JP4464750B2 - 結晶育成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、いわゆるナトリウムフラックス法を用いて窒化ガリウムの単結晶を育成するために特に好適に用いられる結晶育成装置に関する。
現在、窒化ガリウム(GaN)系デバイスは、同種の基板上に作製することが望ましいが、その基板が存在しない為、主としてサファイアなどの異種基板を用いて、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)や、MBE法(分子線結晶成長法)等を用いて育成が行なわれている。しかしながら、サファイア等の基板とGaNとの格子定数や熱膨張係数が大きく異なる為、GaN系デバイスの内部に多くの格子欠陥が発生する。このため、GaN系デバイスの特性(寿命、発光効率等)が低下するという問題点がある。
この問題点を解決するには、GaN基板上に、GaN系のデバイスを作製するホモエピタキシャル成長が望ましい。そこで、従来では、その基板となるGaN単結晶を得るために、ガリウムと窒素ガスとを直接反応させることが行なわれている(たとえば、非特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、約1300〜1600℃、約10000〜17000気圧という過酷な条件を必要とし、また実際に基板となり得る大型の結晶が得られていなかった。
一方、1997年に、ナトリウムフラックス中でGaN単結晶を育成する技術が開発された(たとえば、特許文献1参照)。以下、これをナトリウムフラックス法という。この方法によれば、育成温度が約600〜800℃と大幅に下げられるとともに、育成圧力も約45気圧と大幅に下げることができる。このナトリウムフラックス法では、原料の融液に加圧したガスを供給し、溶け込ませるので、液面付近の窒素濃度が高く、該液面付近で結晶成長させることが望ましい。
しかしながら、このナトリウムフラックス法では、前記のように育成温度および育成圧力を大幅に下げることができたとしても、依然として高圧・高温中での育成であることや腐食性の高いアルカリ金属等を用いていることから、結晶を理想的な位置に固定することは困難であった。そこで、特許文献2では、前記融液にビスマスなどの該融液に融け、比重が重く、成育結晶中に取込まれ難い材料を添加することで、結晶が成長しても液面付近に浮上させ、融液中に沈み込まないようにしている。
J. Phys. chem. Solids, 1998, 56, 639 米国特許公報第5868837号明細書 特開2003−313097号公報
前記特許文献2では、原料融液中の不純物の影響で、安定して良質の結晶が得られないという問題がある。また、原料融液中に不純物が含まれるので、結晶成長速度が遅く、大型の結晶が得られないという問題もある。
本発明の目的は、高品質で大きな結晶を育成することができる結晶育成装置を提供することである。
本発明の結晶育成装置は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の少なくとも1つとIII族金属とを含む融液に窒素原子を含むガスを反応させてIII族窒化物の結晶を成長させる結晶育成装置において、舟形に形成されることで浮力を発生し、その浮力によって前記融液の液面に浮上することができる結晶固定部によって、結晶育成の元になる種結晶を液面付近に保持することを特徴とする。
上記の構成によれば、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)などのアルカリ金属またはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属の少なくとも1つと、ガリウム(Ga)などのIII族金属とを含む出発原料を溶融して成る融液に窒素原子を含ませたガスを反応させて、窒化ガリウム(GaN)などのIII族窒化物の単結晶を得るようにした結晶育成装置において、結晶育成の元になる種結晶を保持するにあたって、窒素原子が液面から溶け込むので、前記種結晶を液面付近に保持する必要がある。そこで、本発明では、前記種結晶を保持する結晶固定部は、浮力によって前記融液の液面に浮上するようにする。
したがって、結晶が成長し、液面の降下とともに自動的に種結晶も下がり、液面からの距離を自動的に一定に保つことができ、複雑な高さ制御が不要である。また、前記結晶固定部は原料準備段階で入れておくだけでよく、その構造も簡便である。さらにまた、前記結晶固定部を融液の液面上に浮上させるにあたって、前記融液に前記出発原料以外の比重の重い材料を入れておく必要もない。これによって、安価に、高速で、高品質な結晶を再現性よく育成することができる。
また、前記結晶固定部としては、円、三角、四角等の錐状または錐台状や、半球状などの凸型形状で内部空間を有するように形成し、それを下に凸になるように液面に浮かべて舟のようにして浮力を発生させるので、前記結晶固定部を焼結体で形成し、それに含まれる気泡によって浮力を発生する場合に比べて、大きな浮力を発生することができる。
