JP4836121B2 - 伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法 - Google Patents

伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法 Download PDF

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本発明は、高炭素鋼の熱間圧延線材に係り、特に3次スケールの付着を抑制することにより伸線性を向上させた高炭素鋼線材の製造方法に関する。
タイヤの補強用鋼線、PC鋼線、ロープ用鋼線などの伸線素材として用いられる炭素鋼の熱間圧延線材は、従来、熱間圧延時に線材に付着した二次スケールを酸洗により除去していたが、作業が繁雑であり、廃液処理が必要である等の理由で、近年、二次スケールを機械的に剥離除去するメカニカルデスケーリング(MD)により除去されるようになった。そして、MD後、所望の線径まで伸線される。
前記鋼線材は、鋼片(ビレット)を加熱炉で加熱し、次いで所定の線径に熱間圧延した後、巻取り機でスパイラル形状に巻取り、スチルモアコンベアに載置しながら風冷などにより冷却し、集束機でコイル状に巻取り、束ねて製品とされる。鋼線材の集束機による巻取りに際しては、二次スケールを付着させたままとし、伸線の前にMDにより線材表面に付着した二次スケールが除去される。
二次スケールは、剥離性に優れるため、MDにより容易に剥離されるが、鋼線材の製造工程でも剥離が発生しやすい。鋼線材に付着した二次スケールが剥離すると、鋼線材の新生面が大気に露出するため、新生面は酸化され、三次スケールが発生する。この三次スケールのうち、膜厚が3〜8μm 程度であり、その色がブルーに観察されるものはブルースケールまたはテンパースケール(以下、かかる外観がブルーのスケールを単に「三次スケール」ということがある。)と呼ばれ、MDで剥離し難いことから、MD後も鋼線材の表面に残留する。この三次スケールは、その後の伸線過程でダイスを傷つけ、ダイス寿命の低下や傷付いたダイスによる鋼線の表面性状の低下(表面痕の増加)を招く。このため、三次スケールの発生を抑制することは鋼線材の品質を確保する上で重要な課題となっている。
従来、三次スケールの発生を抑制するため、特開平5−123739号公報(特許文献1)や特開平6−322442号公報(特許文献2)に記載されているように、三次スケールが鋼線材の製造過程で生成しないように、線材の表面を二次スケールで被覆する手法が採られている。
特開平5−123739号公報 特開平6−322442号公報
しかしながら、上記のとおり、熱間圧延後、スパイラル状に巻き取られた線材は、最終的に集束機でコイル状に束ねられる。この集束機でコイル状に束ねる過程では、二次スケールが付着した線材に対する機械的衝撃が大きいため、不可避的に鋼線材から二次スケールが剥離する。この剥離部分には三次スケールの生成がするため、ダイ寿命の低下、伸線性の低下を余儀なくされている。
本発明は、かかる問題に鑑みなされたもので、たとえ、鋼線材のコイル状巻取り、結束過程で二次スケールが剥離しても、伸線性が劣化しない高炭素鋼線材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、三次スケールの組成、生成形態について鋭意検討した結果、鋼線材の表面にそもそも三次スケールが生成しない製造条件を知見し、また三次スケールが生成しても事実上伸線性に影響がない量的条件を知見し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の高炭素鋼線材の製造方法は、mass%でC:0.6〜1.2%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.3〜1.0%を含有する高炭素鋼の鋼片を熱間圧延して鋼線材に加工し、集束機でコイル形状に巻き取り、冷却する高炭素鋼線材の製造方法であって、前記集束機での巻き取りを400℃以下の温度で開始し、集束機で巻き取ったコイルを巻取り開始から3分以内で200℃以下まで冷却するものである。
