JP2022117418A - ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 - Google Patents

ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、ブタン等の可燃性発泡剤を用いて低坪量の押出発泡シートを安定製造することができ、可燃性発泡剤の残存量の少ない押出発泡シートを得ることができ、また押出発泡シートの製造直後に、ロール状に巻回しても、ロール状物の部位による押出発泡シートの厚み等の寸法変動を抑制することができるポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】 本発明のポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法は、混合発泡剤を含有する発泡性樹脂溶融物を押出発泡することにより、低坪量のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法であり、ジメチルエーテルとブタンとの混合発泡剤を用い、ブタン中のノルマルブタンの割合、発泡性樹脂溶融物1kgあたりの混合発泡剤の配合量、ブタンの配合量、混合発泡剤中の、ジメチルエーテルの配合割合及びブタンの配合割合が特定範囲内である。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法に関し、詳しくは可燃性の物理発泡剤を用いてポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法であって、低坪量であると共に、可燃性発泡剤の残存量が少なく、輸送時の安全性が高いポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法に関する。
ポリエチレン系樹脂押出発泡シート(以下単に押出発泡シートともいう。)は、緩衝性に優れる材料であることから、板状物用間紙、梱包材、緩衝材等の包装材として、種々の分野に利用されている。
該ポリエチレン系樹脂発泡シートは、通常、ポリエチレン系樹脂を気泡調整剤等と共に押出機に供給し、加熱混練して樹脂溶融物とし、該樹脂溶融物に物理発泡剤を圧入し、混練して発泡性樹脂溶融物を形成し、該発泡性樹脂溶融物を環状ダイから大気中に押出発泡して筒状の発泡体を形成し、該筒状の発泡体を引取機により引取りつつ、シート状に切り開くことにより製造される。
該押出発泡シートは、通常、ロール状に巻き取られたロール状物として保管され出荷される。また、該ロール状物は、コンテナ等の密閉空間に収容されて輸出される場合がある。
該発泡シートの製造には、通常、物理発泡剤として可燃性の発泡剤であるブタンが用いられる。該ブタンは押出発泡性に優れるため、坪量が低く、見掛け密度が低い(発泡倍率が高い)と共に、厚みの薄い押出発泡シートを容易に得ることができる。
該ブタンを用いた場合、ブタンは押出発泡シートの製造中に押出発泡シートから散逸するため、押出発泡シートは、ロール状物に巻き取られている(巻回されている)間に収縮する。そのため、通常、収縮した押出発泡シートに対して、加温等による押出発泡シートの養生を行い、空気を押出発泡シートの気泡内に流入させることで、収縮した押出発泡シートの厚みや幅等の寸法を回復させるための処理が行われる。
一方、該ブタンは、前記のような養生を経ても、完全には押出発泡シートからは散逸せず、通常、ブタンの一部は、養生後の押出発泡シートに残留する。従って、ブタンが残存する押出発泡シートが、輸出等の際に、コンテナ等の密閉空間に収容されると、ブタンが押出発泡シートから散逸して密閉空間内に蓄積し、密閉空間内のブタン濃度が上昇する。そのため、密閉空間内に収容された押出発泡シートの量によっては、輸送中に密閉空間内のブタン濃度が爆発限界濃度に達するおそれがある。従って、輸出等の際には、押出発泡シート中に残存するブタン量を低減することが求められる。
該押出発泡シートに残存するブタンを低減する方法として、前記養生工程における放置時間を更に長くする方法や、ブタンの散逸を促進するための加熱処理を別途行う方法(特許文献1)がある。
特開2015-979号公報
しかしながら、養生工程を長期間行うと、押出発泡シートを出荷するまでの期間が長くなり、生産性が悪化するおそれがある。また、長期間の養生を行ったとしても、ブタンの残存量を十分に低減させることができないおそれもある。また、加熱処理を行うと、製造工程が増加するため、生産性が悪化するおそれがある。
また、前記したように、製造直後に押出発泡シートに残存するブタン等の発泡剤は、時間経過とともに徐々に外部に散逸する一方で、周囲の空気は押出発泡シート内に徐々に流入するため、押出発泡シートは、経時により厚みや幅等の寸法が変動しやすい。そのため、製造直後の押出発泡シートをロール状に巻回すると、ロール状物の部位によって、押出発泡シートの厚み、幅などの寸法が変動するおそれがある。このような寸法の変動が生じると、ロール状物の外観が低下するおそれや、ロール状物を保管、輸送する際に、巻き状態の崩れや、荷崩れが生じるおそれがある。
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、ブタンなどの可燃性の物理発泡剤(以下、可燃性発泡剤ともいう。)を用いて押出発泡シートを製造する場合において、所望される低坪量の押出発泡シートを安定して製造することができ、さらに可燃性発泡剤の残存量を低下させる工程を短縮あるいは省略しても、可燃性発泡剤の残存量の少ない押出発泡シートを得ることができ、また押出発泡シートの製造直後に、該押出発泡シートをロール状に巻回しても、ロール状物の部位による押出発泡シートの厚み、幅などの寸法の変動を抑制することができるポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明によれば、以下に示すポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法が提供される。
[1]ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡することにより、坪量10g/m以上80g/m以下のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法において、
該物理発泡剤が、ジメチルエーテルとブタンとの混合発泡剤であり、
該ブタン中のノルマルブタンの割合が80mol%を超え、
該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該混合発泡剤の配合量が1mol以上4mol以下であり、
該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該ブタンの配合量が2mol以下であり、
該混合発泡剤中の、ジメチルエーテルの配合割合が30mol%以上95mol%以下であり、ブタンの配合割合が5mol%以上70mol%以下である(但し、ジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合との合計は100mol%である)ことを特徴とするポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
[2]前記発泡性樹脂溶融物1kgあたりのノルマルブタンの配合量が0.10mol以上である、前記1に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
[3]前記ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの平均厚みが0.1mm以上2mm以下であり、見掛け密度が25kg/m以上300kg/m以下である、前記1又は2に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法。
[4]前記ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの幅方向における長さが1m以上である、前記1~3のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
本発明によれば、ブタン等の可燃性物理発泡剤を用いて押出発泡シートを製造する場合において、低坪量の押出発泡シートを得ることができ、さらに発泡剤の残存量を低下させる工程を短縮あるいは省略しても、可燃性発泡剤の残存量の少ない押出発泡シートを得ることができる押出発泡シートの製造方法が提供される。
