JP5084206B2 - 伸線性に優れた鋼線材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、熱間圧延され、スパイラル状に巻き取られ、集束機によってコイル状に結束された鋼線材に係り、特に結束の際に生成する3次スケールの生成を抑制して伸線性を向上させたものに関する。
タイヤの補強用鋼線、PC鋼線、ロープ用鋼線などの伸線素材として用いられる炭素鋼の熱間圧延線材は、従来、熱間圧延時に鋼線材に付着した二次スケールを酸洗により除去していたが、作業が繁雑であり、廃液処理が必要である等の理由で、近年、二次スケールを機械的に剥離除去するメカニカルデスケーリング(MD)により除去されるようになった。そして、MD後、所望の線径まで伸線される。
前記鋼線材は、鋼片(ビレット)を加熱炉で加熱し、次いで所定の線径に熱間圧延した後、巻取機でスパイラル状に巻き取り、スチルモアコンベアに載置しながら風冷などにより冷却し、集束機でコイル状に結束し、束ねて製品とされる。鋼線材の集束機による結束に際しては、二次スケールを付着させたままとし、伸線の前にMDにより線材表面に付着した二次スケールが除去される。
二次スケールは、剥離性に優れるため、MDにより容易に剥離されるが、鋼線材の製造工程でも剥離が発生しやすい。二次スケールが剥離すると、鋼線材の新生面が大気に露出するため、新生面は酸化され、三次スケールが発生する。表面色がブルーに観察される三次スケールはブルースケールまたはテンパースケールと呼ばれ、MDで剥離し難いことから、MD後も鋼線材の表面に残留する。この三次スケールは、その後の伸線過程でダイスを傷つけ、ダイス寿命の低下、傷付いたダイスによる鋼線の表面性状の低下(表面痕の増加)や断線を招く。このため、有害な三次スケールの発生を抑制することは鋼線材の品質を確保する上で重要な課題となっている。
従来、三次スケールの発生を抑制するため、特開平5−123739号公報(特許文献1)や特開平6−322442号公報(特許文献2)に記載されているように、三次スケールが鋼線材の製造過程で生成しないように、線材の表面を二次スケールで被覆する手法が採られている。
特開平5−123739号公報 特開平6−322442号公報
上記のとおり、熱間圧延後、スパイラル状に結束された鋼線材は、最終的に集束機に挿入されてコイル状に結束され、束ねられる。この結束過程における機械的衝撃が大きいため、鋼線材から不可避的に二次スケールが剥離し、その剥離部分に三次スケールが生成する。このため、線材の表面を二次スケールで被覆する手法を採っても、ダイス寿命の低下や伸線性の低下を余儀なくされている。
本発明は、かかる問題に鑑みなされたもので、鋼線材をコイル状に結束する際に二次スケールが剥離しても、伸線性が劣化しない鋼線材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、三次スケールの組成、生成形態について鋭意検討した結果、鋼線材の表面にそもそも三次スケールが生成しない製造条件を知見し、また三次スケールが生成しても事実上伸線性に影響がない質的、量的条件を知見し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の鋼線材の製造方法は、mass%でC:0.05〜1.2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.5%を含有する鋼片を熱間圧延し、これによって得られた鋼線材をスパイラル状に巻き取り、集束機に挿入してコイル状に結束し、冷却する、鋼線材の製造方法であって、前記集束機に挿入する際の鋼線材の表面温度を400℃以下、300℃超とし、コイル状に結束した鋼線材を前記集束機への挿入から50秒以内に200℃以下まで冷却する、あるいは前記集束機に挿入する際の鋼線材の表面温度を300℃以下、200℃超とし、コイル状に結束した鋼線材を前記集束機への挿入から60秒以内に200℃以下まで冷却するものである。
集束機での結束や結束したコイル状鋼線材の冷却を400℃以下で行う場合、時間の経過と共に二次スケールが剥離して露呈した線材の新生面(地鉄表面)に三次スケールが生成、成長するが、スケールの成長速度は放物線則に従い、鋼線材を集束機へ挿入する際の表面温度が400℃以下、300℃超では集束機への挿入から50秒以内に、また鋼線材の挿入温度が300℃以下、200℃超では集束機への挿入から60秒以内に、200℃まで冷却することにより、線材の新生面に生成した三次スケールの膜厚は0.05μm に達せず、伸線性を害する膜厚が0.05μm 以上の三次スケールとはならない。このため、優れたダイス寿命、伸線性を得ることができる。なお、200℃以下では三次スケールの生成速度は無視できる程度に小さく、ほぼゼロとみなすことができるので、三次スケールの膜厚に影響する冷却時間については、集束機への挿入から200℃までの冷却時間を規定すれば十分である。
