以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態の説明において記す前後左右とは、遊技者から見た、つまり遊技盤に向かって見た方向を指すものとする。
図1は本発明の実施の形態に係る遊技機(パチンコ機)の遊技盤1の正面図である。
遊技盤1は、合板やプラスチック等からなる矩形状の遊技盤本体2の表面に、区画部材としてのガイドレール10等を設けることで略円形状の遊技領域11を区画形成している。
遊技機は、遊技者の操作に基づいて発射装置(図示省略)から遊技球を発射させ、遊技領域11内に流下させることにより遊技を行うものである。遊技者は、遊技盤1を覆うカバーガラス(図示省略)を通じて遊技領域11を視認することができる。
遊技領域11には、開口部21aを有するセンターケース21が配設される。遊技盤1にはセンターケース21の外周に沿った形状の開口が形成され、センターケース21は、その開口に遊技盤1の前方から嵌装される。
遊技盤1の裏面側には、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示部22aを有する変動表示装置22が後述する制御ベース34(図3〜図6)を介して配設される。変動表示装置22は、表示部22aがセンターケース21の開口部21aに臨んで配設される。
変動表示装置22は、表示部22aに複数の変動表示領域(例えば、左側、中央、右側の3つの可変表示領域等)を設定して各表示領域の各々で独立して画像表示がなされる表示装置である。本実施の形態では、例えば、任意の画像を表示可能な液晶表示器等で表示画面部分が構成され、その表示画面上の各変動表示領域には複数の識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタ等、遊技の進行に基づく画像が表示される。
遊技領域11におけるセンターケース21の下方でかつ遊技領域11の略中央には、遊技球の入賞に基づき特別図柄(特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な始動入賞口24が配設される。始動入賞口24は、遊技球が入賞した場合に第1特図変動表示ゲームが行われる第1始動入賞口24aと、普通変動入賞装置(普通電動役物)23を有するチューリップタイプであり、遊技球が入賞した場合に第2特図変動表示ゲームが行われる第2始動入賞口24bとを備える。
第2始動入賞口24bの下方には、変動表示装置22の作動結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)25が配設される。
遊技領域11におけるセンターケース21の左側方には、遊技球が通過した場合に普通図柄(普図)変動表示ゲームが行われる普図始動ゲート26が配設される。
遊技領域11における始動入賞口24の左右両側方には、遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す条件だけが成立する一般入賞口27が配設される。
遊技領域11には、この他に、遊技球の落下方向を変える風車28や釘(図示省略)等の方向変換部材、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口30が配設される。
遊技盤1の右下部には、特図変動表示ゲームの特図の変動表示、特図入賞記憶数(始動記憶数)、普図変動表示ゲームの普図の変動表示、普図入賞記憶数、及び大当たりの決定ラウンド数を表示する状態表示器32が配設される。
発射装置によって打ち出された遊技球は、ガイドレール10の左側部に沿って区画され遊技球を案内する発射球案内通路31から遊技領域11に発射され、遊技領域11内の各所に配置された方向変換部材によって落下方向を変えながら遊技領域11を流下し、始動入賞口24、一般入賞口27、又は特別変動入賞装置25に入賞するか、遊技領域11の最下部に設けられたアウト口30から排出される。
始動入賞口24、一般入賞口27、特別変動入賞装置25に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出装置(図示省略)から排出される。
具体的には、始動入賞口24に遊技球が入賞すると、変動表示装置22では、前述した数字等で構成される識別情報が順に変動表示する特図変動表示ゲームが開始され、特図変動表示ゲームに関する画像が表示される。
始動入賞口24への遊技球の入賞が所定のタイミングでなされたときには大当たり状態となり、三つの表示図柄が揃った状態(大当たり図柄)で停止する。このとき、特別変動入賞装置25は、大入賞口ソレノイド(図示省略)への通電によって、大入賞口が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、大入賞口が所定の時間だけ大きく開くので、この間遊技者には、多くの遊技球を獲得することができるという遊技価値が付与される。
また、普図始動ゲート26を遊技球が通過すると、状態表示器32で普図変動表示ゲームが開始される。普図始動ゲート26への遊技球の通過が所定のタイミングでなされたときには普通図柄に関する当たり状態となり、状態表示器32に表示される普通図柄が当たり状態で停止する。このとき、第2始動入賞口24bに設けられた普通変動入賞装置23は、普通電動役物ソレノイド(図示省略)への通電によって、第2始動入賞口24bへの入口が所定の時間だけ拡開するように変換され、第2始動入賞口24bへの遊技球の入賞可能性が高められる。
次に、図2を参照して、状態表示器32について説明する。図2は状態表示器32を示す図である。
状態表示器32は、普図変動表示ゲーム、第1特図変動表示ゲーム、及び第2特図変動表示ゲームの遊技状態を報知するものである。具体的には、状態表示器32は、普図変動表示ゲームを表示する普図表示器3と、第1特図変動表示ゲームを表示する第1特図表示器4aと、第2特図変動表示ゲームを表示する第2特図表示器4bと、普図変動表示ゲームの未処理回数を表示する普図記憶表示器5と、第1特図変動表示ゲームの未処理回数(第1始動記憶数)を表示する第1特図記憶表示器6と、第2特図変動表示ゲームの未処理回数(第2始動記憶数)を表示する第2特図記憶表示器7と、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームにおける結果が2R大当りか15R大当りかを決定するラウンド数表示器8と、第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームの遊技状態を報知する遊技状態表示器9とを備える。なお、普図表示器3、第1特図表示器4a、第2特図表示器4b、普図記憶表示器5、第1特図記憶表示器6、第2特図記憶表示器7、ラウンド数表示器8、及び遊技状態表示器9は、セグメントLEDとして一体に設けられている。
