JP4849469B2 - 接続頭部と曲げ部を有する高圧用燃料噴射管の製造方法 - Google Patents

接続頭部と曲げ部を有する高圧用燃料噴射管の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ディーゼル内燃機関のコモンレールによる蓄圧式燃料噴射システム等に使用される高圧用燃料噴射管(以下「噴射管」と略称する。)の製造方法に関する。
従来、この種の噴射管としては、図13に例示するように、比較的細径からなる厚肉鋼管21の接続端部に、球面状のシート面23と、該シート面23から軸芯方向に間隔をおいて設けた環状フランジ部25と、前記シート面23に連なって前記環状フランジ部25まで先端に向って先細りとなる円弧面24とから形成された接続頭部22を有し、かつ曲げ加工部(屈曲部分)26を有するものが知られている(特許文献1の図4参照)。この種の接続頭部22は、外方からのパンチ部材による軸芯方向への押圧による挫屈加工によって成形されるのに関連して、該押圧による挫屈加工に伴う周壁の外側への拡がりによって、該頭部内周面にポケット(環状凹部)27を生ぜしめて構成され、かかる状態で使用に供されてきたが、ポケット部の形成に伴う内径の大径化とそのポケットの谷部に発生する亀裂により内周面の応力が上昇、並びに配設使用時の高圧流体に起因して該ポケット部付近に発生するキャビテーションエロージョンにより、該接続頭部にポケットを起点に径方向の亀裂が放射状に生じたり、ポケットの周囲に円周方向の亀裂が生じるという問題が危惧された。すなわち、従来の噴射管は、焼鈍された鋼管端末をプレス成形して接続頭部形状としているため、ポケット部周辺の硬さが加工前より10〜20%程度アップしていること、また、ポケット内周面の残留応力(歪み)の分布等が要因となってキャビテーションエロージョンの発生状況にばらつきが生じる。そして、この噴射管の硬さ、端末形状によって、ポケット部の亀裂の進展速さによって破壊に差異が生じることが危惧される。
かかる対策として、本出願人は、例えば比較的細径からなる厚肉鋼管の接続端部に、球面状のシート面と、該シート面から軸芯方向に間隔をおいて設けた環状フランジ部と、前記シート面に連なって前記環状フランジ部まで先端に向って先細りとなる円錐面とから形成された接続頭部を有する噴射管において、前記円錐面の一部に深さの浅い環状の湾曲凹溝を設けることによって、該接続頭部の成形に伴って生ずる該頭部内側のポケットを深さが浅くかつなだらかとする方法(特許文献1の図1参照)や、外側周面を相手座部への截頭円錐状、もしくは截頭円弧状のシート面とする接続頭部の成形に伴って生ずる該頭部内側のポケットを、該頭部内側に嵌着する金属製円筒部材で被覆する方法(特許文献2)等を先に提案した。
また、この種の噴射管における曲げ加工部(屈曲部分)については、当該噴射管の耐久性(内圧繰返し強度)に影響を与える管体の偏平現象が問題となる。従来のディーゼルエンジン用噴射管は、外径がφ6、φ6.35の場合、内径φ2が主流でφ1.4〜φ2.2(肉厚/外径の比率=0.32以上)のものが使用されているため、CNCベンダー等の曲げ加工手段により曲げ加工を施しても曲げ加工部(屈曲部分)に発生する偏平現象は極めて少なく、また、従来のエンジンの管内圧は直接噴射式燃料噴射システムでも最高120MPa程度である為、前記偏平現象が当該噴射管の耐久性(内圧繰返し強度)に影響を与えることはなく、さらに従来のディーゼルエンジン用噴射管は、コモンレールシステム用噴射管と比べると長さが長いため、曲げRは大きなR(標準曲げR:外径×3.0以上)を使用することができた。
特開2003−336560号公報 特開2005−180218号公報
ところで、最近のディーゼルエンジンのコモンレールによる蓄圧式燃料噴射システムに使用される噴射管は、排ガス規制等から使用時の圧力が200MPa以上に高くなる傾向にあり、このような超高圧に耐えられる内圧疲労強度が要求されている。
従来、噴射管の接続頭部については、前記したごとく、配設使用時の高圧流体に起因して該ポケット部付近に発生するキャビテーションエロージョンによる前記亀裂の発生を防止する手段として、頭部内側のポケットを深さが浅くかつなだらかとする方法や、頭部内側のポケットを金属製円筒部材で被覆する方法等が提案されているが、200MPa以上の内圧疲労強度を確保するためには技術的には必ずしも十分とは言えなかった。
また、この燃料噴射システムに使用される噴射管は、以下に記載する理由により、前記した偏平部分の破損の危険性が増大している。
すなわち、最近の蓄圧式燃料噴射システムの高圧仕様に伴い、燃料噴射による脈動が大きくなり、その影響は多数回噴射を行う場合、プレ噴射による圧力変動がメイン噴射時の圧力すなわち噴射量に影響を与える時の弊害が大きいため、この脈動を減少させるためには管内径を大きくする必要が生じ、前記した肉厚/外径の比率が小さくなる傾向にあること、コモンレールシステムの場合は、ポンプとノズルの間にコモンレールが入るために噴射管自体の長さが短くなり、かつ狭い場所(空間)での配管が必要となったことにより、曲げ加工部(屈曲部分)の曲げRが小さくなり、内径偏平率が10%を超えるようになったこと、内圧による繰返し疲労に起因する破壊を防止するために噴射管の内表面精度をより高める必要があること(内面疵を小さくすること)等である。
