JP4848243B2 - 結晶製造装置 - Google Patents

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Description

この発明は、III族窒化物結晶を製造する結晶製造装置に関するものである。
現在、紫外、紫〜青〜緑色光源として用いられているInGaAlN(III族窒化物半導体)系デバイスは、その殆どがサファイアおよびシリコンカーバイド(SiC)を基板とし、その基板上にMOCVD法(有機金属化学気相成長法)およびMBE法(分子線結晶成長法)等を用いて作製されている。
このように、サファイアおよびシリコンカーバイドを基板として用いた場合、熱膨張係数および格子定数が基板とIII族窒化物半導体とでそれぞれ大きく異なっているため、III族窒化物半導体内に多くの結晶欠陥が含まれることとなる。この結晶欠陥は、デバイス特性を低下させ、たとえば、発光デバイスにおいては、寿命が短い、動作電力が大きい、等の欠点に直接関係する。
また、サファイア基板は、絶縁体であるため、従来の発光デバイスのように基板側から電極を取り出すことが不可能であった。これにより、III族窒化物半導体側から電極を取り出すことが必要となる。その結果、デバイスの面積が大きくなり、高コスト化を招くという不都合があった。そして、デバイスの面積が大きくなると、サファイア基板とIII族窒化物半導体という異種材料の組み合わせに伴う基板の反りという新たな問題が発生する。
さらに、サファイア基板上に作製されたIII族窒化物半導体デバイスは、劈開によるチップ分離が困難であり、レーザダイオード(LD)において必要とされる共振器端面を得ることは、容易ではない。このため、現在は、ドライエッチング、またはサファイア基板を厚さ100μm以下まで研磨した後に劈開に近い形に分離し、共振器端面の形成を行なっている。したがって、従来のLDのように、共振器端面の形成とチップ分離とを単一工程で行なうことが困難であり、工程の複雑化によるコスト高を招いていた。
これらの問題を解決するため、サファイア基板上にIII族窒化物半導体を選択的に横方向に成長させるなどの工夫をし、結晶欠陥を低減させることが提案された。これにより、結晶欠陥を低減させることが可能となったが、サファイア基板の絶縁性および上述した劈開の困難性に関する問題は、依然として残っている。
こうした問題を解決するためには、基板上に結晶成長する材料と同一である窒化ガリウム(GaN)基板が最適である。そのため、気相成長および融液成長等により、バルクGaNを結晶成長させる方法が、各種、提案されている。しかし、未だ高品質かつ実用的な大きさを有するGaN基板は、実現されていない。
GaN基板を実現する1つの方法として、ナトリウム(Na)をフラックスとして用いたGaN結晶成長方法が提案されている(特許文献1)。この方法は、アジ化ナトリウム(NaN)と金属Gaとを原料として、ステンレス製の反応容器(容器内寸法:内径=7.5mm、長さ=100mm)にNaNおよび金属Gaを窒素雰囲気中で封入し、その反応容器を600〜800℃の温度で24〜100時間保持することにより、GaN結晶が成長するものである。
この方法は、600〜800℃と比較的低温での結晶成長が可能であり、容器内圧力も高々100kg/cm程度と比較的低く、実用的な成長条件であることが特徴である。
そして、最近では、アルカリ金属とIII族金属との混合融液と、窒素を含むV族原料とを反応させることにより、高品質なIII族窒化物結晶が実現されている(特許文献2)。
米国特許第5868837号明細書 特開2001−58900号公報
しかし、GaN結晶を結晶成長する従来の結晶製造装置においては、800℃程度でGaN結晶を結晶成長させるため、Naの蒸気圧が0.45気圧と高く、混合融液から蒸発したNaが反応容器内の低温部、および外部から導入する窒素供給管の低温部に付着し、混合融液中のNa量比が変動するという問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、アルカリ金属の混合融液からの蒸発を抑制してIII族窒化物結晶を製造可能な結晶製造装置を提供することである。
この発明によれば、結晶製造装置は、反応容器と、ガス供給装置と、加熱装置と、カバー部材と、支持装置とを備える。反応容器は、アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する。ガス供給装置は、反応容器内の混合融液に接する容器空間へ外部から窒素原料ガスを供給する。加熱装置は、混合融液を結晶成長温度に加熱する。カバー部材は、窒素原料ガスが混合融液へ溶け込むための間隙を有し、混合融液の表面に配置される。支持装置は、III族窒化物結晶からなる種結晶を混合融液中または混合融液の表面に支持する。カバー部材は、支持装置との間に設けられた第1の間隙と、製造するIII族窒化物結晶の直径に応じた位置に設けられた第2の間隙とを有する。
好ましくは、カバー部材は、略平板形状からなる。
好ましくは、カバー部材は、略箱型形状からなる。
好ましくは、結晶製造装置は、温度設定装置と、温度制御装置とをさらに備える。温度設定装置は、種結晶の温度を所定の温度に設定する。温度制御装置は、種結晶の温度が混合融液の温度よりも低くなるように加熱装置および温度設定装置を制御する。
また、この発明によれば、結晶製造装置は、反応容器と、ガス供給装置と、加熱装置と、カバー部材と、温度設定装置と、温度制御装置とを備える。反応容器は、アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する。ガス供給装置は、反応容器内の混合融液に接する容器空間へ外部から窒素原料ガスを供給する。加熱装置は、混合融液を結晶成長温度に加熱する。カバー部材は、内周部と、内周部の外側に設けられた外周部と、内周部と外周部との間に設けられ、窒素原料ガスが混合融液へ溶け込むための間隙とを有し、混合融液の表面に配置される。温度設定装置は、内周部の温度を所定の温度に設定する。温度制御装置は、内周部の温度が混合融液の温度よりも低くなるように加熱装置および温度設定装置を制御する。
また、この発明によれば、結晶製造装置は、反応容器と、ガス供給装置と、加熱装置と、カバー部材と、温度設定装置と、温度制御装置とを備える。反応容器は、アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する。ガス供給装置は、反応容器内の混合融液に接する容器空間へ外部から窒素原料ガスを供給する。加熱装置は、混合融液を結晶成長温度に加熱する。カバー部材は、窒素原料ガスが混合融液へ溶け込むための間隙を有し、混合融液の表面に配置される。温度設定装置は、カバー部材の温度を所定の温度に設定する。温度制御装置は、カバー部材の温度が混合融液の温度よりも低くなるように加熱装置および温度設定装置を制御する。カバー部材は、反応容器の内壁との間に間隙を有する。
好ましくは、カバー部材は、混合融液の表面の上下動に伴って移動する。
好ましくは、カバー部材は、円形または多角形の平面形状を有する。
この発明による結晶製造装置においては、窒素原料ガスが混合融液へ溶け込むための間隙を有するカバー部材が混合融液の表面に配置された状態でIII族窒化物結晶が製造される。
したがって、アルカリ金属の混合融液からの蒸発量を抑制してIII族窒化物結晶を製造できる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による結晶製造装置の概略断面図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による結晶製造装置100は、坩堝10と、反応容器20と、ベローズ30と、支持装置40と、加熱装置50,60と、温度センサー51,61,71,81と、加熱/冷却器70,80と、ガス供給管90,200と、バルブ110,150と、圧力調整器120と、ガスボンベ130,220と、排気管140と、真空ポンプ160と、圧力センサー170と、配管180と、熱電対190と、流量計210と、振動印加装置230と、上下機構240と、振動検出装置250と、温度制御装置260と、アルカリ金属融液280,290と、フローティングカバー300とを備える。