普図表示器3は、普図始動ゲート26を遊技球が通過した場合に点灯又は点滅し、普図変動表示ゲームを表示するLEDである。普図表示器3が点滅している場合は普図変動表示ゲームが変動表示中であることを示し、普図表示器3が点灯している場合は普図変動表示ゲームの結果が当りであることを示し、普図表示器3が消灯している場合は普図変動表示ゲームの結果がはずれであることを示している。
普図記憶表示器5は、第1普図記憶表示器5aと第2普図記憶表示器5bの2つのLEDからなり、第1普図記憶表示器5a及び第2普図記憶表示器5bが共に消灯している場合は普図変動表示ゲームの未処理回数が「0」であることを示し、第1普図記憶表示器5aが点灯し第2普図記憶表示器5bが消灯している場合は普図変動表示ゲームの未処理回数が「1」であることを示し、第1普図記憶表示器5a及び第2普図記憶表示器5bが共に点灯している場合は普図変動表示ゲームの未処理回数が「2」であることを示し、第1普図記憶表示器5aが点滅し第2普図記憶表示器5bが点灯している場合は普図変動表示ゲームの未処理回数が「3」であることを示し、第1普図記憶表示器及5a及び第2普図記憶表示器5bが共に点滅している場合は普図変動表示ゲームの未処理回数が「4」であることを示している。
第1特図表示器4aは、第1始動入賞口24aに遊技球が入賞すると第1特図変動表示ゲームを表示するものである。
第2特図表示器4bは、第2始動入賞口24bに遊技球が入賞すると第2特図変動表示ゲームを表示するものである。
第1特図記憶表示器6は、4つのLEDからなり、点灯しているLEDの個数で第1特図変動表示ゲームの未処理回数を表示するものである。
第2特図記憶表示器7は、4つのLEDからなり、点灯しているLEDの個数で第2特図変動表示ゲームの未処理回数を表示するものである。
ラウンド数表示器8は、第1ラウンド数表示器8aと第2ラウンド数表示器8bの2つのLEDからなり、第1ラウンド数表示器8aが点灯し第2ラウンド数表示器8bが消灯している場合は第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームの遊技結果が2R大当たりであることを示し、第1ラウンド数表示器8aが消灯し第2ラウンド数表示器8bが点灯している場合は第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームの遊技結果が15R大当たりであることを示している。
遊技状態表示器9は、第1遊技状態表示器9aと第2遊技状態表示器9bと第3遊技状態表示器9cの3つのLEDからなり、第1遊技状態表示器9aが点灯している場合は第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームにおいて大当たり中(条件装置作動中)であることを示し、第1遊技状態表示器9aが消灯している場合は第1特図変動表示ゲーム及び第2特図変動表示ゲームにおいて大当たりでない状態(条件装置未作動)であることを示している。
また、第2遊技状態表示器9b及び第3遊技状態表示器9cが共に消灯している場合は第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームの変動制御(変動時間)が予め設定された通常動作状態(通常制御状態)であることを示し、第2遊技状態表示器9bが点灯し第3遊技状態表示器9cが消灯している場合は時短動作状態(短縮制御状態)であることを示し、第2遊技状態表示器9b及び第3遊技状態表示器9cが共に点灯している場合は第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームにおいて大当たりとなる確率が所定の確率である通常確率状態よりも高く設定された高確率状態(確率変動状態)であることを示している。
さらに、第2遊技状態表示器9b及び第3遊技状態表示器9cが共に消灯している場合はエラー未報知状態を示し、第2遊技状態表示器9bが消灯し第3遊技状態表示器9cが点灯している場合はエラー報知中状態であることを示している。具体的には、遊技機の電源投入時に第1特図変動表示ゲーム又は第2特図変動表示ゲームにおいて大当たりとなる確率が高確率状態となっている場合にエラー状態であると判定して、第3遊技状態表示器9cが点灯する。この第3遊技状態表示器9cが点灯した状態は、高確率状態が停止するまで継続することとなる。
次に、図3〜図6を参照して、制御ベース34及びそれに取り付けられる装飾部材35について説明する。図3は制御ベース34、装飾部材35、及び変動表示装置22の分解斜視図であり、図4,図5,及び図6は装飾部材35が取り付けられた制御ベース34とセンターケース21とを示す図であり、それぞれ斜視図,正面図、及び裏面図である。
制御ベース34は、裏面に変動表示装置22が取り付けられると共に、内部に装飾部材35を収納する部材であり、遊技盤1の前面に取り付けられるセンターケース21との間で遊技盤1を挟むようにして、遊技盤1の裏面に取り付けられる。
制御ベース34が遊技盤1の裏面に取り付けられた状態では、センターケース21の内側底部に配設されたステージ60は制御ベースの内部空間に入り込んだ状態となる(図4参照)。制御ベース34の内側底部34aには、ステージ60を下方から照らすLEDが装着されたLED基板39が基板ホルダ47に収納されて配設される。
変動表示装置22は、表示部22aが制御ベース34に形成された表示用開口部34bに臨むように、制御ベース34に取り付けられる。
装飾部材35は、制御ベース34の上部に取付ベース40(図6参照)を介して取り付けられた第1装飾ユニット36と、制御ベース34の左側部に取付ベース41を介して取り付けられた第2装飾ユニット37と、制御ベース34の右側部に取付ベース42を介して取り付けられた第3装飾ユニット38とを備える。
