JP4837404B2 - ポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法に関し、より詳しくは、例えば家電製品及びそれに使用される部材の保護材、包装材などに用いることができる高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法に関する。
ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造においては、発泡剤として使用したガスが発泡シートから逸散する速度が速いために製造後に発泡シートが大きく収縮するという現象があり、生産性を低下させている。すなわち、発泡体製造時に発泡剤(ガス)が発泡シートから急激に逸散して発泡シートが収縮し、発泡シートの巻取り中に収縮して厚みが減少し、巻き芯部で巻き緩みが発生し長尺に巻き取ることができなかったり、所定の厚みよりも薄い状態で巻き取られた。その結果、長尺品が製造できず、また、所定の厚みまで回復させるために、特許文献1に記載の様な、厚みが回復できる隙間を持たせるいわゆるかせ巻き工程が必要となるため、製造に労力と時間を要していた。
特公昭46−41711号
一方、押出後ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの収縮を防止して製造効率を改善する方法として、発泡シートからのガスの逸散を抑制するために多価アルコールの高級脂肪酸エステルを収縮防止剤として押出時に添加したり(特許文献2)、イソブタンを主体とする発泡剤と安定性調整剤を使用することが行われていた(特許文献3)。ここで安定性調整剤としては、長鎖脂肪酸とポリオールとの部分エステル、高級アルキルアミン、脂肪酸アミド、オレフィン性不飽和カルボン酸コポリマー及びポリスチレンからなる群から選ばれている。
これらの技術によれば、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの生産性を大きく改善できるが、そのようにして製造されたポリエチレン系樹脂発泡シートを透明性や光沢性が要望されるプラスチック部材やガラス部材などが使用された家電製品などの包装材として使用すると、その被包装物表面に添加された前記収縮防止剤や前記安定性調整剤が移行して白っぽく見える現象、いわゆるくもり現象を引き起こす問題があった。
特開昭53−102971号公報 特開昭62−153327号公報
このくもり現象を改善するため、特許文献4や特許文献5に記載されているように、収縮防止効果を有する添加剤として収縮防止剤や寸法安定剤の種類や添加量の検討がなされて、くもり現象はかなり改善された。ここで収縮防止剤としてステアリン酸モノグリセライド、寸法安定剤として多価アルコールの部分エステル、アルキルアミン又はアルキルアミドのエチレンオキサイド付加物が用いられている。
特開平10−130415号公報 特開2001−322669号公報
しかしながら、上記技術においても、前記収縮防止剤などの添加剤を微量ながら含んでいるため、全く上記添加剤を含まないものと比べると極めて薄くではあるが製品にそのくもり現象の痕跡が見られ、なお十分ではない。
本発明の課題は、前記収縮防止剤、前記安定調整剤等の収縮防止効果を有する添加剤(以下、本発明ではこれらを収縮防止剤と総称する。)を使用しなくても発泡シートの収縮を抑制することができ、くもり現象の発生がない高発泡倍率のポリエチレン系樹脂発泡シートを、煩雑な工程を経ることなく、より効率的に製造できるポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、くもりを発生するような収縮防止剤を添加しなくても、発泡体の収縮を抑制するように樹脂種と発泡剤を検討したところ、特定のポリエチレン系樹脂と発泡剤を使用して押出発泡し、密度が0.06g/cm未満のポリエチレン系樹脂発泡シートを得る製造方法を採用することにより、収縮防止剤を使用しないでも発泡シートの収縮を抑制することができ、また従来のポリエチレン系樹脂発泡シートの煩雑な製造工程を簡素化することができた。
すなわち、本発明は、ポリエチレン系樹脂に発泡剤を加えて押出発泡させてなるポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法において、
前記ポリエチレン系樹脂として樹脂密度が0.925〜0.935g/cmのポリエチレン系樹脂、前記発泡剤としてイソブタンを60モル%以上含有する発泡剤を使用し、密度が0.06g/cm未満のポリエチレン系樹脂発泡シートを得ることを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法である。
