JP4845436B2 - 感熱孔版印刷原紙用薄葉紙および感熱孔版印刷原紙 - Google Patents
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Description
しかしながら、これらの原紙は、印刷画像の鮮明度を満足させるものではなかった。また、天然繊維に化学繊維を混抄した多孔性支持体を用いることにより、画像性が向上することが知られているが、これらの原紙は、特にベタ印刷の連続して穿孔された印刷物において白点、和紙目等の欠陥を無くして画像を向上することに主眼がおかれていた。
これに対して天然繊維と合成繊維を混抄し、樹脂で補強した支持体(特許文献2)や、湿潤ヤング率の高いセルロース繊維のフィブリル化物を主体繊維の一部として用いた支持体(特許文献3)が提案されているが、原紙の寸法安定性は十分とはいえない。ここでいう寸法安定性とは多枚数印刷後の原紙の寸法変化が少ないことを示す。
すなわち、本発明の第1は、天然繊維と合成繊維からなる坪量3〜25g/m2 の不織布からなる感熱孔版印刷原紙用薄葉紙と厚さが0.1〜5.0μmの熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせてなる感熱孔版印刷原紙であって、該不織布が合成繊維を30質量%以上含む不織布であり、合成繊維として下記式(1)で示される繰り返し単位を含む脂肪族ポ
リケトン繊維を3質量%以上含むことを特徴とする感熱孔版印刷原紙である。
−CH2 −CH2 −CO− (1)
−CH2 −CH2 −CO− (1)
本発明の第3は、脂肪族ポリケトン繊維がフィブリル化されていることを特徴とする上記第1または2に記載の感熱孔版印刷原紙である。
本発明の感熱孔版印刷原紙用薄葉紙は、高強度、高弾性で低吸水性の脂肪族ポリケトン繊維を含むことにより、孔版印刷を多数枚印刷しても、また多色印刷しても印刷ずれの少ない、寸法安定性がよく高精細の画像を印刷できる印刷原紙を提供する。
本発明の感熱孔版印刷原紙用薄葉紙は、天然繊維および合成繊維、あるいは合成繊維のみからなり、かつ脂肪族ポリケトン繊維を含む不織布であり、脂肪族ポリケトン繊維の融点付近で急激に軟化し変形する性質を利用し、脂肪族ポリケトン繊維同士の全部または一部が熱融着していることを特徴とする。したがって、薄くてもまた多孔性であっても均一で強靭な寸法安定性の良い感熱孔版印刷原紙用薄葉紙を提供することができる。
−CH2 −CH2 −CO− (1)
繰り返し単位が90モル%以上であると高強度、高弾性を得ることができ、耐熱性にも優れる。また、該繊維の結晶化度は30%以上が好ましい。より好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上である。30%以上であると高強度、高弾性を発現し、非常に優れた寸法安定性が得られる。ポリケトン繊維の製造方法としては、亜鉛塩、カルシウム塩、イソシアネート塩などを用いたポリケトン水溶液から湿式紡糸法で得たうえで、熱延伸して製造したポリケトン繊維が高強度、高弾性を有しており、好ましい。
本発明の感熱孔版印刷原紙用薄葉紙に用いる脂肪族ポリケトン繊維の平均繊維径は20μm以下であることが好ましい。20μm以下の繊維とすることで単位面積あたりの繊維本数を増やし、感熱孔版印刷原紙用薄葉紙の開口面積を小さくし、高精細な印刷を可能にすることができる。また、脂肪族ポリケトン繊維を叩解し、フィブリル化させることにより平均繊維径0.1μm〜20μmの繊維として用いることができる。ここでいうフィブリル化とは繊維に物理的衝撃を与えることによって繊維の微細化や木の枝状に繊維を分割することをいう。叩解処理機としては、ビーター、レファイナー、ジョルダン、ファイバライザー、PFIミル、ボールミル、高圧ホモジナイザーなどにより処理することができる。脂肪族ポリケトン繊維のフィブリル化後の平均繊維径を0.1μm以上とすることで極微細繊維によるインキの通過不良を防止できる。
