JP4850432B2 - 水素製造装置の運転方法と水素製造装置 - Google Patents

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本発明は、吸着剤を収容する複数の水素精製塔が水素リッチガス供給路に並列に接続され、各水素精製塔において、加圧下で前記吸着剤に水素リッチガス中の不純物を吸着させて高純度水素を精製して回収する吸着工程と、減圧下で前記吸着剤に吸着された不純物を取り除く洗浄工程を繰り返して水素リッチガスから高純度水素を連続的に製造する水素製造装置の運転方法と水素製造装置に関する。
このような水素製造装置は、例えば、13Aなどの都市ガスを原料として改質、変成された水素リッチガスから高純度水素ガスを連続的に製造するためのもので、従来の水素製造装置では、複数の水素精製塔において、ひとつの水素精製塔における吸着工程が終了した後、他のひとつの水素精製塔における吸着工程が開始するように運転されていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−299994号公報(図3)
したがって、従来の運転方法および装置では、各水素精製塔に収容された吸着剤の全量が、水素リッチガス中に含まれる不純物を十分に吸着する前に吸着工程を終了し、そのため、吸着剤が十分に活用されず、水素精製塔の大型化を招くおそれがあり、また、各水素精製塔に収容される吸着剤の量の割には高純度水素の回収率が低下するという欠点があった。
この点について詳述すると、図4の(イ)に示すように、ひとつの水素精製塔1について考察してみると、下方から水素リッチガスが供給され、その水素リッチガス中の不純物が水素精製塔1内の吸着剤に吸着されて、高純度水素が水素精製塔1の上方から取り出される。その際、水素リッチガス中の不純物は、下方の吸着剤から上方の吸着剤へと順次均一に吸着されて行くのではなく、図4の(イ)において斜線で示すように、概ね中央が上方へ盛り上がった山型に沿って下方から上方へと順次吸着されて行く。
そして、曲線a(以下、「破過曲線」と称する)は、その山型の高さLの範囲内における吸着剤の吸着状態を示すもので、高さLの最下線を含んでその下方に位置する吸着剤は、100%不純物を吸着し終わった状態を示し、最上線を含んでその上方に位置する吸着剤は、未だ不純物を吸着していない状態を示している。
このような破過曲線aが、時間の経過に伴って順次上昇することになり、破過曲線aの傾斜は水素リッチガスの流速に比例する。そして、この破過曲線aが、水素精製塔1の上部から破過すると、つまり、図中bで示す位置よりも上昇すると、不純物の一部が高純度水素中に混入して、高純度水素の純度の低下を招くことになる。したがって、図中bで示す位置で吸着工程を終了しなければならず、多量の吸着剤が不純物を吸着しないままに吸着工程を終了することになる。
したがって、従来の運転方法および装置では、各水素精製塔に収容された吸着剤の全量が十分に活用されず、水素精製塔の大型化を招くか、あるいは、各水素精製塔に収容される吸着剤の量の割には高純度水素の回収率が低下するという欠点があった。
本発明は、このような従来の欠点に着目したもので、その目的は、高純度水素の製造能率を低下させることなく、各水素精製塔に収容された吸着剤を十分に活用して、各水素精製塔の大型化を回避しながら高純度水素の回収率の向上を図ることのできる水素製造装置の運転方法とその水素製造装置を提供することにある。
本発明の第1の特徴構成は、吸着剤を収容する複数の水素精製塔が水素リッチガス供給路に並列に接続され、各水素精製塔において、加圧下で前記吸着剤に水素リッチガス中の不純物を吸着させて高純度水素を精製して回収する吸着工程と、減圧下で前記吸着剤に吸着された不純物を取り除く洗浄工程を繰り返して水素リッチガスから高純度水素を連続的に製造する水素製造装置の運転方法であって、前記複数の水素精製塔において、一部の水素精製塔における前記吸着工程が終了する前に、他の昇圧完了済みの水素精製塔における前記吸着工程が開始するように運転するところにある。