坩堝10は、略円柱形状を有し、ボロンナイトライド(BN)またはSUS316Lからなる。反応容器20は、坩堝10と所定の間隔を隔てて坩堝10の周囲に配置される。すなわち、反応容器20は、坩堝10を内部に含む。そして、反応容器20は、本体部21と、蓋部22と、融液溜め部23とからなる。本体部21、蓋部22および融液溜め部23の各々は、SUS316Lからなり、本体部21と蓋部22との間は、メタルオーリングによってシールされる。また、融液溜め部23は、本体部21の底面に設けられる。
ベローズ30は、重力方向DR1において、坩堝10の上側で反応容器20に連結される。支持装置40は、中空の筒形状からなり、一部がベローズ30を介して反応容器20内の空間24内へ挿入される。
加熱装置50は、反応容器20の外周面20Aを囲むように配置される。加熱装置60は、反応容器20の底面20Bに対向して配置される。温度センサー51,61は、それぞれ、加熱装置50,60に近接して配置される。
加熱/冷却器70は、融液溜め部23の周囲を囲むように配置され、加熱/冷却器80は、ガス供給管90のうち、融液凝集部90Aの周囲を囲むように配置される。温度センサー71,81は、それぞれ、加熱/冷却器70,80に近接して配置される。
ガス供給管90は、ガス供給管91,92からなる。ガス供給管91は、融液凝集部90Aを有し、一方端がベローズ30に連結され、他方端がバルブ110に連結される。ガス供給管92は、一方端がバルブ110に連結され、他方端が圧力調整器120を介してガスボンベ130に連結される。バルブ110は、ガス供給管90に装着され、ガス供給管91とガス供給管92とを連結する。
圧力調整器120は、ガスボンベ130の近傍でガス供給管90(ガス供給管92)に装着される。ガスボンベ130は、ガス供給管90(ガス供給管92)に連結される。
排気管140は、一方端がバルブ150を介して反応容器20に連結され、他方端が真空ポンプ160に連結される。バルブ150は、反応容器20の近傍で排気管140に装着される。真空ポンプ160は、排気管140の他方端に連結される。
圧力センサー170は、反応容器20に取り付けられる。配管180および熱電対190は、支持装置40の内部に挿入される。ガス供給管200は、一方端が配管180に連結され、他方端が流量計210を介してガスボンベ220に連結される。流量計210は、ガスボンベ220の近傍でガス供給管200に装着される。ガスボンベ220は、ガス供給管200の他方端に連結される。上下機構240は、ベローズ30の上側において支持装置40に取り付けられる。
アルカリ金属融液280は、金属ナトリウム(金属Na)融液からなり、融液溜め部23に保持される。アルカリ金属融液290は、金属Na融液からなり、ガス供給管90の融液凝集部90Aに保持される。
フローティングカバー300は、たとえば、BNからなり、支持装置40の周囲において混合融液270の表面に配置される。
坩堝10は、金属Naと、金属ガリウム(金属Ga)とを含む混合融液270を保持する。反応容器20は、坩堝10の周囲を覆う。融液溜め部23は、アルカリ金属融液280を溜める。ベローズ30は、支持装置40を保持するとともに、反応容器20の内部と外部とを遮断する。また、ベローズ30は、支持装置40の重力方向DR1への移動に伴って重力方向DR1に伸縮する。支持装置40は、反応容器20内に挿入された一方端に結晶成長されたGaN結晶を支持する。
加熱装置50は、ヒーターと、電流源とからなる。そして、加熱装置50は、温度制御装置260からの制御信号CTL1に応じて電流源によってヒーターに電流を流し、反応容器20の外周面20Aから坩堝10および反応容器20を結晶成長温度に加熱する。温度センサー51は、加熱装置50のヒーターの温度T1を検出し、その検出した温度T1を温度制御装置260へ出力する。
加熱装置60も、ヒーターと、電流源とからなる。そして、加熱装置60は、温度制御装置260からの制御信号CTL2に応じて電流源によってヒーターに電流を流し、反応容器20の底面20Bから坩堝10および反応容器20を結晶成長温度に加熱する。温度センサー61は、加熱装置60のヒーターの温度T2を検出し、その検出した温度T2を温度制御装置260へ出力する。
加熱/冷却器70は、加熱部と冷却部とからなる。加熱部は、ヒーターと、電流源とからなり、電流源によってヒーターに電流を流すことによって融液溜め部23を加熱する。また、冷却部は、融液溜め部23に冷風を吹きつけることによって融液溜め部23を冷却する。加熱/冷却器70は、温度制御装置260からの制御信号CTL3に応じて、融液溜め部23の温度を蒸発抑制温度に加熱し、または融液溜め部23の温度を凝集温度に冷却する。ここで、蒸発抑制温度は、混合融液270から蒸発するアルカリ金属(金属Na)の蒸気圧PNa−Gaがアルカリ金属融液280から蒸発するアルカリ金属(金属Na)の蒸気圧PNaに略一致する温度である。また、凝集温度は、アルカリ金属蒸気(金属Na蒸気)が金属融液として溜まる温度である。
温度センサー71は、加熱/冷却器70の加熱部または冷却部の温度T3を検出し、その検出した温度T3を温度制御装置260へ出力する。
加熱/冷却器80は、加熱/冷却器70と同じ構造からなる。そして、加熱/冷却器80は、温度制御装置260からの制御信号CTL4に応じて、融液凝集部90Aの温度を凝集温度に設定し、または融液凝集部90Aの温度を蒸発促進温度に加熱する。ここで、蒸発促進温度は、アルカリ金属が気相輸送によって他の部分へ移動する温度である。
温度センサー81は、加熱/冷却器80の加熱部または冷却部の温度T4を検出し、その検出した温度T4を温度制御装置260へ出力する。
ガス供給管90は、ガスボンベ130から圧力調整器120を介して供給された窒素ガスをアルカリ金属融液290を介して反応容器20内へ供給する。バルブ110は、ガス供給管90内の窒素ガスを反応容器20内へ供給し、または窒素ガスの反応容器20内への供給を停止する。また、バルブ110は、ガス供給管90をガス供給管91,92に分離し、またはガス供給管91,92を連結する。圧力調整器120は、ガスボンベ130からの窒素ガスを所定の圧力にしてガス供給管90に供給する。
ガスボンベ130は、窒素ガスを保持する。排気管140は、反応容器20内の気体を真空ポンプ160へ通過させる。バルブ150は、反応容器20内と排気管140とを空間的に繋げ、または反応容器20内と排気管140とを空間的に遮断する。真空ポンプ160は、排気管140およびバルブ150を介して反応容器20内の真空引きを行なう。
圧力センサー170は、反応容器20内の圧力を検出する。配管180は、ガス供給管200から供給された窒素ガスを一方端から支持装置40内へ放出して種結晶またはGaN結晶を冷却する。熱電対190は、種結晶またはGaN結晶の温度T5を検出し、その検出した温度T5を温度制御装置260へ出力する。なお、支持装置40内に放出された窒素ガスは、支持装置40の図示されていない開口部を介して結晶製造装置100外へ放出される。
ガス供給管200は、ガスボンベ220から流量計210を介して供給された窒素ガスを配管180へ供給する。流量計210は、温度制御装置260からの制御信号CTL5に応じて、ガスボンベ220から供給された窒素ガスの流量を調整してガス供給管200へ供給する。ガスボンベ220は、窒素ガスを保持する。
振動印加装置230は、たとえば、圧電素子からなり、所定の周波数を有する振動を支持装置40に印加する。上下機構240は、振動検出装置250からの振動検出信号BDSに応じて、後述する方法によって、種結晶が空間24と混合融液270との気液界面2に接するように支持装置40を上下する。
振動検出装置250は、たとえば、加速度ピックアップからなり、支持装置40の振動を検出するとともに、支持装置40の振動を示す振動検出信号BDSを上下機構240へ出力する。
温度制御装置260は、温度T1〜T5をそれぞれ温度センサー51,61,71,81および熱電対190から受け、その受けた温度T1〜T5に基づいてそれぞれ制御信号CTL1〜CTL5を生成する。より具体的には、温度制御装置260は、温度センサー51からの温度T1に基づいて、坩堝10および反応容器20を結晶成長温度に加熱するための制御信号CTL1を生成し、温度センサー61からの温度T2に基づいて、坩堝10および反応容器20を結晶成長温度に加熱するための制御信号CTL2を生成する。また、温度制御装置260は、温度センサー71からの温度T3に基づいて、融液溜め部23の温度を蒸発抑制温度Tevcに制御するための制御信号CTL3を生成し、または融液溜め部23の温度を凝集温度Tcohに制御するための制御信号CTL3を生成する。さらに、温度制御装置260は、温度センサー81からの温度T4に基づいて、融液凝集部90Aの温度を凝集温度Tcohに制御するための制御信号CTL4を生成し、または融液凝集部90Aの温度を蒸発促進温度Tevに制御するための制御信号CTL4を生成する。さらに、温度制御装置260は、熱電対190からの温度T5に基づいて、種結晶またはGaN結晶の温度T5を種結晶周辺の混合融液の温度よりも低い温度に設定する流量からなる窒素ガスを流すための制御信号CTL5を生成する。
