本発明を実施するための最良の形態について、以下に図面を用いて詳細に説明する。
参考例の発明に係るプレス機械の概略図を図1aに示す。プレス機ボルスター1にダイ4が、プレス機スライド3にポンチ2が取り付けられている。ここでは、ポンチ2はプレス機スライド3に連動して移動する。また、参考例の発明に係る別のプレス機械の概略図を図1bに示す。プレス機ボルスター1にポンチ2が、プレス機スライド3にダイ4が取り付けられている。ここでは、ダイ4はプレス機スライド3に連動して移動する。
図1aまたは図1bのどちらの構成であっても、第1の動力伝達機構6aは複数の支持手段21でプレス機スライド3を駆動自在であり、かつ衝撃緩衝機構8aを有する。また、第1のサーボモーター5aは第1の動力伝達機構6aを介してプレス機スライド3を駆動する。
参考例の発明に係るプレス機械の概略図を図1cに示す。
プレス機ボルスター1にポンチ2が、プレス機スライド3にダイ4が取り付けられている。ここでは、ダイ4はプレス機スライド3に連動して移動する。また、図1cのプレス機械はしわ押さえ金型7を有し、被加工材9にしわ押さえ加重を付与することが可能である。
第1の動力伝達機構6aは複数の支持手段21でプレス機スライド3を駆動自在であり、かつ衝撃緩衝機構8aを有する。また、第1のサーボモーター5aは第1の動力伝達機構6aを介してプレス機スライド3を駆動する。
参考例の発明に係るプレス機械の概略図を図2に示す。
プレス機ボルスター1にポンチ2が、プレス機スライド3にダイ4が取り付けられている。ここでは、ダイ4はプレス機スライド3に連動して移動する。また、図2のプレス機械はしわ押さえ金型7を有し、被加工材9にしわ押さえ加重を付与することが可能である。
第2の動力伝達機構6bは複数の支持手段22でしわ押さえ金型7を駆動自在であり、かつ衝撃緩衝機構8bを有する。また、第2のサーボモーター5bは第2の動力伝達機構6bを介してしわ押さえ金型7を駆動する。
参考例に係るプレス機械の概略図を図3に示す。
参考例に係るプレス機械の概略図を図3に示す。
プレス機ボルスター1にポンチ2が、プレス機スライド3にダイ4が取り付けられている。ここでは、ダイ4はプレス機スライド3に連動して移動する。また、図3のプレス機械はしわ押さえ金型7を有し、被加工材9にしわ押さえ加重を付与することが可能である。
第1の動力伝達機構6aは複数の支持手段21でプレス機スライド3を駆動自在であり、かつ衝撃緩衝機構8aを有する。また、第1のサーボモーター5aは第1の動力伝達機構6aを介してプレス機スライド3を駆動する。
第2の動力伝達機構6bは複数の支持手段22でしわ押さえ金型7を駆動自在であり、かつ衝撃緩衝機構8bを有する。また、第2のサーボモーター5bは第2の動力伝達機構6bを介してしわ押さえ金型7を駆動する。
次に衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bについて説明する。
衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bは、その設置される場所がそれぞれ動力伝達機構6a、動力伝達機構6bと異なるが、構成・機能については同じである。
よって、衝撃緩衝機構8bについて図4を用いて説明する。
図4では、複数のボールねじ12a、12b、12cと衝撃緩衝機構8bから構成される動力伝達機構6bを用いてしわ押さえ金型7を支持・駆動している。ここで動力伝達機構6bは複数のボールねじ12a、12b、12cと衝撃緩衝機構8bのみで構成されているが、構成はこの限りではなく、リンク機構やギア列が構成の一部として存在しても構わない。衝撃緩衝機構8bは、図に示すように、ボールねじ12a、12b、12cとしわ押さえ金型7の間に設置されるのが好ましいが、動力伝達機構6bの構成にリンク機構やギア列が存在すれば、その一部に設置されても構わない。
衝撃緩衝機構8bは圧力室10と絞り付き流路11より構成されることが好ましい。図2では圧力室10はボールねじ1本に対して1個設けられているが、ボールねじ1本に対して複数個であっても構わない。圧力室10には流体が充填されており、ボールねじ駆動による動力は圧力室10に充填されている流体を経由してしわ押さえ金型7に伝達される。絞り付き流路11は圧力室10を図のように繋いでおり、圧力室間に圧力差が生じた場合は充填されている流体が絞り付き流路11を経由して移動できるようになっている。絞り付き流路11による圧力室10の繋ぎ方は図に示す限りではなく、どの圧力室10どうしが絞り付き流路11で繋がれていても良いし、またそのとき絞り付き流路11は複数本でも良い。
衝撃緩衝機構8bとして、圧力室10と絞り付き流路11より構成され、粘性流体の粘性抵抗を利用してダンパー効果を得るものを例示したが、衝撃緩衝機構8bの構成はこの限りではない。粘性流体ではなく、ゴムなどの粘弾性材からなる制振材を利用してダンパー効果を得る、圧電素子と分岐回路を組み合わせて分岐回路内抵抗による熱散逸を利用してダンパー効果を得る、ソレノイド(リニアモーター)を利用して電磁誘導によるダンパー効果を得る、などが考えられる。
次に、衝撃緩衝機構8bの効果について図5、図6、図7、図8を用いて説明する。
図5では、ボールねじ12aとボールねじ12bの2本のボールねじでしわ押さえ金型7を支持・駆動している。ここでは衝撃緩衝機構8bは設置されていない。
この場合、ボールねじ12aとボールねじ12bがギア歯のバックラッシ等により同期して動かないことなどに起因して、ボールねじ12aとボールねじ12bでdxだけ変位が発生し、しわ押さえ金型7とダイ4の平行度が保持できないことが考えられる。
図5の状態で被加工材9にクッション荷重を負荷した場合を図6に示す。ダイ4から被加工材9に作用する反力Fと釣り合うだけの荷重F1とF2が、それぞれボールねじ12aとボールねじ12bに発生する(F=F1+F2)。しかし、しわ押さえ金型7とダイ4の平行度が保持できていないことに起因して、F1とF2では荷重差が発生する(F1≠F2)。これが精密な荷重制御が必要なときに問題となる加圧力不均一である。
図7では、図3と同様にボールねじ12aとボールねじ12bの2本のボールねじでしわ押さえ金型7を支持・駆動しているが、ここではボールねじに衝撃緩衝機構8bが設置されている。衝撃緩衝機構8bとして、ボールねじ1本に対して1個の液圧室10が設置されており、これらの液圧室10は絞り付き流路11により繋がれている。
この場合でも、ボールねじ12aとボールねじ12bがギア歯のバックラッシ等により同期して動かないことなどに起因して、ボールねじ12aとボールねじ12bでdxだけ変位が発生することが考えられる。クッション荷重が負荷されていないため、ボールねじ12aとボールねじ12bにはしわ押さえ金型7の自重のみ作用する。ボールねじ12aとボールねじ12bそれぞれに設置されている液圧室10の高さはそれぞれu1、u2である。
図7の状態で被加工材9にクッション荷重Fを負荷した場合を図8に示す。ダイ4から被加工材9に作用する荷重Fと釣り合うだけの荷重F1とF2が、それぞれボールねじ12aとボールねじ12bに発生する(F=F1+F2)。
しかし、図6の場合と異なり、ここではボールねじに液圧室10が設置されている。このため、しわ押さえ金型7とダイ4の平行度が保持できていないことに起因して、荷重F1とF2で差が少しでも発生すると(F1≠F2)、ボールねじ12a、ボールねじ12bに設置されている液圧室10に圧力差が生じ、内部に充填されている流体が移動することで、液圧室10の高さu1、u2がそれぞれu1−du1、u2+du2に変位する。図7の場合ではdu1=du2=dx/2の状態で荷重F1=F2となり、また同時にしわ押さえ金型7とダイ4の平行度を確保することが可能となる。