本発明の製造方法によれば、ステアリン酸モノグリセライドのような収縮防止剤を使用しなくても、押出直後からの発泡シートの寸法収縮を抑制することができるため、くもりが発生しないポリエチレン系樹脂発泡シートを煩雑な製造工程を経ることなく提供することができる。前記樹脂密度が0.925g/cm未満では、押出後の発泡シートの発泡剤の逸散が速く、樹脂の剛性が小さすぎて、収縮を抑制できなくなり、0.935g/cmを超えると樹脂自体の剛性が大きすぎて、発泡シートの包装材としてのクッション性を損なうこととなる。また前記イソブタンの含有量が60モル%未満では、発泡剤の透過性が大きくなり収縮が大きくなる。また前記発泡シートの密度が0.06g/cm以上の比較的発泡倍率の低いものは、発泡体のセルの膜厚みが厚く、セルの剛性があり、収縮し難いが、発泡シートの密度が0.06g/cm未満の発泡倍率の高いものではセル膜が薄く収縮しやすいので特に有効である。
また本発明の製造方法によれば、収縮防止剤を使用しないでポリエチレン系樹脂発泡シートを製造できるため、収縮防止剤を含んでいるものよりも、使用した発泡剤の逸散および空気の侵入が早い。従って、発泡シートを放置して、寸法回復させる期間および安全性確保のために発泡シート中に含まれる可燃性の発泡剤を空気と置換する期間(これらの期間をまとめて熟成期間と総称する。)を短縮することができる。すなわち、出荷までの期間を短縮することができ、保管場所、保管費用を節約できる。
また本発明の製造方法によれば、従来のような煩雑なかせ巻き工程を経ることなく、良好なポリエチレン系樹脂発泡シートを単純な工程で効率よく製造することができる。例えば、本発明は、樹脂密度が0.925〜0.935g/cmのポリエチレン系樹脂に、イソブタンを60モル%以上含有する発泡剤を加えて押出発泡して押出発泡シートを得た後、この押出発泡シートを巻取り機にてロール状に巻き取り、これを放置して熟成し、その後巻き直し機にて巻き直して、密度が0.06g/cm未満のロール状のポリエチレン系樹脂発泡シートを得る製造方法を採用することができる。
(ポリエチレン系樹脂)
本発明で用いるポリエチレン系樹脂は、樹脂密度が0.925g/cm以上、0.935g/cm以下の低密度ポリエチレン系樹脂である。樹脂密度が0.925g/cm未満では、押出後の発泡シートの発泡剤の逸散が速く、樹脂自体の剛性が小さく、収縮を抑制できなくなり、一方、樹脂密度が0.935g/cmを超えると樹脂自体の剛性が大きすぎて、発泡シートの包装材としてのクッション性を損なうことがある。
(発泡剤)
本発明では、発泡剤としてイソブタンを60モル%以上、好ましくは65モル%以上、特に好ましくは70モル%以上含有する発泡剤を用いる。イソブタンの含有量が60モル%未満の発泡剤では、樹脂密度が0.925〜0.935g/cmの低密度ポリエチレン系樹脂に用いる発泡剤としては、透過性が大きすぎるため、収縮が大きくなりすぎるからである。
イソブタン以外の発泡剤成分としては、ハロゲン非含有発泡剤が好ましい。具体的な化合物としては、ノルマルブタン、プロパン、ペンタン、ヘキサン、シクロブタン、シクロペンタンなどの炭化水素、二酸化炭素、窒素などの無機ガスを挙げることができる。
ただし、本発明のようにイソブタン比率を高くすると、発泡体の連続気泡率が大きくなる恐れがあるので、イソブタン以外の発泡剤成分を含有させる場合は、ノルマルブタンのような、イソブタンよりもポリエチレン系樹脂との相溶性に優れる発泡剤を2モル%以上含有させることが好ましい。なかでも発泡剤として、イソブタン含有量60%以上、ノルマルブタン含有量2モル%以上である混合ブタンとすることが好ましい。
従って、本発明では、前記発泡剤としてイソブタン60〜98モル%とノルマルブタン2〜40モル%の混合ブタンが好ましく、イソブタン65〜97モル%とノルマルブタン3〜35モル%の混合ブタンがより好ましく、イソブタン70〜96モル%とノルマルブタン4〜30モル%の混合ブタンが特に好ましい。イソブタンによって、押出発泡工程において、発泡剤の急激な逸散が抑制される一方、ポリエチレン系樹脂との相溶性優れるノルマルブタンが、イソブタンによる発泡体の連続気泡率の増大を抑制するので、収縮が少なく、かつ連続気泡率の少ない好ましい性質の発泡シートを得ることができる。
本発明では、樹脂密度が0.925〜0.935g/cmである前記ポリエチレン系樹脂に対する発泡剤の添加割合は、上記ポリエチレン系樹脂100重量部に対し、5重量部以上、25重量部以下にすることが好ましい。発泡剤の添加割合が5重量部未満であると十分な発泡を得にくい。一方、25重量部を超えると、気泡膜が破泡して良好な発泡体が得られないからである。
