JP4848406B2 - Dpfの再生制御装置 - Google Patents
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Description
DPFの強制再生の実施にあたっては、DPFに流入するガス温度を高温に保つ必要があり、ガス温度上昇のために排ガス後処理装置(DOC(ディーゼル酸化触媒)+DPF)への燃料供給、すなわち、燃焼室内のへのポスト噴射、排気通路内への軽油添加等が行われている。
噴射された燃料がDOCにて酸化される際に発生する酸化熱で、DPFに流入する排ガス温度が上昇する。DPFでPMが燃焼する温度は一般的に600〜650℃とされており、その温度まで昇温させる必要がある。
このため、DPFの入口温度を目標入口温度の一定に保つ制御や、DPFの再生状態に応じて転状態に目標入口温度を変化させる制御等、種々の改良提案がなされている。
また、時々刻々と変化する排ガス温度の測定値によってPM堆積量、堆積量変化速度等の推定演算処理を行わなければならないため、制御ロジックが複雑化する問題もある。
すなわち、高温の排ガスと低温の排ガスとが交互に再生処理の開始時点から流入するので、高温の排ガスがDPFを通過することで再生処理の開始時点の多量のPMに着火して、PMの燃焼速度を上げることができ、再生処理の後期において排ガス温度を高める場合に比較して、PMを燃焼させるのに要する時間を短くすることができる。
一方、再生処理の前期において、DPF入口温度を高く設定すると過昇温の危険性が高まるが、高温だけでなく低温の排ガスを交互に流すため、過昇温の危険性が抑えられる。
このように再生の開始から再生処理中にわたってDPF入口温度を周期的に上下変化させるこれによって、DPFの過昇温の危険性を回避しつつPMを燃焼させるのに要する時間を短くすることができる。
また、排気温度を上昇させるために排ガス中に投入する燃料量を少なくすることができるので、燃費向上にも寄与する。
このように高温側に保持される時間が再生後期になるに従って長くなることで、DPFが過昇温する危険性を少なくできる。すなわち、再生後期になるに従って堆積PM量が少なくなっているため高温側に保持する時間を長くしても燃焼速度の上昇は少ない。さらにDPF内に燃え残るPMを無くしてPMを完全に燃え尽きさせる意味においても、再生後期に高温側に保持する時間を長くすることが好ましい。
この場合も、前記の高温側時間を長くする設定と同様に、再生後期になるに従って堆積PM量が少なくなっているため高温側に保持する時間を長くしても燃焼速度の上昇は少なく、さらにDPF内に燃え残るPMを無くしてPMを完全に燃え尽きさせる意味においても、再生後期になるに従って高温側温度を高くすることが好ましい。
このように、DPFが過昇温であると判定した場合には、低温側時間を過昇温であると判定するまで時間よりも長くするとことで、効果的にDPFの温度上昇を抑えて、過昇温を防止することができる。
図1は本発明の実施形態1に係るDOC(ディーゼルエンジン酸化触媒)及びDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)を備えたディーゼルエンジンの排ガス処理の全体構成図である。
図1において、ディーゼルエンジン(以下エンジン1という)は、排気タービン3とこれに同軸駆動されるコンプレッサ5を有する排気ターボ過給機7を備えており、該排気ターボ過給機7のコンプレッサ5から吐出された空気は空気管9を通って空気冷却器(不図示)に入り、該空気冷却器で冷却された空気は、吸気スロットルバルブ11で吸気流量が制御された後、吸気マニホールド13を通り、シリンダ毎に設けられた吸気ポート15からエンジン1に吸入される。
また、排気通路21の途中から、EGR(排ガス再循環)管23が分岐されて、排ガスの一部(EGRガス)がEGR管23を通り、EGRクーラ(不図示)で降温され、吸気スロットルバルブ11の下流部位の吸気マニホールド13にEGRバルブ25を介して投入される。
DPF入口温度制御手段44には、スロットルバルブ11の開度信号、DPF37の入口温度センサ48と出口温度センサ50からの温度信号、およびDPF37の入口圧力センサ52と出口圧力センサ54からの圧力信号に基づいて差圧センサ56から差圧信号がそれぞれ入力されている。