これらの脂肪族ポリケトン繊維を含む合成繊維の配合比率を30質量%以上とすることで、感熱孔版印刷原紙用薄葉紙および原紙の寸法安定性を維持することができる。好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上である。
本発明の感熱孔版印刷原紙用薄葉紙は、厚さが6〜60μm(JIS−P−8118により測定)であることが好ましい。厚さを6μm以上とすることで感熱孔版印刷原紙用薄葉紙および原紙の剛性を維持することができ、また厚さを60μm以下とすることでインクの通過を良くすることができる。好ましくは10〜50μmであり、さらに好ましくは15〜45μmである。
以上は典型的な製造方法であるが、本発明の感熱孔版印刷原紙用薄葉紙は該製造方法に限定されない。例えば、脂肪族ポリケトン繊維3〜100質量%と他の繊維97〜0質量%を混合する際は離解機で同時に混合しても、また別々に離解した後混合してもよく、何ら限定されない。
脂肪族ポリケトン繊維同士の全部または一部を熱融着させるためには脂肪族ポリケトン繊維の融点温度の−40℃〜+40℃で熱プレスすることが好ましい。融点温度の−40℃以上の熱プレスでポリケトン繊維が熱融着する。また、融点温度の+40℃以下の熱プレスでは溶融、焼け付きを起こさず好ましい。熱プレス時のプレス線圧は、公知のプレス線圧範囲で実施することができるが、厚さをコントロールするために1〜200kN/mが好ましい。
本発明の感熱孔版印刷原紙に用いる熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等の重合体、及びこれらの共重合体、並びにこれらの混合物からなる従来公知のフィルムを任意に用いることができるが、とくにポリエステルフィルムが遠赤外線、サーマルヘッドあるいはレーザーなどによって高精細な穿孔性を得ることができるため好ましい。また、良好な穿孔を達成するため、少なくとも1軸方向または2軸方向に延伸されているフィルムであることが好ましい。
本発明の感熱孔版印刷原紙に用いる熱可塑性樹脂フィルムと感熱孔版印刷原紙用薄葉紙との接着剤としては公知のものを適宜用いることができる。例えば、ホットメルト型接着剤、エマルジョンラテックス型接着剤、溶媒型接着剤、反応硬化型接着剤、紫外線または電子線硬化型接着剤等であり、酢酸ビニル系、プロピレン系、アクリル系、アクリル酸エステル系、塩化ビニル系、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、ウレタン系、ポリエステル系アクリレート、ウレタン系アクリレート、エポキシ系アクリレート、ポリオール系アクリレート等の配合物等が挙げられる。
なお、使用した繊維の種類、平均繊維径、叩解の有無を表1に、感熱孔版印刷原紙用薄葉紙(支持体)の配合(組成比)および支持体、原紙性能評価結果を表2に記した。
平均繊維径は任意に摘出したサンプルをSEMにて拡大撮影し、画像解析にて50本の繊維径を測定し平均値とした。
恒温恒湿(20℃、65%RH)雰囲気下で24時間静置した支持体試験片(31.6cm×31.6cm)10枚の質量を測定した。
(2)厚さ
JIS−P−8118により測定した。
(3)密度
(密度=坪量÷厚さ)の式に従い算出した。
実施例、及び比較例に基づいて作製した感熱孔版印刷用原紙を感熱孔版印刷機(GR273:理想科学社製)にて標準設定で印刷を行い、得られた画像について目視で比較評価した。
○:文字や細線の太さムラや黒ベタでの白抜けがないもの
△:○と×の中間程度で実用上何とか使えるレベルのもの
×:文字や細線が部分的に切れたり太さムラのあるもの、また黒ベタ部では白抜けが
目立つもの
印刷むらと同じ評価方法にて、一枚のマスタ−で30枚印刷し、30枚目の印刷物の裏側に転写された29枚目の印刷物のインキ転移量を目視判定し次のように評価した。
