JP2007070728A - メカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材およびその製造方法 - Google Patents

メカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007070728A
JP2007070728A JP2006220629A JP2006220629A JP2007070728A JP 2007070728 A JP2007070728 A JP 2007070728A JP 2006220629 A JP2006220629 A JP 2006220629A JP 2006220629 A JP2006220629 A JP 2006220629A JP 2007070728 A JP2007070728 A JP 2007070728A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
scale
steel wire
mass
property
amount
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006220629A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4971719B2 (ja
Inventor
Mikako Takeda
実佳子 武田
Takaaki Minamida
高明 南田
Takashi Onishi
隆 大西
Takeshi Kuroda
武司 黒田
Hidenori Sakai
英典 酒井
琢哉 ▲高▼知
Takuya Kochi
Tomotada Maruo
知忠 丸尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2006220629A priority Critical patent/JP4971719B2/ja
Publication of JP2007070728A publication Critical patent/JP2007070728A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4971719B2 publication Critical patent/JP4971719B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Winding, Rewinding, Material Storage Devices (AREA)

Abstract

【課題】 スケールロスによる歩留まり低下の軽減、及び、メカニカルデスケーリング(MD)前の時点でのスケール剥離(地鉄露出)による錆の発生の抑制がはかれ、MD性に優れた鋼線材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】C:0.05 〜1.2 質量%、Si:0.01〜0.5質量%、Mn:0.1 〜1.5質量%を含有する鋼線材において、スケール付着量が0.1 〜0.7 質量%であり、スケール中にFeO を30 vol%以上、Fe2SiO4 を0.01 〜10vol %含有することを特徴とするメカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材。
【選択図】なし

