JP4848255B2 - 樹脂モールド方法および樹脂モールド装置 - Google Patents

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Description

本発明は樹脂モールド方法および樹脂モールド装置に関し、より詳細には、可撓性を有する被成形品の樹脂モールドに好適に用いられる樹脂モールド方法および樹脂モールド装置に関する。
樹脂モールド型の半導体装置には、可撓性を有するフィルム基板に半導体チップを搭載して樹脂モールドした製品がある。この製品を製造する際は、被成形品を樹脂モールド金型に位置決めし、樹脂モールド金型により被成形品をクランプして樹脂モールドする。被成形品を樹脂モールド金型に位置合わせする方法としては、樹脂モールド金型に設けたガイドピンを被成形品の基板に設けたガイド孔に挿入して、樹脂モールド金型に被成形品を位置合わせする方法が一般に行われている。
また、被成形品を樹脂モールド金型にセットする方法として、樹脂モールド金型に被成形品をセットするセット凹部を設け、このセット凹部に被成形品を位置合わせしてセットする方法もある。また、被成形品が位置ずれしないように、被成形品を金型面にエア吸着して支持することもなされる(特許文献1参照)。
特開2001−277306号公報 特開平7−135231号公報
ところで、フィルム基板のような可撓性を有する基板を用いた被成形品の場合には、ガイドピンにより被成形品を位置決めする際にフィルム基板が変形して、正規の位置から被成形品が位置ずれすることがある。外部接続端子や配線パターンが高密度になってくると、被成形品がわずかに位置ずれしても不良となるから、被成形品を高精度に位置合わせすることは成形不良を防止する上で重要である。
また、フィルム基板ではフィルム基板に設けた配線パターンに対してガイド孔を高精度に形成することが困難であり、ガイド孔の位置ずれが成形品の位置ずれの原因になることもある。製品原価に占めるフィルム基板の製造コストは60%以上もあるから、ガイド孔によらずに被成形品を位置合わせすることができれば、フィルム基板の製造費用の削減に大きく貢献することが可能である。
また、被成形品が位置ずれしないように金型面に被成形品を吸着すると、フィルム基板が変形するといった問題や、金型面をクリーニングした際にフィルム基板を金型面にエア吸着するためのエア吸着孔が詰まってしまうといった問題がある。
また、基板が薄く、大判のものであったりすると被成形品をチャックして搬送する際に基板が湾曲しやすく、ワイヤ配線が歪んで配線の短絡や断線が生じるという問題もある。また、被成形品に封止用の樹脂を供給して樹脂モールド金型内に搬入するような場合には、被成形品を確実にチャックすることができずに、被成形品が落下してしまうといった問題があった。とくに、大型の被成形品で一括して樹脂モールドする製品の場合は、被成形品に供給される樹脂量が多くなから、チャックから被成形品が落下するという問題が生じやすくなる。
本発明は、これらの課題を解決すべくなされたものであり、基板にガイド孔を設けることなく、樹脂モールド金型に対して正確に被成形品を位置合わせすることができ、被成形品の搬送ミスや被成形品が変形するといった問題を解消し、フィルム基板のような変形しやすい基板を用いた被成形品であっても確実に樹脂モールドすることを可能にする樹脂モールド方法および樹脂モールド装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため次の構成を備える。
すなわち、可撓性を有する被成形品を樹脂モールドする樹脂モールド方法において、前記被成形品に設けられた位置決め用の識別部を検知して前記被成形品をプレート治具の所定位置に装着し、前記プレート治具を樹脂モールド金型に対して位置決めすることにより、前記被成形品が装着されたプレート治具を樹脂モールド金型にセットし、前記プレート治具とともに前記被成形品を前記樹脂モールド金型によりクランプして樹脂モールドすることを特徴とする。なお、可撓性を有する被成形品としては、たとえば可撓性を有するフィルム基板に半導体チップを搭載した製品がある。プレート治具は平板体に形成され、被成形品はプレート治具に支持された状態で搬送される。また、位置決め用の識別部としては、位置決め用に被成形品に形成されたマーク、被成形品に形成された配線パターン等が利用できる。
