JP4831997B2 - El素子パネル形成用複合基板とその作製方法、およびel素子パネル - Google Patents
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Description
薄膜誘電体層は種々の薄膜形成法、例えば蒸着等によって形成されるのに対し、厚膜誘電体層は誘電体粉体を含有するペーストを用いて形成される。
薄膜誘電体層の厚みは概ね数十nm程度であるのに対し、厚膜誘電体層の厚みは概ね数μm〜数十μm程度である。
得られた誘電体粉体のペーストは、厚膜の形成に適したスクリーン印刷等の方式により基板に適用される。
適用後、溶剤や樹脂を除く目的で焼成を行ない、厚膜誘電体層が形成される。
焼成温度は基板が耐える限り高温であることが好ましいが、基板の好ましくない変化を避ける意味で、焼成温度を無制限に高くすることはできない。
基板がセラミックであるときは、1000℃以下の焼成温度での焼成が可能であるが、基板がガラスの場合には、プラズマディスプレイパネル用のガラス基板を用いても、焼成温度は700℃以下である。
これに対し、代表的な誘電体であるチタン酸バリウムの融点は1610℃であり、通常は、誘電体粉体が溶融して一様な厚膜誘電体層を形成するには至らない。
尚、この方法は、圧力伝達媒体である水やシリコンオイルとプレス対象物との接触を避けるために、プレス対象物を真空包装材により真空包装し、真空包装材とプレス対象物との間に剥離材を有する樹脂フィルムを介在させて行うものである。
本発明はこれに対応するもので、具体的には、静水圧プレス法を用いて、厚膜誘電体層の発光層側の表面の平坦性を良くし、且つ、厚膜誘電体層の誘電率特性を良くした、基板上に少なくとも電極層、厚膜誘電体層を順に積層した構成のEL素子パネル形成用の複合基板と、その作製方法を提供しようとするものである。
更に、そのような、EL素子パネル形成用の複合基板を用いたEL素子パネルを提供しようとするものである。
そして、前記基準板は、金属板もしくはガラス板であることを特徴とするものである。
そして、前記基準板は、金属板もしくはガラス板であることを特徴とするものである。
また、前記厚膜誘電体層と前記発光層の間に、さらに薄膜誘電体層を有し、前記発光層と前記第2電極層の間に、さらに薄膜誘電体層を有することを特徴とするものである。
本発明のEL素子パネル形成用の複合基板は、このような構成にすることにより、静水圧プレス法を用いて、厚膜誘電体層の発光層側となる表面の平坦性を良くし、且つ、厚膜誘電体層の誘電率特性を良くした、基板上に少なくとも電極層、厚膜誘電体層を順に積層した構成のEL素子パネル形成用の複合基板の提供を可能としている。
具体的には、厚膜誘電体層は、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層を、基準板の平坦面側に当てて静水圧プレス法により圧縮し、更に焼成して、形成されたことにより、これを達成している。
詳しくは、このように基準板を用いて静水圧プレス法を行うことにより、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層は圧縮され、密度の高いものとなり、また、その
基準板の平坦面側に当たる表面は、基準板の平坦面に沿う形状となり平坦性の良くなり、結果として、焼成され形成される厚膜誘電体層は、誘電体粉体の密度の高いものとなり、且つ、その発光層側となる表面は平滑化される。
基準板としては、金属板あるいはガラス板から成る、あるいはまた、剛性のある支持基材の平坦な面に、金属薄層をその一面に配設したフィルム基材を、該金属薄層側を前記誘電体層と当たる側にして設けたものが挙げられる。
基準板は十分な剛性を有していることが好ましく、その誘電体層と当たる側の表面部は、ヤング率で規定すれば、樹脂フィルムの10倍以上が好ましい。
一般的に樹脂フィルムのヤング率は103 MP程度であるが、金属やガラスでは104 〜105 MPaであり、金属やガラスが適用できる。