集束機での巻取り、巻き取ったコイルの冷却を400℃以下で行う場合、時間の経過と共に三次スケールが成長するが、スケールの成長速度は放物線則に従い、3分以内、好ましくは2.5分以内であれば三次スケールの膜厚は3μm に達せず、伸線性を害する三次スケールとはならないので、優れたダイス寿命、伸線性を得ることができる。なお、200℃以下では三次スケールの生成速度は無視できる程度に小さく、ほぼゼロとみなすことができるので、巻取り開始から200℃までの冷却時間を規定すれば十分である。
また、本発明の他の製造方法は、前記集束機での巻き取りを不活性ガス雰囲気下で400℃以下の温度で開始し、集束機で巻き取ったコイルを不活性ガス雰囲気下で200℃以下まで冷却するものである。
この発明では、集束機での巻取り、巻取り後のコイルの冷却を所定温度の下、不活性ガス雰囲気で行うので、スケールを生成するための酸素が鋼線材の周りにほとんど存在せず、三次スケールが生成、成長しないため、400〜200℃における冷却時間に関係なく、伸線性を害する膜厚の三次スケールが生成せず、優れたダイス寿命、伸線性が得られる。
また、本発明の他の製造方法は、熱間圧延後の鋼線材を噴霧水冷して鋼線材の表面温度が300℃以下になるまで冷却し、前記集束機での巻き取りを300℃以下の温度で行うものである。
集束機での巻取り、巻き取ったコイルの冷却を300℃以下で行う場合、時間の経過と共に三次スケールが成長するが、スケールの成長速度は放物線則に従い、経過時間が5分で飽和し、それ以上経過しても三次スケールの膜厚は増加しない。このため、300℃以下の巻取り、冷却では、巻取り開始からの経過時間に関わりなく、三次スケールは3μm に達せず、伸線性を害するスケールとはならない。さらに熱間圧延後の鋼線材はその表面温度が300℃以下になるまで速やかに冷却されるため、その冷却過程においても三次スケールがほとんど成長しないので、優れたダイス寿命、伸線性を得ることができる。
なお、mass%でC:0.6〜1.2%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.3〜1.0%を含有する熱間圧延線材がコイル状に巻き取られた高炭素鋼線材であって、鋼線材の表面に付着しているスケールのうち、厚さが3〜8μm であり、ウスタイトを含有せず、マグネタイトを主成分とするマグネタイトスケールの面積比率が線材の表面積の0〜1%とされた高炭素鋼線材は、伸線性を妨げる三次スケールが付着していても、その面積率が実質的に伸線性を害しない範囲に制限されるので、実質的にダイス寿命、伸線性が劣化せず、優れた伸線性が得られる。前記所定厚さのマグネタイトスケールは、その色調がXY色度表示において、X≦0.35、Y≧0.25の範囲にあるスケールであるので、その範囲にあるスケールを線材の表面積の1%以下としてもよい。
本発明の高炭素鋼線材の製造方法によれば、集束機によるコイル状巻取り過程で二次スケールが剥離しても、鋼線材表面における三次スケールの発生、成長が抑制されるので、コイル状に巻取られた線材には、伸線に有害な厚さの三次スケールが付着せず、これによりダイス寿命の低下、傷ついたダイスによる伸線鋼線の表面性状の低下(表面痕の増加)が防止され、伸線性に優れる。
まず、伸線性に有害となる三次スケールの実体について、本発明者らの実験、研究により明らかにされた知見を説明する。
三次スケールは、先に述べたとおり、二次スケールが剥離し、鋼線材の新生面が大気に露出し、酸化されることにより生成するスケールである。三次スケールの構造をXRD(X線回折)で解析した結果、マグネタイト(Fe34)とサブスケール(Fe2SiO4)のピークのみが観察され、ウスタイト(FeO)を含有しないことが明らかになった。Fe−O系の平衡状態図によれば、570℃以上の温度ではウスタイト(FeO)が生成することから、三次スケールは比較的低温(570℃以下)で生成するスケールと考えられる。