さらにまた、本発明の結晶育成装置では、前記結晶固定部は、前記舟形の開口端から外方に延びるフランジ部を有することを特徴とする。
上記の構成によれば、結晶育成中は高温環境にあるため融液表面が対流等で波がたっており、簡単な浮遊物の場合、ひっくり返り、成長しない可能性がある。そこで、結晶固定部にフランジ部を設けることで、前記融液の対流に対しても、また融液の攪拌のために前記融液を貯留する耐圧窯を揺動しても、前記種結晶を液面付近の一定深さに保持することができる。
また、本発明の結晶育成装置では、前記結晶固定部は、前記融液を貯留する耐圧窯の内部の平面視で70%以上の面積を有し、前記フランジ部には、その表裏を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする。
上記の構成によれば、結晶固定部に耐圧窯の内部の平面視で70%以上の面積を持たせることで、転覆・横転することが少なくできる。これによって、育成中、安定的に結晶成長が可能となる。
一方、本育成法は窒素ガスを連続供給することで効果を発揮するので、窒素の安定的な連続供給が必須となる。しかしながら、上記のように結晶固定部の面積を大きくすると、窒素の溶け込み可能な液面の露出した部分の面積が少なくなり、これにより窒素の溶け込み速度が低下し、それに伴い成長速度が遅くなる。そこで、前記フランジ部にその表裏を貫通する貫通孔を可能な限り形成することで、窒素の溶け込み面積を拡大し、結晶成長速度を向上することができる。
さらにまた、本発明の結晶育成装置では、前記結晶固定部は、前記種結晶と同じ材料から成ることを特徴とする。
上記の構成によれば、種として使用するIII族窒化物単結晶や多結晶、異種基板上にMOCVD法、MBE法もしくは昇華法等で作製したIII族窒化物の異種基板に浮力を持たせる構造とし、結晶固定部として種結晶自体を用いるので、不純物の混入を抑えることができ、高品質の結晶を得ることができる。
また、本発明の結晶育成装置では、前記結晶固定部は、高温の結晶育成温度においても磁性を有する第1の磁石を備え、前記融液を貯留する耐圧窯には、前記第1の磁石と磁気結合する第2の磁石と、該第2の磁石を回転駆動する回転機構とを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、結晶固定部に第1の磁石を設けるとともに、それに近接して第2の磁石を設け、2つの磁石を磁気結合させて回転機構によって第2の磁石を回転駆動することで、第1の磁石、したがって結晶固定部を連動して回転させる。
したがって、融液に溶解した窒素を攪拌して、種結晶に安定して一定濃度で供給し、成長速度を上げることができる。
さらにまた、本発明の結晶育成装置では、前記結晶固定部は、その重心が平面視における中心位置から偏心して形成されており、前記融液を貯留する耐圧窯を保持し、該耐圧窯を揺動させる揺動手段をさらに備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、結晶固定部の重心を中心位置から偏心させておき、耐圧窯を揺動させることで、液面が傾き、重力によって結晶固定部は回転する。
したがって、融液に溶解した窒素を攪拌して、種結晶に安定して一定濃度で供給し、成長速度を上げることができる。
また、本発明の結晶育成装置では、前記結晶固定部は、その融液下に没する位置に、融液を対流させる攪拌部材を有することを特徴とする。
上記の構成によれば、結晶固定部が回転すると、羽根などの攪拌部材によって表層から下層へ対流が生じ、融液に溶け込んだ窒素を速やかに種結晶固定部に供給し、結晶成長速度を上げることができる。
さらにまた、本発明の結晶育成装置はアルカリ金属またはアルカリ土類金属の少なくとも1つとIII族金属とを含む融液に窒素原子を含むガスを反応させてIII族窒化物の結晶を成長させる結晶育成装置において、ドーム形に形成され、前記融液の液面とこのドームの内部空間との間に閉じ込めた空気によって浮力を発生し、その浮力によって前記融液の液面に浮上することができる結晶固定部によって、結晶育成の元になる種結晶を液面付近に保持することを特徴とする。
上記の構成によれば、前記結晶固定部としては、円、三角、四角等の錐状または錐台状や、半球状などの凸型形状で内部空間を有するドーム状に形成し、それを上に凸になるように液面に浮かべて、液面とこのドームの内部空間との間に閉じ込めた空気によって浮力を発生する。したがって、前記結晶固定部を焼結体で形成し、それに含まれる気泡によって浮力を発生する場合に比べて、大きな浮力を発生することができる。
