JP4831860B2 - 低塩素化合物安定剤の製造方法 - Google Patents

低塩素化合物安定剤の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化、熱または光により誘発された分解に対して有機材料を安定化するために適する、低量の塩素化合物を含む安定剤混合物製造のための新しい製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第4075163号には、酸化、熱または光により誘発された分解に対して有機材料を安定化するために適する、テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイトの合成が記載されている(第7欄、表1、化合物12)。この化合物は、例えばクラリアント社(Clariant)(スイス国)からサンドスタブ(Sandostab) P-EPQ (RTM)として市販品で入手可能である。
欧州特許第0633287号公報では、実施例1に上記市販品で入手可能なサンドスタブ(Sandostab) P-EPQ (RTM)がa)テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト65重量%、b)ビス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンモノホスホナイト15重量%、c)トリス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ホスホナイト13重量部、d)2,4−ジ第三ブチルフェノール1.5重量部、e)塩素化合物1重量%まで(10000mg/kgまで)、f)揮発性物質0.5重量%まで、およびg)酸化テトラキス(2,4−ジ第三ブチルフェニル)ビフェニレンジホスホナイト4ないし5重量%からなるいくつかの成分の混合物であることが記載されている。
【0003】
ホスフィットおよびホスホナイトは加水分解に対して非常に不安定である(米国特許第4075163号の実施例29を参照せよ)。従って、サンドスタブ(Sandostab) P-EPQ (RTM)の合成時、反応混合物が水と接触しないようにしなければならない。サンドスタブ(Sandostab) P-EPQ (RTM)の実際的な大規模製造においては、残渣の三塩化アルミニウム/ピリジン/塩酸錯体の中和は気体アンモニアにより行われる(本明細書比較例2を参照せよ)。しかしながら、例えば塩化アンモニウムのような形成塩の幾分かが最終製品に残留する。これらの塩不純物は、最終安定剤混合物がわずかに濁りを有するものとなる原因となり得る。このような濁りを有する安定剤をポリオレフィンに使用することによりポリオレフィン中に曇りが誘発されるので、これはいくつかの用途に対しては明らかに望ましくない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、低量の塩素化合物を含み、そして濁りを有さない製品を形成し、合成ポリマー中にいかなる曇りを誘発しないサンドスタブ(Sandostab) P-EPQ (RTM)の合成に関して、改良された製造方法を見出すことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
従って本発明は、a)次式I
【化8】
Figure 0004831860
で表されるジホスホナイト50ないし80重量%
b)次式II
【化9】
Figure 0004831860
で表されるモノホスホナイト5ないし25重量%、および
c)次式III
【化10】
Figure 0004831860
で表されるホスフィット5ないし25重量%(式I、IIおよびIII中、Rは次式IV
【化11】
Figure 0004831860
で表される基を表す。)からなり、そして式I、IIおよびIIIで表される化合物の全量が100重量%より多くない、低量の塩素化合物を含む安定剤混合物を、
フリーデル−クラフツ反応条件下で次式V
【化12】
Figure 0004831860
で表されるビフェニルを三塩化リンおよび三塩化アルミニウムと反応させることにより、そして第三アミンまたは芳香族アミンおよび溶媒の存在下で生成物混合物を次式VI
【化13】
Figure 0004831860
で表される2,4−ジ第三ブチルフェノールと反応させ、形成された二つの層を分離することにより製造する方法であって、溶媒層を水、塩基および乾燥剤で処理すること、安定剤混合物を含む溶液から沈殿物を分離し、そして溶媒を蒸発させることを含む製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
好ましくは、第三アミンは次式VII
【化14】
Figure 0004831860