本発明は、従来のこのような現状に鑑みてなされたもので、200MPa以上の内圧疲労強度を確保し得る接続頭部と、曲げ加工部における疲労破壊を可及的に防止し得る、コモンレールシステムに使用される接続頭部と曲げ部を有する噴射管の製造方法を提案することを目的とするものである。
本発明に係る接続頭部と曲げ部を有する噴射管は、比較的細径からなる厚肉細径鋼管の接続端部に、球面状のシート面と、該シート面から軸芯方向に間隔をおいて形成された環状フランジ部と、前記シート面に連なって前記環状フランジ部まで先端に向かって先細りとなる円錐面を持つ接続頭部を有し、前記環状フランジ部の受圧面と係合する締付ナットを組込んでなる、曲げ部を有する噴射管において、内径偏平率が6%以下の曲げ部を有し、かつ硬さがHv285以上、引張強度が900MPa以上であることを特徴とするものである。
また、本発明は、前記接続頭部の内周面が当該鋼管の内周面の径に近い管軸方向断面の輪郭が略フラットな円筒状面を有することを好ましい態様とするものである。
さらに、本発明の噴射管は、前記記環状フランジ部の首下部にワッシャーを圧嵌もしくは遊嵌させて組込んで構成したり、さらに、少なくとも前記シート面に軟質層を設けるとより効果的であり、かつその軟質層は脱炭層であることが好ましい。この場合、前記軟質層は加熱による軟化層であること、または前記軟質層にさらに軟質金属が被着されていることが好ましい。
また、本発明に係る接続頭部と曲げ部を有する噴射管の製造方法は、最終伸管後の厚肉細径鋼管を規定の製品長さに切断し、次いで該所定長さの厚肉細径鋼管の端部に、予め先端側に接続頭部の加工代を残してチャックに保持した状態で押型を備えたパンチ部材による軸方向先端部外方からプレス成形して、端部に外側周面を球面となすシート面を有する接続頭部と、該頭部に連なる拡径した環状フランジ部および前記シート面に連なって前記環状フランジ部まで先端に向かって先細りとなる円錐面を形成せしめた後、熱処理工程にて焼き入れ・焼戻し処理を施し伸びが5%以上の管材を得、該管材に曲げ加工を施して内径偏平率が6%以下の曲げ部を形成することを特徴とする、接続頭部と曲げ部を有する噴射管の製造方法。
さらに、本発明方法は、前記同じ手法で厚肉細径鋼管の端部に接続頭部を形成せしめた後、当該鋼管に曲げ加工を施して内径偏平率が6%以下の曲げ部を形成し、しかる後熱処理工程にて焼き入れ・焼戻し処理を施してもよい。
また、本発明法では、前記厚肉細径鋼管の熱処理工程における熱処理雰囲気ガス中のO2、CO、CO2 、H2 、湿度などを調整して脱炭雰囲気とすることにより、前記脱炭層を設けることができる。またその場合、前記厚肉細径鋼管の接続頭部の少なくともシート面が形成される部位を露出させ、他の外周表面をマスキングして熱処理工程を実施することが好ましいが、マスキングしないで熱処理工程を実施してもよい。
さらにまた、本発明方法は、前記所定長さの厚肉細径鋼管の端部に、予め先端側に接続頭部の加工代を残して短寸筒状のワッシャー部材を組込み、しかる後に端部付近をチャックに保持した状態でプレス成形し、かつ前記接続頭部の形成に伴って、該直管部分に位置して前記ワッシャー部材を圧嵌して嵌着せしめる方法と、所定長さの厚肉細径鋼管に前記ワッシャー部材を遊嵌せしめかつ該ワッシャー部材をチャックより退避させた状態で前記プレス成形を施して接続頭部を成形し、しかる後に該頭部首下部に前記短寸筒状のワッシャー部材を移動させて圧嵌もしくは遊嵌して嵌着せしめてもよい。
なお、本発明法では、少なくとも前記シート面に軟質層を設ける手段として、以下に記載する方法を採用することができる。
前記接続頭部の形成後、該接続頭部のシート面もしくはシート面より先端部分と首下部付近に配設した電極間に通電しシート面を加熱する方法、前記電極のシート面の接触面に高電気抵抗材料製チップを設けてシート面を加熱する方法、前記シート面の加熱前もしくは加熱後、加熱電流より小さな電流をさらに継続して通電してシート面付近を予熱もしくは徐冷する方法、前記シート面の加熱前もしくは加熱後、炉中にて予熱もしくは徐冷する方法、接続頭部のシート面を高周波誘導加熱方式により加熱する方法等を用いることができる。さらに、前記シート面に近接して電気ヒーターを設け、該ヒーターに通電して発熱させて該ヒーター表面からの輻射熱により前記シート面を加熱し当該シート面表層を軟化させる方法、前記シート面に高温に加熱した昇温パンチ部材を接触・押圧して該昇温パンチ部材の熱をシート面に伝熱させて該シート面の表面層を軟化させる方法、前記シート面を火炎により直接加熱して該シート面の表面層を軟化させる方法、前記シート面を溶融した軟質金属またはガラスに浸漬し、その後シート面を仕上げ加工する方法等を用いることもできる。