Description

本発明は、鋼線材およびその製造方法に関する技術分野に属するものであり、より詳細には、メカニカルデスケーリング(以降、MDともいう)性に優れた鋼線材およびその製造方法に関する技術分野に属するものである。
鋼片の熱間圧延により製造された鋼線材(以降、線材ともいう)の表面にはスケールが形成されており、線材の二次加工の伸線等に先立ち形成されたスケールを除去することが必要である。近年、線材の伸線加工においては、公害問題やコスト低減の観点から、スケール除去法としては、バッチ酸洗法から、メカニカルデスケーリング法(MD法)にかわりつつある。そのため、線材においてはメカニカルデスケーリング性(MD性)が良好なスケール特性を備えた線材の開発が望まれている。
このような観点から、MD性の良好なスケール性状を有する線材の製造方法として、下記(1) 〜(3) の方法が提案されている。
(1) 熱間圧延後、鋼線材を高温で巻き取ってスケールのFeO 比率を高めてスケール厚みを厚くし、線材の残留スケール量を低減する方法(特開平4-293721号公報、特開平11-172332 号公報記載の方法)。
(2) スケールの食い込みによるアンカー効果を防止するため、鋼線材の鋼−スケール界面粗度を低減する方法(特開平8-295992号公報記載の方法)。
(3) スケール内に気孔を含有させて、スケールの強度を低下させ、スケールの剥離性を改善する方法(特開平10-324923 号公報記載の方法)。
しかしながら、このような従来技術には以下のような問題がある。即ち、特開平4-293721号公報記載の方法や特開平11-172332 号公報記載の方法においては、高温で巻き取ってスケールを厚く形成するために線材ロスが生じて歩留まりの低下を引き起こす。また、過剰にスケールが成長すると、圧延中やコイリング時にスケールが剥離して地鉄が露出し、錆が発生する問題がある。更に、厚いスケールはMD工程で均一に取ることは非常にむずかしく、局部的に取り残した残留スケールが多くなると、伸線工程において潤滑不良により疵が発生したり、ダイス寿命が劣化するなどの問題を引き起こす。
鋼−スケール界面粗度を低減してMD性を向上させる方法(特開平8-295992号公報記載の方法)においては、界面粗度を目標以下に安定して得るのが困難で、安定的にスケールの除去処理を行うことが困難である。
スケール中に気孔を含有させる方法(特開平10-324923 号公報記載の方法)では、気孔を安定的にスケール中に導入するのが困難である上、気孔が逆に応力緩和の作用を示して亀裂が発生しにくくなり、剥離性が逆に悪くなる問題がある。
特開平4−293721号公報 特開平11−172332号公報 特開平8−295992号公報 特開平10−324923号公報
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、メカニカルデスケーリング性(MD性)に優れた鋼線材およびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を行なった結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、鋼線材に係わり、それは次のような構成としたものである。
即ち、本発明の鋼線材は、 C:0.05 〜1.2 質量%、Si:0.01〜0.5質量%、Mn:0.1 〜1.5質量%を含有する鋼線材において、スケール付着量が0.1 〜0.7 質量%であり、スケール中にFeO を30 vol%以上、Fe2SiO4 を0.01 〜10vol %含有することを特徴とするメカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材である。
本発明に係る鋼線材は、前記従来技術の有する問題点を解消することができ、メカニカルデスケーリング性(MD性)に優れた鋼線材であり、MDによるスケール除去を良好に行うことができる。
