以下、本発明の「遊技機」としてのパチンコ遊技機10に係る一実施形態を、図1〜図17に基づいて説明する。図1に示すように、パチンコ遊技機10は、遊技球を誘導可能な誘導レール12に囲まれた遊技領域R1を遊技板11の前面に備え、その遊技領域R1をパチンコ遊技機10の前面に備えた略円形のガラス窓95Wを通して視認可能となっている。遊技領域R1の所定位置には、表示装置32や各種入賞口14A,14B,15,20,21等の各種役物が備えられている。
表示装置32は、遊技領域R1のうち向かって右上寄りに配置されている。表示装置32の下側には、その左右方向の中央に、第1及び第2の始動入賞口14A,14B、大入賞口15及びアウト口16が、上から順に間隔を開けて並べて設けられ、左右両側部には、誘導レール12に沿って一般入賞口20,21及びサイドランプ22,22がそれぞれ設けられている。また、表示装置32の左側には、始動ゲート18と風車19とが上下に並べて設けられている。さらに、風車19の下方には、サイドランプ22と一体に、普通図柄表示部18Hが設けられている。これら各種入賞口14A,14B,15,20,21,表示装置32等の役物以外に、遊技領域R1には、遊技球と当接して流下方向を様々に変化させることが可能な図示しない障害釘が分散配置されている。
また、図1に示すように、パチンコ遊技機10前面のうち遊技領域R1の上方には、左右に1対のスピーカ13A,13Aが設けられ、遊技領域R1の下方には、上皿26が設けられている。上皿26は、前方に向かって膨出しており、その上皿26の右側には、球貸し操作ボタン25Aと球貸し状態表示モニター25Bとが並べて配置されている。
上皿26の下方には、皿扉29が取り付けられている。皿扉29の前面中央には、パチンコ遊技機10の前方に膨出して遊技球が貯留可能な下皿28が設けられている。球抜きボタン23を押圧操作すると、上皿26に貯留された遊技球が下皿28に排出される。皿扉29のうち下皿28の左側方には、遊技ボタン25Dが設けられている。遊技ボタン25Dを押圧すると、表示装置32に変動表示されている画像、例えば、キャラクタ画像を、遊技者の任意のタイミングで停止させることができる。下皿28の右側方には、下皿28に貯留された遊技球をパチンコ遊技機10の外部に排出するための球排出ボタン25Cが設けられている。皿扉29の右側部には、発射操作ノブ27が備えられ、この発射操作ノブ27を回動操作することで図示しない発射装置から遊技球が遊技領域R1に向かって発射される。
次に所要の各部位についてさらに詳説する。一般入賞口20,21は、所謂、ポケット構造をなし、遊技球が丁度1つ入球可能な大きさで上方に開口している。一般入賞口20,21へ入球すると、その遊技球は遊技板11の裏側に取り込まれ、代わりに所定数の賞球がパチンコ遊技機10の前面に備えた上皿26に払い出される。
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、通過した遊技球は始動ゲート18に内蔵された普通図柄始動スイッチ(図示せず)によって検出される。この検出信号に基づいて、普通図柄表示部18Hにおいて図柄が変動表示される。具体的には、「0」〜「9」までの数字からなる数字図柄が所定期間に亘って変動表示された後、所定の数字図柄が停止表示される。
第1及び第2の始動入賞口14A,14Bは、上下方向に並んで配置されている。各始動入賞口14A,14Bは、共に遊技板11から突出した部材の上面に開口を備えた、所謂、ポケット構造をなしている。そして、各始動入賞口14A,14Bに入った遊技球は、遊技板11に設けた図示しない貫通孔を通って、遊技板11の裏側に回収される。
上側に配置された第1の始動入賞口14Aは、遊技球が1つだけ入る開口幅を有している。一方、下側に配置された第2の始動入賞口14Bは、第1の始動入賞口14Aの真下に配置され、その開口の左右両側には可動翼片14C,14Cが備えられている。これら両可動翼片14C,14Cは、常には起立状態になっており、両可動翼片14C,14Cに挟まれた第2の始動入賞口14Bの開口幅は、遊技球が1つだけ入る大きさとなっている。また、第2の始動入賞口14Bの上方空間は、常には、第1の始動入賞口14Aを構成する部材と可動翼片14C,14Cとで囲まれて、遊技球が入らないようになっている。そして、普通図柄表示部18Hで停止表示された数字図柄が奇数になると、遊技板11の裏に設けたソレノイドが駆動されて、可動翼片14C,14Cが所定期間(例えば、0.4秒間)に亘って横に倒される。すると、第2の始動入賞口14Bの上方空間が側方に開放し、第1の始動入賞口14Aの両脇を通過した遊技球が可動翼片14Cに受け止められて第2の始動入賞口14Bに案内されるようになる。