(式中、R1、R2およびR3は同一であるか、または異なっており、炭素原子数1ないし24のアルキル基、酸素原子1個もしくはそれより多くにより中断された炭素原子数4ないし24のアルキル基、フェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基、炭素原子数7ないし9のアルキルフェニル基を表すか;あるいはR1、R2およびR3の2つはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、任意により更なる酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含み、そして任意により炭素原子数1ないし4のアルキル基1個もしくはそれより多くにより置換された5−、6−または7員環複素環式残基を形成し、そしてR1、R2およびR3の残りの1つは炭素原子数1ないし24のアルキル基または酸素原子1個もしくはそれより多くにより中断された炭素原子数4ないし24のアルキル基を表す。)で表される化合物である。
【0007】
24個までの炭素原子を有するアルキル基は、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第二ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、2−エチルブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、1−メチルペンチル基、1,3−ジメチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルヘキシル基、n−ヘプチル基、イソヘプチル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、1−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、1,1,3,3−テトラメチルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、1−メチルウンデシル基、ドデシル基、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、エイコシル基またはドコシル基である。R1、R2およびR3の好ましい定義の一つは、例えば炭素原子数2ないし18のアルキル基である。R1、R2およびR3の特に好ましい定義は炭素原子数2ないし8のアルキル基、例えばエチル基である。
【0008】
酸素原子1個もしくはそれより多くにより中断された炭素原子数4ないし24のアルキル基は、例えば2−エトキシプロピル基、1−メトキシプロピル基、1−メトキシブチル基、n−ブトキシエチル基、1−メトキシオクチル基、1−メトキシデシル基、1−メトキシドデシル基、1−メトキシヘキサデシル基、1−メトキシエイコシル基、1−メトキシテトラエイコシル基および2−メトキシエトキシメチル基を含む。
炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基は、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基または2−フェニルエチル基である。好ましくはベンジル基である。
1、R2およびR3の2個により形成された複素環式基は、好ましくは6員環であり、
例えばピペリジノ環、モルホリノ環、チオモルホリノ環および4−炭素原子数1ないし4のアルキル−ピペラジノ環である。
【0009】
好ましい芳香族アミンはピリジンであり、任意により炭素原子数1ないし4のアルキル基1個もしくはそれより多くにより置換されている。
任意により炭素原子数1ないし4のアルキル基1個もしくはそれより多くにより置換されているピリジンは、例えば2,3−ルチジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジンまたは3,4−ルチジンである。
好ましい溶媒はベンゼンであり、任意により塩素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基1個もしくはそれより多くにより置換されているものである。
任意により塩素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基1個もしくはそれより多くにより置換されているベンゼンは、例えばクロロベンゼン、トルエンまたはキシレンである。好ましくはクロロベンゼンである。
【0010】
好ましい塩基は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩または四ホウ酸塩である。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩または四ホウ酸塩は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化カルシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムまたは四ホウ酸ナトリウム十水和物である。
有利には、上記塩基は溶媒層重量を基準として0.1ないし10重量%、特に0.1ないし5重量%、例えば0.1ないし2重量%の量で使用される。
【0011】
好ましい乾燥剤は、アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩もしくは酸化物、モレキュラーシーブまたは酸化アルミニウムである。
アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩もしくは酸化物、モレキュラーシー
