JP4971720B2 - メカニカルデスケーリング用鋼線材 - Google Patents

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本発明は、鋼線材に関する技術分野に属するものであり、特には、搬送時にはスケール密着性が良く、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が良い鋼線材に関する技術分野に属するものである。
熱間圧延により製造された鋼線材(以降、線材ともいう)の表面にはスケールが形成されており、線材の二次加工の伸線等に先立ち形成されたスケールを除去することが必要である。近年、線材の伸線加工においては、公害問題やコスト低減の観点から、スケール除去法としては、バッチ酸洗法から、メカニカルデスケーリング法にかわりつつある。そのため、線材としてはメカニカルデスケーリング(以下、MDともいう)によりスケールが容易に剥離すること、即ち、メカニカルデスケーリング性が良好であることが望ましい。従来、スケールの制御は、スケール剥離性に重点を置き、Sなどの元素調整などにより行われてきた(特開昭60−169545号公報、特開平5−295484号公報)。
特開昭60−169545号公報 特開平5−295484号公報
しかしながら、スケール剥離性を良くすることにより、線材製造工程から伸線加工にいたる搬送工程でスケールが剥離して、地鉄表面が露出し、錆が生じてしまうことが問題となっていた。従って、線材の搬送時にはスケールが剥離しにくく、地鉄表面が露出されにくく、錆の発生を防止し得、かつ、伸線加工前のメカニカルデスケーリングで容易に剥離するスケールが付着した線材が求められている。つまり、搬送時にはスケール密着性が良く、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が良い線材(鋼線材)が求められている。
本発明はこのような事情に着目してなされたものであって、その目的は、搬送時にはスケール密着性が良くてスケールが剥離しにくく、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が良くてメカニカルデスケーリング性に優れた鋼線材を提供しようとするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意研究を行なった結果、本発明を完成するに至った。本発明によれば上記目的を達成することができる。
このようにして完成され上記目的を達成することができた本発明は、請求項1〜4記載のメカニカルデスケーリング用鋼線材(第1〜4発明)に係り、それは次のような構成としたものである。
即ち、請求項1記載の鋼線材は、C:0.05 〜1.2 質量%、Si:0.01〜0.5質量%、Mn:0.1 〜1.5 質量%、Cu:0.01〜0.2質量%、Al:0.05質量%以下、P:0.02質量%以下(0質量%を含む)、S:0.02%以下(0質量%を含む)、N:0.01%以下を含有し残部Feおよび不可避不純物からなる鋼線材において、鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面における鋼表面のスケール内に、スケールと鋼表面との界面を起点とし、スケール厚みの25%以上の長さを有するクラックが、界面長さ200μmあたり5〜20個存在することを特徴とするメカニカルデスケーリング用鋼線材である〔第1発明〕。
請求項2記載の鋼線材は、Cr:0.1 〜0.3 質量%および/またはNi:0.1 〜0.3 質量%を含有する請求項1記載のメカニカルデスケーリング用鋼線材である〔第2発明〕。
請求項記載の鋼線材は、Nb、Ti、V、Hf、Zrの1種以上を合計で0.003 〜0.1 質量%含有する請求項1〜3のいずれかに記載の鋼線材である〔第発明〕。
請求項記載の鋼線材は、B:0.001〜0.005質量%を含有する請求項1〜のいずれかに記載のメカニカルデスケーリング用鋼線材である〔第発明〕。
本発明に係る鋼線材は、搬送時にはスケール密着性が良くてスケールが剥離しにくく、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が良くてメカニカルデスケーリング性に優れている。従って、本発明に係る鋼線材によれば、搬送時のスケール剥離(地鉄表面の露出)による錆の発生が抑制されて錆が発生しにくくなると共に、メカニカルデスケーリングによるスケール除去を良好に行うことができるようになる。