また、本発明によれば、押出発泡シートの製造直後に、該押出発泡シートをロール状に巻回しても、ロール状物の部位による押出発泡シートの厚み、幅などの寸法の変動を抑制することができる。
本発明で用いられる押出発泡シートの製造装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明のポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法について詳細に説明する。
該ポリエチレン系樹脂発泡シートは、例えば、ポリエチレン系樹脂や必要に応じて添加される気泡調整剤等を押出機に供給して、加熱、混練して樹脂溶融物とし、該樹脂溶融物に物理発泡剤を圧入し、さらに加熱、混練して発泡性樹脂溶融物とし、該発泡性樹脂溶融物を該押出機の下流側に取付けられた環状ダイから大気中に押出発泡して筒状の発泡体を形成し、該筒状の発泡体を引き取りつつシート状に切り開くことにより製造される。
本発明で用いられるポリエチレン系樹脂とは、樹脂中に、エチレン成分単位がモル比率で50mol%以上の割合で存在するものである。樹脂中における、エチレン成分単位の割合は、好ましくは60mol%以上であり、より好ましくは70mol%以上であり、更に好ましくは80mol%以上であり、特に好ましくは95mol%以上である。
該ポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、押出発泡シート製造時の押出発泡性に優れ、緩衝性が良好な押出発泡シートを安定して得ることができることから、低密度ポリエチレンを主成分とするポリエチレン系樹脂を用いることが好ましい。
なお、低密度ポリエチレンとは、密度910kg/m以上930kg/m未満のポリエチレン系樹脂を意味する。
また、本明細書において、低密度ポリエチレンを主成分とするポリエチレン系樹脂とは、ポリエチレン系樹脂中の低密度ポリエチレンの含有割合が50重量%以上であることをいい、好ましくは60重量%以上、70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
なお、前記樹脂溶融物には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、前記ポリエチレン系樹脂以外の樹脂やエラストマー等の他の成分を配合してもよい。その場合、他の成分の配合量は、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、20重量部以下であることが好ましく、10重量部以下であることがより好ましく、5重量部以下であることがさらに好ましい。
ポリエチレン系樹脂のMFR(メルトフローレイト)は、2g/10min以上20g/10min以下が好ましく、4g/10min以上15g/10min以下がより好ましい。
該MFRは、JIS K 7210-1:2014(試験温度:190℃、荷重2.16kg)に基づいて測定される。なお、2種類以上のポリエチレン系樹脂を組み合わせて用いる場合、これらの混合物のMFRがこの範囲内であることが好ましい。
MFRがこの範囲内であれば、ポリエチレン系樹脂の流動性が高いと共に、引取り時に発泡体を引き伸ばしやすくなる。そのため、低坪量で、厚みが薄く、外観が良好な押出発泡シートを安定して得ることができる。
ポリエチレン系樹脂の、190℃における溶融張力は、10mN以上300mN以下が好ましい。溶融張力がこの範囲内であると、低坪量で、外観が良好な発泡シートを安定して得ることができる。この点を考慮すると溶融張力は15mN以上がより好ましく、20mN以上が更に好ましい。また、溶融張力は250mN以下がより好ましい。
ポリエチレン系樹脂の190℃における溶融張力(以下、メルトテンションまたはMTとも記載している。)は、例えば、株式会社東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII型等によって測定することができる。具体的には、ノズル径2.095mm、長さ8mmのノズルを有するメルトテンションテスターを用い、該ノズルから樹脂温度190℃、押出のピストン速度10mm/分の条件で樹脂を紐状に押出して、この紐状物を直径45mmの張力検出用プーリーに掛けた後、15.7m/minの巻取り速度で直径50mmの巻取りロールで巻取る。
溶融張力を求める具体的な方法は、例えば次のとおりである。巻取り速度15.7m/minの巻取り速度において巻取りを行って張力検出用プーリーと連結する検出機により検出される紐状物の溶融張力を経時的に測定し、縦軸にMT(mN)を、横軸に時間(秒)を取ったチャートに示すと、振幅をもったグラフが得られる。次に振幅の安定した部分の、振幅の中央値(X)をとる。本発明では、この値(X)を溶融張力とする。なお、測定に際し、まれに発生する特異的な振幅は無視するものとする。
ただし、張力検出用プーリーに掛けた紐状物が巻取り速度15.7m/minまでに切断した場合は、紐状物が切断したときの巻取り速度Rを求める。次いでR×0.7の一定の巻取り速度において、前記と同様にして得られるグラフより、振幅の中央値(X)を溶融張力とする。
次に、本発明方法で用いられる物理発泡剤について説明する。
本発明方法においては、該物理発泡剤として、ジメチルエーテルと、特定割合のノルマルブタンを含むブタンとが用いられる。ここで、ジメチルエーテルは、押出時における押出発泡性を大きく損なうことなく、押出発泡シートにおける可燃性発泡剤の残存量を早期に低減させやすい発泡剤である。一方で、特定割合のノルマルブタンを含むブタンは、押出時の押出発泡性に優れると共に、可燃性発泡剤の残存量が過度に多くなることを抑制しつつ、ポリエチレン系樹脂が適度に可塑化された状態で押出発泡シートを引取ることができるため、発泡体の引取安定性を高めることができ、低坪量の押出発泡シートを安定して製造しやすくすることができる発泡剤である。
従って、本発明方法によれば、ジメチルエーテルと特定割合のノルマルブタンを含むブタンとを併用することにより、低坪量の押出発泡シートを得ることができ、さらに可燃性発泡剤の残存量を少なくすることができる。
さらに、本発明においては、前述した物理発泡剤を用いることにより、前記押出発泡シートの製造直後に、押出発泡シートをロール状に巻回した場合であっても、ロール状の部位によらず、ロール状物の部位による寸法の変動が抑制された押出発泡シートを得ることができる。
次に、前記したジメチルエーテルとノルマルブタンとイソブタンの配合について詳しく説明する。
本発明方法においては、該物理発泡剤として、ジメチルエーテルとブタンとを主成分として含む、ジメチルエーテルとブタンとの混合発泡剤が用いられる。
なお、本明細書において、ジメチルエーテルとブタンとを主成分とするとは、混合発泡剤中のジメチルエーテルとブタンとの含有割合の合計が、概ね80mol%以上であることをいい、より好ましくは90mol%以上、更に好ましくは95mol%以上である。
本発明において用いられるブタンにおいては、該ブタン中のノルマルブタンの割合が、80mol%を超えることを要する。
該ノルマルブタンの割合が低すぎると、押出発泡シートに残存する可燃性発泡剤の残存量が増加するおそれがある。
ノルマルブタンは、押出時の押出発泡性に優れると共に、イソブタンに比べると押出発泡シートからの散逸速度が速いため、該配合割合を80mol%超とすることで、押出発泡シートのブタン残存量を早期に小さくするという効果が得られる。かかる理由により、該配合量は85mol%以上であることがより好ましく、更に好ましくは90mol%以上、特に好ましくは95mol%以上である。
さらに、前記した発泡性樹脂溶融物1kgあたりのノルマルブタンの配合量は0.10mol以上であることが好ましい。
該ノルマルブタンの配合量を0.10mol以上とすることで、低坪量の押出発泡シートとしつつ、押出発泡シートの見掛け密度を小さくしやすい(発泡倍率を高めやすい)と共に、押出発泡シートの厚みを調整しやすくなり、低坪量で、所定の見掛け密度及び厚みを有する押出発泡シートを安定して得やすくなる。
かかる理由により、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該配合量は0.20mol以上であることが好ましく、より好ましくは0.30mol以上、更に好ましくは0.40mol以上、特に好ましくは0.50mol以上である。