ブまたは酸化アルミニウムは、例えば酸化マグネシウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、モレキュラーシーブ3Å、モレキュラーシーブ4Å、粉末状酸化アルミニウム、塩基性酸化アルミニウム、焼成酸化アルミニウム、溶融酸化アルミニウム、顆粒状酸化アルミニウムまたは燒結酸化アルミニウムである。
有利には、上記乾燥剤は溶媒層重量を基準として0.1ないし10重量%、特に0.1ないし5重量%、例えば0.1ないし2重量%の量で使用される。
例えば硫酸ナトリウムのようないくつかの乾燥剤は、カチオン性沈殿物としても作用し得る。
【0012】
安定剤混合物を含む溶液から沈殿物を分離する前に、溶媒層を付加的にろ過助剤で処理することを含む、低量の塩素化合物を含む安定剤混合物の製造方法は興味深い。
好ましいろ過助剤は、例えば酸性白土[メルクインデックス(Merck Index)第10版,4162(1983)]または滴虫土[メルクインデックス(Merck Index)第10版,4857(1983)]であり、フロリジン;ケイ酸アルミニウムマグネシウム、多孔質珪藻土(キーゼルグール)、セライト、例えばヒフロ スーパー セル(Hyflo Super Cel)[(RTM),アルドリッチ(Aldrich)39,254−5]のような珪藻土を含む非プラスチック性の種々のカオリンを含む。
有利には、上記ろ過助剤は溶媒層重量を基準として0.1ないし10重量%、特に0.1ないし5重量%、例えば0.1ないし2重量%の量で使用される。
【0013】
水を、塩基に存在する結晶水の形態で添加することを含む、低量の塩素化合物を含む安定剤混合物の製造方法は特に興味深い。
好ましい、結晶水を含む塩基は、例えば四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)、Na2HPO412H2OまたはNa2CO310H2Oである。
【0014】
温度範囲0ないし25℃、例えば5ないし20℃で溶媒層を水、塩基および乾燥剤で処理することを含む、低量の塩素化合物を含む安定剤混合物の製造方法が好ましい。
溶媒層を水、塩基および乾燥剤で処理して、pH範囲を7.0ないし13、特に7.5ないし12、例えば8ないし12とすることを含む、低量の塩素化合物を含む安定剤混合物の製造方法も好ましい。
【0015】
溶媒層を、溶媒層の重量を基準として0.1ないし10重量%、特に0.1ないし5重量%、例えば0.1ないし2重量%の量の水で処理することを含む、低量の塩素化合物を含む安定剤混合物の製造方法は特に興味深い。
最終製品混合物における塩素化合物の量が5000mg/kgより低い、特に1500mg/kgより低い、例えば500mg/kgより低い安定剤混合物の製造方法も特に興味深い。
【0016】
フリーデル−クラフツ反応条件下での、Vで表されるビフェニルの三塩化リンおよび三塩化アルミニウムとの反応において、三塩化リンは、好ましくは試薬および溶媒として使用される。従って、1モルのビフェニルの反応に対して、3ないし10モル、特に3ないし8モル、例えば3ないし5モルの三塩化リンが使用される。好ましくは、反応は、4ないし10時間、特に4ないし8時間、例えば5ないし7時間還流下に保たれる。好ましくは、過剰量の三塩化リンが留去される。続く、第三アミンまたは芳香族アミンおよび溶媒の存在下での上記粗製製品混合物と2,4−ジ第三ブチルフェノールとの反応において、温度範囲は、有利には10ないし100℃、特に10ないし80℃、例えば20ないし80℃である。反応混合物の濃度は、有利には10ないし80重量%、特に10ないし60重量%である。第三アミンまたは芳香族アミンは、2,4−ジ第三ブチルフェノールのモル量を基準として、10ないし100%、特に20ないし80%、例えば30ないし70%の過剰量で有利に使用される。
【0017】
上記改良されたサンドスタブ(Sandostab) P-EPQ (RTM)は、以下の節においてLCT(低塩素化合物透明性)安定剤混合物と命名される。このLCT安定剤混合物は、酸化、熱または光により誘発された分解に対して有機材料を安定化するために適当である。
【0018】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するものである。部または百分率は重量に関する。
実施例1:安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)の製造
メカニカルスターラーおよび還流冷却器を取り付けた1.5リットルジャケット付ガラス反応器中、ビフェニル90g(0.584モル)、無水塩化アルミニウム204g(1.53モル)および三塩化リン305g(2.218モル)の混合物を窒素雰囲気下で、内部温度75℃で6時間撹拌しながら還流した。その間、塩酸ガスが発生するので、これを水によりスクラバー塔に捕捉した。該反応混合物を冷却し、過剰量の三塩化リンを、内部温度63ないし65℃、および400ないし180mbarの減圧下で留去した。粗製溶融物を35℃まで冷却し、クロロベンゼン220gで希釈した。
【0019】