本発明に係る鋼線材は、前述のように、C:0.05 〜1.2 質量%、Si:0.01〜0.5質量%、Mn:0.1 〜1.5 質量%を含有する鋼線材において、鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面における鋼表面のスケール内に、スケールと鋼表面との界面を起点とし、スケール厚みの25%以上の長さを有するクラックが、界面長さ200 μm あたり5〜20個存在することを特徴とする鋼線材であることとしている。
本発明に係る鋼線材は、上記のように鋼線材の成分、及び、スケール内の特定のクラックの個数を特定したものである。以下、その特定の理由等について、説明する。
(1)鋼線材の成分について
Cは鋼の機械的性質を決定する主要元素である。鋼線材の必要強度確保のためには、C量は少なくとも0.05 質量%(重量%)含有する必要がある。一方、C量が過多になると線材製造時の熱間加工性が劣化するので、熱間加工性を考慮して上限を1.2 質量%とする。従って、C:0.05 〜1.2 %質量%(以下、%ともいう)とする。
Siは鋼の脱酸のために必要な元素であり、その含有量が少なすぎる場合は、脱酸効果が不充分となるため、下限を0.01%とする。一方、Siは過剰に添加すると、Fe2SiO4(ファイアライト)の過剰生成によりメカニカルデスケーリング性が著しく劣化するほか、表面脱炭層の生成などの問題が生じるため、上限を0.5%とする。従って、Si:0.01〜0.5%とする。
Mnは鋼の焼入れ性を確保し、強度を高めるのに有用な元素である。このような作用を有効に発揮させるには0.1 %以上添加することが必要であり、0.35%以上添加することが望ましい。ただし、過剰に添加すると、熱間圧延後の冷却過程で偏析を起こし、伸線加工性に有害なマルテンサイト等の過冷組織が発生しやすくなるため、1.5 %以下にすることが必要であり、0.8 %以下にすることが望ましい。従って、Mn:0.1 〜1.5 %とする。好ましくはMn:0.35〜0.8 %である。
なお、C、Si、Mn以外の成分は特には限定されず、残部は実質的にFeであるが、強度等の特性を更に向上させるために下記元素を添加することが望ましい。また、AlやP、S、N等の含有量を下記のように抑制することが望ましい。
〔Cr:0.1 〜0.3 %および/またはNi:0.1 〜0.3 %〕
Cr,Niはいずれも焼き入れ性を高めて強度向上に寄与する元素である。このような作用効果を発揮させるために、Crを0.1 %以上、Niを0.1 %以上添加するのが好ましい。ただし、過剰に添加すると、マルテンサイトが発生しやすくなる上、スケールの密着性が過剰に高まりすぎて、メカニカルデスケーリングでスケールが取れにくくなるので、Cr:0.3 %以下および/またはNi:0.3 %以下とするのがよい〔第2発明〕。これらの元素は単独で添加しても、併用してもよい。
〔Cu:0.01〜0.2 %〕
Cuは、腐食疲労特性を向上させるとともに、スケールと鋼の界面に濃化し、スケールを剥離しやすくする効果がある。このような作用効果を発揮させるために、Cuを0.01%以上添加することが推奨される。ただし、過剰に添加するとスケール剥離がひどくなって線材の搬送中にスケールが剥がれ、錆発生の原因となる上、鋼の延性を低下させるので、Cu:0.2 %以下とするのがよい〔第3発明〕。
〔Nb,V,Ti,Hf,Zrの1種以上:合計で0.003 〜0.1 %〕
Nb,V,Ti,Hf,Zrは、いずれも、微細な炭窒化物を析出して、高強度化に寄与する元素である。このような作用効果を有効に発揮させるために、Nb,V,Ti,Hf,Zrの1種以上:合計で0.003 %以上を添加するのが好ましい。ただし、過剰に添加すると、延性が劣化するため、Nb,V,Ti,Hf,Zrの1種以上:合計で0.1 %以下とするのがよい〔第4発明〕。これらの元素は単独で添加しても、併用してもよい。
〔B:0.001 〜0.005 %〕
Bは鋼中に固溶するフリーBとして存在することにより、第2層フェライトの生成を抑制することで知られており、特に縦割れの抑制が必要な高強度線材を製造するにはBの添加が有効である。このような作用効果を得るために、B:0.001 %以上添加するのが好ましい。ただし、0.005 %を超えて添加すると延性を劣化させるため、B:0.005 %以下とするのがよい〔第6発明〕。
〔Al:0.05%以下、Mg:0.01%以下〕
Al,Mgは脱酸剤として有効であるが、過剰に添加するとAl2O3 やMgO-Al2O3 等の酸化物系介在物が多く発生して断線が多発する。かかる点から、Al:0.05%以下とすることが望ましく〔第5発明〕、また、Mg:0.01%以下とすることが望ましい。
〔P含有量:0.02質量%以下(0質量%を含む)〕
Pは鋼の靭性・延性を劣化させる元素であり、伸線工程等における断線を防止するためにP量の上限を0.02%とすることが好ましい。従って、P含有量:0.02質量%以下(0質量%を含む)とすることが好ましい。より好ましくはP含有量:0.01%以下であり、更に好ましくはP含有量:0.005 %以下である。
