JP2004352840A - 低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】少ない保管スペースの中で短期間に複数枚の押出発泡体から残留発泡剤が空気等に置換され得る低着火性押出発泡体の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の発泡体を縦置きあるいは横置きにしてエージングする。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】複数の発泡体を縦置きあるいは横置きにしてエージングする。
【選択図】 選択図なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン系樹脂押出発泡体に残留する可燃性発泡剤の、空気等の不活性ガスへの置換を容易にする低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
長尺な板状又はシート状のオレフィン系樹脂発泡体を製造する方法として、押出機中でオレフィン系樹脂と発泡剤とを溶融状態で混合した後、ダイスより低圧下に押出して発泡させる押出発泡法が広く用いられている。この押出発泡法によって得られた発泡体中には、発泡に用いた発泡剤が製造後しばらく残留している。
【0003】
近年発泡体の製造に用いる発泡剤は、地球環境にやさしいものに切替られており、例えばオゾン層破壊の少ない発泡剤としてフロンガスをやめてプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の可燃性のガスを利用している。しかし、これらの可燃性発泡剤が発泡体中に残留していると、静電気のスパーク等で着火する恐れもあり、製造業者は、発泡後の一定期間、発泡体を倉庫等に保管して、残留する可燃性発泡剤を空気と置換する操作(以下エージングという)を行う必要がある。このため、製造業者は、長期間製品を出荷出来ない状況におかれることもある。特に25mm以上の肉厚のある板状発泡体では、残留可燃性発泡剤が容易に空気と置換せず、板状発泡体を大気中に放置して完全に空気と可燃性発泡剤を置換するためには、数ヶ月あるいは、それ以上の期間を要するという問題がある。これによって保管スペース不足や保管時の安全管理や長期在庫による流通制約など多くの問題が生じている。
【0004】
これに対して、残留可燃性発泡剤を早急に放出させる試みがなされている。例えば、特表平6−507129号公報には発泡体に針を突き刺して穴を開ける方法が開示されている。この方法は発泡体を1枚で大気中に放置した場合、比較的短時間で、針で開けた孔から残留可燃性発泡剤が放出され空気との置換が促進されるが、発泡体を1枚ごとに保管するため多量の保管スペースが必要となる。複数枚の発泡体を少量の保管スペースで保管するのに、一般的に採用されている保管方法として複数枚の発泡体を厚み方向に積み重ねて保管する方法が採られるが、針で孔を開けた発泡体であっても複数枚積み重ねて保管すると、重ね合わせた面からの発泡剤の放出が阻害されるために依然として残留可燃性発泡剤の放出と空気への置換に長時間を要する問題が残されているのである。
【0005】
【特許文献1】
特表平6−507129号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少量の保管スペースであってもオレフィン系樹脂押出発泡体に残留している可燃性発泡剤を、短期間で空気に置換できる低着火性発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、特定の方法で発泡体をエージングすることによってその目的を達成しうることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)オレフィン系樹脂100質量部に対して可燃性発泡剤1〜50質量部を押出機中で溶融混練し、ダイスより低圧領域に押出発泡して得られたオレフィン系樹脂押出発泡体を、複数枚近接して縦置きでエージングすることを特徴とする低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【0008】
(2)(1)に記載のオレフィン系樹脂押出発泡体を、複数枚近接して横置きでエージングすることを特徴とする低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
(3)オレフィン系樹脂押出発泡体が、厚み25mm〜100mm、幅100mm〜1500mm、長さ500mm〜2500mmの板状発泡体であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【0009】
(4)オレフィン系樹脂押出発泡体の重ね合わせた面にかかる応力が、150N/m2以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
(5)オレフィン系樹脂押出発泡体が、針で孔を開けた発泡体であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき特に好ましい実施の形態を中心に、詳細に説明する。