本発明に係る鋼線材は、前述の如く、C:0.05 〜1.2 質量%、Si:0.01〜0.5質量%、Mn:0.1 〜1.5質量%を含有する鋼線材において、スケール付着量が0.1 〜0.7 質量%であり、スケール中にFeOを30 vol%以上、Fe2SiO4 を0.01 〜10vol %含有することを特徴とするメカニカルデスケーリング性(MD性)に優れた鋼線材であることとしている。
本発明に係る鋼線材は、上記のように鋼線材の成分、スケールの付着量およびスケールの組成を特定したものである。以下、その特定の理由等について、説明する。
(1)鋼線材の成分について
Cは鋼の機械的性質を決定する主要元素である。鋼線材の必要強度確保のためには、C量は少なくとも0.05質量%(重量%)含有する必要がある。一方、C量が過多になると線材製造時の熱間加工性が劣化するので、熱間加工性を考慮して上限を1.2 質量%とする。従って、C:0.05 〜1.2 質量%(以下、%ともいう)とする。
Siは鋼の脱酸のために必要な元素であり、その含有量が少なすぎる場合は、脱酸効果が不充分となるため、下限を0.01%とする。一方、Siは過剰に添加すると、Fe2SiO4(ファイアライト)の過剰生成によりMD性が著しく劣化するほか、表面脱炭層の生成などの問題が生じるため、上限を0.50%とする。従って、Si:0.01〜0.50%とする。
Mnは鋼の焼入れ性を確保し、強度を高めるのに有用な元素である。このような作用を有効に発揮させるには0.1%以上添加することが必要であり、0.35%以上添加することが望ましい。ただし、過剰に添加すると、熱間圧延後の冷却過程で偏析を起こし、伸線加工性に有害なマルテンサイト等の過冷組織が発生しやすくなるため、1.5 %以下にすることが必要であり、0.8 %以下にすることが望ましい。従って、Mn:0.1 〜1.5 %とする。好ましくはMn:0.35〜0.8 %である。
なお、C、Si、Mn以外の成分は特には限定されず、残部は実質的にFeであるが、強度や疲労特性等の特性を更に向上させるために下記元素を添加することが望ましい。また、PやS、N、Al等の含有量を下記のように抑制することが望ましい。
〔Cu:0.01 〜0.2 %〕
Cuは、疲労特性を向上させるとともに、スケールと鋼の界面に濃化し、スケールを剥離しやすくする効果がある。この作用効果を発揮させるために、Cuを0.01%以上添加することが推奨される。ただし、過剰に添加するとスケール剥離がひどくなって線材の搬送中にスケールが剥がれ、さび発生の原因となる上、鋼の延性を低下させるので、Cuは0.2%以下とすることが好ましい。
〔Cr:0.1 〜0.3 %、Ni:0.1 〜0.3 %〕
Cr,Niはいずれも焼き入れ性を高めて強度向上に寄与する元素である。本作用を発揮させるために、Crを0.1 %以上、Niを0.1 %以上添加するのが好ましい。ただし、過剰に添加すると、マルテンサイトが発生しやすくなる上、スケールの密着性が過剰に高まりすぎて、MDで取れにくくなるので、Cr:0.3 %以下、Ni:0.3 %以下とするのがよい。これらの元素は単独で添加しても、併用してもよい。
〔Nb,V,Ti,Hf,Zrの1種以上:合計で0.003 〜0.1 %〕
Nb,V,Ti,Hf,Zrは、いずれも、微細な炭窒化物を析出して、高強度化に寄与する元素である。このような作用効果を有効に発揮させるために、Nb,V,Ti,Hf,Zrの1種以上:合計で0.003 %以上添加するのが好ましい。ただし、過剰に添加すると、延性が劣化するため、Nb,V,Ti,Hf,Zrの1種以上:合計で0.1 %以下とするのがよい。これらの元素は単独で添加しても、併用してもよい。
〔P含有量:0.02質量%以下(0質量%を含む)〕
Pは鋼の靭性・延性を劣化させる元素であり、伸線工程等における断線を防止するためにP量の上限を0.02%とすることが望ましい。従って、P含有量:0.02質量%以下(0質量%を含む)とすることが好ましい。より好ましくはP含有量:0.01%以下であり、更に好ましくはP含有量:0.005 %以下である。
〔S含有量:0.02%以下(0質量%を含む)〕
