JP2020011495A - ポリスチレン系樹脂積層発泡シート及び容器 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、積層発泡シートの熱成形により得られた容器は、自動包装機等によりシュリンクフィルムで包装される場合がある。詳しくは、食品製造会社が食品を製造し、得られた食品を自動包装機による容器への包装(以下、単に自動包装ともいう。)を行って最終的な商品とし、この商品を小売店等に出荷する、アウトパックの販売形態が広く行われている。この自動包装を行う際、包装後のフィルムの張り状態を強くし、容器の見栄えをよくするために、容器の開口部を水平方向に一定量圧縮した状態で、容器をフィルムで包装することが行われる。しかしながら、特許文献1で開示されているような発泡シートを熱成形してなる容器を自動包装により包装すると、開口部を一定量圧縮する際の変形に容器が耐え切れず、割れてしまうことがあった。
〔1〕 ポリスチレン系樹脂発泡層と、
該発泡層の一方の面に共押出により積層接着されているポリスチレン系樹脂層Aと、
該発泡層の他方の面に積層接着されている熱可塑性樹脂フィルムBとを有するポリスチレン系樹脂積層発泡シートであり、
該ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの全体見掛け密度が0.05〜0.14g/cm3であり、全体坪量が100〜200g/m2であり、平均厚みが0.5〜3.0mmであり、
該ポリスチレン系樹脂層Aの坪量が3〜18g/m2であり、
該熱可塑性樹脂フィルムBの坪量が14g/m2以上であり、
該ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、該発泡層と該ポリスチレン系樹脂層Aとの界面から厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(AAS)が7000μm2/個以上であることを特徴とする、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
〔2〕 前記積層発泡シートにおける、前記熱可塑性樹脂フィルムBの表面から厚み方向に200μmまでの部分である、表層部Bの見掛け密度が0.20g/cm3以上であることを特徴とする、前記1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
〔3〕 前記ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、該発泡層全体の気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(AW)が20000〜60000)μm2/個であり、該断面積の平均値AWに対する、前記断面積の平均値AASの比(AAS/AW)が0.3以上0.5以下であることを特徴とする、前記1または2に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
〔4〕 前記熱可塑性樹脂フィルムBが、前記ポリスチレン系樹脂発泡層に熱ラミネーションにより積層接着されていることを特徴とする、前記1〜3のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
〔5〕 前記ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、該発泡層と前記熱可塑性樹脂フィルムBとの界面から厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(ABS)が、4000μm2/個以上7000μm2/個未満であることを特徴とする、前記1〜4のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
〔6〕 前記ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、該発泡層全体の気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(AW)が、20000〜60000μm2/個であり、該断面積の平均値AWに対する、前記断面積の平均値ABSの比(ABS/AW)が0.1以上0.3未満であることを特徴とする、前記5に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
〔7〕 前記1〜6のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形してなる容器であり、該容器の外側に前記ポリスチレン系樹脂層Aが位置することを特徴とする、容器。