動力伝達機構6bがしわ押さえ金型7を移動させる際に、ボールねじがギア歯のバックラッシ等により同期して動かないことに起因して、しわ押さえ金型7とダイ4の平行度を確保できず均一な加重負荷ができない可能性がある。この問題を解決する為には、動力伝達機構6bに衝撃緩衝機構8bを設置することが必要である。
また、図6のような衝撃緩衝機構8bを持たない動力伝達機構でしわ押さえ荷重Fを負荷する場合、加圧力が不均一であることに起因して、しわ押さえ金型7に自励振動が発生することが考えられる。また、サーボモーターの振動が伝達してしわ押さえ金型7が振動することも考えられる。こういった意図しない振動は騒音の原因となるだけでなく、摺動面潤滑状態の不安定要因となり得るため、好ましくない。
対して、図7のような衝撃緩衝機構8bを有する動力伝達機構でしわ押さえ荷重Fを負荷する場合、意図しない振動が発生したとしても、2つの液圧室10とそれをつなぐ絞り付き流路11がダンパーの機能を有することにより、発生した振動を低減させることができる。(例えば、振動に起因してしわ押さえ金型7に速度Vが発生したとしても、ダンピング機能によりその速度を打ち消す方向に減衰力F=CV(C:減衰力特性)が発生する為、速度Vは減衰していき最後には0となる。)
ここではボールねじが2本の場合について記載したが、2本以上であっても同様である。
前記(1)の発明に係るプレス機械の概略図を図8aに示す。前記(1)の発明は参考例に係る発明に新たな機能を追加したものである。第1の動力伝達機構6aが有する第1の衝撃緩衝機構8aの圧力室10と、第2の動力伝達機構6bが有する第2の衝撃緩衝機構8bの圧力室10が、絞り付き流路11により連結されることにより、第3の衝撃緩衝機構8cを構成している。
次に、衝撃緩衝機構8cについて、図8bを用いて説明する。
図8bでは、複数のボールねじ12a、12b、12cと衝撃緩衝機構8bから構成される動力伝達機構6bを用いてしわ押さえ金型7を支持・駆動している。また同時に、複数のボールねじ12d、12e、12fと衝撃緩衝機構8aから構成される動力伝達機構6aを用いてプレス機スライド3を支持・駆動している。
衝撃緩衝機構8cは圧力室10と絞り付き流路11より構成されることが好ましい。図8bでは圧力室10はボールねじ1本に対して1個設けられているが、ボールねじ1本に対して複数個であっても構わない。圧力室10には流体が充填されており、ボールねじ駆動による動力は圧力室10に充填されている流体を経由してしわ押さえ金型7またはプレス機スライド3に伝達される。絞り付き流路11は圧力室10を図のように繋いでおり、圧力室間に圧力差が生じた場合は充填されている流体が絞り付き流路11を経由して移動できるようになっている。絞り付き流路11による圧力室10の繋ぎ方は図に示す限りではなく、どの圧力室10どうしが絞り付き流路11で繋がれていても良いし、またそのとき絞り付き流路11は複数本でも良い。
衝撃緩衝機構8cとして、圧力室10と絞り付き流路11より構成され、粘性流体の粘性抵抗を利用してダンパー効果を得るものを例示したが、衝撃緩衝機構8cの構成はこの限りではない。粘性流体ではなく、ゴムなどの粘弾性材からなる制振材を利用してダンパー効果を得る、圧電素子と分岐回路を組み合わせて分岐回路内抵抗による熱散逸を利用してダンパー効果を得る、ソレノイド(リニアモーター)を利用して電磁誘導によるダンパー効果を得る、などが考えられる。
次に、衝撃緩衝機構8cの効果について説明する。
すでに衝撃緩衝機構8bの効果を図5、図6、図7、図8を用いて説明したが、衝撃緩衝機構8cの効果についても、衝撃緩衝機構8bと同等の効果が期待できる。すなわち、成形時の加圧力不均一が解消でき、しわ押さえ金型7とダイ4の平行度を確保することが可能である。
また、図6のような衝撃緩衝機構8cを持たない動力伝達機構でしわ押さえ7にしわ押さえ荷重Fを負荷し、またダイ4を加圧しプレス成形する場合、しわ押さえ7またはダイ4への加圧力が不均一であることに起因して自励振動が発生することが考えられる。また、サーボモーターの振動が伝達してしわ押さえ金型7またはダイ4が振動することも考えられる。こういった意図しない振動は騒音の原因となるだけでなく、摺動面潤滑状態の不安定要因となり得るため、好ましくない。
対して、図8bのような衝撃緩衝機構8cを有する動力伝達機構でしわ押さえ荷重Fを負荷する場合、意図しない振動が発生したとしても、2つの液圧室10とそれをつなぐ絞り付き流路11がダンパーの機能を有することにより、発生した振動を低減させることができる。(例えば、振動に起因してしわ押さえ金型7に速度Vが発生したとしても、ダンピング機能によりその速度を打ち消す方向に減衰力F=CV(C:減衰力特性)が発生する為、速度Vは減衰していき最後には0となる。)
特に、第1の衝撃緩衝機構8aと第2の衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結していることにより、ダイ4としわ押さえ金型7が同期して振動することを抑えることができる。
以上の発明において、サーボモーター5a、サーボモーター5bはどちらも複数個のサーボモーターから構成されていてよい。また動力伝達機構6a、動力伝達機構6bは、そのどちらも複数個の動力伝達機構から構成されていてよい。
前記(2)記載の発明では、前記(1)に記載のプレス機械において、衝撃緩衝機構が液圧式ダンパー又は気圧式ダンパーであることを特徴としている。
前記(3)記載の発明について、図8cを用いて説明する。
図8cでは、複数のボールねじ12a、12cと衝撃緩衝機構8bから構成される動力伝達機構6bを用いてしわ押さえ金型7を支持・駆動している。また同時に、複数のボールねじ12d、12fと衝撃緩衝機構8aから構成される動力伝達機構6aを用いてプレス機スライド3を支持・駆動している。また、衝撃干渉機構8aの圧力室10と衝撃干渉機構8bの圧力室10は絞り付き流路11で連結されており、衝撃干渉機構8cを構成している。
また、プレス機は、圧力測定手段16と、減衰係数演算手段17と、減衰係数制御手段18を有している。
圧力測定手段16は衝撃干渉機構8a、8b、8cが有する複数の液圧室10内部の圧力変化を測定する。
減衰係数演算手段17は、圧力測定手段16によって測定された圧力変化から衝撃干渉機構8a、8b、8cが有する絞り付き流路11の減衰係数をそれぞれ演算する。
液圧室10の数をm、絞り付き流路11の数をnとする。n番目である絞り付き流路11の減衰係数Cnはm個ある液圧室10それぞれの圧力変動P1〜Pmを用いて以下の式で算出される。
減衰係数制御手段18は、減衰係数演算手段17により演算された減衰係数となるように、衝撃干渉機構8a、8b、8cが有する絞り付き流路11の減衰係数をそれぞれ制御する。
前記(4)記載の発明について、図8dを用いて説明する。
図8dでは、複数のボールねじ12a、12cと衝撃緩衝機構8bから構成される動力伝達機構6bを用いてしわ押さえ金型7を支持・駆動している。また同時に、複数のボールねじ12d、12fと衝撃緩衝機構8aから構成される動力伝達機構6aを用いてプレス機スライド3を支持・駆動している。また、衝撃干渉機構8 aの圧力室10と衝撃干渉機構8bの圧力室10は絞り付き流路11で連結されており、衝撃干渉機構8cを構成している。
また、プレス機は、圧力測定手段16と、サーボモーター出力演算手段19と、サーボモーター出力制御手段20を有している。
圧力測定手段16は衝撃干渉機構8a、8b、8cが有する複数の液圧室10内部の圧力変化を測定する。
サーボモーター出力演算手段19は、圧力測定手段16によって測定された圧力変化から動力伝達機構6a、6bがそれぞれ有する第1のサーボモーター5a、第2のサーボモーター5bの出力をそれぞれ演算する。