SもPと同様、鋼の靭性・延性を劣化させる元素であり、伸線やその後の撚り工程における断線を防止するためにS量の上限を0.02%とすることが望ましい。従って、S含有量:0.02%以下(0質量%を含む)とすることが好ましい。より好ましくはS含有量:0.01%以下、更に好ましくはS含有量:0.005 %以下である。
〔N:0.01%以下〕
Nは線材の靭性、延性を劣化させるため、0.01%以下とすることが望ましい。
〔Al:0.05%以下、Mg:0.01%以下〕
Al,Mgは脱酸剤として有効であるが、過剰に添加するとAl2O3 やMgO-Al2O3 等の酸化物系介在物が多く発生して断線が多発することから、Al:0.05%以下、Mg:0.01%以下とすることが望ましい。
〔B:0.001 〜0.005 %〕
Bは鋼中に固溶するフリーBとして存在することにより、第2層フェライトの生成を抑制することで知られており、特に縦割れの抑制が必要な高強度線材を製造するにはBの添加が有効である。このような作用効果を得るために、B:0.001 %以上添加するのが好ましい。ただし、0.005 %を超えて添加すると延性を劣化させるため、B:0.005 %以下とするのがよい。
(2)スケールの付着量
MD性はスケールの付着量が多い方が良くなることはよく知られているが、付着量が多すぎてもスケールロスによる歩留まり低下のほか、スケール層をMDで均一に除去できずに一部が残って、伸線性に悪影響を与える。
本発明者らは、MD性を改善させる適正なスケール付着量を検討した結果、0.1 〜0.7 質量%が最適であることを見出した。0.1 質量%より少ない場合は、マグネタイト主体の剥離性の悪いスケールとなり、スケール剥離性が悪くなる。一方、0.7 質量%を超えると、スケールが取れすぎて、圧延中や運搬中に剥離し、錆発生の原因となり、また、スケールロスの観点からも好ましくない。従って、スケール付着量:0.1 〜0.7 質量%とする。
(3)スケールの組成
スケールは、上層より Fe2O3、Fe3O4 、FeO 、Fe2SiO4 の4層からなる構造をとる。スケール中のFeO 量とMD性は明確な相関があり、FeO は Fe2O3、Fe3O4 に比べると脆く、強度が低いため、FeO 比率が高いほどMD性は改善され、FeO 比率が30 vol%以上であれば、良好なMD特性が得られる。
Fe2SiO4 の量が多すぎると、地鉄側に食い込んでMD性を著しく劣化させる。Fe2SiO4 量が適正な量であれば、Fe2SiO4 自体が非常に脆いため、界面部のFe2SiO4 層から亀裂が入ってスケール全体が界面より剥離(界面剥離)し、MD性が改善される。このFe2SiO4 の適正量は、0.01 〜10 vol%である。Fe2SiO4 量が0.01vol%より少ない場合は、Fe2SiO4 層に亀裂が入り難く、スケールの界面剥離が起こりにくい。一方、10 vol%を超えると、地鉄内にFe2SiO4 が楔状に食い込んでスケールが剥離しにくく、MD性が悪化する。
従って、FeO 量:30 vol%以上、Fe2SiO4 :0.01 〜10 vol%とする。
本発明に係る鋼線材は、以上のような理由により、前述のように鋼線材の成分、スケールの付着量およびスケールの組成を特定している。従って、前記従来技術の有する問題点を解消することができ、メカニカルデスケーリング性(MD性)に優れた鋼線材であり、MDによるスケール除去を良好に行うことができる。即ち、特開平4-293721号公報記載の方法や特開平11-172332 号公報記載の方法が有する問題点〔厚いスケール形成による歩留まり低下、MD前の時点でのスケール剥離(地鉄露出)による錆の発生、局部的残留スケールによる伸線工程での潤滑不良〕を解消し得ると共に、特開平8-295992号公報記載の方法が有する問題点〔鋼−スケール界面粗度調整の安定性欠如によるスケール除去処理の安定性欠如〕や特開平10-324923 号公報記載の方法が有する問題点〔スケール中への気孔の導入の安定性欠如、気孔の応力緩和作用によるスケール剥離性の低下〕を解消することができ、MD性に優れ、MDによるスケール除去を良好に行うことができる。
本発明に係る鋼線材の製造方法については、上記のように鋼線材の成分、熱間圧延後の鋼線材の巻取り温度、巻取り後の鋼線材の酸化方法を特定した条件下で行えば良い。以下、その条件ならびに特定の理由等について、説明する。