そして、温度制御装置260は、その生成した制御信号CTL1,CTL2をそれぞれ加熱装置50,60へ出力し、制御信号CTL3,CTL4をそれぞれ加熱/冷却器70,80へ出力し、制御信号CTL5を流量計210へ出力する。
フローティングカバー300は、金属Naが混合融液270から蒸発するのを抑制する。
図2は、図1に示す支持装置40、配管180および熱電対190の拡大図である。図2を参照して、支持装置40は、筒状部材41からなる。筒状部材41は、略円形の断面形状を有する。
配管180は、略円形の断面形状を有し、筒状部材41の内部に配置される。この場合、配管180の底面180Aは、筒状部材41の底面41Bに対向するように配置される。そして、配管180の底面180Aには、複数の空孔181が形成されている。配管180内へ供給された窒素ガスは、複数の空孔181を介して筒状部材41の底面41Bに吹き付けられる。
熱電対190は、一方端190Aが筒状部材41の底面41Bに接するように筒状部材41の内部に配置される。そして、種結晶5は、筒状部材41の底面41Bに取り付けられる(図2の(a)参照)。
種結晶5を含むGaN結晶6は、筒状部材41の底面41Bに結晶成長する(図2の(b)参照)。
したがって、GaN結晶6と筒状部材41との間の熱伝導率が高くなる。その結果、熱電対190によってGaN結晶6の温度T5を検出できるとともに、配管180から筒状部材41の底面41Bに吹き付けられた窒素ガスによってGaN結晶6を容易に冷却できる。
図3は、図1に示す上下機構240の構成を示す概略図である。図3を参照して、上下機構240は、凹凸部材241と、歯車242と、軸部材243と、モータ244と、制御部245とを含む。
凹凸部材241は、略三角形状の断面形状からなり、筒状部材41の外周面41Aに固定される。歯車242は、軸部材243の一方端に固定され、凹凸部材241と噛み合う。軸部材243は、その一方端が歯車242に連結され、他方端がモータ244のシャフト(図示せず)に連結される。
モータ244は、制御部245からの制御に従って歯車242を矢印246または247の方向へ回転させる。制御部245は、振動検出装置250からの振動検出信号BDSに基づいて、歯車242を矢印246または247の方向へ回転させるようにモータ244を制御する。
歯車242が矢印246の方向へ回転すれば、支持装置40は、重力方向DR1において上方向へ移動し、歯車242が矢印247の方向へ回転すれば、支持装置40は、重力方向DR1において下方向へ移動する。
したがって、歯車242を矢印246または247の方向へ回転させることは、支持装置40を重力方向DR1において上下させることに相当する。凹凸部材241の重力方向DR1の長さは、支持装置40がGaN結晶6を上下させる距離に相当する長さである。
図4は、振動検出信号BDSのタイミングチャートである。図4を参照して、振動検出装置250によって検出される振動検出信号BDSは、支持装置40が混合融液270に接していないとき、信号成分SS1からなり、支持装置40が混合融液270に接しているとき、信号成分SS2からなり、支持装置40の一部が混合融液270に浸漬されているとき、信号成分SS3からなる。
支持装置40が混合融液270に接していないとき、支持装置40は、振動印加装置230により印加された振動によって大きく振動するので、振動検出信号BDSは、振幅が相対的に大きい信号成分SS1からなる。一方、支持装置40が混合融液270に接しているとき、支持装置40は、振動印加装置230から振動が印加されても、混合融液270の粘性によって大きく振動できないので、振動検出信号BDSは、振幅が相対的に小さい信号成分SS2からなる。また、支持装置40の一部(またはGaN結晶6)が混合融液270に浸漬されているとき、支持装置40(またはGaN結晶6)は、振動印加装置230から振動が印加されても、混合融液270の粘性によってさらに振動し難くなるので、振動検出信号BDSは、振幅が信号成分SS2よりも小さい信号成分SS3からなる。
再び、図3を参照して、制御部245は、振動検出装置250から振動検出信号BDSを受けると、振動検出信号BDSの信号成分を検出する。そして、制御部245は、その検出した信号成分が信号成分SS1からなるとき、振動検出信号BDSの信号成分が信号成分SS2またはSS3になるまで、支持装置40を重力方向DR1において降下させるようにモータ244を制御する。
より具体的には、制御部245は、歯車242を矢印247の方向へ回転させるようにモータ244を制御し、モータ244は、制御部245からの制御に従って歯車242を軸部材243を介して矢印247の方向へ回転させる。これによって、支持装置40は、重力方向DR1において下方向へ移動する。
そして、制御部245は、振動検出装置250から受ける振動検出信号BDSの信号成分が信号成分SS1から信号成分SS2またはSS3へ切換わると、歯車242の回転を停止するようにモータ244を制御し、モータ244は、制御部245からの制御に従って歯車242の回転を停止させる。これによって、支持装置40は、移動を停止し、支持装置40の一方端を気液界面2に保持し、または支持装置40の一方端を混合融液270中に保持する。
一方、制御部245は、信号成分SS2またはSS3からなる振動検出信号BDSを振動検出装置250から受けたとき、支持装置40の移動を停止するようにモータ244を制御する。
このように、上下機構240は、振動検出装置250が検出する振動検出信号BDSに基づいて、支持装置40の一方端が混合融液270に接するように、または支持装置40の一方端が混合融液270に浸漬されるように支持装置40を重力方向DR1に移動させる。
図5は、図1に示すフローティングカバーの平面図である。図5を参照して、フローティングカバー300は、開口部301を有し、内径rと外径Rとを有するドーナツ形状からなる。内径rは、支持装置40の直径にαを加えた値からなる。αは、窒素ガスが混合融液270に溶け込むための隙間が支持装置40とフローティングカバー300との間に形成される値からなる。そして、外径Rは、坩堝10の内径に略等しい。
支持装置40の一方端は、開口部301を介して混合融液270の表面または混合融液270中に保持される。
図6は、図1に示す坩堝10、反応容器20、融液溜め部23および融液凝集部90Aの温度のタイミングチャートである。また、図7は、図6に示すタイミングt1,t3間における坩堝10、反応容器20、融液溜め部23および融液凝集部90A内の状態変化を示す模式図である。さらに、図8は、図6に示すタイミングt3における坩堝10および反応容器20内の状態を示す模式図である。さらに、図9は、GaN結晶6の温度と窒素ガスの流量との関係を示す図である。
なお、図6おいて、直線k1は、坩堝10および反応容器20の温度を示し、曲線k2および直線k3は、GaN結晶6の温度を示し、曲線k4は、融液溜め部23の温度を示し、曲線k5は、融液凝集部90Aの温度を示す。
図6を参照して、加熱装置50,60は、タイミングt5までの期間において、直線k1に従って温度が上昇し、かつ、800℃に保持されるように坩堝10および反応容器20を加熱する。また、加熱/冷却器70は、タイミングt5までの期間において、曲線k4に従って温度が上昇し、かつ、蒸発抑制温度Tevcに保持されるように融液溜め部23を加熱する。さらに、加熱/冷却器80は、タイミングt5までの期間において、曲線k5に従って温度が上昇し、かつ、凝集温度Tcohに保持されるように融液凝集部90Aを加熱する。
加熱装置50,60が坩堝10および反応容器20を加熱し始めたとき、坩堝10内には、金属Na7および金属Ga8が存在し、加熱/冷却部70が融液溜め部23を加熱し始め、かつ、加熱/冷却部80が融液凝集部90Aを加熱し始めたとき、融液溜め部23には、金属Na7が存在し、融液凝集部90Aには、金属Na7は存在しない(図7の(a)参照)。
