JP4835988B2 - マウントブラケット - Google Patents

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この発明はマウントブラケットに係り、特に、剛性を向上させて外力に対して変形しにくい構造とし、パワートレインから車体へ伝達される振動を低減できるマウントブラケットに関する。
車両においては、エンジンルームに搭載されたエンジン及びトランスミッションからなるパワートレインの運転時の振動が車体へ伝播するのを抑制するために、マウントインシュレータを介してパワートレインを車体に弾性的に支持している。図3に示すように、マウントインシュレータ101は、外筒102内に弾性体103を介して内筒104を支持し、この内筒104と車体またはパワートレインとの間をマウントブラケット105により連絡している。
マウントブラケット105は、内筒104を挟む一対の側壁106、107とこれら側壁106、107の端部を連絡する連絡壁108とを有する第1金属板109と、連絡壁108の外周面及び一対の側壁106、107の延長面と略直交するように延びるとともに車体またはパワートレインに当接される第2金属板110と、第1金属板109と第2金属板110とを対向する方向から挟み込む一対の補強用金属板111、112とを備え、各金属板109〜112を溶接Wによって接合している。
従来のマウントブラケットには、互いに対向して配置された2つの壁板と、この2つの壁板のそれぞれの一辺部を互いに結ぶ覆板とを備え、前記2つの壁板と前記覆板とを溶接で結合したものがある。
特開2002−274197号公報
また、従来のマウントブラケットには、マウントインシュレータを挟む一対の側壁と連絡壁とからなる第1金属板と、第1金属板の連絡壁及び一対の側壁と略直交し車体またはパワートレインに固定される第2金属板と、第1金属板及び第2金属板を対向する方向から挟む一対の補強用金属板とから構成され、これら金属板を溶接で固着したものがある。
特開2005−59757号公報
ところで、従来の図3に示すマウントブラケット105においては、マウントインシュレータ101の内筒104を挟む一対の側壁106、107とこれら側壁106、107の端部を連絡する連絡壁108とを有する第1金属板9と、連絡壁108の外周面及び一対の側壁106、107の延長面と略直交するように延びるとともに車体またはパワートレインに当接される第2金属板110と、第1金属板109と第2金属板110とを対向する方向から挟み込む一対の補強用金属板111、112とを備え、各金属板109〜112を溶接によって接合している。
ところが、このような構造のマウントブラケット105では、複数の金属板109〜112をプレス成型しているので、スプリングバック等の影響で第1金属板109に寸法誤差が生じ易い一方、一対の補強用金属板111、112の間隔は第2金属板110によって規制されており、溶接するために相互に当接された各金属板109〜112の間に隙間が生じ易い問題がある。
このため、各金属板109〜112の間に隙間が生じたマウントブラケット105は、この状態で各金属板109〜112を溶接すると、マウントブラケット105の剛性が低下してパワートレインの振動を車体に伝え易くなる不都合があった。また、各金属板109〜112の間に隙間が生じた状態で溶接されたマウントブラケット105は、マウントブラケット自体の耐久性が低下する問題があった。
この発明は、複数の金属板を溶接で接合して構成され、マウントインシュレータの内筒と車体またはパワートレインの固定部との間を連絡するマウントブラケットについて、マウントブラケットの剛性及び、マウントブラケットと車体またはパワートレインとの結合剛性を向上させ、パワートレインから車体に伝達される振動を低減するともに、マウントブラケットの耐久性向上を図ることを目的とする。
この発明は、マウントインシュレータの外筒内に弾性体を介して内筒を支持し、この内筒と車体またはパワートレインの固定部との間を連絡するマウントブラケットであって、前記内筒を挟む一対の側壁とこれら側壁の端部を連絡する連絡壁とを有する第1金属板と、前記連絡壁の外周面及び前記側壁の延長面と略直交するように延びるとともに前記車体またはパワートレインの固定部に当接される第2金属板と、前記第1金属板と前記第2金属板とを対向する方向から挟み込む一対の補強用金属板とを備え、各金属板を溶接によって接合したマウントブラケットにおいて、前記補強用金属板に前記第2金属板を挿入する切欠き部を形成し、前記第2金属板の端部を前記補強用金属板から外方に突出させたことを特徴とする。
この発明のマウントブラケットは、第1金属板の一対の側壁がスプリングバック等によって変形し、側壁の間隔や傾きに寸法誤差が生じた場合にも、切欠き部によって寸法誤差を吸収して各金属板を隙間の無い状態で溶接できるように相互に当接させることができる。