(発泡シートの密度)
発泡シートの密度は0.06g/cm未満とし、好ましくは0.01g/cm以上、0.05g/cm以下の範囲のポリエチレン系樹脂発泡シートにする。密度が0.06g/cm以上では、発泡シートの柔軟性が不足して緩衝性が低下する。一方、密度が小さすぎると発泡シートの強度がなく、緩衝性が低下する。さらに、本発明の製造方法であっても、気泡膜の厚みが薄くなりすぎて、収縮が大きくなり、長尺に巻くことが困難になる。したがって、0.01g/cm以上が好ましく、0.015g/cm以上がより好ましい。
(その他の配合成分)
<気泡調整剤>
本発明のポリエチレン系樹発泡シートの製造においては、必要に応じて気泡調整剤を添加することができる。気泡調整剤としては、タルク、シリカなどの無機粉末や分解型発泡剤としても用いられる多価カルボン酸と炭酸ナトリウムあるいは重曹(重炭酸ナトリウム)との混合物、アゾジカルボン酸アミドなどが挙げられる。これらは単独で用いても、併用してもよい。添加量は、ポリエチレン系樹脂100重量部あたり0.5重量部以下が好ましい。
<その他の添加剤>
また必要に応じて、更に、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を添加することもできる。
(製造工程)
前記ポリエチレン系樹脂と前記発泡剤とを原材料成分として用いれば、複雑な製造工程を必要としない。例えば、図1に示すように、原料を押し出し発泡して押出発泡シートを与える押出発泡工程1、押し出されたシートを巻取り機により巻き取る巻き取り工程2、巻き取ったシートを放置する熟成工程3、巻き直し機などでシートを商品用に巻きなおす化粧巻き工程4を経ることで出荷可能となる。
具体的には、例えば、樹脂密度が0.925〜0.935g/cmのポリエチレン系樹脂に、イソブタンを60モル%以上含有する発泡剤を加えて押出発泡して押出発泡シートを得た後、この押出発泡シートを巻取り機にてロール状に巻き取り、これを放置して熟成し、その後巻き直し機にて巻き直して、密度が0.06g/cm未満のロール状のポリエチレン系樹脂発泡シートを得る製造方法を採用することができる。
なお、前記化粧巻き工程は、前記熟成工程中に行ってもよい。すなわち、化粧巻き工程後、更にシートを熟成させることもできる。これらの個々の工程の大枠は公知の工程であるが、収縮防止剤を用いずに特定のポリエチレン系樹脂と発泡剤を使用して押出発泡し、密度が0.06g/cm未満のポリエチレン系樹脂発泡シートを得る簡素化された一連の製造工程としては新規である。本発明の製造方法を適用するに当たっての特異な条件や留意点について以下説明する。
(巻き取り工程)
本発明の巻取り機による巻き取り工程では、巻き取り時にできるだけ小さい張力で緩く巻き取ることが好ましい。小さい張力で緩く巻き取ることにより、収縮した厚みが回復するスペースをシート同士間の空隙に確保することができ、一旦収縮した発泡シートが回復する時に、元の厚みに近くなりやすい。またロール内の厚みバラツキをより少なくできる。すなわち、張力が強いと、柔らかい高発泡のポリエチレン系樹脂発泡シートは、引っ張られて伸びたり、巻き縮まって厚みが実際よりも薄くなった状態で巻かれることになるだけでなく、厚みがつぶされて、製品厚みが薄くなってしまうおそれがある。反対に、張力が小さすぎるとロール状に巻くことが困難になる。具体的にはシート幅1mあたり4.9〜29.4Nの平均張力とすることが好ましい。
また巻取り機による巻き取りは、できるだけ短時間に行うことが好ましい。巻きあがり時間を短くすることにより、巻き取られる発泡シートからの発泡剤の逸散量を少なくし、巻き取り段階における発泡シートの厚み減少を抑えることができる。これにより、ロールの巻き芯部と外周部のシート厚み差を小さくすることができる。具体的には巻き上がりまでの時間が15分以内であることが好ましい。巻き上がりまでの時間が15分以内とすることにより、より収縮の少ない状態で巻き取ることができる。
また巻取り機の巻き芯の直径は、大きいほうが好ましい。具体的には直径200mm以上とすることが好ましい。直径が大きいと、張力コントロールが行いやすく、全体をほぼ同じ張力で巻けるため、厚み差が発生しにくい。一方、巻き芯の直径が200mm未満であると、巻き始めの張力を大きくしないと巻きにくく、巻き芯部付近の厚みが薄くなってしまいやすくなる。反対に、巻き芯直径が大きくなりすぎると、大掛かりな巻き取り設備が必要になるため、巻き芯の最大直径は適宜制約される。