また、前記被成形品をプレート治具に装着する際に、プレート治具の本体であるプレートに取り付けたセットバネと、プレートの表面との間に、前記被成形品の側縁部をクランプして支持することにより、被成形品を容易にかつ変形することなくプレート治具に位置決めして装着することができる。
また、前記プレート治具を樹脂モールド金型に対して位置決めする際に、樹脂モールド金型に設けられた位置決めピンに、プレート治具の本体であるプレートの側面を当接して位置決めすることにより、樹脂モールド金型に容易に被成形品を位置合わせして樹脂モールドすることができる。
また、可撓性を有する被成形品を樹脂モールドする樹脂モールド装置であって、前記被成形品の供給部と、前記被成形品を支持するプレート治具の供給部と、前記被成形品に設けられた位置決め用の識別部を検知して前記被成形品を前記プレート治具の所定位置に装着する装着部と、前記被成形品が装着されたプレート治具を樹脂モールド金型に位置決めする位置決め手段が設けられ、プレート治具とともに被成形品をクランプして樹脂モールドする樹脂モールド金型が装着されたプレス装置と、前記樹脂モールド金型により樹脂成形された成形品の収納部と、前記被成形品、成形品およびプレート治具を、前記被成形品の供給部、前記プレート治具の供給部、前記装着部、前記プレス装置および前記成形品の収納部に給排する給排機構とを備えていることを特徴とする。
前記装着部においては、被成形品に形成された識別部を検知して、被成形品をプレート治具の所定位置に位置決めして装着する。また、樹脂モールド金型においては、プレート治具を樹脂モールド金型に位置決めすることにより、被成形品が樹脂モールド金型に対して位置決めされて樹脂モールドされる。
前記プレート治具は、プレート治具の本体であるプレートと、該プレートに取り付けられ、プレートの表面との間で被成形品の側縁部を弾性的にクランプして被成形品をプレート治具に支持するセットバネとを備えたものが好適に使用できる。
また、前記装着部は、前記プレート治具が固定支持されるセットテーブルと、前記プレート治具をセットテーブルの所定位置にセットするセットピンと、前記プレート治具に被成形品をセットする際に、前記セットバネを押し上げて、セットバネと前記プレートの表面との間に被成形品の側縁部を挿入する間隔をあけ、所定位置に被成形品が位置合わせされた際に、前記セットバネの押し上げを解除し、前記被成形品がセットバネとプレートの表面との間で弾性的にクランプされるようにセットバネを押動する押動機構と、前記被成形品に設けられた位置決め用の識別部を検知して前記被成形品のプレート治具における位置ずれを検知する検知機構と、該検知機構による検知結果に基づいて、被成形品を前記所定位置に位置合わせする補正手段とを備えていることを特徴とする。
被成形品は検知機構によりプレート治具上における位置ずれが検知され、補正手段によってプレート治具の所定位置に位置合わせされる。なお、補正手段として、被成形品を給排する給排機構が利用できる。
また、前記被成形品が装着されたプレート治具を樹脂モールド金型に位置決めする位置決め手段として、前記プレート治具の本体であるプレートの側面が当接する位置決めピンが設けられていることによりプレート治具を容易に樹脂モールド金型に位置決めすることができ、前記プレート治具の本体であるプレートが平面形状で矩形に形成され、前記プレートの各辺の中央位置にガイド溝が設けられ、前記樹脂モールド金型に前記ガイド溝に係合する位置決めピンが設けられていることにより、プレート治具を位置ずれを抑えて樹脂モールド金型にセットすることができる。
本発明に係る樹脂モールド方法および樹脂モールド装置によれば、プレート治具に被成形品を位置合わせして支持し、プレート治具を樹脂モールド金型に位置決めして被成形品を樹脂モールドすることによって、被成形品が可撓性を有するものであっても、被成形品を変形させず、正確に樹脂モールド金型に位置合わせして樹脂モールドすることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。
(樹脂モールド装置の全体構成)
図1は、本発明に係る樹脂モールド装置の全体構成を示す平面図である。本実施形態の樹脂モールド装置は、プレート治具10により被成形品5を支持した状態で樹脂モールドすることが特徴的である。