本発明に係る頭部内周面が当該鋼管の内周面に近いフラットな面を有する接続頭部を設けた噴射管は、硬さがHv285以上、引張強度が900MPa以上であるから、該頭部成形時におけるポケット部の谷部の亀裂の発生、および該頭部内での流体圧によるキャビテーションエロージョンによる亀裂の発生の憂い、並びに前記頭部成形時における該ポケットの形成に伴う内径の大径化による内表面の引張応力の上昇現象をなくし、かつ該頭部内周面が疲労破壊の起点となる可能性を大幅に減少させることができる上、耐内圧疲労特性のみならず耐振動曲げ疲労特性にも優れる。このため、仮に頭部の内側に小さなポケット(環状凹部)が存在したとしても、エンジン等の噴射圧力の変動により前記ポケット部に亀裂等が発生するおそれはほとんどない。また、少なくともシート面に軟質層を設けることにより、コモンレール等への締結時に相手部品継ぎ手部のシール面(シート面)を塑性変形させることが皆無となり、高いシール性が得られる。
さらに、本発明に係る噴射管は、曲げ加工部の偏平率が6%以下と小さいので、当該曲げ部が内周面から疲労破壊することがなく、偏平部分の破損の危険性が大幅に少なくなる。
また、本発明に係る噴射管の製造方法によれば、管端末成形後、焼入れ・焼戻し処理を施すことにより、管端末および直管部等が前記熱処理によって残留応力が除去され、かつ強度が高くなるので、接続頭部の形状およびポケットの大きさは適宜選択することができる上、焼入れ・焼戻し処理前で伸びの大きい状態でのプレス成形においてポケットに有害な亀裂の発生がない形状が選定できる。さらに好ましくは、前記したポケット(環状凹部)がほとんど存在しないように接続頭部を成形することにより、該頭部内周面からの疲労破壊を大幅に減少させることが可能となり、さらに曲げ加工部における疲労破壊を可及的に防止することが可能となるので、200MPa以上の内圧疲労強度を有する噴射管を得ることができる。
さらに、本発明の接続頭部はシート面の表層に脱炭雰囲気中の熱処理により形成された脱炭による軟質層又は加熱により形成された焼鈍による軟質層が存在するので締結時に相手部品(コモンレール、インジェクター、高圧ポンプ)継手部の受圧座面の塑性変形を防止することができ、高いシール性が得られる。また、焼入れや焼戻しの熱処理時の雰囲気を脱炭雰囲気とすることにより接続頭部のシート面の表層に脱炭層としての軟質層を得ることができ、さらに接続頭部を通電などにより直接もしくは間接に加熱することによりシート面に加熱による軟質層を得ることができるので、前記と同様、相手部品継手部の受圧座面の塑性変形を防止することができ、高いシール性が得られる。
本発明における厚肉細径鋼管の鋼種としては、特に限定するものではないが、高圧配管用炭素鋼鋼管が好適である。また、この厚肉細径鋼管のサイズとしては、管径Dが6mm乃至10mm、肉厚tが1.25mm乃至3.5mm程度である。
本発明において、曲げ部の内径偏平率を6%以下としたのは、6%を超えると偏平部の内周面が疲労破壊を生じる危惧があるためである。
さらに、該噴射管の硬さをHv285以上、引張強度を900MPa以上としたのは、硬さがHv285未満あるいは引張強度が900MPa未満では耐内圧疲労性が確保できないためである。さらにまた、熱処理工程にて焼き入れ・焼戻し処理を施し伸びが5%以上の管材を得ることとしたのは、その後の曲げ加工を施すのに5%以上の伸びを必要とするからである。
本発明に係る噴射管の接続頭部の成形方法は、規定の製品長さに切断された厚肉細径鋼管の端部に、予め先端側に接続頭部の加工代を残して短寸筒状のワッシャー部材を組込み、しかる後に端部付近をチャックに保持した状態で押型を備えたパンチ部材による軸方向先端部外方からプレス成形して、端部に外側周面を球面となすシート面を有する接続頭部と、該頭部に連なる拡径した環状フランジ部を形成せしめると共に、該形成に伴って、該直管部分に位置して前記ワッシャー部材を圧嵌せしめる方法を用いることができる。その際、頭部内周面にポケットが存在しない接続頭部を形成するために、所望の加工代を設けて接続頭部端末から前記環状フランジ部背面までの軸方向距離が0.38D〜0.6D(t/Dが0.3未満の場合)または0.38D〜0.7D(t/Dが0.3以上の場合)、環状フランジ部外径が1.2D〜1.4D、シート面の球体半径が0.45D〜0.65Dに対応する形状のパンチ部材を用いるのが好ましい。
次に、上記端末加工および部品装着後、または曲げ加工後に行う焼き入れ・焼戻しは常法により実施する。具体的には、例えば、連続炉またはバッチ炉にて950℃の温度に10分保持後、流体による焼入れを行う方法を用いることができる。ここで、流体による焼入れは、ワッシャーやナット等の部品の焼割れを防止するために油による焼入れが望ましいが、水焼き入れでもよいことはいうまでもない。焼戻しは、例えば600℃の温度に20分保持後、徐冷する方法により行うことができる。
また、少なくとも前記シート面に軟質層を設ける方法としては、例えば誘導加熱方式により局部的に軟化焼鈍する方法が考えられるが、誘導加熱方式の場合は温度管理を適正に行なうことが難しい上、誘導加熱時間が短いためシート部に焼鈍むらが発生しやすいという欠点がある。このため本発明では誘導加熱方式に替えて、通電加熱方式、電熱ヒーターの輻射熱による間接加熱方式、高温パンチ部材による直接加熱方式、火炎による直火加熱方式、高温の軟質溶融金属または溶融ガラスへの浸漬方式等によりシート面を加熱する方法を用いる。
