JP4837296B2 - 電池パック - Google Patents

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Description

本発明は、電池の一端に充放電保護回路を有する回路基板を配置し、この回路基板を収容した端部ケースを電池と一体結合してなる電池パックに関するものである。
電池と充放電保護回路を有する回路基板とを組み合わせて一体化した電池パックにおいては、コンパクトな構成であること、接続抵抗が小さくかつ接続部の信頼性が高いこと、製造工程の生産性が高いことなどが要請される。
従来の電池パックは、ケース内に電池と保護素子や回路基板を収容配置した構成とされている。具体例としては、端子窓を有するケース内に電池を収容し、電池とケースとの間に設けたスペースに保護素子や回路基板を配置し、電池と回路基板を接続するリード板を端子窓に対向する位置に配置して外部端子としたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、電池の一端面外周に凸条を形成して内側に凹部を設け、下部に電池一端面の凹部に嵌合する嵌着凸部を有する端子ホルダーを設け、端子ホルダーには保護素子を内蔵させるとともに上面に端子板を固定し、端子ホルダーを電池に粘着テープや熱収縮フィルムなどで連結し、その後端子板と電池ケースに引き出し用のリード板を溶着した後、ケースに収納し、あるいは熱収縮チューブ等で被覆して電池パックとしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、従来、回路基板をホルダーにて電池に仮保持した状態でリード板にて電池と回路基板を機械的及び電気的に連結していたのに対して、電池の封口板に連結凸部を設け、この連結凸部を回路基板に連結し、連結凸部にて電池と回路基板を機械的及び電気的に連結したものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、電池の一部又は全体をインサート成形することで、外部接続端子を外部に表出するとともに保護素子を内蔵固定した樹脂成形部を電池の一端部に一体成形したものも知られている(例えば、特許文献4参照)。
特許第3244400号明細書 特開2000−243362号公報 特開2002−298809号公報 特開2004−95329号公報
ところが、特許文献1の構成では、ケースと電池の間に保護素子や回路基板を配置するスペースを設けているので、ケースの外形が大きくなり、また回路基板や保護素子が動くと振動により故障する恐れがあるが、回路基板や保護素子を動かないように電池やケースに固定するのが困難で、高い信頼性を確保できないという問題があり、またリード板で接続しているので接続抵抗が大きくなるという問題がある。
また、特許文献2では、保護素子が端子ホルダーを介して電池に固定的に装着されているが、この電池とホルダーの組立体にリード板を溶着し、ケースに収納して電池パックを構成しており、外形が大きくなるとともに、接続抵抗が大きくなり、組立工数も多くなって高い生産性を確保するのが困難であるという問題がある。
また、特許文献3では、電池の封口板に連結凸部を有する特殊な封口板を用いて回路基板を固定することで、リード板を用いない接続構成にて接続抵抗を小さくでき、また組立工数を低減できる構成となっているが、これら回路基板及び電池をケース内に収納して電池パックとする構成であり、その分外形が大きくなるという問題がある。
また、特許文献4では、電池と保護素子及び出力端子をインサート成形することで、保護素子及び出力端子を樹脂成形部に固定しているので、部品点数を少なくかつコンパクトに構成できるが、インサート成形は設備コストがかかり、かつ高い寸法精度や生産性を確保するのが困難であるという問題がある。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、コンパクトで、接続抵抗が小さく、信頼性が高く、生産性の高い電池パックを提供することにある。
本発明の電池パックは、電池と、充放電安全回路を有し電池の一端面上に配置される回路基板と、外部接続端子を装着された端部ケースとを備えた電池パックであって、回路基板を端部ケースの内部に収容配置し、端部ケースの両端部に頭部が係合して貫通する頭付きの結合ピンの先端を電池の一端面の両端部に固着したものである。
