JP4839981B2 - ワイヤーハーネス用布線治具 - Google Patents

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Description

本発明は、ワイヤーハーネスの組立図板上に立設し、ワイヤーハーネスの組み立てに寄与するワイヤーハーネス用布線治具に関するものである。
従来、組立図板上に立設されるワイヤーハーネス用布線治具として、上部に略U字状のハーネス受け部を有するいわゆるU字状治具がある。その際、ワイヤーハーネスの電線束のサイズに合わせて、ハーネス受け部の隙間幅を適切な幅に設定することにより、曲げが発生する分岐部でも中心値が大きくズレることなく、寸法精度の良い製品を製作することができる。
しかしながら、この組立図板は、多種の品番が共用化されているため、標準治具である一般のもので選定すると隙間幅が最大寸法でのU字状治具の設定となる。そのため、品番によってはワイヤーハーネスにおける電線束の電線本数が極端に少なくなり、ハーネス受け部の中で電線が大きくズレ、分岐部を作成した際に中心値が移動することにより、寸法精度が著しく悪くなるおそれがあった。
そこで、ワイヤーハーネスの電線束を両側より支承する対の電線支持部材を、電線束を挟むためにその隙間幅が狭くなる方向に付勢バネで付勢する構造とすることにより、電線束の中心値のズレを有効に防止する構造のワイヤーハーネス用布線治具が提案されている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照。)。
特開平10−178721号公報 特開2001−6459号公報 特開2005−310397号公報
しかしながら、前記特許文献1に開示のような布線治具の構造によれば、対の電線支持部材における隙間幅の広狭により、ワイヤーハーネスの底面部を支承する基準となる高さが変わるため、この点から寸法精度が悪くなるおそれがあった。
また、前記特許文献2に開示のような布線治具の構造によれば、対の電線支持部材がそれぞれ付勢バネによる付勢力下、独立して互いに接近離隔自在とされているため、基準となる中心値にズレが生じるおそれがあるため、この点から寸法精度が悪くなるおそれがあった。
さらに、前記特許文献3に開示のような布線治具の構造によれば、特許文献1や特許文献2の上記のような欠点は解消できるものの、対の電線支持部材が枢支部を中心とした回動により互いに接近離隔自在な構造とされているため、対称に連動させるためのリンク機構が大型化し、組立図板上での取り扱いが不便で、作業性が悪くなるという欠点があった。
そこで、本発明の解決しようとする課題は、布線されるワイヤーハーネスの基準となる高さや中心値のズレを有効に防止すると共に、コンパクトで作業性の向上が図れるワイヤーハーネス用布線治具を提供することにある。
前記課題を解決するための技術的手段は、ワイヤーハーネスの組立図板上に立設され、布線経路に沿って配置されるワイヤーハーネスの電線束を支承するためのワイヤーハーネス用布線治具において、前記布線経路に沿って配置される前記ワイヤーハーネスの底面部を上面で支承する底面支持ハウジング体と、該底面支持ハウジング体より上方突出状に配置されると共にワイヤーハーネスの両側にそれぞれ位置される側面支持ピンとを備え、前記底面支持ハウジング体内に、前記上面に平行な軸心を有するスライドガイド杆が配置されると共に、前記上面にスライドガイド杆の軸心方向に沿った長孔形状のピン挿通孔が備えられ、スライドガイド杆にその軸心方向に沿ってスライド自在に1対のピン支持ブロックが装着されると共に、両ピン支持ブロック間にスライドガイド杆に対して位置固定状態でセンターブロックが装着され、前記両ピン支持ブロックに、前記各側面支持ピンが前記ピン挿通孔を挿通状としてそれぞれ備えられ、前記両ピン支持ブロックは、中心枢支部が前記センターブロックに位置決め状態で支持されると共にその中心枢支部を中心に点対称とされたリンク機構により、互いに接近離隔自在に連結され、かつ両ピン支持ブロックを互いに接近する方向に付勢する付勢バネが備えられている点にある。
また、前記各側面支持ピンが、前記両ピン支持ブロックに対してそれぞれ前記ピン挿通孔を介して着脱自在に装着されている構造としてもよい。
さらに、前記リンク機構が、前記両ピン支持ブロックと前記センターブロックの両側にそれぞれ備えられている構造としてもよい。