そして、坩堝10および反応容器20の温度がタイミングt1において98℃に達すると、坩堝10中の金属Na7は溶け、約30℃で既に溶けている金属Ga8と混ざり合う。その後、GaとNaとの金属間化合物が生成され、この金属間化合物は、560℃以上の温度において坩堝10中で混合融液270となる。そして、坩堝10および反応容器20の温度は、タイミングt3において800℃に達する。
また、融液溜め部23の温度がタイミングt2において98℃に達すると、融液溜め部23内の金属Na7は溶け、アルカリ金属融液280が融液溜め部23に生成される。その後、融液溜め部23の温度は、タイミングt3において蒸発抑制温度Tevcに達する。さらに、融液凝集部90Aの温度は、タイミングt3において凝集温度Tcohに達する。
そうすると、坩堝10および反応容器20が800℃に加熱され、融液溜め部23が蒸発抑制温度Tevcに加熱される過程において、アルカリ金属融液280から蒸発する金属Naの蒸気圧PNaは、徐々に高くなり、混合融液270から蒸発する金属Naの蒸気圧PNa−Gaも徐々に高くなる。そして、混合融液270および/またはアルカリ金属融液280から蒸発した金属Naは、坩堝10、反応容器20および融液溜め部23の温度よりも低温である凝集温度Tcohに保持された融液凝集部90Aに凝集される。その結果、融液凝集部90Aには、アルカリ金属融液290が生成される。
そして、タイミングt3において、混合融液270から蒸発するアルカリ金属の蒸気圧PNa−Gaは、アルカリ金属融液280から蒸発するアルカリ金属の蒸気圧PNaに略一致する(図7の(b)参照)。その結果、混合融液270およびアルカリ金属融液280からの金属Naの蒸発による混合融液270中の金属Naと金属Gaとの混合比の変動が抑制される。
このとき、融液凝集部90Aの温度が金属Naの融点以上で、かつ、Naの実質的蒸発が生じない温度であれば、ガス供給管90内においてバルブ110側への金属Naの拡散を無視でき、混合融液270中の金属Naと金属Gaとの混合比の変動を一層抑制できる。ここで言うNaの実質的蒸発が生じない温度とは、たとえば、200〜300℃である。200℃におけるNaの蒸気圧は、約1.8×10−2Paであり、300℃におけるNaの蒸気圧は、約1.8Paであり、これ以上の温度であっても、多少の蒸発による拡散はあるが、混合融液270中の金属Naと金属Gaとの混合比の変動を抑制できる。したがって、凝集温度Tcohは、好ましくは、200〜300℃の範囲に設定される。
また、混合融液270の表面には、フローティングカバー300が配置されているので、坩堝10および反応容器20内の混合融液270からNaの蒸発が発生するタイミング以降でも、金属Naの混合融液270からの蒸発が抑制され、金属Naの蒸発による混合融液270中の金属Naと金属Gaとの混合比の変動を抑制できる。即ち、フローティングカバー300の下面が混合融液表面と接することにより、混合融液270の気液界面の面積が小さくなり、混合融液270からのNa蒸発量を抑制することが可能となる。
窒素ガス4は、圧力調整器120によって圧力調整され、ガス供給管90を介して空間24内に充填されている(図8参照)。
また、坩堝10および反応容器20の温度が800℃に達するタイミングt3で、上下機構240は、振動検出装置250からの振動検出信号BDSに基づいて、上述した方法によって支持装置40を上下し、支持装置40の一方端を混合融液270に接触させる。
そして、坩堝10および反応容器20の温度が800℃程度の高温状態では、空間24内の窒素ガス4は、金属Naを媒介として混合融液270中に取り込まれる。この場合、混合融液270中の窒素濃度またはGa(x,yは実数)の濃度は、空間24と混合融液270との気液界面2付近において最も高いため、GaN結晶6が種結晶5から結晶成長する。なお、この発明においては、Gaを「III族窒化物」と言い、Gaの濃度を「III族窒化物濃度」と言う。
窒素ガスを配管180内へ供給しない場合、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5は、混合融液270の温度と同じ800℃であるが、この発明においては、種結晶5またはGaN結晶6付近の混合融液270中の窒素またはIII族窒化物の過飽和度を上げるために、配管180内へ窒素ガスを供給して種結晶5またはGaN結晶6を冷却し、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5を混合融液270の温度よりも低くする。
より具体的には、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5は、タイミングt3以降、曲線k2に従って800℃よりも低い温度Ts1に設定される。この温度Ts1は、例えば、790℃である。種結晶5またはGaN結晶6の温度T5を温度Ts1に設定する方法について説明する。
温度制御装置260は、温度センサー51,61からそれぞれ受けた温度T1,T2が800+α℃(=坩堝10および反応容器20を800℃に設定したときの加熱装置50,60に含まれるヒーターの温度)に達すると、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5を温度Ts1に設定する流量からなる窒素ガスを流すための制御信号CTL5を生成して流量計210へ出力する。
そうすると、流量計210は、制御信号CTL5に応じて、温度T5を温度Ts1に設定する流量からなる窒素ガスをガスボンベ220からガス供給管200を介して配管180内へ流す。種結晶5またはGaN結晶6の温度は、窒素ガスの流量に略比例して800℃から低下し、窒素ガスの流量が流量fr1(sccm)になると、GaN結晶6の温度T5は、温度Ts1に設定される(図9参照)。
したがって、流量計210は、流量fr1からなる窒素ガスを配管180内へ流す。そして、配管180内へ供給された窒素ガスは、配管180の複数の空孔181から筒状部材41の底面41Bに吹き付けられる。
これによって、種結晶5またはGaN結晶6は、筒状部材41の底面41Bを介して冷却され、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5は、タイミングt4で温度Ts1に低下し、その後、タイミングt5まで温度Ts1に保持される。
加熱装置50,60のヒーターの温度T1,T2は、混合融液270の温度と所定の温度差αを有するため、温度制御装置260は、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5が800℃から低下し始めると、温度センサー51,61からそれぞれ受けた温度T1,T2が800+α℃に設定されるように制御信号CTL1,2によってそれぞれ加熱装置50,60を制御する。
なお、この発明においては、好ましくは、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5は、タイミングt3以降、直線k3に従って低下するように制御される。すなわち、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5は、タイミングt3からタイミングt5までの間で800℃から温度Ts2(<Ts1)まで低下される。この場合、流量計210は、温度制御装置260からの制御信号CTL5に基づいて、直線k6に従って配管180内へ流す窒素ガスの流量を0から流量fr2(>fr1)まで増加する。窒素ガスの流量が流量fr2になると、種結晶5またはGaN結晶6の温度T5は、温度Ts1よりも低い温度Ts2に設定される。そして、温度Ts2は、たとえば、750℃である。
このように、混合融液270の温度(=800℃)と種結晶5またはGaN結晶6の温度T5との差を徐々に大きくすることによって、種結晶5またはGaN結晶6付近の混合融液270中の窒素またはIII族窒化物の過飽和度が徐々に大きくなり、種結晶5またはGaN結晶6の結晶成長を少なくとも継続できる。
図10は、GaN結晶を成長させる場合の窒素ガス圧と混合融液温度との関係を示す図である。図10において、横軸は、混合融液温度を表し、縦軸は、窒素ガス圧を表す。また、領域REG1は、GaN結晶が溶解する領域であり、領域REG2は、坩堝10の混合融液270に接する底面および側面において多くの核が自発的に発生し、c軸(<0001>)方向に成長した柱状形状のGaN結晶が製造される領域であり、領域REG3は、GaN結晶が種結晶から結晶成長する領域である。