各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、各始動入賞口14A,14B内に設けた図示しない始動口センサが遊技球を検出し、その検出信号に基づいて、例えば、4個の遊技球が上皿26に払い出されると共に、表示装置32において図柄が変動表示される。具体的には、表示装置32には、通常、3つの左、中、右の特別図柄32A,32B,32Cが横並びに表示されている。これら各特別図柄32A,32B,32Cは、例えば、「0」〜「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄32A,32B,32Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄32A,32B,32Cが、上下方向にスクロール表示され、所定時間後に、例えば、左、中、右の順で各特別図柄32A,32B,32Cが停止表示される。このとき、例えば、全ての特別図柄32A,32B,32Cが同じ図柄、即ち、ぞろ目になった場合に、遊技が「大当たり状態」になる。なお、表示装置32において特別図柄32A,32B,32Cが変動表示又は「大当たり状態」の最中に始動入賞口14A,14Bに入賞した場合、その入賞球は最大で4個まで保留記憶され、特別図柄32A,32B,32Cが停止表示又は「大当たり状態」が終了すると、その保留記憶に基づいて再び、特別図柄32A,32B,32Cが変動表示される。
大入賞口15は、横長矩形に形成されて、常には、可動扉15Tにて閉塞されている。パチンコ遊技機10が「大当たり状態」になると、遊技板11の裏に設けた図示しないソレノイドが駆動され、可動扉15Tが所定期間に亘って前側に倒れる。これにより、大入賞口15が開放され、可動扉15Tを案内にして、大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。ここで、可動扉15Tが、開放してから閉じるまでの間を「ラウンド」と称すると、1つのラウンドは、可動扉15Tの開放時間が30秒に達したか、又は、大入賞口15に遊技球が10個入賞したかの何れかの条件が先に満たされた場合に終了する。また、「大当たり状態」は、最大で、例えば15ラウンドまで継続される。
大入賞口15の内部には、計数入賞口が設けられている。計数入賞口内には、カウントセンサが設けられており、遊技球の入賞を検出すると入賞球数をカウントし、入賞球が前記したように計10個に達したか否かをチェックする。なお、大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、15個の遊技球が上皿26に払い出される。
表示装置32は、枠形構造をなした装飾枠33の後方に、例えば、15インチの液晶ディスプレイパネル30(以下、単に「液晶パネル30」という)を備えた構造になっている。そして、遊技板11の後面11Rに配置された後述する液晶ケース体50(図4参照)によって、液晶パネル30の後面が覆われている。以上が遊技領域R1に備えた各種役物に関する説明である。
パチンコ遊技機10の後面には、図2に示すように種々の部品が組み付けられた縦長矩形の機構板49が固定されている。機構板49の中央部には、遊技板11の後面11Rを後方に露出させた矩形開口44が形成されている。機構板49のうち上側部分には遊技球を貯留する遊技球タンク45が組み付けられ、機構板49の一側方には払出装置46が設けられており、機構板49の下側部分には払出制御装置47と電源装置48とが並んで設けられている。なお、払出装置46は、遊技球タンク45から遊技球誘導レール45Rを通して遊技球を受け取り、払出制御装置47からの指令に応じて所定数の遊技球を払い出す。