本発明の結晶育成装置は、以上のように、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)などのアルカリ金属またはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属の少なくとも1つと、ガリウム(Ga)などのIII族金属とを含む出発原料を溶融して成る融液に窒素原子を含ませたガスを反応させて、窒化ガリウム(GaN)などのIII族窒化物の単結晶を得るようにした結晶育成装置において、結晶育成の元になる種結晶を保持するにあたって、窒素原子が液面から溶け込むので、結晶固定部は、舟型やドーム形に形成されるなどして、浮力によって前記融液の液面に浮上し、前記種結晶を液面付近に保持する。
それゆえ、結晶が成長し、液面の降下とともに自動的に種結晶も下がり、液面からの距離を自動的に一定に保つことができ、複雑な高さ制御が不要である。また、前記結晶固定部は原料準備段階で入れておくだけでよく、その構造も簡便である。さらにまた、前記結晶固定部を融液の液面上に浮上させるにあたって、前記融液に前記出発原料以外の比重の重い材料を入れておく必要もない。これによって、安価に、高速で、高品質な結晶を再現性よく育成することができる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の一形態に係る結晶育成装置の全体構成を示す縦断面図である。この結晶育成装置は、概略的には、耐圧窯1内に貯留されたナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)などのアルカリ金属またはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属の少なくとも1つと、ガリウム(Ga)などのIII族金属とを含む出発原料をヒーター4によって結晶成長可能な温度(800℃程度)まで昇温させて溶解し、得られた融液3に、ガスボンベなどのガス供給部2から加圧(具体的には45気圧程度)した窒素ガスやアンモニアガスなどの窒素原子を含ませたガスを連続的に供給して溶け込ませ、その融液3の液面上に浮上させた結晶固定部5に保持させている種結晶9を成長させることで、窒化ガリウム(GaN)などのIII族窒化物の単結晶を得るようにした装置である。前記耐圧窯1は、上記の高温・高圧に耐え、かつ腐食性の高い前記アルカリ金属やアルカリ土類金属の腐食に耐える材料から成り、たとえばステンレス製である。
図2は、前記結晶固定部5を拡大して示す断面図である。この結晶固定部5は、融液3と反応し難い材料で、かつ融液3に不純物として溶け込み難い、イットリアまたはアルミナの少なくとも一方から成る。前記イットリアやアルミナから成る場合、それらの焼結体の形成時に加圧圧力を調整することで、内部に含まれる気泡の量が変化し、浮力を変化することができる。したがって、結晶がどれだけ成長した時点で、液面からどれだけの深さに保持するかに応じて、前記気泡の量を調整することで、所望とする浮力を発生することができる。
このようにして、結晶育成の元になる種結晶9を保持するにあたって、該種結晶9を結晶固定部5の浮力によって保持するので、結晶が成長し、液面の降下とともに種結晶9も下がり、複雑な高さ制御を行うことなく、種結晶9を自動的に前記液面付近に保持することができ、液面から溶け込む窒素原子の濃度が高い該液面付近で結晶を成長させることができる。また、前記結晶固定部5は原料準備段階で入れておくだけでよく、その構造も簡便である。さらにまた、前記結晶固定部5を融液の液面上に浮上させるにあたって、前記融液3に前記出発原料以外の比重の重い材料を入れておく必要もない。これによって、安価に、高速で、高品質な結晶を再現性よく育成することができる。
また、前記結晶固定部5の底面は、反応性の高い高温のアルカリ金属を含む融液3に直接接するので、その材料が反応し易いものであれば、その材料が融液3中に溶け出して不純物となり、結晶の成長を阻害し、たとえ得られても良質の結晶を成長させることは困難であるのに対して、上記のように、融液3と反応し難い材料で、かつ融液3に不純物として溶け込み難い、イットリアやアルミナから前記結晶固定部5を形成することで、良質の結晶を短時間で成長させることができる。
さらにまた、前記結晶育成装置では、前記結晶固定部5は、高温の結晶育成温度においても磁性を有し、かつ前記融液3内に没しても、その材料が融液3中に溶け出して不純物とならない材料から成る第1の磁石10を備え、前記融液3を貯留する耐圧窯1には、前記第1の磁石10に近接した位置に、該第1の磁石10と磁気結合する第2の磁石11と、該第2の磁石11を回転駆動する回転機構12とを備えている。またこれに対応して、前記結晶固定部5には、その融液3下に没する位置に、融液3を対流させる攪拌部材である羽根7が設けられるとともに、耐圧窯1の内周においても、融液3下に没する位置に、羽根6が設けられている。前記羽根6,7の取付け角度は、融液3上に浮上する結晶固定部5の周囲から融液3に溶け込んだ窒素原子が、種結晶9付近に集まるように設定されている。