この構成によると、電池の一端に端部ケースを固着した構成であるため、コンパクトな構成とすることができ、また電池と端部ケース内の回路基板と外部接続端子との間の接続経路を短かくできて接続抵抗を小さくでき、また結合ピン先端を電池に固着するという簡単な工程で電池と端部ケースを一体的に結合固定できるので、高い信頼性と生産性を両立した電池パックを実現することができる。
また、電池の一端面の少なくとも結合ピン先端を固着する部位に、結合ピンと同系の材質の部材を設けると、同系材質同士の固着となるので、十分な強度を有する信頼性の高い固着状態を容易に確保することができる。例えば、電池の一端面は電池ケースと同じアルミニウム又はアルミニウム合金から成り、結合ピンは微小でありながら十分な強度を確保するために鉄系材料から成る場合に、それらを抵抗溶接にて固着すると固着強度を高い信頼性をもって確保するのが困難な場合があるが、電池の一端面の結合ピン先端を固着する部位を同系材質とすることで、容易に信頼性の高い固着状態を確保することができる。
また、電池の一端面の結合ピン先端に対向する部位を結合ピンと同系材質とする方法としては、電池の一端面をアルミニウム又はアルミニウム合金と鋼板を一体的に貼り合わせたクラッド板などの複合材を用いて構成したり、電池の一端面を構成する部材に結合ピンと同系材質の部材をレーザ溶接や電子ビーム溶接などで予め固着する方法などがあるが、結合ピンと同系材質から成るねじを螺合固定すると、より簡易に実施することができて好適である。
また、電池は、電池ケースが一方の極性の電極端子であり、一端面に電池ケースと異なる極性の電極端子を有し、電池ケースの一端面に立ち上がり部を有する第1の接続ブラケットを固着し、端部ケースの一側壁の内側に第1の接続ブラケットの立ち上がり部に重なるとともに一部が回路基板に接続された接続板を配置し、端部ケースの一側壁の立ち上がり部に対向する部分に形成した作業開口を通して立ち上がり部と接続板を溶接した構成とすると、接続経路が短く接続抵抗を小さくすることができるとともに、作業性良く接続できて高い生産性を確保することができる。
また、電池は、電池ケースが一方の極性の電極端子であり、一端面に電池ケースと異なる極性の電極端子を有し、電池ケースの一端面の電極端子に安全保護素子の一端を接続し、安全保護素子の他端を回路基板に接続した構成とすると、温度ヒューズやPTCなどの安全保護素子を電極端子の側部の空間を利用して電池の一端面に当接又は近接配置して電極端子と回路基板の間に介装することができ、電池の異常温度上昇時に電流を遮断することができ、コンパクトな構成にて安全性を向上することができる。
また、安全保護素子の他端と回路基板に、相互に重なり合う立ち上がり部を有する第2と第3の接続ブラケットを固着し、端部ケースに開口された作業孔を通して第2と第3の接続ブラケットの立ち上がり部を溶接すると、回路基板と安全保護素子を第2と第3の接続ブラケットを介することで端部ケースの作業孔を通した溶接にて生産性良く接続することができる。
また、端部ケースに装着された外部接続端子が、接続相手の接続端子を挿脱して接続・遮断するものであると、電池配置空間に電池パックを収納して設置するようにした携帯電子機器などにおいて、平面状の外部接続端子に相手方の電極端子を当接させるようにしたものに比して、電源供給の安定性が格段に向上し、振動や衝撃を受けるような環境下においても信頼性の高い電源供給を実現でき、かつこの種の外部接続端子であっても端部ケースに容易かつコンパクトに装着することができる。
本発明の電池パックによれば、電池の一端に端部ケースを固着した構成であるため、コンパクトな構成とすることができ、また電池と端部ケース内の回路基板と外部接続端子との間の接続経路を短かくできて接続抵抗を小さくでき、またリベット先端を電池に固着するという簡単な工程で電池と端部ケースを一体的に結合固定できるので、高い信頼性と生産性を両立した電池パックを実現することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の電池パックの第1の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。
図1において、1は横断面形状が扁平な長方形、若しくは隅丸長方形ないし長円形の角形の電池である。電池1はリチウムイオン電池から成り、電池ケース2の内部に発電要素としての極板群と電解液が収容されている。極板群は、帯状の正極板と負極板の間にセパレータを介装した状態で巻回することで多層に積層して構成されている。正極板はアルミニウム箔から成る芯材に正極合剤を塗着・乾燥して構成され、負極板は銅箔から成る芯材に負極合剤を塗着・乾燥して構成され、セパレータは微多孔性ポリプロピレンフィルムなどにて構成されている。