そのため、この発明のマウントブラケットは、マウントブラケットの剛性を向上させて外力に対して変形しにくい構造とすることができ、パワートレインから車体へ伝達される振動を低減することができる。
この発明のマウントブラケットは、複数の金属板を溶接で接合して構成され、マウントインシュレータの内筒と車体またはパワートレインの固定部との間を連絡するマウントブラケットについて、切欠き部によって寸法誤差を吸収して各金属板を隙間の無い状態で溶接できるようにすることで、マウントブラケットの剛性及び、マウントブラケットと車体またはパワートレインとの結合剛性を向上させるものである。
以下図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
図1〜図2は、この発明の実施例を示すものである。図1(A)〜(D)はマウントブラケットの平面図及び各側面図、図2は車両のエンジンルームの平面図である。
図2において、1は車両、2は車体、3は右サイドフレーム、4は左サイドフレーム、5はクロスメンバ、6はダッシュパネル、7はエンジンルームである。車両1は、車体2の前側に右・左サイドフレーム3・4とクロスメンバ5とダッシュパネル6とに囲まれるエンジンルーム7を形成している。このエンジンルーム7には、エンジン8及びトランスミッション9からなるパワートレイン10を配設している。
パワートレイン10は、マウントインシュレータ11を介して車体2に弾性的に支持されている。マウントインシュレータ11は、マウントブラケット12で車体2に連絡し、また、マウントブラケット13でパワートレイン10に連絡している。
マウントインシュレータ11は、図1(A)に示すように、外筒14内に弾性体15を介して内筒16を同心状に支持した構造である。マウントインシュレータ11は、図2に示すように、外筒14と車体2の右サイドフレーム3に設けた固定部17との間を車体側の前記マウントブラケット12で連絡し、また、内筒16とパワートレイン10のエンジン8に設けた固定部18との間をパワートレイン側の前記マウントブラケット13で連絡している。
マウントインシュレータ11の内筒16と車体2の固定部17またはパワートレイン10の固定部18とを連絡するマウントブラケット12・13、この実施例において、内筒16とパワートレイン10の固定部18とを連絡するマウントブラケット13は、複数の第1金属板19、第2金属板20、一対の補強用金属板21、22を備え、これら複数の金属板19、20、21、22を溶接Wで接合して構成される。
前記第1金属板19は、前記マウントインシュレータ11の内筒16を軸方向両側から挟む一対の平行な側壁23、24と、これら側壁23、24の長手方向一側の端部を連絡する連絡壁25とを有し、平面視で略U字形状に形成される。一対の側壁23、24には、長手方向他側の端部にボルト挿通孔26、27を形成している。
前記第2金属板20は、前記連絡壁25の外周面28及び前記側壁23、24の各外面29、30の延長面と略直交するように延びる平面視で略長四角形状に形成され、幅方向一側の側縁31が連絡壁25の外周面28に当接されるとともに厚さ方向一側の平面32が前記パワートレイン10の固定部18の固定面33に当接される。第2金属板20には、複数のボルト挿通孔34を形成している。
前記一対の補強用金属板21、22は、前記第1金属板19と前記第2金属板20とを対向する方向から挟み込む補強壁35、36と、これら補強壁35、36の上下方向両縁から夫々突出される各一対の突縁37、38・39、40とを有し、側面視で略台形状に形成される。補強壁35、36は、各内面41、42を第1金属板19の一対の側壁23、24の各外面29、30に当接される。
これら各金属板19、20、21、22は、溶接Wによって接合している。
前記マウントインシュレータ11には、図2に示すように、外筒14の外周に車体側のマウントブラケット12の中間を固着し、図1(A)に示すように、内筒16とこの内筒14を挟んだ第1金属板19の側壁23、24のボルト挿通孔26、27とに取付ボルト43を挿通して取付ナット44を螺着して締め付ける。
車体側のマウントブラケット12は、図2に示すように、固定ボルト45によって車体2の右サイドフレーム3に設けた固定部17に固定される。パワートレイン側のマウントブラケット13は、固定ボルト46によってパワートレイン10のエンジン8に設けた固定部18に固定される。
これにより、パワートレイン10は、マウントインシュレータ11を介して車体2の右サイドフレーム3に弾性的に支持される。なお、パワートレイン10は、図2に示すように、右サイドフレーム3だけでなく、別のマウントインシュレータ11を介して車体2の左サイドフレーム4にも弾性的に支持される。
このマウントブラケット13は、図1(B)(C)(D)に示すように、一対の補強用金属板21、22に第2金属板20を挿入する切欠き部47、48を形成している。補強用金属板21、22の切欠き部47、48には、第2金属板20の長手方向の端部49、50を係合させて、補強用金属板21、22から外方に突出させている。