図4及び図5に示すように、各装飾ユニット36,37,38は、センターケースの内周に沿うように、かつ、変動表示装置22の表示部22aの外縁に沿うように配設される。
第1装飾ユニット36は、薔薇の花の形状を模した可動演出部材65を有し、可動演出部材65は、表示部22aに表示される表示内容に関連して演出動作する。第1装飾ユニット36については後に詳述する。
第2装飾ユニット37は、剣の形状を模した第1可動演出部材37aと、薔薇の花の形状を模した4つの第2可動演出部材37bとを有し、可動演出部材37a,37bは、表示部22aに表示される表示内容に関連して演出動作する。具体的には、剣がソレノイドの駆動によって上下動するのに伴って、4つのバラがモータ及び複数のギアからなる機構によって同期回転するように動作する。
第3装飾ユニット38は、薔薇の花の形状を模した5つの装飾部材38aを有し、5つの装飾部材38aは上下方向に配列される。それぞれの装飾部材38aの内部にはLED基板が内蔵される。装飾部材38aは有色透明な合成樹脂にて形成されるため、内部のLEDが発する光は外部へと漏れる。5つの装飾部材38aのうち上4つは、内蔵されたLEDの点灯又は消滅によって特図変動表示ゲームの未処理回数を表示する。つまり、上4つの装飾部材38aは保留報知部として機能する。具体的には、通常制御状態では、第1特図変動表示ゲームの保留報知部として機能し、短縮制御状態及び確率変動状態では、第2特図変動表示ゲームの保留報知部として機能する。
また、図5及び図6に示すように、第3装飾ユニット38の取付ベース42には、表示部22aの一部を区画する円弧状の演出表示領域区画枠46が取り付けられる。演出表示領域区画枠46内にはハーフミラー43が装着される。遊技者がハーフミラー43を通じて視認可能な表示部22aの領域は演出表示領域44となる。
次に、図7を参照して、演出表示領域44の演出について説明する。図7は変動表示装置22における特図変動表示ゲームの遷移図である。
図7(a)に示すように、特図変動表示ゲームの変動制御が通常制御状態である場合には、ハーフミラー43後方の表示領域は暗いため、遊技者は演出表示領域44を視認することができない。つまり、演出表示領域44には何も表示されていない状態となる。
第1始動入賞口24aに遊技球が入賞し変動表示ゲームが開始されると、ハーフミラー43後方の表示領域が明るくなり、図7(b)に示すように、遊技者は演出表示領域44を視認することが可能となり、演出表示領域44に報知キャラクタ45が出現したように見える。
変動表示ゲームが進行し、大当たりの期待度が低い場合には、図7(c)に示すように、第1図柄停止にて演出表示領域44から報知キャラクタ45が消える。
また、図7(d)に示すように、報知キャラクタ45が変動表示ゲームのリーチ状態まで居座れば、大当たりの期待度が高いことを示している。ここで、リーチ状態とは、例えば、最後に停止する図柄以外の図柄が同一の内容で停止して、最後に停止する図柄のみが変動している状態のこと。具体的には、3つの図柄のうち左右の図柄が揃って停止したものの、中の図柄がまだ変動中であるために、大当たりに至る可能性を残しているような状態である。
また、先読みにより保留球に大当たり発生保留球が存在する場合には、複数の変動表示ゲームを跨いで報知キャラクタ45が居座る。その際、報知キャラクタ45の表示態様が徐々に変化するようにしてもよい。
次に、図8,図9,及び図10を参照して、センターケース21について説明する。図8はセンターケース21の正面図であり、図9はセンターケース21の斜視図であり、図10はセンターケース21の分解図である。
センターケース21は、変動表示装置22の表示部22aが臨む開口部21aを有する異形リング状の部材であり、遊技盤1に形成された開口に遊技盤1の前方から嵌装されて遊技盤1に対して固定される。センターケース21は合成樹脂にて形成される。
センターケース21は、遊技盤1に形成された開口に嵌装される嵌装部50aと、嵌装部50aに対して鍔状に形成された鍔部50bとからなる本体ベース50を備え、鍔部50bを介して遊技盤1に固定される。つまり、鍔部50bよりも前方側が遊技領域11内に配設されることになる。
本体ベース50の鍔部50bの前面には、前方に立設し遊技領域11を流下する遊技球を案内するガイド51が形成される。
ガイド51は、円弧状に形成された上部ガイド51aと、上部ガイド51aの左端部から円弧状に延びる左側部ガイド51bと、左側部ガイド51bの下端部からS字状に形成された左側下部ガイド51cと、上部ガイド51aの右端部から円弧状に延びる右側部ガイド51dとからなる。
また、右側部ガイド51dの下端部には、装飾部材52が連続して形成され、装飾部材52の外縁部は遊技球を案内するガイドとして機能する。
なお、左側部ガイド51bの内周には装飾部材58aが配設され、左側部ガイド51b及び左側下部ガイド51cの内周には装飾部材58bが配設される。
発射球案内通路31から遊技領域11内に発射された遊技球は、ガイドレール10とガイド51との間の領域を流下する。ここで、図1に示すように、センターケース21の左側方の遊技領域11は大きく形成されるのに対して、センターケース21の右側方の遊技領域11は遊技球1つが通過できる程度の大きさである。したがって、本実施の形態では、主としてセンターケース21の左側方の遊技領域11に遊技球を流下させることによって遊技が行われる。
上部ガイド51aの下方には、LEDが装着されたLED基板53を内部に収納した基板ホルダ54が配設される(図10参照)。基板ホルダ54の前面開口部は装飾用レンズ55にて覆われる。
センターケース21の内側底部には、遊技球が転動可能であって、転動する遊技球を始動入賞口24が配設された遊技領域11へと排出するステージ60が配設される。
センターケース21の左側部には、遊技領域11を流下する遊技球をセンターケース21内に導くためのワープ通路56が配設される。
ワープ通路56は、左側下部ガイド51cの外周に沿ってワープ形成部材57が配設されることによって構成される。ワープ形成部材57は有色透明な合成樹脂にて形成される。
ワープ通路56は、遊技領域11に向けて開口し遊技領域11を流下する遊技球を受け入れる流入口56aと、流入口56aから流入した遊技球が通過する流路56bと、ステージ60に向けて開口し流路56bを通過した遊技球をステージ60に排出する排出口56cとを備える。