図3に示すように、遊技板11の後面11Rには、各種電子機器を収容した複数のケース体50,60,70,80が取り付けられている。詳細には、矩形板状の液晶パネル30を収容した液晶ケース体50と、図柄制御基板91及び音声制御基板92(図10参照)を収容した第1ケース体60と、サブ制御基板95を収容した第2ケース体70(図12参照)とが前後方向で重なった状態で取り付けられており(図17参照)、これら各ケース体50,60,70の下方に、メイン制御基板(図示せず)を収容したメイン制御基板ケース体80が取り付けられている。これら各ケース体50,60,70,80は、何れも透明な樹脂で構成されており、内部が視認可能となっている。また、これらの各ケース体50,60,70,80は、機構板49の矩形開口44の内側に配置され、図示しない樹脂製カバー84Cによって後方から覆われている。そして、各電子機器がそれぞれ各ケース50,60,70,80に収容されたことで、各電子機器に直接触れることなく組み付け作業を行うことができ、各電子機器の破損を防止できる。なお、図柄制御基板91、音声制御基板92及びサブ制御基板95が本発明の「遊技機構成部材」に相当する。図柄制御基板91は、サブ制御基板95より送信される制御信号を受信して作動し表示装置32を制御している。
以下、各ケース50,60,70について詳説する。なお、以下の説明における前後方向はパチンコ遊技機10の前後方向(本発明の「ケース重ね合わせ方向」に相当する)を示し、上下左右の方向はパチンコ遊技機10を後側からみた場合の上下左右の方向を示すこととする。
液晶ケース体50は、図4に示すように、遊技板11の後面11Rに固定された枠形ベース体51と、液晶パネル30を収容したカバー体52とからなる。枠形ベース体51は液晶パネル30より一回り大きな矩形枠状をなし、遊技板11の後面11Rに宛がわれて固定されている。カバー体52は、その枠形ベース体51の後面側に前後方向に組み合わされている。また、枠形ベース体51には、液晶パネル30の画面30Gとほぼ同じ大きさの表示開口51Aが形成されている。
図5に示すように、枠形ベース体51のうち、遊技板11の後面11Rに突き当てられた前端縁には、薄板状をなした複数の取付部51Dが形成されている。これら取付部51Dを遊技板11の後面11Rに螺子止めすることで、枠形ベース体51が遊技板11を介してパチンコ遊技機10に固定されている。また、枠形ベース体51とカバー体52とを合体固定するために、枠形ベース体51の左右両辺には複数のベース側係合部51Gが後方に向かって突出している。
カバー体52は、枠形ベース体51側(前方)に開放した扁平箱形構造をなしている。即ち、カバー体52は、図4に示すように、矩形状の後面壁部52Aの外縁部から枠形ベース体51に向けて囲壁52Bが突出した構造をなしており、その内側に液晶パネル30(図4には示されていない)が固定されている。また、カバー体52を枠形ベース体51に合体固定するために、カバー体52の左右両辺には、ベース側係合部51Gと凹凸係合する複数のカバー側係合部52Gが側方に張り出している。
図6に示すように、カバー体52のうち後面壁部52Aの上端寄り位置には、上辺と平行な段差部が形成され、この段差部より上方部分は前方にオフセットした放熱壁52Cになっている。放熱壁52Cの全体には、複数の放熱孔が形成され、これにより液晶パネル30が発する熱を液晶ケース体50の外部に放出可能となっている。また、放熱壁52Cのうち下寄り位置で左右方向の中央には、ガイド壁52Jが後方に向かって略垂直(即ち、略水平)に起立している。ガイド壁52Jは、下側の壁面が基端部に向かうに従って下方に僅かに傾斜している。
後面壁部52Aの下端寄り位置には、下辺と平行な屈曲部が形成されており、屈曲部より下側部分が、下方に向かうに従って枠形ベース体51に近づくように傾斜した傾斜壁52Dになっている。また、傾斜壁52Dと囲壁52Bの下辺部とがなす角部には、稜線に沿って複数の通気孔52Yが形成されている。
後面壁部52Aのうち放熱壁52Cと傾斜壁52Dとに挟まれた部分は、遊技板11の後面11Rに対して平行(即ち、略鉛直)な本発明に係るベース部52Eとなっている。ベース部52Eは略矩形状をなし、その下辺に沿ってスライドガイド部53Aが後方に向けて起立している。また、ベース部52Eの右側部分には、その右辺に沿って位置決めリブ53Bが後方に向かって起立している。このスライドガイド部53Aと位置決めリブ53Bとは、ベース部52Eの右下角部で直角に交わって接続している。
また、ベース部52Eのうち左側部分には、前方(カバー体52の内側)に陥没した陥没部52Fが形成されている。その陥没部52Fの上部及び下部は、カバー体52の前面側に貫通したケーブル孔52Hが形成されている。そして、スライドガイド部53Aの左端部は、下側のケーブル孔52Hの後方に片持ち梁状に張り出して配置された係止爪54となっている。係止爪54は、スライドガイド部53Aより若干下側で水平に延びる水平片54Aと、水平片54Aの先端に設けられ下方に傾斜した傾斜片54Bとからなる。傾斜片54Bと水平片54Aとの接続部分は、水平片54Aから上方に突出した段差状になっており、その接続部分の上面はスライドガイド部53Aと面一になっている。