通電加熱方式としては、接続頭部のシート面もしくはシート面より先端部分と該頭部首下部付近に配設した電極間に通電してシート面の表層を加熱し、好ましくはその前に予熱もしくはその後徐冷して軟化焼鈍する方法を採用することができる。その際、シート面側電極のシート面との接触部に高電気抵抗材料製チップを取付けてシート面の表面を加熱すると、高電気抵抗材料製チップが集中的に発熱するので当接部を選択的に軟化することができ、より効果的に軟化焼鈍することができる。ここで、高電気抵抗材料としては、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル−クロム合金、シリコン−カーバイド等を用いることができる。電熱ヒーター表面からの輻射熱による間接加熱方式、好ましくはシート面の形状にほぼ沿うように形成した電熱ヒーター表面からの輻射熱により、好ましくは噴射管を回転させながらシート面を加熱して軟化焼鈍する方法を採用することができる。高温パンチ部材による直接加熱方式は、例えばプレス成形装置と同様の装置に昇温パンチ部材を退避位置で高温に加熱しておき、その高温に加熱された昇温パンチ部材を前進動させてシート面に当接させて該シート面を加熱軟化させる方式を採用することができる。火炎による直火加熱方式は、例えば可燃性ガス等によるバーナーフレームで好ましくは噴射管を回転させながら直接シート面を加熱して軟化焼鈍する方法を採用することができる。浸漬方式は、高温液体にシート面部を浸漬して該シート面を加熱軟化する方式であり、溶融状態の金属(Sn、Al、Bi、Sb、およびこれらの基合金等)、ガラス等の高温液体中に接続頭部のシート面部を浸漬して軟化焼鈍する方法を採用することができる。この方式の場合、シート面部に付着した溶融金属は切削あるいはエッチング等により除去することができるが、僅かに残留させてこれをプレスで押圧してシート面表層として使用することも可能である。また、シート面に付着したガラスは、焼入れ温度以下まで冷却されたことを確認後、水冷により破砕して除去することができる。
なお、上記した各種加熱軟化方式によるシート面の軟化焼鈍は700〜800℃程度で行なわれることが好ましい。また、軟化焼鈍前に予熱したり軟化焼鈍後に徐冷することによりシート面の急冷による硬さの軟化不足が妨げられてよい。
噴射管の曲げ加工方法は、特に限定するものではないが、曲げロール、クランプ治具および反力受具等の曲げ加工治具で噴射管を略真円状に保持した状態で曲げ加工を施す方法、前記曲げ加工治具により噴射管を保持した状態で、当該噴射管の曲げ部に相当する部分を曲げ平面に対し偏平部の短軸が垂直な方向になるように偏平させ、その偏平させた状態で曲げ加工を施す方法、噴射管に曲げ加工を施した後その曲げ加工部の偏平部を当該偏平が小さくなるように矯正する方法、前記噴射管の曲げ部に相当する部分を曲げ加工によって生ずる偏平方向とは逆方向に予め押圧偏平化した後、曲げ加工を施す方法、曲げ加工を施した後、該曲げ加工によって生じた偏平部に対し、偏平が小さくなるように当該偏平部の長軸方向から潰し加工を施す方法等を採用することができる。なお、噴射管を曲げ加工する際には、予め管体内に媒体を充填して曲げ加工を施し、曲げ加工後前記媒体を除去する方法を採用することもできる。
前記した曲げ加工方法を実施するための装置としては、例えば上下二分割構造の曲げロール、この曲げロールの周面に噴射管を押圧しながら、この噴射管を介してロール周面上を所定角度回動して当該噴射管を順次曲げ加工する上下二分割構造のクランプ治具および反力受具を有する曲げ手段を備えた装置を用いることができる。
[実施例]
図1は本発明に係る噴射管の一実施例を示す平面図、図2は同上噴射管の接続頭部を示す縦断側面図、図3は同上噴射管の接続頭部の成形方法の一例を示す縦断面による説明図、図4は同じく接続頭部の成形方法の他の例を示す縦断面による説明図、図5は被加工管である噴射管の曲げ部を平型で押圧して偏平化する方法の一例を示す概略説明図で、(a)は押圧前の状態を示す側面図、(b)は同上縦断正面図、図6〜図12は噴射管の接続頭部のシート面を加熱軟化する方法を例示したもので、図6および図7は通電加熱方式、図8は高周波誘導加熱方式、図9は電熱ヒーター表面からの輻射熱による間接加熱方式、図10は昇温パンチ部材による直接加熱方式、図11は火炎による直火加熱方式、図12は高温の溶融金属または溶融ガラスへの浸漬方式をそれぞれ示す概略図であり、1は噴射管、2は接続頭部、3曲げ部、4はワッシャー、5は締付ナット、6−1は下型、6−2は上型、7、8は電極、9は高電気抵抗材料製チップ、10は電熱ヒーター、11は昇温パンチ部材、12はバーナー、13は渦巻状電極、14は高温の溶融金属または溶融ガラス等の高温液体、15、15’はチャック、16はパンチ部材である。
本発明に係る噴射管1は、厚肉細径鋼管1−1の接続端部に、外側周面を相手座部への球面状のシート面2−1と、該シート面2−1から軸芯方向に間隔をおいて設けた環状フランジ部2−3と、前記シート面2−1に連なって前記環状フランジ部2−3まで先端に向って先細りとなる円錐面2−2とから構成され、かつ頭部内周面が当該鋼管の内周面の径に近い管軸方向断面の輪郭が略フラットな円筒状面を有する接続頭部2を有している。なお、前記シート面3の軟質層(脱炭層)は材質や熱処理に応じて設ける。