本発明のワイヤーハーネス用布線治具によれば、布線経路に沿って配置されるワイヤーハーネスの底面部を上面で支承する底面支持ハウジング体と、該底面支持ハウジング体より上方突出状に配置されると共にワイヤーハーネスの両側にそれぞれ位置される側面支持ピンとを備え、底面支持ハウジング体内に、前記上面に平行な軸心を有するスライドガイド杆が配置されると共に、前記上面にスライドガイド杆の軸心方向に沿った長孔形状のピン挿通孔が備えられ、スライドガイド杆にその軸心方向に沿ってスライド自在に1対のピン支持ブロックが装着されると共に、両ピン支持ブロック間にスライドガイド杆に対して位置固定状態でセンターブロックが装着され、両ピン支持ブロックに、各側面支持ピンがピン挿通孔を挿通状としてそれぞれ備えられ、両ピン支持ブロックは、中心枢支部がセンターブロックに位置決め状態で支持されると共にその中心枢支部を中心に点対称とされたリンク機構により、互いに接近離隔自在に連結され、かつ両ピン支持ブロックを互いに接近する方向に付勢する付勢バネが備えられた構造とされており、両ピン支持ブロックは付勢バネによる付勢力下、センターブロックに支持された中心枢支部を中心として両側に均等にスライドガイド杆に沿ってスライドし、接近離隔されるため、各ピン支持ブロックに備えられたワイヤーハーネスの両側に位置する各側面支持ピンも両側に均等に接近離隔し、また、布線されるワイヤーハーネスの底面部が底面支持ハウジング体の上面で支承され、ここに、布線されるワイヤーハーネスの基準となる高さや中心値のズレを有効に防止することができ、ワイヤーハーネスの寸法精度の向上が図れる。
さらに、底面支持ハウジング体内に配置されたスライドガイド杆に沿ってスライド自在な1対のピン支持ブロックを、中心枢支部で点対称とされたリンク機構により連結すると共に中心枢支部を両ピン支持ブロック間に配置されたセンターブロックに位置決め状態で支持する構造としているため、従来構造に比較してコンパクトな構造で両側面支持ピン間の隙間幅を両側に均等に接近離隔させることができ、布線治具自体のコンパクト化が図れ、組立図板上での取り扱いが便利になり、作業性が向上する。
また、各側面支持ピンが、両ピン支持ブロックに対してそれぞれピン挿通孔を介して着脱自在に装着されている構造とすれば、各側面支持ピンを太さや長さ等の形状の異なる側面支持ピンに交換することにより、容易に初期の隙間幅の変更や電線本数の多少に対処でき、汎用性に優れる利点もある。
さらに、リンク機構が、両ピン支持ブロックとセンターブロックの両側にそれぞれ備えられている構造とすれば、両ピン支持ブロックの接近時や離隔時におけるリンク機構による移動量の規制が両側で均等になされるため、両ピン支持ブロックのスライドガイド杆に沿ったスライドがより円滑になされる利点がある。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1ないし図4に示されるように、ワイヤーハーネス用布線治具1は、図示省略の組立図板上に立設状に取り付けるための支軸部2と、該支軸部2の上部に備えられて布線経路に沿って配置されるワイヤーハーネス3の底面部を支承する底面支持ハウジング体4と、該底面支持ハウジング体4より上方突出状に配置されてワイヤーハーネス3の両側にそれぞれ位置される側面支持ピン5とを備える。
前記底面支持ハウジング体4は、図1および図2に示されるように、底壁部6aと該底壁部6aの両側端より上方にそれぞれ立設された側壁部6bとからなる正面視いわゆるU字状に構成されたハウジング本体6と、図3や図4に示されるように、ハウジング本体6の上面側や前面側および背面側を覆って装着される側面視いわゆる逆U字状に構成されたカバー部7とを備えている。
そして、ハウジング本体6の底壁部6a下面側の略中央部には、雄ネジ部8が下向き突出状に備えられており、該雄ネジ部8に支軸部2の上端に形成された雌ネジ部が着脱自在に螺合締結された構造とされている。
また、ハウジング本体6の両側壁部6b間にわたって、底面支持ハウジング体4の上面を構成するカバー部7の上面7aに平行な軸心を有する1対のスライドガイド杆9,10が上下方向に適宜間隔を有して配設されている。例えば、これらスライドガイド杆9,10は止め輪等により両側壁部6b間にわたって着脱自在に装着された構造とされている。
そして、両スライドガイド杆9,10の長さ方向中央部には、直方体形状のセンターブロック11がまたがった状態で装着されており、このセンターブロック11の左右両側部に位置するスライドガイド杆9,10には、センターブロック11と同様、略直方体形状のピン支持ブロック12,13がそれぞれまたがった状態で、かつ両スライドガイド杆9,10の軸心方向に沿ってスライド自在に装着されている。