樹脂モールド装置は、被成形品5の供給部8とプレート治具10の供給部20とを備える。被成形品5はフィルム基板の一方の面に半導体チップが搭載されたもので、供給部8には、被成形品5を積み重ね方向に所定間隔をあけて収納したマガジンがセットされる。 プレート治具10も供給部20内に配置された棚状に形成された支持部材により、積み重ね方向に所定間隔をあけて収納されている。
樹脂モールド装置は、被成形品の供給部8とプレート治具の供給部20とを並置するとともに、プレート治具10に被成形品5を位置決めしてセットする装着部30と、プレート治具10に支持されて搬入された被成形品5を樹脂モールドするプレス装置40と、樹脂モールド後のプレート治具10を収納するプレート治具の収納部55と、成形品62を収納する収納部60とを備える。
また、樹脂モールド部は、被成形品5、プレート治具10および成形品62を、装着部30およびプレス装置40等の各部に給排する給排機構として、ローダー70およびオフローダー72を備える。ローダー70は被成形品5とプレート治具10の供給操作に使用され、オフローダー72はプレート治具10と成形品62の搬出操作に使用される。ローダー70およびオフローダー72は、一列状に配置された被成形品の供給部8、プレート治具の供給部20、装着部30およびプレス装置40等の各部の側方に、各部の配列方向に平行に設置されたガイドレール74に摺動自在に取り付けられている。ローダー70およびオフローダー72は駆動機構(不図示)によりガイドレール74上で移動し、給排操作をなす。
(プレート治具の構成)
図2(a)は、プレート治具の供給部20にプレート治具10が収納されている状態を示す平面図、図2(b)は断面図、図2(c)は断面の拡大図である。図2(a)に示すように、プレート治具10は平面形状が長方形の平板体に形成され、被成形品5の対向する側縁部を弾性的に挟圧して支持する4個のセットバネ12が装着されて形成されている。セットバネ12は被成形品5の外形形状に合わせて、プレート治具10での配置位置が決められる。
図2(c)に示すように、セットバネ12は、先端部がプレート11の上面から離間するように、側面方向から見て若干折曲した形状に形成され、基端部がプレート治具10の本体であるプレート11に装着されたガイドピン13の上端に固定される。ガイドピン13は、プレート11を厚さ方向に貫通する貫通孔に、摺動自在かつ回り止めして取り付けられる。ガイドピン13の下端側は、プレート11の下面に設けられた凹部11a内に収納され、ガイドピン13の下端に設けられた突縁13aと凹部11aの内面との間に、弾発スプリング14が装着される。これによって、セットバネ12は常時は、基端部がプレート11の上面に当接する。
供給部20にはプレート治具10を支持するラック18が収納されている。ラック18には、プレート治具10の側縁部を下面側から支持する支持バー18aが高さ方向に所定間隔を開けて設けられ、プレート治具10は支持バー18aに支持され、高さ方向に所定間隔をあけて支持される。ラック18は昇降機構により、プレート治具10の給排操作に応じて昇降駆動される。
プレート11の材質はとくに限定されるものではないが、本実施形態ではステンレス板によって形成した。
(装着部)
図3、4に、プレート治具10に被成形品5を位置合わせして装着する装着部30の構成を示す。装着部30は、プレート治具10をセットするセットテーブル32と、セットテーブル32にプレート治具10をエア吸着して支持するエア吸着機構とを備える。セットテーブル32には、プレート治具10を位置合わせしてセットするためのセットピン33と、セットバネ12を上位置に押し上げる押動機構36と、必要に応じてプレート治具10を加熱するヒータ37とが設けられる。
エア吸着機構は、セットテーブル32に内設されたエア流路34と、エア流路34に連通して設けられた吸引装置35とを備える。エア流路34はセットテーブル32の上面(プレート治具10をセットするセット面)でエア吸着孔34aとして開口する。
押動機構36は、セットバネ12に装着されたガイドピン13の下端面に当接する当接ロッドを備えたエアシリンダ装置によって形成されている。なお、エアシリンダ装置にかえて電動モータ、アクチュエータ等の駆動機構を利用することができる。