次に、570℃以下の低温で酸化により、ウスタイトを含まず、マグネタイト(Fe34)を主成分とするスケール(以下、「マグネタイトスケール」という。)を生成し、その厚さと色調の関係を調べた結果、該スケール厚が3〜8μm の範囲にある場合のみブルーとして観察され、これが伸線性を害する三次スケールであることがわかった。また、この有害な三次スケールは、その色調がXY色度表示に於いて、X≦0.35、Y≧0.25以上の範囲にあるスケールであることがわかった。三次スケールはウスタイトを含まないことから、密着性が強く、MDにより除去できないため、伸線時にダイスを傷付け、ダイス寿命を著しく低下させ、また疵付いたダイスにより伸線するため、伸線鋼線に表面疵を付け、伸線性を低下させる。
上記知見は、以下の実験から明らかにされた。
表1に示す成分の鋼を転炉で溶製し、その鋼塊を分解圧延して155mm角のビレットを製作した。これを1150℃で加熱後、線径5.5mmの鋼線材に熱間圧延した。この熱間圧延線材を、常法に従って950℃の温度で巻き取り、コンベア(スチルモアコンベア)上を搬送させ、450℃まで冷却した。続いて450℃の鋼線材を集束機に入れ、コイル状に巻き取り、放冷した。
冷却後の各鋼種のコイルに対して、任意の5カ所から長さ200mmのサンプルを採取し、サンプルの側面に発生した三次スケールに対してXRD(X線回折法)によるスケール構造(酸化物種)の同定を行った結果、Fe34とFe2SiO4の回折ピークのみが観察され、三次スケールはマグネタイトスケールであることが確認できた。また、サンプルの側面に発生した三次スケールの面積率を画像解析により求めた。画像解析は、光学顕微鏡写真(カラー写真)をスキャナーで読み込み、画像解析ソフト(フォトショップ)を用いて行った。測定結果を表2に示す。いずれの鋼種に対しても、三次スケールの面積比率は2%超であった。
Figure 0004836121
Figure 0004836121
また、表1の鋼種Bの鋼を長さ25mm×幅5mm×厚さ1mmの短冊状に機械加工し、表面(両面)を鏡面に仕上げた。この試料を小型のマッフル炉を用いて150℃〜450℃の範囲で大気中で10分間加熱した。加熱後の試料表面を目視にて観察した結果、300℃超で加熱した試料では表面がブルーの色調を示すことが確認できた。これら試料表面の反射率を波長:400nm〜800nmの範囲で測定し、測定した分光反射率のスペクトルから、XY色度表で色度表示を行った。その結果を図1に示す。図1より、300℃超で加熱した試料(表面がブルーの色調の試料)はすべて色調がX≦0.35、Y≧0.25の範囲にあった。また、これら試料表面のスケールに対してXRDによるスケール構造(酸化物種)の同定を行った結果、マグネタイトスケールが形成されていることが確認された。
さらに、これら試料表面のスケールの厚みを以下の要領で測定した。試料を円筒形の樹脂に埋込み、試料断面が露出するように研磨し、露出断面をSEM観察し、撮影したスケール断面写真の寸法を計測することにより、スケール厚みを測定した。試料の加熱温度とスケール膜厚(平均膜厚)の関係を図2に示す。図2より、300℃超で加熱した試料(表面がブルーの色調の試料)はスケール膜厚が3μm 以上であることが認められた。
上記のとおり、三次スケールの成分、膜厚、色調の関係から、三次スケールは鋼線材の製造過程において、570℃以下に冷却される過程で、二次スケールが剥離し、新生面が大気に露出し、酸化されて生成したマグネタイトスケールと推察される。すなわち、鋼線材の製造過程においては、二次スケールの剥離は主に集束機(タブ)入り時の機械的衝撃により発生するため、集束機に熱間圧延線材が入り、コイル状に巻き取られる際に三次スケールは生成すると考えられる。
そこで、集束機における巻取りの際に、三次スケールを生成させない温度条件、冷却条件を以下の実験により調べた。