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シート(以下、積層発泡シートともいう。)は、ポリスチレン系樹脂発泡層(以下、単に発泡層ともいう。)と、該発泡層の一方の面に共押出により積層接着されているポリスチレン系樹脂層A(以下、単に樹脂層Aともいう。)と、該発泡層の他方の面に積層接着されている熱可塑性樹脂フィルムB(以下、単にフィルムBともいう。)とを有するものである。
なお、本明細書におけるメルトフローレイトは、JIS K 7210(1999)の試験方法A法により測定されるメルトマスフローレイトを意味し、試験温度200℃、荷重5kgの条件を採用する。
その中でも、ポリスチレンとスチレン−共役ジエンブロック共重合体やその水添物等の熱可塑性エラストマーとの混合物や、耐衝撃性ポリスチレンを用いることが好ましい。これらの樹脂は押出温度域における溶融粘度が低く、発泡適性温度での共押出が容易となり、発泡層の樹脂層A側の表層近傍の気泡を十分に成長させることができるので、所望される気泡構造を有する発泡層を形成しやすくなる。加えて、樹脂層Aが柔軟なので、得られる積層発泡シートの樹脂層A側の表面が柔軟となる。その結果、熱成形により得られる容器の、容器水平方向における圧縮破壊時のたわみ量を大きくすることができる。
該フィルムBを構成する基材樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂を用いたフィルムが複数枚積層された多層フィルムを用いることもできる。
この問題は、次に説明するように、発泡層の表面近傍の気泡構造を調整することにより初めて解決することができた。
本発明においては、発泡層の押出方向に対して垂直な断面(TD断面)における、発泡層とポリスチレン系樹脂層Aとの界面(以下、界面Aともいう。)から厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(AAS)が、7000μm2/個以上である。該平均値(AAS)が小さすぎると、得られる容器の容器水平方向における圧縮破壊時のたわみ量が小さくなるおそれがある。
かかる観点から、該平均値(AAS)は、8000μm2/個以上であることが好ましく、より好ましくは9000μm2/個以上であり、さらに好ましくは10000μm2/個以上である。
一方、該平均値(AAS)は、概ね14000μm2/個以下であることが好ましく、より好ましくは13000μm2/個以下である。該平均値(AAS)が、この範囲内であれば、得られる容器の樹脂層A側の外観が良好になる。
同様な観点から、前記断面積の平均値AWに対する、断面積の平均値ABSの比(ABS/AW)は、0.1以上0.3未満であることが好ましく、より好ましくは0.2以上0.3未満である。
まず、積層発泡シートを発泡層の押出方向に対して垂直に切断し、積層発泡シートの発泡層の押出方向に対して垂直な断面(TD断面)を切り出す。得られたTD断面の拡大写真を撮影し、拡大写真に基づいた気泡構造(気泡膜)の線画をCADソフトを用いて作成する。線画の一例を図2に示す。なお、図2においては、樹脂層A、フィルムBは図示省略しており、図中、最も下側に位置する曲線が界面A、最も上側に位置する曲線が界面Bである。
得られた線画上に、積層発泡シートの発泡層と樹脂層Aとの界面Aに沿うように、界面Aの両端を結ぶ直線a1を引くと共に、界面Aから厚み方向に50μm離れた位置に、直線a1に平行する直線a2を引き、且つ厚み方向に平行すると共に、発泡層幅方向に所定の間隔を有する二本の直線c1、c2を引き、前記線画から四本の直線a1、a2、c1、c2で定まる枠で囲まれた部分を切り出す。切り出された部分から積層シートの厚み方向と平行する直線c1、c2と交わる気泡を除いた領域を抽出する。抽出した領域内に存在する気泡を測定対象として定める。なお、直線a1、a2と交わる気泡は測定対象とする。即ち、測定対象として定められた気泡に、該枠内より外に出ている部分がある場合、外に出ている部分も断面積測定の対象となる。
このように定められた領域における各気泡について気泡全体の断面積を測定し、さらに該気泡の数を測定する。
このようにして測定された気泡が占める断面積を、気泡の数で除することで、界面Aから厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積を算出する。上記測定を無作為に選択された積層発泡シートの20箇所以上に対して行い、各測定において算出された気泡1個あたりの断面積の算術平均値を、発泡層の押出方向に対して垂直な断面(TD断面)における、発泡層とポリスチレン系樹脂層Aとの界面Aから厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(AAS)とする。