上記粗製溶液を、メカニカルスターラーおよび外部水冷を伴う還流冷却器を取り付けた2.5リットルジャケット付ガラス反応器中の2,4−ジ第三ブチルフェノール482g(2.334モル)、ピリジン362g(4.576モル)およびクロロベンゼン600gからなる撹拌溶液に添加した。反応は発熱性であり、内部温度は80℃以下に保たれた。添加の終了時、該混合物は3時間、内部温度63ないし65℃に保たれた。静置して、反応混合物を二層に分離した。下層の複合層を分離し、上層の有機層をクロロベンゼン430gで希釈し、安定剤混合物を含む粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1650gを導く。該粗製溶液の酸塩基滴定により、溶液1kgに対してKOH0.125モルの平均消費量が得られる。
この溶液はLCT安定剤混合物の製造に関する以下の例に使用される。
【0020】
実施例2:比較例
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、1時間、−10℃まで冷却した。沈降残渣AlCl3−ピリジン錯体から、上記混合物をろ過する。0ないし5℃で、気体アンモニア(4.0g)を該ろ液中に吹込み、その温度で1時間保持した。水により撹拌されたアリコートは、8ないし9のpH値を示した。100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、溶媒を蒸発させた。残渣として、淡黄色の、濁りのあるガラス状固体(Tg=65℃)の安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は5000mg/kgより多い。
【0021】
実施例3:低量の塩素化合物を含むLCT安定剤混合物の製造
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、5ないし10℃まで冷却した。この混合物に、四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)5.0g(0.01モル)、水2.5g(0.14モル)および硫酸ナトリウム5.0g(0.04モル)を添加し、そして、その間溶液の透明度を上げながら、1時間撹拌した。その後、粉末水酸化カルシウム8.0g(0.11モル)、酸化カルシウム5.0g(0.09モル)およびキーゼルグール クラルセル DIF B(Kieselgur Clarcel DIF B)(RTM)5.0gを添加し、3時間25℃で撹拌した。ろ過後、100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、ろ液を蒸発させた。残渣として、透明の、明黄色固体(Tg=65℃)のLCT安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は1000mg/kgである。
【0022】
実施例4:低量の塩素化合物を含むLCT安定剤混合物の製造
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、20℃まで冷却した。この混合物に、硫酸ナトリウム5.0g(0.04モル)を添加し、続いて四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)11.1g(0.029モル)、水11.0g(0.61モル)および水酸化ナトリウム3.0g(0.075モル)からなる中和剤溶液を添加した。上記混合物を、その間溶液の透明度を上げながら、1時間撹拌した。その後、粉末水酸化カルシウム2.0g(0.027モル)、酸化カルシウム5.0g(0.09モル)およびキーゼルグール クラルセル DIF B(Kieselgur Clarcel DIF B)(RTM)5.0gを添加し、3時間25℃で撹拌した。ろ過後、100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、ろ液を蒸発させた。残渣として、透明の、明黄色固体(Tg=65℃)のLCT安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は400mg/kgである。
【0023】
実施例5:低量の塩素化合物を含むLCT安定剤混合物の製造
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、20℃まで冷却した。この混合物に、硫酸ナトリウム5.0g(0.04モル)を添加し、続いて四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)10.0g(0.026モル)を添加した。上記混合物を、その間溶液の透明度を上げながら、1時間撹拌した。その後、四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)6.6g(0.017モル)、水酸化ナトリウム1.8g(0.045モル)および水6.6g(0.37モル)からなる中和剤溶液を添加した。上記混合物を室温で30分間撹拌した。その後、水酸化カルシウム2.0g(0.027モル)、酸化カルシウム6.0g(0.107モル)およびキーゼルグール クラルセル DIF B(Kieselgur Clarcel DIF B)(RTM)5.0gを添加し、3時間25℃で撹拌した。ろ過後、100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、ろ液を蒸発させた。残渣として、透明の、明黄色固体(Tg=65℃)のLCT安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は300mg/kgである。