上記接続頭部において、当該厚肉細径鋼管の外径をDとした場合、接続頭部端末から前記環状フランジ部2−3背面までの軸方向距離L1、前記シート面2−1の球体半径R、前記環状フランジ部2−3外径は、特に限定するものではないが、軸方向距離L1はt/Dが0.3未満であれば0.38D〜0.6D、t/Dが0.3以上であれば0.38D〜0.7D、シート面2−1の球体半径Rは0.45D〜0.65D、環状フランジ部2−3外径D1は1.2D〜1.4Dが好ましい。すなわち、接続頭部端末から前記環状フランジ部2−3背面までの軸方向距離L1をt/Dが0.3未満の場合0.38D〜0.6Dとしたのは、0.38D未満では頭部を形成できず、他方、0.6Dを超えると、ポケットが発生するとともに該ポケットが次第に大きくなるためであり、また、軸方向距離L1をt/Dが0.3以上の場合0.38D〜0.7Dとしたのは、0.38D未満では前記と同様頭部を形成できず、他方、0.7Dを超えるとポケットが発生すると共に該ポケットが次第に大きくなるためである。また、前記シート面の球体半径Rを0.45D〜0.65Dとしたのは、0.45D未満では頭部を形成できず、他方、0.65Dを超えると、ポケットが発生するとともに該ポケットが次第に大きくなるためである。さらに、前記環状フランジ部外径D1を1.2D〜1.4Dとしたのは、1.2D未満では相手部品と締結する際、高い軸力を伝達するめの広い押圧面積か確保できず、他方、1.4Dを超えるとポケットが発生するとともに該ポケットが次第に大きくなるためである。
この噴射管1を製造する方法としては、前記したごとく端末加工を施した後、焼き入れ・焼戻し処理し、その後に曲げ加工を施す方法と、端末加工を施した後、先に曲げ加工を施し、その後に焼き入れ・焼戻し処理を施す方法の二通りがある。ここでは、前者の製造方法について説明する。
この噴射管を製造する場合は、まず当該素管を規定の製品長さに切断し、端末加工および部品の装着を施す。端末加工は、例えば図3に示す接続頭部成形方法を採用することができる。すなわち、成形に際しては、規定の製品長さに切断されかつ開口端部を面取り加工された厚肉細径鋼管1−1の端部に、予め先端側に接続頭部の頭部加工代Lを残して短寸筒状のワッシャー(スリーブワッシャー)4を組込み、しかる後当該鋼管1−1をチャック15に保持した状態で当該鋼管1−1の先端部をパンチ部材16により軸芯方向へ押圧する。この押圧により厚肉鋼管1−1の頭部加工代Lの部分が塑性流動し、厚肉鋼管1−1の先端部に、外側周面を相手座部への球面状のシート面2−1と、該シート面2−1から軸芯方向に間隔をおいて設けた環状フランジ部2−3と、前記シート面に連なって前記環状フランジ部2−3まで先端に向って先細りとなる円錐面2−2とから構成され、かつ頭部内周面が当該鋼管の内周面に近いフラットな面を有する接続頭部2が得られる。この方法の場合は、成形加工の際、予め先端側に接続頭部の加工代Lを残してワッシャー4を組込み、しかる後に端部付近をチャック15に保持した状態でプレス成形するので、前記ワッシャー4は頭部首下部に圧嵌されるが、所定長さの厚肉細径鋼管1−1にワッシャー4をチャック15から離して当該鋼管に遊嵌せしめた状態で前記プレス成形を施して接続頭部2を成形し、しかる後に該頭部首下部に前記短寸筒状のワッシャー4を移動させて圧嵌もしくは遊嵌して嵌着せしめてもよい。このワッシャー4を遊嵌せしめた状態で接続頭部2を成形する方法としては、図4にその一例を示すように規定の製品長さに切断されかつ開口端部を面取り加工された厚肉細径鋼管1−1に前記ワッシャー4をチャック15から離して当該鋼管に遊嵌せしめた状態で当該鋼管を接続頭部の頭部加工代Lを残してチャック15’に保持し、この状態で当該鋼管1−1の先端部をパンチ部材16により軸芯方向へ押圧する。この押圧により前記と同様、厚肉鋼管1−1の頭部加工代Lの部分が塑性流動し、厚肉鋼管1−1の先端部に、外側周面を相手座部への球面状のシート面2−1と、該シート面2−1から軸芯方向に間隔をおいて設けた環状フランジ部2−3と、前記シート面に連なって前記環状フランジ部2−3まで先端に向って先細りとなる円錐面2−2とから構成され、かつ頭部内周面が当該鋼管の内周面に近いフラットな面を有する接続頭部2が得られる。この方法の場合は、プレス成形後にワッシャー4を頭部首下部に移動させて嵌着する。
なお、接続頭部2の成形に用いるパンチ部材16としては、球面状のシート面2−1、円錐面2−2、環状フランジ部2−3、環状フランジ部外径D1、接続頭部端末から環状フランジ部背面までの距離L1およびシート面2−1の球体半径Rのそれぞれに対応する球面16−1、円錐面16−2、フラット部16−3および芯金16−4を形成したものを用いることはいうまでもない。
前記端末加工および部品の装着が完了すると、前記した焼き入れ・焼戻し処理を施す。すなわち、例えば連続炉またはバッチ炉にて950℃の温度に10分保持後、油による焼入れを行う方法を用いる。また、焼戻しは、例えば600℃の温度に20分保持後、徐冷する方法により行う。なお、前記焼入れが水による焼入れであってもよいことはいうまでもない。