本発明が従来技術と最も相違するところは、従来技術が針で穴を開けることで1枚の発泡体から可燃性発泡剤と空気の置換を促進するのに対し、本発明は、特定の条件で発泡体をエージングすることで複数の発泡体から可燃性発泡剤と空気の置換を促進することにある。
【0011】
上記従来技術と相違するところの本発明の構成要件に基づく効果は、少量の保管スペースで複数の発泡体のエージング期間を短縮することである。
本発明に用いられる発泡体の製造方法は、特に限定されず公知の方法を用いればよく、例えばオレフィン系樹脂を押出機中でオレフィン系樹脂の融点以上の温度で溶融し、更に発泡剤を高温、高圧下で混合、溶解して発泡性樹脂組成物とし、発泡適正温度に調節した後、低圧雰囲気下にダイを通して押出発泡することによって得られる。更に本発明の効果を損ねない範囲で気泡調整剤、収縮防止剤等を加えても良い。
【0012】
本発明に用いられるオレフィン系樹脂は、公知のオレフィン系樹脂を用いることができる。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−ブテン−プロピレンランダム共重合体等が挙げられ、これらのうち少なくとも1種類を樹脂中に含むものである。発泡性に優れ、大きな断面の発泡体が得られるという点で低密度ポリエチレンが、もっとも好ましい。オレフィン系樹脂に、他種類樹脂を配合しても支障ないが、その場合でもオレフィン系樹脂は全樹脂量の50質量%以上が好ましい。オレフィン系樹脂と配合する他種類樹脂はオレフィン系樹脂と配合できるものならどんな樹脂でも良い。それらの配合量は樹脂全体の50質量%未満が好ましい。スチレン系樹脂を配合する場合には、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等を用いることができる。また更にスチレン系樹脂を配合する場合には相溶性を上げるために水素添化されたスチレン−ブタジエンブロック共重合体をスチレン系樹脂の添加量に対して40質量%以下混合するのが好ましく、20質量%以下であればより好ましい。
【0013】
本発明における可燃性発泡剤は、主として一般に公知の可燃性発泡剤であるが、不燃性発泡剤を混合しても良い。可燃性発泡剤としては、例えばプロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素などや、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素や、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。また不燃性の発泡剤としては、例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、テトラフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、炭酸ガス、窒素、ヘリウム、アルゴン等の無機ガスが挙げられる。これらの発泡剤は、単体で用いても良く、2種以上の発泡剤を混合して用いても良い。発泡剤に脂肪族炭化水素を主として用いるのが、大きな断面の発泡体が得られるという点で好ましい。
【0014】
次に本発明のエージング方法について説明する。発泡体を複数枚厚み方向に重ねてエージングする場合、発泡体の重ね合わせた方向に放出された可燃性発泡剤は、発泡体を重ね合わせた隙間を通って大気中に放出されるが、発泡体の重ね合わせた面にかかる応力が大きくなると、重ね合わせた隙間からの可燃性発泡剤の放出が阻害されエージング期間が長期化する。特に発泡体の厚みが25mm以上の板状発泡体を5枚以上積み重ねた場合には、エージング期間の長期化が顕著となる。エージング時間を短縮するためには、発泡体の重ね合わせた面にかかる応力を150N/m2以下に低減するのが好ましい。より好ましくは50N/m2以下である。
【0015】
本発明の目的を達成するエージングの好ましい手段としては、たとえば複数枚の発泡体を厚み方向に重ね合わせた後、重ね合わせた面が重力方向と概ね平行になるように発泡体をたてる方法が挙げられる。この方法によって発泡体の重ね合わせた面にかかる応力が大きく軽減されエージング期間が短縮される。
オレフィン系樹脂押出発泡体の形状が、厚み25mm〜100mm、幅100mm〜1500mm、長さ500mm〜2500mmの板状発泡体であると、発泡体を立ててエージングした際のエージング期間短縮効果が大きい。
【0016】
直方体の発泡体をたてる際には、最も面積が小さい面を下にしてたてる立て方(縦置き)と2番目に面積が小さい面を下にしてたてる立て方(横置き)が挙げられるが、どちらの手段を用いても良い。更に好ましくは、重ね合わせた隙間に空気の吹き込みを行うと重ね合わせた隙間からの可燃性ガスの放出が促進され、エージング時間が短縮される。
オレフィン系樹脂押出発泡体に針で穴を開けて縦置き、又は横置きでエージングする事で、1枚の発泡体からの可燃性ガスの放出促進と、重ね合わせた隙間からの可燃性ガスの放出促進との両方の効果が得られるのでより好ましい。
【0017】
【実施例】
実施例及び比較例によって本発明を説明する。
なお実施例及び比較例で用いた評価の方法を以下にまとめて示す。
(1)発泡体密度(JIS K 6767準拠法)
発泡体の幅方向に5等分した各位置から全厚み方向に切り出した物(サンプルサイズ20mm×20mm×厚み25mm)について質量及び体積を測定し、次式により密度を測定して、5点の密度の平均値を発泡体密度とする。