この発明においては、領域REG2に含まれる温度および圧力を用いてGaN結晶を結晶成長し、または領域REG3に含まれる温度および圧力を用いて種結晶5からGaN結晶6を結晶成長させる。
再び、図6を参照して、GaN結晶6の結晶成長がタイミングt5で終了すると、加熱装置50,60は、坩堝10および反応容器20の加熱を停止し、坩堝10および反応容器20の温度は、曲線k1に従って800℃から低下し、GaN結晶6の温度T5は、温度Ts1(または温度Ts2)から低下する。
一方、加熱/冷却器70は、曲線k4に従って融液溜め部23を冷却し、融液溜め部23の温度は、タイミングt6からタイミングt7までの間、凝集温度Tcohに保持される。また、加熱/冷却器80は、曲線k5に従って融液凝集部90Aを加熱し、融液凝集部90Aは、タイミングt6からタイミングt7までの間、蒸発促進温度Tevに保持される。ここで、蒸発促進温度Tevは、アルカリ金属融液290が気相輸送によって融液凝集部90Aから他の部分へ移動する温度である。
タイミングt6からタイミングt7までの間、融液溜め部23の温度は、凝集温度Tcohに保持され、融液凝集部90Aの温度は、蒸発促進温度Tevに保持される結果、アルカリ金属融液290は、蒸発して融液溜め部23へ気相輸送される。そして、タイミングt7においては、融液凝集部90Aには、アルカリ金属融液290は存在しない。なお、アルカリ金属融液290が融液凝集部90Aから融液溜め部23へ気相輸送される場合、バルブ110は閉じられているため、アルカリ金属融液290から蒸発した金属Naの蒸気が圧力調整器120側へ拡散することはない。
タイミングt7において、アルカリ金属融液290の融液凝集部90Aから融液溜め部23への気相輸送が終了すると、加熱/冷却器70は、融液溜め部23を冷却し、加熱/冷却器80は、融液凝集部90Aを冷却する。これによって、坩堝10、反応容器20、融液溜め部23および融液凝集部90Aは、タイミングt7以降、室温へ向かって冷却される。
図11は、GaN結晶の製造方法を説明するためのフローチャートである。図11を参照して、一連の動作が開始されると、バルブ110によってガス供給管90をガス供給管91,92に分離し、Arガスが充填されたグローブボックス内へ坩堝10、反応容器20およびガス供給管91を入れる。そして、Arガス雰囲気中で金属Naを反応容器20の融液溜め部23に入れる(ステップS1)。なお、Arガスは、水分量が1ppm以下であり、かつ、酸素量が1ppm以下であるArガスである(以下、同じ)。
その後、Arガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを坩堝10に入れる(ステップS2)。この場合、金属Naおよび金属Gaを5:5の混合比で坩堝10に入れる。そして、Arガス雰囲気中でフローティングカバー300を坩堝に入れ(ステップS3)、金属Naおよび金属Gaを入れた坩堝10を反応容器20内に設置する。
引続いて、グローブボックスから坩堝10、反応容器20およびガス供給管91を取り出し、坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内にArガスを充填した状態で坩堝10、反応容器20およびガス供給管91を結晶製造装置100に設定する。
そして、ガス供給管92をバルブ110に連結し、バルブ110を閉じた状態でバルブ150を開け、真空ポンプ160によって坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内に充填されたArガスを排気する。真空ポンプ160によって坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内を所定の圧力(0.133Pa以下)まで真空引きした後、バルブ150を閉じ、バルブ110を開けて窒素ガスをガスボンベ130からガス供給管90を介して坩堝10および反応容器20内へ充填する。この場合、圧力調整器120によって坩堝10および反応容器20内の圧力が0.1MPa程度になるように坩堝10および反応容器20内へ窒素ガスを供給する。
そして、圧力センサー170によって検出した反応容器20内の圧力が0.1MPa程度になると、バルブ110を閉じ、バルブ150を開けて真空ポンプ160によって坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内に充填された窒素ガスを排気する。この場合も、真空ポンプ160によって坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内を所定の圧力(0.133Pa以下)まで真空引きする。
そして、この坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内の真空引きと坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内への窒素ガスの充填とを数回繰り返し行なう。
その後、真空ポンプ160によって坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内を所定の圧力まで真空引きした後、バルブ150を閉じ、バルブ110を開けて圧力調整器120によって坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内の圧力が1.01MPaになるように坩堝10、反応容器20およびガス供給管91内へ窒素ガスを充填する(ステップS4)。
その後、加熱装置50,60によって坩堝10および反応容器20を800℃(=結晶成長温度)に加熱し(ステップS5)、加熱/冷却器70によって、アルカリ金属融液280から蒸発する金属Naの蒸気圧PNaが混合融液270から蒸発する金属Naの蒸気圧PNa−Gaに略一致する蒸発抑制温度Tevcにアルカリ金属融液280の温度を制御する(ステップS6)。
また、加熱/冷却器80によって、窒素ガスを供給するガス供給管90のうち、坩堝10および反応容器20の空間24に近い領域(=融液凝集部90A)の温度を凝集温度Tcohに制御する(ステップS7)。
この場合、融液溜め部23に保持された金属Naは、融点が約98℃であるので、融液溜め部23が蒸発抑制温度Tevcに加熱される過程で溶融され、アルカリ金属融液280になる。そして、気液界面1が発生する(図1参照)。気液界面1は、アルカリ金属融液280と反応容器20内の空間24との界面に位置する。
また、坩堝10および反応容器20が800℃に加熱される過程で、坩堝10内の金属Naおよび金属Gaも液体になり、金属Naと金属Gaとの混合融液270が坩堝10内に発生する。そして、フローティングカバー300は、発生した混合融液270の表面に浮かび、支持装置40との間で隙間を形成する。
融液溜め部23の温度が蒸発抑制温度Tevcに近づき、かつ、坩堝10の温度が800℃に近づくに従って、アルカリ金属融液280から蒸発する金属Naの蒸気圧PNaおよび混合融液270から蒸発する金属Naの蒸気圧PNa−Gaは、徐々に高くなり、反応容器20内の空間24に存在する金属Na蒸気が増加する。空間24に存在する金属Na蒸気の一部は、坩堝10および反応容器20の温度よりも低温である融液凝集部90Aへ拡散し、融液凝集部90Aでアルカリ金属融液290として凝集する。そして、蒸気圧PNaが蒸気圧PNa−Gaに略一致する。
その後、上下機構240は、上述した方法によって、種結晶5を混合融液270に浸漬させる(ステップS8)。そして、坩堝10および反応容器20の温度が800℃程度の高温状態では、空間24内の窒素ガスが金属Naを媒介として混合融液270中へ取り込まれていることから、GaN結晶6の種結晶5からの結晶成長が開始される。このときの坩堝10および反応容器20の温度および反応容器20内の窒素ガス圧力は、図10に示す領域REG3に存在する温度および圧力である。
その後、所定の時間(数時間)、坩堝10および反応容器20の温度が800℃に保持され、融液溜め部23のアルカリ金属融液280の温度が蒸発抑制温度Tevcに保持され、融液凝集部90Aの温度が凝集温度Tcohに保持される(ステップS9)。