前記平均値(AAS)の測定と同様に線画を作成し、得られた線画上に、発泡層とフィルムBとの界面Bに沿うように、界面Bの両端を結ぶ直線b1を引くと共に、界面Bから厚み方向に50μm離れた位置に、直線b1に平行する直線b2を引き、且つ厚み方向に並行すると共に所定の間隔を有する二本の直線c1、c2を引き、前記線画から四本の直線b1、b2、c1、c2で定まる枠で囲まれた部分を切り出す。切り出された部分から積層シートの厚み方向と平行する直線c1、c2と交わる気泡を除いた領域を抽出する。抽出した領域内に存在する気泡を測定対象として定める。なお、直線b1、b2と交わる気泡は測定対象とする。即ち、測定対象として定められた気泡に、該枠内より外に出ている部分がある場合、外に出ている部分も断面積測定の対象となる。
このように定められた領域における気泡全体の断面積を測定し、さらに該気泡の数を測定する。このようにして測定された気泡が占める面積を、気泡の数で除することで、界面Bから厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積を算出する。上記測定を無作為に選択された積層発泡シートの20箇所以上に対して行い、各測定において算出された気泡1個あたりの断面積の算術平均値を、発泡層の押出方向に対して垂直な断面(TD断面)における、発泡層と樹脂層Bとの界面Bから厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(ABS)とする。
前記平均値(AAS)の測定と同様に線画を作成し、得られた線画上に、厚み方向に平行すると共に所定の間隔を有する二本の直線を引き、線画から界面A、界面B、二本の直線で定まる枠で囲まれた部分を切り出す。切り出された部分から積層シートの厚み方向と平行する直線と交わる気泡を除いた領域を抽出する。抽出した領域における、全気泡が占める断面積と、気泡の数を測定し、全気泡が占める面積を気泡の数で除することで、発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、気泡1個あたりの断面積を算出する。
上記測定を無作為に選択された積層発泡シートの10箇所以上に対して行い、各測定において算出された気泡1個あたりの断面積の算術平均値を、平均値(AW)とする。
本発明の積層発泡シートにおいては、前記フィルムBの表面から厚み方向に200μmまでの部分である表層部Bの見掛け密度が、0.20g/cm3以上であることが好ましく、より好ましくは0.22g/cm3以上である。表層部Bの見掛け密度を前記範囲とすることで、得られる容器の容器水平方向における圧縮強度をより高めることができる。
なお、軽量性や熱成形性の観点から、上記表層部Bの見掛け密度は、概ね0.32g/cm3未満であることが好ましく、より好ましくは0.30g/cm3以下である。
積層発泡シートを、フィルムBの表面から厚み方向に200μmまでスライスし、所定寸法の試験片を切り出すと共に、該試験片の重量を測定する。試験片の重量を試験片の体積で割算し、単位換算することで表層密度を求める。
積層発泡シートから所定寸法(例えば、800mm×100mm)の試験片を切り出して該試験片の重量を測定し、試験片の重量を試験片の寸法から求めた面積で割算し、単位換算することにより求める。
樹脂層Aの坪量は、積層発泡シートの全体坪量と、押出時の発泡層と樹脂層Aとの吐出量の比とから求めることができる。
フィルムBの坪量は、積層発泡シートのからフィルムBを切り分けて該フィルムBの重量を測定し、フィルムBの重量をフィルムBの寸法から求めた面積で割算することにより求めることができる。
まず、積層発泡シートから、押出方向と直交する幅方向(TD)の長さで、押出方向(MD)の長さが所定寸法(例えば、100mm)の帯状体を切り出し、さらに帯状体の長手方向の両端部を切除し、積層発泡シートの幅方向中央部の部分を試験片として切り出す。
この試験片をさらに幅方向に10等分し、切り出した試験片それぞれの中央付近の厚みをマイクロメータにより測定し、各試験片における厚みを算術平均した値を積層発泡シートの平均厚みとする。
本発明の積層発泡シートは、例えば、次のようにして得ることができる。
発泡層形成用押出機の出口に共押出用ダイが取り付けられ、その共押出用ダイに樹脂層A形成用押出機が連結された装置を用いて、共押出発泡法により、発泡層に樹脂層Aが積層された発泡シートを製造し、得られた発泡シートのフィルムAが積層された面とは反対側の面に、熱ラミネーション等によりフィルムBを積層接着することで、本発明の積層発泡シートを得ることができる。
発泡シートの片面に樹脂層Aを積層接着することにより、このような気泡構造を形成し、さらに他方の面に熱可塑性フィルムBを積層することにより、強度を向上させた積層発泡シートとすることができる。ここに本発明の特徴がある。該積層発泡シートを熱成形して得られる容器は、適度なコシ強度を有すると共に、容器水平方向における圧縮破壊時(座屈時)のたわみ量が大きい容器である。
まず、発泡層形成用押出機に発泡層形成用のポリスチレン系樹脂と、必要に応じて気泡調整剤等の添加剤を供給して加熱、溶融、混練した後、物理発泡剤を圧入して更に混練し、発泡適正温度に調整して発泡層形成用樹脂溶融物とする。