流入口56aは、遊技領域11におけるセンターケース21の左側方を流下する遊技球を受け入れるため、左斜め上方に向けて開口している。
流路56bは、通過する遊技球の転動の勢いを弱めるために、蛇行して形成される。
排出口56cは、ステージ60の左端部に連接して配設される。したがって、排出口56cから排出された遊技球は、直接ステージ60へと流入する。
ステージ60の前面には装飾部材59が取り付けられ、装飾部材59には、ステージ60を転動した遊技球を遊技領域11へと排出する第3球流出口99cが開口して形成される。
次に、図9を参照して、ステージ60について説明する。
ステージ60は、センターケース21の内側底部に左右方向に延設され、かつ中央部が始動入賞口24の直上方となるように配設される。ステージ60は、左右両端部が高く全体として略円弧状に形成される。ステージ60は有色透明な合成樹脂にて形成される。
ステージ60は、遊技球が転動可能に左右方向に延設され、遊技領域11に臨む第1転動部61と、遊技球が転動可能に左右方向に延設され、第1転動部61の奥側に第1転動部61の下流端部と連通して配設された第2転動部62と、遊技球が転動可能に左右方向に延設され、第2転動部62の奥側に第2転動部62の下流端部と連通して配設された第3転動部63とを備える。このように、第1転動部61、第2転動部62、及び第3転動部63は、左右方向に平行に配設される。
第1転動部61の左側部には、ステージ60から突出して、ワープ通路56の排出口56cに連通する連絡路64が形成される。したがって、ワープ通路56の排出口56cから排出された遊技球は、連絡路64を転動して第1転動部61へと流入する。
ステージ60は、遊技球を遊技領域へと排出する第1球流出口99a、第2球流出口99b、及び第3球流出口99cを備える。第1球流出口99aは、始動入賞口24の直上方から左右側にずれて配設される。第2球流出口99bは、第1転動部61の下方で、かつ始動入賞口24の上方に横長に開口して形成される。また、第3球流出口99cは、始動入賞口24の直上であって、最も始動入賞口24に近い位置に配設される。
ワープ通路56から第1転動部61へと流入した遊技球は、第1転動部61、第2転動部62、及び第3転動部63を転動して、第1球流出口99a、第2球流出口99b、又は第3球流出口99cのいずれかから遊技領域11へと排出される。遊技領域11へと排出される遊技球が始動入賞口24へ誘導される確率は、第3球流出口99c、第2球流出口99b、第1球流出口99aの順番で高い。
次に、図11〜20を参照して、第1装飾ユニット36について説明する。図11は第1装飾ユニット36の斜視図であり、図12は第1装飾ユニット36の正面図であって、(a)は初期状態の図、(b)は動作状態の図であり、図13は第1装飾ユニット36の背面図であり、図14は第1装飾ユニット36の正面側の分解斜視図であり、図15は第1装飾ユニット36の背面側の分解斜視図であり、図16は第1装飾ユニット36の内部構成を示す斜視図であり、図17は第1装飾ユニット36の本体ユニット69の正面側の分解斜視図であり、図18は第1装飾ユニット36の本体ユニット69の裏面側の分解斜視図であり、図19は回転体ユニット68を示す図であり、図20は回転体ユニット68の分解斜視図である。
第1装飾ユニット36は、薔薇の花の形状を模した複数の装飾部材を有し、それら装飾部材が表示部22aに表示される表示内容に関連して所定の演出動作を行う演出動作役物である。
図11及び図12に示すように、第1装飾ユニット36は、制御ベース34の上部に取り付けられた取付ベース40と、取付ベース40の前面右側を覆うように取付ベース40に締結された第1レンズ部材66と、取付ベース40の前面左側を覆うように取付ベース40に締結された第2レンズ部材67とを備え、これら取付ベース40、第1レンズ部材66、及び第2レンズ部材67によって第1装飾ユニット36のケーシングが構成される。ケーシングの内部には各種部材が収納、配設される。
第1レンズ部材66と第2レンズ部材67との間には、取付ベース40に移動可能に支持された回転体ユニット68(第1可動演出部材)(図14,図17,及び図18参照)が配設される。ケーシング及び回転体ユニット68によって本体ユニット69が構成される。
第1レンズ部材66及び第2レンズ部材67は、前面部が透明なレンズにて形成され、かつ前面部には薔薇の模様の装飾が施される。本体ユニット69の内部には、第1レンズ部材66及び第2レンズ部材67に対向する位置に、LEDが装着されたLED基板87(図17及び図18参照)が収装される。LED基板87のLEDが発する光は、第1レンズ部材66及び第2レンズ部材67を透過することによって外部へと拡散する。
図11に示すように、本体ユニット69には、回転体ユニット68の前面を覆うように配設され、回転体ユニット68の移動に連動して動作する、薔薇の花の形状を模した可動演出部材65(第2可動演出部材)と、可動演出部材65の左右に配設され、回転体ユニット68の移動に連動して動作する、薔薇のつるの形状を模した第1補助可動演出部材70A及び第2補助可動演出部材70Bと、第1レンズ部材66及び第2レンズ部材67の前面部に動作不能に固定して配設され、薔薇の花の形状を模した装飾部材71a,71b,71cとが取り付けられる。
回転体ユニット68は、取付ベース40の前面に締結されて本体ユニット69の内部に収装されたモータ72(駆動源)の駆動力によって、取付ベース40に対して移動する。
具体的に説明すると、図13及び図15に示すように、モータ72の出力軸72aは取付ベース40を挿通し、その出力軸72aにはモータギヤ73が連結される。モータギヤ73には第1,第2伝達ギア74a,74bが噛み合い、第2伝達ギア74bにはリンクギア75が噛み合っている。第1伝達ギア74a、第2伝達ギア74b、及びリンクギア75は、それぞれ取付ベース40の裏面に配設された各軸76a,76b,76cに支持される。
図18に示すように、回転体ユニット68のベース部材80の背面上部には、取付ベース40に貫通して形成された第1摺動孔40aを挿通して摺動する第1摺動ピン77aが配設される。また、ベース部材80の背面には、後述する回転体ユニット68の回転体82の回転中心に対応する位置に、取付ベース40に貫通して形成された第2摺動孔40bを挿通して摺動する第2摺動ピン77bが配設される。