表1の鋼種Bの鋼を直径:4.5mm×2.4mmの円柱状に機械加工し、周面および両端面を鏡面に仕上げ、試料とした。この試料を示差熱分析装置にセットし、200℃、300℃、400℃の温度で大気中にて10分間加熱し、加熱過程における重量変化(重量増加)を測定した。加熱後の試料表面のスケールの膜厚を前記要領で測定し、所定温度で10分間加熱した際の経過(保持)時間に対するスケール膜厚を求めた。その結果を図3に示す。また、加熱過程における重量変化(重量増加)のデータとスケール膜厚のデータを合わせて、加熱過程におけるスケール成長速度(スケール膜厚生成速度)を求めた。
図3より、200℃加熱におけるスケール成長速度はほぼゼロであり、10分間加熱してもスケールはほとんど生成されない。また、加熱温度を増加させるとスケール成長速度は大きくなっていくが、300℃加熱ではスケール成長速度は時間経過とともに減少し、スケール厚さは飽和する傾向にあるが、8分程度以上の加熱でスケール膜厚は飽和し、スケール厚さは3μm 程度である。さらに、加熱温度を増加するとスケール成長速度は大きくなっていくが、400℃加熱でもスケール成長速度は時間経過とともに減少し、400℃、10分間の加熱でスケール厚さは4.8μm に達するが、加熱時間が3分以内であれば、スケール厚さは3μm を超えないことがわかる。
以上の実験結果より、集束機での巻取り、その後のコイル冷却において三次スケールを生成させないための条件は以下のとおりである。
高炭素鋼の鋼片を熱間圧延して鋼線材に加工し、集束機でコイル形状に巻き取り、冷却するに際し、前記集束機での巻き取りを400℃以下の温度で開始し、集束機で巻き取ったコイルを巻取り開始から3分以内で200℃以下まで冷却する。
巻取り開始温度を400℃以下にするには、例えば巻取り機と集束機との間に設けたスチルモアコンベア上で熱間圧延後の鋼線材を、ブロア風量を適宜調整しながら風冷して、あるいは噴霧水冷により鋼線材の温度を速やかに400℃以下になるようにすればよい(570℃から400℃まで好ましくは0.5分程度以下)。巻取り開始から200℃まで冷却する場合も同様の方法で冷却すればよい。なお、巻取り機によるスパイラル状の巻取り終了後の鋼線材の温度は、570℃より十分高いので、集束機での巻取り開始温度の調整は、巻取り機の後段に配置されるコンベア(例えばスチルモアコンベア)上で行うことができる。
また、前記集束機での巻き取りを不活性ガス雰囲気下で400℃以下の温度で開始し、集束機で巻き取ったコイルを不活性ガス雰囲気下で200℃以下まで冷却する。不活性ガス雰囲気下で巻取り、冷却を行えば、線材の周りに酸素がほとんどないため、そもそも三次スケールが生成、成長しない。このため、400〜200℃における冷却時間を自由に選ぶことができる。
巻取り開始温度への冷却は、例えば巻取り機と集束機との間に設けたスチルモアコンベア上で熱間圧延後のスパイラル状の鋼線材に対して不活性ガスを吹き付けて冷却することが好ましい。また、不活性雰囲気下での集束機でのコイル状の巻取り、冷却は、好ましくは集束機の周辺を壁面で囲い、線材に不活性ガスを吹き付けながら巻き取り、200℃まで冷却すればよい。
また、前記集束機での巻き取りを300℃以下の温度で行うようにしてもよい。巻取り開始温度を300℃以下にするには、例えば巻取り機と集束機との間に設けたスチルモアコンベア上で熱間圧延後の鋼線材に対し、噴霧水冷等により鋼線材を強制冷却し、鋼線材の表面温度が300℃以下になるまで線材を速やかに冷却すればよい。この場合、噴霧水冷によれば冷却速度が20℃/秒程度以上であるので、570℃から300℃まで15秒程度以下となり、この程度では三次スケールはほとんど成長することができない。