○:インキの転移量が極めて少ない
△:○と×の中間程度の転移量で、実用上何とか使えるレベル
×:インキ転移量が大きい
前述の印刷機を用いて、印刷方向に対して垂直に罫線を2本引き、2本の罫線の間隔を25cmあけた原稿を用いて印刷し、印刷速度130枚/分、印圧設定最大で3000枚印刷し、印刷1枚目と印刷3000枚目での罫線の間隔を次の式により算出した。
伸び率=(印刷3000枚目の罫線間隔−印刷1枚目の罫線間隔)/印刷1枚目の罫
線間隔。
○:伸び率が0.5%未満
△:伸び率が0.5%〜1%
×:伸び率1%を超える
マニラ麻をアルカリ蒸解し、水洗後、水で濃度3%に希釈して、ビーターにて濾水度18°SR(JIS−P−8121準拠)に叩解したもの10質量%と、平均繊維径10μm、繊維長3mmの脂肪族ポリケトン繊維10質量%と、平均繊維径8μm、長さ3mmのポリエステル繊維40質量%と、平均繊維径4μm、長さ3mmのポリエステル繊維40質量%をパルパーにて水分散したものを、混合槽にて均一に混合しさらに、これにエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂を繊維に対して2%となるように水溶液にして添加し均一に混合した。これを紙の原料として傾斜短網抄紙機による湿式抄紙法にて不織布を得た。さらにこの不織布を温度265℃、プレス圧7kN/mの熱ロールにより熱圧着して得られた不織布の坪量は10g/m2 、厚さ34μmであった。次に、厚さ1μmに延伸された共重合ポリエステルフィルムと不織布を、ウエットラミネ−ト用接着剤(エポキシ樹脂とポリアミン樹脂を質量比で17:83になるように配合し溶媒としてイソプロピルアルコ−ルを用いた溶液)を用いて、ウエットラミネ−タ−で貼り合わせ感熱孔版印刷原紙とした。
マニラ麻をアルカリ蒸解し、水洗後、水で濃度3%に希釈して、ビーターにて濾水度18°SR(JIS−P−8121準拠)に叩解したもの20質量%と、平均繊維径10μm、繊維長3mmの脂肪族ポリケトン繊維をパルパーにて水分散したものをレファイナーで叩解し平均繊維径0.5μmに調整したもの(A2)10質量%と、平均繊維径10μm、繊維長3mmの脂肪族ポリケトン繊維30質量%、平均繊維径8μm、長さ3mmのポリエステル繊維40質量%をパルパーにて水分散したものを、混合槽にて均一に混合しさらに、これにエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂を繊維に対して2%となるように水溶液にして添加し均一に混合した。これを紙の原料として傾斜短網抄紙機による湿式抄紙法にて不織布を得た。さらにこの不織布を温度255℃、プレス圧7kN/mの熱ロールにより熱圧着して得られた不織布の坪量は8g/m2 、厚さ25μmであった。次に厚さ2μmに延伸された共重合ポリエステルフィルムと不織布を、ウエットラミネ−ト用接着剤(エポキシ樹脂とポリアミン樹脂を質量比で17:83になるように配合し溶媒としてイソプロピルアルコ−ルを用いた溶液)を用いて、ウエットラミネ−タ−で貼り合わせ感熱孔版印刷原紙とした。
実施例2と同様にして表2で示す配合の合成繊維(および天然繊維)を水に混合分散した後、これにエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂を繊維に対して2%となるように水溶液にして添加し均一に混合した。これを紙の原料として傾斜短網抄紙機による湿式抄紙法にて抄紙した後、実施例2と同様に熱圧着して不織布を得た。次に厚さ1μmに延伸された共重合ポリエステルフィルムと不織布を、ウエットラミネ−ト用接着剤(エポキシ樹脂とポリアミン樹脂を質量比で17:83になるように配合し溶媒としてイソプロピルアルコ−ルを用いた溶液)を用いて、ウエットラミネ−タ−で貼り合わせ感熱孔版印刷原紙とした。