MD性はスケールの付着量と明確な相関があり、スケールの付着量が多い方がMD性は良くなり、残留スケール量が少なくなる。発明者らは、水蒸気を含有した湿潤雰囲気中で酸化させると酸化が促進され、MD性を改善させるに必要なスケール付着量(0.1〜0.7wt%)スケール組成が得られることを見出した。
本発明のスケール組成および付着量を得るには、熱間圧延を終了した鋼線材を750 〜850 ℃の温度で巻取りした後、水蒸気10〜40 vol%を添加した湿潤空気中で0.1〜60秒間、特に望ましくは2〜10秒間酸化させることによって得られる。
水蒸気酸化時間が0.1秒未満では、加速酸化効果が十分ではなく、MD性改善に必要なスケール付着量は得られない。時間が長すぎても、表面が酸化してFe3O4に変化し、FeOが減少するため、好ましくは60秒以下、より好ましくは30秒以下、さらに好ましくは10秒以下すれば良い。
鋼線材の成分を、C:0.05 〜1.2 質量%、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.1 〜1.5 質量%を含有するものとしている理由は、本発明に係る鋼線材の場合と同様である。
従って、本発明に係る鋼線材の製造に当たっては、上記成分を含有する鋼片を熱間圧延して鋼線材に加工することを前提とし、そして熱間圧延を終えた該鋼線材を前述した条件の下に水蒸気酸化処理を行えばよいものである。
かかる製造法により、C:0.05 〜1.2 質量%、Si:0.01〜0.50質量%、Mn:0.1 〜1.5質量%を含有する鋼線材において、スケール付着量が0.1 〜0.7 質量%であり、スケール中にFeO を30 vol%以上、Fe2SiO4 を0.01 〜10vol %含有する鋼線材、即ち、本発明に係る鋼線材を得ることができる。
なお、本発明に係る鋼線材において、鋼線材のスケール付着量(質量%)とは、鋼線材の質量に対するスケール(鋼線材に付着しているスケール)の質量の割合(百分率)のことである。即ち、鋼線材の質量をAgとし、この鋼線材に付着しているスケールの質量をBgとし、この鋼線材のスケール付着量をC質量%(重量%)とすると、C=100 ×B/Aである。
スケール中のFeO 、Fe2SiO4 の含有量(vol %)とは、スケールの体積に対するFeO 、Fe2SiO4 の体積の割合(百分率)のことである。即ち、鋼線材に付着しているスケールの体積をDcm3 とし、このスケールに含まれるFeO 、Fe2SiO4 の体積を各々Ecm3 、Fcm3 とし、このFeO 、Fe2SiO4 の含有量を各々G vol%、H vol%とすると、G=100 ×E/Dであり、H=100 ×F/Dである。
湿潤空気中の水蒸気量(vol%)は、鋼線材表面近傍の雰囲気中の水分量を測定することによって確認する。鋼材表面より50cm以内の高さ内の雰囲気ガスを採取して露点を測定することにより湿潤空気中の水分量(g/m3)を求め、気化水分量(vol%)に換算すると、湿潤雰囲気中の水蒸気量(vol%)が求められる。なお、水蒸気 10vol%は水分量で50g/m3(露点46℃)、水蒸気 40vol%は水分量で300g/m3(露点78℃)に相当する。
本発明の実施例および比較例について、以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1および表2に示す組成の鋼片(ビレット)を加熱炉で加熱し、次いで所定の線径の鋼線材に熱間圧延した後、この鋼線材を755 〜1010 ℃の温度でコイルに巻き取って床面上にループ状に載置した直後に湿潤空気中あるいは通常の空気中を走行させ、これら空気中に曝して酸化して鋼線材表面にスケールを形成させた。その後、コンベア(例えばステルモアコンベア)上に搬送して、所望の機械的特性が得られるよう、適宜適正な冷却条件で冷却させた。なお、この処理後の鋼線材はコイルに巻き取られた状態となっている。