上記集束機における巻取り、コイルの冷却条件に従えば、マグネタイトスケールは3μm 以上に成長せず、有害な三次スケールとはならず(三次スケールの面積比率が線材の表面積の0%)、伸線性に極めて優れた鋼線材が得られる。本発明者らは、さらに3〜8μm の有害な三次スケールが生成しても、実質的に伸線性が害されない三次スケールの量的範囲を追求した。その結果、後述の実施例からあきらかなとおり、鋼線材の表面に付着しているスケールのうち、三次スケール(厚さが3〜8μm のマグネタイトスケール、)すなわち色調がXY色度表示において、X≦0.35、Y≧0.25の範囲にあるスケールの面積比率が線材の表面積の1%以下であれば、実質的にダイス寿命、伸線性が劣化せず、優れた伸線性が得られる事を知見した。このため、三次スケールが生成しない上記製造条件において、例えば400℃以下の温度で集束機にて鋼線材の巻取りを開始する場合、200℃までの冷却時間が3分より若干長くかかったとしても、良好な伸線性が得られる。
本発明では、mass%でC:0.60〜1.20%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.3〜1.0%を含有する高炭素鋼が適用される。その限定理由は以下のとおりである。
C:0.6〜1.2%
Cは、鋼線材としての強度と靭性を支配する基本的な元素であり、高炭素化するほど強度は高くなる。0.6%未満では強度が低くなり過ぎ、一方1.2%を超えて過度に添加すると延性が低下してくる。このため、C量の下限を0.6%、その上限を1.0%とする。
Si:0.10〜0.40%
Siは、フェライトに固溶して強度を高める作用があるほか、製鋼時の脱酸元素でもある。0.10%未満ではこれらの作用が過少であり、一方0.40%超になるとスケール生成量が減少すると共にスケール/地鉄界面にSi酸化物系の介在物が生成し易くなって、スケール密着性が高くなり、デスケーリング性が劣化するようになる。このため、Si量の下限を0.10%、その上限を0.40%とする。FeOとFezSiO.の混合層が生成してスケールの密着性が高くなり、デスケーリング性が劣化傾向を示すようになるほか、Siは鋼中のCの活圭を上げて脱炭を促進するというマイナス効果も現れてくるので、Si童の上限は0.30重量%と定めた。Siのより好ましい含有量は0.1〜0.2重量%の範囲である。
Mn:0.3〜1.0%
Mnは、脱酸剤として有効に作用するほか、不純物として混入するSを固定しその有害な作用を抑制して靭性を高め、更には鋼の焼入性を向上させる元素である。これらの作用を有効に発揮させるに、0.3%以上含有させる。一方、Mn過多になると偏析が起こり易くなり、冷却過程で偏析部にミクロマルテンサイトが生成して伸線加工性を劣化させるようになる。このため、Mn量の上限を1.0%とする。
本発明で使用する高炭素鋼は、上記C、Si、Mnの含有量を満足するもであればよく、他の含有元素の種類、添加量は限定されない。これは、本発明に係るスケール制御による伸線性の向上においては、C、Si、Mnが主に効いており、他の添加元素の影響をほとんど受けないからである。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定的に解釈されるものではない。
前記表1に示す鋼種の各鋼を転炉で溶製し、その鋼塊を分解圧延して155mm角のビレットを製作し、1150℃で加熱後、線径:5.5mmの鋼線材に熱間圧延した。引き続いて、鋼線材を800〜950℃の温度域で巻き取り、スチルモアコンベア上を搬送し、表3に示す巻取り開始温度(集束機入り温度)まで冷却した。この際、巻取り開始温度は、コンベア上を搬送する鋼線材に対して、冷却条件(風冷の有無、ブロア風速調整、噴霧水冷(ミスト噴霧)の有無)を変化させて調整し、570℃以下、集束機での巻取り開始温度まで1分程度以下となるように冷却した。続いて所定温度まで冷却した鋼線材を集束機に入れ、コイル状に結束した。この際、同表に示す冷却条件(大気による風冷の有無、Arガスの吹き付けによる風冷の有無)により集束機内で巻き取ったコイルを200℃まで同表に示す冷却時間により冷却した。