本実施形態では、弾発スプリング14の付勢力によりセットバネ12がプレート11のセット面に向けて弾性的に押接されるように設けたが、セットバネ12自体に弾性をもたせ、セットバネ12の基端部をプレート11の上面に固定してセットバネ12の先端部が弾性的にプレート11のセット面に押接されるようにしてもよい。この場合には、セットバネ12の先端側の下面に押動機構36の当接ロッドを当接させ、セットバネ12を押し上げるようにすることによって、セットバネ12をプレート11のセット面から離間させることができ、セットバネ12とプレート11の表面との間で被成形品の側縁部をクランプすることができる。
装着部30には、プレート治具10に被成形品5をセットした状態で、プレート治具10に対する被成形品5のセット位置を検知する顕微鏡付きCCDカメラ等の検知機構38が設けられている。この検知機構38は、被成形品5に形成されている位置合わせ用のマーク、あるいは被成形品5に形成されている配線パターンを検出して、プレート治具10に対する被成形品5の相対的な平面配置での位置ずれを検知する。被成形品5に形成されたマークあるいは配線パターンは、被成形品5をプレート治具10に対して位置合わせする際に検知機構によって被成形品5の位置を認識する識別部として利用するものであり、被成形品5の位置が検知できるものであれば適宜識別部を利用することができる。
被成形品5はプレート治具10の外形位置を基準として位置出しする。これは樹脂モールド金型においてプレート治具10を位置決めする際に、プレート治具10の外形位置(プレート治具10の側面位置等)を基準として位置決めするからである。
(樹脂モールド金型)
図5、6に、プレス装置40に装着される樹脂モールド金型50の構成を示す。樹脂モールド金型50は、キャビティ42aが形成された上型42と、プレート治具10とともに被成形品5がセットされる下型44とを備える。図6に、上型42に形成されるキャビティ42aの平面配置を示す。被成形品5に6個の半導体チップ6が搭載され、半導体チップ6ごとにキャビティ42aが個別に形成されている。
下型44には、プレート治具10を位置合わせしてセットするプレート治具のガイドとして位置決めピン45が設けられる。この位置決めピン45は、プレート治具10の側面を当接させることにより、プレート治具10を所定位置に位置決めする作用をなす。本実施形態では、プレート治具10を搬入する側から見て奥側の一つのコーナーを挟む2辺上に位置決めピン45を配置し、プレート治具10の2辺の側面に位置決めピン45に当接することにより、プレート治具10を下型44に対して位置決めできるようにした。
また、下型44にはプレート治具10をエア吸着して支持する吸着機構を設ける。この吸着機構は、金型外に設けられる真空装置46と、真空装置46に連通して設けられる金型内に設けられたエア流路47a、47bとを備える。エア流路47aは下型44を支持する下型ベース49aに内設され、エア流路47bは下型44に内設される。エア流路47bは、下型44のプレート治具10をセットするセット面でエア吸着孔47cとして開口する。
なお、上型42は上型ベース48aに支持され、上型ベース48aは上ベース48bに支持される。また、下型44は下型ベース49aに支持され、下型ベース49aは下ベース49bに支持される。上ベース48bと下ベース49bは各々プラテンに固定され、型開閉機構によりプラテンが昇降駆動され型開閉操作がなされる。
(樹脂モールド装置の作用)
続いて、上述した樹脂モールド装置により被成形品5を樹脂モールドする作用について説明する。
まず、被成形品5をプレス装置40に供給する前段階の操作として、装着部30においてプレート治具10に被成形品5をセットする。
供給部20の側方から供給部20にローダー70を進入させ、ローダー70によりプレート治具10をチャックして供給部20から引き出し、次いでセットテーブル32にプレート治具10をセットする。ローダー70はメカニカルチャックあるいはエア吸着によってプレート治具10をチャックして支持する。
プレート治具10の側面をセットピン33によりガイドすることによって、セットテーブル32にプレート治具10を位置合わせしてセットする。プレート治具10を予熱しておく必要がある場合は、ヒータ37によりセットテーブル32をあらかじめ加温し、セットテーブル32にセットしたプレート治具10が加温されるようにする。