液圧室10の数をm、サーボモーターの数をnとする。n番目であるサーボモーターの出力Vnはm個ある液圧室10それぞれの圧力変動P1〜Pmを用いて以下の式で算出される。
サーボモーター出力制御手段20は、減衰係数演算手段17により演算された減衰係数となるように、衝撃干渉機構8a、8b、8cが有する絞り付き流路11の減衰係数をそれぞれ制御する。
(参考例1)
上述の発明を元に、参考例1として図1に示すプレス機械を試作し、加圧力不均一の低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8aはプレス機スライド3 を駆動する動力伝達機構のみに設置した。
評価試験は図9に示すように、プレス機スライド3としわ押さえ金型7の間にロードセル13を9個設置し、しわ押さえ荷重10tonfを負荷してロードセル13からの出力を測定する方法で行った。
9個のロードセル13に均等にしわ押さえ荷重が作用すれば、ロードセル13の出力はどれも平均荷重1.11tonfであるが、加圧力に不均一があればロードセル13の出力はばらつく。そこで、9つのロードセル出力の標準偏差を加圧力不均一の指標として算出した。
また、比較例1として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例1と同一として試験を行った。表1にその結果を示す。
表1から明らかなようにロードセル出力標準偏差は比較例1より参考例1の方が小さい。このことより参考例1では、衝撃緩衝機構8をプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置したことによって加圧力不均一が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、振動低減効果について評価を行った。
評価試験は図10に示すように、プレス機スライド3に振動計14を取り付けた状態で成形試験を行い、このときのプレス機スライド3の振動振れ幅[μmP-P]を測定した。
表2に用いた鋼板の特性を示す。板厚1.0mm、270MPaクラスの普通鋼を用いた。
成形試験は図11に示す、ポンチ低面が曲率半径1500mm、ポンチ肩R5mm、600mm×600mmの角筒部材の絞り成形を絞り深さ30mmで行った。
また比較例1として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例1と同一として試験を行った。表3にその結果を示す。
表3から明らかなように振動振れ幅は比較例1より参考例1の方が小さい。このことより、参考例1では衝撃緩衝機構8をプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置したことによって振動が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、衝撃緩衝機構8a設置によるプレス成形性の変化について評価を行った。使用した鋼板特性は表2に示すとおりである。また、成形試験は図11に示す成形品を作成した。
成形性評価の指標としては、しわ押さえ加重を50kNから600kNまで1kN間隔で変化させた成形を行い、しわ限界または破断限界を求めた。また、この試験をN数=200で行い、しわ限界/破断限界のバラツキについても評価を行った。
また、しわ押さえ加重を300kN一定として成形を行い、その結果得た成形品底面を3次元形状測定機で計測し、図11の弧1に沿って成形曲率(κ=1/R)を算出した。ここでRは曲率半径である。次に、測定した成形曲率κと、金型の成形曲率κdesignとの差の最大値Δκを計算した。すなわち、成形品が金型と同じ成形曲率分布を有していれば(κ=κdesign)、Δκ=0となる。このΔκを面精度・形状凍結性の指標とし、評価を行った。また、このΔκについてもN数=200の成形試験を行い、Δκのバラツキについて評価を行った。
また比較例1として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例1と同一として試験を行った。表4にその結果を示す。
表4から明らかなようにしわ限界は比較例1より参考例1の方が小さい。参考例1では衝撃緩衝機構8aをプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置したことにより、加圧力不均一が解消され、しわ限界が向上したと考えられる。
また、割れ限界は比較例1より参考例1の方が大きい。これについても、参考例1では衝撃緩衝機構8を設置したことにより、加圧力不均一が解消され、割れ限界が向上したと考えられる。
また、Δκは比較例1より参考例1の方が小さい。これについても、参考例1では衝撃緩衝機構8を設置したことにより、加圧力不均一が解消され、成形下死点での成形品面内応力が均一化されたことにより、面精度形状凍結性が向上したと考えられる。
また、割れ限界/しわ限界、Δκの各指標において、比較例1より参考例1の方がバラツキは小さい。これについても、参考例1では衝撃緩衝機構8を設置したことにより、振動が低減し、バラツキも低減したと考えられる。
(参考例)
上述の発明を元に、参考例として図1aに示すプレス機械を試作し、加圧力不均一の低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8aはプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構のみに設置した。
評価試験は図9aに示すように、ポンチ2とダイ4の間にロードセル13を9個設置し、しわ押さえ荷重10tonfを負荷してロードセル13からの出力を測定する方法で行った。
9個のロードセル13に均等にしわ押さえ荷重が作用すれば、ロードセル13の出力はどれも平均荷重1.11tonfであるが、加圧力に不均一があればロードセル13の出力はばらつく。そこで、9つのロードセル出力の標準偏差を加圧力不均一の指標として算出した。
また、比較例2として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表5にその結果を示す。
表5から明らかなようにロードセル出力標準偏差は比較例2 より参考例の方が小さい。このことより参考例では、衝撃緩衝機構8aをプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置したことによって加圧力不均一が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、振動低減効果について評価を行った。
評価試験は図10aに示すように、プレス機スライド3に振動計14を取り付けた状態で成形試験を行い、このときのプレス機スライド3の振動振れ幅[μmP-P]を測定した。用いた鋼板は表2に示したものである。また、成形試験は図11に示す部材を成形した。
また比較例2として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表6にその結果を示す。
表6から明らかなように振動振れ幅は比較例2より参考例の方が小さい。このことより、参考例では衝撃緩衝機構8aをプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置したことによって振動が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、衝撃緩衝機構8a設置によるプレス面精度・形状凍結性の変化について評価を行った。使用した鋼板特性は表2に示すとおりである。また、成形試験は図11に示す成形品を作成した。