発泡体密度(g/cm3)=発泡体質量(g)/発泡体体積(cm3)
【0018】
(2)重ねた面にかかる応力
重ねた面に垂直な方向にかかる総荷重および重ねた面の面積を測定し、次式により応力を求める。
応力(N/m2)=垂直方向総荷重(kg)×9.8(m/s2)/重ねた面の面積(m2)
(3)独立気泡率(ASTM−D−2856準拠法)
発泡体の幅方向に5等分した各位置から20mm×20mm×厚み25mmの大きさにサンプルを切り出し、エアーピクノメーターを使用して連続気泡部を除いた独立気泡部分の体積を測定して次式により独立気泡率を求め、5点の独立気泡率の平均値を発泡体の独立気泡率とする。
独立気泡率(%)=独立気泡部体積(cm3)/発泡体見かけの体積(=10cm3)×100
【0019】
(4)発泡体内ガス濃度
発泡体中央部から全厚み方向に発泡体を切り出しガラスボトルに密封した後オーブンにて加熱溶融して、発泡体内部のガスを放出させた物をガスクロマトグラフィーにてガス濃度を測定した値から、発泡体内ガス濃度を算出した結果によって以下の評価を行った。
○:可燃性ガスの濃度が測定装置の検出限界(10ppm)以下である。
△:可燃性ガスが検出されるが検出されたガスの燃焼下限界以下である。
×:可燃性ガスの燃焼下限界以上のガスが検出された。
(5)ガス置換所要日数
上記(4)の方法で測定した発泡体内可燃性ガスの濃度が、その可燃性ガスの燃焼下限以下になるのに40℃雰囲気下でエージングに要した日数。
【0020】
【実施例1】
オレフィン系樹脂として、低密度ポリエチレン(密度0.93g/cm3 MI=3.0)を用い、樹脂100質量部あたり、i−ブタン50質量部、n−ブタン50質量部からなる発泡剤7質量部と、気泡調整剤として、タルク(富士タルク工業株式会社製:商品名「LMK−100」)を1質量部と収縮防止剤として、脂肪酸モノグリセライド(丸菱油化工業株式会社製:商品名「デノン2366」)を0.5質量部添加して押出機内で溶融混練した後、混練物の温度110℃にて押出用ダイス(開口部の平均厚み約3.4mm幅約215mm)を通して800kg/時間の吐出速度で押出発泡した。得られた発泡体を一定の寸法となるように裁断し、厚み50mm幅400mm長さ2000mmの板状発泡体を得た。得られた板状発泡体40枚を縦置きにして40℃の温度で20日間エージングを行い、評価をした。
結果を表1に示す。
【0021】
【実施例2】
実施例1と同様の方法で得られた板状発泡体40枚を横置きにして40℃の温度で20日間エージングを行い、評価した。
結果を表1に示す。
【0022】
【実施例3】
実施例1と同様の方法で得られた板状発泡体を直径3mmの針を使用し、13mm間隔で発泡体の厚み方向に貫通する穴を開けた。その後40枚を横置きにして40℃の温度で20日間エージングを行い、評価した。
結果を表1に示す。
【0023】
【比較例1】
実施例1と同様の方法で得られた板状発泡体を、発泡体の面積が最も大きい面が下になる様にして40枚を重ねて40℃の温度で20日間エージングを行い、評価した。
結果を表1に示す。
【0024】
【比較例2】
実施例1と同様の方法で得られた板状発泡体を、直径3mmの針を使用し、13mm間隔で発泡体の厚み方向に貫通する穴を開けた。その後発泡体の面積が最も大きい面が下になる様にして40枚を重ねて、40℃の温度で20日間エージングを行い、評価した。
結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の発泡体を重ねて保管する際、特定の方法で重ね合わせることにより少ない保管スペースであっても、オレフィン系樹脂押出発泡体に残留している可燃性発泡剤を空気等に短期間で置換する事が出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン系樹脂押出発泡体に残留する可燃性発泡剤の、空気等の不活性ガスへの置換を容易にする低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
長尺な板状又はシート状のオレフィン系樹脂発泡体を製造する方法として、押出機中でオレフィン系樹脂と発泡剤とを溶融状態で混合した後、ダイスより低圧下に押出して発泡させる押出発泡法が広く用いられている。この押出発泡法によって得られた発泡体中には、発泡に用いた発泡剤が製造後しばらく残留している。
【0003】
近年発泡体の製造に用いる発泡剤は、地球環境にやさしいものに切替られており、例えばオゾン層破壊の少ない発泡剤としてフロンガスをやめてプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の可燃性のガスを利用している。しかし、これらの可燃性発泡剤が発泡体中に残留していると、静電気のスパーク等で着火する恐れもあり、製造業者は、発泡後の一定期間、発泡体を倉庫等に保管して、残留する可燃性発泡剤を空気と置換する操作(以下エージングという)を行う必要がある。このため、製造業者は、長期間製品を出荷出来ない状況におかれることもある。特に25mm以上の肉厚のある板状発泡体では、残留可燃性発泡剤が容易に空気と置換せず、板状発泡体を大気中に放置して完全に空気と可燃性発泡剤を置換するためには、数ヶ月あるいは、それ以上の期間を要するという問題がある。これによって保管スペース不足や保管時の安全管理や長期在庫による流通制約など多くの問題が生じている。
