JP5084206B2 - 伸線性に優れた鋼線材の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、かかる問題に鑑みなされたもので、鋼線材をコイル状に結束する際に二次スケールが剥離しても、伸線性が劣化しない鋼線材およびその製造方法を提供することを目的とする。
三次スケールは、先に述べたとおり、二次スケールが剥離し、鋼線材の新生面が大気に露出し、酸化されることにより生成するスケールである。三次スケールの構造をXRD(X線回折)で解析した結果、マグネタイト(Fe304)とサブスケール(Fe2SiO4)のピークのみが観察され、ウスタイト(FeO)を含有しないことが明らかになった。Fe−O系の平衡状態図によれば、570℃以上の温度ではウスタイト(FeO)が生成することから、三次スケールは比較的低温(570℃以下)で生成するスケールと考えられる。
表1に示す成分の鋼を転炉で溶製し、その鋼塊を分解圧延して155mm角のビレットを製作した。これを1150℃で加熱後、線径5.5mmの鋼線材に熱間圧延した。この熱間圧延した鋼線材を、常法に従って950℃の温度で巻き取り、コンベア(スチルモアコンベア)上を搬送させ、鋼線材を集束機へ挿入する(入れる)際の鋼線材の表面温度(以下、「挿入温度」という場合がある。)が450℃となるように冷却し、同温度にて鋼線材を集束機に挿入し、コイル状に結束し、結束したコイル状鋼線材を放冷した。なお、鋼線材の表面温度は、赤外線放射温度計によって測定された。
これら試料表面の反射率を波長:400nm〜800nmの範囲で測定し、測定した分光反射率のスペクトルから、XY色度表で色度表示を行った。その結果を図1に示す。図1より、300℃以上で加熱した試料(表面がブルーの色調の試料)はすべて色調がX≦0.35、Y≧0.25の範囲にあった。また、これら試料表面のスケールに対してXRDによるスケール構造(酸化物種)の同定を行った結果、マグネタイトスケールが形成されていることが確認された。
さらに、これら試料表面のスケールの厚みを以下の要領で測定した。試料を円筒形の樹脂に埋込み、試料断面が露出するように研磨し、露出断面をSEM観察し、撮影したスケール断面写真の寸法を計測することにより、スケール厚みを測定した。試料の加熱温度とスケール膜厚(平均膜厚)の関係を図2に示す。図2より、300℃以上で加熱した試料(表面がブルーの色調の試料)はスケール膜厚が0.05μm 以上であることが認められた。なお、図2は加熱時間が10分と長いため、250℃で加熱した場合でもスケール膜厚が0.05μm 以上となり、表面がブルーの色調を示した。
表1の鋼種Bの鋼を直径:4.5mm×2.4mmの円柱状に機械加工し、両端面及び周面を鏡面に仕上げ、試料とした。この試料を示差熱分析装置にセットし、200℃、250℃、300℃、350℃及び400℃の各温度で大気中にて1200秒間加熱し、加熱過程における重量変化(重量増加)を測定した。加熱後の試料表面のスケールの膜厚を前記要領で測定し、所定温度で1200秒間加熱した際の経過(保持)時間に対するスケール膜厚を求めた。その結果を図3に示す。また、加熱過程における重量変化(重量増加)のデータとスケール膜厚のデータを合わせて、加熱過程におけるスケール成長速度(スケール膜厚生成速度)を求めた。
鋼片を熱間圧延して鋼線材に加工し、前記鋼線材をスパイラル状に巻き取り、集束機に挿入してコイル状に結束し、そのコイルを冷却するに際し、集束機への鋼線材の挿入温度を400℃以下、300℃超とし、集束機への挿入から50秒以内に、あるいは挿入温度を300℃以下、200℃超とし、集束機への挿入から60秒以内に、コイル状に結束した鋼線材をそれぞれ200℃以下まで冷却する。
鋼線材の挿入温度への冷却は、例えば巻取機と集束機との間に設けたスチルモアコンベア上で熱間圧延後のスパイラル状の鋼線材をブロア等により冷却すればよい。集束機への挿入までは、鋼線材には二次スケールが被覆されているので、必ずしも不活性ガスを吹き付けながら冷却する必要はないが、このような冷却手段を採ることにより、三次スケールの生成を確実に防止することができる。また、不活性雰囲気下での集束機への鋼線材の挿入、結束、コイルの冷却は、集束機の周辺を壁面で囲い、鋼線材に不活性ガスを吹き付けながら結束し、200℃まで冷却すればよい。
C:0.05〜1.2%
Cは、鋼線材としての強度と靭性を支配する基本的な元素であり、高炭素化するほど強度は高くなる。0.05%未満では強度が低くなり過ぎ、一方1.2%を超えて過度に添加すると延性が低下してくる。このため、C量の下限を0.05%、その上限を1.2%とする。
Siは、フェライトに固溶して強度を高める作用があるほか、製鋼時の脱酸元素でもある。0.01%未満ではこれらの作用が過少であり、一方0.5%超になるとスケール生成量が減少すると共にスケール/地鉄界面にSi酸化物系の介在物が生成し易くなって、スケール密着性が高くなり、デスケーリング性が劣化するようになる。このため、Si量の下限を0.01%、その上限を0.5%とし、好ましくは0.1〜0.3%とする。
Mnは、脱酸剤として有効に作用するほか、不純物として混入するSを固定しその有害な作用を抑制して靭性を高め、更には鋼の焼入性を向上させる元素である。これらの作用を有効に発揮させるに、0.1%以上含有させる。一方、Mn過多になると偏析が起こり易くなり、冷却過程で偏析部にミクロマルテンサイトが生成して伸線加工性を劣化させるようになる。このため、Mn量の上限を1.5%とする。
Claims (2)
- mass%でC:0.05〜1.2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.5%を含有する鋼片を熱間圧延し、これによって得られた鋼線材をスパイラル状に巻き取り、集束機に挿入してコイル状に結束し、冷却する、鋼線材の製造方法であって、
前記集束機に挿入する際の鋼線材の表面温度を400℃以下、300℃超とし、コイル状に結束した鋼線材を前記集束機への挿入から50秒以内に200℃以下まで冷却する、伸線性に優れた鋼線材の製造方法。 - mass%でC:0.05〜1.2%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1〜1.5%を含有する鋼片を熱間圧延し、これによって得られた鋼線材をスパイラル状に巻き取り、集束機に挿入してコイル状に結束し、冷却する、鋼線材の製造方法であって、
前記集束機に挿入する際の鋼線材の表面温度を300℃以下、200℃超とし、コイル状に結束した鋼線材を前記集束機への挿入から60秒以内に200℃以下まで冷却する、伸線性に優れた鋼線材の製造方法。
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