電池1(若しくは電池ケース2)の一端面3の中央部には電極端子4が突出して配設されている。電極端子4は電池ケース2の一端面3を絶縁状態で密封貫通し、電池1の負極の電極端子を構成している。電池1の正極の電極端子は、電池ケース2にて構成されている。
5は、電池ケース2の一端面3上に配置される回路基板であり、充放電安全回路が設けられている。6は、回路基板5を内部に収容した状態で電池ケース2の一端面3上に固定される端部ケースである。端部ケース6には、3つの外部接続端子7が内蔵された状態で装着されている。これら外部接続端子7は、接続相手の接続端子を挿脱して接続・遮断するものであり、端部ケース6の一端側に適当間隔おきにかつ一側角部の上面と側面にわたって開口された3つの接続窓8に臨むように配設されている。また、各外部接続端子7は一対の接続脚7aが下方に突出形成され、回路基板5にはこれら接続脚7aを挿入貫通させて半田付けする接続穴9が設けられている。3つの外部接続端子7の内、2つは正極と負極の外部接続端子、残りの1つは識別抵抗検出用の接続端子である。
電池パック10は、主として以上の電池1と、回路基板5を収納配置した端部ケース6とを相互に一体固定することで構成されている。そのため、図1、図2に示すように、端部ケース6の両端部に、下端近傍に段部11aを有して上下方向に貫通する取付穴11が設けられ、この取付穴11に挿入した頭付きの結合ピン12の頭部12aを段部11aに係合させた状態でその先端を電池ケース2の一端面3の両端部に溶接して一体固着されている。本発明における溶接方法としては、スポット溶接、アーク溶接、レーザー溶接などの方法を用いることができるが、安価で作業性の良いスポット溶接が好ましい。
次に、この電池パック10における電気的な接続構成について説明する。正極の電池ケース2は、第1の接続ブラケット13と接続板14を介して回路基板5に接続されている。第1の接続ブラケット13は電池1の一端面3に溶接にて固着され、一側に立ち上がり部13aを有している。この立ち上がり部13aは、図3(a)に示すように、端部ケース6の一側壁の内側に接して上方に延出する。接続板14は、この第1の接続ブラケット13の立ち上がり部13aの内側に重なるように回路基板5上に配設され、下端から下方に突出された接続脚14aが、回路基板5の一側に凹入形成された接続部15に嵌合され、接続部15の下面に形成された接続電極に半田付けされている。端部ケース6には、接続板14を内側から支持する支持壁6bが設けられている。また、端部ケース6の一側壁の立ち上がり部13aに対向する部分に作業開口6aが形成されている。この作業開口6aを通して一対の溶接電極を第1の接続ブラケット13の立ち上がり部13aに押し当ててそれらの間に溶接電流を流すことで立ち上がり部13aと接続板14が相互に固着され、電気的に接続される。
負極の電極端子4は、温度ヒューズやPTC素子などの安全保護素子16を介して回路基板5に接続されている。詳細には、電極端子4に安全保護素子16の一端の接続片16aが溶接にて接続され、安全保護素子16の他端の接続片16bに一側に立ち上がり部17aを有する第2の接続ブラケット17が溶接にて固着されている。また、図1及び図3(b)に示すように、回路基板5に立ち上がり部17aの内面に重なり合う立ち上がり部18aを有する第3の接続ブラケット18が溶接にて固着されている。これら接続ブラケット17、18の立ち上がり部17a、18aが、これらの立ち上がり部17a、18aに対応位置して端部ケース6に幅方向に貫通して形成されている作業孔19を通して溶接されている。こうして、負極の電極端子4が安全保護素子16と接続ブラケット17、18を介して回路基板5に接続されている。
図1において、電池ケース2の一端面3と安全保護素子16との間には、第1の絶縁板20が配置され、その下面に設けられた粘着剤にて接着固定されている。第1の絶縁板20には、中央部に電極端子4が挿通される貫通開口21が形成され、安全保護素子16の素子部に対応する位置には電池ケース2の一端面3に素子部を臨ませる伝熱用開口22が形成され、他端の接続片16bに対応する他端部上面にはこれを固定する粘着剤23が設けられている。伝熱用開口22には、図4(b)に示すように、電池1の熱が効果的に素子部に伝達されるようにシリコン24が充填されている。安全保護素子16の上面には、第2の絶縁板25が配置され、下面に設けられた粘着剤にて安全保護素子16に接着され、安全保護素子16と回路基板5の間の絶縁が確保されている。