一方、位置決めリブ53Bには、上下2箇所に矩形状のスライド結合孔53C,53Cが貫通形成されている。上側のスライド結合孔53Cは、下側のスライド結合孔53Cよりも、その矩形開口の上下方向の長さが短くなっている。
そして、ベース部52Eのうち陥没部52Fの右側に隣接する位置には、本発明にかかるケース挿通突部55が設けられている。ケース挿通突部55は、ベース部52Eから後方に向かって突出した円柱形状をしており、その先端寄り部分には上方に向かって縮径する傾斜面55Aが形成されている。また、ベース部52Eのうちケース挿通突部55と上下方向の位置が略同一で、位置決めリブ53Bとベース部52Eの右端との間には、ケース固定突部56が設けられている。ケース固定突部56も、ベース部52Eから後方に向かって突出した円柱形状をしており、その先端寄り部分は縮径している。このケース挿通突部55及びケース固定突部56は、先端に螺子孔が形成されており、後述する第2ケース体70の突部固定部75に固定される部分となっている。
また、ベース部52Eには、複数の連結孔57が形成されている。連結孔57は、カバー体52の後面壁部52Aを貫通して形成された左右方向に長い孔で、ベース部52E上に例えば4つ設けられている。各連結孔57は、ベース部52E上で平行に形成されており、その左右方向の長さが等しくなっている。また、各連結孔57は、ベース部52E上において、それぞれが非対称な位置に配置されている。
次に第1ケース体60について説明する。第1ケース体60は、図4に示すように、カバー体52のベース部52Eに重ねて取り付けられている。図7に示すように、第1ケース体60は、横長矩形で前後方向に薄くなった扁平箱形構造をなしている。第1ケース体60の前面及び後面は、ベース部52Eに平行(即ち略鉛直)な前側壁部61Aと後側壁部62Aとなっており、第1ケース体60の上下左右の側面は、囲壁60Bによって囲まれている。この前側壁部61A及び後側壁部62Aと囲壁60Bとの角部には、全体に亘って複数の通気孔60Yが設けられ、第1ケース体60の内部に収容された図柄制御基板91及び音声制御基板92が発する熱を外部に排出可能になっている。
第1ケース体60の右側の囲壁60Bからは、第1ケース体60の右方に張り出したスライド係合突部69,69が上下2箇所に設けられている。これらスライド係合突部69、69は、上記した位置決めリブ53Bのスライド結合孔53C,53Cと対応する位置に配置されており、上側のスライド係合突部69は、下側のスライド係合突部69よりも上下方向の長さが短くなっている。そして、右側の囲壁60Bと位置決めリブ53Bとを当接させると、スライド結合孔53C,53Cにスライド係合突部69,69が挿入可能になっている。なお、上側のスライド結合孔53Cは、上側のスライド係合突部69が丁度挿入可能な大きさとなっており、上側のスライド係合突部69よりも上下方向に長い下側のスライド係合突部69を誤って上側のスライド結合孔53Cに挿入しようとしても、挿入されない構造になっている。
また、第1ケース体60の前側壁部61Aには、その前面側に複数の連結フック67が設けられている。連結フック67は、図8に示すように、前側壁部61Aから前方に突出し先端がクランク状に右側に曲がっている。この連結フック67は、上記したベース部52Eの連結孔57に対応する位置に配置され、連結フック67の全体が連結孔57に挿入可能となっている。なお、連結孔57はベース部52E上で非対称に配置されているので、第1ケース体60をベース部52Eに取り付ける際に、第1ケース体60がベース部52Eに対して正規の位置に配置されていない場合には、全ての連結フック67が連結孔57に挿入されない構造になっている。また、第1ケース体60が「連結準備位置」に配置されると、全ての連結フック67が連結孔57に挿抜可能となる。
第1ケース体60の下側の囲壁60Bの左寄り位置からは、図7に示すように、下方に向かって三角突部64が突出している。三角突部64の右側には右方に向かうに従って囲壁60B側に近づく傾斜面64Aが形成されており、三角突部64の左側は囲壁60Bから下方に向かって垂直な係止面64Bが形成されている。