マニラ麻をアルカリ蒸解し、水洗後、水で濃度3%に希釈して、ビーターにて濾水度18°SR(JIS−P−8121準拠)に叩解したもの50質量%と、平均繊維径8μm、繊維長3mmのポリエステル繊維30質量%、平均繊維径4μm、長さ3mmのポリエステル繊維20質量%をパルパーにて水分散したものを、混合槽にて均一に混合しさらに、これにエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂を繊維に対して2%となるように水溶液にして添加し均一に混合した。これを紙の原料として傾斜短網抄紙機による湿式抄紙法にて不織布を得た。次に厚さ1μmに延伸された共重合ポリエステルフィルムと不織布を、ウエットラミネ−ト用接着剤(エポキシ樹脂とポリアミン樹脂を質量比で17:83になるように配合し溶媒としてイソプロピルアルコ−ルを用いた溶液)を用いて、ウエットラミネ−タ−で貼り合わせ感熱孔版印刷原紙とした。
比較例1と同様にして表2で示す配合の合成繊維および天然繊維を水に混合分散した後、これにエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂を繊維に対して2%となるように水溶液にして添加し均一に混合した。これを紙の原料として傾斜短網抄紙機による湿式抄紙法にて不織布を得た。次に厚さ1μmに延伸された共重合ポリエステルフィルムと不織布を、ウエットラミネ−ト用接着剤(エポキシ樹脂とポリアミン樹脂を質量比で17:83になるように配合し溶媒としてイソプロピルアルコ−ルを用いた溶液)を用いて、ウエットラミネ−タ−で貼り合わせ感熱孔版印刷原紙とした。
比較例1と同様にして表2で示す配合の合成繊維を水に混合分散した後、これにエポキシ化ポリアミドポリアミン樹脂を繊維に対して2%となるように水溶液にして添加し均一に混合した。これを紙の原料として傾斜短網抄紙機による湿式抄紙法にて抄紙し、実施例1と同様に熱圧着して不織布を得た。次に厚さ1μmに延伸された共重合ポリエステルフィルムと不織布を、ウエットラミネ−ト用接着剤(エポキシ樹脂とポリアミン樹脂を質量比で17:83になるように配合し溶媒としてイソプロピルアルコ−ルを用いた溶液)を用いて、ウエットラミネ−タ−で貼り合わせ感熱孔版印刷原紙とした。表1に繊維の性状、表2に組成と作製条件および特性を示す。
実施例1で得た不織布に厚さ7μmに延伸された共重合ポリエステルフィルムを、ウエットラミネ−ト用接着剤(エポキシ樹脂とポリアミン樹脂を質量比で17:83になるように配合し溶媒としてイソプロピルアルコ−ルを用いた溶液)を用いて、ウエットラミネ−タ−で貼り合わせ感熱孔版印刷原紙とした。
Claims (3)
- 天然繊維と合成繊維からなる坪量3〜25g/m2 の不織布からなる感熱孔版印刷原紙用薄葉紙と厚さが0.1〜5.0μmの熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせてなる感熱孔版印刷原紙であって、該不織布が合成繊維を30質量%以上含む不織布であり、合成繊維として下記式(1)で示される繰り返し単位を含む脂肪族ポリケトン繊維を3質量%以上含むことを特徴とする感熱孔版印刷原紙。
−CH2 −CH2 −CO− (1) - 合成繊維100%からなる坪量3〜25g/m2 の不織布からなる感熱孔版印刷原紙用薄葉紙と厚さが0.1〜5.0μmの熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせてなる感熱孔版印刷原紙であって、該合成繊維が下記式(1)で示される繰り返し単位を含む脂肪族ポリケトン繊維を3質量%以上含むことを特徴とする感熱孔版印刷原紙。
−CH2 −CH2 −CO− (1) - 脂肪族ポリケトン繊維がフィブリル化されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱孔版印刷原紙。
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