金属としては比較的安価で入手しやすいマグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、チタン、および、これらの金属の合金(たとえばステンレススチール)が望ましい。
金属でもその表面に厚痕が残る場合には、繰り返しの使用ができなくなることがあり、使い捨てで使用する場合には、基準板として、剛性のある支持基材の平坦な面に、金属薄層をその一面に配設したフィルム基材を、該金属薄層側を前記誘電体層と当たる側にして設けたものを使用すると良い。
参考のため、表1に各素材のヤング率を上げておく。
表面粗さは0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下であればより好ましい。
基準板の厚さは、金属であれば0.1〜5mm程度、ガラスであれば1〜3mm程度が好ましい。
尚、静水圧プレスの条件としては、温度は室温〜300℃が好ましく、圧力は50,000〜600,000Pa、特に100,000〜400,000Paが好ましい。
圧力が50,000Pa以上であれば、静水圧プレス後に誘電体粉体の密度が高くなり、誘電体特性の良い厚膜誘電体層が得られる。
圧力の上限値は、静水圧プレス機で実質的に可能な範囲で限定される。
そして、そのような、EL素子パネル形成用の複合基板を作製する、作製方法の提供を可能にした。
更に、そのような、EL素子パネル形成用の複合基板を用いたEL素子パネルの提供を可能とした。
図1は本発明のEL素子パネル形成用の複合基板の実施の形態の1例の断面図で、図2(a)は図1に示すEL素子パネル形成用の複合基板の作製方法の特徴的な工程である静水圧プレス工程を示した工程断面図で、図2(b)は基準板の変形例を示した断面図で、図3(a)は本発明のEL素子パネルの実施の形態の第1の例の断面図で、図3(b)は本発明のEL素子パネルの実施の形態の第2の例の断面図である。
図1〜図3中、10はEL素子パネル形成用の複合基板、15、15AはEL素子パネル、20は基板、30は電極層(第1電極層ともいう)、35は電極層(第2電極層ともいう)、40は厚膜誘電体層、50は基準板、51は支持基材、52は樹脂フィルム、53は金属薄膜、60は樹脂フィルム、70は水、80は発光層、90、95は薄膜誘電体層である。
本例のEL素子パネル形成用の複合基板10は、図3(a)、図3(b)に、それぞれ、示すEL素子パネルのように、基板20上に、少なくとも第1電極層30、厚膜誘電体層40、発光層80、および第2電極層35の各層を順に積層してEL素子を形成しているEL素子パネルを形成するための、EL素子パネル形成用の複合基板である。
そして、基板20上に、少なくとも電極層(第1電極層)30、厚膜誘電体層40を順に積層した構造のものであり、図2(a)に示すように、厚膜誘電体層40は、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層(図示していない)を、金属単層からなる基準板50の平坦面側に当てて静水圧プレス法により圧縮し、更に焼成して、形成されている。
その他、Ba系、Sr系、及びPb系ペロブスカイトを用いることができる。
あるいは基板20としては、結晶化ガラスや、高耐熱ガラス等を用いてもよく、またホウロウ等の絶縁処理を行った金属基板等も使用可能である。
第1電極層30は、これらの素材の他、Au、Pt、Ir等の貴金属、もしくはNi、W、Mo、Nb、Ta等の高融点金属、またはこれらの貴金属もしくは高融点金属の合金を素材として構成されたものであってもよい。
これらの中でも、特により高い誘電率を達成でき、かつより低い焼成温度で熱処理可能であるとの観点から、BaTiO3 、PZT、PMN等のペロブスカイト型誘電体がより好ましく、さらにそれらのなかでも化学組成中に鉛元素を含む誘電体がより好ましい。
この化学組成中に鉛元素を含む誘電体は、基板20としてガラスを用いる場合には特に好ましい。