【0004】
これに対して、残留可燃性発泡剤を早急に放出させる試みがなされている。例えば、特表平6−507129号公報には発泡体に針を突き刺して穴を開ける方法が開示されている。この方法は発泡体を1枚で大気中に放置した場合、比較的短時間で、針で開けた孔から残留可燃性発泡剤が放出され空気との置換が促進されるが、発泡体を1枚ごとに保管するため多量の保管スペースが必要となる。複数枚の発泡体を少量の保管スペースで保管するのに、一般的に採用されている保管方法として複数枚の発泡体を厚み方向に積み重ねて保管する方法が採られるが、針で孔を開けた発泡体であっても複数枚積み重ねて保管すると、重ね合わせた面からの発泡剤の放出が阻害されるために依然として残留可燃性発泡剤の放出と空気への置換に長時間を要する問題が残されているのである。
【0005】
【特許文献1】
特表平6−507129号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、少量の保管スペースであってもオレフィン系樹脂押出発泡体に残留している可燃性発泡剤を、短期間で空気に置換できる低着火性発泡体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決するため、鋭意検討を重ねた結果、特定の方法で発泡体をエージングすることによってその目的を達成しうることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)オレフィン系樹脂100質量部に対して可燃性発泡剤1〜50質量部を押出機中で溶融混練し、ダイスより低圧領域に押出発泡して得られたオレフィン系樹脂押出発泡体を、複数枚近接して縦置きでエージングすることを特徴とする低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【0008】
(2)(1)に記載のオレフィン系樹脂押出発泡体を、複数枚近接して横置きでエージングすることを特徴とする低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
(3)オレフィン系樹脂押出発泡体が、厚み25mm〜100mm、幅100mm〜1500mm、長さ500mm〜2500mmの板状発泡体であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【0009】
(4)オレフィン系樹脂押出発泡体の重ね合わせた面にかかる応力が、150N/m2以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
(5)オレフィン系樹脂押出発泡体が、針で孔を開けた発泡体であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき特に好ましい実施の形態を中心に、詳細に説明する。
本発明が従来技術と最も相違するところは、従来技術が針で穴を開けることで1枚の発泡体から可燃性発泡剤と空気の置換を促進するのに対し、本発明は、特定の条件で発泡体をエージングすることで複数の発泡体から可燃性発泡剤と空気の置換を促進することにある。
【0011】
上記従来技術と相違するところの本発明の構成要件に基づく効果は、少量の保管スペースで複数の発泡体のエージング期間を短縮することである。
本発明に用いられる発泡体の製造方法は、特に限定されず公知の方法を用いればよく、例えばオレフィン系樹脂を押出機中でオレフィン系樹脂の融点以上の温度で溶融し、更に発泡剤を高温、高圧下で混合、溶解して発泡性樹脂組成物とし、発泡適正温度に調節した後、低圧雰囲気下にダイを通して押出発泡することによって得られる。更に本発明の効果を損ねない範囲で気泡調整剤、収縮防止剤等を加えても良い。
【0012】
本発明に用いられるオレフィン系樹脂は、公知のオレフィン系樹脂を用いることができる。例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン等のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−ブテンランダム共重合体、エチレン−ブテン−プロピレンランダム共重合体等が挙げられ、これらのうち少なくとも1種類を樹脂中に含むものである。発泡性に優れ、大きな断面の発泡体が得られるという点で低密度ポリエチレンが、もっとも好ましい。オレフィン系樹脂に、他種類樹脂を配合しても支障ないが、その場合でもオレフィン系樹脂は全樹脂量の50質量%以上が好ましい。オレフィン系樹脂と配合する他種類樹脂はオレフィン系樹脂と配合できるものならどんな樹脂でも良い。それらの配合量は樹脂全体の50質量%未満が好ましい。スチレン系樹脂を配合する場合には、例えば、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン等を用いることができる。また更にスチレン系樹脂を配合する場合には相溶性を上げるために水素添化されたスチレン−ブタジエンブロック共重合体をスチレン系樹脂の添加量に対して40質量%以下混合するのが好ましく、20質量%以下であればより好ましい。
【0013】