前記焼き入れ・焼戻し処理後に行う管の曲げ加工では、前記したごとく噴射管1の曲げ部3の内径偏平率Prを6%以下とする。この内径偏平率Prは本願出願人が先に提案した特願2004−362068に記載の下記式1で定義される値である。
[式1]
Pr=[(MaxhーMinh)/ h ]×100(%)
Maxh:曲げ加工後の管の最大内径(mm)
Minh:曲げ加工後の管の最小内径(mm)
h :曲げ加工前の管の平均内径(mm)
本発明において、噴射管1の曲げ部3の内径偏平率Prを6%以下としたのは、以下に記載する理由による。
すなわち、燃料噴射管の高圧繰返し試験を行うと、曲げ部3の曲げ平面に垂直な管内(中立軸付近)壁を起点に疲労破壊が発生する。この要因としては、管の曲げ加工により曲げ部は加工硬化されるが、特に中立軸付近では他の部位に比べ変形が少なく硬化が少ないため、疲労限界の向上が乏しく、また、断面が曲げ加工により潰れるため、中立軸付近が応力集中し易い形になることが考えられる。このため、曲げ加工品のFEM解析を行うと、曲げ部3の内径偏平率Prが6%を超える7%の潰れ部分では最大40%アップの応力増加となっていることが判明した。かかる知見より、本発明では曲げ部3の内径偏平率Prを6%以下と規定した。
また、曲げ加工治具で曲げ加工を施した後、図5に示す装置により被加工管1−1を平型で押圧する場合は、加圧面が平坦面の下型6−1の上面に被加工管1−1を載置し(図a)、同じく加圧面が平坦面の上型6−2により被加工管1−1を押圧し偏平させる(図b)。また、この装置による場合は、下型6−1、上型6−2を離間した状態で当該両型を管軸方向に移動させて再度押圧して被加工管1−1を偏平させる方法(型側を移動させる方式)を、あるいは下型6−1、上型6−2を離間した状態で被加工管1−1側を移動させて下型6−1および上型6−2を再度押圧して偏平させる方法(管側を移動させる方式)を採用することもできる。
次に、噴射管1の接続頭部2のシート面2−1に軟質層を設けるための方法を図6〜図12に基づいて説明する。
まず図6に示す方法は、通電加熱方式により噴射管1の接続頭部2のシート2−1面を加熱軟化する方法を例示したもので、図6(a)では接続頭部2のシート面2−1側に、図6(b)ではシート面2−1先端部分にカップ状電極7を、接続頭部2の首下部付近にチャック状電極8をそれぞれ配設する。この方法の場合は、より効果的にシート面を加熱するために、パイプ側のチャック状電極8の接触面積をシート面2−1側のカップ状電極7の接触面積より大きく、好ましくは2倍以上大きくしてシート面2−1以外の表面の軟化を防止する。そして、両電極7、8間に通電してシート面2−1の表層を軟化温度(700〜800℃程度)に加熱した後、通電電流を小さくしながら継続して通電もしくは炉中に保持することにより徐冷して急冷による硬化を防止する。このようにしてシート面2−1の表層を軟化させる。なお、通電もしくは炉中加熱により予熱して急冷されることによる硬化を防止してもよい。
図7に示す方法は、前記図6に示す通電加熱方式において、シート面2−1側(図7a)もしくはシート面の先端部分(図7b)とカップ状電極7のシート面との接触部に、例えばタングステン、モリブデン、ニッケル−クロム合金、シリコン−カーバイド等からなる高電気抵抗材料製チップ9を埋設し、前記と同様に両電極7、8間に通電してシート面2−1の表層を軟化温度(700〜800℃程度)に加熱してシート面2−1の表層を軟化させる方法である。この高電気抵抗材料製チップ9を用いた方法の場合は、両電極7、8間に通電すると高電気抵抗材料製チップ9が集中的に発熱するのでシート面の表面を選択的に軟化することができ、より効果的に軟化させることができる。なお、本方法においても前記図6と同様に予熱、徐冷が好ましい。
図8に示す方法は、前記通電加熱方式に替えて、高周波誘導加熱方式により噴射管1の接続頭部2のシート2−1面を加熱軟化する方法を例示したもので、この方法は接続頭部2の先端側に間隔wを有して渦巻状電極13を対向配置し、該渦巻状電極13を固定した状態で好ましくは噴射管1側を回転させて加熱周波数40KHz程度で接続頭部2の表層を軟化温度(700〜800℃程度)に加熱してシート面2−1の表層を軟化させる方法である。なお、この方法における前記間隔wは特に限定するものではないが、5mm程度でよい。なお、本方法においても前記と同様に予熱、徐冷が好ましい。
図9に示す方法は、噴射管1の接続頭部2のシート面2−1を電熱ヒーター10の表面からの輻射熱により加熱軟化する方法を例示したもので、この方法はシート面2−1の形状に沿うように形成した皿状の電熱ヒーター10をシート面2−1を覆うように配設し、この電熱ヒーター10を固定した状態で好ましくは噴射管1側を回転させて電熱ヒーター10の表面からの輻射熱によりシート面2−1を軟化温度(700〜800℃程度)に加熱して軟化させる方法である。なお、本方法においても前記と同様に予熱、徐冷が好ましい。