特に、PMNに代表されるPbを含む複合ペロブスカイト型化合物は、リラクサと呼ばれ、広い温度範囲で高い比有電率を示すことから、厚膜誘電体層40の材料として好ましい。
厚膜誘電体層40の形成は、これらの誘電体粉体を、例えば溶剤、もしくは樹脂と溶剤、さらには、ガラスフリット等を配合し、これらを混合して練って得られた誘電体粉体のペーストを用い、スクリーン印刷等の厚膜の形成に適した方式によって、基板20上の第1電極層30上に適用し、適用後、焼成することによって行なえる。
厚膜誘電体層40の厚みは2〜100μm程度が好ましく、5〜20μm程度が好ましい。100μmより厚いと緻密化が困難となり、また2μmより薄いと第1電極層30における電極層の有無に基づく段差の影響が大きくなり過ぎる。
厚膜誘電体層40は、その静電容量が高いことが好ましい。
EL素子パネル(図3(a)、図3(b)参照)に供された場合、厚膜誘電体層40と発光層80は電気的に直列に配置されることとなり、外部から電圧を与えたとき、発光層80に効率良く電圧がかかるようにするためには、厚膜誘電体層40の静電容量が、発光層80の静電容量よりも高いことが好ましく、10倍以上であることがより好ましい。
厚膜誘電体層40の静電容量と発光層80の静電容量との比率は、それぞれの層の「比誘電率/膜厚」どうしの比率に等しい。
メジアン粒径が大きくなるにしたがい、厚膜誘電体層40形成のための、静水圧プレスによる圧縮前の、誘電体粉体を主として形成された誘電体層の表面の凹凸が大きくなり、静水圧プレスによる圧縮、焼成を行った後に、厚膜誘電体層40上に発光層80やその他の層を形成する際に均一で欠陥のない層を形成するのが、次第に難しくなる。
0.5μm以下である場合には、静水圧プレスによる圧縮前、誘電体粉体を主として形成された誘電体層の表面の凹凸は小さく、この状態で静水圧プレスによる圧縮を行うため、静水圧プレスによる圧縮、焼成を行った後に、厚膜誘電体層40上に発光層80やその他の層を形成しても均一で欠陥のない層を形成することができる。
この意味では、誘電体粉体のメジアン粒径は、小さければ小さいほどよいことになる。 しかし、誘電体粉体のメジアン粒径が小さくなると比誘電率が低下し、厚膜誘電体層40の静電容量が低下するので、この観点から、誘電体粉体のメジアン粒径は0.05μm以上であることが好ましい。
本発明においては、厚膜誘電体層40を形成する際に、誘電体粉体のペーストを焼成する温度は、誘電体粉体の溶融温度より低いので、誘電体粉末自体は、焼成の前後で基本的に変化せず、形成された厚膜誘電体層40中では、誘電体粉末どうしが固着しており、固着は、ペーストに微量配合される低融点ガラス等によって行なわれている。
従って、誘電体粉体のメジアン粒径は、素材の状態でも、厚膜誘電体層40中に存在する場合でも、基本的には同じである。
尚、誘電体粉末のメジアン粒径とは、光学的(もしくは顕微鏡的)観察により誘電体粉末の個々の粒径を求め、粒径に対する累積相対頻度を表す累積分布曲線を描いた際の累積相対頻度が50%のときの粒径(通常はD50と表示される。)を指すものであり、実際には、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製、「LA−910」)を用い、測定対象となる誘電体粉末を20000倍に希釈し、測定して得ることができる。 また、焼成により形成された後の厚膜誘電体層40を構成する誘電体粉体のメジアン粒径を求める場合には、厚膜誘電体層40の断面を走査型顕微鏡で観察し、誘電体粉末の個々の粒径を求めれば、上記と同様にして得ることができる。
厚膜誘電体層40の表面の凹凸を、JIS B0601の規定による算術平均粗さRa等の表面粗さで規定することも考えられるが、算術平均粗さRaを求めようとすると、基板20と厚膜誘電体層40との間には第1電極層30が介在し、電極層の有無に基づく段差の影響が厚膜誘電体層40の表面に及んで、比較的大きなうねりを生じることがあり、このような場合には、凹凸の測定がうまく行なえないことがあり、また、厚膜誘電体層40の形成をペーストを用いたスクリーン印刷を利用して行なうと、得られる厚膜誘電体層40の表面にスクリーンメッシュの跡が残ることがあり、やはり、凹凸の測定に悪影響を及ぼすことがあるためで、このような、電極層の有無に基づく段差の影響やスクリーンメッシュの跡の凹凸測定への影響を受けないグロス値で表している。