また、センターブロック11における上下のスライドガイド杆9,10の間に対応した部分には、前後方向貫通状に枢支ピン14が備えられており、カバー部7の前面7bおよび背面7cがそれぞれ固定ネジ15を介して枢支ピン14に着脱自在に固定されている。さらに、カバー部7の前面7bおよび背面7cはハウジング本体6にも固定ネジ15を介して着脱自在に固定されている。ここに、センターブロック11は両スライドガイド杆9,10における長さ方向中央部で位置固定状態とされている。
前記枢支ピン14におけるセンターブロック11の前後よりそれぞれより突出した部分には、細長板状の長尺リンク17の長手方向中央部がそれぞれ枢支され、各長尺リンク17の長手方向両端部と各ピン支持ブロック12,13とが、それぞれ細長板状の短尺リンク18を介して互いに枢支連結されている。
そして、これら長尺リンク17と1対の短尺リンク18とにより、同一構造の前後1対のリンク機構19が構成されている。この際、各リンク機構19は枢支ピン14で枢支される中心枢支部を中心としていわゆる点対称とされており、各リンク機構19を介して、左右両側の各ピン支持ブロック12,13が互いに接近離隔自在に構成されている。また、各長尺リンク17と各短尺リンク18との枢支連結部の連結ピンや各短尺リンク18と各ピン支持ブロック12,13との枢支連結部の連結ピンも止め輪等により着脱自在に装着された構造とされている。
さらに、本実施形態においては、上側のスライドガイド杆9におけるピン支持ブロック12,13と側壁部6bとの相互間には、付勢バネとしてのコイルバネ21が圧縮状態で套嵌されており、各ピン支持ブロック12,13をセンターブロック11方向、即ち両ピン支持ブロック12,13を互いに接近する方向に常時付勢する構造とされている。
また、カバー部7における上面7aには、図4にも示されるように、スライドガイド杆9,10の軸心方向に沿った長孔形状のピン挿通孔7dが形成されており、1対の側面支持ピン5はピン挿通孔7dを介して各ピン支持ブロック12,13に着脱自在に装着された構造とされている。即ち、図5に示されるように、側面支持ピン5の下端部には雄ネジ部5aが備えられており、この雄ネジ部5aをピン支持ブロック12,13の上部に形成された雌ネジ孔に着脱自在に螺合締結している。
従って、各ピン支持ブロック12,13が各スライドガイド杆9,10に沿って各リンク機構19による案内下、スライド移動する際、その接近離隔移動に伴って、各側面支持ピン5もピン挿通孔7dの長手方向に沿って接近離隔移動する構造とされている。即ち、各側面支持ピン5の接近離隔移動に伴って、各ピン支持ブロック12,13も各コイルバネ21の付勢力下、接近離隔移動する構造とされている。
なお、支軸部2、側面支持ピン5、ハウジング本体6、カバー部7、スライドガイド杆9,10、センターブロック11、ピン支持ブロック12,13、リンク機構19等は、アルミ合金やステンレス等の金属材等により適宜構成されている。
本実施形態は以上のように構成されており、布線治具1の使用に際しては、従来同様、組立図板上の所定位置にそれぞれ立設状に取り付け、布線経路に沿って配置されるワイヤーハーネス3の電線束は、両側面支持ピン5間に位置させ、上面7a上に支承させればよい。
そして、本実施形態によれば、位置固定状態のセンターブロック11における枢支ピン14に、同一構造とされた各リンク機構19の中心枢支部が支持され、この中心枢支部を中心に各リンク機構19が点対称に構成されているため、両ピン支持ブロック12,13は各コイルバネ21による付勢力下、センターブロック11に支持された枢支ピン14位置を中心として両側に均等に各スライドガイド杆9,10に沿ってスライド自在であり、このスライドによる接近離隔移動に伴う各側面支持ピン5の移動も、両側に均等に接近離隔移動する構造であり、布線されるワイヤーハーネス3の電線束における電線本数の多い少ないにかかわらず、ワイヤーハーネス3の基準となる中心値のズレが有効に防止できる。
また、布線されるワイヤーハーネス3の底面部は底面支持ハウジング体4の上面7aで支承されるため、ワイヤーハーネス3の基準となる高さがズレることもない。
ここに、布線されるワイヤーハーネス3の基準となる高さや中心値のズレを有効に防止することができ、ワイヤーハーネス3の寸法精度の向上が図れる利点がある。
さらに、底面支持ハウジング体4内に配置された各スライドガイド杆9,10に沿ってスライド自在な1対のピン支持ブロック12,13を、中心枢支部となる枢支ピン14位置で点対称とされたリンク機構19により連結すると共にその中心枢支部をセンターブロック11に位置決め状態で支持する構造としているため、従来構造に比較してコンパクトな構造で両側面支持ピン5間の隙間幅を両側に均等に接近離隔させることができ、布線治具1自体のコンパクト化が図れ、組立図板上での取り扱いが便利になり、作業性が向上する利点もある。