プレス面精度・形状凍結性の指標としては、成形品底面を3次元形状測定機で計測し、図11の弧1に沿って成形曲率(κ=1/R)を算出した。ここでRは曲率半径である。次に、測定した成形曲率κと、金型の成形曲率κdesignとの差の最大値Δκを計算した。すなわち、成形品が金型と同じ成形曲率分布を有していれば(κ=κdesign)、Δκ=0となる。このΔκを面精度・形状凍結性の指標とし、評価を行った。また、このΔκについてN数=200の成形試験を行い、Δκのバラツキについて評価を行った。
また比較例2として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表7にその結果を示す。
表7から明らかなように、Δκは比較例2より参考例の方が小さい。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8aを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、成形下死点での成形品面内応力が均一化されたことにより、面精度・形状凍結性が向上したと考えられる。また、比較例2より参考例の方がΔκバラツキは小さい。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8aを設置したことにより、振動が低減し、バラツキも低減したと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、表8に示す4種の鋼板を成形し比較することで、衝撃緩衝機構8a設置による割れ/しわ限界の変化について評価を行った。
成形試験は図11に示す、ポンチ低面が曲率半径1500mm、ポンチ肩R5mm、600mm×600mmの角筒部材の絞り成形を絞り深さ30mmで行った。
n数150で成形を行い、9割以上が割れ/しわ無く成形できた場合を○、5割以上9割未満が割れ/しわ無く成形できた場合を△、5割未満しか割れ/しわ無く成形できなかった場合を×とした。
また比較例2として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表9にその結果を示す。
表9に示されるとおり、割れ/しわ限界について、参考例の方が良好な結果を得られた。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8aを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、割れ/しわ限界が向上したものと考えられる。
(参考例)
上述の発明を元に、参考例として図1bに示すプレス機械を試作し、加圧力不均一の低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8aはプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構のみに設置した。
評価試験は図9bに示すように、ポンチ2とダイ4の間にロードセル13を9個設置し、しわ押さえ荷重10tonfを負荷してロードセル13からの出力を測定する方法で行った。
9個のロードセル13に均等にしわ押さえ荷重が作用すれば、ロードセル13の出力はどれも平均荷重1.11tonfであるが、加圧力に不均一があればロードセル13の出力はばらつく。そこで、9つのロードセル出力の標準偏差を加圧力不均一の指標として算出した。
また、比較例3として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表10にその結果を示す。
表10から明らかなようにロードセル出力標準偏差は比較例3より参考例の方が小さい。このことより参考例では、衝撃緩衝機構8aをプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置したことによって加圧力不均一が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、振動低減効果について評価を行った。評価試験は図10bに示すように、プレス機スライド3に振動計14を取り付けた状態で成形試験を行い、このときのプレス機スライド3の振動振れ幅[μmP-P]を測定した。用いた鋼板は表2に示したものである。また、成形試験は図11に示す部材を成形した。
また比較例3として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表11にその結果を示す。
表11から明らかなように振動振れ幅は比較例3より参考例の方が小さい。このことより、参考例では衝撃緩衝機構8aをプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置したことによって振動が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、衝撃緩衝機構8a設置によるプレス面精度・形状凍結性の変化について評価を行った。使用した鋼板特性は表2に示すとおりである。また、成形試験は図11に示す成形品を作成した。
プレス面精度・形状凍結性の指標としては、成形品底面を3次元形状測定機で計測し、図11の弧1に沿って成形曲率(κ=1/R)を算出した。ここでRは曲率半径である。次に、測定した成形曲率κと、金型の成形曲率κdesignとの差の最大値Δκを計算した。すなわち、成形品が金型と同じ成形曲率分布を有していれば(κ=κdesign)、Δκ=0となる。このΔκを面精度・形状凍結性の指標とし、評価を行った。また、このΔκについてN数=200の成形試験を行い、Δκのバラツキについて評価を行った。
また比較例3として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表12にその結果を示す。
表12から明らかなように、Δκは比較例3より参考例の方が小さい。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8aを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、成形下死点での成形品面内応力が均一化されたことにより、面精度・形状凍結性が向上したと考えられる。また、比較例3より参考例の方がΔκバラツキは小さい。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8aを設置したことにより、振動が低減し、バラツキも低減したと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、表8に示す4種の鋼板を成形し比較することで、衝撃緩衝機構8a設置による割れ/しわ限界の変化について評価を行った。
成形試験は図11に示す、ポンチ低面が曲率半径1500mm、ポンチ肩R5mm、600mm×600mmの角筒部材の絞り成形を絞り深さ30mmで行った。
n数150で成形を行い、9割以上が割れ/しわ無く成形できた場合を○、5割以上9割未満が割れ/しわ無く成形できた場合を△、5割未満しか割れ/しわ無く成形できなかった場合を×とした。
また比較例3として、衝撃緩衝機構8aを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表13にその結果を示す。
表13に示されるとおり、割れ/しわ限界について、参考例の方が良好な結果を得られた。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8 aを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、割れ/ しわ限界が向上したものと考えられる。
(参考例)