本発明の鋼線材の製造方法によれば、集束機によるコイル状鋼線材の結束過程でたとえ二次スケールが剥離しても、鋼線材表面における三次スケールの発生、成長が抑制されるので、コイル状に巻取られた鋼線材には、伸線に有害な0.05〜0.2μm 厚さの三次スケールが付着せず、これによりダイス寿命の低下、傷ついたダイスによる伸線鋼線の表面性状の低下や断線が防止され、優れた伸線性が得られる。
まず、伸線性に有害となる三次スケールの実体について、本発明者らの実験、研究により明らかにされた知見を説明する。
三次スケールは、先に述べたとおり、二次スケールが剥離し、鋼線材の新生面が大気に露出し、酸化されることにより生成するスケールである。三次スケールの構造をXRD(X線回折)で解析した結果、マグネタイト(Fe34)とサブスケール(Fe2SiO4)のピークのみが観察され、ウスタイト(FeO)を含有しないことが明らかになった。Fe−O系の平衡状態図によれば、570℃以上の温度ではウスタイト(FeO)が生成することから、三次スケールは比較的低温(570℃以下)で生成するスケールと考えられる。
次に、570℃以下の低温での酸化により、ウスタイトを含まず、マグネタイト(Fe34)を主成分とするスケール(以下、「マグネタイトスケール」という。)を生成し、その厚さと色調の関係を調べた結果、該スケール厚が0.05〜0.2μm の範囲にある場合のみブルーとして観察され、これが伸線性を害する三次スケールであることがわかった。また、この有害な三次スケールは、その色調がXY色度表示に於いて、X≦0.35、Y≧0.25以上の範囲にあるスケールであることがわかった。前記膜厚の三次スケールはウスタイトを含まないことから、密着性が強く、MDにより除去できないため、伸線時にダイスを傷付け、ダイス寿命を著しく低下させ、また疵付いたダイスにより伸線するため、伸線鋼線に表面疵を付け、著しい場合は断線を誘発し、伸線性を低下させる。
上記知見は、以下の実験から明らかにされた。
表1に示す成分の鋼を転炉で溶製し、その鋼塊を分解圧延して155mm角のビレットを製作した。これを1150℃で加熱後、線径5.5mmの鋼線材に熱間圧延した。この熱間圧延した鋼線材を、常法に従って950℃の温度で巻き取り、コンベア(スチルモアコンベア)上を搬送させ、鋼線材を集束機へ挿入する(入れる)際の鋼線材の表面温度(以下、「挿入温度」という場合がある。)が450℃となるように冷却し、同温度にて鋼線材を集束機に挿入し、コイル状に結束し、結束したコイル状鋼線材を放冷した。なお、鋼線材の表面温度は、赤外線放射温度計によって測定された。
冷却後の各鋼種のコイルに対して、任意の5カ所から長さ200mmのサンプルを採取した。サンプルの周面には、外観がブルーの色調の三次元スケールが観察された。この三次スケールに対してXRD(X線回折法)によるスケール構造(酸化物種)の同定を行った結果、Fe34とFe2SiO4の回折ピークのみが観察され、三次スケールはマグネタイトスケールであることが確認された。また、サンプルの周面に発生した三次スケールの面積率を画像解析により求めた。前記面積率の測定に際しては、サンプルの曲面を平面に投影した形で写真撮影を行い、この写真を画像解析することにより面積率を算出した。前記画像解析は、光学顕微鏡写真(カラー写真)をスキャナーで読み込み、画像解析ソフト(フォトショップ)を用いて行った。測定結果を表2に示す。表2より、いずれの鋼種に対しても、三次スケールの面積比率は2%超であった。
Figure 0005084206
Figure 0005084206
また、表1の鋼種Bの鋼を長さ25mm×幅5mm×厚さ1mmの短冊状に機械加工し、表面(両面)を鏡面に仕上げた。この試料を小型のマッフル炉を用いて150℃〜450℃の範囲で大気中で10分間加熱した。加熱後の試料表面を目視にて観察した結果、300℃以上で加熱した試料では表面がブルーの色調を示すことが確認できた。