GaN結晶の結晶成長が開始されると、GaN結晶の温度T5が上述した方法によって混合融液270の温度(=800℃)よりも低い温度Ts1またはTs2に設定される(ステップS10)。
GaN結晶の成長が進行すると、空間24内の窒素ガスが消費され、空間24内の窒素ガスが減少する。そうすると、空間24内の圧力P1がガス供給管90内の圧力P2よりも低くなり(P1<P2)、空間24内とガス供給管90内との間に差圧が発生し、ガス供給管91内の窒素ガスは、アルカリ金属融液290(=金属Na融液)を介して空間24内へ供給される。すなわち、窒素ガスが坩堝10および反応容器20の空間24へ補給される(ステップS11)。このとき、アルカリ金属融液290がガス供給管91の軸方向の断面全面を塞いで存在(バルブ110側と反応容器20側を仕切るように存在)していても、アルカリ金属融液290が液体であるために、窒素ガスの差圧によってアルカリ金属融液290を押しのけるようにして、窒素ガスが反応容器20内の空間24に導入されることとなる。
その後、GaN結晶6が混合融液270に接触するように、上述した方法によってGaN結晶6を移動させる(ステップS12)。これによって、大きなサイズを有するGaN結晶6が成長する。
そして、所定の時間が経過すると、坩堝10および反応容器20の温度が降温されて(ステップS13)、GaN結晶の製造が終了する。
なお、ステップS13の後、融液溜め部23の温度は、凝集温度Tcohに保持され、融液凝集部90Aの温度は、蒸発促進温度Tevに保持される。その結果、アルカリ金属融液290は、気相輸送によって融液凝集部90Aから融液溜め部23へ移動される。そして、図11に示すフローチャートに従って、次回のGaN結晶の製造が行なわれる。
このように、ガス供給管90内の融液凝集部90Aに溜まったアルカリ金属融液290が反応容器20内の融液溜め部23へ移動された状態で次回のGaN結晶を製造するための原料の仕込みが行なわれる。
図12は、GaN結晶が製造される過程を示す概念図である。図12を参照して、支持装置40の一方端に種結晶5を固定し、坩堝10および反応容器20の温度と、反応容器20内の窒素ガス圧とを種結晶成長モード(図10の領域REG3)に保持する(図11のステップS4,S5および図12の(a)参照)。
その後、種結晶5を混合融液270に浸漬すると(図11のステップS8参照)、支持装置40とフローティングカバー300との間に形成された間隙を介して窒素が混合融液270中へ溶け込み、GaN結晶6が種結晶5から成長する。
図10の領域REG3は、新たな結晶核が発生せず、種結晶からのGaN結晶の結晶成長が生じる領域である。従って、反応容器20の温度および窒素ガス圧を図10に示す領域REG3内の温度および圧力に設定することにより、支持装置40の底面41Bに固定されている種結晶5からGaN結晶6が結晶成長する。そして、フローティングカバー300の下面および坩堝10の内壁には、結晶核が付着しないため、フローティングカバー300は、混合融液270の液面の上下に伴って上下動が可能である。
上述したように、この発明においては、混合融液270の表面にフローティングカバー300を配置して種結晶成長モードでGaN結晶6の結晶成長が行なわれる。その結果、金属Naの混合融液270からの蒸発が支持装置40とフローティングカバー300との間の間隙に制限された状態でGaN結晶6が種結晶5から結晶成長する。
したがって、この発明によれば、金属Naの混合融液270からの蒸発を抑制してGaN結晶6を製造できる。
また、この発明においては、アルカリ金属融液280から蒸発する金属Naの蒸気圧PNaを混合融液270から蒸発する金属Naの蒸気圧PNa−Gaに略一致させてGaN結晶が製造される。そして、蒸気圧PNaを蒸気圧PNa−Gaに略一致させることは、加熱/冷却器70が融液溜め部23を蒸発抑制温度Tevcに加熱することによって実現される。
したがって、混合融液270中における金属Naと金属Gaとの混合比の変動が抑制される。その結果、金属Naと金属Gaとの混合比の変動を抑制してGaN結晶を製造できる。
さらに、窒素ガスを反応容器20内へ供給するガス供給管90の融液凝集部90Aは、アルカリ金属蒸気がアルカリ金属融液として溜まる凝集温度Tcohに保持されてGaN結晶が製造される。そして、融液凝集部90Aの温度を凝集温度Tcohに保持することは、加熱/冷却器80が融液凝集部90Aを凝集温度Tcohに制御(加熱/冷却)することによって実現される。
したがって、金属Na蒸気が反応容器20内の空間24からガス供給管90内へ拡散しても、その拡散した金属Naは、アルカリ金属融液290として融液凝集部90Aに溜まる。そして、反応容器20内の空間24に存在する金属Naの外部への拡散が抑制される。その結果、混合融液270中における金属Naと金属Gaとの混合比の変動が抑制され、金属Naと金属Gaとの混合比の変動を抑制してGaN結晶を製造できる。
上記においては、ガス供給管90内の融液凝集部90Aに金属Naを仕込まずにアルカリ金属融液280,290をそれぞれ融液溜め部23および融液凝集部90Aに保持してGaN結晶を結晶成長させると説明したが、この発明においては、これに限らず、融液溜め部23および融液凝集部90Aの両方に金属Naを仕込んでアルカリ金属融液280,290をそれぞれ融液溜め部23および融液凝集部90Aに保持するようにしてもよい。
図13は、他のフローティングカバーを示す概念図である。図13の(a)は、フローティングカバー310の斜視図を示し、図13の(b)は、図13の(a)に示す線XIIIb−XIIIb間におけるフローティングカバー310の断面図を示す。
この発明においては、結晶製造装置100は、図13に示すフローティングカバー310を備えていてもよい。図13を参照して、フローティングカバー310は、BNからなり、略箱型形状を有する。そして、フローティングカバー310は、内壁部311と、外壁部312と、開口部313と、空間部314と、底面部315とを含む。
内壁部311は、略円形形状からなり、直径rを有する。また、外壁部312は、略円形形状からなり、直径Rを有する。そして、内壁部311は、底面部315の内周端に沿って配置され、外壁部312は、底面部315の外周端に沿って配置される。その結果、内壁部311の内側に開口部313が形成されるとともに、内壁部311、外壁部312および底面部315によって囲まれた空間部314が形成される。
このように、フローティングカバー310は、箱型形状からなるので、混合融液270に浮き易い。
フローティングカバー310が用いられる場合、支持装置40は、一方端が開口部313を介して混合融液270に浸漬される。したがって、反応容器20の空間24に供給された窒素ガスは、支持装置40とフローティングカバー310の内壁部311との間に形成された間隙を介して混合融液270へ溶け込む。
図14は、さらに他のフローティングカバーを示す概念図である。この発明においては、結晶製造装置100は、図14に示すフローティングカバー320を備えていてもよい。図14を参照して、フローティングカバー320は、BNからなり、直径Rの略円形形状を有する。そして、フローティングカバー320は、開口部321〜329を含む。
開口部321は、支持装置40の直径に略等しい直径r1を有し、フローティングカバー320の中心部に設けられる。開口部322〜329は、反応容器20内の空間24に供給された窒素ガスを混合融液270へ供給するための開口部であり、フローティングカバー320の中心と同じ中心を有する直径R1の円形に沿って配置される。そして、直径R1は、結晶製造装置100によって製造されるGaN結晶の直径に略等しくなるように決定される。
フローティングカバー320が用いられる場合、支持装置40は、一方端が開口部321を介して混合融液270に浸漬される。この場合、開口部321は、支持装置40の直径に略等しい直径r1を有するので、支持装置40とフローティングカバー320との間には、間隙が形成されず、反応容器20の空間24に供給された窒素ガスは、開口部322〜329を介して混合融液270に溶け込み、GaN結晶6の結晶成長に寄与する。
図15は、さらに他のフローティングカバーを示す概念図である。この発明においては、結晶製造装置100は、図15に示すフローティングカバー330を備えていてもよい。図15を参照して、フローティングカバー330は、BNからなり、略円形形状を有する。そして、フローティングカバー330は、坩堝10の内周部の直径Rよりも小さい直径R2を有する。その結果、坩堝10の内壁とフローティングカバー330との間に間隙331が形成され、反応容器20の空間24に供給された窒素ガスは、間隙331を介して混合融液270に溶け込む。