そして、第1ケース体60には、第1ケース体60を前後方向に貫通した突部挿通部65が形成されている。図9は第1ケース体60のうち突部挿通部65の部分を拡大した図である。突部挿通部65は、横長矩形状の挿通部開口65Aを第1ケース体60の前面及び後面に有し、その内部には挿通部内壁65Bによって三方を囲まれ、第1ケース体60の側面に開放した溝構造のケース貫通空間65Cが形成されている。また、突部挿通部65は、第1ケース体60のうちベース部52Eのケース挿通突部55に対応する部分に形成されている。第1ケース体60がベース部52Eに固定した状態では、ベース部52Eのケース挿通突部55は、突部挿通部65内のケース貫通空間65Cを貫通し、その先端が第1ケース体60の後方に突出する。
また、第1ケース体60は、前側第1ケース61と後側第1ケース62とを前後方向に組み合わせてなる。第1ケース体60には、図7に示すように、これら前側第1ケース61と後側第1ケース62とを係止するための側方係止部60Dが設けられている。側方係止部60Dは第1ケース体60の上下左右の側面に各1箇所ずつ設けられ、上側と下側の側方係止部60Dは第1ケース体60の右寄り位置にそれぞれ配置されている。これにより、仮に前側第1ケース61と後側第1ケース62とを組み合わせる際に、方向を間違えて組み合わせても係止されない構造になっている。
図10には第1ケース体60を分解した状態が示されている。第1ケース体60の内部では、右側に図柄制御基板91が、左側に音声制御基板92が左右に並べて収容されている。図柄制御基板91及び音声制御基板92は、それぞれ長方形状をなし、図柄制御基板91の上下方向の長さは、第1ケース体60の前側壁部61Aの上下方向の長さと略同一の長さになっている。一方、音声制御基板92の上下方向の長さは、図柄制御基板91よりも短くなっている。図柄制御基板91と音声制御基板92との間は、基板コネクタ91Bで接続されており、両基板91,92には図示しないCPU、RAM、ROM等の電子部品が実装されている。また、図柄制御基板91の右端部には、演出データ基板93が取り付けられ、上下端部には他の制御基板との間でハーネスを接続するためのケーブルコネクタ91Cが実装されている。第1ケース体60の後側第1ケース62には、その上部及び下部が一部陥没して複数のハーネス接続孔60Cが設けられており、これらハーネス接続孔60Cを通して図示しないハーネスの末端に備えられたコネクタが、図柄制御基板91のケーブルコネクタ91Cに接続されている。
ところで、第1ケース体60の内部は、図11に示すように、大空間部屋60Lと小空間部屋60Mとに区画され、その大空間部屋60Lと小空間部屋60Mとの間には空間区画壁60Nが設けられている。空間区画壁60Nは水平方向の壁部と垂直方向の壁部とからなり、第1ケース体60の左上部分の空間を分断している。この大空間部屋60Lには、図柄制御基板91及び音声制御基板92が収容されている。また、小空間部屋60Mには、上記した突部挿通部65のケース貫通空間65Cが前後方向に貫通して設けられている。
第1ケース体60のうち前側第1ケース61には、図10に示すように、大空間部屋60L内に複数の基板支持支柱61Sが設けられている。各基板支持支柱61Sの先端面は面一となっており、その先端面は図柄制御基板91及び音声制御基板92に当接して位置決めしている。一方、前側第1ケース61に対向する後側第1ケース62からは、基板支持支柱61Sに向かって図示しない基板抑え支柱が延び、各基板91,92に後方から当接して前後方向に規制している。また、前側第1ケース61には、大空間部屋60L内に空間区画壁60Nの水平方向の壁部に対応する基板支持壁61Tが設けられている。基板支持壁61Tには、その先端寄り位置に基板支持支柱61Sの先端面と面一な段差面が設けられ、音声制御基板92を位置決めしている。さらに、囲壁60Bの内壁には、基板支持支柱61Sの先端面と面一な段差面が形成されており、各基板91,92を位置決めしている。
空間区画壁60Nは、第1ケース体60のうち後側第1ケース62に設けられている。図9に示すように、突部挿通部65は、右方及び下方を空間区画壁60Nによって、上方を囲壁60Bによって囲まれている。上述したように、突部挿通部65は挿通部内壁65Bによって三方を囲まれており、これに加えて空間区画壁60Nによっても囲まれているので、突部挿通部65はより強度が増加している。