本発明の第1の特徴構成によれば、水素リッチガス供給路に並列に接続された複数の水素精製塔において、一部の水素精製塔における吸着工程が終了する前に、すなわち、加圧下で吸着剤に水素リッチガス中の不純物を吸着させて高純度水素を精製して回収する吸着工程が終了する前に、他の昇圧完了済みの水素精製塔における前記吸着工程が開始するように運転するので、一部の水素精製塔における吸着工程の終了前において、水素リッチガス供給路からの水素リッチガスは、一部の水素精製塔と他の昇圧完了済みの水素精製塔に分流して供給され、一部の水素精製塔においては水素リッチガスの流速が低下する。
つまり、上述した破過曲線aは、図4の(ロ)に示すように、吸着工程の途中においては従来と変わるところはないが、吸着工程の終了前に、図中「c」で示すように、その傾斜角が小さくなって、不純物を吸着しないままで吸着工程を終了する吸着剤の量が少なくなる。
その結果、高純度水素の製造能率を極端に低下させることなく、各水素精製塔に収容された吸着剤を十分に活用し、各水素精製塔の大型化を回避しながら高純度水素の回収率の向上を図ることができるのである。
本発明の第2の特徴構成は、吸着剤を収容する複数の水素精製塔と、その複数の水素精製塔に並列に接続される水素リッチガス供給路を備え、前記複数の水素精製塔における作動を制御する制御手段が、各水素精製塔において、加圧下で前記吸着剤に水素リッチガス中の不純物を吸着させて高純度水素を精製して回収する吸着工程と、減圧下で前記吸着剤に吸着された不純物を取り除く洗浄工程を繰り返して水素リッチガスから高純度水素を連続的に製造するように制御する水素製造装置であって、前記制御手段が、前記複数の水素
精製塔において、一部の水素精製塔における前記吸着工程が終了する前に、他の昇圧完了済みの水素精製塔における前記吸着工程が開始するように制御するところにある。
本発明の第2の特徴構成によれば、水素精製塔の作動を制御する制御手段が、水素リッチガス供給路に並列に接続された複数の水素精製塔において、一部の水素精製塔における吸着工程が終了する前に、すなわち、加圧下で吸着剤に水素リッチガス中の不純物を吸着させて高純度水素を精製して回収する吸着工程が終了する前に、他の昇圧完了済みの水素精製塔における前記吸着工程が開始するように制御するので、上記第1の特徴構成において記述した作用効果、つまり、高純度水素の製造能率を極端に低下させることなく、各水素精製塔に収容された吸着剤を十分に活用し、各水素精製塔の大型化を回避しながら高純度水素の回収率の向上を自動的に図ることができる。
本発明による水素製造装置の運転方法と水素製造装置につき、その実施の形態を図面に基づいて説明する。
この水素製造装置は、水素リッチガスから高純度水素を製造するもので、図1に示すように、第1から第4までの4つの水素精製塔1,2,3,4を備え、各水素精製塔1,2,3,4は、水素リッチガス供給路5に対してそれぞれ供給用分岐路5a,5b,5c,5dを介して互いに並列に接続されている。各供給用分岐路5a,5b,5c,5dには、それぞれ供給用電磁弁6a,6b,6c,6dが設けられ、水素リッチガス供給路5には、水素リッチガスが供給される。
水素リッチガス供給路5に供給される水素リッチガスは、例えば、13Aなどの都市ガスを原料とし、昇圧した都市ガスから硫黄分をppbレベルにまで除去し、水蒸気改質用の触媒によって水素リッチガスに改質するとともに、変成用の触媒によって水素リッチガス中の一酸化炭素を二酸化炭素に変成し、さらに、余分な水分を除去した後の水素リッチガスである。
そして、各水素精製塔1,2,3,4には、加圧下においてその水素リッチガスから水、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、窒素などの不純物を吸着除去して高純度水素を精製する適切な吸着剤が収容されている。
各水素精製塔1,2,3,4は、高純度水素排出路7に対してそれぞれ排出用分岐路7a,7b,7c,7dを介して互いに並列に接続され、各排出用分岐路7a,7b,7c,7dにそれぞれ排出用電磁弁8a,8b,8c,8dが設けられ、高純度水素排出路7には水素貯蔵タンク9が接続されている。