一方、押出発泡シートに残存する可燃性発泡剤の残存量をより低減できることから、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりのノルマルブタンの配合量の上限は2.0molであることが好ましく、より好ましくは1.6molであり、さらに好ましくは1.2mol以下であり、特に好ましくは1.0molである。
さらに、本発明で用いられる物理発泡剤においては、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該ブタンの配合量は2mol以下であることを要する。
該配合量が多すぎると、押出発泡シート中に残存する可燃性発泡剤(ブタン)の量が多くなり、残存する可燃性発泡剤を低減させる工程が必要となるおそれがある。
かかる理由により、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該配合量は1.8mol以下であることが好ましく、より好ましくは1.6mol以下であり、さらに好ましくは1.2mol以下であり、特に好ましくは1.0mol以下である。
一方、押出時における押出発泡性や引取安定性をより高めやすくなり、所望とする押出発泡シートを安定して得やすくなることから、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりのブタンの配合量の下限は、0.1molであることが好ましく、より好ましくは0.2molである。
また、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりのイソブタンの配合量は、0.2mol以下であることが好ましく、0.1mol以下であることがより好ましく、0.08mol以下であることがさらに好ましく、0.06mol以下であることが特に好ましい。イソブタンの配合量を前記範囲とすることで、押出発泡シートに残存する可燃性発泡剤の残存量をより低減しやすくなる。
また、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりのジメチルエーテルの配合量は、0.5mol以上であることが好ましく、0.6mol以上であることがより好ましく、0.8mol以上であることがさらに好ましい。ジメチルエーテルの配合量を前記範囲とすることで、押出時における押出発泡性を維持しつつ、ブタンの配合量を低減しやすくなるため、可燃性発泡剤の残存量を早期に低減させやすくなる。
一方、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりのジメチルエーテルの配合量は、3.5mol以下であることが好ましく、3.0mol以下であることがより好ましく、2.5mol%以下であることがさらに好ましい。ジメチルエーテルの配合量を前記範囲とすることで、押出発泡シートに残存する可燃性発泡剤の残存量をより低減しやすくなる。
さらに、該混合発泡剤中のジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合が、夫々特定範囲内であることを要する。具体的には、該混合発泡剤100mol%中のジメチルエーテルの配合割合が30mol%以上95mol%以下であり、ブタンの配合割合が5mol%以上70mol%以下である(但し、ジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合の合計は100mol%である)。
ジメチルエーテルは、ブタンに比べると、ポリエチレン系樹脂に対するガス透過速度が著しく速い。そのため、ジメチルエーテルは、押出機から押出された発泡性樹脂溶融物が発泡している間にも、樹脂溶融物を構成するポリエチレン系樹脂から散逸していくため、ジメチルエーテルの配合割合が高すぎると、発泡効率が悪くなり、低坪量で、所望の見掛け密度を有する押出発泡シートを製造しにくくなる。また、ジメチルエーテルが添加されることによりポリエチレン系樹脂は可塑化されるが、ポリエチレン系樹脂を引き取る際において、ジメチルエーテルの大部分は押出発泡シートから散逸し、ジメチルエーテルによるポリエチレン系樹脂の可塑化効果が低下する。そのため、ジメチルエーテルの配合割合が高すぎると、製造時に押出発泡シートを高速度で引取りにくくなり、低坪量の押出発泡シートを製造することが難しくなる。
一方、ブタン、特にブタン中のイソブタンの割合が高いブタンは、ジメチルエーテルに対して、押出後の押出発泡シートに残存しやすい特性を有するので、ブタンの配合割合が高すぎる場合や、ブタン中のノルマルブタンの割合が低すぎる場合には、押出発泡シートに残存する可燃性発泡剤の残存量が多くなるおそれがある。
かかる理由により、該混合発泡剤100mol%中のジメチルエーテルの配合割合は40mol%以上95mol%以下であり、ブタンの配合割合は5mol%以上60mol%以下であることが好ましく(但し、ジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合の合計は100mol%である)、該混合発泡剤100mol%中のジメチルエーテルの配合割合は50mol%を超え95mol%以下であり、ブタンの配合割合は5mol%以上50mol%未満であることがより好ましく(但し、ジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合の合計は100mol%である)、該混合発泡剤100mol%中のジメチルエーテルの配合割合は55mol%以上90mol%以下であり、ブタンの配合割合は10mol%以上45mol%以下であることがさらに好ましい(但し、ジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合の合計は100mol%である)。
また、押出発泡シートに残存する可燃性発泡剤の残存量がより低減しやすくなることから、該混合発泡剤100mol%中のイソブタンの配合割合は、10mol%以下である(但し、ジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合の合計は100mol%である)ことが好ましく、5mol%以下であることが好ましく、3mol%以下であることがさらに好ましく、2mol%以下であることが特に好ましい。
本発明においては、該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該混合発泡剤の配合量が1mol以上4mol以下であることを要する。
該配合量が多すぎると、得られた押出発泡シート中に残存する可燃性発泡剤の量が多くなり、残存する可燃性発泡剤を低減させる工程が必要となる。かかる理由により、該配合量の上限は、3.5molであることが好ましく、3.0molであることがより好ましく、2.5molであることがさらに好ましい。
一方、該配合量が少なすぎると、低坪量で、所望される低見掛け密度を有すると共に厚みの薄い押出発泡シートを得ることが困難となる。かかる理由により、該配合量の下限は、1.2molであることが好ましく、1.4molであることがより好ましい。
本発明の所期の目的を達成できる範囲において、混合発泡剤には、ジメチルエーテル及びブタン以外の他の発泡剤が含まれていても良い。その場合、混合発泡剤中の他の発泡剤の配合割合は、ジメチルエーテル及びブタンの配合割合の合計100mol%に対して、概ね20mol%以下であることが好ましく、10mol%以下であることがより好ましく、5mol%以下であることがさらに好ましい。但し、混合発泡剤には、ジメチルエーテル及びブタン以外の他の発泡剤が含まれていないことが特に好ましい。
他の発泡剤としては、二酸化炭素、窒素等の無機系物理発泡剤や、ノルマルペンタン、イソペンタン等の脂肪族炭化水素、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)、1,3,3 ,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)等のハイドロフルオロオレフィン、エタノール、プロパノール等の炭素数1以上4以下のアルコール、などの有機系物理発泡剤が挙げられる。これらは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法においては、前記したポリエチレン系樹脂および物理発泡剤に加え、本発明の効果を損なわない範囲内で、添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、気泡調整剤、酸化防止剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤、抗菌剤、着色剤、帯電防止剤等が挙げられる。