次いで、ローダー70を被成形品の供給部8の側方まで移動させ、供給部8からローダー70により被成形品5をチャックして引き出し、装着部30のセットテーブル32にセットされているプレート治具10の上に被成形品5をセットする。
プレート治具10に被成形品5をセットする際には、セットテーブル32にプレート治具10を位置合わせして吸引装置35によりプレート治具10をセットテーブル32にエア吸着した状態で行う。
セットテーブル32に設けられている押動機構36の当接ロッドを駆動してセットバネ12を押し上げ、プレート11の上面とセットバネ12との間に被成形品5を挿入する隙間をあけ、被成形品5をセットバネ12とプレート11との間に差し込む。
被成形品5をプレート治具10に対して位置決めしてセットするため、プレート治具10に被成形品5を供給したところで、検知機構38により被成形品5の位置合わせ用のマークあるいは被成形品5に形成されている配線パターンを認識し、プレート治具10の位置との位置ずれ量を検出する。この検出結果に基づいて、ローダー70により被成形品5をチャックし位置ずれを補正する。
被成形品5の位置ずれを補正する際に、ローダー70によらずに、被成形品5をエア吸着して支持する補正用のチャック装置を設け、このチャック装置により位置ずれを補正するようにしてもよい。
被成形品5が所定位置に位置決めされたら、押動機構36の駆動を解除し、被成形品5の側縁部をセットバネ12とプレート11の表面との間でクランプする。被成形品5は弾発スプリング14の弾性力によってプレート11に保持される。
本実施形態の樹脂モールド装置では、プレート治具10に被成形品5を装着した後、被成形品5上に封止用の樹脂80を供給する。図7に、被成形品5の上に樹脂80を供給した状態を示す。封止用の樹脂80は、半導体チップ6の配置位置(キャビティ42aの配置)に合わせて供給する。樹脂80としてはペースト状の樹脂、シート状の樹脂が使用できる。ペースト状の樹脂を供給する機構としては、樹脂量を計量して供給するディスペンサ装置が使用できる。図1では、樹脂の供給機構については省略した。
プレート治具10が平板状に形成され、被成形品5がプレート治具10によって支持されていることから、被成形品5が変形しやすい薄いフィルム基板からなるものであっても、被成形品5が変形しないように確実に支持することができる。また、被成形品5が大判のものであっても変形する心配がない。
本実施形態では、被成形品5に搭載されている半導体チップ6のごとにスポット状に封止用の樹脂80を供給したが、複数の半導体チップについて一括して樹脂モールドするような場合で、被成形品5の比較的広い領域にわたって樹脂を供給する場合であっても、プレート治具10によって被成形品5を支持することにより、搬送時に被成形品5が変形したりすることがなく、被成形品5を搬送する操作を確実に行うことができる。
次いで、プレート治具10をローダー70によりチャックし、樹脂モールド金型が型開きした状態でプレス装置40の下型44にプレート治具10とともに被成形品5をセットする。
被成形品5を支持したプレート治具10を下型44にセットする際には、下型44に設けた位置決めピン45にプレート治具10の側面を当接させるようにしてプレート治具10を下型44に位置決めする。
プレート治具10を下型44に位置決めしたところで、真空装置46を作動させ、プレート治具10を下型44に吸着支持する。
次いで、上型42と下型44とでプレート治具10とともに被成形品5をクランプし、キャビティ42aに樹脂80を充填させて樹脂成形する。図5は、被成形品5をプレート治具10とともに上型42と下型44とでクランプして樹脂モールドしている状態を示す。被成形品5がプレート治具10に位置決めして支持され、プレート治具10が下型44に位置決めして支持されていることにより、被成形品5は上型42に対して位置決めされた状態で樹脂モールドされる。上型42および下型44にヒータを内設し、樹脂80を熱硬化させて樹脂成形される。
被成形品5を樹脂モールドした後、型開きし、オフローダー72によりプレス装置40からプレート治具10とともに成形品62を搬出し、プレート治具の収納部55に使用後のプレート治具10を収納し、成形品の収納部60に成形品62を収納する。