図10に示す方法は、昇温パンチ部材11による直接加熱方式により噴射管1の接続頭部2のシート面2−1を加熱軟化する方法を例示したもので、この方法はは、例えばプレス成形装置と同様の装置の、耐熱耐食性を有する例えばタングステンカーバイド等よりなる昇温パンチ部材11を退避位置で高温に加熱しておき、その高温に加熱されたパンチ部材11を前進動させてシート面2−1に当接させて該シート面2−1を軟化温度(700〜800℃程度)に加熱して軟化させる方法である。この方法における昇温パンチ部材11の加熱手段としては、例えば通電方式による直接加熱方式、あるいは高周波誘導加熱炉や加熱炉のような加熱容器により加熱する間接加熱方式等を用いることができる。なお、本方法においても前記と同様に予熱、徐冷が好ましい。
図11に示す方法は、バーナー12の火炎により直接加熱する直火加熱方式により噴射管1の接続頭部2のシート面2−1を加熱軟化する方法を例示したもので、この方法は噴射管1の接続頭部2の外周に配置したバーナー12を固定した状態で好ましくは噴射管1側を回転させてバーナー12の火炎によりシート面2−1を軟化温度(700〜800℃程度)に加熱して軟化させる方法である。なお、噴射管1の接続頭部2の外周に複数のバーナー12を等間隔に配置した場合には、噴射管1を固定した状態で加熱してもよい。なお、本方法においても前記と同様に予熱、徐冷が好ましい。
図12に示す方法は、高温の溶融金属または溶融ガラスへの浸漬方式により噴射管1の接続頭部2のシート面2−1を加熱軟化する方法を例示したもので、700〜800℃程度の軟化温度に保持された高温の溶融金属または溶融ガラス13中に噴射管1の接続頭部2のシート面2−1を浸漬して当該部位を加熱して軟化させる方法である。溶融金属としては前記したごとく、Sn,Al、Bi、Sb、およびこれらの基合金等である。
なお、本発明では、必要に応じてオートフレッテージ処理やヒートソーク(低温焼鈍処理)を行うこともある。
本発明に係る頭部内周面が当該鋼管の内周面に近いフラットな面を有する接続頭部を設けた高圧用燃料噴射管は、硬さがHv285以上、引張強度が900MPa以上、伸びが5%以上であるから、該頭部成形時におけるポケット部の谷部の亀裂の発生、および該頭部内での流体圧によるキャビテーションエロージョンによる亀裂の発生の憂い、並びに前記頭部成形時における該ポケットの形成に伴う内径の大径化による内表面の引張応力の上昇現象をなくし、かつ該頭部内周面が疲労破壊の起点となる可能性を大幅に減少させることができる上、耐内圧疲労特性のみならず耐振動曲げ疲労特性にも優れる。このため、仮に頭部の内側に小さなポケット(環状凹部)が存在したとしても、エンジン等の噴射圧力の変動により前記ポケット部に亀裂等が発生するおそれはほとんどない。また、少なくともシート面に軟質層を設けることにより、締結時にコモンレール等の相手部品継ぎ手部のシール面(シート面)を塑性変形させることが皆無となり、高いシール性が得られる。
さらに、本発明に係る噴射管は、曲げ加工部の内径偏平率が6%以下と小さいので、当該曲げ部が内周面から疲労破壊することがなく、偏平部分の破損の危険性が大幅に少なくなる。
また、本発明に係る噴射管の製造方法によれば、管端末成形後、焼入れ・焼戻し処理を施すことにより、管端末および直管部等が前記熱処理によって残留応力が除去され、かつ強度が高くなるので、接続頭部の形状およびポケットの大きさは適宜選択することができる上、プレス成形においてポケットに有害な亀裂の発生がない形状が選定できる。さらに好ましくは、前記したポケット(環状凹部)はほとんど存在しないように接続頭部を成形することにより、該頭部内周面からの疲労破壊を大幅に減少させることが可能となり、さらに曲げ加工部における疲労破壊を可及的に防止することが可能となるので、200MPa以上の内圧疲労強度を有する噴射管を得ることができる。
したがって、本発明は、ディーゼル内燃機関における燃料の供給路として配設多用される高圧用燃料噴射管に限らず、比較的細径からなる厚肉鋼管による接続頭部を有する各種の高圧金属配管にも適用可能である。
さらに、本発明の接続頭部はシート面の表層に脱炭雰囲気中の熱処理により形成された脱炭による軟質層又は加熱により形成された焼鈍による軟質層が存在するので、締結時に相手部品(コモンレール、インジェクター、高圧ポンプ)継手部の受圧座面の塑性変形を防止することができる。
また、焼入れや焼戻しの熱処理時の雰囲気を脱炭雰囲気とすることにより接続頭部のシート面の表層に脱炭層としての軟質層を得ることができ、さらに接続頭部を通電などにより直接もしくは間接に加熱することによりシート面に加熱による軟質層を得ることができる。