上述の発明を元に、参考例として図2に示すプレス機械を試作し、加圧力不均一の低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8bはしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構のみに設置した。
評価試験は図12に示すように、プレス機スライド3としわ押さえ金型7の間にロードセル13を9個設置し、しわ押さえ荷重10tonfを負荷してロードセル13からの出力を測定する方法で行った。
9個のロードセル13に均等にしわ押さえ荷重が作用すれば、ロードセル13の出力はどれも平均荷重1.11tonfであるが、加圧力に不均一があればロードセル13の出力はばらつく。そこで、9つのロードセル出力の標準偏差を加圧力不均一の指標として算出した。
また、比較例4として、衝撃緩衝機構8bを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表14にその結果を示す。
表14から明らかなようにロードセル出力標準偏差は比較例4より参考例の方が小さい。このことより参考例では、衝撃緩衝機構8bをしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構に設置したことによって加圧力不均一が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、振動低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8bはしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構のみに設置した。
評価試験は図13に示すように、しわ押さえ金型7に振動計14を取り付けた状態で成形試験を行い、このときのしわ押さえ金型7の振動振れ幅[μmP-P]を測定した。使用した鋼板の特性は表2に示したものと同一である。
成形試験は図11に示す、ポンチ低面が曲率半径1500mm、ポンチ肩R5mm、600mm×600mmの角筒部材の絞り成形を絞り深さ30mmで行った。
また比較例4として、衝撃緩衝機構8bを使用しないこと意外の条件は参考例と同一として試験を行った。表15にその結果を示す。
表15から明らかなように振動振れ幅は比較例4より参考例の方が小さい。このことより、参考例では衝撃緩衝機構8bをしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構に設置したことによって振動が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、衝撃緩衝機構8b設置によるプレス成形性の変化について評価を行った。使用した鋼板特性は表2に示すとおりである。また、成形試験は図11に示す成形品を作成した。
成形性評価の指標としては、しわ押さえ加重を50kNから600kNまで1kN間隔で変化させた成形を行い、しわ限界または破断限界を求めた。また、この試験をN数=200で行い、しわ限界/破断限界のバラツキについても評価を行った。
また、しわ押さえ加重を300kN一定として成形を行い、その結果得た成形品底面を3次元形状測定機で計測し、図11の弧1に沿って成形曲率(κ=1/R)を算出した。ここでRは曲率半径である。次に、測定した成形曲率κと、金型の成形曲率κdesignとの差の最大値Δκを計算した。すなわち、成形品が金型と同じ成形曲率分布を有していれば(κ=κdesign)、Δκ=0となる。このΔκを面精度・形状凍結性の指標とし、評価を行った。また、このΔκについてもN数=200の成形試験を行い、Δκのバラツキについて評価を行った。
また比較例4として、衝撃緩衝機構8bを使用しないこと以外の条件は参考例と同一として試験を行った。表16にその結果を示す。
表16から明らかなようにしわ限界は比較例4より参考例の方が小さい。参考例では衝撃緩衝機構8bをしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構に設置したことにより、加圧力不均一が解消され、しわ限界が向上したと考えられる。
また、割れ限界は比較例4より参考例の方が大きい。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8bを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、割れ限界が向上したと考えられる。
また、Δκは比較例4より参考例の方が小さい。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8bを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、成形下死点での成形品面内応力が均一化されたことにより、面精度・形状凍結性が向上したと考えられる。
また、割れ限界/しわ限界、Δκの各指標において、比較例4より参考例の方がバラツキは小さい。これについても、参考例では衝撃緩衝機構8bを設置したことにより、振動が低減し、バラツキも低減したと考えられる。
(参考例2)
上述の発明を元に、参考例2として図3に示すプレス機械を試作し、加圧力不均一の低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8a、8bはしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構と、プレス機スライド3を駆動する動力伝達機構の両方に設置した。
評価試験は図14に示すように、プレス機スライド3としわ押さえ金型7の間にロードセル13を9個設置し、しわ押さえ荷重10tonfを負荷してロードセル13からの出力を測定する方法で行った。
9個のロードセル13に均等にしわ押さえ荷重が作用すれば、ロードセル13の出力はどれも平均荷重1.11tonfであるが、加圧力に不均一があればロードセル13の出力はばらつく。そこで、9つのロードセル出力の標準偏差を加圧力不均一の指標として算出した。
また、比較例5として、衝撃緩衝機構8a、8bを使用しないこと意外の条件は参考例2と同一として試験を行った。表17にその結果を示す。
表17から明らかなように、ロードセル出力標準偏差は比較例5より参考例2の方が小さい。また、参考例1と比較しても参考例2の方が小さい。このことより、参考例2では衝撃緩衝機構8a、8bをしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構とプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構の両方に設置したことにより、加圧力不均一が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、振動低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8a、8bはしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構と、プレス機スライド3を駆動する動力伝達機構の両方に設置した。
評価試験は図15に示すように、プレス機スライド3に振動計14a、しわ押さえ金型7に振動計14bを取り付けた状態で成形試験を行い、このときのプレス機スライド3としわ押さえ金型7の振動振れ幅[μmP-P]を測定した。使用した鋼板の特性は表2に示したものと同一である。
成形試験は図11に示す、ポンチ低面が曲率半径1500mm、ポンチ肩R5mm、600mm×600mmの角筒部材の絞り成形を絞り深さ30mmで行った。
また比較例5として、衝撃緩衝機構8a、8bを使用しないこと意外の条件は参考例2と同一として試験を行った。表18にその結果を示す。