さらに、各水素精製塔1,2,3,4は、均圧用分岐路10a,10b,10c,10dを介して均圧路10に互いに並列に接続され、各均圧用分岐路10a,10b,10c,10dにそれぞれ均圧用電磁弁11a,11b,11c,11dが設けられ、均圧路10の端部は、第4水素精製塔4における排出用分岐路7dとの接続箇所より下流側において高純度水素排出路7に接続され、その接続箇所より上流側の均圧路10にも均圧用電磁弁11eが設けられている。
そして、各水素精製塔1,2,3,4の供給用分岐路5a,5b,5c,5dには、オフガス分岐路12a,12b,12c,12dが接続され、各水素精製塔1,2,3,4が、そのオフガス分岐路12a,12b,12c,12dを介してオフガス排出路12に並列に接続されるとともに、各オフガス分岐路12a,12b,12c,12dにそれぞれオフガス電磁弁13a,13b,13c,13dが設けられ、オフガス排出路12にはオフガスタンク14が接続されている。
このような構成からなる水素製造装置は、その作動の全てが自動制御されるように構成され、そのため、制御手段15が、供給用電磁弁6a〜6d、排出用電磁弁8a〜8d、均圧用電磁弁11a〜11e、および、オフガス電磁弁13a〜13dなどを開閉制御するように構成されている。
つぎに、この水素製造装置の作動と運転方法につき、図2の運転工程図と図3の運転説明図を参照しながら説明する。
水素リッチガス供給路5からの水素リッチガスは、第1〜第4の水素精製塔1,2,3,4のいずれかに供給されて高純度水素に精製される。
例えば、第1水素精製塔1において精製される場合であれば、供給用電磁弁6aの開弁によって第1水素精製塔1に水素リッチガスが供給され、加圧下においてその水素リッチガス中に含まれる水、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、窒素などの不純物を吸着剤に吸着させて高純度水素を精製して回収する吸着工程を実行し、精製された高純度水素は、排出用電磁弁8aの開弁に伴って排出用分岐路7aと高純度水素排出路7を通って水素貯蔵タンク9へ送られて貯蔵される。
この第1水素精製塔1における吸着工程実行の際、吸着工程開始直後においては、図3の(イ)に示すように、第2水素精製塔2は均圧入(2)工程にあり、第3水素精製塔3は均圧出(2)工程にある。そして、第4水素精製塔4は、高純度水素を精製して回収する吸着工程の終了直前の状態にあり、水素リッチガス供給路5からの水素リッチガスは、第1水素精製塔1と第4水素精製塔4に分流して供給され、両水素精製塔1,4において吸着工程が実行される。
さらに、第1水素精製塔1における吸着工程が進行し、吸着工程が終了する直前になると、図3の(ロ)に示すように、第2水素精製塔2が吸着工程を開始し、そのとき、第3水素精製塔3は均圧入(2)工程にあり、第4水素精製塔4は均圧出(2)工程にある。
その後、第1水素精製塔1は、供給用電磁弁6aと排出用電磁弁8aの閉弁に伴って吸着工程を終了するとともに、均圧用電磁弁11a,11cの開弁に伴って、図3の(ハ)に示すように、第1水素精製塔1において均圧出(1)工程が実行され、第3水素精製塔3において均圧入(1)工程が実行されるとともに、第2水素精製塔2においては、依然として吸着工程が実行されている。
そのとき、第4水素精製塔4では、オフガス電磁弁13dの開弁に伴って洗浄工程の一態様である減圧(1)工程が実行される。すなわち、減圧下において吸着剤に吸着された不純物が脱離されて取り除かれ、その不純物を含むオフガスがオフガス分岐路12dとオフガス排出路12を通ってオフガスタンク14に貯蔵される。
その後、第1水素精製塔1においては、均圧用電磁弁11aの閉弁に伴って休止工程が実行され、そして、均圧用電磁弁11a,11dの開弁に伴って、第1水素精製塔1において均圧出(2)工程が実行され、第4水素精製塔4において均圧入(2)工程が実行される。この第1水素精製塔1における均圧出(2)工程の後半においては、図3の(ニ)に示すように、第2と第3水素精製塔2,3において吸着工程が実行される。