第1摺動孔40aは斜め方向に延びる長穴として形成され、第2摺動孔40bは上下方向に延びる長穴として形成される。両摺動孔40a,40bは、第1摺動孔40aの下端部が第2摺動孔40bの上端部の直上方となるように配設される。
図13に示すように、第1摺動ピン77aは、リンクギア75の外周に結合された長板75aに形成された長穴75bを挿通する。したがって、モータ72が駆動すると、モータ72の回転は、モータギヤ73、第1伝達ギア74a、及び第2伝達ギア74bを介してリンクギア75へと伝達される。そして、リンクギア75の回転に伴って、長穴75bを挿通する第1摺動ピン77aは第1摺動孔40aを摺動する。このとき、第2摺動ピン77bは第2摺動孔40bを摺動するため、回転体ユニット68は、取付ベース40に対して傾きながら下方へと移動することになる。このようにして、回転体ユニット68は、モータ72の駆動力によって移動する。
なお、回転体ユニット68は、第1摺動ピン77aが第1摺動孔40aの上端部に位置すると共に、第2摺動ピン77bが第2摺動孔40bの上端部に位置する状態(図13及び図21(a)に示す状態)が初期位置となる。図16及び図17に示すように、取付ベース40の前面には、回転体ユニット68の初期位置を検出するためのコの字形状の光電センサ78が配設される。回転体ユニット68のベース部材80には、回転体ユニット68が初期位置である場合に、光電センサ78の凹部に挿入され、光電センサ78の発射光を遮光する遮光板79が支持される。このように、光電センサ78と遮光板79とによって、回転体ユニット68の初期位置が検出される。
回転体ユニット68の初期位置からモータ72を予め定められた所定時間だけ正転方向に駆動することによって、回転体ユニット68は最下方まで移動する(図12(b)及び図21(c)に示す状態)。この状態では、第1摺動ピン77aが第1摺動孔40aの下端部に位置すると共に、第2摺動ピン77bが第2摺動孔40bの下端部に位置する。以下では、この位置を「最可動位置」と称する。
以下では、主に、図19及び図20を参照して、回転体ユニット68について詳しく説明する。なお、図19において、(a)は正面側斜視図、(b)は正面図、(c)は裏面側斜視図、(d)は裏面図である。
回転体ユニット68は、取付ベース40に移動可能に支持される箱型状のベース部材80と、ベース部材80に締結される略円柱状の前方ケース部材81と、前方ケース部材81に回転自在に支持され、星の形状を模した装飾演出用の回転体82と、前方ケース部材81の内部に収納され、回転体82を後方側から照らすLEDが装着されたLED基板86とを備える。
ベース部材80の背面には、前述した第1摺動ピン77a及び第2摺動ピン77bが配設され、外周には前述した遮光板79が支持される。また、ベース部材80の外周には、略水平方向へと突設し、内部に配線が収納される配線収納部80aが形成される。
配線収納部80aの背面には、取付ベース40に貫通して形成された第3摺動孔40c(図13参照)を挿通して摺動する第3摺動ピン77cが配設される。第3摺動孔40cは水平方向に延びる長穴として形成される。第3摺動ピン77cは、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置まで移動する過程で第3摺動孔40c内を摺動する。
ベース部材80にはモータ83が締結され、モータ83の出力軸にはモータギヤ84aが連結される。モータギヤ84aには伝達ギア84bが噛み合い、伝達ギア84bには出力ギア84cが噛み合っている。伝達ギア84bは、ベース部材80の前面に配設された軸80bに支持される。また、出力ギア84cは、中心に形成された貫通孔84dに挿入された回転軸85と相対回転不能に連結される。
前方ケース部材81は、環状の胴部81aと、胴部81aの内周から中心に向かって延びる複数の支持部81cに支持され、胴部81aの中心に配置される中空状のスリーブ81bとを備える。
胴部81aの外周には、モータ83の後端部に対向して配置され、モータ83を目隠しする機能を有する円形の第1カバー部81dが形成される。また、胴部81aの外周には、遮光板79に対向して配置され、遮光板79を目隠しする機能を有する円形の第2カバー部81eも形成される。第2カバー部81eの背面には、先端が遮光板79に当接するロッド部81fが形成され、遮光板79は、ベース部材80とロッド部81fとの間にて支持される。
胴部81aの外周には、略水平方向へと突設し、ベース部材80の配線収納部80aに対向する突設部81gが形成される。突設部81gと配線収納部80aとによって、配線が収納される配線収納空間が画成される。
また、胴部81aの外周の両側部には、胴部81aの中心に対して対称位置に第1円筒部89aと第2円筒部89bが形成される。
LED基板86は、中心に形成された貫通孔86aを前方ケース部材81のスリーブ81bが挿通した状態で、前方ケース部材81の内部に収納される。LED基板86に装着されるLEDは高輝度LEDである。
回転軸85は、前方ケース部材81の中心のスリーブ81bを挿通し、先端部が回転体82と相対回転不能に連結される。したがって、モータ83が駆動すると、モータ83の回転は、モータギヤ84a、伝達ギア84b、及び出力ギア84cを介して回転軸85へと伝達され、回転体82が回転する。
このように、回転体ユニット68は、モータ72の駆動によって取付ベース40に対して全体が下方へと移動すると共に、モータ83の駆動によって回転体82が回転するものである。
回転体82は透明なレンズ部82aを有する。前方ケース部材81の内部に収納されたLED基板86の高輝度LEDが発する光は、レンズ部82aを透過することによって外部へと拡散する。
以下では、主に、図14〜図18を参照して、可動演出部材65について説明する。なお、図16は、可動演出部材65、第1レンズ部材66、第2レンズ部材67、及び回転体ユニット68の回転体82を取り除いた状態の図であり、図16(a)は回転体ユニット68が初期位置の図、図16(b)は回転体ユニット68が中間位置の図、図16(c)は回転体ユニット68が最可動位置の図である。