表18から明らかなように振動振れ幅は比較例5より参考例2の方が小さい。このことより、参考例2では衝撃緩衝機構8aをプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に、また、衝撃緩衝機構8bをしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構に設置したことによって振動が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bの設置によるプレス成形性の変化について評価を行った。使用した鋼板特性は表2に示すとおりである。また、成形試験は図11に示す成形品を作成した。
成形性評価の指標としては、しわ押さえ加重を50kNから600kNまで1kN間隔で変化させた成形を行い、しわ限界または破断限界を求めた。また、この試験をN数=200で行い、しわ限界/破断限界のバラツキについても評価を行った。
また、しわ押さえ加重を300kN一定として成形を行い、その結果得た成形品底面を3次元形状測定機で計測し、図11の弧1に沿って成形曲率(κ=1/R)を算出した。ここでRは曲率半径である。次に、測定した成形曲率κと、金型の成形曲率κdesignとの差の最大値Δκを計算した。すなわち、成形品が金型と同じ成形曲率分布を有していれば(κ=κdesign)、Δκ=0となる。このΔκを面精度・形状凍結性の指標とし、評価を行った。また、このΔκについてもN数=200の成形試験を行い、Δκのバラツキについて評価を行った。
また比較例5として、衝撃緩衝機構8a、衝撃緩衝機構8bを使用しないこと以外の条件は参考例2と同一として試験を行った。表19にその結果を示す。
表19から明らかなようにしわ限界は比較例5より参考例2の方が小さい。参考例2では衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、しわ限界が向上したと考えられる。
また、割れ限界は比較例5より参考例2の方が大きい。これについても、参考例2では衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、割れ限界が向上したと考えられる。
また、Δκは比較例5より参考例2の方が小さい。これについても、参考例2では衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを設置したことにより、加圧力不均一が解消され、成形下死点での成形品面内応力が均一化されたことにより、面精度・形状凍結性が向上したと考えられる。
また、割れ限界/しわ限界、Δκの各指標において、比較例5より参考例2の方がバラツキは小さい。これについても、参考例2では衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを設置したことにより、振動が低減し、バラツキも低減したと考えられる。
(実施例1)
上述の発明を元に、本発明例1として図8aに示すプレス機械を試作し、加圧力不均一の低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8a、8bはしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構と、プレス機スライド3を駆動する動力伝達機構の両方に設置した。また、衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結することで、衝撃緩衝機構8cを構成している。
評価試験は図16に示すように、プレス機スライド3としわ押さえ金型7の間にロードセル13を9個設置し、しわ押さえ荷重10tonfを負荷してロードセル13からの出力を測定する方法で行った。
9個のロードセル13に均等にしわ押さえ荷重が作用すれば、ロードセル13の出力はどれも平均荷重1.11tonfであるが、加圧力に不均一があればロードセル13の出力はばらつく。そこで、9つのロードセル出力の標準偏差を加圧力不均一の指標として算出した。
また、比較例6として、衝撃緩衝機構8a、8b、8cを使用しないこと意外の条件は本発明例1と同一として試験を行った。表20にその結果を示す。
表20から明らかなように、ロードセル出力標準偏差は比較例6より本発明例1の方が小さい。また、参考例2と比較しても本発明例1の方が小さい。このことより、本発明例1では衝撃緩衝機構8a、8bをしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構とプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構の両方に設置し、また衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結したことにより、加圧力不均一が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、振動低減効果について評価を行った。ここでは、衝撃緩衝機構8a、8bはしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構と、プレス機スライド3を駆動する動力伝達機構の両方に設置した。また、衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結することで、衝撃緩衝機構8cを構成している。
評価試験は図17に示すように、プレス機スライド3に振動計14a、しわ押さえ金型7に振動計14bを取り付けた状態で成形試験を行い、このときのプレス機スライド3としわ押さえ金型7の振動振れ幅[μmP-P]を測定した。使用した鋼板の特性は表2に示したものと同一である。
成形試験は図11に示す、ポンチ低面が曲率半径1500mm、ポンチ肩R5mm、600mm×600mmの角筒部材の絞り成形を絞り深さ30mmで行った。
また比較例6として、衝撃緩衝機構8a、8b、8cを使用しないこと意外の条件は本発明例1と同一として試験を行った。表21にその結果を示す。
表21から明らかなように振動振れ幅は比較例6より本発明例1の方が小さい。また、参考例2と比較しても本発明例1の方が小さい。このことより、本発明例1では衝撃緩衝機構8をプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構と、しわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構に設置し、また衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結したことにより、振動が低減されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、衝撃緩衝機構8a、8b、8cの設置によるプレス成形性の変化について評価を行った。使用した鋼板特性は表2に示すとおりである。また、成形試験は図11に示す成形品を作成した。
成形性評価の指標としては、しわ押さえ加重を50kNから600kNまで1kN間隔で変化させた成形を行い、しわ限界または破断限界を求めた。また、この試験をN数=200で行い、しわ限界/破断限界のバラツキについても評価を行った。
また、しわ押さえ加重を300kN一定として成形を行い、その結果得た成形品底面を3次元形状測定機で計測し、図11の弧1に沿って成形曲率(κ=1/R)を算出した。ここでRは曲率半径である。次に、測定した成形曲率κと、金型の成形曲率κdesignとの差の最大値Δκを計算した。すなわち、成形品が金型と同じ成形曲率分布を有していれば(κ=κdesign)、Δκ=0となる。このΔκを面精度・形状凍結性の指標とし、評価を行った。また、このΔκについてもN数=200の成形試験を行い、Δκのバラツキについて評価を行った。