また本発明では、樹脂密度が0.925〜0.935g/cmであるポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレイト(MFR)は、2g/10min以上であることが好ましい。MFRが2g/10min以上であると、前記ポリエチレン系樹脂の押出時の発熱量が少なく押出量をあげやすく、短時間で1ロール巻き上がる。前記MFRが2g/10min未満の場合は、押出時の発熱量が多くなるため、押出量が低下し、ロールの巻き上げに長時間を要することで、発泡体の厚み減少の要因となりうる。一方、MFRの上限としては、5g/10min未満とすることが好ましい。5g/10min以上であると、押出溶融粘度が低下することで押出圧力が低下し、高発泡に必要な金型圧力保持がしにくくなり、高発泡のシートが得られないからである。このように、前記ポリエチレン系樹脂のMFRを2〜5g/10minにすれば、押出発泡工程において、吐出量を上げても、発泡に適する温度に樹脂温度を低下させることができるため、押出量を増やすことができる。押出量を増やすことができれば、巻き取り工程にて巻き取りスピードを速くすることができるため、ロールの巻きあがり時間も短くて済む。ロール巻きあがり時間を短縮できれば、発泡剤の逸散量も少なくなり、その結果、発泡シートの収縮を少なくすることができる。
なお、本発明において、前記メルトマスフローレイト(MFR)は、JIS K 7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)」及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」B法記載の方法により測定した。
(熟成工程)
発泡シートの製造においては、押出発泡が終了したシートは、寸法回復及び余分な発泡剤を発散・除去するため一定期間放置して熟成させる。収縮防止剤を加えた発泡シートの場合、通常10日間ほど熟成させる必要がある。しかし、本発明の製造方法では、収縮防止剤を用いない場合、熟成工程における発泡剤の逸散及び空気の侵入が早く、熟成期間を短縮することができ、およそ3〜4日で足りる。熟成工程においては、巻き取った発泡シート内で均一に厚みを回復しやすくするために、巻き芯が水平になるようにし、かつ、空中に浮かした吊り状態でロール状の発泡シートを放置して行うことが好ましい。また、熟成温度は、低いと寸法回復や発泡剤の空気との置換などに長時間要し、高いと発泡シートが熱収縮する恐れがあるので、15〜55℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。但し本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
表1記載のポリエチレン樹脂C100重量部、重曹−クエン酸のマスターバッチ(大日精化社製、商品名「ファインセルマスターP0410K」)0.1部をΦ90mm−Φ150mmのタンデム押出機のΦ90mmの第一押出機に供給し、押出機内で溶融した後、押出機途中から発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=70/30(モル比)を18重量部圧入し、混練した後、Φ150mmの第二押出機で発泡に適する温度域(110℃)まで冷却し、出口直径が145mm(スリット0.15mm)の環状ダイスより大気中に押出発泡した。
押出発泡された筒状発泡体を直径が515mmの冷却マンドレル上を沿わせて冷却すると共に、1点で切り開くことでシート状の押出発泡シートを得た。引き続き、得られた押出発泡シートを巻取り機にてシート幅1mあたり平均張力9.8Nで640mの巻き長さでロール状に巻き取った。なお、巻き芯の直径は400mm、巻き径は1000mmであった。発泡シートの坪量は、30g/mであった。そのロール状の発泡シートを35℃に温調された部屋に、巻き芯が水平になるように、かつ、空中に浮かした状態に吊るして24時間放置し熟成させた。その後、そのロール状の発泡シートを、巻き直し機にてシート幅1mあたり平均張力20Nで620mの巻き長さで3インチの紙管にロール状に巻き直し、約20℃の部屋に24時間放置し、本実施例のロール状の発泡シートを得た。本実施例の発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.028g/cmであった。室温にて5日間放置した後の当該発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.024g/cmであった。
(実施例2)