【0024】
実施例6:低量の塩素化合物を含むLCT安定剤混合物の製造
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、20℃まで冷却した。この混合物に、硫酸ナトリウム5.0g(0.04モル)を添加し、続いて四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)17.0g(0.044モル)を添加した。上記混合物を、その間溶液の透明度を上げながら、1時間撹拌した。その後、水酸化カルシウム5.0g(0.068モル)、酸化カルシウム5.0g(0.089モル)を添加し、そして1時間撹拌した。次いで、キーゼルグール クラルセル DIF B(Kieselgur Clarcel DIF B)(RTM)5.0gを添加し、3時間25℃で撹拌した。ろ過後、100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、ろ液を蒸発させた。残渣として、透明の、明黄色固体(Tg=65℃)のLCT安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は200mg/kgである。
【0025】
実施例7:低量の塩素化合物を含むLCT安定剤混合物の製造
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、20℃まで冷却した。この混合物に、炭酸ナトリウム5.0g(0.047モル)を添加し、続いて四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)10.0g(0.026モル)を添加した。上記混合物を、その間溶液の透明度を上げながら、1時間撹拌した。その後、四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)9.9g(0.026モル)、水酸化ナトリウム1.8g(0.045モル)および水9.9g(0.55モル)からなる中和剤溶液を添加した。上記混合物を室温で30分間撹拌した。その後、水酸化カルシウム2.0g(0.027モル)、酸化カルシウム5.0g(0.089モル)およびキーゼルグール クラルセル DIF B(Kieselgur Clarcel DIF B)(RTM)5.0gを添加し、3時間25℃で撹拌した。ろ過後、100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、ろ液を蒸発させた。残渣として、透明の、明黄色固体(Tg=65℃)のLCT安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は400mg/kgである。
【0026】
実施例8:低量の塩素化合物を含むLCT安定剤混合物の製造
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、20℃まで冷却した。この混合物に、硫酸ナトリウム5.0g(0.035モル)を添加し、続いて四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)5.0g(0.013モル)および水2.5g(0.139モル)を添加した。上記混合物を、その間溶液の透明度を上げながら、1時間撹拌した。その後、クロロベンゼン94g中酸化カルシウム8.7g(0.155モル)および炭酸ナトリウム十水和物2.7g(0.009モル)からなる懸濁溶液を添加した。最後に、キーゼルグール クラルセル DIF B(Kieselgur Clarcel DIF B)(RTM)5.0gを添加し、2時間25℃で撹拌した。ろ過後、100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、ろ液を蒸発させた。残渣として、透明の、明黄色固体(Tg=65℃)のLCT安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は1200mg/kgである。
【0027】
実施例9:低量の塩素化合物を含むLCT安定剤混合物の製造
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、20℃まで冷却した。この混合物に、四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)5.0g(0.013モル)、粉末炭酸カルシウム10.0g(0.10モル)、硫酸ナトリウム5.0g(0.035モル)を添加し、続いて水2.5g(0.139モル)を添加した。上記混合物を、その間溶液の透明度を上げながら、1時間撹拌した。その後、酸化カルシウム5.0g(0.089モル)を添加し、そして該混合物を1時間、室温で撹拌した。最後に、キーゼルグール クラルセル DIF B(Kieselgur Clarcel DIF B)(RTM)5.0gを添加し、2時間25℃で撹拌した。ろ過後、100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、ろ液を蒸発させた。残渣として、透明の、明黄色固体(Tg=65℃)のLCT安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は2100mg/kgである。