次に、以上の構成の電池パック10の組立工程を説明する。まず、図4(a)に示すように、電池1の一端面3上に第1の絶縁板20を配置して接着する。次に、図4(b)に示すように、第1の絶縁板20の伝熱用開口22にシリコン24を充填し、他端の接続片16bに第2の接続ブラケット17を溶接した安全保護素子16を第1の絶縁板20上に配置し、一端の接続片16aを電極端子4に溶接する。また、電池1の一端面3上の第1の絶縁板20の側部に第1の接続ブラケット13を溶接する。次に、図4(c)に示すように、安全保護素子16及び第1の接続ブラケット13上にわたって第2の絶縁板25を配置して接着する。
一方、図1に示すように、端部ケース6に対して外部接続端子7を接続窓8に臨む所定位置に装着し、接続板14を一側壁における作業開口6a形成部位と支持壁6bとの間に挿入する。また、回路基板5上の所定位置に第3の接続ブラケット18を溶接する。次いで、回路基板5を端部ケース6の下端開口から挿入配置し、接続穴9から突出した外部接続端子7の接続脚7aの端部を接続穴9の周囲に形成された電極に半田付けし、接続部15から突出した接続板14の接続脚14aの端部を接続部15の周囲に形成された電極に半田付けする。
次に、図5に示すように、回路基板5を収容配置した端部ケース6を、第1の接続ブラケット13の立ち上がり部13aが接続板14の外側に重なり合い、また第2の接続ブラケット17の立ち上がり部17aが第3の接続ブラケット18の立ち上がり部18aの外側に重なり合うように電池1の一端面3上に被せる。また、取付穴11に結合ピン12を挿入する。電池1の他端面1bには、電池パック10を着脱する際に爪を引っ掛けるためのネイルフック26を接着する。
次に、図6に示すように、端部ケース6の両端部の取付穴11に、矢印aのように、溶接電極を挿入して結合ピン12の頭部12aに当接させ、押圧して溶接電流を流して結合ピン12の先端を電池1の一端面3に溶接し、この結合ピン12を介して端部ケース6の両端部を電池1に一体結合する。また、矢印bのように、端部ケース6に形成されている作業孔19の両側から溶接電極を挿入し、押圧して溶接電流を流して接続ブラケット17、18の立ち上がり部17a、18aを溶接する(図3(b)参照)。また、矢印cのように、端部ケース6の作業開口6aから、一対の溶接電極を挿入して第1の接続ブラケット13の立ち上がり部13aに当接させ、押圧して溶接電流を流して第1の接続ブラケット13と接続板14を溶接する(図3(a)参照)。
次に、図7に示すように、合成樹脂シートの裏面に粘着剤を塗着した外装ラベル27を、電池1の周側面、端部ケース6の下部周囲及びネイルフック26の周囲に巻き付けて接着する。また、外装ラベル27の上縁からは、端部ケース6の上部に形成されている取付穴11、作業孔19、及び作業開口6aに対応する位置に封止片27a、27b、27cが延出されており、これら封止片27a、27b、27cを端部ケース6の表面に沿って貼り付けることで取付穴11、作業孔19、及び作業開口6aを隠蔽する。かくして、図8に示すように、電池パック10が完成する。
以上の本実施形態の電池パック10によれば、電池1の一端に端部ケース6を固着した構成であり、電池1及び回路基板5の全体をケース内に収容したものでないため、コンパクトな構成とすることができる。また、電池1と端部ケース6内の回路基板5と外部接続端子7との間の接続経路を短かくできて接続抵抗を小さくできる。また、結合ピン12の先端を電池1の一端面3に溶接するという簡単な工程で電池1と端部ケース6を一体的に結合固定できるので、高い信頼性と生産性を両立した電池パック10を実現することができる。
また、電池1は、電池ケース2が正極の電極端子であり、一端面3に負極の電極端子4を有しているものであるため、電池ケース2の一端面3に第1の接続ブラケット13を固着し、端部ケース6の一側壁の内側に一部が回路基板5に接続された接続板14を配置し、端部ケース6に形成された作業開口6aを通して第1の接続ブラケット13の立ち上がり部13aと接続板14を溶接することで、電池1の正極と回路基板5を電気的に作業性良く接続できて高い生産性を確保することができ、また接続経路が短く接続抵抗を小さくすることができる。