ポリエチレン原料として、表1記載のポリエチレン樹脂Dを使用したこと以外は、実施例1と同様にロール状の発泡シートを作成した。本実施例の発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.026g/cmであった。室温にて5日間放置した後の当該発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.023g/cmであった。
(実施例3)
発泡剤として、イソブタン/ノルマルブタン=95/5(モル比)を使用したこと以外は、実施例1と同様にロール状の発泡シートを得た。本実施例の発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.025g/cmであった。室温にて5日間放置した後の当該発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.023g/cmであった。
(比較例1,2)
ポリエチレン原料として、表1記載のポリエチレン樹脂A(比較例1)、ポリエチレン樹脂B(比較例2)をそれぞれ使用し、巻取り時のシート幅1mあたりの平均張力を49Nにしたこと以外は、実施例1と同様にロール状の発泡シートを作成した。比較例1の発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.046g/cm、比較例2の発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.039g/cmであった。室温にて5日間放置した後の当該発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.023g/cm、比較例2の発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.023g/cmであった。
一方、比較例1、2とも、巻取り時の張力を上げずに張力を9.8Nにした場合は、巻取り中の厚みの減少により、ロール内に隙間が生じ、きれいにロール状に巻取りすることができなかった。
(比較例3)
発泡剤として、イソブタン/ノルマルブタン=35/65を使用し、巻取り時の張力を19.6Nにしたこと以外は、実施例1と同様にロール状の発泡シートを作成した。本比較例の発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.032g/cmであった。室温にて5日間放置した後の当該発泡シートの密度(下記のT基準値)は0.024g/cmであった。
一方、巻取り時の張力を上げずに張力を9.8Nにした場合は、巻取り中の厚みの減少により、ロール内に隙間が生じ、きれいにロール状に巻取りすることができなかった。
(比較例4)
表1記載のポリエチレン樹脂Aを100重量部、重曹−クエン酸のマスターバッチ(大日精化社製、商品名「ファインセルマスターP0410K」)0.1部をΦ90mmの押出機に供給し、押出機内で溶融した後、押出機途中から発泡剤としてイソブタン/ノルマルブタン=35/65を18重量部及び収縮防止剤としてステアリン酸モノグリセライドを1.5部圧入した事以外は、実施例1と同様にロール状の発泡シートを得た。ロール内の発泡シートの厚み減少も少なく、厚み均一性は良いが、下記のくもり評価試験にてはっきりとしたくもりが確認された(くもり評価:5)。
Figure 0004837404
<厚み評価及び発泡シート密度の測定>
実施例、比較例でそれぞれ得られた前記ロール状の発泡シートから長さ方向に約100m間隔で切片を7枚切り出し、それぞれの切片の厚みを幅方向に10点測定し、10点平均値をそれぞれの切片の厚みとした。また、それぞれの切片を室温にて5日間放置した後、同様に切片の幅方向の厚みを測定した。各厚みの定義は次のとおりである。なお、実施例、比較例でそれぞれ得られた前記ロール状の発泡シートから最初に切り出された前記切片について発泡シート密度をあわせて測定し、その平均値(T基準値)を得た。本発明の発泡シートの密度はT基準値に基いて特定される。また同様に、それを室温にて5日間放置した後、発泡シート密度を測定し、その平均値(T基準値)を得た。
・ロール内平均厚みT: 7枚の切片の厚みの平均値
・ロール内最小厚みT: 7枚の切片の厚みのうちの最小値
・放置後厚みT: 5日間放置後の7枚の切片の厚みの平均値
なお、本発明における前記発泡シートの厚みは、定圧厚み測定機(Teclock社製、型式SCM−627)で測定した。発泡シートの密度は、JIS K 6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した。