プレート治具10から成形品62を取り外す場合も、装着部30におけると同様に、プレート治具10に成形品62を支持した状態で取り外し用のテーブルにプレート治具10をセットし、プレート治具10に設けられたセットバネ12を押し上げて成形品62をプレート治具10から取り外し、オフローダー72により成形品62をチャックして収納部60に成形品62を収納する。
プレート治具の収納部55にプレート治具の供給部20におけると同様に、プレート治具10をスタックして収納するラックを設け、ラックをステップ的に上昇あるいは下降させながらラックにプレート治具10を収納する。
なお、本実施形態では、1個の被成形品5について1枚ずつプレート治具10を使用し、使用後のプレート治具10は、順次プレート治具の収納部55に収納する構成としたが、別の方法として、使用後のプレート治具10をプレート治具の供給部20に戻す機構を設け、複数枚のプレート治具10を循環使用しながら樹脂モールドする構成とすることもできる。
(樹脂モールド金型の他の構成)
図5に示す樹脂モールド金型50では下型44に被成形品5とともにプレート治具10をセットして樹脂モールドする。他の構成として、上型42に被成形品5とともにプレート治具10をセットして樹脂モールドする樹脂モールド金型51の例を図8に示す。
プレート治具10の構成、すなわちガイドピン13にセットバネ12を取り付ける構造、セットバネ12により被成形品5の側縁部をプレート11の表面との間でクランプして被成形品5をプレート治具10に支持する構造については前述した実施形態におけると同様である。
本実施形態では上型42にプレート治具10を支持するため、上型側にプレート治具10をエア吸着するエア吸着機構を設ける。エア吸着機構は、上型42に設けたエア流路43aと、上型42を支持する上型ベース48aおよび上型ベース48aを支持する上ベース48bに設けたエア流路43bと、エア流路43bに接続される真空装置43とを備える。エア流路43aは上型42の金型面(下面)で開口し、真空装置43によりエア吸引することにより、上型42の下面にプレート治具10がエア吸着されて支持される。
上型42にプレート治具10を位置決めするための位置決めピン45を設けることは前述した実施形態におけると同様である。
下型は、キャビティ44aが形成された第1の下型441と、キャビティブロック44bを支持する第2の下型442とを備える。キャビティブロック44bは、端面がキャビティ44aの底面を構成するブロック状に形成され、第1の下型441と第2の下型442に、型開閉方向に可動に装着されている。キャビティブロック44bの下面と、第2の下型442を支持する下型ベース49aとの間に弾発スプリング44cが装着され、第1の下型441と第2の下型442との間に弾発スプリング44dが装着される。下型ベース49aは下ベース49bに固定される。上ベース48bおよび下ベース49bにはヒータ52、53が内設される。
図8は樹脂モールド金型51を型開きした状態を示したもので、被成形品5を支持したプレート治具10が、被成形品5を下向きとして上型42にエア吸着され、第1の下型441に設けたキャビティ44aにシート状に形成された樹脂82が供給された状態を示す。
この状態から、プレス機構によりプレート治具10とともに被成形品5をクランプ開始する。まず、弾発スプリング44dが圧縮開始され、キャビティ44a内で溶融した樹脂82がキャビティブロック44bによりキャビティ44a内で押圧され、キャビティ44aに樹脂82が充填される。最終的に樹脂モールド金型が型締めされた時点で、パッケージの厚さが規定される。
なお、本実施形態では第1の下型441を型開閉方向の可動に設け、また型開閉方向に可動なキャビティブロック44bを設ける構成としたが、下型の構成としては、単にキャビティ44aが設けられた固定金型として設けることも可能である。
本実施形態においても、被成形品5をプレート治具10に支持した状態でプレート治具10を上型42に位置決めして樹脂モールドすることにより、被成形品5を樹脂モールド金型に対して正確に位置決めして樹脂モールドすることができる。
図9は、樹脂モールド金型にプレート治具10を位置決めしてセットする際の位置決めピン45の配置例を示す。本実施形態では、プレート治具10のプレート11の各辺の中央位置にガイド溝11bを設け、下型44に、各々のガイド溝11bに嵌合する平面配置に位置決めピン45を設けている。