可動演出部材65は、回転体ユニット68が初期位置である場合には、図11及び図12(a)に示すように、薔薇の花を構成して回転体ユニット68の回転体82を覆うように配設され、回転体ユニット68が最可動位置である場合には、図12(b)に示すように、回転体82が露出するように3つに分割される。このように、可動演出部材65は、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置に移動するのに伴って動作する。
可動演出部材65は、第1レンズ部材66及び第2レンズ部材67にベース部材88を介して動作不能に締結された上部装飾部材65aと、上部装飾部材65aの右下方に配設され、回転体ユニット68の移動に連動して動作する第1装飾部材65bと、上部装飾部材65aの左下方に配設され、回転体ユニット68の移動に連動して動作する第2装飾部材65cとの3つの部材からなる。
可動演出部材65は、回転体ユニット68が初期位置である場合において、回転体ユニット68の内部に配設されたLED基板86の高輝度LEDが発する光を外部へと拡散可能なように、前面部に透明なレンズ部を有する。
上部装飾部材65a、第1装飾部材65b、及び第2装飾部材65cは、回転体ユニット68の初期位置では、一体となって薔薇の花を構成し、回転体ユニット68が初期位置から移動するのに伴って、上部装飾部材65aに対して第1装飾部材65bと第2装飾部材65cが移動し薔薇の花が分割されて回転体ユニット68の回転体82が露出する。
以下では、第1装飾部材65b及び第2装飾部材65cの可動機構について説明する。なお、双方の可動機構は同様の構成であるため、第1装飾部材65bの可動機構について説明する。
前方ケース部材81の第1円筒部89aの中空部には、回転軸90が回転自在に挿通している(図14,図17,及び図18参照)。このように、回転軸90は、回転体ユニット68に回転自在に支持されると共に、回転体ユニット68と一体に移動する。
回転軸90の一端部(後端部)には、レバー状のリンク部材91の基端側が連結される(図16〜図18参照)。リンク部材91の基端部にはボス部91aが設けられ、ボス部91aのボス穴に回転軸90の後端部が嵌合することによって、回転軸90とリンク部材91は連結される。
取付ベース40の前面には、回転体ユニット68の移動の過程で、リンク部材91の自由端側が当接するストッパ部92が配設される(図16及び図17参照)。ストッパ部92は、取付ベース40の内側底部に立設して設けられる。
回転体ユニット68の移動の過程で、リンク部材91の自由端側がストッパ部92に当接することによって、リンク部材91は回転軸90を軸として揺動する。これにより、リンク部材91に連結されている回転軸90は回転(自転)する。
これについて、図16を参照して説明すると、回転体ユニット68が図16(a)に示す初期位置から図16(b)に示す中間位置まで移動する過程では、リンク部材91はストッパ部92に当接しないため、回転軸90は、回転体ユニット68と一体に移動するのみで回転しない。
回転体ユニット68の移動の過程で、図16(b)に示すように、リンク部材91の自由端側がストッパ部92に当接した後は、リンク部材91の自由端側の移動がストッパ部92によって規制させるため、リンク部材91は回転軸90を軸として揺動する。これにより、回転軸90が回転する。
このように、リンク部材91及びストッパ部92の作用によって、回転体ユニット68の移動は回転軸90の回転に変換される。これが変換機構に該当する。
回転軸90の他端部(先端部)には、長板状の支持板93が連結される(図14〜図16参照)。支持板93の基端側の背面にはボス部93aが設けられ、ボス部93aのボス穴に回転軸90の先端部が嵌合することによって、回転軸90と支持板93は連結される。
支持板93の自由端側には、締結穴93bを介して第1装飾部材65bが締結される。このように、第1装飾部材65bは支持板93を介して回転軸90に連結されるため、回転軸90が回転することによって、第1装飾部材65bは回転軸90を軸に揺動する。
以上のように、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置に移動する過程で、リンク部材91及びストッパ部92の作用によって、回転体ユニット68の移動は回転軸90の回転に変換され、第1装飾部材65bは回転軸90を軸に揺動する。第1装飾部材65bが回転軸90を軸に揺動することによって、第1装飾部材65bは回転体ユニット68の回転体82に対して相対移動し、図12(b)に示すように、回転体82は露出する。これにより、遊技者は回転体82を視認可能となる。なお、以下では、回転体ユニット68における初期位置から最可動位置への移動を「往路」と称する。
回転軸90の外周、具体的には、リンク部材91のボス部91aの外周には、コイル状のスプリング94(図16〜図18参照)が収装される。スプリング94の一端はリンク部材91に設けられた爪片91bに係止される共に、他端は回転体ユニット68のベース部材80外周に配設された爪片80c(図19及び図20参照)に係止される。
このように、スプリング94は、リンク部材91と回転体ユニット68との間に渡って係止される。このため、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置に移動する過程で、リンク部材91が揺動して回転体ユニット68に近づくと、スプリング94はリンク部材91と回転体ユニット68との間で圧縮される。そして、回転体ユニット68が最可動位置に到達すると、スプリング94は最圧縮状態となる(図16(c)参照)。
したがって、回転体ユニット68が最可動位置から初期位置へと戻る場合には、スプリング94はリンク部材91が元の位置に戻るように付勢するため、リンク部材91は回転軸90を軸として往路とは逆方向へと揺動する。これにより、回転軸90も往路とは逆回転する。
回転軸90の逆回転によって、支持板93を介して回転軸90に連結された第1装飾部材65bは、回転軸90を軸として往路とは逆方向へと揺動して元の位置へと戻る。
以上のように、第1装飾部材65bは、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置へと移動する場合には、変換機構の作用によって回転体82を露出するように揺動し、回転体ユニット68が最可動位置から初期位置へと戻る場合には、スプリング94の付勢力によって往路とは逆方向へと揺動して元の位置に戻る。