なお、前記巻き取り工程において、所定のメートル数のロールが巻き上がった直後に、そのロール端部から約1mを切り出し、約1分後、その切片の厚みを幅方向に10点測定し、その平均値をその切片の厚みとして測定した。この厚みの値を「押出1分後厚みT」とした。
<くもりの評価>
包装物の汚染性は、包装物の板の上に発泡シートを乗せ、その上に重りを乗せて放置し、包装物の汚れ具合を肉眼で観察して5段階に分けた。すなわち、発泡シートを2.6cm×2.6cmの大きさに切り、これをガラス板またはポリカーボネート板の上に乗せ、その上にさらに1kgの重りを乗せて(荷重0.15kg/cm)、温度60℃、湿度80%の槽内に24時間放置した後、温度25℃、湿度60%にて1時間自然冷却する。そして、発泡シートを取り除いてガラス板叉はポリカーボネート板の表面のくもり発生(汚れ具合)を肉眼で評価し、結果を表2記載の5段階に分けた。
Figure 0004837404
以上、各実施例、比較例の厚み評価、くもりの評価の結果をまとめて表3に示す。
Figure 0004837404
得られた実施例の発泡シートは、いずれもくもり評価は1であった。比較例の発泡シートは、押出後の収縮が大きすぎるため、長尺に巻くことが困難で張力を大きくして巻いている。張力を大きくして巻けたとしても、表3に示すように、比較例の発泡シートは厚みの回復が少なく、実際には既述のかせ巻き工程を実施しないと製品ができない。これに対して、実施例の発泡シートは、押出後の収縮が抑えられていることから、比較例と比べて張力を小さくして巻くことが可能である。また、比較例の発泡シートと比較して、押出1分後厚みT、ロール内厚みT、ロール内最小厚みTにおいても厚みをほぼ一定に保持しており、厚みの変動が小さいことが認められる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートは、家電製品及びそれに使用される部材の保護材、包装材などに用いることができる。
本発明に係る製造方法を実施する製造工程を示す概略図である。

Claims (6)

  1. 収縮防止剤を加えずに、ポリエチレン系樹脂に発泡剤を加えて押出発泡シートを得た後、この押出発泡シートを巻取り機にてロール状に巻き取り、これを放置して熟成し、その後巻き直し機にて巻き直して、ロール状のポリエチレン系樹脂発泡シートを得るポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法において、
    前記ポリエチレン系樹脂として樹脂密度が0.925〜0.935g/cmのポリエチレン系樹脂、
    前記発泡剤としてイソブタンを60モル%以上含有する発泡剤を使用し、
    密度が0.06g/cm未満のポリエチレン系樹脂発泡シートを得ることを特徴とするポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  2. 前記ポリエチレン系樹脂発泡シートの密度が0.01〜0.05g/cmである
    請求項1記載のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  3. 前記発泡剤がイソブタン60モル%以上とノルマルブタン2モル%以上の混合ブタンである請求項1又は2記載のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  4. 樹脂密度が0.925〜0.935g/cm のポリエチレン系樹脂に、イソブタンを60モル%以上含有する発泡剤を加えて押出発泡して押出発泡シートを得た後、この押出発泡シートを巻取り機にてロール状に巻き取り、これを放置して熟成し、その後巻き直し機にて巻き直して、密度が0.06g/cm 未満のロール状のポリエチレン系樹脂発泡シートを得る請求項1乃至3のいずれかの項に記載のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  5. 前記ポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレイト(MFR)が、2〜5g/10minである請求項1乃至4のいずれかの項に記載のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
  6. 前記押出発泡シートの熟成は、巻き芯が水平になるように、かつ、空中に浮かした状態に吊るして放置する請求項4又は5記載のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
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