〔S含有量:0.02%以下(0質量%を含む)〕
SもPと同様、鋼の靭性・延性を劣化させる元素であり、伸線やその後の撚り工程における断線を防止するためにS量の上限を0.02%とすることが好ましい。従って、S含有量:0.02%以下(0質量%を含む)とすることが好ましい。より好ましくはS含有量:0.01%以下、更に好ましくはS含有量:0.005 %以下である。
〔N:0.01%以下〕
Nは線材の靭性、延性を劣化させるため、0.01%以下とすることが望ましい。
(2)スケール内の特定のクラックの個数について
本発明者らは、種々の鋼線材について、その断面を観察すると共に、スケール密着性及びメカニカルデスケーリング性の調査試験を行い、この結果に基づき、鋼線材の断面において観察されるスケール内のクラックとスケール密着性及びメカニカルデスケーリング性との関係を調べた。
その結果、鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面において観察される鋼表面のスケール内に、スケールと鋼表面との界面を起点とし、スケール厚みの25%以上の長さを有するクラック(以下、クラックAともいう)が、界面長さ200 μm あたり5〜20個認められる鋼線材は、搬送時にはスケール密着性が良くてスケールが剥離しにくく、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が良くてメカニカルデスケーリング性に優れていることを見出した。
上記のクラックAが界面長さ200 μm あたり5個未満しか認められない鋼線材は、搬送時にはスケール密着性が良くてスケールが剥離しにくいものの、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が悪くてメカニカルデスケーリング性に劣っている。クラックAが界面長さ200 μm あたり20個超認められる鋼線材は、搬送時にスケールが剥離して地鉄表面が露出し、保管時等に錆が発生する。
従って、鋼線材の搬送時にはスケール密着性が良くてスケールが剥離しにくく、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が良くてメカニカルデスケーリング性に優れているようにするには、鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面において観察される鋼表面のスケール内に、クラックAが界面長さ200 μm あたり5〜20個認められるようにするとよい。よって、本発明に係る鋼線材においては、鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面における鋼表面のスケール内に、スケールと鋼表面との界面を起点とし、スケール厚みの25%以上の長さを有するクラック(クラックA)が、界面長さ200 μm あたり5〜20個存在することに特定する。
なお、熱間圧延後の鋼線材には、スケールが5 〜20μm 程度付着するが、圧延後の巻き取り過程での鋼線材温度と雰囲気を制御することにより、クラックAが界面長さ200 μm あたり5〜20個存在するスケールを得ることができる。上記クラックAは、鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面を研磨し、光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡等により観察することができる。
本発明に係る鋼線材は、以上のような理由により、前述のように鋼線材の成分、及び、スケール内の特定のクラック(クラックA)の個数(個/界面長さ200 μm あたり)を特定している。故に、搬送時にはスケール密着性が良くてスケールが剥離しにくく、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が良くてメカニカルデスケーリング性に優れている。従って、本発明に係る鋼線材によれば、搬送時のスケール剥離(地鉄表面の露出)による錆の発生が抑制されて錆が発生しにくくなると共に、メカニカルデスケーリングによるスケール除去を良好に行うことができるようになる。
前述のクラックA(スケールと鋼表面との界面を起点とし、スケール厚みの25%以上の長さを有するクラック)が界面長さ200 μm あたり5〜20個存在するスケール(以下、本発明に係るスケールともいう)を得るためには、熱間圧延後の鋼線材を水蒸気雰囲気(大気中に水蒸気を添加した雰囲気)中で酸化させることが望ましい。