上記処理後の鋼線材コイルの前端、中央部、後端より500mm 長さのサンプルを採取し、各々のサンプルより任意の3箇所をX線回折測定し、Fe2O3 、Fe3O4 、FeO 、Fe2SiO4 のピーク強度比からそれぞれの比率を求めた。更に、これらより各コイル(各鋼線材)での全体の平均値を求め、これを各コイル(各鋼線材)でのスケール組成値とした。
更に、各鋼線材のスケール付着量、及び、メカニカルデスケーリング性を、次のようにして調べた。各鋼線材コイルの前端、中央部、後端より長さ 250mmのサンプルを採取し、この重量測定をして重量(後述のチャック間距離200mm 相当部の重量:W3)を求めた。次に、このサンプルをチャック間距離200mm としてクロスヘッドに取り付け、これに4%の引っ張り歪を与えた後、チャックから取り外した。次に、このサンプルに風を吹きかけて線材表面のスケールを吹き飛ばし、この後、 200mm長さに切断して重量測定して重量(W1)を求め、次に、このサンプルを塩酸中に浸漬して線材表面に付着しているスケールを完全に剥離させ、再度重量を測定して重量(W2)を求めた。この重量測定の値から下記式(1) により残留スケール量を求めた。また、下記式(2) により鋼線材のスケール付着量を求めた。なお、コイルの前端、中央部、後端での残留スケール量の平均値を残留スケール量として用いた。コイルの前端、中央部、後端でのスケール付着量の平均値をスケール付着量として用いた。
残留スケール量(質量%)=100 ×(W1−W2)/W1-----式(1)
スケール付着量(質量%)=100 ×(W3−W2)/W3-----式(2)
上記測定の結果を表3および表4に示す。残留スケール量は多いほどMD性(メカニカルデスケーリング性)が悪く、残留スケール量が0.05質量%〔重量%(wt%)〕以下であるものを、MD性が良好と判定した。なお、表2の水蒸気濃度の欄において水蒸気濃度0、水蒸気酸化時間の欄において水蒸気酸化時間0のものは、湿潤空気中での酸化の処理をしなかったものである。
表3および表4からわかるように、表3のNo.2、6、8、9、11、13、15、18、18の1、20 、22および表4のNo.1、3、4、5、7、12(いずれも実施例)の場合は、鋼線材のスケール付着量が0.1 〜0.7 wt%であり、水蒸気添加をしていない表3のNo.2、13、28および表4のNo.2(いずれも比較例)と比べると、加速酸化されてスケールの付着量が増大し、しかもスケールの構造もFeO 、Fe2SiO4 の比率が増えて適正範囲内(FeO :30 vol%以上、Fe2SiO4 :0.01 〜10 vol%)にあるため、残留スケールが0.05wt%以下と少なく、MD性が良好である。
水蒸気を添加した場合でも、水蒸気濃度が少ない場合〔表3のNo.5および表4のNo.11(比較例)〕や、水蒸気酸化時間が短い場合〔No.4(比較例)〕には、加速酸化が不十分で、MD性が悪い。
また、水蒸気濃度が高すぎる場合〔表3のNo.7, 17, 21および表4のNo.6(比較例)〕は、過剰にスケールが生成するため、MD性は良好であるが、MDをしなくてもMD前の時点(圧延時や運搬中など)にスケールが剥がれ、錆が発生するなどの問題がある。
一方、水蒸気酸化時間が長すぎる場合〔表3のNo.3, 14,14の1、 24(比較例)〕は、スケール付着量は適正範囲内(0.1〜0.7 質量%)にあるが、長時間酸化されるためにFeO がFe3O4 に変化して、FeO比率が減り、また、Fe2SiO4 比率が大きくなりすぎ、良好なMD特性が得られない。
また、巻取り温度が高い場合〔表3のNo.10, 16, 23 および表4のNo.9(比較例)〕は、過剰にスケールが成長してスケールが圧延中(鋼線材への熱間圧延中)に剥離し、MD後の残留スケール量は少ないが、剥離面に錆が発生する。
Figure 2007070728
Figure 2007070728
Figure 2007070728
Figure 2007070728
本発明に係る鋼線材は、前記従来技術の有する問題点を解消することができ、MD性に優れた鋼線材であり、MDによるスケール除去を良好に行うことができるので、鋼線製造用の鋼線材(素線材)として好適に用いることができて有用である。