これら試料表面の反射率を波長:400nm〜800nmの範囲で測定し、測定した分光反射率のスペクトルから、XY色度表で色度表示を行った。その結果を図1に示す。図1より、300℃以上で加熱した試料(表面がブルーの色調の試料)はすべて色調がX≦0.35、Y≧0.25の範囲にあった。また、これら試料表面のスケールに対してXRDによるスケール構造(酸化物種)の同定を行った結果、マグネタイトスケールが形成されていることが確認された。
さらに、これら試料表面のスケールの厚みを以下の要領で測定した。試料を円筒形の樹脂に埋込み、試料断面が露出するように研磨し、露出断面をSEM観察し、撮影したスケール断面写真の寸法を計測することにより、スケール厚みを測定した。試料の加熱温度とスケール膜厚(平均膜厚)の関係を図2に示す。図2より、300℃以上で加熱した試料(表面がブルーの色調の試料)はスケール膜厚が0.05μm 以上であることが認められた。なお、図2は加熱時間が10分と長いため、250℃で加熱した場合でもスケール膜厚が0.05μm 以上となり、表面がブルーの色調を示した。
上記のとおり、三次スケールの成分、膜厚、色調の関係から、ブルースケールと呼ばれる有害な三次スケールは、鋼線材の製造過程において、570℃以下に冷却される過程で、二次スケールが剥離し、新生面が大気に露出し、酸化されて生成、成長した、厚さが0.05〜0.2μm 程度のマグネタイトスケールと推察される。すなわち、鋼線材の製造過程においては、二次スケールの剥離は主に集束機(タブ)へ挿入した時の機械的衝撃により発生するため、集束機にスパイラル状に巻き取られた鋼線材が挿入され、コイル状に結束される際に三次スケールは生成すると考えられる。
そこで、集束機に鋼線材を挿入し、結束する際に、有害な厚さの三次スケールを生成させない、すなわち三次元スケールの厚さを0.05μm 未満に止めることができる温度条件、冷却条件を以下の実験により調べた。
表1の鋼種Bの鋼を直径:4.5mm×2.4mmの円柱状に機械加工し、両端面及び周面を鏡面に仕上げ、試料とした。この試料を示差熱分析装置にセットし、200℃、250℃、300℃、350℃及び400℃の各温度で大気中にて1200秒間加熱し、加熱過程における重量変化(重量増加)を測定した。加熱後の試料表面のスケールの膜厚を前記要領で測定し、所定温度で1200秒間加熱した際の経過(保持)時間に対するスケール膜厚を求めた。その結果を図3に示す。また、加熱過程における重量変化(重量増加)のデータとスケール膜厚のデータを合わせて、加熱過程におけるスケール成長速度(スケール膜厚生成速度)を求めた。
図3より、200℃加熱におけるスケール成長速度はほぼゼロであり、1200秒間加熱してもスケールはほとんど生成されない。また、加熱温度を増加させるとスケール成長速度は大きくなっていくが、250℃及び300℃の加熱ではスケール成長速度は時間経過とともに減少し、スケール厚さは飽和する傾向にあり、300℃での加熱の場合、60秒以内の時間経過ではスケール厚さは0.05μm を超えないことがわかる。さらに、加熱温度を増加するとスケール成長速度は大きくなっていくが、400℃加熱でもスケール成長速度は時間経過とともに減少し、400℃での加熱の場合でも、50秒以内の経過時間ではスケール厚さは0.05μm を超えないことがわかる。
以上の実験結果より、集束機による鋼線材の結束、結束したコイル状鋼線材(以下、「コイル」という場合がある。)の冷却において三次スケールを生成させないための条件は以下のように整理される。
鋼片を熱間圧延して鋼線材に加工し、前記鋼線材をスパイラル状に巻き取り、集束機に挿入してコイル状に結束し、そのコイルを冷却するに際し、集束機への鋼線材の挿入温度を400℃以下、300℃超とし、集束機への挿入から50秒以内に、あるいは挿入温度を300℃以下、200℃超とし、集束機への挿入から60秒以内に、コイル状に結束した鋼線材をそれぞれ200℃以下まで冷却する。
鋼線材の挿入温度を400℃以下にするには、例えば巻取機と集束機との間に設けたスチルモアコンベア上で熱間圧延後の鋼線材を、ブロア風量を適宜調整しながら風冷すればよい。集束機への挿入から200℃まで冷却する場合も同様の方法で冷却すればよい。巻取機によってスパイラル状に巻き取った後の鋼線材の温度は、570℃より十分高いので、鋼線材の挿入温度への調整は、上記のように巻取機の後段に配置されるコンベア(例えばスチルモアコンベア)上で行えばよい。また、巻き取り後、集束機への挿入までは鋼線材の表面に被覆された二次スケールの剥離はほとんど生じず、三次スケールの生成、成長は抑制されるので、570℃以下、挿入温度までの温度域における冷却時間はあまり問題にならないが、三次スケールの生成を確実に防止するには、好ましくは570℃から400℃までを0.5分程度以下で冷却することが望ましい。