その後、第1水素精製塔1では、図3の(ホ)に示すように、オフガス電磁弁13aの開弁に伴って洗浄工程の一態様である減圧(1)工程が実行され、引き続いて洗浄工程の一態様である減圧(2)工程も実行されて、減圧下において吸着剤に吸着された不純物が脱離されて取り除かれ、その不純物を含むオフガスがオフガス分岐路12aとオフガス排出路12を通ってオフガスタンク14に貯蔵される。
その後、第1水素精製塔1においては、水素貯蔵タンク9内の高純度水素または吸着工程にある第3水素精製塔3からの高純度水素が供給されて、図3の(ヘ)に示すように、減圧下において吸着剤に吸着された不純物を脱離させて高純度水素で洗浄する洗浄工程が実行され、その洗浄工程の実行により発生したオフガスがオフガスタンク14に貯蔵される。
そのとき、第2水素精製塔2は休止工程にあり、第3水素精製塔3は吸着工程にあり、第4水素精製塔4においては、排出用電磁弁8dが開弁されて第3水素精製塔3からの高純度水素が供給される昇圧工程が実行される。
そして、各水素精製塔1,2,3,4において、このような各工程が繰り返し実行されて、水素リッチガスから高純度水素が連続的に製造され、オフガスタンク14に貯蔵されたオフガスは、必要に応じて燃料などに供される。
〔別実施形態〕
先の実施形態では、合計4つの水素精製塔1,2,3,4を備えた水素製造装置を例示して説明したが、水素精製塔の個数は任意であり、本発明による運転方向と装置は、2つ以上の水素精製塔を備えた水素製造装置において適用可能である。
さらに、先の実施形態では、ひとつの水素精製塔における吸着工程が終了する前に、他のひとつの水素精製塔における吸着工程が開始するように運転制御する例を示したが、例えば、ひとつの水素精製塔における吸着工程が終了する前に、他の2つ以上の水素精製塔における吸着工程が開始するように運転制御したり、逆に、2つ以上の水素精製塔における吸着工程が終了する前に、他のひとつの水素精製塔における吸着工程が開始するように運転制御することもできる。
また、制御手段15が水素製造装置の作動を自動的に制御するように構成した例を示したが、本発明による運転方法に関しては、手動操作によって実施することも可能である。
水素製造装置の全体を示す概略構成図 水素製造装置の運転状態を示す工程図 水素製造装置の運転状態を示す説明図 水素精製塔における不純物の吸着状態を示す説明図
符号の説明
1〜5 水素精製塔
5 水素リッチガス供給路
15 制御手段

Claims (2)

  1. 吸着剤を収容する複数の水素精製塔が水素リッチガス供給路に並列に接続され、各水素精製塔において、加圧下で前記吸着剤に水素リッチガス中の不純物を吸着させて高純度水素を精製して回収する吸着工程と、減圧下で前記吸着剤に吸着された不純物を取り除く洗浄工程を繰り返して水素リッチガスから高純度水素を連続的に製造する水素製造装置の運転方法であって、
    前記複数の水素精製塔において、一部の水素精製塔における前記吸着工程が終了する前に、他の昇圧完了済みの水素精製塔における前記吸着工程が開始するように運転する水素製造装置の運転方法。
  2. 吸着剤を収容する複数の水素精製塔と、その複数の水素精製塔に並列に接続される水素リッチガス供給路を備え、前記複数の水素精製塔における作動を制御する制御手段が、各水素精製塔において、加圧下で前記吸着剤に水素リッチガス中の不純物を吸着させて高純度水素を精製して回収する吸着工程と、減圧下で前記吸着剤に吸着された不純物を取り除く洗浄工程を繰り返して水素リッチガスから高純度水素を連続的に製造するように制御する水素製造装置であって、
    前記制御手段が、前記複数の水素精製塔において、一部の水素精製塔における前記吸着工程が終了する前に、他の昇圧完了済みの水素精製塔における前記吸着工程が開始するように制御する水素製造装置。
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