ステップS1でDPFの再生制御を開始とすると、ステップS2でDPF37に堆積されたPMが一定値以上に達したかを、差圧センサ56からの差圧信号によって判定する。差圧が一定値以上に達した場合には、堆積量が一定値以上であり再生が必要と判定して次のステップS3に進む(図4のt0点)。
このアーリーポスト噴射とは、図3に示すように主噴射の10〜20°程度後にシリンダ内の圧力がまだ高い状態で主噴射より少量の燃料を噴射する第一回目のポスト噴射のことをいい、このアーリーポスト噴射によって、エンジンの出力には影響を与えずに排ガス温度を高めることができ、この高温化された排ガスがDOC35に流入することで、DOC35を活性化させ、そしてDOC35の活性化に伴い排ガス中の未燃燃料を酸化される際に発生する酸化熱で排ガス温度を上昇させる。
このレイトポスト噴射とは、前記アーリーポスト噴射後のクランク角度が下死点近傍まで進んだ状態で噴射する第二回目のポスト噴射のことをいい、このレイトポスト噴射によって、排気弁の開状態に燃焼室39内から排気通路21へ燃料を流出させて、DPF37の入口部分で燃料が燃焼して排ガス温度をさらに上昇させてDPF37でのPM燃焼を促進する。
この周期的な入口温度の制御は、吸気スロットルバルブ11の絞り量、アーリーポスト噴射の噴射量、レイトポスト噴射の噴射量のいずれかを、または組み合わせて制御することで高温側と低温側とを交互に移動させる。すなわち、高温側への移動時には、吸気スロットルバルブ11を絞り、またはアーリーポスト噴射もしくはレイトポスト噴射の噴射量を増加させることで行い、低温側への移動には、吸気スロットルバルブ11を開き、またはアーリーポスト噴射もしくはレイトポスト噴射の噴射量を減少させることで行う。
このT2(600℃)、T3(650℃)の温度は一例であり、DPFに堆積しているPMを完全に燃焼させることができる温度範囲内であればよく、その範囲内で上下に変動させればよい。
なお、前記のDPF入口温度制御ステージの時間Δt=(t3−t1)、または、高温側時間ta、低温側時間tbは、それぞれ予め試験に基づいて設定される。例えば、ta、tbをそれぞれ60秒程度に設定して、Δtを15〜20分程度に設定する。これらta、tb、Δtの設定値は再生開始時の堆積量(設定差圧)、再生の開始時のエンジンの運転条件(エンジン回転数、エンジン負荷)等に応じて予め目標運転時間マップに設定しておき、このマップに基づいてPIDコントローラなどによって吸気スロットルバルブ11の絞り量、アーリーポスト噴射の噴射量、レイトポスト噴射の噴射量を制御するようになっている。
このように再生の開始から再生処理中にわたってDPF入口温度を周期的に上下変化させるこれによって、DPFの過昇温の危険性を回避しつつPMを燃焼させるのに要する時間を短くすることができる。
また、排気温度を上昇させるために排ガス中に投入する燃料量を少なくすることができるので、燃費向上にも寄与する。
次に、実施形態1では、DPF入口温度制御ステージの時間Δt=(t3−t1)の間において、高温側時間taおよび低温側時間tbを、それぞれ一定値を採用していたが、実施形態2においては、図5に示すように、再生後期になるに従って高温側時間taを長くして、ta<ta'のように設定している。1サイクル時間tcは、再生終了まで一定である。なお、処理の経過時間に応じて階段状(ステップ状)に高温側時間taを長くしても、連続的に長くしてもよい。その他の構成は実施形態1と同様である。
さらにDPF37内に燃え残るPMを無くしてPMを完全に燃え尽きさせる意味においても、再生後期に高温側に保持する時間を長くすることで燃え残りを無くすことができる。
次に、実施形態1では、DPF入口温度制御ステージの時間Δt=(t3−t1)の間において、高温側温度T3は一定値を採用していたが、実施形態3においては、図6に示すように、再生後期になるに従って高温側温度T3を高くして、最終的にT4(700℃)を目標とするような設定している。
1サイクル時間tcは、再生終了まで一定である。なお処理の経過時間に応じてステップ的に高温側温度T3を高めても、連続的に高めもよい。その他の構成は実施形態1と同様である。