樹脂モールド金型(下型あるいは上型)にプレート治具10をセットする際には、プレート治具10に設けたガイド溝11bに位置決めピン45を各々嵌合させてセットする。ガイド溝11bはプレート治具10の各辺の中央に位置しているから、樹脂モールド金型にプレート治具10をセットした際にプレート治具10が加熱されて熱膨張しても、プレート治具10の金型面上での位置ずれ量を小さく抑えることが可能となる。
以上説明したように、本発明に係る樹脂モールド装置では、被成形品5をプレート治具10に拘束して支持しながら搬送し、樹脂モールドするから、被成形品5を搬送する際に被成形品5が変形したり、振動したりすることを防止し、また、被成形品5に封止用の樹脂を供給した状態で被成形品を搬送することが容易に可能となる。これによって、被成形品の搬送ミスといった問題を解消することができる。
また、被成形品5をプレート治具10に位置決めする際には、被成形品5に形成された位置決め用のマークや配線パターンを基準として被成形品5を位置決めするから、被成形品5に位置決め用のガイド孔を形成する必要がない。この結果、フィルム基板にガイド孔を形成する際の位置ずれに起因する成形品の不良を解消することができ、フィルム基板に高精度にガイド孔を形成するための製造コストを低減させることができ、きわめて高精度を要する製品の製造にも容易に適用できる。また、フィルム基板を位置合わせする際にフィルム基板が変形することによって位置ずれが生じるといった問題を解消することができる。
また、プレート治具10は被成形品5よりも大きく形成されるから、金型に対する吸着力を強くすることができ、容易に下型にも上型にも吸着支持して樹脂モールドすることができる。
また、プレート治具10の外形形状を、異種の被成形品5を樹脂モールドする際にも共通化しておくことにより、樹脂モールド金型におけるプレート治具10のセット位置や装着部30におけるセッティングを共通化することができ、樹脂モールド金型や装着部30を汎用的に利用できるという利点もある。
また、プレート治具10に被成形品5を支持して樹脂モールドする構成としたことにより、プレート治具10がセットされる側の樹脂モールド金型の金型面については封止用の樹脂によって金型面が汚れることが皆無となる。
また、図8に示す例のように、プレート治具10を金型面にエア吸着するエア吸着孔を樹脂モールド領域(キャビティ等)の外側に配置することにより、樹脂モールド領域をクリーニングした際にエア吸着孔が詰まるといった問題を回避することができる。
また、プレート治具10は熱容量が大きいから、プレート治具10に被成形品5を支持して樹脂モールドすることにより、樹脂成形後に成形品が急減に冷却されることを防止することができ、成形品が熱ストレスによって変形するといった問題を抑えることが可能になる。このような熱ストレスを抑える作用は、きわめて薄型の成形品で熱ストレスによって変形しやすい製品について有効である。
なお、上記実施形態においては、被成形品5に封止用の樹脂80を供給し圧縮成形によって樹脂成形する方法、キャビティ42aごとにシート状の樹脂82を供給して樹脂モールドする方法について示したが、本発明は圧縮成形に限定されるものではなく、トランスファモールド方法あるいは一括樹脂モールド方法、リリースフィルムを用いる樹脂モールド方法に適用することもできる。また、封止用の樹脂として、液状樹脂、ペースト状樹脂、シート状樹脂、顆粒状樹脂等の適宜樹脂が使用できる。
本発明に係る樹脂モールド装置の全体構成を示す平面図である。 プレート治具の供給部にプレート治具が収納されている状態の平面図および断面図である。 装着部におけるプレート治具と被成形品の平面図である。 装着部の断面図である。 樹脂モールド金型の断面図である。 樹脂モールド金型におけるプレート治具と被成形品の平面図である。 プレート治具に支持された被成形品に樹脂を供給した状態の平面図である。 樹脂モールド金型の他の構成を示す断面図である。 プレート治具と位置決めピンの他の構成を示す平面図である。
符号の説明
5 被成形品
6 半導体チップ
8 被成形品の供給部
10 プレート治具
11 プレート
11b ガイド溝
12 セットバネ
13 ガイドピン