第2装飾部材65cの可動機構は、第1装飾部材65bの可動機構と以下の点においてのみ相違する。なお、双方の可動機構において同一の構成には、図中同一の符号を付している。以下では、第1装飾部材65bの可動機構を「第1可動機構」と称し、第2装飾部材65cの可動機構を「第2可動機構」と称する。
図19及び図20に示すように、第2可動機構の回転軸90が支持される第2円筒部89bは、第1円筒部89aと比較して前方ケース部材81の下部に配設される。
また、図16及び図17に示すように、第2可動機構のストッパ部92は、取付ベース40の内側底部に形成された切欠部40dであり、かつ第1可動機構のストッパ部92と比較して回転体ユニット68に近い位置に配設される。そのため、第2可動機構のリンク部材91は、第1可動機構のリンク部材91と比較して短く形成される。
これらの違いによって、第2可動機構では、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置へと移動する過程での第2装飾部材65cの揺動角度は、第1装飾部材65bの揺動角度と比較して小さくなる。このため、図12(b)及び図16(c)に示すように、回転体ユニット68の最可動位置では、第1装飾部材65bは、第2装飾部材65cと比較して、回転体ユニット68の回転体82に対する相対移動距離が大きい。
以下では、主に、図14〜図16を参照して、第1補助可動演出部材70A及び第2補助可動演出部材70Bについて説明する。
第1補助可動演出部材70Aは、第1レンズ部材66と回転体ユニット68とに渡って、第1レンズ部材66の前方を横切るように配設される。
第1補助可動演出部材70Aの一端部95は、第1レンズ部材66の外縁部に配設されたピン66aに回転可能に軸支される。
第1補助可動演出部材70Aの他端部96には長穴状に貫通した摺動孔97が形成され、摺動孔97には支持板93に配設されたピン93cが摺動自在に挿通する。このように、他端部96は、回転軸90及び支持板93を介して回転体ユニット68にスライド可能に支持される。ピン93cは、支持板93の揺動中心である回転軸90の近傍に配設される。したがって、支持板93の揺動に伴うピン93cの移動距離は小さい。なお、摺動孔97を支持板93に形成し、ピン93cを第1補助可動演出部材70Aの他端部96に形成するようにしてもよい。
このように、第1補助可動演出部材70Aは、一端部95が第1レンズ部材66に回転可能に支持されると共に、他端部96が回転体ユニット68にスライド可能に支持される。このため、第1補助可動演出部材70Aは、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置へと移動するのに伴う支持板93の移動によって、一端部95を軸として揺動する。図16に示すように、回転体ユニットの初期位置では、ピン93cは摺動孔97の右端部に位置し、回転体ユニット68の移動に伴いピン93cは摺動孔97を摺動し、回転体ユニットの最可動位置では、ピン93cは摺動孔97の左端部に位置する。このように、ピン93cが摺動孔97を摺動可能であるため、第1補助可動演出部材70Aは一端部95を軸として揺動することが可能となる。
第2補助可動演出部材70Bは、第2レンズ部材67と回転体ユニット68とに渡って、第2レンズ部材67の前方を横切るように配設される。
第2補助可動演出部材70Bは、第1補助可動演出部材70Aとは反対に、一端部95に長穴状に貫通した摺動孔97が形成され、摺動孔97には第2レンズ部材67に配設されたピン67aが摺動自在に挿通する。また、他端部96は支持板93に配設されたピン93acに回転可能に軸支される。このように、第2補助可動演出部材70Bは、一端部95が第2レンズ部材67にスライド可能に支持されると共に、他端部96が回転体ユニット68に回転可能に支持される。
第2補助可動演出部材70Bは、第1補助可動演出部材70Aと同様に、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置へと移動するのに伴う支持板93の移動によって、一端部95を軸として揺動する。
以上のように、第1補助可動演出部材70A及び第2補助可動演出部材70Bは、回転体ユニット68の移動に連動して動作する。
次に、図16及び図21〜図24を参照して、第1装飾ユニット36の演出動作について説明する。図21は第1装飾ユニット36の動作を示す正面図であり、図22は第1装飾ユニット36の動作を示す背面図であり、図23は第1装飾ユニット36の動作を示す背面図であり、取付ベース40を取り除いた状態の図であり、図24は第1装飾ユニット36の動作を示す斜視図であり、第1装飾ユニット36の内部構成を示す図である。なお、それぞれの図において、(a)は回転体ユニット68が初期位置の図、(b)は回転体ユニット68が中間位置の図、(c)は回転体ユニット68が最可動位置の図である。
以下に示す第1装飾ユニット36の演出動作は、遊技機に搭載される演出制御装置(演出制御手段)によって行われる。
図21(a)に示すように、回転体ユニット68が初期位置である場合には、可動演出部材65を構成する上部装飾部材65a、第1装飾部材65b、及び第2装飾部材65cは、一体となって薔薇の花を構成し、回転体ユニット68の回転体82を覆うように配設される。
このとき、回転体ユニット68の内部に配設されるLED基板86の高輝度LEDが発する光は、回転体82のレンズ部82aを透過すると共に、可動演出部材65のレンズ部も透過して外部へと拡散され、遊技盤1の盤面を照射する。
特図変動表示ゲームが進行し、変動表示装置22の表示部22aの表示図柄がリーチ状態を形成した場合には、第1装飾ユニット36では、以下のような演出が行われる。
まず、図22及び図23に示すように、モータ72が正転方向に駆動することによって、モータ72の回転はリンクギア75へと伝達される。リンクギア75の回転に伴って、回転体ユニット68に配設された第1摺動ピン77a、第2摺動ピン77b、及び第3摺動ピン77cがそれぞれ取付ベース40の第1摺動孔40a、第2摺動孔40b、及び第3摺動孔40cを摺動することによって、回転体ユニット68は取付ベース40に対して傾きながら下方へと移動する。