また、電池1の一端面3の電極端子4に安全保護素子16の一端を接続し、安全保護素子16の他端を回路基板5に接続しているので、温度ヒューズやPTCなどの安全保護素子16を電極端子4の側部の空間を利用して電池1の一端面3に当接又は近接配置して電極端子4と回路基板5の間に介装することができ、電池1の異常温度上昇時に電流を遮断することができ、コンパクトな構成にて安全性を向上することができる。
また、安全保護素子16の他端と回路基板5に、相互に重なり合う立ち上がり部17a、18aを有する第2と第3の接続ブラケット17、18を固着し、端部ケース6に開口された作業孔19を通して接続ブラケット17、18の立ち上がり部17a、18aを溶接しているので、回路基板5と安全保護素子16を接続ブラケット17、18を介することで溶接にて生産性良く接続することができる。なお、安全保護素子16を設けずに、電極端子4と回路基板5を接続ブラケットを介して接続するようにしても良い。
また、端部ケース6に装着された外部接続端子7は、接続相手の接続端子を挿脱して接続・遮断するものであるので、電池配置空間に電池パック10を収納して設置するようにした携帯電子機器などにおいて、振動や衝撃を受けるような使用条件下においても信頼性の高い電源供給を実現でき、かつこの種の外部接続端子7であっても端部ケース6に容易かつコンパクトに装着することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の電池パックの第2の実施形態について、図9、図10を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と共通する構成要素については同じ参照符号を付して説明を省略し、主として相違点についてのみ説明する。
上記実施形態では、結合ピン12の先端を電池ケース2の一端面3に直接抵抗溶接した例を示したが、例えば電池ケース2の一端面3がアルミニウム又はアルミニウム合金から成り、結合ピン12として、微小でありながら十分な強度を確保するためにステンレス鋼材やニッケルメッキした鉄鋼材などの鉄系材料からなるものを用いた場合、それらを直接抵抗溶接すると必要な固着強度を高い信頼性をもって確保するのが困難な場合がある。このような問題に対処するため、本実施形態では電池ケース2の一端面3の少なくとも結合ピン12の先端を固着する部位を同系材質としている。
本実施形態では、図9に示すように、電池ケース2の一端面3の結合ピン12の先端を固着する部位に、結合ピン12と同系の材質、すなわちステンレス鋼材やニッケルメッキした鉄鋼材から成るねじ31を螺合して固定しており、このねじ31の頭部31aの上端に結合ピン12の先端を抵抗溶接している。
具体的には、電池ケース2の一端面3を構成する封口板がアルミニウム又はアルミニウム合金にて構成され、かつその肉厚は、例えば0.8〜1.5mm程度と比較的厚くされている。この電池ケース2の一端面3の両端部に、図10(a)に示すように、雌ねじを形成しながらねじ31をねじ込むためのねじ下穴としての円形凹部32を、一端面3を構成する封口板をプレス成形する際に形成しておき、その後、図10(b)に示すように、ねじ31をねじ込んで一端面3に一体的に固定することで、その頭部31aの上端面を結合ピン12の下端の溶接面としている。
ねじ31としては、例えばねじ外径が1.2mmのメートル細めねじを用いた場合、ねじ山の高さが0.13mm、ねじピッチが0.25mmであり、円形凹部32の内径を0.9mm、深さを1.4mmとすることで、円形凹部32に対してねじ31のねじ山が4山程度螺合するので、一端面3がアルミニウム又はアルミニウム合金の場合でもねじ31との間でねじの軸心方向に対して必要な固着強度が得られる。
なお、上記ねじ31の具体例は一例であって、通常使用されるねじ31としては、ねじ外径が1.0〜2.0mm、ねじピッチが0.2〜0.4mmの細目系ねじが好適に用いられ、それに対応して円形凹部32は、その内径が0.6〜1.7mm、深さが0.8〜1.6mm程度に設定される。
本実施形態によれば、電池ケース2の一端面3の少なくとも結合ピン12の先端を固着する部位に、結合ピン12と同系の材質のねじ31を固着してその頭部31aの上端面に抵抗溶接するようにしたので、同系材質同士の固着となって十分な強度を有する信頼性の高い固着状態を容易に確保することができ、かつ電池1の一端面3にねじ31を螺合固定するという簡単な工程を付加するだけであるので、より簡易に実施することができて好適である。