ところで、不活性ガスにより冷却するのであれば、次のような方法を採ることができる。集束機への鋼線材の挿入温度を400℃以下とし、当該鋼線材を不活性ガス雰囲気下で前記集束機に挿入してコイル状に結束し、そのコイルを不活性ガス雰囲気下で200℃以下まで冷却する。不活性ガス雰囲気下で結束し、冷却を行えば、線材の周りに酸素がほとんどないため、そもそも三次スケールが生成、成長しない。このため、400〜200℃における冷却時間を自由に選ぶことができる。
鋼線材の挿入温度への冷却は、例えば巻取機と集束機との間に設けたスチルモアコンベア上で熱間圧延後のスパイラル状の鋼線材をブロア等により冷却すればよい。集束機への挿入までは、鋼線材には二次スケールが被覆されているので、必ずしも不活性ガスを吹き付けながら冷却する必要はないが、このような冷却手段を採ることにより、三次スケールの生成を確実に防止することができる。また、不活性雰囲気下での集束機への鋼線材の挿入、結束、コイルの冷却は、集束機の周辺を壁面で囲い、鋼線材に不活性ガスを吹き付けながら結束し、200℃まで冷却すればよい。
また、集束機への鋼線材の挿入温度を十分低くするのであれば、前記集束機への挿入を200℃以下の温度で行うようにしてもよい。この場合、集束機での結束終了時の温度は当然200℃より低下する。鋼線材の挿入温度を200℃以下にするには、例えば巻取機と集束機との間に設けたスチルモアコンベア上で熱間圧延後の鋼線材に対し、ブロアによる風冷により、鋼線材の表面温度が200℃以下になるまで線材を速やかに冷却すればよい。
本発明では、mass%でC:0.05〜1.2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.5%を含有する高炭素鋼が適用される。その限定理由は以下のとおりである。
C:0.05〜1.2%
Cは、鋼線材としての強度と靭性を支配する基本的な元素であり、高炭素化するほど強度は高くなる。0.05%未満では強度が低くなり過ぎ、一方1.2%を超えて過度に添加すると延性が低下してくる。このため、C量の下限を0.05%、その上限を1.2%とする。
Si:0.01〜0.5%
Siは、フェライトに固溶して強度を高める作用があるほか、製鋼時の脱酸元素でもある。0.01%未満ではこれらの作用が過少であり、一方0.5%超になるとスケール生成量が減少すると共にスケール/地鉄界面にSi酸化物系の介在物が生成し易くなって、スケール密着性が高くなり、デスケーリング性が劣化するようになる。このため、Si量の下限を0.01%、その上限を0.5%とし、好ましくは0.1〜0.3%とする。
Mn:0.1〜1.5%
Mnは、脱酸剤として有効に作用するほか、不純物として混入するSを固定しその有害な作用を抑制して靭性を高め、更には鋼の焼入性を向上させる元素である。これらの作用を有効に発揮させるに、0.1%以上含有させる。一方、Mn過多になると偏析が起こり易くなり、冷却過程で偏析部にミクロマルテンサイトが生成して伸線加工性を劣化させるようになる。このため、Mn量の上限を1.5%とする。
本発明で使用する高炭素鋼は、上記C、Si、Mnの含有量を満足するもであればよく、他の含有元素の種類、添加量は限定されない。これは、本発明に係るスケール制御による伸線性の向上においては、C、Si、Mnが主に効いており、他の添加元素の影響をほとんど受けないからである。
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により限定的に解釈されるものではない。
前記表1に示す鋼種の各鋼を溶製し、その鋼塊を分解圧延して155mm角のビレットを製作し、1150℃で加熱後、線径:5.5mmの鋼線材に熱間圧延した。引き続いて、圧延した鋼線材を800〜950℃の温度域でスパイラル状に巻き取り、スチルモアコンベア上を搬送し、表3に示す鋼線材の挿入温度(集束機入り温度)まで冷却した。この際、挿入温度は、巻き取り温度、コンベア上を搬送する鋼線材に対して、冷却条件(風冷の有無、ブロア風速)を変化させて調整し、570℃から鋼線材の挿入温度まで1分程度以下となるように冷却した。続いて挿入温度に冷却した鋼線材を集束機に挿入し、コイル状に結束し、集束機内で結束したコイルを200℃まで冷却した。この冷却時における冷却時間、冷却条件(大気による風冷の有無、Arガスの吹き付けによる風冷の有無)を同表に併せて示す。