気泡調整剤としては、無機系、有機系のいずれも用いることができる。無機系の気泡調整剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛、ホウ酸マグネシウム、硼砂等のホウ酸金属塩、塩化ナトリウム、水酸化アルミニウム、タルク、ゼオライト、シリカ、炭酸カルシウム、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。
有機系の気泡調整剤としては、例えば、リン酸-2,2-メチレンビス(4,6-tert-ブチルフェニル)ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アルミニウム、ステアリン酸ナトリウム等が挙げられる。また、クエン酸と重炭酸ナトリウム、クエン酸のアルカリ塩と重炭酸ナトリウム等を組み合わせたもの等も用いることができる。これらの気泡調整剤は2種以上を混合して用いることができる。
該気泡調整剤の添加量は、押出発泡シート中に形成させる気泡数に応じて適宜設定することができるが、通常、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上10質量部以下であり、好ましくは0.2質量部以上5質量部以下の範囲である。
前記帯電防止剤としては、例えば、表面抵抗率が1×1012Ω未満の高分子型帯電防止剤を用いることができる。高分子型帯電防止剤としては、ポリエーテル、ポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルとポリオレフィンとのブロック共重合体、アイオノマー樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエーテルとポリオレフィンとのブロック共重合体、アイオノマー樹脂が好ましく、アイオノマー樹脂がより好ましい。
前記ブロック共重合体としては、ポリオレフィンのブロックとポリエーテルのブロックとが、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、イミド結合などの結合を介して繰り返し交互に結合した構造を有するものが挙げられる。
前記アイオノマー樹脂は、エチレンと不飽和カルボン酸との共重合体の分子間を、金属イオンで分子間架橋した樹脂である。不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、金属イオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム等が挙げられる。
このような高分子型帯電防止剤の具体例としては、ポリエーテルとポリオレフィンとのブロック共重合体として、三洋化成工業株式会社製「ペレスタット300」、「ペレクトロンHS」、「ペレクトロンLMP」など、アイオノマー樹脂として、三井・デュポンポリケミカル株式会社製「エンティラSD100」、「エンティラMK400」などの商品名で市販されているものが挙げられる。
前記帯電防止剤を配合する場合、前記樹脂溶融物における帯電防止剤の配合割合は、前記ポリエチレン系樹脂と該帯電防止剤との合計100重量%に対して、5~50重量%であることが好ましい。前記範囲とすることで、所望される帯電防止性能を安定して発現できる押出発泡シートとすることができる。より良好な帯電防止性を発現させるためには、該配合割合の下限は、6重量%がより好ましく、さらに好ましくは7重量%である。また、押出発泡時の発泡性をより良好にするためには、該配合割合の上限は、40重量%が好ましく、より好ましくは30重量%であり、さらに好ましくは20重量%であり、特に好ましくは15重量%である。
次に、本発明方法により得られる押出発泡シートの物性について説明する。
本発明の製造方法により得られる押出発泡シートの坪量は、10g/m以上80g/m以下である。坪量がこの範囲内であれば、軽量であると共に、緩衝性に優れ、包装材やガラス基板間に挿入されるガラス板用間紙等として好適に用いることができる押出発泡シートを得ることができる。緩衝性を高める観点からは、該坪量は、12g/mであることが好ましく、より好ましくは15g/m以上であり、更に好ましくは20g/m以上である。また、軽量性を高める観点からは、該坪量は、50g/m以下であることが好ましく、より好ましくは40g/m以下であり、さらに好ましくは35g/m以下であり、特に好ましくは30g/m以下である。
該坪量は以下のようにして測定することができる。まず、押出発泡シートを所定の寸法(例えば、100mm×100mm)に切り出して試験片を作製し、該試験片の面積(m)および試験片の質量(g)を測定し、質量(g)を面積(m)で除することにより、押出発泡シートの坪量(g/m)を求めることができる。
該押出発泡シートの見掛け密度は、25kg/m以上300kg/m以下であることが好ましい。該見掛け密度がこの範囲内であれば、軽量であると共に、緩衝性に優れ、包装材やガラス基板間に挿入されるガラス板用間紙等として好適に用いることができる押出発泡シートを得ることができる。
緩衝性を高める観点からは、該見掛け密度は、30kg/m以上であることが好ましく、より好ましくは50kg/m以上であり、さらに好ましくは60kg/m以上である。
また、軽量性を高める観点からは、該見掛け密度は、250kg/m以下であることが好ましく、より好ましくは200kg/m以下であり、さらに好ましくは180kg/m以下である。
発泡シートの見掛け密度は、以下のようにして算出することができる。まず、後述するように押出発泡シートの平均厚みを測定する。また、前述のようにして押出発泡シートの坪量を測定する。測定された押出発泡シートの坪量を、測定された押出発泡シートの平均厚みで除し、単位換算することにより、押出発泡シートの見掛け密度[kg/m]を求めることができる。
該押出発泡シートの平均厚みは、0.1mm以上2mm以下であることが好ましい。該平均厚みがこの範囲内であれば、緩衝性に優れる押出発泡シートとなり、さらに、ガラス板用間紙として用いる際には、ガラス板を積み重ねて輸送する際の積載効率が高いものとなる。従って、平均厚みが前記範囲内の押出発泡シートは、種々の用途に好適に使用することができる。
押出発泡シートの緩衝性が高いものとなる観点からは、該平均厚みは、0.12mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.15mm以上であり、さらに好ましくは0.16mm以上である。
一方、ガラス板用間紙として用いる際の積載効率が高くなる観点からは、該平均厚みは、1mm以下であることが好ましく、より好ましくは0.80mm以下であり、さらに好ましくは0.60mm以下であり、特に好ましくは0.50mm以下である。
該平均厚みは、次のようにして測定することができる。押出発泡シートに対して、押出方向に沿って無作為に選択された3箇所以上について、全幅にわたって幅方向に沿って等間隔に測定される厚み(mm)の算術平均により該3箇所以上の平均厚みをそれぞれ算出し、算出した該3箇所以上の平均厚みの値を算術平均することにより、押出発泡シートの平均厚みを求めることができる。
所望とする坪量、平均厚み及び見掛け密度を有する押出発泡シートを製造するにあたっては、主に、押出発泡シートの製造時における、押出発泡シートの引取速度、発泡性樹脂溶融物の吐出量、押出発泡シートのブローアップ比(拡径比)等を調整することにより、所望とする押出発泡シートを得ることができる。
具体的には、坪量が小さく、見掛け密度が低く、平均厚みが薄い押出発泡シートを製造する場合には、押出機より押出された筒状の発泡体のブローアップ比を2.0以上4.0以下とすることが好ましい。また、押出機より押出された筒状の発泡体の引取速度を10m/分以上80m/分以下、より好ましくは20m/分以上75m/分以下とすることが好ましい。また、押出機のサイズや、得ようとする押出発泡シートの幅方向における長さにもよるが、押出機より押出された発泡性樹脂溶融物の吐出量を50kg/hr以上300kg/hr以下、より好ましくは60kg/hr以上260kg/hr以下とすることが好ましい。なお、ブローアップ比(拡径比)は、環状ダイリップ部の直径に対する、マンドレル(拡幅装置)の直径の比( マンドレルの直径/ 環状ダイリップ部の直径) を意味する。
ここで、発泡性樹脂溶融物の吐出量や押出発泡シートのブローアップ比を前記範囲にしつつ、押出発泡シートの製造時における引取速度を大きくして(例えば、10m/分以上80m/分以下の範囲)、低坪量の押出発泡シートを得ようとする場合、発泡体からの発泡剤の散逸が早すぎると、押出機から押出された樹脂が引き取られる際に伸びにくくなり、発泡体が破断しやすい傾向にある。
