熱性を維持しつつ、排気装置全体のコストを低減することも可能である。
24 気筒用排気管(排気経路形成部材)
25 第1の集合管(排気経路形成部材)
26 触媒管(排気経路形成部材)
27 第2の集合管(排気経路形成部材)
28 排気管(排気経路形成部材)
30 分岐管(排気経路形成部材)
31、32 分岐排気管(排気経路形成部材)
33、34 排気マフラー(排気経路形成部材)
Claims (3)
- エンジンの排気口から前記エンジンの下側を通過して排気マフラーの出口に至る排気経路を、複数の排気経路形成部材を接続することにより構成している自動二輪車用排気装置において、
前記エンジンの下側に配置される排気経路形成部材として、他の排気経路形成部材と異種の材料であって、触媒装置が直接溶接により固着可能な材料で形成された触媒管を備えており、
前記触媒装置は、触媒を担持する触媒担体と、該触媒担体が嵌合されて前記触媒管に内蔵されるケースと、を有しており、
前記触媒管には孔が形成され、該孔部分で、前記ケースと前記触媒管とが直接溶接されており、
前記触媒管は、エンジンの下側に左右一対配置されており、
該左右の触媒管のうち、一方の触媒管は略車幅中心線上に配置され、他方の触媒管は車幅中心線から車幅方向外方に変位した位置に、かつ、前記一方の触媒管よりも上方にずれた位置に配置されており、
前記各触媒管の前端部分は、前記触媒装置が内蔵される位置よりも前方位置で、前方に向かって縮径するテーパー形状に形成され、前記前端部分の前端に、外向きフランジが形成されており、
前記各触媒管の前側の排気経路形成部材は、エンジンの下側に左右一対配置された第1の集合管であり、該各第1の集合管は、後方に向かって縮径するテーパー形状に形成され、前記各第1の集合管の後端に、外向きフランジが形成され、
前記左右の触媒管の前端と前記左右の第1の集合管の後端が、前記エンジンの下側の位置で、前記両外向きフランジにより構成されるフランジ継手構造により、それぞれ接続されている、自動二輪車用排気装置。 - 前記左右の触媒管の前記テーパー状前端部分に、酸素センサー取付ボス部がそれぞれ形成されており、
前記各酸素センサー取付ボス部は、車幅方向における前記他方の触媒管配置側と反対方向で、かつ、上方に向いて突出している、請求項1に記載の自動二輪車用排気装置。 - 前記各第1の集合管は、チタン又はチタン合金でできており、
前記各触媒管は、ステンレス鋼でできている、請求項2に記載の自動二輪車用排気装置。
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