このようにして製作した鋼線材に対して、以下の要領により鋼線材を実際に伸線し、伸線性を評価した。鋼線材は、MDにより二次スケールを除去した後、ホウ素系皮膜を鋼線材表面に形成させる潤滑処理を行い、多段式の乾式伸線機を用いて、線材2tonを直径:1.0mmまで伸線した。伸線速度は、最終伸線速度が300m/分となる条件とした。
伸線性の評価については、伸線後の鋼線の表面性状を肉眼で観察し、ダイス荒れによる表面疵が観察されなかった場合:○、断続的に微細な表面疵が観察された場合:△、連続的な表面疵が観察された場合:×と評価した。また、ダイスの伸線面を肉眼で観察し、ダイスが割れず、摩耗もほとんど生じなかった場合:○、ダイスが割れなかったものの軽微な摩耗が生じた場合:△、摩耗が著しくダイスが割れた場合:×としてダイス寿命を評価した。これらの評価結果を表3に併せて示す。
表3より、集束機への鋼線材の挿入温度が400℃以下、300℃超の温度域にある場合、集束機に挿入後の冷却時間が50秒を超えて長いと伸線性は低下するが、挿入温度が300℃超の場合でも、集束機に挿入後の冷却時間が50秒以内と短い場合(大気風冷の場合)は、伸線性は良好であった。また、集束機への鋼線材の挿入温度が300℃以下、200℃超の場合、試料No. 8、18から明らかなように、集束機に挿入後の冷却時間が60秒以内(大気風冷の場合)では、伸線性は良好であった。さらに、集束機への鋼線材の挿入温度が200℃以下の場合、試料No. 10、20から明らかなように、冷却時間がセロでも伸線性は良好であった。また、集束機の周囲をブースで多い、Arガスを吹き付けて冷却した場合は、試料No. 11〜13から明らかなように、挿入温度が400℃の場合でも、冷却時間にかかわらず、伸線性は良好であった。
Figure 0005084206
実施例1と同様にして、表1の鋼種No. Bの熱間圧延鋼線材をスパイラル状に巻き取り、スチルモアコンベア上で冷却して、所定の挿入温度にした鋼線材を集束機に挿入して、コイル状に結束した。集束機への鋼線材の挿入温度(集束機入り温度)、200℃までの冷却時間、その冷却条件を表4に示す。
このようにして製作した鋼線材に対して、任意の5カ所から長さ:200mmのサンプルを採取し、サンプルの周面に発生したブルースケールの面積率を画像解析により求めた。また、鋼線材を実施例1と同様に伸線し、伸線性を評価した。これらの調査結果を表4に併せて示す。
表4より、伸線性を害する三次スケール(ブルースケール)の面積比率が0%の場合は伸線性は良好であるが、同スケールの面積比率が1%を超えるようになり、その付着率が高いほどダイス寿命と鋼線の表面性状は劣化し、伸線性が低下した。
Figure 0005084206
三次スケールが発生した鋼線材表面の色調を数値表示したX−Y色度図である。 鋼線材の加熱温度とスケール膜厚の関係を示す特性図である。 鋼線材を所定温度で加熱した際の加熱時間とスケール膜厚との関係を示す特性図である。

Claims (2)

  1. mass%でC:0.05〜1.2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.5%を含有する鋼片を熱間圧延し、これによって得られた鋼線材をスパイラル状に巻き取り、集束機に挿入してコイル状に結束し、冷却する、鋼線材の製造方法であって、
    前記集束機に挿入する際の鋼線材の表面温度を400℃以下、300℃超とし、コイル状に結束した鋼線材を前記集束機への挿入から50秒以内に200℃以下まで冷却する、伸線性に優れた鋼線材の製造方法。
  2. mass%でC:0.05〜1.2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.5%を含有する鋼片を熱間圧延し、これによって得られた鋼線材をスパイラル状に巻き取り、集束機に挿入してコイル状に結束し、冷却する、鋼線材の製造方法であって、
    前記集束機に挿入する際の鋼線材の表面温度を300℃以下、200℃超とし、コイル状に結束した鋼線材を前記集束機への挿入から60秒以内に200℃以下まで冷却する、伸線性に優れた鋼線材の製造方法。
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