また比較例6として、衝撃緩衝機構8 a、8b、8cを使用しないこと以外の条件は本発明例1と同一として試験を行った。表22にその結果を示す。
表22から明らかなようにしわ限界は比較例6より本発明例6の方が小さい。また、参考例2と比較しても、本発明例1の方が小さい。本発明例1では衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを設置し、また衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結したことにより、加圧力不均一が解消され、しわ限界が向上したと考えられる。
また、割れ限界は比較例6より本発明例1の方が大きい。また、参考例2と比較しても、本発明例1の方が大きい。これについても、本発明例1では衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを設置し、また衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結したことにより、加圧力不均一が解消され、割れ限界が向上したと考えられる。
また、Δκは比較例6より本発明例1の方が小さい。また、参考例2と比較しても、本発明例1の方が小さい。これについても、本発明1では衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを設置し、また衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結したことにより、加圧力不均一が解消され、成形下死点での成形品面内応力が均一化されたことにより、面精度・形状凍結性が向上したと考えられる。
また、割れ限界/しわ限界、Δκの各指標において、比較例6より本発明例1の方がバラツキは小さい。また、参考例2と比較しても、本発明例1の方が小さい。これについても、本発明例1では衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを設置し、また衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結したことにより、振動が低減し、バラツキも低減したと考えられる。
(実施例2)
上述の発明を元に、本発明例2として図8cに示すプレス機械を試作した。ここでは、衝撃緩衝機構8aはプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置した。また衝撃緩衝機構8bはしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構に設置した。
衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bは、液圧室10と絞り付き流路11から構成される液圧式ダンパーを使用した。また、衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結することで、衝撃緩衝機構8cを構成した。
また、圧力測定手段16、減衰係数演算手段17、減衰係数制御手段18を設置した。これらの使用方法について図8c−1を用いて説明する。圧力測定手段16としては、液圧室10の液圧測定用液圧計を使用した。また、この液圧計は圧力測定結果を電圧信号で出力することができる。液圧室10の数は4つあり、各液圧室の液圧はP1〜P4[MPa]である。
減衰係数演算手段17としては、計算機を用いて、下記演算を行った。ここでは、4つの液圧室10を接続する絞り付き流路11の数も4本であり、各絞り付き流路の減衰係数はC1〜C4[Ns/m]である。
減衰係数C1〜C4の値は以下の式を用いて算出する。
C1 = (2000/0.01)×|P1−P2|
C2 = (2000/0.01)×|P2−P3|
C3 = (2000/0.01)×|P3−P4|
C4 = (2000/0.01)×|P4−P1|
上式によれば、隣り合う2つの液圧室の圧力差が0.01[MPa]のときに、その2つの液圧室を結ぶ絞り付き流路の減衰係数は2000[Ns/m]となり、また、圧力差が大きくなったときは比例して減衰係数が大きくなる。
減衰係数制御手段18としては、電磁比例弁を使用した。減衰係数演算手段17により算出した減衰係数C1〜C4を電圧信号として各絞り付き流路の電磁比例弁に指示し、所望の減衰係数を得た。
試作したプレス機械を用いて、加圧力不均一の低減効果について評価を行った。評価試験は図16に示すように、プレス機スライド3としわ押さえ金型7の間にロードセル13を9個設置し、しわ押さえ荷重10tonfを負荷してロードセル13からの出力を測定する方法で行った。
9個のロードセル13に均等にしわ押さえ荷重が作用すれば、ロードセル13の出力はどれも平均荷重1.11tonfであるが、加圧力に不均一があればロードセル13の出力はばらつく。そこで、9つのロードセル出力の標準偏差を加圧力不均一の指標として算出した。
また、比較例7として、本発明を使用しないこと意外の条件は本発明例2と同一として試験を行った。表23にその結果を示す。
表23から明らかなように、ロードセル出力標準偏差は比較例7より本発明例2の方が小さい。また、本発明例1と比較しても本発明例2の方が小さい。本発明では、圧力測定手段16、減衰係数演算手段17、減衰係数制御手段18の設置により、加圧力不均一の低減に最適な減衰係数を設定することができた為に、一層の加圧力不均一低減が実現されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、振動低減効果について評価を行った。評価試験は図17に示すように、プレス機スライド3に振動計14a、しわ押さえ金型7に振動計14bを取り付けた状態で成形試験を行い、このときのプレス機スライド3としわ押さえ金型7の振動振れ幅[μmP-P]を測定した。使用した鋼板の特性は表2に示したものと同一である。
成形試験は図11に示す、ポンチ低面が曲率半径1500mm、ポンチ肩R5mm、600mm×600mmの角筒部材の絞り成形を絞り深さ30mmで行った。
また比較例7として、本発明を使用しないこと意外の条件は本発明例2と同一として試験を行った。表24にその結果を示す。
表24から明らかなように振動振れ幅は比較例7より本発明例2の方が小さい。また、本発明例1と比較しても本発明例2の方が小さい。本発明では、圧力測定手段16、減衰係数演算手段17、減衰係数制御手段18の設置により、振動低減に最適な減衰係数を設定することができた為に、一層の振動低減が実現されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、プレス成形性について評価を行った。使用した鋼板特性は表2に示すとおりである。また、成形試験は図11に示す成形品を作成した。
成形性評価の指標としては、しわ押さえ加重を50kNから600kNまで1kN間隔で変化させた成形を行い、しわ限界または破断限界を求めた。また、この試験をN数=200で行い、しわ限界/破断限界のバラツキについても評価を行った。
また、しわ押さえ加重を300kN一定として成形を行い、その結果得た成形品底面を3次元形状測定機で計測し、図11の弧1に沿って成形曲率(κ=1/R)を算出した。ここでRは曲率半径である。次に、測定した成形曲率κと、金型の成形曲率κdesignとの差の最大値Δκを計算した。すなわち、成形品が金型と同じ成形曲率分布を有していれば(κ=κdesign)、Δκ=0となる。このΔκを面精度・形状凍結性の指標とし、評価を行った。また、このΔκについてもN数=200の成形試験を行い、Δκのバラツキについて評価を行った。