したがって、前記第2の磁石11が回転機構12によって回転駆動されると、第1の磁石10を搭載した結晶固定部5も回転し、それに取付けられた羽根7によって耐圧窯1の表層から下層へ対流が生じる。また、羽根7による耐圧窯1の周方向の対流とともに、該羽根7による前記表層から下層への対流で、羽根6によって周方向への対流が生じる。これによって、融液3に溶け込んだ窒素を速やかに攪拌して、種結晶9に安定して一定濃度で供給し、成長速度を上げることができる。
前記第1の磁石10、したがって結晶固定部5の回転は、上述のように耐圧窯1内に設けた対を成す第2の磁石11の回転に限らず、耐圧窯1が透磁性を有するものであれば、該耐圧窯1の外部で回転磁界を発生するものなどであってもよい。
[実施の形態2]
図3は、本発明の実施の他の形態に係る結晶育成装置の全体構成を示す縦断面図である。この結晶育成装置は、前述の図1で示す結晶育成装置に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この結晶育成装置では、先ず結晶固定部15の形状が、前述の結晶固定部5とは異なり、舟型に形成されることで前記浮力を発生することである。
図4は、前記結晶固定部15を拡大して示す斜視図である。図4の例では、結晶固定部15は、大略的に、上底部分を閉塞し、下底部分を開放した円錐台状の浸漬部15aに、前記舟形の開口端から水平に延びるフランジ部15bを備えて形成され、下に凸になるように液面に浮かべられることで、舟のようにして浮力を発生する。前記浸漬部15aは、この円錐台状に限らず、三角、四角等の錐状または錐台状や、半球状などであってもよく、この結晶固定部15と同様に、凸型形状で内部空間を有するように形成し、それを下に凸になるように液面に浮かべることで、舟のようにして浮力を発生することができる。したがって、前記結晶固定部5のように、焼結体で形成し、それに含まれる気泡によって浮力を発生する場合に比べて、大きな浮力を発生することができる。
また、結晶育成中は高温環境にあるため融液3の表面が対流等で波がたっており、簡単な浮遊物の場合、ひっくり返り、成長しない可能性がある。そこで、この結晶固定部15では、前記舟形の開口端から水平に延びるフランジ部15bを設けているので、前記融液3の対流に対しても、前記種結晶9を液面付近に保持することができる。
さらにまた、前記結晶固定部15は、前記融液3を貯留する耐圧窯1aの内部の平面視で70%以上の面積を有するように形成されており、かつ前記フランジ部15bには、その表裏を貫通する貫通孔15cが形成されている。したがって、先ず耐圧窯1aの内部の平面視で70%以上の面積を有することで、該結晶固定部15の転覆・横転を少なくでき、育成中、安定的に結晶成長が可能となる。
一方、本育成法は窒素ガスを連続供給することで効果を発揮するので、窒素の安定的な連続供給が必須となる。しかしながら、上記のように結晶固定部15の面積を大きく形成すると、液面の揺れによってフランジ部15bが該液面に密着した場合、窒素の溶け込み可能な液面の露出した部分の面積が、その密着した面積だけ少なくなり、これにより窒素の溶け込み速度が低下し、それに伴い成長速度が遅くなる。そこで、前記フランジ部15bにその表裏を貫通する貫通孔15cを可能な限り形成することで、窒素の溶け込み面積を拡大し、結晶成長速度を向上することができる。
また、この結晶育成装置では、前記結晶固定部15は、イットリア、アルミナ、イリジウム、サファイアの少なくともいずれか1つから形成され、より好ましくは、前記種結晶9と同じ材料から形成される。前記種結晶9と同じ材料から形成される場合、具体的には、種として使用するIII族窒化物単結晶や多結晶、異種基板上にMOCVD法、MBE法もしくは昇華法等で作製したIII族窒化物の異種基板を、上述のように舟型に形成することで浮力を持たせる構造とする。結晶固定部15として種結晶9自体を用いた場合、不純物の混入を一層抑えることができ、より高品質の結晶を得ることができる。
前記舟型形状は、前記の材料から、切削・研磨やレーザ加工などによって作製することができる。この結晶固定部15は、前記の焼結体の結晶固定部5に比べて、部材コストが比較的大きくなるけれども、該結晶固定部15は繰返し使用することができ、1回当りの育成コストに占める割合で考えると、使用可能なレベルである。浸漬部15aの上部は、蓋などで閉塞されていてもよい。
さらにまた、この結晶育成装置では、融液3の攪拌のために、該融液3を貯留する耐圧窯1aには、支点16を中心に、たとえば矢符17で示すように揺動させる揺動手段18が設けられている。これに対応して、前記結晶固定部15には、たとえば図3で示すような突起15dを前記フランジ部15bに設けるなどして、該結晶固定部15の重心が平面視における中心位置から偏心して形成されている。したがって、前記揺動手段18によって耐圧窯1aを揺動させ、液面が傾くことで、重力によって結晶固定部15は回転する。このようにしてもまた、融液3に溶解した窒素を攪拌して、種結晶9に安定して一定濃度で供給し、成長速度を上げることができる。この揺動手段18による液面の揺れに対しても、前記フランジ部15bによって種結晶9を液面付近に保持することができる。