本発明における可燃性発泡剤は、主として一般に公知の可燃性発泡剤であるが、不燃性発泡剤を混合しても良い。可燃性発泡剤としては、例えばプロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素などや、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素や、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。また不燃性の発泡剤としては、例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、テトラフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、炭酸ガス、窒素、ヘリウム、アルゴン等の無機ガスが挙げられる。これらの発泡剤は、単体で用いても良く、2種以上の発泡剤を混合して用いても良い。発泡剤に脂肪族炭化水素を主として用いるのが、大きな断面の発泡体が得られるという点で好ましい。
【0014】
次に本発明のエージング方法について説明する。発泡体を複数枚厚み方向に重ねてエージングする場合、発泡体の重ね合わせた方向に放出された可燃性発泡剤は、発泡体を重ね合わせた隙間を通って大気中に放出されるが、発泡体の重ね合わせた面にかかる応力が大きくなると、重ね合わせた隙間からの可燃性発泡剤の放出が阻害されエージング期間が長期化する。特に発泡体の厚みが25mm以上の板状発泡体を5枚以上積み重ねた場合には、エージング期間の長期化が顕著となる。エージング時間を短縮するためには、発泡体の重ね合わせた面にかかる応力を150N/m2以下に低減するのが好ましい。より好ましくは50N/m2以下である。
【0015】
本発明の目的を達成するエージングの好ましい手段としては、たとえば複数枚の発泡体を厚み方向に重ね合わせた後、重ね合わせた面が重力方向と概ね平行になるように発泡体をたてる方法が挙げられる。この方法によって発泡体の重ね合わせた面にかかる応力が大きく軽減されエージング期間が短縮される。
オレフィン系樹脂押出発泡体の形状が、厚み25mm〜100mm、幅100mm〜1500mm、長さ500mm〜2500mmの板状発泡体であると、発泡体を立ててエージングした際のエージング期間短縮効果が大きい。
【0016】
直方体の発泡体をたてる際には、最も面積が小さい面を下にしてたてる立て方(縦置き)と2番目に面積が小さい面を下にしてたてる立て方(横置き)が挙げられるが、どちらの手段を用いても良い。更に好ましくは、重ね合わせた隙間に空気の吹き込みを行うと重ね合わせた隙間からの可燃性ガスの放出が促進され、エージング時間が短縮される。
オレフィン系樹脂押出発泡体に針で穴を開けて縦置き、又は横置きでエージングする事で、1枚の発泡体からの可燃性ガスの放出促進と、重ね合わせた隙間からの可燃性ガスの放出促進との両方の効果が得られるのでより好ましい。
【0017】
【実施例】
実施例及び比較例によって本発明を説明する。
なお実施例及び比較例で用いた評価の方法を以下にまとめて示す。
(1)発泡体密度(JIS K 6767準拠法)
発泡体の幅方向に5等分した各位置から全厚み方向に切り出した物(サンプルサイズ20mm×20mm×厚み25mm)について質量及び体積を測定し、次式により密度を測定して、5点の密度の平均値を発泡体密度とする。
発泡体密度(g/cm3)=発泡体質量(g)/発泡体体積(cm3)
【0018】
(2)重ねた面にかかる応力
重ねた面に垂直な方向にかかる総荷重および重ねた面の面積を測定し、次式により応力を求める。
応力(N/m2)=垂直方向総荷重(kg)×9.8(m/s2)/重ねた面の面積(m2)
(3)独立気泡率(ASTM−D−2856準拠法)
発泡体の幅方向に5等分した各位置から20mm×20mm×厚み25mmの大きさにサンプルを切り出し、エアーピクノメーターを使用して連続気泡部を除いた独立気泡部分の体積を測定して次式により独立気泡率を求め、5点の独立気泡率の平均値を発泡体の独立気泡率とする。
独立気泡率(%)=独立気泡部体積(cm3)/発泡体見かけの体積(=10cm3)×100
【0019】
(4)発泡体内ガス濃度
発泡体中央部から全厚み方向に発泡体を切り出しガラスボトルに密封した後オーブンにて加熱溶融して、発泡体内部のガスを放出させた物をガスクロマトグラフィーにてガス濃度を測定した値から、発泡体内ガス濃度を算出した結果によって以下の評価を行った。
○:可燃性ガスの濃度が測定装置の検出限界(10ppm)以下である。
△:可燃性ガスが検出されるが検出されたガスの燃焼下限界以下である。
×:可燃性ガスの燃焼下限界以上のガスが検出された。
(5)ガス置換所要日数
上記(4)の方法で測定した発泡体内可燃性ガスの濃度が、その可燃性ガスの燃焼下限以下になるのに40℃雰囲気下でエージングに要した日数。
【0020】
【実施例1】
オレフィン系樹脂として、低密度ポリエチレン(密度0.93g/cm3 MI=3.0)を用い、樹脂100質量部あたり、i−ブタン50質量部、n−ブタン50質量部からなる発泡剤7質量部と、気泡調整剤として、タルク(富士タルク工業株式会社製:商品名「LMK−100」)を1質量部と収縮防止剤として、脂肪酸モノグリセライド(丸菱油化工業株式会社製:商品名「デノン2366」)を0.5質量部添加して押出機内で溶融混練した後、混練物の温度110℃にて押出用ダイス(開口部の平均厚み約3.4mm幅約215mm)を通して800kg/時間の吐出速度で押出発泡した。得られた発泡体を一定の寸法となるように裁断し、厚み50mm幅400mm長さ2000mmの板状発泡体を得た。得られた板状発泡体40枚を縦置きにして40℃の温度で20日間エージングを行い、評価をした。