図16は、図15に示すフローティングカバー330を用いたGaN結晶の結晶成長の概念図である。図16を参照して、フローティングカバー330が用いられる場合、支持装置40は、一方端に種結晶5を保持せず、フローティングカバー330に接触させられる。そして、支持装置40の内部に含まれる配管180中に窒素ガスを流すことによってフローティングカバー330は、混合融液270の温度よりも低い温度に冷却される。
また、フローティングカバー330が用いられる場合、結晶製造装置100は、図10に示す領域REG2に含まれる温度および圧力を用いてGaN結晶6を製造する。この場合、坩堝10とフローティングカバー330との間の間隙331を介して窒素ガスが混合融液270中へ溶け込み、複数の自発核がフローティングカバー330の下面に生成される。そして、その生成された複数の自発核が幾何学的選別作用により、最終的に1つの結晶となり、GaN結晶6が結晶成長する。
なお、フローティングカバー330が用いられる場合、支持装置40を用いずにGaN結晶を結晶成長させてもよく、フローティングカバー330の中心部に種結晶5を固定し、図10に示す領域REG3に含まれる温度および圧力を用いて種結晶5からGaN結晶6を製造してもよい。
図17は、さらに他のフローティングカバーを示す概念図である。この発明においては、結晶製造装置100は、図17に示すフローティングカバー340を備えていてもよい。図17を参照して、フローティングカバー340は、BNからなり、直径Rの略円形形状を有する。フローティングカバー340は、開口部341,342を有する。2つの開口部341,342は、略円形を形成するようにフローティングカバー340の中心部に配置される。その結果、フローティングカバー340は、内周部340Aと外周部340Bとに分離される。そして、開口部341,342は、反応容器20内の空間24に供給された窒素ガスを混合融液270へ供給するための開口部である。
図18は、図17に示すフローティングカバー340を用いたGaN結晶の結晶成長の概念図である。図18を参照して、フローティングカバー340が用いられる場合、支持装置40は、一方端に種結晶5を保持せず、フローティングカバー340の内周部340Aに接触させられる。そして、支持装置40の内部に含まれる配管180中に窒素ガスを流すことによってフローティングカバー340の内周部340Aは、混合融液270の温度よりも低い温度に冷却される。
また、フローティングカバー340が用いられる場合、結晶製造装置100は、図10に示す領域REG2に含まれる温度および圧力を用いてGaN結晶6を製造する。この場合、開口部341,342を介して窒素ガスが混合融液270中へ溶け込み、複数の自発核がフローティングカバー340の内周部340Aの下面に生成される。そして、その生成された複数の自発核が幾何学的選別作用により、最終的に1つの結晶となり、GaN結晶6が結晶成長する。
なお、フローティングカバー340が用いられる場合、支持装置40を用いずにGaN結晶を結晶成長させてもよく、フローティングカバー340の内周部340Aに種結晶5を固定し、図10に示す領域REG3に含まれる温度および圧力を用いて種結晶5からGaN結晶6を製造してもよい。
フローティングカバー330および340の説明において、前述したように、予め種結晶を保持していなくても良いが、種結晶を支持装置40の下でフローティングカバーの中心付近に予め保持して、図10の領域REG3の条件でGaN結晶を結晶成長させてもよい。
図19は、さらに他のフローティングカバーを示す概念図である。この発明においては、結晶製造装置100は、図19に示すフローティングカバー350を備えていてもよい。図19を参照して、フローティングカバー350は、BNからなり、対向する2つの頂点間の距離がRである略正八角形の形状を有する。そして、フローティングカバー340は、直径rの開口部351を中心部に有する。
フローティングカバー350が用いられる場合、支持装置40は、一方端が開口部351を介して混合融液270に浸漬される。この場合、反応容器20の空間24に供給された窒素ガスは、支持装置40とフローティングカバー350との間に形成された間隙を介して混合融液270に溶け込み、GaN結晶6の結晶成長に寄与する。
なお、フローティングカバー350においては、その形状は、正八角形に限らず、三角形、四角形、五角形、六角形および七角形等であってもよく、一般的には、多角形であればよい。
上述した各種のフローティングカバー300,310,320,330,340,350が用いられる場合、結晶製造装置100が図10に示す領域REG3に含まれる圧力および温度を用いてGaN結晶を製造すれば、雑結晶がフローティングカバー300,310,320,330,340,350に付着しないので、フローティングカバー300,310,320,330,340,350は、混合融液270の増減に伴って上下動する。
上述の実施の形態においては、フローティングカバーの材質をBNとしたが、これに限定されるものではなく、アルミナ、窒化アルミおよびタングステン(W)等の混合融液と反応しない材質で、混合融液に浮く比重と形状とを有するものであれば適応可能である。
更には、窒素が混合融液に溶解する開口部も上述の形状に限らず、ランダムな小径口であってもよい。
この発明による結晶製造装置は、上述した2つのアルカリ金属融液280,290の少なくとも一方のアルカリ金属融液の温度をアルカリ金属から蒸発するアルカリ金属の蒸気圧が混合融液から蒸発するアルカリ金属の蒸気圧に略一致する蒸発抑制温度に制御してGaN結晶を製造するものに限らず、一般的には、アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液からのアルカリ金属の蒸発を抑制するように第1のアルカリ金属融液の温度および/または第2のアルカリ金属融液の温度を制御する制御手段を備えていればよい。
また、上述した実施の形態においては、結晶成長温度は、800℃であると説明したが、この発明においては、これに限らず、結晶成長温度は、図10に示す領域REG2,REG3に含まれる結晶成長温度であればよい。また、窒素ガス圧力は、図10に示す領域REG2,REG3に含まれる圧力であればよい。
さらに、この発明による結晶製造装置は、結晶製造装置100から振動印加装置230、上下機構240および振動検出装置250を削除したものであってもよい。この場合、GaN結晶6は、上下方向へ移動されないが、坩堝10内に入れられた金属Naおよび金属Gaが融けた状態で支持装置40の底面41Bが混合融液270に接触するように支持装置40がセットされる。したがって、種結晶5からGaN結晶6が結晶成長する。その結果、大きいサイズのGaN結晶を製造できる。
さらに、この発明による結晶製造装置は、結晶製造装置100から配管180、熱電対190、ガス供給管200、流量計210およびガスボンベ220を削除したものであってもよい。この場合、GaN結晶6の温度T5は、GaN結晶の結晶成長中、混合融液270の温度よりも低温に制御されないが、GaN結晶6は、支持装置40によって混合融液270に接触されるので、GaN結晶6は、混合融液270中の金属Naと金属Gaとの混合比の変動が抑制された状態で種結晶5から成長する。その結果、大きなサイズのGaN結晶を製造できる。
さらに、この発明による結晶製造装置は、結晶製造装置100から配管180、熱電対190、ガス供給管200、流量計210、ガスボンベ220、振動印加装置230、上下機構240および振動検出装置250を削除したものであってもよい。この場合、GaN結晶6は、上下方向へ移動されず、GaN結晶6の温度T5は、混合融液270の温度よりも低い温度に制御されないが、坩堝10内に入れられた金属Naおよび金属Gaが融けた状態で混合融液270に接触するようにGaN結晶6が支持装置40によって支持される。したがって、GaN結晶6は、混合融液270中の金属Naと金属Gaとの混合比の変動が抑制された状態で種結晶5から成長する。その結果、大きいサイズのGaN結晶を製造できる。