[実施の形態3]
図5は、本発明の実施のさらに他の形態に係る結晶育成装置における結晶固定部25を拡大して示す斜視図である。注目すべきは、この結晶固定部25は、ドーム形に形成され、前記液面とこのドームの内部空間との間に閉じ込めた空気によって前記浮力を発生することである。すなわち、この図5は底面側から見た図であり、ひっくり返して液面に浮上される。この結晶固定部25は、前述の結晶固定部15と同様に、種結晶9a,9b,9cと同じ材料から成り、大略的に、上底部分を閉塞し、下底部分を開放した円錐台状のドーム部25aに、前記ドームの開口端から水平に延びるフランジ部25bを備えて形成され、上に凸になるように液面に浮かべられることで、前記ドーム部25aに収容した空気によって浮力を発生する。前記ドーム部25aは、この円錐台状に限らず、三角、四角等の錐状または錐台状や、半球状などであってもよい。
この結晶固定部25も、前記融液3を貯留する耐圧窯1aの内部の平面視で70%以上の面積を有するように形成されており、かつ前記フランジ部25bには、その表裏を貫通する貫通孔25cが形成されている。そして、この結晶固定部25では、フランジ部25bに種結晶9a,9b,9cが取付けられる。このようにしてもまた、種結晶9a,9b,9cを液面付近に浮上させることができる。
本発明の実施の一形態に係る結晶育成装置の全体構成を示す縦断面図である。 図1で示す結晶育成装置における結晶固定部を拡大して示す断面図である。 本発明の実施の他の形態に係る結晶育成装置の全体構成を示す縦断面図である。 図3で示す結晶育成装置における結晶固定部を拡大して示す斜視図である。 本発明の実施のさらに他の形態に係る結晶育成装置における結晶固定部を拡大して示す斜視図である。
1,1a 耐圧窯
2 ガス供給部
3 融液
4 ヒーター
5,15,25 結晶固定部
6,7 羽根
9;9a,9b,9c 種結晶
10 第1の磁石
11 第2の磁石
12 回転機構
15a 浸漬部
15b,25b フランジ部
15c,25c 貫通孔
15d 突起
25a ドーム部

Claims (8)

  1. アルカリ金属またはアルカリ土類金属の少なくとも1つとIII族金属とを含む融液に窒素原子を含むガスを反応させてIII族窒化物の結晶を成長させる結晶育成装置において、
    舟形に形成されることで浮力を発生し、その浮力によって前記融液の液面に浮上することができる結晶固定部によって、結晶育成の元になる種結晶を液面付近に保持することを特徴とする結晶育成装置。
  2. 前記結晶固定部は、前記舟形の開口端から外方に延びるフランジ部を有することを特徴とする請求項記載の結晶育成装置。
  3. 前記結晶固定部は、前記融液を貯留する耐圧窯の内部の平面視で70%以上の面積を有し、前記フランジ部には、その表裏を貫通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項記載の結晶育成装置。
  4. 前記結晶固定部は、前記種結晶と同じ材料から成ることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の結晶育成装置。
  5. 前記結晶固定部は、高温の結晶育成温度においても磁性を有する第1の磁石を備え、
    前記融液を貯留する耐圧窯には、前記第1の磁石と磁気結合する第2の磁石と、該第2の磁石を回転駆動する回転機構とを備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の結晶育成装置。
  6. 前記結晶固定部は、その重心が平面視における中心位置から偏心して形成されており、
    前記融液を貯留する耐圧窯を保持し、該耐圧窯を揺動させる揺動手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の結晶育成装置。
  7. 前記結晶固定部は、その融液下に没する位置に、融液を対流させる攪拌部材を有することを特徴とする請求項または記載の結晶育成装置。
  8. アルカリ金属またはアルカリ土類金属の少なくとも1つとIII族金属とを含む融液に窒素原子を含むガスを反応させてIII族窒化物の結晶を成長させる結晶育成装置において、
    ドーム形に形成され、前記融液の液面とこのドームの内部空間との間に閉じ込めた空気によって浮力を発生し、その浮力によって前記融液の液面に浮上することができる結晶固定部によって、結晶育成の元になる種結晶を液面付近に保持することを特徴とする結晶育成装置。
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