熱間圧延後の鋼線材を水蒸気雰囲気で酸化(水蒸気酸化)すると、水蒸気がスケール内に一気に内方拡散してスケールと鋼表面との界面に達し、鋼内を直接酸化してウスタイトを形成するため、上層のウスタイトとの整合性の良い界面が生成されて、スケールの密着性を高める効果がある。一方で、水蒸気によってスケールが急激に成長するため、成長応力によるクラックが発生して、スケールが剥離しやすくなる。これらの相反する効果を適正に制御して、所望のスケールを得るためには、水蒸気雰囲気で酸化(水蒸気酸化)する温度と時間と水蒸気量を適正に制御することが必要である。具体的には、800 ℃〜1015 ℃程度(特に800 ℃〜930 ℃が好ましい)で、できるだけ短時間で水蒸気酸化すると、密着性を確保しつつ、適正なクラックを有するスケール(本発明に係るスケール)を得ることができる。あまり長時間水蒸気酸化を行うと、成長応力によるクラックが多数発生し、本発明に係るスケールが得られない。水蒸気雰囲気としては大気中に水蒸気を10〜40 vol%(水分量50〜300g/m3 )を添加した雰囲気が適切であり、熱間圧延後に水蒸気効果を発揮できる800 〜930 ℃程度で、この適切な雰囲気内で5秒以内酸化させると、本発明に係るスケールが得られる。水蒸気量が多すぎても、加速酸化が進みすぎて、成長応力によるクラックが多数発生し、本発明に係るスケールが得られない。
水蒸気雰囲気中の水蒸気量(vol%)は、鋼線材表面近傍の雰囲気中の水分量を測定することによって確認する。鋼材表面より50cm以内の高さ内の雰囲気ガスを採取して露点を測定することにより水蒸気雰囲気中の水分量(g/m3)を求め、気化水分量(vol%)に換算すると、水蒸気雰囲気中の水蒸気量(vol%)が求められる。なお、水蒸気 10vol%は水分量で50g/m3(露点46℃)、水蒸気 40vol%は水分量で300g/m3(露点78℃)に相当する。
鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面の例を図1に示す。この図1において、a、b、cはいずれもスケールと鋼表面との界面を起点とするクラックを示すものである。aのクラックは長さがスケール厚みの25%未満のクラックである。bのクラックは長さがスケール厚みの25%のクラックであり、cのクラックは長さがスケール厚みの25%超のクラックである。これらの中、bのクラック、cのクラックは、クラックA(スケールと鋼表面との界面を起点とし、スケール厚みの25%以上の長さを有するクラック)に相当する。なお、スケール表面を示す線およびスケールと鋼表面との界面を示す線は、厳密には円弧となるが、通常、鋼線材の直径が5mm程度、スケールの厚みが10μm 程度であり、拡大すると、スケール表面を示す線およびスケールと鋼表面との界面を示す線は、直径の極めて大きい円弧となり、ほぼ直線に近くなってくるので、直線にした。
本発明の実施例および比較例について、以下説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
表1および表2に示す組成の鋼片(ビレット)を加熱炉で加熱し、次いで線径5.5mm の鋼線材に熱間圧延した後、鋼線材が800 ℃〜930 ℃程度の温度域にある巻き取り後に、この鋼線材を水蒸気雰囲気中を通過させて水蒸気酸化処理を行った。このとき、圧延後の冷却速度を変えると、水蒸気雰囲気中通過時間が変わり、水蒸気酸化処理時間が変化して、スケールの性状(クラック発生状態、スケール剥離面積)が変わる。
上記水蒸気酸化処理後の鋼線材から断面(鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面)観察用試料を任意に3個所採取し、各断面観察用試料を研磨した後、光学顕微鏡により各断面を観察し、断面組織写真を16点、500 倍の倍率で撮影した。この写真より、界面長さ200 μm あたりのスケール中のクラックAの個数を測定した。即ち、断面上のスケール内に認められるクラックであって、スケールと鋼表面との界面を起点とし、スケール厚みの25%以上の長さを有するクラック(クラックA)について、界面長さ200 μm あたりのクラック個数を測定し、この平均値を求めた。
また、上記水蒸気酸化処理後の鋼線材でのスケールの付着状態を、次のようにして調べた。鋼線材コイルの前端部、中央部、後端部より各々500mm 長さのサンプルを採取し、各々のサンプルについてスケールが剥離した個所の面積(スケール剥離面積)を測定し、各々のサンプルの全表面に対するスケール剥離面積の割合を求めた。この割合が大きいほど、圧延後(水蒸気酸化処理後)の鋼線材のスケール剥離が大きく、60%超のものを×(極不良)、40〜60%(40%を含まず)のものを△(不良)、20〜40%(20%を含まず)のものを○(良好)、20%以下のものを◎(極良好)とした。なお、◎、○のものについては、圧延後(水蒸気酸化処理後)はスケールが安定して付着しており、防錆剤の塗布等を必要としない水準のものである。