本発明においては、前述した発泡剤を用いることにより、押出発泡シートの製造時においては、押出された樹脂の伸びを確保して、引取安定性を維持しつつ、押出発泡シートから早期に散逸する発泡剤の割合を高めることができ、押出発泡シート中の発泡剤の残存量を早期に低下させることができる。
該押出発泡シートの幅方向における長さは、1m以上であることが好ましい。
幅方向における長さを前記範囲とすることで、押出発泡シートが広幅なものとなり、間紙や包装材等、各種用途に好適に用いることができる。また、幅方向における長さが前記範囲の押出発泡シートをロール状に巻回することにより、多くの押出発泡シートを効率的に巻回することができ、生産性を高めることができる。また、該押出発泡シートの幅方向における長さの上限は、概ね5mであることが好ましく、4mであることがより好ましい。
また、本発明によれば、幅方向における長さが前記範囲となるような、広幅の押出発泡シートを製造直後にロール状物とした場合であっても、ロール状物全体にわたって発泡剤の残存量が少ないと共に、ロール状物の部位による厚みの変動が抑制された押出発泡シートを得ることができる。
なお、押出発泡シートの幅方向とは、押出発泡シートの押出方向及び厚み方向に対して、直交する方向である。
押出発泡シートの幅方向における長さは、次のようにして測定される。押出発泡シートに対して、押出方向に沿って無作為に選択された3箇所以上について、押出発泡シートの幅方向における長さをそれぞれ測定し、算出した該3箇所以上の測定値を算術平均することにより、押出発泡シートの幅方向における長さを求めることができる。
本発明の製造方法により得られるポリエチレン系樹脂押出発泡シートの独立気泡率は、1%以上50%以下であることが好ましい。独立気泡率がこの範囲内であれば、気泡構造が良好で、緩衝性や外観により優れる押出発泡シートとなる。
また、押出発泡シートに残存する発泡剤の残存量をより低減できると共に、経時による押出発泡シートの厚みや幅方向長さの寸法変化をより抑制するためには、押出発泡シートの独立気泡率は、1%以上10%以下であることが好ましく、1%以上8%以下であることがより好ましく、1%以上5%以下であることがさらに好ましい。
該押出発泡シートの独立気泡率は、例えば次のようにして測定することができる。押出発泡シートから試験片を切り出し、ASTM-D2856-70の手順Cに準拠して試験片の真の体積Vxを測定し、下記式(1)により独立気泡率S(%)を算出する。測定装置としては、例えば、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型等を使用することができる。
S(%)=(Vx-W/ρ)×100/(Va-W/ρ)・・・(1)
但し、前記式(1)中の、Va、W、ρはそれぞれ以下の通りである。
Va:測定に使用した発泡シートの見掛け容積(cm
W:試験片における発泡シートの質量(g)
ρ:押出発泡シートを構成する樹脂の密度(g/cm
独立気泡率を測定する試験片としては、切り出した押出発泡シートを数枚重ねることで、見掛け体積が概ね20cmとなるように調整した試験片を用いることができる。
本発明方法により得られた押出発泡シートにおいては、押出発泡シート中の可燃性発泡剤の残存量は少ないほど好ましい。具体的には、製造直後の押出発泡シートにおいては、可燃性発泡剤の残存量は、押出発泡シート1kgあたり、0.005mol/kg以下であることが好ましく、より好ましくは0.003mol/kg以下であり、さらに好ましくは0.002mol/kg以下である。
また、製造後48時間経過後のロール状物においては、押出発泡シート中の可燃性発泡剤の残存量は、押出発泡シート1kgあたり、0.002mol/kg以下であることが好ましく、より好ましくは0.001mol/kg以下である。
押出発泡シートに残存する可燃性発泡剤の残存量の測定方法については、後述する実施例で説明する。
次に、本発明方法における押出発泡シートの具体的な製造方法、更に押出発泡シートを巻き取ることによる、ロール状の押出発泡シート(以下、単にロール状物ともいう。)の製造方法の一例について説明する。
本発明方法においては、ポリエチレン系樹脂と、気泡調整剤と、必要に応じて配合される添加剤とを押出機に供給し加熱溶融して樹脂溶融物が形成され、次いで、該樹脂溶融物に物理発泡剤を圧入し、更に混練して発泡性樹脂溶融物が形成される。次いで、押出機内において発泡性樹脂溶融物を発泡可能な温度(樹脂温度)に調整し、環状ダイに導入してダイ先端のリップ部から低圧域の大気中に押出し、発泡性樹脂溶融物を発泡させて筒状発泡体とする。この筒状発泡体を、筒状の拡幅装置(マンドレル)にて拡径(ブローアップ)しつつ、引取機で引取りながら押出方向に沿って切り開くことにより、押出発泡シートを得ることができる。
図1は、本発明の押出発泡シートの製造方法の一例を示す図面である。
まず、ポリエチレン系樹脂を供給口2から押出機1に供給する。このとき、必要に応じて、気泡調整剤等の他の成分を適宜添加される。物理発泡剤は、発泡剤注入口3から押出機1に注入される。押出機1でポリエチレン系樹脂を溶融させると共に、ポリエチレン系樹脂と、物理発泡剤およびその他の成分とを混練し、ポリエチレン系樹脂溶融物が形成される。
続いて、押出機1の先端に取り付けられた環状ダイ4からポリエチレン系樹脂溶融物を押出して形成された筒状の発泡体7を引取機(図示省略する)で引取りつつ、環状ダイ4の下流側に配置されたマンドレル5上を通過させ、マンドレル5に設置されたカッター刃6等の切開手段により切り開くことで、シート状の押出発泡シート8が得られる。
シート状の押出発泡シート8は、引取り機(図示省略する)にて巻取ることで、押出発泡シートのロール状物とされる。該ロール状物は、その状態で保管及び/又は輸送される。また、使用時においては、ロール状物の巻き状態を解き、例えば、押出発泡シートを所定の寸法に断裁する等の工程を経て、ガラス板用の間紙を始めとする種々の用途に使用される。
本発明方法において、ロール状の押出発泡シート(ロール状物)は、次のように製造される。
前記ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡することにより押出発泡シートを形成し、該押出発泡シートをロール状に巻回することにより、坪量10g/m以上80g/m以下の押出発泡シートのロール状物を製造する方法において、
該物理発泡剤が、ジメチルエーテルとブタンとの混合発泡剤であり、
該ブタン中のノルマルブタンの配合割合が80mol%を超え、
該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該混合発泡剤の配合量が1mol以上4mol以下であり、
該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該ブタンの配合量が2mol以下であり、
該混合発泡剤中の、ジメチルエーテルの配合割合が30mol%以上95mol%以下であり、ブタンの配合割合が5mol%以上70mol%以下である(但し、ジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合の合計は100mol%である)。
該ロール状物の製造方法における、押出発泡シート、発泡剤に関する説明は、前記した押出発泡シートの製造方法における、押出発泡シート、発泡剤に関する説明を参照できる。
本発明方法において得られるロール状物の幅方向における長さは、前記した押出発泡シートを巻回したものであることから、1m以上であることが好ましい。
本発明においては、幅方向における長さが前記範囲となるような、広幅の押出発泡シートを製造直後にロール状物とした場合であっても、ロール状物全体にわたって発泡剤の残存量が少ないと共に、ロール状物の部位による押出発泡シートの厚みや幅等の変動が抑制されたロール状物を得ることができる。
ロール状物を形成する押出発泡シートの全長は100m以上2000m以下、ロール状物の直径は200mm以上2000mm以下であることが好ましい。なお、ロール状物に用いる巻芯としては、巻芯の直径(外径)が、5cm以上20cm以下、より好ましくは6cm以上16cm以下の巻芯を好ましく用いることができる。また、巻芯としては、紙管を好ましく用いることができる。
該ロール状物は、前記押出発泡シートがロール状に巻回されたものであり、多数の押出発泡シートが積み重ねられた構造を有するものである。そのため、可燃性発泡剤は、ロール状物の径方向中央部(すなわち、ロール状物の芯管側と、ロール状物の最表面側との中間付近に位置する部分、以下「巻き中」ともいう)においてより残存しやすくなる傾向がある。