これにより、このマウントブラケット13は、第1金属板19の一対の側壁23、24がスプリングバック等によって変形し、側壁23、24の間隔や傾きに寸法誤差が生じた場合にも、補強用金属板21、22の切欠き部47、48によって寸法誤差を吸収して、各金属板19、20、21、22を隙間の無い状態で溶接できるように相互に当接させることができる。
そのため、このマウントブラケット13は、マウントブラケット13の剛性を向上させて外力に対して変形しにくい構造とすることができ、パワートレイン10から車体2へ伝達される振動を低減することができる。
また、このマウントブラケット13は、図1(A)(C)に示すように、前記一対の補強用金属板21、22のうち、一方の補強用金属板21に、切欠き部47を挟んで対向する一対の支持片51、52を設けている。一対の支持片51、52は、一方の支持片51を他方の支持片52に対して所定角度θだけ外方に折り曲げ、各支持片51、52を第2金属板20の端部49に溶接Wで接合している。
これにより、このマウントブラケット13は、マウントブラケット13がパワートレイン10のローリング振動等によって捻られ、補強用金属板21、22が第2金属板20に対して倒れる方向に動きが生じた場合、各支持片51、52を脚部として突っ張らせ、補強用金属板21、22の倒れを防止することができる。
そのため、このマウントブラケット13は、マウントブラケット13の剛性を向上させてパワートレイン10から車体2へ伝達される振動を低減することができる。また、このマウントブラケット13は、各支持片52、53を第2金属板20に溶接する際に、溶接時の熱が第2金属板20の同一部位に集中することに起因する強度低下を防ぐことができ、マウントブラケット13の耐久性を向上することができる。
さらに、このマウントブラケット13は、図1(C)に示すように、前記一対の支持片51、52のうち、パワートレイン10の固定部18の側面53に対向する一方の支持片51を、他方の支持片52に対して外方に突出するように折り曲げている。
これにより、このマウントブラケット13は、第2金属板20に当接されるパワートレイン10の固定部18の固定面33を拡大することができ、マウントブラケット13とパワートレイン10の固定部18との結合剛性を向上することができる。
そのため、このマウントブラケット13は、さらにパワートレイン10から車体2へ伝達される振動を低減することができる。
この発明のマウントブラケットは、複数の金属板を溶接で接合して構成され、マウントインシュレータの内筒と車体またはパワートレインの固定部との間を連絡するマウントブラケットの剛性及び、マウントブラケットと車体またはパワートレインとの結合剛性を向上させるものであり、車両にパワートレインをマウントインシュレータによって弾性的に支持する場合の用途に適用できる。
マウントブラケットの実施例を示し、(A)は平面図、(B)は前側面図、(C)は左側面図、(D)は後側面図である。 車両のエンジンルームの平面図である。 マウントブラケットの従来例を示し、(A)は平面図、(B)は左側面図である。
符号の説明
1 車両
2 車体
3 右サイドフレーム
7 エンジンルーム
8 エンジン
9 トランスミッション
10 パワートレイン
11 マウントインシュレータ
13 マウントブラケット
14 外筒
15 弾性体
16 内筒
18 固定部
19 第1金属板
20 第2金属板
21、22 補強用金属板
23、24 側壁
25 連絡壁
47、48 切欠き部
49、50 端部
51、52 支持片

Claims (3)

  1. マウントインシュレータの外筒内に弾性体を介して内筒を支持し、この内筒と車体またはパワートレインの固定部との間を連絡するマウントブラケットであって、前記内筒を挟む一対の側壁とこれら側壁の端部を連絡する連絡壁とを有する第1金属板と、前記連絡壁の外周面及び前記側壁の延長面と略直交するように延びるとともに前記車体またはパワートレインの固定部に当接される第2金属板と、前記第1金属板と前記第2金属板とを対向する方向から挟み込む一対の補強用金属板とを備え、各金属板を溶接によって接合したマウントブラケットにおいて、前記補強用金属板に前記第2金属板を挿入する切欠き部を形成し、前記第2金属板の端部を前記補強用金属板から外方に突出させたことを特徴とするマウントブラケット。
  2. 前記補強用金属板には前記切欠き部を挟んで対向する一対の支持片を設け、一方の支持片を他方の支持片に対して所定角度折り曲げ、各支持片を前記第2金属板に溶接で接合したことを特徴とする請求項1に記載のマウントブラケット。
  3. 前記一対の支持片のうちパワートレインの固定部の側面に対向する一方の支持片を、他方の支持片に対して外方に突出するように折り曲げたことを特徴とする請求項2に記載のマウントブラケット。
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