更に、上記水蒸気酸化処理後の鋼線材のメカニカルデスケーリング性を、次のようにして調べた。鋼線材コイルの前端部、中央部、後端部より長さ 250mmのサンプルを採取し、これをチャック間距離200mm としてクロスヘッドに取り付け、これに4%の引っ張り歪を与えた後、チャックから取り外した。次に、このサンプルに風を吹きかけて線材表面のスケールを吹き飛ばし、この後、 200mm長さに切断して重量測定して重量(W1)を求め、次に、このサンプルを塩酸中に浸漬して線材表面に付着しているスケールを完全に剥離させ、再度重量を測定して重量(W2)を求めた。この重量測定の値から下記式(1) により残留スケール量を求めた。このようにして求められた鋼線材コイルの前端部、中央部、後端部での残留スケール量の平均値を、歪付与後のスケール残留量とした。この歪付与後のスケール残留量が多いほどメカニカルデスケーリング性が悪く、この歪付与後のスケール残留量が0.05質量%〔重量%(wt%)〕以下であるものを、メカニカルデスケーリング性が良好と判定した。
残留スケール量(質量%)=100 ×(W1−W2)/W1 -----式(1)
上記測定の結果を表3および表4に示す。これらからわかるように、表3のNo.1、12および表4のNo.8(いずれも比較例)の場合は、界面長さ200 μm あたりのスケール中のクラックAの個数が5個未満であり、圧延後(水蒸気酸化処理後)の鋼線材のスケール剥離面積の割合が小さくてスケール付着状態は◎(極良好)であるが、歪付与後のスケール残留量は0.05wt%よりも大きくてメカニカルデスケーリング性が悪い。
表3のNo.3、5 、7 、11、14、16および表4のNo.6 、9 、12(いずれも比較例)の場合は、界面長さ200 μm あたりのスケール中のクラックAの個数が20個超であり、歪付与後のスケール残留量は0.05wt%以下であってメカニカルデスケーリング性が良好であるが、圧延後(水蒸気酸化処理後)の鋼線材のスケール剥離面積の割合が大きくてスケール付着状態は×(極不良)または△(不良)である。
これに対し、表3のNo.2、4 、6 、8 〜10、13、15および表4のNo.1、3 、4 、5、7、10、11、13(いずれも本発明の実施例)の場合は、界面長さ200 μm あたりのスケール中のクラックAの個数が5〜20個の範囲内にあり、圧延後(水蒸気酸化処理後)の鋼線材のスケール剥離面積の割合が小さくてスケール付着状態は◎(極良好)または○(良好)であると共に、歪付与後のスケール残留量は0.05wt%以下であってメカニカルデスケーリング性が良好である。
Figure 0004971720
Figure 0004971720
Figure 0004971720
Figure 0004971720
本発明に係る鋼線材は、搬送時にはスケール密着性が良くてスケールが剥離しにくいため、長期間保存しても錆が発生せず、更に、メカニカルデスケーリング時にはスケール剥離性が良くてメカニカルデスケーリング性に優れているので、鋼線製造用の鋼線材(素線材)として極めて好適に用いることができて非常に有用である。
鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面の例を示す模式図である。
符号の説明
a--クラック、b--クラック、c--クラック。

Claims (4)

  1. C:0.05〜1.2質量%、Si:0.01〜0.5質量%、Mn:0.1〜1.5質量%、Cu:0.01〜0.2質量%、Al:0.05質量%以下、P:0.02質量%以下(0質量%を含む)、S:0.02%以下(0質量%を含む)、N:0.01%以下を含有し残部Feおよび不可避不純物からなる鋼線材において、鋼線材の長手方向に対して垂直方向の断面における鋼表面のスケール内に、スケールと鋼表面との界面を起点とし、スケール厚みの25%以上の長さを有するクラックが、界面長さ200μmあたり5〜20個存在することを特徴とするメカニカルデスケーリング用鋼線材。
  2. Cr:0.1〜0.3質量%および/またはNi:0.1〜0.3質量%を含有する請求項1記載のメカニカルデスケーリング用鋼線材。
  3. Nb、Ti、V、Hf、Zrの1種以上を合計で0.003〜0.1質量%含有する請求項1〜2のいずれかに記載のメカニカルデスケーリング用鋼線材。
  4. B:0.001〜0.005質量%を含有する請求項1〜3のいずれかに記載のメカニカルデスケーリング用鋼線材。
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