一方、本発明においては、前述した物理発泡剤を用いることにより、ブタンのみを用いて発泡性樹脂溶融物を発泡させた場合に比べて、該押出発泡シートをロール状に巻き取る前の段階での、押出発泡シート中に残存する可燃性発泡剤の量を少なくすることができる。そのため、押出発泡シートをロール状に巻回した直後から、または短期間の養生により、ロール状物中に残存する可燃性発泡剤の残存量を所望の量以下とすることができる。
また、押出発泡シートがロール状に巻回されたときに、押出発泡シートに残存している物理発泡剤は、時間経過とともに徐々に外部に散逸する一方で、周囲の空気は押出発泡シート内に徐々に流入するため、ロール状に巻回された押出発泡シートは、通常、経時により厚みや幅等の寸法が各部位ごとに変動しやすい。また、物理発泡剤が散逸することにより押出発泡シートが収縮するため、通常は、押出発泡シート内へ空気を十分に流入させて、収縮した押出発泡シートの厚みや幅等の寸法を回復させるための養生が必要となる。加えて、ロール状物の径方向中央部は、ロール状物の表面部付近(以下、「巻き外」ともいう。)と比べて、空気が流入しにくい傾向にある。そのため、従来においては、該押出発泡シートを巻芯に緩く巻くなどして、押出発泡シート内への空気の流入を十分に行い、押出発泡シートの寸法を回復させた後に、該押出発泡シートをロール状に巻回してロール状物としないと、ロール状物の部位間での、押出発泡シートの寸法の変動が大きくなりやすかった。このような寸法の変動が生じると、ロール状物の外観が低下するおそれや、ロール状物を保管、輸送する際に、巻き状態の崩れや、荷崩れが生じるおそれがある。
一方、本発明においては、坪量が小さい押出発泡シートを、前述した物理発泡剤を用いて製造するので、押出機から押出された直後(押出発泡シートをロール状に巻回する前)に、物理発泡剤の多くが押出発泡シートから散逸する。
このような押出発泡シートが引取られて巻回されたロール状物は、巻回時の段階で厚みや幅等の寸法が一定の狭い範囲内に収まり、経時による押出発泡シートへの空気の侵入は起こるものの、経時による押出発泡シートの寸法の変動が生じにくくなるものと考えられる。そのため、前記押出発泡シートの製造直後に、押出発泡シートをロール状に巻回した場合であっても、ロール状の部位によらず、ロール状物の部位による寸法の変動が抑制された押出発泡シートを得ることができるものと考えられる。
以上、ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡することにより、単層のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法について説明したが、多層の押出発泡シートを製造することもできる。具体的には、ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融物に、ポリエチレン系樹脂を混練してなる樹脂層形成用樹脂溶融物を共押出用ダイ内で積層し、発泡性樹脂溶融物を樹脂層形成用樹脂溶融物と共に共押出して、発泡性樹脂溶融物を押出発泡することにより、ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層に積層接着されたポリエチレン系樹脂層とを有する多層のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造することができる。
この場合、前記樹脂層形成用樹脂溶融物は、ポリエチレン系樹脂と揮発性可塑剤とを混練してなる樹脂溶融物であることが好ましい。前記揮発性可塑剤としては、炭素数3~6の炭化水素及び/又は炭素数2のアルコールを用いることが好ましく、ブタンを用いることがより好ましく、ノルマルブタンの割合が80mol%を超えるブタンを用いることがさらに好ましい。また、前記揮発性可塑剤中のブタンの割合が50mol%以上であることが好ましく、80mol%以上であることがより好ましい。前記揮発性可塑剤を用いることで、前記混合発泡剤を用いた場合であっても、押出発泡シートに過度なコルゲートが発生することを抑制でき、外観が良好で、所望とする坪量を有する押出発泡シートをより安定して得ることができる。押出発泡シートの引取安定性を高めつつ、押出発泡シートに残留する可燃性発泡剤の量を低減する観点からは、発泡性樹脂溶融物1kgあたりのジメチルエーテルの配合量に対する、樹脂層形成用樹脂溶融物1kgあたりの揮発性可塑剤の配合量の比は、2以上10以下であることがより好ましい。
また、帯電防止性能を有する押出発泡シートを得る観点からは、前記樹脂層形成用樹脂溶融物は、前述した高分子型帯電防止剤を含むことが好ましい。この場合、前記樹脂層形成用樹脂溶融物における高分子型帯電防止剤の配合割合は、ポリエチレン系樹脂と該高分子帯電防止剤との合計100重量%に対して、5~50重量%であることが好ましく、8~30重量%であることがより好ましい。
多層の押出発泡シートの製造装置としては、例えば、発泡層形成用押出機の下流側に共押出用環状ダイを取り付けると共に、樹脂層形成用押出機の下流側を該共押出用環状ダイと連結させた装置を用いて共押出することで、発泡層と樹脂層とを有する筒状の発泡シートを得、筒状の発泡シートを、前述したように切り開くことにより製造することができる。なお、樹脂層は非発泡状態であっても発泡状態であってもよい。
なお、前記発泡層や前記樹脂層を構成する樹脂としては、単層のポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造において用いられる前記ポリエチレン系樹脂を用いることができる。また、多層の押出発泡シートの各種物性(平均厚み、坪量、見掛け密度、独率気泡率)は、前記押出発泡シートに対する前記した各種物性の測定と同様に、多層の押出発泡シートに対して行うことで求めることができる。
多層の押出発泡シートにおいて、前記樹脂層は、前記発泡層の片面のみに積層されていてもよく、前記発泡層の両面に積層されていてもよい。
緩衝性を維持したまま、コシ強度を高めることができることから、多層の押出発泡シートにおける樹脂層の坪量は、片面当たり1g/m以上20g/m以下であることが好ましく、2g/m以上10g/m以下であることがより好ましい。
なお、樹脂層の坪量は、樹脂層の厚みを、樹脂層を構成する樹脂の密度で乗じ、単位換算することや、多層の発泡シート全体の坪量を、発泡層形成用樹脂溶融物と樹脂層形成用樹脂溶融物との吐出量の比で配分することにより算出することができる。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法により得られる押出発泡シートは、可燃性発泡剤の残存量が少なく、輸送時の安全性が高いものであり、液晶パネル用ガラス板等の板状物用間紙や、梱包材、緩衝材等の包装材として好適に使用されるものである。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
バレル内径90mmの第一押出機と、その下流側に連結したバレル内径120mmの第二押出機とを備えるタンデム式の押出機を用い、該第二押出機の出口に環状ダイ(リップ径94mm)を取り付け、環状ダイの下流側に直径350mmのマンドレルが配置された製造装置を用いた。マンドレルは筒状の発泡体を切断するカッター刃が設けられたものを用いた。
実施例、比較例において次の原料を用いた。
(ポリエチレン系樹脂)
(1)ポリエチレン系樹脂(LDPE):低密度ポリエチレン、株式会社NUC社製、NUC-8009、MFR(190℃、荷重2.16kg)9.0g/10min、190℃における溶融張力20mN、融点107℃)
MFRおよび溶融張力の測定は前述した方法により行った。
(物理発泡剤)
(1)ノルマルブタン:株式会社 小池化学製
(2)混合ブタン(ノルマルブタン70mol%とイソブタン30mol%との混合物):株式会社 小池化学製
(3)ジメチルエーテル:株式会社 小池化学製
(気泡調整剤)
大日精化工業株式会社製「化学発泡剤:商品名ファインセルマスターPO217K」
実施例1~3、比較例1~4
ポリエチレン系樹脂「LDPE」100重量部と、前記気泡調製剤0.05重量部とを前記第一押出機に供給し、加熱、溶融、混練して樹脂溶融物とし、次いで該樹脂溶融物に表1に示す種類、配合量の物理発泡剤を圧入し、加熱混練し、温度を約200℃に調整して発泡性樹脂溶融物とした。該発泡性樹脂溶融物を、第一押出機の下流側に連結した直径120mmの第二押出機に移送し、冷却して樹脂温度111℃の発泡性樹脂溶融物とした。