なお、本実施形態3を前記実施形態2と合わせて、再生後期になるに従って高温側温度T3を高くするとともに、高温側時間taを長くしてもよいことは勿論よく、より効果的に再生後期の燃焼を達成できる。
次に、実施形態4について説明する。
実施形態4は、実施形態1〜3における再生処理中、特に再生後期においてDPF37が過昇温に至るのを防止する制御を付加するものである。
すなわち、図7のように、図2のフローチャートのステップS10とステップS11との間にA部分のステップS20、ステップS21を追加したものである。
ステップS9、S10でDPF37の入口温度を高温側と低温側との周期的変化の制御を行い、低温側時間tbを経過後に、ステップS20でDPF37の出口温度を出口温度センサ50で検出し、該検出値が過昇温の許容温度(例えば、750℃)を超えたか否かを基に判定する。超えた場合には、ステップS21で低温側時間tbを長くする。すなわち、ステップS10で設定された低温側時間tbより長くする。
なお、本実施形態4については、実施形態1、2、3と組み合わせて実施するとよい。
11 スロットルバルブ
17 燃料噴射制御装置
19 燃料噴射弁
21 排気通路
33 排ガス後処理装置
35 DOC(ディーゼル酸化触媒)
37 DPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)
40 再生制御装置
44 DPF入口温度制御手段
46 スロットルバルブ制御装置
48 入口温度センサ
50 出口温度センサ
52 入口圧力センサ
54 出口圧力センサ
56 差圧センサ
Claims (6)
- 排気通路にDOC(ディーゼル酸化触媒)及びPM(粒子状物質)を捕集するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)を設けたディーゼルエンジンの排ガス後処理装置を備え、前記DPFに堆積されたPMを所定時期の再生処理にて燃焼除去させるDPFの再生制御装置において、
燃焼室内に噴射したパイロット噴射燃料によって前記DOCを活性化して酸化熱によって前記DPFの入口に流入する排ガス温度を上昇させるとともに、前記DPFの入口温度を該DPFの再生可能温度に昇温せしめるDPF入口温度昇温手段と、該DPF入口温度昇温手段を制御して再生処理中のDPF入口温度を周期的に上下変化させるDPF入口温度制御手段とを備え、該DPF入口温度制御手段は周期的変化の高温側温度と低温側温度とをそれぞれ設定するともに、1サイクルにおける高温側時間と低温側時間を設定して再生処理制御を行うことを特徴とするDPFの再生制御装置。 - 前記DPF入口温度制御手段は前記周期的変化の1サイクル時間を一定にし、再生後期になるに従って前記高温側時間が長くなるように制御することを特徴とする請求項1記載のDPFの再生制御装置。
- 前記DPF入口温度制御手段は前記高温側温度を再生後期になるに従って高くすることを特徴とする請求項1または2記載のDPFの再生制御装置。
- 前記低温側温度はDPF再生可能温度の一定温度に設定されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のDPFの再生制御装置。
- 前記DPFの出口温度を検出するDPF出口温度センサを設け、該DPF出口温度センサによる検出値が許容値以上の場合には、DPFが過昇温であると判定して前記DPF入口温度制御手段は1サイクル中における前記低温側時間を長くすることを特徴とする請求項1記載のDPFの再生制御装置。
- 前記DPF入口温度昇温手段は、吸気通路に設けられた吸気スロットルバルブの絞りとメイン燃料噴射時期より一定時期遅れて燃料の第1回目噴射のアーリーポスト噴射と該アーリーポスト噴射後の下死点近傍における第2回目噴射のレイトポスト噴射によって構成し、前記DPF入口温度制御手段は吸気スロットルバルブの絞り量とアーリーポスト噴射量とレイトポスト噴射量とのうちの少なくとも何れか1つを制御することを特徴とする請求項1記載のDPFの再生制御装置。
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