【0028】
実施例10:低量の塩素化合物を含むLCT安定剤混合物の製造
実施例1で得られた安定剤混合物の粗製クロロベンゼン溶液(35%w/w)1000gを撹拌下、15℃まで冷却した。この混合物に、四ホウ酸ナトリウム十水和物(Na24710H2O)10.0g(0.026モル)および水4.0g(0.222モル)を添加した。上記混合物を、その間溶液の透明度を上げながら、2時間撹拌した。その後、粉末無水炭酸ナトリウム10.1g(0.095モル)を添加し、1時間撹拌した。次いで、酸化カルシウム5.0g(0.089モル)を添加し、そして該混合物を1時間撹拌した。最後に、キーゼルグール クラルセル DIF B(Kieselgur Clarcel DIF B)(RTM)5.0gを添加し、2時間25℃で撹拌した。ろ過後、100ないし110℃/350ないし310mbarで、そして最終的には170℃/<10mbarで、真空回転式蒸発機を使用して、ろ液を蒸発させた。残渣として、透明の、明黄色固体(Tg=65℃)のLCT安定剤混合物350gが得られる。残留塩素化合物含有量は250mg/kgである。

Claims (10)

  1. a)次式I
    Figure 0004831860
    で表されるジホスホナイト50ないし80重量%
    b)次式II
    Figure 0004831860
    で表されるモノホスホナイト5ないし25重量%、および
    c)次式III
    Figure 0004831860
    で表されるホスフィット5ないし25重量%(式I、IIおよびIII中、Rは次式IV
    Figure 0004831860
    で表される基を表す。)からなり、そして式I、IIおよびIIIで表される化合物の全量が100重量%より多くなく、且つ5000mg/kgより低い量の塩素化合物を含む安定剤混合物を、
    フリーデル−クラフツ反応条件下で次式V
    Figure 0004831860
    で表されるビフェニルを三塩化リンおよび三塩化アルミニウムと反応させ、続いて得られた生成物混合物を第三アミンまたは芳香族アミンおよび溶媒の存在下で次式VI
    Figure 0004831860
    で表される2,4−ジ第三ブチルフェノールと反応させ、形成された二つの層から前記安定剤混合物を含む溶媒層を分離することにより製造する方法であって、溶媒層を水、塩基および乾燥剤で処理すること、該処理した溶媒層から沈殿物を分離し、そして溶媒を蒸発させることを含む製造方法。
  2. 第三アミンが次式VII
    Figure 0004831860
    (式中、R1、R2およびR3は同一であるか、または異なっており、炭素原子数1ないし24のアルキル基、酸素原子1個もしくはそれより多くにより中断された炭素原子数4ないし24のアルキル基、フェニル基、炭素原子数7ないし9のフェニルアルキル基、炭素原子数7ないし9のアルキルフェニル基を表すか;あるいはR1、R2およびR3の2つはそれらが結合している窒素原子と一緒になって、任意により更なる酸素原子、窒素原子またはイオウ原子を含み、そして任意により炭素原子数1ないし4のアルキル基1個もしくはそれより多くにより置換された5−、6−または7員環複素環式残基を形成し、そしてR1、R2およびR3の残りの1つは炭素原子数1ないし24のアルキル基または酸素原子1個もしくはそれより多くにより中断された炭素原子数4ないし24のアルキル基を表す。)で表される化合物である請求項1記載の方法。
  3. 芳香族アミンが、任意により炭素原子数1ないし4のアルキル基1個もしくはそれより多くにより置換されたピリジンである請求項1記載の方法。
  4. 溶媒が、任意により塩素原子または炭素原子数1ないし4のアルキル基1個もしくはそれより多くにより置換されたベンゼンである請求項1記載の方法。
  5. 塩基が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩または四ホウ酸塩である請求項1記載の方法。
  6. 乾燥剤が、アルカリ金属の硫酸塩、アルカリ土類金属の硫酸塩もしくは酸化物、モレキュラシーブまたは酸化アルミニウムである請求項1記載の方法。
  7. 前記処理した溶媒層から沈殿物を分離する前に、溶媒層を付加的にろ過助剤で処理することを含む請求項1記載の方法。
  8. ろ過助剤が酸性白土または滴虫土である請求項7記載の方法。
  9. 温度範囲0ないし25℃で溶媒層を水、塩基および乾燥剤で処理することを含む請求項1記載の方法。
  10. 溶媒層を、溶媒層の重量を基準として0.1ないし10重量%の量の水で処理することを含む請求項1記載の方法。
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