なお、以上の各実施形態では、結合ピン12は端部ケース6を電池1に一体固着する機能のみを奏しており、電池1の電池ケース2と回路基板5を電気的に接続する機能を奏しない例を示したが、結合ピン12の頭部12aを回路基板5の電極に溶着させて電気的接続も同時に行うようにしても良く、そうすると第1の接続ブラケット13と接続板14を省略することができ、一層簡単な構成とすることができる。
本発明の電池パックは、電池の一端に端部ケースを固着した構成であるため、コンパクトな構成とすることができ、また電池と端部ケース内の回路基板と外部接続端子との間の接続経路を短かくできて接続抵抗を小さくでき、またリベット先端を電池に固着するという簡単な工程で電池と端部ケースを一体的に結合固定できるので、高い信頼性と生産性を両立した電池パックを実現することができ、携帯電子機器用などの小型の電池パックに有用である。
本発明の第1の実施形態における電池パックの要部の分解斜視図。 同実施形態の電池パックの要部構成を示し、図1のA矢方向から見た部分破断斜視図。 同実施形態の電池パックの要部構成を示し、(a)は図1のB−B矢視位置での断面図、(b)は図1のC−C矢視位置での断面図。 同実施形態の電池パックの組立工程を示す斜視図。 同実施形態の電池パックの組立工程を示す斜視図。 同実施形態の電池パックの組立工程を示す斜視図。 同実施形態の電池パックの組立工程を示す斜視図。 同実施形態の電池パックの完成状態の斜視図。 本発明の第2の実施形態における電池パックの要部の断面図。 同実施形態におけるねじの装着工程を示す断面図。
符号の説明
1 電池
2 電池ケース
3 一端面
4 電極端子
5 回路基板
6 端部ケース
6a 作業開口
7 外部接続端子
10 電池パック
12 結合ピン
13 第1の接続ブラケット
13a 立ち上がり部
14 接続板
16 安全保護素子
17 第2の接続ブラケット
17a 立ち上がり部
18 第3の接続ブラケット
18a 立ち上がり部
19 作業孔
31 ねじ

Claims (7)

  1. 電池と、充放電安全回路を有し電池の一端面上に配置される回路基板と、外部接続端子を装着された端部ケースとを備えた電池パックであって、回路基板を端部ケースの内部に収容配置し、端部ケースの両端部に頭部が係合して貫通する頭付きの結合ピンの先端を電池の一端面の両端部に固着したことを特徴とする電池パック。
  2. 電池の一端面の少なくとも結合ピン先端を固着する部位に、結合ピンと同系の材質の部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の電池パック。
  3. 電池の一端面の結合ピン先端に対向する部位に、結合ピンと同系材質から成るねじを螺合固定したことを特徴とする請求項2記載の電池パック。
  4. 電池は、電池ケースが一方の極性の電極端子であり、一端面に電池ケースと異なる極性の電極端子を有し、電池ケースの一端面に立ち上がり部を有する第1の接続ブラケットを固着し、端部ケースの一側壁の内側に第1の接続ブラケットの立ち上がり部に重なるとともに一部が回路基板に接続された接続板を配置し、端部ケースの一側壁の立ち上がり部に対向する部分に形成した作業開口を通して立ち上がり部と接続板を溶接したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電池パック。
  5. 電池は、電池ケースが一方の極性の電極端子であり、一端面に電池ケースと異なる極性の電極端子を有し、電池のケースの一端面の電極端子に安全保護素子の一端を接続し、安全保護素子の他端を回路基板に接続したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電池パック。
  6. 安全保護素子の他端と回路基板に、相互に重なり合う立ち上がり部を有する第2と第3の接続ブラケットを固着し、端部ケースに開口された作業孔を通して第2と第3の接続ブラケットの立ち上がり部を溶接したことを特徴とする請求項5記載の電池パック。
  7. 端部ケースに装着された外部接続端子は、接続相手の接続端子を挿脱して接続・遮断するものであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の電池パック。
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