結果を表1に示す。
【0021】
【実施例2】
実施例1と同様の方法で得られた板状発泡体40枚を横置きにして40℃の温度で20日間エージングを行い、評価した。
結果を表1に示す。
【0022】
【実施例3】
実施例1と同様の方法で得られた板状発泡体を直径3mmの針を使用し、13mm間隔で発泡体の厚み方向に貫通する穴を開けた。その後40枚を横置きにして40℃の温度で20日間エージングを行い、評価した。
結果を表1に示す。
【0023】
【比較例1】
実施例1と同様の方法で得られた板状発泡体を、発泡体の面積が最も大きい面が下になる様にして40枚を重ねて40℃の温度で20日間エージングを行い、評価した。
結果を表1に示す。
【0024】
【比較例2】
実施例1と同様の方法で得られた板状発泡体を、直径3mmの針を使用し、13mm間隔で発泡体の厚み方向に貫通する穴を開けた。その後発泡体の面積が最も大きい面が下になる様にして40枚を重ねて、40℃の温度で20日間エージングを行い、評価した。
結果を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の発泡体を重ねて保管する際、特定の方法で重ね合わせることにより少ない保管スペースであっても、オレフィン系樹脂押出発泡体に残留している可燃性発泡剤を空気等に短期間で置換する事が出来る。
Claims (5)
- オレフィン系樹脂100質量部に対して可燃性発泡剤1〜50質量部を押出機中で溶融混練し、ダイスより低圧領域に押出発泡して得られたオレフィン系樹脂押出発泡体を、複数枚近接して縦置きでエージングすることを特徴とする低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
- 請求項1に記載のオレフィン系樹脂押出発泡体を、複数枚近接して横置きでエージングすることを特徴とする低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
- オレフィン系樹脂押出発泡体が、厚み25mm〜100mm、幅100mm〜1500mm、長さ500mm〜2500mmの板状発泡体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
- オレフィン系樹脂押出発泡体の重ね合わせた面にかかる応力が、150N/m2以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
- オレフィン系樹脂押出発泡体が、針で孔を開けられた発泡体であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003151365A JP2004352840A (ja) | 2003-05-28 | 2003-05-28 | 低着火性オレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法 |
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ID=34046909
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007238779A (ja) * | 2006-03-09 | 2007-09-20 | Sekisui Plastics Co Ltd | ポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法 |
JP2012166387A (ja) * | 2011-02-10 | 2012-09-06 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 多層構造体 |
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-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003151365A patent/JP2004352840A/ja active Pending
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JP2007238779A (ja) * | 2006-03-09 | 2007-09-20 | Sekisui Plastics Co Ltd | ポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法 |
JP2012166387A (ja) * | 2011-02-10 | 2012-09-06 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 多層構造体 |
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