JP4838988B2 - ミスト供給ノズル - Google Patents

Description

本発明は、ミスト供給装置に装着して、圧縮空気の流れに油供給通口から油滴を供給してミスト流体を発生させるためのミスト供給ノズルに関するものである。

従来からこのようなミスト供給ノズルには、各種構造が知られており、たとえば、特許第３０７７７６６号公報には、オイルチューブとエアチューブとを２重構造に構成し、オイルチューブ先端がエアチューブの内部へ入り込む形態をしており、この部分でノズルを構成しており、中心側のオイルチューブを通る油と、エアチューブを通るエアとが混合してミスト流体となって噴出されるように構成している。

このような従来例においては、チューブを2重構造とする必要があり、構造が複雑、高価になる恐れがあり、また性能的にも個々の製品によってばらつきを生じる可能性が高いものであった。また交換に際しても、チューブ構造全体を取り替える必要があり、容易に対応することができなかった。また、このような構造ではオイルチューブに負圧を発生させることができないため、油をポンプにより強制的に圧送しなければならず、装置の大型化、高額化を招くものであった。

本件発明者らは、このような状況から、従来多用しているエジェクタ構造に注目し、図３に示すようなノズル構造を提案した。即ち、ノズル本体１の圧力空気供給通口Ａをそのまま反対側へ貫通させ、その中間位置へ油供給通口Ｂを外周面から直角方向に穿設し、ミスト供給ノズルとして実験を試みた。

その結果、ある程度の性能は達成できたが、条件によっては、油供給通口Ｂから油が吐出しなかった。圧力空気供給通口Ａからの圧力空気は通口内を通る時に内壁によって粘性抵抗を受け、吐出口付近に進むに従って流速が遅くなり、従って圧力が上昇する。油供給通口Ｂの位置から吐出口までの圧力上昇分が油供給通口の位置における動圧と静圧との差以上になると、負圧は打ち消され正圧となってしまい、油を吸い上げる能力が無くなってしまうという問題があった。

本発明は、上述のエジェクタ構造を用いて更に改良を加え、確実にミスト流体を発生できる低コストのミスト供給ノズルを提供することを目的とする。

上記目的を達成するための本発明に係るミスト供給ノズルは、柱状体から成る本体の長手方向中心部に、前記本体の一方の端面から圧力空気供給通口、該圧力空気供給通口を拡径する拡径部、該拡径部に続くミスト供給通口を経て前記本体の他端へ開口し、前記本体の外側面から油供給通口を前記拡径部に連通したミスト供給ノズルにおいて、前記圧力空気供給通口の直径をＡ、前記ミスト供給通口の直径をＢ、前記油供給通口の直径をＣとしたとき、Ａ＜Bであると共に、前記拡径部の傾斜面による拡径範囲は前記傾斜面に面する前記油供給通口の直径Ｃの範囲内に存在するようにしたことを特徴とする。

本発明のミスト供給ノズルは、ミスト供給装置に採用して用いることができ、確実なミスト発生を達成でき、加工効率の向上に寄与することが可能となる。

本発明を、図示の実施例に基づいて説明する。
この実施例によるミスト供給ノズルは、図１及び図２に示すように、概略円柱状の本体１０を有しており、その長手方向中心部へ、その一方の端面１０ａから圧力空気を供給する大径の通路１０ｂとそれに続く縮径された直径Ａの圧力空気供給通口１０ｃが穿設されている。一方、この本体１０の反対側端面１０ｄからは、通路１０ｂよりも大径の通路１０ｅが、同様に長手方向中心部の途中まで形成され、その底から圧力空気供給通口１０ｃよりも大径の直径Ｂのミスト供給通口１０ｆが穿孔されている。圧力空気供給通口１０ｃとミスト供給通口１０ｆの間は通路により連通され、この通路はミスト供給通口１０ｆに向けて急激に拡径する拡径部とされている。

更に、本体１０の外側面１０ｇから中心へ向けてねじ穴１０ｉに続く通口１０ｊが穿設され、通口１０の底部に油供給通口１０ｈが設けられ、油供給通口１０ｈは圧力空気供給通口１０ｃとミスト供給通口１０ｆとの間の拡径部の近傍へ連通されている。圧力空気供給通口１０ｃからミスト供給通口１０ｆに至る拡径部は油供給通口１０ｈの直径Ｃの範囲内に納まっている。

また、このミスト供給ノズルをミスト供給装置のタンク等に取り付けるための取付用貫通穴１０ｋが設けられている。

本発明において、ミスト供給ノズルは、圧力空気供給通口１０ｃが拡径する拡径部の近傍へ油供給通口１０ｈを連通させたことで、油供給通口１０ｈ以降の粘性抵抗分圧力を解決できるようになる。圧力空気供給通口１０ｃ内を流れる圧力空気流は油供給通口１０ｈの位置で内径が急激に拡大しているため、圧力空気は断面積の拡大分に反比例して拡径部を通過する空気流速は急激に低下するが、中心を通過する空気流の流速は急激に低下せず、その周囲に渦流が発生する。そこでこの渦流に巻き込まれる形で拡径部周囲に大きな負圧が発生し、油供給通口１０ｈから油を大量に自吸することができる。

このミスト供給ノズルは構造が簡単で低コスト化が可能であり、また一体型として組立てる必要が無く、加工精度を確保すれば、組立てによる性能差が無く、熟練者でなくてもミスト供給装置への組付けが簡単にできる。

更に、従来では空気圧等を使用したポンプを作動させ、強制的に油をミスト供給ノズルに圧送していたが、自吸式にすることで、省エネルギー化が可能になると共に、ポンプの磨耗がなくなり、信頼性が大幅に向上する。

本発明によるミスト供給ノズルの正面断面図を示す。 図１の上面図であるＸ矢視図を示す。 従来のミスト供給ノズルの正面断面図を示す。

１０ 本体
１０ａ 端面
１０ｂ 通路
１０ｃ 圧力空気供給通口
１０ｄ 反対側端面
１０ｅ 通路
１０ｆ ミスト供給通口
１０ｇ 外側面
１０ｈ 油供給通口
１０ｉ ねじ穴
１０ｊ 通口
１０ｋ 取付用貫通穴

Claims (2)

1. 柱状体から成る本体の長手方向中心部に、前記本体の一方の端面から圧力空気供給通口、該圧力空気供給通口を拡径する拡径部、該拡径部に続くミスト供給通口を経て前記本体の他端へ開口し、前記本体の外側面から油供給通口を前記拡径部に連通したミスト供給ノズルにおいて、前記圧力空気供給通口の直径をＡ、前記ミスト供給通口の直径をＢ、前記油供給通口の直径をＣとしたとき、Ａ＜Bであると共に、前記拡径部の傾斜面による拡径範囲は前記傾斜面に面する前記油供給通口の直径Ｃの範囲内に存在するようにしたことを特徴とするミスト供給ノズル。
2. 請求項１に記載のミスト供給ノズルを備えたミスト供給装置。

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