さて、第1ケース体60の後方には、第2ケース体70が取り付けられる。図7に示すように、第1ケース体60の後側壁部62Aのうち上下のハーネス接続孔60Cの間で右寄り位置は第2ケース体設置部62Sとなっている。第2ケース体設置部62Sの左上部分は突部挿通部65の挿通部開口65Aに隣接し、第2ケース体設置部62Sの右上部分はカバー体52から延びるケース固定突部56の先端に隣接している(図14参照)。また、第2ケース体設置部62Sの下端部分には、2つの保持突部66,66が後方に向かって突出している。そして、各保持突部66の上面には、上方に向かって開放したケース間係合孔66Aが形成されている。このケース間係合孔66Aには、後述する第2ケース体のケース間係合突部76が挿入され、第1ケース体60と第2ケース体70とを係止可能にしている。なお、後側壁部62Aのうち第2ケース体設置部62S以外の部分には、複数の通気孔62Zが形成されている。通気孔62Zにより、第1ケース体60の内の図柄制御基板91及び音声制御基板92が発する熱は外部に排出可能になっている。
第2ケース体70は、図12に示すように、前後方向に薄くなった扁平構造をなし、内部に収容されたサブ制御基板95のケーブルコネクタ95D等が、後面壁に形成された複数の矩形開口71Wを介して、第2ケース体70の外部に露出している。そして、図示しないハーネスの末端に備えられたコネクタが、ケーブルコネクタ95Dに接続され、図柄制御基板91や他の制御基板又は制御装置等に繋げられている。
第2ケース体70のうち下端部には、下方に向かって突出した2つのケース間係合突部76,76が設けられている。ケース間係合突部76は、第2ケース体70のうち前側の壁面と面一となる面を有しており、上記した第1ケース体60のケース間係合孔66Aに上方から挿入して係合している。
第2ケース体70のうち左右両端部の上方寄り位置からは、側方に向かって突部固定部75,75が突出している。各突部固定部75,75には、カバー体52のケース挿通突部55及びケース固定突部56の先端の形状に対応した円柱状の凹部を有する支柱先端支持部75A,75Aが形成されており、その支柱先端支持部75Aには、螺子孔75Bが貫通形成されている。そして、各支柱先端支持部75Aをケース挿通突部55及びケース固定突部56の先端に係合すると共に、螺子止めすることで第2ケース体70がカバー体52に固定されている。
本実施形態のパチンコ遊技機10に係る構成に関する説明は以上である。次に、本実施形態のパチンコ遊技機10の作用効果について説明する。パチンコ遊技機10の製造工程において、第1ケース体60及び第2ケース体70は、液晶ケース体50のカバー体52に以下のようにして組み付けられる。
第1ケース体60を、カバー体52のベース部52Eに組み付ける際には、まず、ベース部52Eのケース挿通突部55を第1ケース体60の突部挿通部65に挿通させる。その際、図13に示すように、第1ケース体60は、ベース部52Eに対して、ケース挿通突部55が突部挿通部65の右側の挿通部内壁65Bに当接した位置になるように配置する。ケース挿通突部55は先端寄り部分に傾斜面55Aを有しているので、突部挿通部65の挿通部開口65Aの右側縁部に摺動させつつ挿入すれば容易に配置できる。
また、ケース挿通突部55が突部挿通部65の右側の挿通部内壁65Bに当接した位置は、第1ケース体60の全ての連結フック67がベース部52Eの各連結孔57に挿抜可能となる連結準備位置に一致している。即ち、突部挿通部65における右側の挿通部内壁65Bにケース挿通突部55を当接させることで、連結準備位置に容易に位置決めすることができ、ベース部52Eと第1ケース体60との固定をスムーズに行うことが可能となる。
連結フック67が連結孔57に挿入した状態で、第1ケース体60をベース部52Eに対して左方から右方にスライドさせると、連結フック67の先端部は連結孔57の奥部に係止して第1ケース体60がベース部52Eに対して上下方向及び前後方向で離脱不能に固定される。これにより、第1ケース体60は、各連結フック67によって支えられることになる。
また、ベース部52Eに対して第1ケース体60を左方から右方にスライドさせる際、第1ケース体60はベース部52Eのスライドガイド部53Aによって案内され、位置決めリブ53Bに当接し位置決めされる(図14参照)。その第1ケース体60が位置決めリブ53Bに向けてスライドする過程で、係止爪54の傾斜片54Bは、三角突部64の傾斜面64Aに当接し、係止爪54の水平片54Aが下側に弾性変形する。第1ケース体60がさらにスライドを続けると、傾斜片54Bが三角突部64の頂上を越えて水平片54Aが弾性復元する。すると、三角突部64の係止面64Bが、係止爪54の傾斜片54Bと水平片54Aとの間の段差面に当接し係止される。ここで、第1ケース体60が位置決めリブ53Bに当接する位置と、水平片54Aが弾性復元する位置は略同一となっている。これにより、第1ケース体60は位置決めリブ53Bと係止爪54とによって左右方向の動きが規制される。また、第1ケース体60とベース部52Eとは、右方向にスライドさせることによって係止可能であるので容易に作業が行える。