このようにして製作した鋼線材に対して、以下の要領により鋼線材を実際に伸線し、伸線性を評価した。鋼線材は、MDにより二次スケールを除去した後、リン酸塩を鋼線材表面に形成させる潤滑処理を行い、多段式の乾式伸線機を用いて、線材2tonを直径:1.0mmまで伸線した。伸線速度は、最終伸線速度が300m/分となる条件とした。伸線性の評価については、伸線後の鋼線の表面性状を肉眼で観察し、ダイス荒れによる表面疵が観察されなかった場合:○、断続的に微細な表面疵が観察された場合:△、連続的な表面疵が観察された場合:×と評価した。また、ダイスの伸線面を肉眼で観察し、ダイスが割れず、摩耗もほとんど生じなかった場合:○、ダイスが割れなかったものの軽微な摩耗が生じた場合:△、摩耗が著しくダイスが割れた場合:×としてダイス寿命を評価した。これらの評価結果を表3に併せて示す。
表3より、集束機巻取り開始温度が300℃を超える場合、集束機入り後の冷却時間が長いと伸線性は低下するが、巻取り開始温度が300℃を超える場合でも集束機入り後の冷却時間が3分以内と短い場合(大気風冷の場合)では、伸線性は良好であった。また、集束機巻取り開始温度が300℃以下の場合、冷却時間に係わらず、伸線性は良好であった。また集束機の周囲をブースで多い、Arガスを吹き付けて冷却した場合は、巻取り開始温度が300℃を超える場合でも、冷却時間にかかわらず、伸線性は良好であった。これらの傾向は鋼種A〜Dにかかわらず同様であった。
Figure 0004836121
実施例1と同様にして熱間圧延鋼線材をコイル状に結束した。その際の集束機巻取り開始温度(集束機入り温度)、200℃までの冷却時間、その冷却条件を表4に示す。
このようにして製作した鋼線材に対して、任意の5カ所から長さ:200mmのサンプルを採取し、サンプルの側面に発生した膜厚3〜8μm の三次スケールの面積率を画像解析により求めた。また、鋼線材を実施例1と同様に伸線し、伸線性を評価した。これらの調査結果を表4に併せて示す。
表4より、伸線性を害する三次スケールの面積比率が1%以下の場合は伸線性は良好であるが、同三次スケールの面積比率が1%を超えるようになり、その付着率が高いほどダイス寿命と鋼線の表面性状は劣化し、伸線性が低下した。
Figure 0004836121
三次スケールが発生した鋼線材表面の色調を数値表示したX−Y色度図である。 鋼線材の加熱温度とスケール膜厚の関係を示す特性図である。 鋼線材を所定温度で加熱した際の加熱時間とスケール膜厚との関係を示す特性図である。

Claims (3)

  1. mass%でC:0.6〜1.2%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.3〜1.0%を含有する高炭素鋼の鋼片を熱間圧延して鋼線材に加工し、集束機でコイル形状に巻き取り、冷却する高炭素鋼線材の製造方法であって、
    前記集束機での巻き取りを400℃以下の温度で開始し、集束機で巻き取ったコイルを巻取り開始から3分以内で200℃以下まで冷却する、伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。
  2. mass%でC:0.6〜1.2%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.3〜1.0%を含有する高炭素鋼の鋼片を熱間圧延して鋼線材に加工し、集束機でコイル形状に巻き取り、冷却する高炭素鋼線材の製造方法であって、
    前記集束機での巻き取りを不活性ガス雰囲気下で400℃以下の温度で開始し、集束機で巻き取ったコイルを不活性ガス雰囲気下で200℃以下まで冷却する、伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。
  3. mass%でC:0.6〜1.2%、Si:0.10〜0.40%、Mn:0.3〜1.0%を含有する高炭素鋼の鋼片を熱間圧延して鋼線材に加工し、集束機でコイル形状に巻き取り、冷却する高炭素鋼線材の製造方法であって、
    熱間圧延後の鋼線材を噴霧水冷して鋼線材の表面温度が300℃以下になるまで冷却し、前記集束機での巻き取りを300℃以下の温度で行う、伸線性に優れた高炭素鋼線材の製造方法。
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