また比較例7として、本発明を使用しないこと以外の条件は本発明例2と同一として試験を行った。表25にその結果を示す。
表25から明らかなようにしわ限界は比較例7より本発明例2の方が小さい。また発明例1と比較しても本発明例2の方が小さい。本発明例2では、高度に加圧力不均一が解消されたことにより、しわ限界が向上したと考えられる。
また、割れ限界は比較例7より本発明例2の方が大きい。また、発明例1と比較しても本発明例2の方が大きい。これについても、本発明例2では、高度に加圧力不均一が解消されたことにより、割れ限界が向上したと考えられる。
また、Δκは比較例7より本発明例2の方が小さい。また、発明例1と比較しても本発明例2の方が小さい。これについても、本発明2では高度に加圧力不均一が解消されたことにより、成形下死点での成形品面内応力が均一化され、面精度・形状凍結性が向上したと考えられる。
また、割れ限界/しわ限界、Δκの各指標において、比較例7より本発明例2の方がバラツキは小さい。また発明例1と比較しても本発明例2の方が小さい。これについても、本発明2では高度の振動低減が達成できたことにより、バラツキも低減したと考えられる。
(実施例3)
上述の発明を元に、本発明例3として図8dに示すプレス機械を試作した。ここでは、衝撃緩衝機構8aはプレス機スライド3を駆動する動力伝達機構に設置した。また衝撃緩衝機構8bはしわ押さえ金型7を駆動する動力伝達機構に設置した。
衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bは、液圧室10と絞り付き流路11から構成される液圧式ダンパーを使用した。また、衝撃緩衝機構8aと衝撃緩衝機構8bを絞り付き流路11で連結することで、衝撃緩衝機構8cを構成した。
また、圧力測定手段16、サーボモーター出力演算手段19、サーボモーター出力制御手段20を設置した。これらの使用方法について図8d−1を用いて説明する。圧力測定手段16としては、液圧室10の液圧測定用液圧計を使用した。また、この液圧計は圧力測定結果を電圧信号で出力することができる。液圧室10の数は4つあり、各液圧室の液圧はP1〜P4[MPa]である。
サーボモーター出力演算手段19としては、計算機を用いて、下記演算を行った。ここでは、プレス機スライドを駆動するサーボモーターが2つ、しわ押さえ金型を駆動するサーボモーターが2つ、合計4つのサーボモーターがある。各サーボモーターの出力はV1〜V4[kW]である。
サーボモーター出力V1〜V4の値は以下の式を用いて算出する。
V1 = (20/0.01)×(P1−P2)
V2 = (20/0.01)×|P2−P3|
V3 = (20/0.01)×|P3−P4|
V4 = (20/0.01)×|P4−P1|
上式によれば、隣り合う2つの液圧室の圧力差が0.01[MPa]のときに、各液圧室が配置されている動力伝達機構を駆動するサーボモーター出力は20kWとなり、また、圧力差が大きくなったときは比例して減衰係数が大きくなる。
減衰係数制御手段18としては、電磁比例弁を使用した。減衰係数演算手段17により算出した減衰係数C1〜C4を電圧信号として各絞り付き流路の電磁比例弁に指示し、所望の減衰係数を得た。
試作したプレス機械を用いて、加圧力不均一の低減効果について評価を行った。評価試験は図16に示すように、プレス機スライド3としわ押さえ金型7の間にロードセル13を9個設置し、しわ押さえ荷重10tonfを負荷してロードセル13からの出力を測定する方法で行った。
9個のロードセル13に均等にしわ押さえ荷重が作用すれば、ロードセル13の出力はどれも平均荷重1.11tonfであるが、加圧力に不均一があればロードセル13の出力はばらつく。そこで、9つのロードセル出力の標準偏差を加圧力不均一の指標として算出した。
また、比較例8として、本発明を使用しないこと意外の条件は本発明例3と同一として試験を行った。表26にその結果を示す。
表26から明らかなように、ロードセル出力標準偏差は比較例8より本発明例3の方が小さい。また、本発明例1と比較しても本発明例3の方が小さい。本発明では、圧力測定手段16、サーボモーター出力演算手段19、サーボモーター出力制御手段20の設置により、加圧力不均一の低減に最適な減衰係数を設定することができた為に、一層の加圧力不均一低減が実現されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、振動低減効果について評価を行った。評価試験は図17に示すように、プレス機スライド3に振動計14a、しわ押さえ金型7に振動計14bを取り付けた状態で成形試験を行い、このときのプレス機スライド3としわ押さえ金型7の振動振れ幅[μmP-P]を測定した。
使用した鋼板の特性は表2に示したものと同一である。
成形試験は図11に示す、ポンチ低面が曲率半径1500mm、ポンチ肩R5mm、600mm×600mmの角筒部材の絞り成形を絞り深さ30mmで行った。
また比較例8として、本発明を使用しないこと意外の条件は本発明例3と同一として試験を行った。表27にその結果を示す。
表27から明らかなように振動振れ幅は比較例8 より本発明例3の方が小さい。また、本発明例1と比較しても本発明例3の方が小さい。本発明では、圧力測定手段16、サーボモーター出力演算手段19、サーボモーター出力制御手段20の設置により、振動低減に最適な減衰係数を設定することができた為に、一層の振動低減が実現されたと考えられる。
また、試作したプレス機械を用いて、プレス成形性について評価を行った。
使用した鋼板特性は表2に示すとおりである。また、成形試験は図11に示す成形品を作成した。
成形性評価の指標としては、しわ押さえ加重を50kNから600kNまで1kN間隔で変化させた成形を行い、しわ限界または破断限界を求めた。また、この試験をN数=200で行い、しわ限界/破断限界のバラツキについても評価を行った。
また、しわ押さえ加重を300kN一定として成形を行い、その結果得た成形品底面を3次元形状測定機で計測し、図11の弧1に沿って成形曲率(κ=1/R)を算出した。ここでRは曲率半径である。次に、測定した成形曲率κと、金型の成形曲率κdesignとの差の最大値Δκを計算した。すなわち、成形品が金型と同じ成形曲率分布を有していれば(κ=κdesign)、Δκ=0となる。このΔκを面精度・形状凍結性の指標とし、評価を行った。また、このΔκについてもN数=200の成形試験を行い、Δκのバラツキについて評価を行った。
また比較例8として、本発明を使用しないこと以外の条件は本発明例3と同一として試験を行った。表28にその結果を示す。
表28から明らかなようにしわ限界は比較例8より本発明例3の方が小さい。また、発明例1と比較しても、本発明例3の方が小さい。本発明例3では、高度に加圧力不均一が解消されたことにより、しわ限界が向上したと考えられる。
また、割れ限界は比較例8より本発明例3の方が大きい。また発明例1と比較しても本発明例3の方が大きい。これについても、本発明例3では、高度に加圧力不均一が解消されたことにより、割れ限界が向上したと考えられる。
また、Δκは比較例8より本発明例3の方が小さい。また発明例1と比較しても本発明例3の方が小さい。これについても、本発明3では高度に加圧力不均一が解消されたことにより、成形下死点での成形品面内応力が均一化され、面精度・形状凍結性が向上したと考えられる。
また、割れ限界/しわ限界、Δκの各指標において、比較例8より本発明例3の方がバラツキは小さい。また、発明例1と比較しても本発明例3の方が小さい。これについても、本発明例3では高度の振動低減が達成できたことにより、バラツキも低減したと考えられる。