さらに、ベース部52Eに対して第1ケース体60を位置決めリブ53Bに当接させると、第1ケース体60のスライド係合突部69が、位置決めリブ53Bのスライド結合孔53Cに挿入する。これにより、第1ケース体60がベース部52Eに対して前後方向で離脱不能に固定される。
なお、ベース部52Eと第1ケース体60との固定を解除する際には、第1ケース体60を左方向に移動させ連結準備位置に配置されたときに、連結フック67と連結孔57の係止、及び、スライド係合突部69とスライド結合孔53Cの係止が解除される。これにより、ベース部52Eと第1ケース体60との固定の解除についても容易に行うことができる。
次に、第2ケース体70をベース部52E及びベース部52Eに取り付けた第1ケース体60に組み付ける際には、図15に示すように、第2ケース体70を第1ケース体60に対して上方から下方に向けてスライドさせて、第1ケース体60のケース間係合孔66Aに第2ケース体70のケース間係合突部76を挿入して係合する。
また、第2ケース体70は、ベース部52Eのケース挿通突部55及びケース固定突部56の先端に、突部固定部75を宛がって螺子止め固定される。螺子により固定可能としたので、第2ケース体70とベース部52Eとを容易に固定することができ、また、容易に取り外すことができる。
このように第1ケース体60及び第2ケース体70をベース部52Eに組み付けると、図16及び図17に示すように、ベース部52E、第1ケース体60、第2ケース体70は前後方向に重なった状態で固定される。ここで、第2ケース体70は、第1ケース体60との間でケース間係合孔66Aとケース間係合突部76とによって固定されるのみならず、ベース部52Eのケース挿通突部55及びケース固定突部56と突部固定部75とによっても固定されている。これにより、第1ケース体60と第2ケース体70との間にかかる負荷は、第1ケース体60のケース間係合孔66A及びベース部52Eのケース挿通突部55及びケース固定突部56によって支えられる。このように、第2ケース体70を、第1ケース体60によって支えるとともに、ベース部52Eによっても支えることができるので、負荷を分散することができるとともに、より確実に第2ケース体70をパチンコ遊技機10に固定することが可能となる。
一方、ベース部52Eと第1ケース体60との間にかかる負荷は、連結フック67と連結孔57、スライド係合突部69とスライド結合孔53C、及び、位置決めリブ53Bと係止爪54によって支えられている。また、第1ケース体60は下方からスライドガイド部53Aの全体によっても支えられている。さらに、第1ケース体60の後面に固定される第2ケース体70によって、後面側からも支えられている。このように、第1ケース体60は、第1ケース体60の異なる方向、即ち、前方、右方、下方及び後方から支えられている。これにより、第1ケース体60とベース部52Eとの間にかかる負荷を分散させることができる。
また、ケース挿通突部55の突部挿通部65へ挿通される方向は前後方向で、ベース部52Eと第1ケース体60とがスライドして係合される方向は左右方向であるので、それぞれの方向は互いに直交し、ベース部52Eと第1ケース体60との係止が緩んで合体が外れる虞を低減することができる。さらに、第2ケース体70と第1ケース体60との係合方向は上下方向であり、前後方向及び左右方向と直交するので、ベース部52E及び第1ケース体60と第2ケース体70との係止が緩んで外れる虞も低減することができる。
なお、第2ケース体70は、ベース部52Eに対して第1ケース体60が正規の位置で固定されない場合には、固定できない構成になっている。即ち、ベース部52Eと第1ケース体60との重ね合わせ面に複数備えた連結フック67のうちの何れかの連結フック67が連結孔57に挿入されないので、ベース部52Eと第1ケース体60とを重ね合わせてスライドすることができない。そして、ベース部52Eと第1ケース体60とをスライドさせないと、ケース挿通突部55及びケース固定突部56と、ケース間係合孔66Aの位置関係がずれて第2ケース体70を固定することができなくなる。これにより、第1ケース体60をベース部52Eに固定し忘れる事態を防止することが可能となる。