本発明に係る高圧用燃料噴射管の一実施例を示す平面図である。 同上高圧用燃料噴射管の接続頭部を示す縦断側面図である。 同上高圧用燃料噴射管の接続頭部の成形方法の一例を示す縦断面による説明図である。 同上高圧用燃料噴射管の接続頭部の成形方法の他の例を示す縦断面による説明図である。 被加工厚肉細径鋼管の曲げ部を平型で押圧して偏平化する方法の一例を示す概略説明図で、(a)は押圧前の状態を示す側面図、(b)は同上縦断正面図である。 本発明に係る高圧用燃料噴射管の接続頭部のシート面を通電加熱方式により軟化させる方法の一例を示す概略図であり、(a)はシート面を直接加熱する方法、(b)はシート面の先端部分を加熱する方法をそれぞれ示す。 同じく高圧用燃料噴射管の接続頭部のシート面を通電加熱方式により軟化させる方法の他の例を示す概略図であり、(a)はシート面を直接加熱する方法、(b)はシート面の先端部分を加熱する方法をそれぞれ示す。 同じく高圧用燃料噴射管の接続頭部のシート面を高周波誘導加熱方式により軟化させる方法の一例を示す概略図である。 同じく高圧用燃料噴射管の接続頭部のシート面を電熱ヒーター表面からの輻射熱による間接加熱方式により軟化させる方法の一例を示す概略図である。 同じく高圧用燃料噴射管の接続頭部のシート面を昇温パンチ部材による直接加熱方式により軟化させる方法の一例を示す概略図である。 同じく高圧用燃料噴射管の接続頭部のシート面を火炎による直火加熱方式により軟化させる方法の一例を示す概略図である。 同じく高圧用燃料噴射管の接続頭部のシート面を高温の溶融金属または溶融ガラスへの浸漬方式により軟化させる方法の一例を示す概略図である。 本発明の対象とする従来の高圧用燃料噴射管の一例を示す縦断側面図である。
符号の説明
1 高圧用燃料噴射管
2 接続頭部
3 曲げ部
4 ワッシャー
5 締付ナット
6−1 下型
6−2 上型
7 カップ状電極
8 チャック状電極
9 高電気抵抗材料製チップ
10 電熱ヒーター
11 昇温パンチ部材
12 バーナー
13 渦巻状電極
14 高温の溶融金属または溶融ガラス等の高温液体
15、15’ チャック
16 パンチ部材

Claims (10)

  1. 内径偏平率が6%以下の曲げ部を有し、かつ硬さがHv285以上、引張強度が900MPa以上の高圧燃料噴射管の製造方法であって、最終伸管後の厚肉細径鋼管を規定の製品長さに切断し、次いで該所定長さの厚肉細径鋼管の端部に、予め先端側に接続頭部の加工代を残してチャックに保持した状態で押型を備えたパンチ部材による軸方向先端部外方からプレス成形して、端部に外側周面を球面となすシート面を有する接続頭部と、該頭部に連なる拡径した環状フランジ部および前記シート面に連なって前記環状フランジ部まで先端に向かって先細りとなる円錐面を形成せしめた後、熱処理工程にて焼き入れ・焼戻し処理を施し伸びが5%以上の管材を得、該管材に曲げ加工を施して内径偏平率が6%以下の曲げ部を形成することを特徴とする、接続頭部と曲げ部を有する高圧用燃料噴射管の製造方法。
  2. 内径偏平率が6%以下の曲げ部を有し、かつ硬さがHv285以上、引張強度が900MPa以上の高圧燃料噴射管の製造方法であって、最終伸管後の厚肉細径鋼管を規定の製品長さに切断し、次いで該所定長さの厚肉細径鋼管の端部に、予め先端側に接続頭部の加工代を残してチャックに保持した状態で押型を備えたパンチ部材による軸方向先端部外方からプレス成形して、端部に外側周面を球面となすシート面を有する接続頭部と、該頭部に連なる拡径した環状フランジ部および前記シート面に連なって前記環状フランジ部まで先端に向かって先細りとなる円錐面を形成せしめた後、当該鋼管に曲げ加工を施して内径偏平率が6%以下の曲げ部を形成し、しかる後熱処理工程にて焼き入れ・焼戻し処理を施すことを特徴とする、接続頭部と曲げ部を有する高圧用燃料噴射管の製造方法。
  3. 前記厚肉細径鋼管の熱処理工程における熱処理雰囲気を脱炭雰囲気とすることを特徴とする請求項またはに記載の高圧用燃料噴射管の製造方法。
  4. 前記厚肉細径鋼管の接続頭部の少なくともシート面が形成される部位を露出させ、他の外周表面をマスキングして熱処理工程を実施することを特徴とする請求項に記載の高圧用燃料噴射管の製造方法。
  5. 前記所定長さの厚肉細径鋼管の端部に、予め先端側に接続頭部の加工代を残して短寸筒状のワッシャー部材を組込み、しかる後に端部付近をチャックに保持した状態でプレス成形し、かつ前記接続頭部の形成に伴って、該直管部分に位置して前記ワッシャー部材を圧嵌もしくは遊嵌させて嵌着せしめることを特徴とする請求項またはに記載の高圧用燃料噴射管の製造方法。
  6. 前記接続頭部の形成後、該接続頭部のシート面もしくはシート面より先端部分と首下部付近に配設した電極間に通電しシート面を加熱することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の高圧用燃料噴射管の製造方法。
  7. 前記電極のシート面との接触面に高電気抵抗材料製チップを設けたことを特徴とする請求項に記載の高圧用燃料噴射管の製造方法。
  8. 前記接続頭部の形成後、該接続頭部のシート面を高周波誘導加熱方式により加熱することを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の高圧用燃料噴射管の製造方法。
  9. 前記シート面の加熱による軟化時、加熱前に予熱および/または加熱後に徐冷することを特徴とする請求項ないしのいずれか1項に記載の高圧用燃料噴射管の製造方法。
  10. 前記予熱および/または徐冷を加熱炉中にて保持または通電による加熱により行うことを特徴とする請求項に記載の高圧用燃料噴射管の製造方法。
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