尚、これを以って、本発明のEL素子パネル形成用の複合基板の製造方法の実施の形態の1例とする。
先ず、基板20の一面上に、第1電極層30を形成する。
先にも述べたが、基板20としては、セラミック基板、結晶化ガラス、石英ガラス等を挙げることができるが、これらに限定されない。
第1電極層30の形成は、先に、第1電極層30の素材として述べた、貴金属もしくは高融点金属の合金の粉体を、例えば溶剤、もしくは樹脂と溶剤、さらには、ガラスフリット等を配合し、これらを混合して練って得られたペーストを用い、厚膜の形成に適したスクリーン印刷等の方式によって基板2上にパターン状に適用し、適用後、焼成することによって行なえる。
あるいは、ペーストをパターン状にではなく、全面に適用して焼成した後に、フォトリソグラフィー法によりパターン状に形成してもよい。
または、第1電極層30は、これらの金属もしくは合金を用いてめっき、蒸着、もしくはスパッタリングを行なうことにより、全面に一様に金属層もしくは合金層を形成した後、フォトリソグラフィー法によりパターン状に形成してもよい。
めっき、蒸着、もしくはスパッタリングをマスクパターンを介して行なうことにより、パターン状に金属層もしくは合金層を形成することもできる。
第1電極層30の厚みは、形成方式によっても異なるが、スクリーン印刷等の厚膜の形成に適した方式による場合は、1〜5μm程度であることが好ましく、蒸着やスパッタリング等の薄膜の形成に適した方式による場合は、0.1μm〜1.0μm程度であることが好ましい。
次いで、基板20の第1電極層30形成面側上に厚膜誘電体層40形成用の、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層を配設する。
この誘電体層の形成は、これらの誘電体粉体を、例えば溶剤、もしくは樹脂と溶剤、さらには、ガラスフリット等を配合し、これらを混合して練って得られた誘電体粉体のペーストを用い、スクリーン印刷等の厚膜の形成に適した方式によって、基板20上の第1電極層30上に配設する。
尚、ここでは、必要に応じて、乾燥処理を行い、1層、あるいは2層以上にして所望の厚さを得る。
次いで、前記焼成前の誘電体層の表面に、基準板50の平坦面側を重ねた状態で、全体を樹脂フィルム60にて真空包装した状態で、加圧用の水中に置き、該加圧用の水を加圧して、前記焼成前の誘電体層を圧縮し、且つ、その表面を平滑化する。(図2(a)参照)
ここでの基準板50として、金属板を用いているが、これに限定はされない。
基準板50は十分な剛性を有していることが好ましく、ヤング率で規定すれば、樹脂フィルムの10倍以上が好ましい。
一般的に樹脂フィルムのヤング率は103 MP程度であるが、金属やガラスでは104 〜105 MPaであり、金属やガラスが適用できる。
金属としては比較的安価で入手しやすいマグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、チタン、および、これらの金属の合金(たとえばステンレススチール)が望ましい。
あるいは、図2(b)に示すように、剛性のある支持基材51の平坦な面に、金属薄層53をその一面に配設したフィルム基材52を、金属薄層53側を前記誘電体層と当たる側にして設けている基準板でも良い。
基準板50の表面は、十分に平滑であることが好ましいが、基準板50が金属であれば鏡面仕上げを施した板が容易に入手可能であり、ガラスであれば特別な表面加工をしていなくてもその表面は十分に平滑である。
表面粗さは、誘電体粉体のメジアン粒径と同程度か、または、それ以下であることが好ましい。