また仮に、第1ケース体60をベース部52Eに載置して固定作業を忘れ、第2ケース体70のみをベース部52Eに固定するという作業ミスが発生してしまったとしても、ベース部52Eと第2ケース体70とを繋ぐケース挿通突部55が、第1ケース体60を貫通するケース貫通空間65Cを貫通しているので抜け止めされ、パチンコ遊技機10本体から外れてしまう事態を防ぐことができる。なお、ケース挿通突部55は、突部挿通部65の挿通部内壁65Bに三方を囲まれているので、ケース挿通突部55が外部に露出して破損する虞を低減することができる。さらに、ケース固定突部56の固定が解除されてしまうような事態が生じた場合にも、ケース挿通突部55と突部固定部75とが固定されていれば第1ケース体60の脱落を防止できる。
そして、液晶ケース体50に収容された液晶パネル30は、第1ケース体60に収容された図柄制御基板91によって制御される。図柄制御基板91は、第2ケース体70に収容されたサブ制御基板95に制御されて作動している。本実施形態のように、各ケース50,60,70に収容された電気的遊技部材(液晶パネル30,図柄制御基板91,サブ制御基板95)を重ねて配置すれば各電気的遊技部材の間を繋ぐケーブルを短くすることができるとともに、各ケース50,60,70を隣接して配置できるので配置スペースもコンパクトにすることが可能となる。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10によれば、第2ケース体70がケース挿通突部55によってベース部52Eに直接固定されているので、第1ケース体60及び第2ケース体70にかかる自重や振動等による負荷が、従来のように第1ケース体60とベース部52Eとの間の固定部分に集中して、その固定部分を変形させる事態を防ぐことができる。これにより、ベース部52Eに対する第1ケース体60及び第2ケース体70の固定が安定する。しかも、本実施形態では、第1ケース体60にケース貫通空間65Cが貫通形成され、そのケース貫通空間65Cを介してケース挿通突部55が第2ケース体70とベース部52Eとを固定しているので、仮に、第1ケース体60をベース部52Eに固定し忘れ、第2ケース体70のみをベース部に固定して出荷した場合でも、第1ケース体60がケース挿通突部55に係止してベース部52Eからの脱落が防がれ、第1ケース体60及びその周辺部品の破損を防ぐことができる。
[他の実施形態]
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、遊技機としてパチンコ遊技機10を例示したが、アレンジボールのような弾球遊技機であってもよいし、スロットマシンのような非弾球遊技機であってもよい。
(2)前記実施形態では、液晶パネル30を収容した液晶ケース体50の後方に配置した第1ケース体60及び第2ケース体70に本発明を適用していたが、複数のケース体が重なって固定された構造であれば、その他のケース体に適用してもよい。
(3)前記実施形態では、ベース部52Eにケース挿通突部55及びケース固定突部56を設けたが、第2ケース体70側にケース挿通突部又はケース固定突部を設けベース部52E側で固定する構成にしてもよい。また、ベース部52E及び第2ケース体70の双方からケース挿通突部又はケース固定突部を突出させて、中間位置で接続させたる構造にしてもよい。例えば、第1ケース体60のケース貫通空間65C内で接続させた構造にしてもよい。
(4)前記実施形態では、ベース部及びケース挿通突部を各1つ備えた構成としたが、ベース部及びケース挿通突部を各2つ以上備えた構成にしてもよい。
(5)前記実施形態では、ベース部52Eに連結孔57を設け、第1ケース体60に連結フック67を設けたが、ベース部52Eに連結フックを設け、第1ケース体60に連結孔を設けてもよい。
(6)前記実施形態では、位置決めリブ53Bにスライド結合孔53Cを設け、第1ケース体60にスライド係合突部69を設けたが、位置決めリブ53Bにスライド係合突部を設け、第1ケース体60にスライド結合孔を設けてもよい。
(7)前記実施形態では、第1ケース体60に保持突部66及びケース間係合孔66Aを設け、第2ケース体70にケース間係合突部76を設けたが、第1ケース体60にケース間係合突部を設け、第2ケース体70に保持突部及びケース間係合孔を設けてもよい。
(8)前記実施形態では、カバー体52の一部に本発明のベース部を設けたが、ベース部を設けるのはカバー構造の部材に限られない。ケース体を固定可能な壁面を有している部材であれば、例えば遊技板11や機構板49であってもよい。