18 ラック
20 プレート治具の供給部
30 装着部
32 セットテーブル
33 セットピン
36 押動機構
38 検知機構
40 プレス装置
42 上型
42a キャビティ
43 真空装置
44 下型
44a キャビティ
45 位置決めピン
46 真空装置
48a 上型ベース
48b 上ベース
49a 下型ベース
49b 下ベース
50、51 樹脂モールド金型
55 プレート治具の収納部
60 被成形品の収納部
62 成形品
70 ローダー
72 オフローダー
80、82 樹脂

Claims (6)

  1. 可撓性を有する被成形品を樹脂モールドする樹脂モールド方法において、
    前記被成形品に設けられた位置決め用の識別部を検知して前記被成形品をプレート治具の所定位置で、前記プレート治具の本体であるプレートに取り付けたセットバネと前記プレートの表面との間に、前記被成形品の側縁部を弾性的にクランプして支持することにより、前記被成形品を前記プレート治具に装着し、
    前記プレート治具を樹脂モールド金型に対して位置決めすることにより、前記被成形品が装着されたプレート治具を樹脂モールド金型にセットし、
    前記プレート治具とともに前記被成形品を前記樹脂モールド金型によりクランプして樹脂モールドすることを特徴とする樹脂モールド方法。
  2. 前記プレート治具を樹脂モールド金型に対して位置決めする際に、
    樹脂モールド金型に設けられた位置決めピンに、プレート治具の本体であるプレートの側面を当接して位置決めすることを特徴とする請求項記載の樹脂モールド方法。
  3. 可撓性を有する被成形品を樹脂モールドする樹脂モールド装置であって、
    前記被成形品が収納される被成形品の供給部と、
    本体であるプレートと該プレートに取り付けられたセットバネとを備えて前記プレートの表面と前記セットバネとの間で前記被成形品の側縁部を弾性的にクランプして前記被成形品を支持するプレート治具が収納されるプレート治具の供給部と、
    前記被成形品に設けられた位置決め用の識別部を検知して前記被成形品を前記プレート治具の所定位置に装着する装着部と、
    前記被成形品が装着されたプレート治具を樹脂モールド金型に位置決めする位置決め手段が設けられ、プレート治具とともに被成形品をクランプして樹脂モールドする樹脂モールド金型が装着されたプレス装置と、
    前記樹脂モールド金型により樹脂成形された成形品が収納される成形品の収納部と、
    前記被成形品、成形品およびプレート治具を、前記被成形品の供給部、前記プレート治具の供給部、前記装着部、前記プレス装置および前記成形品の収納部に給排する給排機構とを備えていることを特徴とする樹脂モールド装置。
  4. 前記装着部は、
    前記プレート治具が固定支持されるセットテーブルと、
    前記プレート治具をセットテーブルの所定位置にセットするセットピンと、
    前記プレート治具に被成形品をセットする際に、前記セットバネを押し上げて、セットバネと前記プレートの表面との間に被成形品の側縁部を挿入する間隔をあけ、所定位置に被成形品が位置合わせされた際に、前記セットバネの押し上げを解除し、前記被成形品がセットバネとプレートの表面との間で弾性的にクランプされるようにセットバネを押動する押動機構と、
    前記被成形品に設けられた位置決め用の識別部を検知して前記被成形品のプレート治具における位置ずれを検知する検知機構と、
    該検知機構による検知結果に基づいて、被成形品を前記所定位置に位置合わせする補正手段とを備えていることを特徴とする請求項記載の樹脂モールド装置。
  5. 前記被成形品が装着されたプレート治具を樹脂モールド金型に位置決めする位置決め手段として、前記プレート治具の本体であるプレートの側面が当接する位置決めピンが設けられていることを特徴とする請求項3または4記載の樹脂モールド装置。
  6. 前記プレート治具の本体であるプレートが平面形状で矩形に形成され、前記プレートの各辺の中央位置にガイド溝が設けられ、
    前記樹脂モールド金型に前記ガイド溝に係合する位置決めピンが設けられていることを特徴とする請求項3または4記載の樹脂モールド装置。
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