具体的な数値を挙げれば、0.5μm以下が好ましく、0.3μm以下であればより好ましい。
基準板の表面粗さは、表面粗さ測定機を用いて、算術平均粗さRaを測定することで見積もることができる。
基準板50の厚さは、十分な強度を有し、且つ、必要以上の重量にならないことを考慮すると、金属であれば0.1〜5mm程度、ガラスであれば1〜3mm程度が好ましい。 樹脂フィルム60として、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、管状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ、ポリイミド(PI)等が挙げられ、特にPETフィルム、ポリイミドフィルムが好ましい。
また、静水圧プレスの条件としては、温度は室温〜300℃が好ましく、圧力は50,000〜600,000Pa、特に100,000〜400,000Paが好ましい。
この後、加圧用の水を減圧し、加圧用の水中から全体を取り出し、真空包装の樹脂フィルムを剥がす。
これにより、前記焼成前の誘電体層は、静水圧プレスにより圧縮され、且つ、その表面は平滑化される。
次いで、前記焼成前の誘電体層を焼成して、基板20の第1電極層30上に、厚膜誘電体層40を形成する。
上記作製例は1例で、本発明のEL素子パネル形成用の複合基板の作製方法は、これに限定はされない。
例えば、「スクリーン印刷にて1度の印刷により1層の誘電体層を形成した後に、該誘電体層に対し、上記静圧プレス法を行う」、この1連の工程を繰り返して行い、圧縮され、表面が平滑化された、所望の厚さの厚膜誘電体層を形成することもできる。
図3(a)に示す第1の例のEL素子パネル15は、基板上20に、第1電極層30、厚膜誘電体層40、発光層80、および第2電極層35の各層を順に積層してEL素子を形成しているEL素子パネルで、図1(a)に示すEL素子パネル形成用の複合基板10を用いたものである。
即ち、厚膜誘電体層40は、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層を、基準板の平坦面側に当てて静水圧プレス法により圧縮し、且つ、基準板の平坦面側の面を平滑化したものを、更に焼成して、形成されたもので、その平滑化された面を発光層側としている。
このように、発光層側の表面の平坦性を良くし、且つ、厚膜誘電体層の誘電率特性を良くした厚膜誘電体層上に、発光層、および第2電極層の各層を順に積層して、EL素子を形成している構成にすることにより、欠陥が少なく電気特性面で優れたEL素子パネルとしている。
基板20、第1電極層30、厚膜誘電体層40は、図1(a)に示すEL素子パネル形成用の複合基板10と同じで、ここでは説明を省く。
発光層80の形成は、上記の蛍光体材料を用いて、蒸着もしくはスパッタリング、またはCVD法等により行なうことができる。
発光層80の厚みは、100〜2000nmが好ましく、より好ましくは300〜1500nm程度である。
これらの素材で構成した第2電極層は透明性を有するので、第2電極層側(図中の上側)から発光を観察するのに適している。
第2電極層35の形成は、上記の酸化物導電性材料を用いて、蒸着もしくはスパッタリングにより行なうことができ、第2電極層3Bの厚みは、50nm〜200nm程度である。
第2の例のEL素子パネルにおいても、発光層側の表面の平坦性を良くし、且つ、厚膜誘電体層の誘電率特性を良くした厚膜誘電体層40上に、薄膜誘電体層90、発光層80、薄膜誘電体層95、および第2電極層35の各層を順に積層して、EL素子を形成している構成にすることにより、欠陥が少なく電気特性面で優れたEL素子パネルとしている。
勿論、第2の例においても、厚膜誘電体層40は、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層を、基準板の平坦面側に当てて静水圧プレス法により圧縮し、更に焼成して、形成されたもので、その平滑化された面を発光層側としている。