各実施例および各比較例における発泡剤の種類、配合量を表1に示す。
この発泡性樹脂溶融物を、80kg/hrの吐出量で、環状ダイのダイリップから大気中に押出し、発泡させて筒状発泡体を形成した。この筒状発泡体を直径350mmの筒状拡幅装置(マンドレル)にて拡幅比3.8で拡幅しながら、引取速度52m/minで、表2に示す坪量となるよう引取機で引き取り、さらに筒状発泡体を押出方向に沿って切り開くことにより、幅約1090mmのポリエチレン系樹脂押出発泡シートを得た。次に、芯管(外径80mm)を使用して、得られた押出発泡シートを巻き取り、押出方向における発泡シートの長さ250m、直径約250mmのロール状物を得た。
得られた押出発泡シートに対して、40℃、大気圧、フリー状態の条件下で72時間養生を行った。その後に平均厚み(養生後平均厚み)、幅方向長さ(養生後幅方向長さ)坪量、見掛け密度、独立気泡率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2022117418000001
Figure 2022117418000002
実施例1、3、比較例1、2、4において得られた押出発泡シートについて、製造直後に採取した試料と、得られたロール状物を40℃、大気圧の条件下で製造後から1日間養生した後にロール状物の巻き中から採取した試料と、製造後から2日間養生した後にロール状物の巻き中から採取した試料について発泡剤残存量を測定した。結果を表3に示す。
また、得られたロール状物を40℃、大気圧の条件下で、製造後から3日間養生した後の押出発泡シートの厚み(巻き外、巻き中、巻き内)を測定した結果を表4に示す。
また、得られたロール状物を40℃、大気圧の条件下で、製造後から3日間養生した後の押出発泡シートの幅方向における長さ(巻き外、巻き中、巻き内)を測定した結果を表5に示す。
Figure 2022117418000003
Figure 2022117418000004
Figure 2022117418000005
実施例1は、物理発泡剤の配合割合をノルマルブタン/ジメチルエーテル=30mol%/70mol%とした例である。低坪量、低厚み、低見掛け密度の押出発泡シートが得られた。
また、得られた押出発泡シート及びロール状物は、可燃性発泡剤の残存量が極めて少ないものであった。
また、得られたロール状物は、巻き外、巻き中、巻き内における、押出発泡シートの厚みの最大値と最小値との差(R値)、及び押出発泡シートの幅方向における長さの最大値と最小値との差(R値)が小さいものであった。
実施例2は、物理発泡剤の配合割合をノルマルブタン/ジメチルエーテル=40mol%/60mol%とし、実施例1に対し、ジメチルエーテルの配合割合を小さくした例である。低坪量、低厚み、低見掛け密度の押出発泡シートが得られた。
実施例3は、物理発泡剤の配合割合をノルマルブタン/ジメチルエーテル=70mol%/30mol%とし、実施例1に対し、ジメチルエーテルの配合割合を更に小さくした例である。低坪量、低厚み、低見掛け密度の押出発泡シートが得られた。
また、得られた押出発泡シート及びロール状物は、可燃性発泡剤の残存量が少ないものであった。
また、得られたロール状物は、巻き外、巻き中、巻き内における、押出発泡シートの厚みの最大値と最小値との差(R値)、及び押出発泡シートの幅方向における長さの最大値と最小値との差(R値)が小さいものであった。
比較例1は、物理発泡剤として、ノルマルブタンとイソブタンの混合物(混合ブタン、ノルマルブタン/イソブタン=70mol%/30mol%)のみを用い、ジメチルエーテルを配合しなかった例である。低坪量、低厚み、低見掛け密度の押出発泡シートが得られた。しかし、得られた押出発泡シート及びロール状物は、可燃性発泡剤の残存量が実施例に対し多いものであった。
また、得られたロール状物は、巻き外、巻き中、巻き内における、押出発泡シートの厚みの最大値と最小値との差(R値)、及び押出発泡シートの幅方向における長さの最大値と最小値との差(R値)が実施例に対して、大きいものであった。
比較例2は、物理発泡剤として、ノルマルブタンのみを用い、ジメチルエーテルを配合しなかった例である。低坪量、低厚み、低見掛け密度の押出発泡シートが得られた。しかし、得られた押出発泡シート及びロール状物は、実施例に対して、可燃性発泡剤の残存量が多いものであった。
また、得られたロール状物は、巻き外、巻き中、巻き内における、押出発泡シートの厚みの最大値と最小値との差(R値)、及び押出発泡シートの幅方向における長さの最大値と最小値との差(R値)が実施例に対して、大きいものであった。
比較例3は、物理発泡剤として、ジメチルエーテルのみを用いた例である。該筒状体を引取る際に押出発泡シートが頻繁に破断したため、押出発泡シートを製造することができなかった。
比較例4は、物理発泡剤として、ノルマルブタンとイソブタンの混合物(ノルマルブタン/イソブタン=70mol%/30mol%)を用い、ジメチルエーテルの配合割合を実施例1と同じにした例である。低坪量、低厚み、低見掛け密度の押出発泡シートが得られた。しかし、ブタン中のノルマルブタンの配合割合が低いため、得られた押出発泡シート及びロール状物は、実施例に対して、可燃性発泡剤の残存量が多いものであった。
表2中、平均厚み、幅方向における長さ、坪量、見掛け密度、独立気泡率の測定は前記のように行った。
なお、平均厚みは、40℃、大気圧の条件下で3日間養生した後の押出発泡シートに対して、押出方向に沿って無作為に選択された3箇所について、幅方向に沿って50mm間隔で厚みを測定し、各箇所における厚みの算術平均値をそれぞれ算出した後、これらの値を算術平均することにより算出した。
押出発泡シートの幅方向における長さは、40℃、大気圧の条件下で3日間養生した後の押出発泡シートに対して、押出方向に沿って無作為に選択された10箇所について、押出発泡シートの幅方向における長さをそれぞれ測定し、算出した10箇所の測定値を算術平均することにより、押出発泡シートの幅方向における長さを5mm単位で算出した。
坪量は、押出発泡シートを100mm×100mmの寸法に切り出して試験片を作製し、該試験片の面積(m)および試験片の質量(g)を測定し、質量(g)を面積(m)で除することにより求めた。
表3において、押出発泡シートに残存する発泡剤の残存量は、以下のように測定した。
まず、押出直後の押出発泡シートあるいは、40℃、大気圧の条件下で、所定期間養生した後のロール状物の巻き中における、押出発泡シートの幅方向中央部付近から、測定サンプルを約0.3g採取し、測定用ガラス瓶内に封入した。次に、GLサイエンス社製ヘッドスペースガスクロマトグラフ「GC353B」を用いて、FID法により押出発泡シートに残存する各発泡剤の残存量の定量分析を実施した。
測定においては、VARIAN社製カラム「CP-PoraPLOTQ 型式CP-7553」を用いた。温度160℃でガラス瓶内の測定サンプルを溶融させて発泡剤を脱気させた後、温度50℃のカラムへ発泡剤を流入させて、各発泡剤成分を分離した後、FID検出器により各発泡剤を定量した。
表4において、押出発泡シートの平均厚みの測定は、次のようにして行った。まず、養生後のロール状物の巻き外(ロール状物の巻き終わり位置から、押出発泡シートを約15m分押出方向に繰り出した位置)、巻き中(巻き外と巻き内との中間位置)、巻き内(芯管の外表面からロール状物の径方向外方側に約10mm離れた位置)から、各部位あたり3箇所ずつ採取した試料を用いて、前記方法により、全幅にわたって幅方向に沿って50mm間隔に測定される各試料の厚み(mm)を測定した。測定された値を算術平均することにより、各部位における押出発泡シートの平均厚みを算出した。
なお、巻き外はロール状物の表面部付近の部位であり、巻き中はロール状物の芯管の外表面とロール状物の最表面との中間付近に位置する部位であり、巻き内はロール状物の巻芯付近に位置する部位である。
表5において、押出発泡シートの幅方向における長さの測定は、養生後のロール状物の巻き外、巻き中、巻き内から、各部位あたり無作為に10箇所選択して行った。測定された値を算術平均することにより、各部位における押出発泡シートの幅方向における長さを5mm単位で算出した。
実施例4
ノルマルブタンの配合量を1.0mol/kg、ジメチルエーテルの配合量を2.3mol/kg、発泡性樹脂溶融物の吐出量を74kg/hr、引取速度を48m/minとした以外は、実施例1と同様に押出発泡シートを製造し、更に押出発泡シートを巻きとり、ロール状物を得た。得られた押出発泡シートの平均厚みは0.83mm、坪量は26g/m、見掛け密度は31kg/m、独立気泡率は42%であった。