その一方で、樹脂層A形成用押出機に樹脂層A形成用のポリスチレン系樹脂を供給して加熱、溶融、混練した後、必要に応じて揮発性可塑剤を圧入して更に混練し、押出適正温度に調整して樹脂層A形成用樹脂溶融物とする。
次に、発泡層形成用樹脂溶融物と樹脂層A形成用樹脂溶融物とを、共押出用環状ダイに導入し、発泡層形成用樹脂溶融物に樹脂層A形成用樹脂溶融物を積層した後、該ダイから大気中に筒状に共押出して発泡層形成用樹脂溶融物を発泡させる。この筒状積層発泡体を筒状の冷却装置(以下、マンドレルともいう。)に沿わせて引取りながら冷却しつつ、切り開いてシート状にすることで、発泡層の片面に樹脂層Aが積層接着された積層発泡シートを得ることができる。
気泡調整剤の添加量は、基材樹脂100重量部当たり概ね0.01〜3重量部であることが好ましく、より好ましくは0.03〜1重量部である。
揮発性可塑剤は、樹脂層A形成用のポリスチレン系樹脂100重量部に対して概ね2〜10重量部添加することが好ましい。
フィルムBを積層接着する方法としては、例えば、加熱したロール等により発泡シートとフィルムBとを熱融着させる熱ラミネーション方式、発泡シートに溶融樹脂を介してフィルムBを積層接着する押出ラミネーション方式、また、フィルムBの片面に接着剤をコーティングして発泡シートに積層接着する方式が挙げられる。これらのなかでも、坪量の小さいフィルムBを積層でき、積層発泡シートの全体坪量を小さくできる観点から、熱ラミネーション方式を用いることが好ましい。
本発明の容器は、前記積層発泡シートを従来公知の成形方法によって成形することにより得ることができる。成形方法としては、真空成形、圧空成形や、これらの応用として、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースロード成形等やこれらを組合せた方法等が採用される。
まず、発泡容器の、フランジ部や特殊形状の部分以外の平坦な部分から所定寸法の試験片を切り出す。次に、試験片の質量と厚みを測定する。次に、その質量を試験片の面積で除し、単位換算して試験片の坪量を求める。次に、試験片の坪量を試験片の厚みで除し、単位換算することで容器の見掛け密度を求めることができる。
なお、容器を二等分する際には、切断された二つの容器の重量が同等になるように容器を切断するものとする。
まず、容器を、切断して二等分する。
次に、切断した容器の一方の切断面の拡大写真を、無作為に10箇所以上撮影する。前記のようにして撮影した各拡大写真から樹脂層AあるいはフィルムBの厚みを測定し、これらの算術平均値を容器の樹脂層AあるいはフィルムBの平均厚みとする。なお、前記測定は、容器のなるべく平坦な部分に対して行うものとする。また、容器を二等分する際には、切断された二つの容器の重量が同等になるように容器を切断するものとする。
かかる観点から、該平均値(AAS)は、8000μm2/個以上であることが好ましく、より好ましくは9000μm2/個以上であり、さらに好ましくは10000μm2/個以上である。
一方、該平均値(AAS)は、概ね15000μm2/個以下であることが好ましく、より好ましくは14000μm2/個以下であり、さらに好ましくは13000μm2/個以下である。該平均値(AAS)がこの範囲内であれば、容器の樹脂層A側の外観を良好にすることができる。
なお、容器における各断面積の平均値(AAS)、(ABS)、(AW)の測定箇所は、次のように定める。容器を、切断して二等分し、切り分けた容器の一方の切断面に沿って、一方の縁部から他方の縁部に向かって、等間隔に20箇所測定を行うこととする。また、容器を二等分する際には、切断された二つの容器の重量が同等になるように容器を切断するものとする。
樹脂層Aが容器外側に位置していると、前記容器水平方向における圧縮強度(座屈強度)が高く、圧縮破壊時(座屈時)のたわみ量が大きいという効果をより顕著に発現させることができる。この理由としては、以下のようなことが考えられる。
(1)「PSジャパン」製ポリスチレン「GX154」(MFR:1.5g/10min)
(1)略称「PS1」:PSジャパン(株)製ポリスチレン「679」(MFR:18g/10min)
(2)略称「PS2」:PSジャパン(株)製耐衝撃性ポリスチレン「408」(MFR:7g/10min)
(3)略称「PS3」:旭化成ケミカルズ(株)製スチレン・ブタジエンブロック共重合体「フレックス835」(MFR:5g/10min)
前記MFRは、JIS K7210−1999に基づき、条件H(200℃、荷重5kg)で測定された値である。
前記発泡層形成用のポリスチレン系樹脂と、該ポリスチレン系樹脂100重量部に対して1.2重量部の気泡調整剤マスターバッチとを第一押出機の原料投入口に供給し、加熱、溶融、混練し、約200℃の樹脂溶融物とした。次に、該樹脂溶融物に、4.7重量部の混合ブタンを圧入し、次いで前記第一押出機の下流側に連結された第二押出機に樹脂溶融物を移送した。次に、押出樹脂温度を148℃に調節して発泡層形成用樹脂溶融物とし、該発泡層形成用樹脂溶融物を吐出量328kg/hrで前記の共押出用環状ダイに導入した。