膜誘電体層90、95以外の各部については、第1の例と同じで、説明を省く。
薄膜誘電体層90、95の素材としては、例えば酸化シリコン(SiO2 )、窒化シリコン(SiN)、酸化タンタル(Ta2 O5 )、酸化イットリウム(Y2 O3 )、ジルコニア(ZrO2 )、シリコンオキシナイトライド(SiON)、アルミナ(Al2 O3 )、BaTa2 O6 、SrTiO3 、チタン酸バリウム(BaTiO3 )等を用いることができる。
また、薄膜誘電体層90、95の形成方法としては、スパッタ法、蒸着法、CVD法等を用いることができる。
これらの薄膜誘電体層90、95は、厚膜誘電体層40のように絶縁耐圧を保持する機能を考慮する必要はないため、厚みは小さくてよく、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは20〜200nmである。
例えば、第1の例あるいは第2の例において、厚膜誘電体層40上に更に平坦化層を積層する形態も挙げられる。
平坦化層としては、厚膜誘電体層40の表面の凹凸をならすことが可能なごく薄い層であることが好ましく、厚みは0.5μm〜2μm程度である。
平坦化層は、EL素子パネルを構成する上では誘電体層であることが好ましいので、この意味で平坦化層は、厚膜誘電体層を構成する素材として挙げたものと同じような誘電体で構成されることが好ましい。
また、平坦化層の形成には、下層の厚膜誘電体層40の表面の凹凸をならすことを可能にするため、ゾルゲル法もしくはMOD(Metal organic deposition)法等の塗布液体を用いて行なうことが好ましい。
ガラス板(旭硝子(株)製、PD200)を基板20として、複数、準備し、各基板20上に、それぞれ、金ペーストを用いたスクリーン印刷法により印刷を行ない、ピーク温度:650℃で焼成を行なって、膜厚1.5μmの金電極層からなる第1の電極層30を形成した。
(ペースト配合)
・PMN粉末(メジアン粒径:0.5μm) 60質量部
・添加剤(分散剤、可塑剤、およびバインダー樹脂) 6質量部
・溶剤(α−ターピネオール) 34質量部
尚、スクリーン印刷は、250メッシュ、スクリーン版を使用し、スクリーン版上にペーストを載せ、スクレーパーでスクリーン版上にペーストを広げた後、スキージでペーストを基板に塗布した。
スクレーパーおよびスキージの移動速度は、共に毎秒2cmとした。
ペースト塗布後、30分間放置して塗布表面のレベリングを行った後、120℃に加熱したオーブン中で30分間、ペースト乾燥を行った。
1回のスクリーン印刷では所望の膜厚が得られなかったため、上記の印刷から乾燥までの工程を2回繰り返した。
また、アプリケーターの塗布は、塗布ギャップ2mil(約0.051mm)、速度1cm/秒の条件で移動させて、塗布を行なった。
次いで、乾燥後、各基板20上の乾燥したPMN粉末からなる誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層に基準板50を当てて、ポリウレタン製の袋(樹脂フィルム60に相当)にて全体を真空包装した後、圧力:2000kgf/cm2 、または、3500kgf/cm2 で10分間、静水圧プレスし、その後、ピーク温度:650℃で焼成を行なって、厚膜誘電体層40を形成した。(図2(a)参照)
ここでは、基準板50として、それぞれ、ガラス板(旭硝子製 PD−200、2.8mm厚)、ステンレス板(鏡面仕上げ、1.0mm厚)を用いた場合について実施した。 これらの基準板の算術表面粗さRaを、東京精密製サーフコム130Aを用いて、1mmの測定長さで測定した。
ガラス板およびステンレス板のRaは、それぞれ、0.26μmおよび0.23μmであった。
この後、圧力を下げ、水中から取り出し、更に樹脂フィルムを剥がして、図1に示すEL素子パネル用の複合基板を得た。
このようにして作製された、それぞれのEL素子パネル用の複合基板においては、いずれも、その厚膜誘電体層40は、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層を、基準板の平坦面側に当てて静水圧プレス法により圧縮し、更に焼成して、形成している。