さらに、上記においては、Arガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを坩堝10に入れ、Arガス雰囲気中で金属Naを融液溜め部23および/または融液凝集部90Aに入れると説明したが、この発明においては、これに限らず、He、NeおよびKr等のArガス以外のガスまたは窒素ガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを坩堝10に入れ、金属Naを融液溜め部23および/または融液凝集部90Aに入れてもよく、一般的には、不活性ガスまたは窒素ガス雰囲気中で金属Naおよび金属Gaを坩堝10に入れ、金属Naを融液溜め部23および/または融液凝集部90Aに入れればよい。そして、この場合、不活性ガスまたは窒素ガスは、水分量が1ppm以下であり、かつ、酸素量が1ppm以下である。
さらに、金属Gaと混合する金属は、Naであると説明したが、この発明においては、これに限らず、リチウム(Li)およびカリウム(K)等のアルカリ金属、またはマグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)およびストロンチウム(Sr)等のアルカリ土類金属を金属Gaと混合して混合融液270を生成してもよい。そして、これらのアルカリ金属が溶けたものは、アルカリ金属融液を構成し、これらのアルカリ土類金属が溶けたものは、アルカリ土類金属融液を構成する。
さらに、窒素ガスに代えて、アジ化ナトリウムおよびアンモニア等の窒素を構成元素に含む化合物を用いてもよい。そして、これらの化合物は、窒素原料ガスを構成する。
さらに、Gaに代えて、ボロン(B)、アルミニウム(Al)およびインジウム(In)等のIII族金属を用いてもよい。
したがって、この発明による結晶製造装置または製造方法は、一般的には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属とIII族金属(ボロンを含む)との混合融液を用いてIII族窒化物結晶を製造するものであればよい。
そして、この発明による結晶製造装置または製造方法を用いて製造したIII族窒化物結晶は、発光ダイオード、半導体レーザ、フォトダイオードおよびトランジスタ等のIII族窒化物半導体デバイスの作製に用いられる。
なお、ガス供給管90、圧力調整器120およびガスボンベ130は、「ガス供給装置」を構成する。
また、配管180、ガス供給管200、流量計210およびガスボンベ220は、「温度設定装置」を構成する。
さらに、フローティングカバー300,310,320,330,340,350は、「カバー部材」を構成する。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、アルカリ金属の混合融液からの蒸発を抑制してIII族窒化物結晶を製造可能な結晶製造装置に適用される。
この発明の実施の形態による結晶製造装置の概略断面図である。 図1に示す支持装置、配管および熱電対の拡大図である。 図1に示す上下機構の構成を示す概略図である。 振動検出信号のタイミングチャートである。 図1に示すフローティングカバーの平面図である。 図1に示す坩堝、反応容器、融液溜め部および融液凝集部の温度のタイミングチャートである。 図6に示すタイミングt1,t3間における坩堝、反応容器、融液溜め部および融液凝集部内の状態変化を示す模式図である。 図6に示すタイミングt3における坩堝および反応容器内の状態を示す模式図である。 GaN結晶の温度と窒素ガスの流量との関係を示す図である。 GaN結晶を成長させる場合の窒素ガス圧と混合融液温度との関係を示す図である。 GaN結晶の製造方法を説明するためのフローチャートである。 GaN結晶が製造される過程を示す概念図である。 他のフローティングカバーを示す概念図である。 さらに他のフローティングカバーを示す概念図である。 さらに他のフローティングカバーを示す概念図である。 図15に示すフローティングカバーを用いたGaN結晶の結晶成長の概念図である。 さらに他のフローティングカバーを示す概念図である。 図17に示すフローティングカバーを用いたGaN結晶の結晶成長の概念図である。 さらに他のフローティングカバーを示す概念図である。
符号の説明
1,2 気液界面、4 窒素ガス、5 種結晶、10 坩堝、20,300 反応容器、20A,41A 外周面、20B,41B,180A 底面、21,301 本体部、22 蓋部、23 融液溜め部、24 空間、30 ベローズ、40 支持装置、41 筒状部材、42,43 固定部材、44 空間部、50,60,330 加熱装置、51,61,71,71A,81,331 温度センサー、70,70A,70B,80,80A 加熱/冷却器、90,91,92,200 ガス供給管、90A 融液凝集部、100,100A,100B,100C,100D,100E 結晶製造装置、110,150 バルブ、120 圧力調整器、130,220 ガスボンベ、140 排気管、160 真空ポンプ、170 圧力センサー、180 配管、181 空孔、190 熱電対、190A,411 一方端、210 流量計、230 振動印加装置、240 上下機構、241 凹凸部材、242 歯車、243 軸部材、244 モータ、245 制御部、246,247 矢印、250 振動検出装置、260,260A,260B,260C 温度制御装置、270 混合融液、280,290 アルカリ金属融液。

Claims (8)

  1. アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する反応容器と、
    前記反応容器内の前記混合融液に接する容器空間へ外部から窒素原料ガスを供給するガス供給装置と、
    前記混合融液を結晶成長温度に加熱する加熱装置と、
    前記窒素原料ガスが前記混合融液へ溶け込むための間隙を有し、前記混合融液の表面に配置されたカバー部材と
    III族窒化物結晶からなる種結晶を前記混合融液中または前記混合融液の表面に支持する支持装置とを備え
    前記カバー部材は、前記支持装置との間に設けられた第1の間隙と、製造するIII族窒化物結晶の直径に応じた位置に設けられた第2の間隙とを有する、結晶製造装置。
  2. 前記カバー部材は、略平板形状からなる、請求項に記載の結晶製造装置。
  3. 前記カバー部材は、略箱型形状からなる、請求項に記載の結晶製造装置。
  4. 前記種結晶の温度を所定の温度に設定する温度設定装置と、
    前記種結晶の温度が前記混合融液の温度よりも低くなるように前記加熱装置および前記温度設定装置を制御する温度制御装置とをさらに備える、請求項から請求項のいずれか1項に記載の結晶製造装置。
  5. アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する反応容器と、
    前記反応容器内の前記混合融液に接する容器空間へ外部から窒素原料ガスを供給するガス供給装置と、
    前記混合融液を結晶成長温度に加熱する加熱装置と、
    内周部と、前記内周部の外側に設けられた外周部と、前記内周部と前記外周部との間に設けられ、前記窒素原料ガスが前記混合融液へ溶け込むための間隙を有し、前記混合融液の表面に配置されたカバー部材と
    前記内周部の温度を所定の温度に設定する温度設定装置と、
    前記内周部の温度が前記混合融液の温度よりも低くなるように前記加熱装置および前記温度設定装置を制御する温度制御装置とを備える結晶製造装置。
  6. アルカリ金属とIII族金属とを含む混合融液を保持する反応容器と、
    前記反応容器内の前記混合融液に接する容器空間へ外部から窒素原料ガスを供給するガス供給装置と、
    前記混合融液を結晶成長温度に加熱する加熱装置と、
    前記窒素原料ガスが前記混合融液へ溶け込むための間隙を有し、前記混合融液の表面に配置されたカバー部材と
    前記カバー部材の温度を所定の温度に設定する温度設定装置と、
    前記カバー部材の温度が前記混合融液の温度よりも低くなるように前記加熱装置および前記温度設定装置を制御する温度制御装置と、を備え
    前記カバー部材は、前記反応容器の内壁との間に前記間隙を有する、結晶製造装置。
  7. 前記カバー部材は、前記混合融液の表面の上下動に伴って移動する、請求項に記載の結晶製造装置。
  8. 前記カバー部材は、円形または多角形の平面形状を有する、請求項6又は請求項に記載の結晶製造装置。
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