なお、実施例5においては、得られた積層発泡シートの樹脂層A側に、さらに坪量21g/m2のポリスチレンフィルムを熱ラミネーションにより積層接着した。
樹脂層Aを積層しないこと以外は、実施例1と同様にして、発泡層(単層の発泡シート)を押出した。得られた発泡シートを25℃の温度で30日間養生した後、得られた発泡シートのマンドレル面に沿って引取られた面に、表2に示す坪量のポリスチレン系樹脂フィルムBを熱ラミネーションにより積層接着して積層発泡シートを得た。次に、得られた積層発泡シートのフィルムBが積層接着されている面とは反対側の面に、表2に示す坪量の無延伸ポリスチレン系樹脂フィルム(CPSフィルム:樹脂層Aに相当)を熱ラミネーションにより積層接着して、両面にフィルムが積層された積層発泡シートを得た。
なお、熱ラミネーションは、実施例1におけるポリスチレンフィルムの熱ラミネーションの条件と同様にして行った。
樹脂層Aを積層しないこと以外は実施例1と同様にして、発泡層(単層の発泡シート)を押出した。得られた発泡シートを25℃の温度で30日間養生した後、得られた発泡シートのマンドレル面に沿って引取られた面に、表3に示す坪量の無延伸ポリスチレン系樹脂フィルムBを熱ラミネーションにより積層接着して、フィルムBのみが積層接着された積層発泡シートを得た。
樹脂層Aの坪量を20g/m2にした以外は実施例1と同様にして、樹脂層Aが積層接着された積層発泡シートを押出した。得られた発泡シートを25℃の温度で30日間養生した後、発泡シートの樹脂層Aが積層接着されている面とは反対側の面に、表3に示す坪量の無延伸ポリスチレン系樹脂フィルムBを熱ラミネーションにより積層接着して、フィルムBのみが積層接着された積層発泡シートを得た。
フィルムBを積層しないこと以外は実施例1と同様にして、樹脂層Aのみが積層接着された積層発泡シートを得た。
なお、比較例3においては、樹脂層A側の表面状態が悪く、外観が良好な積層発泡シートを得ることができなかった。また、比較例3においては、フィルムBを熱ラミネーションに積層した際に、樹脂層A側の発泡層がつぶれ、気泡構造が悪化した。そのため、比較例3の積層発泡シートでは、外観が良好な容器が得られなかった。
まず、積層発泡シートから、押出方向と直交する幅方向(TD)の長さで、押出方向(MD)の長さが100mmの帯状体を切り出し、さらに帯状体の長手方向の両端部を25mmずつ切除し、積層発泡シートの幅方向中央部800mmの部分を試験片として切り出した。
この試験片をさらに幅方向に10等分し、切り出した試験片それぞれの中央付近の厚みをマイクロメータにより測定した。各試験片における厚みを算術平均した値を積層発泡シートの厚みとした。
前記厚みの測定において、切り出した試験片の質量を測定し、その質量を試験片の面積(具体的には、800mm×100mm)で除し、g/m2に単位換算して求めた。
積層発泡シートのフィルムBの表面(比較例4においては、樹脂層Aとは反対側の発泡シートの表面)から厚み方向に200μmまでの部分をスライスし、長さ(シートの押出方向)20mm×幅(シートの幅方向)5mmの試験片に切り揃え、得られた試験片の質量を測定し、厚みをゲージにより測定した。試験片の質量を試験片の体積(幅×長さ×厚み)で除し、単位換算して試験片の見掛け密度を求めた。上記測定を、積層発泡シートの幅方向にわたって等間隔に10箇所に対して行い、それらの算術平均値を、表層部Bの見掛け密度とした。
なお、TD断面の拡大写真(倍率:100〜200倍)は、キーエンス製「VHX-6000(レンズ:VH-Z20R)」を用いて撮影し、「CADソフト:JwCAD」を用いて拡大写真に基づいた気泡構造(気泡膜)の線画を作成した。線画の例として、実施例1で得られた積層発泡シートについて作成した線画を図2に、比較例1で得られた積層発泡シートについて作成した線画を図3に示す。なお、図2、3においては、樹脂層A、フィルムBを図示省略している。
次に、該線画上に界面Aに沿うように、界面Aの両端を結ぶ直線a1を引き、さらに界面Aから厚み方向に50μm離れた位置に、直線a1に平行する直線a2を引き、さらに厚み方向に平行すると共に、実寸で2.0mmの間隔を有する二本の直線c1、c2を引き、線画から四本の直線a1、a2、c1、c2で定まる枠で囲まれた部分を切り出し、前記したように測定対象を特定し、さらに前記したように気泡が占める断面積と気泡の数を測定し、該断面積を該気泡の数で除し、界面Aから厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積を算出した。さらに、前記したように、
この測定を無作為に選択された積層発泡シートの20箇所に対して行い、得られた各測定値の算術平均値を、平均値(AAS)とした。