Claims (1)

  1. C:0.05 〜1.2 質量%、Si:0.01〜0.5質量%、Mn:0.1 〜1.5質量%を含有する鋼線材において、スケール付着量が0.1 〜0.7 質量%であり、スケール中にFeO を30 vol%以上、Fe2SiO4 を0.01 〜10vol %含有することを特徴とするメカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材。

JP2006220629A 2005-08-12 2006-08-11 メカニカルデスケーリング用鋼線材 Active JP4971719B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006220629A JP4971719B2 (ja) 2005-08-12 2006-08-11 メカニカルデスケーリング用鋼線材

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005234606 2005-08-12
JP2005234606 2005-08-12
JP2006220629A JP4971719B2 (ja) 2005-08-12 2006-08-11 メカニカルデスケーリング用鋼線材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007070728A true JP2007070728A (ja) 2007-03-22
JP4971719B2 JP4971719B2 (ja) 2012-07-11

Family

ID=37932438

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006220629A Active JP4971719B2 (ja) 2005-08-12 2006-08-11 メカニカルデスケーリング用鋼線材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4971719B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009263750A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Kobe Steel Ltd 鋼線材
WO2012093715A1 (ja) * 2011-01-07 2012-07-12 株式会社神戸製鋼所 鋼線材及びその製造方法
JP2014141716A (ja) * 2013-01-24 2014-08-07 Kobe Steel Ltd メカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材、および鋼線の製造方法
KR20200042117A (ko) * 2018-10-15 2020-04-23 주식회사 포스코 기계적 박리성이 우수한 고탄소강 선재 및 그 제조방법

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000319758A (ja) * 1999-03-10 2000-11-21 Nippon Steel Corp メカニカルデスケーリング後の残留スケールの少ない線材
JP2003171739A (ja) * 2001-12-05 2003-06-20 Kobe Steel Ltd 酸洗性に優れた鋼材及びその製造方法

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000319758A (ja) * 1999-03-10 2000-11-21 Nippon Steel Corp メカニカルデスケーリング後の残留スケールの少ない線材
JP2003171739A (ja) * 2001-12-05 2003-06-20 Kobe Steel Ltd 酸洗性に優れた鋼材及びその製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009263750A (ja) * 2008-04-28 2009-11-12 Kobe Steel Ltd 鋼線材
US8092916B2 (en) * 2008-04-28 2012-01-10 Kobe Steel, Ltd. Steel wire rod
WO2012093715A1 (ja) * 2011-01-07 2012-07-12 株式会社神戸製鋼所 鋼線材及びその製造方法
JP2012144756A (ja) * 2011-01-07 2012-08-02 Kobe Steel Ltd 鋼線材及びその製造方法
EP2662468A4 (en) * 2011-01-07 2015-05-27 Kobe Steel Ltd WIRE-MACHINE MATERIAL AND METHOD FOR ITS PRODUCTION
JP2014141716A (ja) * 2013-01-24 2014-08-07 Kobe Steel Ltd メカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材、および鋼線の製造方法
KR20200042117A (ko) * 2018-10-15 2020-04-23 주식회사 포스코 기계적 박리성이 우수한 고탄소강 선재 및 그 제조방법
KR102125275B1 (ko) * 2018-10-15 2020-06-23 주식회사 포스코 기계적 박리성이 우수한 고탄소강 선재 및 그 제조방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP4971719B2 (ja) 2012-07-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4958998B1 (ja) 鋼線材及びその製造方法
KR101103233B1 (ko) 강선재
JP4980471B1 (ja) 鋼線材及びその製造方法
US8216394B2 (en) Method for production of steel product with outstanding descalability; and steel wire with outstanding descalability
JP5179331B2 (ja) 伸線加工性およびメカニカルデスケーリング性に優れた熱間圧延線材およびその製造方法
WO2003066923A1 (fr) Fil d'acier possedant une excellente caracteristique de decalaminage en decalaminage mecanique et son procede de production
JP2007138259A (ja) 酸洗い性に優れたばね用鋼線材
JP4971719B2 (ja) メカニカルデスケーリング用鋼線材
JP4891709B2 (ja) メカニカルデスケーリング用鋼線材
JP4891700B2 (ja) メカニカルデスケーリング用鋼線材
JP4704978B2 (ja) スケール剥離性に優れた鋼材の製造方法。
JP4971720B2 (ja) メカニカルデスケーリング用鋼線材
JP2544142B2 (ja) メカニカル・デスケ−リング性良好な鋼線材
TWI762248B (zh) 沃斯田鐵系不鏽鋼
JP7295394B2 (ja) 無方向性電磁鋼板
JP2001107188A (ja) メカニカルデスケーリング後の残留スケールの少ない線材
KR20010011965A (ko) 기계적 스케일 박리성이 우수한 특수 와이어로프용 경강선재제조방법
JPH11181527A (ja) 表面肌の良好なオーステナイト系ステンレス快削鋼線材の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080926

A977 Report on retrieval

Effective date: 20101129

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110329

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Effective date: 20110330

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110407

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20110407

A521 Written amendment

Effective date: 20110408

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110525

A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20120228

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120312

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120403

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20120406

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150413

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150