また、実施例との比較のため、上記実施例において、基準板50として、PETフィルム(帝人製 テイジンテトロンフィルム、0.188mm厚)を用いて、比較例のEL素子パネル用の複合基板を作製した。
以下に、基準板50としてPETフィルムを用いた場合の処理条件と評価結果を整理して、表4に示す。
また、ガラス板あるいはステンレス板を基準板50とした厚膜誘電体層40の表面は、平滑性が高く、見た目にも表面の光沢度が非常に高いことが、グロス値からも確認できる。
このように、本発明により、静水圧プレス法を用いて、厚膜誘電体層の発光層側の表面の平坦性を良くし、且つ、厚膜誘電体層の誘電率特性を良くした、基板上に、少なくとも電極層、厚膜誘電体層を順に積層した構成の、EL素子パネル形成用の複合基板の提供を可能としている。
15、15A EL素子パネル
20 基板
30 電極層(第1電極層ともいう)
35 電極層(第2電極層ともいう)
40 厚膜誘電体層
50 基準板
51 支持基材
52 樹脂フィルム
53 金属薄膜
60 樹脂フィルム
70 水
80 発光層
90、95 薄膜誘電体層
Claims (6)
- 基板上に、少なくとも第1電極層、厚膜誘電体層、発光層、および第2電極層の各層を順に積層してEL素子を形成しているEL素子パネルを形成するための、前記基板上に少なくとも前記第1電極層と前記厚膜誘電体層とを順に積層してなる複合基板であって、
前記厚膜誘電体層は、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層を、基準板の平坦面側に当てて静水圧プレス法により圧縮し、更に焼成して、形成され、
前記厚膜誘電体層の表面のグロス値が115〜126であり、
前記厚膜誘電体層の比誘電率が1315〜1696であり、
前記厚膜誘電体層の厚みが、8.7〜10μmである
ことを特徴とするEL素子パネル形成用複合基板。 - 前記基準板は、金属板もしくはガラス板であることを特徴とする請求項1記載のEL素子パネル形成用複合基板。
- 基板上に、少なくとも第1電極層、厚膜誘電体層、発光層、および第2電極層の各層を順に積層してEL素子を形成しているEL素子パネルであって、前記厚膜誘電体層は、誘電体粉体を主として形成された焼成前の誘電体層を、基準板の平坦面側に当てて静水圧プレス法により圧縮し、更に焼成して、形成され、
前記厚膜誘電体層の表面のグロス値が115〜126であり、
前記厚膜誘電体層の比誘電率が1315〜1696であり、
前記厚膜誘電体層の厚みが、8.7〜10μmである
ことを特徴とするEL素子パネル。 - 前記基準板は、金属板もしくはガラス板であることを特徴とする請求項3記載のEL素子パネル。
- 前記厚膜誘電体層と前記発光層の間に、さらに薄膜誘電体層を有し、
前記発光層と前記第2電極層の間に、さらに薄膜誘電体層を有することを特徴とする請求項3または請求項4に記載のEL素子パネル。 - 基板上に、少なくとも第1電極層、厚膜誘電体層、発光層、および第2電極層の各層を順に積層してEL素子を形成しているEL素子パネルを形成するための複合基板を、作製するための、EL素子パネル形成用複合基板の作製方法であって、前記基板上に、少なくとも前記第1電極層、誘電体粉体を主とする焼成前の誘電体層を順に形成した後、前記誘電体層を基準板の平坦面側に当てて、静水圧プレス法により圧縮し、更に焼成して、前記厚膜誘電体層を形成し、
前記基準板の平坦面の算術平均粗さRaが0.3μm以下であり、
前記基準板が、厚さ1〜5mmの金属板または厚さ2.8〜3mmのガラス板であり、
前記基準板の材料のヤング率が、6.86×10 4 〜105MPaである
ことを特徴とするEL素子パネル形成用複合基板の作製方法。
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