また、両ピン支持ブロック12,13とセンターブロック11の両側に、それぞれ同一構成のリンク機構19が備えられているため、両ピン支持ブロック12,13の接近時や離隔時におけるリンク機構19よる移動量の規制が両側で均等になされるため、両ピン支持ブロック12,13のスライドガイド杆9,10に沿ったスライドがより円滑になされる利点がある。
さらに、各側面支持ピン5が、両ピン支持ブロック12,13に対してそれぞれピン挿通孔7dを介して着脱自在に装着された構造であり、各側面支持ピン5を太さや長さ等の形状の異なる側面支持ピン5に交換することにより、両側面支持ピン5間の初期の隙間幅の変更や電線束における電線本数の多少に容易に対処でき、汎用性に優れる利点もある。
また、コイルバネ21のバネ力を適切に設定することにより、両側面支持ピン5でワイヤーハーネス3の電線束を両側から抑える力の調整や、両側面支持ピン5の広がり方向の強さが調整でき、布線時の電線だぶりが有効に防止できる利点がある。
さらに、底面支持ハウジング体4の雄ネジ部8に連結される支軸部2の長さも各種準備しておけば、底面支持ハウジング体4自体の高さ調整も容易に行え、汎用性に優れる。
なお、上記実施形態において、上側のスライドガイド杆9にコイルバネ21を装着した構造を示しているが、下側のスライドガイド杆10にコイルバネ21を装着する構造であってもよく、さらには双方のスライドガイド杆9,10にそれぞれコイルバネ21を装着する構造としてもよく、何ら限定されない。
また、1対のスライドガイド杆9,10を使用した構造を示しているが、各ピン支持ブロック12,13の軸回りの回動が規制できれば、単一のスライドガイド杆による構造であってもよく、よりコンパクト化が図れる。
さらに、リンク機構19の形状や構造においても、実施形態の構造に何ら限定されず、その他のリンク機構の構造であってもよい。
また、ハウジング本体6やカバー部7の形状や相互間の固定構造等も何ら実施形態に限定されない。
本発明の実施形態にかかる要部断面正面図である。 同動作説明図である。 同要部断面側面図である。 同平面説明図である。 側面支持ピンの正面図である。
符号の説明
1 布線治具
2 支軸部
3 ワイヤーハーネス
4 底面支持ハウジング体
5 側面支持ピン
6 ハウジング本体
7 カバー部
7a 上面
7d ピン挿通孔
9,10 スライドガイド杆
11 センターブロック
12,13 ピン支持ブロック
14 枢支ピン
19 リンク機構
21 コイルバネ

Claims (3)

  1. ワイヤーハーネスの組立図板上に立設され、布線経路に沿って配置されるワイヤーハーネスの電線束を支承するためのワイヤーハーネス用布線治具において、
    前記布線経路に沿って配置される前記ワイヤーハーネスの底面部を上面で支承する底面支持ハウジング体と、該底面支持ハウジング体より上方突出状に配置されると共にワイヤーハーネスの両側にそれぞれ位置される側面支持ピンとを備え、
    前記底面支持ハウジング体内に、前記上面に平行な軸心を有するスライドガイド杆が配置されると共に、前記上面にスライドガイド杆の軸心方向に沿った長孔形状のピン挿通孔が備えられ、スライドガイド杆にその軸心方向に沿ってスライド自在に1対のピン支持ブロックが装着されると共に、両ピン支持ブロック間にスライドガイド杆に対して位置固定状態でセンターブロックが装着され、
    前記両ピン支持ブロックに、前記各側面支持ピンが前記ピン挿通孔を挿通状としてそれぞれ備えられ、
    前記両ピン支持ブロックは、中心枢支部が前記センターブロックに位置決め状態で支持されると共にその中心枢支部を中心に点対称とされたリンク機構により、互いに接近離隔自在に連結され、かつ両ピン支持ブロックを互いに接近する方向に付勢する付勢バネが備えられていることを特徴とするワイヤーハーネス用布線治具。
  2. 請求項1に記載のワイヤーハーネス用布線治具において、
    前記各側面支持ピンが、前記両ピン支持ブロックに対してそれぞれ前記ピン挿通孔を介して着脱自在に装着されていることを特徴とするワイヤーハーネス用布線治具。
  3. 請求項1または請求項2に記載のワイヤーハーネス用布線治具において、
    前記リンク機構が、前記両ピン支持ブロックと前記センターブロックの両側にそれぞれ備えられていることを特徴とするワイヤーハーネス用布線治具。
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