図16,図23,及び図24に示すように、回転体ユニット68が最可動位置に向かって移動する過程で、リンク部材91の自由端側がストッパ部92に当接することによって、リンク部材91は回転軸90を軸として揺動する。これにより、リンク部材91に連結されている回転軸90は回転する。
回転軸90の回転によって、支持板93を介して回転軸90に連結されている第1装飾部材65b及び第2装飾部材65cは、図21(b)に示すように、回転軸90を軸に揺動し、回転体ユニット68に対して相対移動する。第1装飾部材65b及び第2装飾部材の揺動に伴って、薔薇の花を構成していた可動演出部材65は3つに分割されて、回転体ユニット68の回転体82が徐々に露出する。
以上のように、第1装飾部材65b及び第2装飾部材65cは、回転体ユニット68と一体に下方へと移動すると共に、回転体ユニット68の移動に連動して回転軸90を軸に揺動する。
回転体82が露出することによって、回転体ユニット68の内部に配設されたLED基板86の高輝度LEDが発する光は、可動演出部材65のレンズ部を介さずに遊技者に届くことになる。したがって、リーチ状態では、通常状態と比較して輝度を高くする演出が行われるため、遊技者にとって期待感の持てる斬新で興味を引く演出が行われることになる。このように、可動演出部材65のレンズ部は、回転体ユニット68との相対位置に依存してLED基板86の高輝度LEDが発する光を選択的に透過させる。
モータ72は予め定められた所定時間だけ駆動して停止する。これにより、回転体ユニット68は最可動位置に到達して停止する。図21(c)に示すように、回転体ユニット68が最可動位置に到達することによって、回転体82の露出は最大となる。なお、回転体ユニット68が初期位置から最可動位置へと移動するのに連動して、第1補助可動演出部材70A及び第2補助可動演出部材70Bも一端部95を軸として揺動する。
回転体ユニット68が最可動位置へ到達した後は、モータ83が駆動することによって回転体82が回転し、更なる演出が行われる。
リーチ状態の終了後は、モータ83が停止して回転体82の回転が停止すると共に、モータ72が逆転方向に駆動することによって、回転体ユニット68は上方、つまり初期位置へと向かって移動する。回転体ユニット68が最可動位置から初期位置へと戻る過程では、リンク部材91は、回転軸90の外周に収装されたスプリング94の付勢力によって、往路とは逆方向へと揺動するため、回転軸90も往路とは逆回転する。これにより、第1装飾部材65b及び第2装飾部材65cは、往路とは逆方向へと揺動し、回転体ユニット68の初期位置では、再び上部装飾部材65aと共に一体となって薔薇の花を構成し、図21(a)に示すように、回転体ユニット68の回転体82を覆う。なお、回転体ユニット68が初期位置に到達した時点で、回転体ユニット68に配設された遮光板79が取付ベース40の光電センサ78の発射光を遮光する。これにより、回転体ユニット68の初期位置が検出され、その検出結果によってモータ72が停止する。
次に、図25〜図28を参照して、上記実施の形態の他の形態について説明する。図25は回転体ユニット68の分解図であり、図26は変動表示装置22及びケース部材101を示す斜視図であり、図27は変動表示装置22の表示部22aの図であり、図28は変動表示装置22及びケース部材101の縦断面図である。
図25に示すように、回転体ユニット68のモータ83の出力軸には、複数の羽100aを有する風車100が連結される。これにより、風車100はモータ83の駆動によって回転する。
また、図26に示すように、風車100を収納可能な開口部101aを上部に有するケース部材101が変動表示装置22の表示部22aの前面に沿って配設される。
ケース部材101は中空の箱型形状の部材であり、前面部には風車100の回転によって発生した風を外部へと排出するための通気孔101bが形成される。ケース部材101の内部には、薔薇の花弁の形状を模した装飾部材102が複数収納される。
前述したように、特図変動表示ゲームが進行し、変動表示装置22の表示部22aの表示図柄がリーチ状態を形成した場合には、回転体ユニット68は初期位置から最可動位置へ向かって移動する。そして、回転体ユニット68が最可動位置に到達することによって、モータ83が駆動し、回転体82が回転する演出が行われる。
この際、モータ83が駆動することによって風車100も回転するため、ケース部材101の内部には風の流れが発生する。これにより、図27及び図28に示すように、風車100の回転にて発生する風によって、ケース部材101の底部に堆積している複数の装飾部材102は表示部22aの前方へと吹き上げられる。このように、回転体82の回転と連動して、意外性があり、斬新な演出を行うことができる。
以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
回転体ユニット68の移動に伴う回転軸90の回転によって、第1装飾部材65b及び第2装飾部材65cは回転軸90を軸として揺動して回転体ユニット68に対して相対移動するため、1つの駆動源によって回転体ユニット68、第1装飾部材65b、及び第2装飾部材65cを可動させることができると共に、駆動源の駆動力を第1装飾部材65b及び第2装飾部材65cに伝達するための機構は不要となる。したがって、少ない駆動源で効率的な可動構造を実現することができる。
また、回転体ユニット68はLEDが装着されたLED基板86を備え、可動演出部材65は透明なレンズ部を有するため、可動演出部材65が回転体ユニット68の回転体82を覆うように配設されている状態では、LED基板86のLEDが発する光は、可動演出部材65のレンズ部を透過して外部へと拡散され、遊技盤1の盤面を照射する。これに対して、変動表示ゲームがリーチ状態となり、第1装飾部材65b及び第2装飾部材65cの揺動によって回転体ユニット68の回転体82が露出した場合には、LED基板86のLEDが発する光は、可動演出部材65のレンズ部を介さずに遊技者に届くことになる。このように、通常状態では盤面の明るさを確保しつつ、リーチ状態では輝度を高くする演出が行われるため、遊技者に特段な装飾演出効果をもたらすことができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。