比較例5
ジメチルエーテルを使用せず、ノルマルブタンを混合ブタンに変更し、混合ブタンの配合量を3.33mol/kgとした以外は、実施例4と同様に押出発泡シート及びロール状物を製造した。得られた押出発泡シートの平均厚みは0.97mm、坪量は27g/m、見掛け密度は27kg/m、独立気泡率は49%であった。
実施例4で得られた押出発泡シートの、押出直後の発泡剤の残存量の合計は0.19mol/kg、ロール状物を40℃、大気圧の条件下で、製造後から2日間養生した後の発泡剤の残存量の合計は0.080mol/kgであった。一方、比較例5で得られた押出発泡シートの、製造直後の発泡剤の残存量の合計は0.60mol/kg、得られたロール状物を40℃、大気圧の条件下で、製造後から2日間養生した後の発泡剤の残存量の合計は0.27mol/kgであった。
前記より、実施例4で得られた押出発泡シートは、比較例5で得られた押出発泡シートに対して、同等の物性を有する一方、押出発泡シートに残存する物理発泡剤の残存量が大幅に低減されていた。
また、実施例4、比較例5で得られたそれぞれのロール状物を40℃、大気圧下で、製造後から3日間養生した後の押出発泡シートの平均厚み及び幅方向における長さ(巻き外、巻き中、巻き内)を測定し、平均厚みの最大値と最小値との差(R値)と、幅方向における長さの最大値と最小値との差(R値)を求めたところ、実施例4の平均厚みのR値は0.02mm、幅方向における長さのR値は15mmであり、比較例5の平均厚みのR値は0.24mm、幅方向における長さのR値は45mmであった。
前記より、実施例4で得られたロール状物は、比較例5で得られたロール状物に対して、ロール状物の各部位における、寸法の変動が抑制されたものであった。
また、実施例5として、以下のようにして多層の押出発泡シートを製造した。
製造装置として、発泡層形成用の押出機として直径90mmの第一押出機と直径120mmの第二押出機2台の押出機が直列に接続されたタンデム押出機を使用し、樹脂層形成用の押出機として直径40mmの第三押出機を使用し、第二押出機の出口と第三押出機の出口が共押出用環状ダイに接続された装置を用いた。共押出用環状ダイは、ダイ中間部で樹脂層形成用樹脂溶融物が、筒状に流れる発泡層形成用発泡性樹脂溶融物の内側及び外側に合流積層される構造を有し、ダイ出口のリップの直径は94mmである。また、環状ダイの下流側に直径350mmのマンドレルを配置した。マンドレルとしては、筒状の発泡体を切断するカッター刃が設けられたものを用いた。
ポリエチレン系樹脂「LDPE」100重量部と、前記気泡調整剤0.05重量部とを前記第一押出機に供給し、加熱、溶融、混練して樹脂溶融物とし、次いで該樹脂溶融物に物理発泡剤(ノルマルブタンとジメチルエーテルとの混合発泡剤、ノルマルブタン:ジメチルエーテル=30mol%:70mol%)を圧入し、加熱混練し、温度を約200℃に調整して発泡層形成用発泡性樹脂溶融物とした。この際、発泡性樹脂溶融物1kgあたりの、ノルマルブタンの配合量は0.58mol/kgとし、ジメチルエーテルの配合量は1.36mol/kgとした。該発泡性樹脂溶融物を、第一押出機の下流側に連結した直径120mmの第二押出機に移送し、冷却して樹脂温度111℃の発泡性樹脂溶融物とした。
他方、ポリエチレン系樹脂「LDPE」85重量部と、高分子型帯電防止剤(三洋化成工業株式会社製「ペレクトロンLMP」)15重量部とを第三押出機の原料投入口に供給し、加熱溶融混練して樹脂溶融物とした。次いで、該樹脂溶融物に揮発性可塑剤としてノルマルブタンを圧入し、さらに混練した後、約120℃に樹脂温度を調整して樹脂層形成用樹脂溶融物を得た。この際、樹脂層形成用樹脂溶融物1kgあたりの、ノルマルブタンの配合量は2.9mol/kgとした。
前記発泡性樹脂溶融物と、前記樹脂層形成用樹脂溶融物を、共押出用環状ダイ中へ導入し、樹脂層形成用樹脂溶融物を、筒状に流れる発泡性樹脂溶融物の内側及び外側に合流積層させて環状ダイから筒状に共押出し、筒状発泡層の内外面に樹脂層が積層された筒状積層発泡体を形成した。この際、発泡性樹脂溶融物の吐出量は67.2kg/hrとし、樹脂層形成用樹脂溶融物の吐出量は12.8kg/hrとした。
この筒状積層発泡体を直径350mmの筒状拡幅装置(マンドレル)にて拡幅比3.8で拡幅しながら、引取機で引取速度52m/minで引き取り、さらに筒状積層発泡体を押出方向に沿って切り開くことにより、ポリエチレン系樹脂発泡層と、該発泡層の両面に積層接着されたポリエチレン系樹脂層とを有する、幅約1090mmの、多層のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを得た。次に、芯管(外径80mm)を使用して、得られた押出発泡シートを巻き取り、押出方向における発泡シートの長さ250m、直径約250mmのロール状物を得た。
実施例5で得られた、押出発泡シートの平均厚みは0.22mm、押出発泡シートの坪量(押出発泡シート全体の坪量)は25g/m、押出発泡シートにおける片面あたりのポリエチレン系樹脂層の坪量は2g/m、押出発泡シートの見掛け密度は114kg/m、押出発泡シートの独立気泡率は1%であった。
また、押出発泡シートの、押出直後の発泡剤の残存量の合計は0.0004mol/kgであった。
また、実施例5で得られたロール状物を40℃、大気圧下で、製造後から3日間養生した後の押出発泡シートの平均厚み及び幅方向における長さ(巻き外、巻き中、巻き内)を測定し、平均厚みの最大値と最小値との差(R値)と、幅方向における長さの最大値と最小値との差(R値)を求めたところ、平均厚みのR値は0.01mm、幅方向における長さのR値は5mmであった。
1 押出機
2 供給口
3 発泡剤注入口
4 環状ダイ
5 マンドレル
6 カッター刃
7 筒状の発泡体
8 ポリエチレン系樹脂押出発泡シート




Claims (4)

  1. ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤とを混練してなる発泡性樹脂溶融物を押出発泡することにより、坪量10g/m以上80g/m以下のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法において、
    該物理発泡剤が、ジメチルエーテルとブタンとの混合発泡剤であり、
    該ブタン中のノルマルブタンの割合が80mol%を超え、
    該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該混合発泡剤の配合量が1mol以上4mol以下であり、
    該発泡性樹脂溶融物1kgあたりの該ブタンの配合量が2mol以下であり、
    該混合発泡剤中の、ジメチルエーテルの配合割合が30mol%以上95mol%以下であり、ブタンの配合割合が5mol%以上70mol%以下である(但し、ジメチルエーテルの配合割合とブタンの配合割合との合計は100mol%である)ことを特徴とするポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
  2. 前記発泡性樹脂溶融物1kgあたりのノルマルブタンの配合量が0.10mol以上である、請求項1に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。
  3. 前記ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの平均厚みが0.1mm以上2mm以下であり、見掛け密度が25kg/m以上300kg/m以下である、請求項1又は2に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シートを製造する方法。
  4. 前記ポリエチレン系樹脂押出発泡シートの幅方向における長さが1m以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリエチレン系樹脂押出発泡シートの製造方法。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024128267A1 (ja) * 2022-12-15 2024-06-20 株式会社ジェイエスピー ポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法およびポリエチレン系樹脂発泡シート

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