なお、比較例2においては、発泡層のフィルムBが積層された面とは反対側の面の表面(界面Aに相当)から厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡について、同様な方法で測定対象を定めた。
なお、線画における発泡シートの幅方向の長さは、実寸で2.0mmとなるようにした。
図1に示すように、容器1を上側ジグ2と下側ジグ3とで初期荷重0.2Nとなるように挟み、容器水平方向(容器の高さ方向に対して垂直な方向)に圧縮できるように、容器を測定装置に取り付けた。初期荷重0.2N、圧縮速度500mm/minで容器を容器水平方向に圧縮し、容器が座屈するまでの圧縮による変位に対する容器の圧縮強度の変化を測定した。この測定において、容器が座屈した時点での変位を圧縮破壊時のたわみ量、容器が座屈した時点での強度を圧縮強度とした。また、変位が10mmとなった時点での容器の圧縮強度を10mm圧縮強度とした。
なお、上記測定においては、容器を構成する積層発泡シートの押出方向に対して、容器を圧縮する方向が垂直になるようにして容器を取り付けた。また、上記測定はN=5で行い、これらの算術平均値を採用した。
10mm圧縮強度:5.5N以上
容器水平方向における圧縮強度:16N以上
容器水平方向における圧縮破壊時のたわみ量:30mm以上
なお、10mm圧縮強度が5.5N以上であると、コシ強度に優れた容器となる。
2 上側ジグ
3 下側ジグ
Claims (7)
- ポリスチレン系樹脂発泡層と、
該発泡層の一方の面に共押出により積層接着されているポリスチレン系樹脂層Aと、
該発泡層の他方の面に積層接着されている熱可塑性樹脂フィルムBとを有するポリスチレン系樹脂積層発泡シートであり、
該ポリスチレン系樹脂積層発泡シートの全体見掛け密度が0.05〜0.14g/cm3であり、全体坪量が100〜200g/m2であり、平均厚みが0.5〜3.0mmであり、
該ポリスチレン系樹脂層Aの坪量が3〜18g/m2であり、
該熱可塑性樹脂フィルムBの坪量が14g/m2以上であり、
該ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、該発泡層と該ポリスチレン系樹脂層Aとの界面から厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(AAS)が7000μm2/個以上であることを特徴とする、ポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- 前記積層発泡シートにおける、前記熱可塑性樹脂フィルムBの表面から厚み方向に200μmまでの部分である、表層部Bの見掛け密度が0.20g/cm3以上であることを特徴とする、請求項1に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- 前記ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、該発泡層全体の気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(AW)が20000〜60000μm2/個であり、該断面積の平均値AWに対する、前記断面積の平均値AASの比(AAS/AW)が0.3以上0.5以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- 前記熱可塑性樹脂フィルムBが、前記ポリスチレン系樹脂発泡層に熱ラミネーションにより積層接着されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- 前記ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、該発泡層と前記熱可塑性樹脂フィルムBとの界面から厚み方向に50μmまでの部分に存在する気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(ABS)が4000μm2/個以上7000μm2/個未満であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- 前記ポリスチレン系樹脂発泡層の押出方向に対して垂直な断面における、該発泡層全体の気泡についての気泡1個あたりの断面積の平均値(AW)が20000〜60000μm2/個であり、該断面積の平均値AWに対する、前記断面積の平均値ABSの比(ABS/AW)が0.1以上0.3未満であることを特徴とする、請求項5に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリスチレン系樹脂積層発泡シートを熱成形してなる容器であり、該容器の外側に前記ポリスチレン系樹脂層Aが位置することを特徴とする、容器。
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